JP6701499B2 - ペーパータオルのロール体 - Google Patents
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Description
<ペーパータオルのロール体>
本発明のペーパータオルのロール体は、所定の坪量の単一シートを2枚積層したペーパータオルを、所定の巻き硬さで、20m以上40m以下に亘って巻回したものである。これにより、本発明のペーパータオルのロール体に巻回されるペーパータオルは優れた吸水性を維持可能なものとなる。
ペーパータオルに用いる単一シートは、パルプ繊維をリファイナー等により叩解処理したものを抄紙してなる。原料パルプ繊維に叩解処理を施すことにより、パルプ繊維が毛羽立ち、ペーパータオルの風合いが良好なものとなるとともに、単一シートの強度を向上させることができる。しかしながら、叩解処理を施しただけでは単一シートの紙厚が低下して吸水性も低下するため、抄紙時に乾燥紙力増強剤及び湿潤紙力増強剤を内添することにより、強度と吸水性とをともに向上させることができる。これにより、JIS P 8124に準拠して測定される単一シートの坪量を19g/m2以上25g/m2以下の範囲内のものとすることができる。
パルプ繊維は、典型的には針葉樹や広葉樹から製造される木材パルプ繊維であり、例えば、パルプ繊維を漂白精製処理した晒パルプ繊維である針葉樹晒クラフトパルプ繊維(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ繊維(LBKP)、及びこれらの混合物を用いることができる。これらの中でも、針葉樹晒クラフトパルプ繊維をより高配合とすることにより、紙力及び吸水性をより向上させることができる。
本発明において使用可能な乾燥紙力増強剤としては、カチオン化でんぷん、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。また、本発明において使用可能な湿潤紙力増強剤としてはポリアミドエピクロロヒドリン樹脂やメラミン樹脂等を挙げることができる。乾燥紙力増強剤及び湿潤紙力増強剤の添加量は、パルプ繊維100質量部あたり、1.0質量部以上5.0質量部以下とすることが好ましい。
本発明においては、抄紙した単一シートの乾燥の際のクレープ率が20%以上であることが好ましい。クレープ率を20%以上とすることにより、単一シートの強度と吸水性を向上させることができる。なお、クレープ率(%)は、{(ドライヤースピード)−(リールスピード)}/(ドライヤースピード)×100で計算される。ここで、リールスピードとはロールへの巻き取り速度を意味する。
本発明のペーパータオルのロール体を構成するペーパータオルは、上記の単一シートを2枚積層したものであり、ペーパータオルの一方の表面がエンボス凸部を有し、他方の表面に上記のエンボス凸部の裏面で構成されるエンボス凹部を有している。
ペーパータオルにエンボス加工を施すにあたっては、まず、単一シートにエンボス加工を施し、単一シートの一方の表面にエンボス凸部を、反対面にはエンボス凸部の裏側で構成されるエンボス凹部を形成する。エンボス加工は公知の方法で行うことができ、例えば、ほぼ相補的な形状の雄(凸)エンボスロールと雌(凹)エンボスロールとが噛み合う「マッチした」エンボスロールにより加工してもよいし、雄(凸)エンボスロールと雌(凹)エンボスロールの形状が同一でなく、両者が噛み合った際にシートにせん断力を与える、いわゆる「マッチしていない」エンボスロールにより加工してもよい。
エンボス加工が施された2枚の単一シートは、一方の単一シートのエンボス凸部を他の単一シートの所定部位に糊付け、ペーパータオルとなる。本発明において、ペーパータオルのエンボスパターンは、一方の単一シートのエンボス凸部が、他方の単一シートのエンボス凹部に入り込んだ状態で糊付けされている、いわゆるネステッドエンボスであることが好ましい。ネステッドエンボスとすることにより、2枚の単一シートの間に空間が保持され、ペーパータオルの吸水性や嵩高さを向上させることができる。
本発明のペーパータオルのロール体から得られるペーパータオルは、叩解処理したパルプ繊維を抄紙して得られるものであり、かつ所定の巻き硬さで巻回されたものであるので、良好な吸水性を有している。ペーパータオルの吸水性(TWA:Total Water Absorbency)は、170g/m2以上220g/m2以下であり、180g/m2以上200g/m2以下であることが好ましい。ペーパータオルのこのような吸水性は、20mを超える巻長のペーパータオルのロール体では、従来実現できないものであったが、本発明の方法を採用した場合には、20mを超える巻長であり、上記のような吸水性を有するペーパータオルのロール体が実現可能なものとなる。
本発明が適用されるペーパータオルは、JIS P 8113(紙及び板紙 引張り特性の試験方法)に準拠して、幅25mmの試験片について測定される乾燥時の縦方向引張り強さ(DMD;Dry Machine Direction tensile strength)と横方向引張り強さ(DCD;Dry Cross Direction tensile strength)の幾何平均GMT(Geometric Mean Tensile strength)が、好ましくは、11.0N/25mm以上22.0N/25mm以下となり、より好ましくは、12.0N/25mm以上20.0N/25mm以下となる。GMTを上記の範囲内のものとすることにより、不織布シートが、実用に適した適度な破れにくさを有するものとなるとともに、十分な柔らかさを有するものとなる。
以上に説明したペーパータオルは、巻芯の周りに20m以上40m以下巻回することにより、ペーパータオルのロール体となる。なお、この際、ロールワインダーの速度を、150m/min以上200m/minに設定することで、皺のない安定した巻き取りを行うことができる。巻芯としては特に限定されるものではなく、紙芯等の任意の巻芯を用いることができる。巻芯に巻き取った長幅のペーパータオルのロール体は、ログソーにより所定幅に切断される。
本発明のペーパータオルのロール体は、巻密度を0.50m/cm2以上0.80m/cm2以下とすることが好ましい。巻密度は、ペーパータオルの紙質の影響を受け、巻き取り工程におけるロールワインダーの張力、及びエンボスロールのニップ圧力により調整することができる。巻密度を上記のように設定することにより、20mを超える巻長のペーパータオルのロール体であっても、巻き皺やロール変形の発生を防止することができるとともに、ペーパータオルの吸水性を良好に維持することもできる。
本発明のペーパータオルのロール体は、巻き硬さを10mm未満とすることが好ましく、4mm以上8mm以下とすることがより好ましい。巻き硬さは、ペーパータオルの紙質の影響を受け、巻き取り工程におけるロールワインダーの張力、及びエンボスロールのニップ圧力により調整することができる。巻き硬さを上記のように設定することにより、20mを超える巻長のペーパータオルのロール体であっても、巻き皺やロール変形の発生を防止することができるとともに、ペーパータオルの吸水性を良好に維持することができる。
針葉樹晒クラフトパルプ繊維(NBKP)と広葉樹晒クラフトパルプ繊維(LBKP)との混合物をリファイナーで叩解処理し、パルプ繊維100質量部あたり、乾燥紙力増強剤(カチオン化デンプン)を1.6質量部、湿潤紙力増強剤(ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂)を3.7質量部添加し、表1に示す坪量の単一シートをティシュ抄紙機により製造した。次に、エンボス加工機により、この単一シートにエンボス加工を施し、エンボス面積率が14.0%又は12.0%、エンボスエッジ率が0.42mm/mm2又は0.53mm/mm2となるようにエンボス凸部を形成した。
[厚さ]
ペーパータオルの厚さはシックネスゲージ(尾崎製作所製、ダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料(ペーパータオル10枚)を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。測定は10回繰り返して得られた数値を平均した。
ペーパータオルのタブ強度はテンシロン万能試験機を用いて測定した。測定手順は、以下のとおりとした。ロールの中巻きまでシートを取り除いた後、ロールより連続9シートを採取し、タブが連続6ヶ所(2シート+2シート+2シート+1シート除去+2シート+2シート+2シート)とれるように3インチの型刃で打ち抜いた。作成した試料はテンシロン万能試験機にセットし、200mm/minのスピードで引張り、ミシン目から破断するまで引張強度を測定した。6回測定し、平均値を算出した。
2 ベース部
20 ロール体
4a,4b 支持棒
6 移動錘乗せ板
8 錘
Claims (2)
- 坪量が19.0g/m2以上25.0g/m2以下であり、叩解処理したパルプ繊維に乾燥紙力増強剤及び湿潤紙力増強剤を添加し、抄紙して得られる単一シートを2枚積層したペーパータオルのロール体であって、
前記ペーパータオルの吸水性TWAが170g/m2以上220g/m2以下であり、
単一シートを2枚積層したペーパータオルの一方の表面がエンボス凸部を有し、他方の表面に前記エンボス凸部の裏面で構成されるエンボス凹部を有し、前記エンボス凸部及び前記エンボス凹部を形成するエンボス加工のエンボス面積率が10%以上25%以下、エンボスエッジ率が0.3mm/mm 2 以上0.6mm/mm 2 以下であり、
巻長が20m以上40m以下であり、
巻き硬さが10.0mm未満であるペーパータオルのロール体。 - 前記ペーパータオルの乾燥時の縦方向引張り強さDMDと乾燥時の横方向引張り強さDCDの幾何平均GMTが、11.0N/25mm以上22.0N/25mm以下である、
請求項1に記載のペーパータオルのロール体。
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