しかしながら、このような椅子では、椅子全体が前側に傾動する際に、使用者は上半身が下方に倒れる感覚に襲われ、使用者に不安感を抱かせるという問題があった。
本発明の目的は、着座姿勢からの立ち上がりを容易にすることができる椅子を提供することである。
本発明の他の目的は、パーキンソン病患者などが安心して使用することができる椅子を提供することである。
本発明の請求項1に記載の椅子は、椅子本体と、前記椅子本体を支持するベース部材と、を備え、前記椅子本体は、座部と、前記座部を支持する左右一対の支持部材と、を備え、前記左右一対の支持部材の各々は下端面を有し、前記下端面は、水平方向に直線状に延びる後下端面と、前方に向けて上方に直線状に傾斜して延びる前下端面と、前記後下端面と前記前下端面の間に位置する湾曲面と、を有し、前記椅子本体は、前記後下端面が前記ベース部材の支持面に当接する通常使用状態と、前記前下端面が前記支持面に当接すると共に前記座部が前方に向けて下方に傾斜する立上り使用状態との間を移動可能に構成され、前記湾曲面と前記支持面の少なくとも何れか一方には滑り止め手段が設けられ、前記椅子本体が前記通常使用状態から前記立上り使用状態へ移行する際には、前記湾曲面が前記支持面に対して転がり接触すると共に、前記湾曲面の曲率中心位置が所定距離だけ水平移動することを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の椅子は、前記椅子本体が前記通常使用状態から前記立上り使用状態へ移行する際における前記所定距離は1.0cm〜10.0cmであることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の椅子は、前記左右一対の支持部材と前記ベース部材とを連結する連結手段を更に備え、前記左右一対の支持部材は、左支持部材と右支持部材とを備え、前記連結手段は、前記ベース部材に固定された左固定部材及び右固定部材と、左支持部材に取り付けられた左軸部材と、右支持部材に取り付けられた右軸部材と、を備え、前記左固定部材には前後方向に延びる左長孔が設けられ、前記右固定部材には前後方向に延びる右長孔が設けられ、前記左軸部材は、前記左固定部材に設けられた前記左長孔に遊嵌されると共に、前記左支持部材の前記曲率中心位置に取り付けられ、前記右軸部材は、前記右固定部材に設けられた前記右長孔に遊嵌されると共に、前記右支持部材の前記曲率中心位置に取り付けられていること特徴とする。
本発明の請求項4に記載の椅子は、椅子本体と、前記椅子本体を支持するベース部材と、前記ベース部材に配設された車輪手段と、を備え、前記椅子本体は、座部と、前記座部を支持する左右一対の支持部材と、を備え、前記左右一対の支持部材の各々は下端面を有し、前記下端面は、水平方向に直線状に延びる後下端面と、前方に向けて上方に直線状に傾斜して延びる前下端面と、前記後下端面と前記前下端面の間に位置する湾曲面と、を有し、 前記椅子本体は、前記後下端面が前記ベース部材の支持面に当接する通常使用状態と、前記前下端面が前記支持面に当接すると共に前記座部が前方に向けて下方に傾斜する立上り使用状態との間を移動可能に構成され、前記椅子本体が前記通常使用状態から前記立上り使用状態へ移行する際には、前記湾曲面が前記支持面に対して転がり接触することを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の椅子は、ブレーキ手段を更に備え、前記車輪手段は、前記ベース部材の前部に配設される左右一対の前キャスタと、前記ベース部材の後前部に配設される左右一対の後キャスタと、前記ベース部材の前後方向略中央部に配設される左右一対の中間キャスタとを備え、前記ブレーキ手段は、前記左右一対の中間キャスタに関連して設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の椅子は、前記ブレーキ手段は、前記左右一対の中間キャスタに当接して前記左右一対の中間キャスタの回転を阻止するブレーキ作動位置と、前記左右一対の中間キャスタから離隔して前記左右一対の中間キャスタの回転を可能とするブレーキ解除位置との間を移動可能であると共に、付勢手段によって前記ブレーキ作動位置へ付勢され、前記椅子本体には更に押圧部材が設けられ、前記椅子本体が前記通常使用状態にあるとき、前記押圧部材は前記ブレーキ手段を押圧し、前記付勢手段の付勢力に抗して前記ブレーキ手段を前記ブレーキ解除位置に維持し、前記椅子本体が前記通常使用状態から前記立上り使用状態へ移行すると、前記押圧部材による前記ブレーキ手段への押圧が解除され、前記ブレーキ手段は前記付勢手段の付勢力により前記ブレーキ作動位置へ移動することを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の椅子は、椅子本体と、前記椅子本体を支持するベース部材と、前記椅子本体と前記ベース部材とを連結する連結部材と、を備え、前記椅子本体は、座部と、前記座部を支持する左右一対の支持部材と、を備え、前記左右一対の支持部材の各々は下端面を有し、前記下端面は、水平方向に直線状に延びる後下端面と、前方に向けて上方に直線状に傾斜して延びる前下端面と、前記後下端面と前記前下端面の間に位置する湾曲面と、を有し、前記椅子本体は、前記後下端面が前記ベース部材の支持面に当接する通常使用状態と、前記前下端面が前記支持面に当接すると共に前記座部が前方に向けて下方に傾斜する立上り使用状態との間を移動可能に構成され、前記椅子本体が前記通常使用状態から前記立上り使用状態へ移行する際には、前記湾曲面が前記支持面に対して転がり接触すると共に、前記湾曲面の曲率中心位置が所定距離だけ水平移動し、前記左右一対の支持部材は、左支持部材と右支持部材とを備え、前記連結手段は、前記ベース部材に固定された左固定部材及び右固定部材と、前記左支持部材に取り付けられた左軸部材と、前記右支持部材に取り付けられた右軸部材と、を備え、前記左固定部材には前後方向に延びる左長孔が設けられ、前記右固定部材には前後方向に延びる右長孔が設けられ、前記左軸部材は、前記左固定部材に設けられた前記左長孔に遊嵌されると共に、前記左支持部材の前記曲率中心位置に取り付けられ、前記右軸部材は、前記右固定部材に設けられた前記右長孔に遊嵌されると共に、前記右支持部材の前記曲率中心位置に取り付けられていること特徴とする。
本発明の請求項8に記載の椅子は、前記左右一対の支持部材の上端部には左右一対の肘掛け部が設けられ、前記左右一対の肘掛け部は前後方向に位置調整可能とされていることを特徴とする。
本発明の請求項1に記載の椅子によれば、座部に着座した使用者が上半身を前側に倒すと、椅子本体は通常使用状態から立上り使用状態へ移行するので、使用者は、前下端面が支持面に当接して得られる反動を利用して容易に立ち上がることができ、例えばパーキンソン病患者であっても容易に立ち上がることができる。また、椅子本体が通常使用状態から立上り使用状態へ移行する際には、湾曲面が支持面に対して転がり接触し、湾曲面の曲率中心位置が所定距離だけ水平移動するので、座部は前方向に移動した後に緩やかに下降するようになり、使用者は前方に放り出されるような恐怖感を抱くことなく、安心して起立動作を行うことができる。更に、湾曲面と支持面の少なくとも何れか一方には滑り止め手段が設けられているため、湾曲面が支持面に対してスリップして椅子全体が前方へ急激に倒れ込むのを防止できる。
また、本発明の請求項2に記載の椅子によれば、椅子本体が通常使用状態から立上り使用状態へ移行する際には、湾曲面の曲率中心位置が1.0cm〜10.0cmの範囲で水平移動するので、使用者は前方に放り出されるような恐怖感を抱くことなく、安心して起立動作を行うことができる。
また、本発明の請求項3に記載の椅子によれば、左軸部材は左固定部材に設けられた左長孔に遊嵌されると共に左支持部材の曲率中心位置に取り付けられ、右軸部材は右固定部材に設けられた右長孔に遊嵌されると共に右支持部材の曲率中心位置に取り付けられるので、椅子本体とベース部材間における位置ずれ防止しつつ、椅子本体の通常使用状態から立上り使用状態への移行を可能にできる。
また、本発明の請求項4に記載の椅子は、座部に着座した使用者が上半身を前側に倒すと、椅子本体は通常使用状態から立上り使用状態へ移行するので、使用者は、前下端面が支持面に当接して得られる反動を利用して容易に立ち上がることができ、例えばパーキンソン病患者であっても容易に立ち上がることができる。また、椅子本体が通常使用状態から立上り使用状態へ移行する際には、湾曲面が支持面に対して転がり接触するので、使用者は前方に放り出されるような恐怖感を抱くことなく、安心して起立動作を行うことができる。更に、ベース部材には車輪手段が設けられているので、使用者は座部に着座した状態のまま、足で床面を蹴りながら移動することができる。
また、本発明の請求項5に記載の椅子にはブレーキ手段が設けられているので、椅子が不用意に移動するのを防止できる。
また、本発明の請求項6に記載の椅子では、椅子本体が通常使用状態にあるときは、ブレーキ手段はブレーキ解除位置に維持されて、中間キャスタに対するブレーキが解除され、椅子本体が通常使用状態から立上り使用状態へ移行すると、ブレーキ手段はブレーキ作動位置へ移動し、中間キャスタに対するブレーキが作動する。よって、椅子本体が通常使用状態から立上り使用状態へ移行すると、自動的に中間キャスタにブレーキがかかるため、使用者が立ち上がる際に椅子が移動してしまうのを防止でき、使用者の安全を確保できる。
また、本発明の請求項7に記載の椅子によれば、左軸部材は左固定部材に設けられた左長孔に遊嵌されると共に左支持部材の曲率中心位置に取り付けられ、右軸部材は右固定部材に設けられた右長孔に遊嵌されると共に右支持部材の曲率中心位置に取り付けられるので、椅子本体とベース部材間における位置ずれ防止しつつ、椅子本体の通常使用状態から立上り使用状態への移行を可能にできる。
また、本発明の請求項8に記載の椅子では、肘掛け部は前後方向に位置調整可能とされているため、通常は肘掛け部を後方へずらしておくことで、肘掛け部が例えば机等に支えて邪魔になるのを防止でき、立ち上がる際には肘掛け部を前方へずらすことで、上半身よりも前方の位置で肘掛け部に手を置くことができ、立ち上がり動作をより容易に行うことができる。
[第1実施形態]
以下、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る椅子について説明する。図1〜図3を参照して、図示の椅子1は、椅子本体2と、椅子本体2を支持するベース部材3とを備え、椅子本体2は、使用者が着座する実質平板状の座部21と、座部21を支持する左右一対の支持部材22(左支持部材22L、右支持部材22R)と、左右一対の支持部材22により支持される背もたれ部23とを備える。図1に示す例では、座部21の上にクッション24が載置されている。左右一対の支持部材22の各々は、ベース部材3の支持面(上面)31に支持される下支持部材25と、下支持部材25に連結された上支持部材26から構成され、下支持部材25に対する上支持部材26の連結位置を調整することにより、支持部材22全体の高さを調整可能に構成されている。
図4に示す様に、各支持部材22(下支持部材25)の下端面は、水平方向に直線状に延びる後下端面25aと、前方に向けて上方に直線状に傾斜して延びる前下端面25bと、後下端面25aと前下端面25bの間に位置する湾曲面25cと、を有する。換言すると、後下端面25aは、座部21の座面と実質平行に延び、前下端面25bは座部21の座面或いは後下端面25aに対して前方斜め上方に向かって角度αで傾斜している。かかる構成により、椅子本体2は、図5に実線で示す通常使用状態と、図5に点線で示す立上がり使用状態との間を移動可能とされている。通常使用状態においては、後下端面25aがベース部材3の支持面31に当接し、座部21の座面は実質水平とされる。一方、立上り使用状態においては、前下端面25bがベース部材3の支持面31に当接し、座部21を含む椅子本体2全体が前方に向けて下方に傾斜する。なお、通常使用状態から立上り使用状態へ移行する際には、湾曲面25cが支持面31に対して転がり接触する。詳細は後述する。
ベース部材3は平板部材からなり、本実施形態においては、平面視略A字形状に形成されている。また、各支持部材22の湾曲面25cとベース部材3の支持面31との当接箇所には滑り止め手段が設けられている。本実施形態における滑り止め手段は、相互に歯合するカム部材27a,27bから構成されており、一方のカム部材27aは、図2に示す様に、ベース部材3の支持面31であって各支持部材22の湾曲面25cと当接する箇所に設けられ、他方のカム部材27bは、図4に示す様に、各支持部材22の湾曲面25cに設けられている。これにより、湾曲面25cが支持面31に対して転がり接触する際に、湾曲面25cが支持面31に対して空転することが防止される。
なお、本実施形態においては滑り止め手段としてカム部材27a,27bを用いたが、本発明は係る構成に限定されず、例えば滑り止め手段としてゴム部材を用いることもできる。この場合には、ベース部材3の支持面31と各支持部材22の湾曲面25cの少なくとも何れか一方にゴム部材を設ければよい。
図1〜図3を参照して、椅子1は更に左右一対の支持部材22とベース部材3とを連結する連結手段4を備える。連結手段4は、ベース部材3に固定された左右一対の固定部材41(左固定部材41L、右固定部材41R)と、左支持部材22Lに固定された左軸部材42Lと、右支持部材22Rに固定された右軸部材42Rと、を備える。左固定部材41Lは左支持部材22Lの内側(右側)に配置され、右固定部材41Rは右支持部材22Rの内側(左側)に配置されている。図6及び図7をも参照して、右固定部材41Rには前後方向に延びる右長孔43が設けられており、右軸部材42Rはこの右長孔43に対して抜け不能に遊嵌されると共に、右支持部材22Rの湾曲面25cの曲率中心位置に取り付けられている。同様に、左固定部材41Lには前後方向に延びる左長孔(図示せず)が設けられ、左軸部材42Lはこの左長孔に抜け不能に遊嵌されると共に、左支持部材22Lの湾曲面25cの曲率中心位置に取り付けられている。
より具体的に、右固定部材41Rは、ベース部材3に固定された断面下向コ字形状を有するメイン固定部材44と、メイン固定部材44の上面44aに固定された軸連結部材45とを有する。軸連結部材45は、メイン固定部材44の上面44aに固定されたベース部45aと、ベース部45aから上方に起立する立ち上がり部45bとを有し、全体的に断面略L字状に形成され、上述した右長孔43は立ち上がり部45bに形成されている。また、メイン固定部材44の後方下端部には、下方に延出する一対の延出部47が一体に形成されている。更に、右固定部材41Rに対応してベース部材3には右開口部(図示せず)が形成され、右固定部材41Rは、その下方部位がこの左開口部に挿通されるようにしてベース部材3に固定されている。左固定部材41Lも右固定部材41Rと実質同一に構成され、その下方部位がベース部材3に形成された左開口部(図示せず)に挿通されるようにしてベース部材3に固定されている。
椅子1は更に、ベース部材3に設けられた車輪手段と、車輪手段に関連して設けられたブレーキ機構とを備える。図1及び図2を参照して、本実施形態における車輪手段は、ベース部材3の前部両側に配設された左右一対の前補助キャスタ5aと、ベース部材3の後部両側に配設された左右一対の後補助キャスタ5bと、ベース部材3の前後方向略中央部の両側に配設された左右一対のメインキャスタ(中間キャスタ)5cとを備える。前補助キャスタ5a及び後補助キャスタ5bは自在キャスタから構成されている。一方、メインキャスタ5cは固定キャスタから構成され、前補助キャスタ5a及び後補助キャスタ5bよりも大径に構成されている。
ブレーキ機構は、左右一対のメインキャスタ5cに関連して設けられ、手動ブレーキ機構6と自動ブレーキ機構7とを有する。手動ブレーキ機構6は、使用者がブレーキレバー6aを操作することによりメインキャスタ5cの回転を阻止するものであり、自動ブレーキ機構7は、椅子本体2が立上り使用状態になるとメインキャスタ5cの回転を阻止するものである。
図3を参照して、手動ブレーキ機構6は、ブレーキレバー61と、右ナックル機構62Rと、左ナックル機構62Lと、右ナックル機構62Rと左ナックル機構62Lとを連結する連結軸S4と、を有し、右ナックル機構62Rは右固定部材41Rに収容され、左ナックル機構62Lは左固定部材41Lに収容されている。右ナックル機構62Rと左ナックル機構62Lは実質同一の構成を有するため、ここでは右ナックル機構62Rについて詳述する。
図8を参照して、右ナックル機構62Rは、回動軸S1を介して右固定部材41Rに支持された前ナックル63と、前ナックル63に第1ヒンジ軸S2を介して連結された後ナックル65と、後ナックル66に第2ヒンジ軸S3を介して連結されたブレーキアーム67とを備え、ブレーキアーム67は連結軸S4に相対移動不能に固定されている。前ナックル63にはブレーキレバー61の下端が固定されており、このブレーキレバー61は前ナックル63から右固定部材41Rに形成された開口部44b(図6)を介して上方に延びた後にクランク状に屈曲され、右支持部材22Rに設けられた貫通孔28を介して右支持部材22Rの外側へ延出している。使用者がブレーキレバー61を前方へ操作すると、前ナックル63は回動軸S1を中心に図8において時計回りに回動し、後ナックル65は第1ヒンジ軸S2を中心に図8において反時計回りに回動し、ブレーキアーム67は連結軸S4の軸心を中心に図8において反時計回りに回動する。その結果、図9に示す様にブレーキアーム67に装着されたブレーキパッド69が右メインキャスタ5cから離隔し、右メインキャスタ5cへのブレーキが解除される。
このようにブレーキが解除された状態で使用者がブレーキレバー61を後方へ操作すると、前ナックル63は回動軸S1を中心に図10において反時計回りに回動し、後ナックル65は第1ヒンジ軸S2を中心に図9において時計回りに回動し、ブレーキアーム67は連結軸S4の軸心を中心に図9において時計回りに回動する。その結果、回動軸S1、第1ヒンジ軸S2、及び第2ヒンジ軸S3が同一直線上に並ぶと共に、ブレーキアーム67に装着されたブレーキパッド69が右メインキャスタ5cに押圧されて、右メインキャスタ5cへのブレーキが作動する。
ここで、右ナックル機構62Rのブレーキアーム67は連結軸S4に対して相対移動不能に固定されると共に、この連結軸S4に対して左ナックル機構62Lのブレーキアーム67(図3参照)も相対移動不能に固定されていることから、使用者がブレーキレバー61を上述の様に操作すると、これによって生じる右側のブレーキアーム67の回動が連結軸S4を介して左ナックル機構62Lにも伝達され、右ナックル機構62Rと同期して左メインキャスタ5cに対するブレーキの作動及び解除が行われる。
次に、図10を参照して自動ブレーキ機構7について説明する。自動ブレーキ機構7は、左右のメインキャスタ5cの各々に対して設けられており、左右それぞれ同一の構成を有するため、ここでは右メインキャスタ5cに対する自動ブレーキ機構7についてのみ説明する。この自動ブレーキ機構7は、メインキャスタ5cの後方に配設された自動ブレーキアーム(ブレーキ手段)71と、この自動ブレーキアーム71を付勢する付勢手段72と、右支持部材22Rの後部内面(左面)に固定された押圧部材73と、を備える。自動ブレーキアーム71は回動軸S5を介して右固定部材41Rの延出部47(図6)に回動可能に支持され、メインキャスタ5cに対向する対向面にはブレーキパッド74が装着されている。付勢手段72は、例えばコイルばねから構成され、自動ブレーキアーム71と右固定部材41Rの間に掛け渡されて、自動ブレーキアーム71を回動軸S5を中心に図中時計回りに付勢する。
かかる構成において、椅子本体2が、図10(b)に示す立上り使用状態から図10(a)に示す通常使用状態へ移行すると、押圧部材73により自動ブレーキアーム71の後端部が下方に押し下げられ、その結果、自動ブレーキアーム71は、付勢手段72の付勢力に抗して図中反時計回りに回動し、これによってブレーキパッド74がメインキャスタ5cから離隔し、メインキャスタ5cに対するブレーキが解除される(ブレーキ解除位置)。一方、椅子本体2が、図10(a)に示す通常使用状態から図10(b)に示す立上り使用状態へ移行すると、押圧部材73による自動ブレーキアーム71への押圧が解除され、ブレーキアーム71は付勢手段72の付勢力により時計回りに回動し、ブレーキパッド74がメインキャスタ5cに押圧されて、メインキャスタ5cに対するブレーキが作用する(ブレーキ作動位置)。
図1及び図3を参照して、椅子1は更に、椅子本体2を通常使用状態に維持するためのロック手段8を備える。ロック手段8は、操作レバー81と、操作レバー81に連結された操作ワイヤ82と、操作ワイヤ82の先端が接続された右ナックル機構83Rと、左ナックル機構83Lと、右ナックル機構83Rと左ナックル機構83Lとを連結する連結軸S6と、を備える。右ナックル機構83R及び左ナックル機構83Lは実質同一の構成を有するため、ここでは右ナックル機構83Rについてのみ詳述する。
図8を参照して、右ナックル機構83Rは、連結軸S6に相対移動不能に固定された上ナックル84と、上ナックル84にヒンジ軸S7を介して連結された下ナックル85と、下ナックル85を回動軸S8を中心に図中時計回りに付勢する付勢手段86と、を備える。操作ワイヤ82のインナーワイヤ82aの先端は、右ナックル機構83Rの上ナックル84に接続されている。操作レバー81の下端は図示しない連結部材を介して操作ワイヤ82のインナーワイヤ82aの基端に連結されており、操作レバー81を下方に操作すると、操作ワイヤ82のインナーワイヤ82aが基端側へ引っ張られるように構成されている。連結部材の構成は公知であるので詳細な説明は省略する。回動軸S8の両端部は、右固定手段41Rに形成された一対の開口部44cに抜け不能に支持され、下ナックル85は右固定手段41Rに形成された開口部44d(図6)を介して右固定手段41Rの上方に延出している。本実施形態における付勢手段86は、例えばコイルばねから構成されており、右固定部材41Rの前端上部と下ナックル85との間に掛け渡されている。
この状態において、使用者が操作レバー81を下方に操作すると、操作ワイヤ82のインナーワイヤ82aが基端側へ引っ張られ、これにより右ナックル機構83Rの上ナックル84が付勢手段86の付勢力に抗して連結軸S6の軸心を中心に連結軸S6と共に図中時計回りに回動する。これに伴い右ナックル機構83Rの下ナックル85が回動軸S8を中心に図中反時計回りに回動し、図11に示す状態となる。一方、図11に示す状態で、使用者が操作レバー81から手を離すと、付勢手段86により下ナックル85が回動軸S8を中心に図中時計回りに回動し、これに伴い上ナックル84が連結軸S6を中心に図中反時計回りに回動し、図8の状態に戻り、連結軸S6、ヒンジ軸S7、回動軸S8が垂直方向に一列に配列される。連結軸S6、ヒンジ軸S7、回動軸S8が垂直方向に一列に配列された図8の状態においては、連結軸S6の下方への移動が阻止され、これにより椅子本体2は図8に示す通常使用状態から立上り使用状態へ移行することができず、椅子本体2は通常使用状態に維持される。一方、図11に示す様に、ヒンジ軸S7が連結軸S6及び回動軸S8を通る垂直線から偏倚した状態においては、連結軸S6の下方への移動が可能となり、これにより椅子本体2の通常使用状態から立上り使用状態への移行が可能とされる。
右ナックル機構83Rの上ナックル84と左ナックル機構83Lの上ナックル84は、共に連結軸S6に相対移動不能に固定されているため、使用者が操作レバー81を上述の様に操作すると、これによって生じる右側の上ナックル84の回動が連結軸S6を介して左ナックル機構83Lに伝達され、右ナックル機構83Rと同期して左ナックル機構83Lによっても椅子本体2の立上り使用状態への移行に対する規制/規制解除が行われる。
図1を参照して、左右一対の支持部材22の上端部には、左右一対の肘掛け部9が設けられ、これら左右一対の肘掛け部9は、前後方向に位置調整可能とされている。より具体的に、図12を参照して、各支持部材22の上端部には前後方向に延長されたガイド部材91が固定されており、このガイド部材91の外面には複数の係合凹部91aが形成されている。一方、各肘掛け部9の下面には凹部92が形成され、肘掛け部9は凹部92の内面両側に固定された複数対(図12には一対のみ示す)の被ガイド部材93を介してガイド部材91にスライド可能に支持されている。また、凹部92にはロックレバー94が回動軸S9を中心に回動可能に配設されており、このロックレバー94は付勢手段95によって図12において反時計回りに付勢されている。ロックレバー94の前方外方部位は肘掛け部9の外側板96に設けられた開口部96aに挿通されて操作部94aとして機能し、ロックレバー94の後端部には下方に延出するロックピン97が設けられている。
かかる構成において、図12(a)の状態においては、ロックレバー94のロックピン97がガイド部材91の係合凹部91aと係合し、これによって肘掛け部9の前後方向への移動が規制される。これに対し、使用者がロックレバー94の操作部94aを内方に押し込むと、図12(b)に示す様にロックレバー94は付勢手段95の付勢力に抗して図中時計回りに回動し、ロックピン97と係合凹部91aとの係合が解かれ、肘掛け部9の前後方向への移動が可能となる。この状態で肘掛け部9を後方にスライドさせ、所定位置にて使用者がロックレバー94の操作部94aから手を離すと、ロックレバー94は付勢手段95の付勢力によって図中反時計回りに回動し、図12(c)に示す様にロックピン97は係合凹部91aと係合し、再び肘掛け部9の前後方向への移動が規制される。
このように、使用者はロックレバー94の操作部94aを内方に押し込んだ状態で所望の位置まで肘掛け部9を前後移動させ、操作部94aから手を離してロックピン97と係合凹部91aとを係合させることで、肘掛け部9を前後方向へ位置調整させることができる。よって、例えば机に向かって作業等をする際には、肘掛け部9が前方位置にあると、肘掛け部9が机に支えて上半身と机との距離が空きすぎて作業がしづらいという問題が生じるが、この場合には肘掛け部9を後方位置へずらすことで、上半身と机との距離を適正位置まで近づけることができる。一方、後述するように椅子1から立ち上がる際には、肘掛け部9を前方位置へずらすことで、上半身よりも前方の位置で肘掛け部9に手を置くことができ、起立動作をより容易に行うことができる。また、本実施形態においては、各肘掛け部9の上面前方部位に手摺り98が設けられており、使用者が手摺り98に手をかけることで、使用者は更に容易に立ち上がることができる。
なお、図12にはガイド部材91の外面に3つの係合凹部91aが形成された例を示したが、ガイド部材91には、肘掛け部9の前方位置と後方位置に対応させて少なくとも2つの係合凹部91a(図12(a)における最も右側の係合凹部91a及び最も左側の係合凹部91a)が形成されていれば良く、これら2つの係合凹部91aの間の任意の位置に、必要に応じて1又は複数の係合凹部91aを形成するようにすれば良い。
次に、このように構成された椅子1を用いた立上り動作(起立動作)について説明する。本実施形態に係る椅子1を用いると、使用者の身体の状態等によって複数通りの起立動作を採ることができ、これら複数の起立動作について順に説明する。まず始めに、基本的な起立動作について説明する。
椅子本体2の座部21に着座するときには、例えば、前を向いた状態で椅子1の前方に位置し(このとき、椅子本体2は自重によって通常使用状態に保持されている)、肘掛け部9を左右の手でもって体を支え、このような状態で腰を座部21に載せるようにゆっくり下げればよく、例えばパーキンソン病患者、足腰の弱い高齢者などであっても安心して座部21に着座することができる。また、椅子本体2をロック手段8により通常使用状態に維持しておけば、椅子本体2が誤って立上り使用状態に移行することがなく、使用者はより安心して着座することができる。
このような着座状態から立ち上がるには、肘掛け部9を最前位置へ移動させ、操作レバー81を操作してロック手段8を解除する。両足を床面に接地させた状態で、上半身を前に傾けて立ち上がる姿勢を取る。すると、椅子本体2は湾曲面25cで支持面31上を転がりながら前進し、これにより湾曲面25cの曲率半径中心に取り付けられた左右の軸部材42R及び42Lが右長孔43(図6)及び左長孔(図示せず)に沿って前方へ所定距離L(図5)だけ水平移動しつつ、椅子本体2全体が前方に傾動し、これに伴い使用者の上半身も前方へ傾動する。このとき、椅子本体2は湾曲面5cの曲率半径中心を中心として前方へ傾動するが、この曲率半径中心(即ち椅子本体2の傾動中心)が前方へ水平移動するため、使用者の上半身は緩やかなカーブを描きながら前方へゆっくりと移動しながら傾動することとなり、使用者は上半身が下方に倒れ込む感覚に襲われることなく安心して身体を任せることができる。また、滑り止め手段が設けられていることから、湾曲面25cがスリップして椅子全体2が前方へ急激に倒れ込むこともない。
このように椅子本体2が前方へ転がりながら傾動すると、支持部材22の前下端面25bがベース部材3の支持面31に当接し、椅子本体2は立上り状態となる。そして、使用者は、前下端面25bがベース部材3の支持面31に当接するタイミングに合わせて肘掛け部9を後方に押し出すようにする。すると、使用者は、支持部材22の前下端面25bが支持面31に当接して得られる反動と、肘掛け部9を押し出すことにより得られる反動とを利用して、容易に立ち上がることができる。また、前述したように、椅子本体2が立上り使用状態になるのとほぼ同時にメインキャスタ5cに対して自動ブレーキ手段が作動するので、使用者が肘掛け部9を後方に押し出すようにして立ち上がる際に車輪手段が回転して椅子1全体が後方に移動することが阻止され、使用者は安全且つ安心して立ち上がることができる。また、肘掛け部9も、ロックピン97と係合凹部91aとの係合により、前後方向へのスライドが規制されるため、使用者が肘掛け部9を後方に押し出すようにして立ち上がる際に肘掛け部9が後方へスライドするのが確実に防止され、よって使用者は安全に起立動作を行うことができる。
ここで、椅子本体2を通常使用状態から立上り使用状態へ移行する際における右軸部材42R及び左軸部材42Lの水平方向への移動距離Lは、1.0cm〜10.0cmであるのが好ましく、1.5cm〜5.0cmであるのが更に好ましく、1.5cm〜2.5cmであるのが最も好ましいしい。移動距離Lの値が大きすぎると、通常使用状態と立上り使用状態とで高低差が大きくなりすぎ、また移動距離Lの値が小さすぎると、使用者は下方へ倒れ込む感覚に襲われ恐怖感を抱くおそれが生じるためである。また、後下端面25aに対する前下端面25bの角度α、即ち立上り使用状態における座部21の床面に対する傾斜角度は、使用者の関節モーメント±10度であるのが好ましく、具体的には10度〜18度、より好ましくは12度〜16度であるのが好ましい。角度αが10度より小さくなると、立上り使用状態における椅子本体2の前方への傾斜角度(座部21の下方への傾斜角度)が小さくなり、椅子1を用いた立上り容易性の効果があまり期待できず、また角度αが18度より大きくなると、立上り使用状態における椅子本体2の前方への傾斜角度が大きくなり、立上り使用状態において使用者が前に大きく傾くようになり、この立上り使用状態における使用者の姿勢が不安定になるためである。なお、湾曲面25cが支持面31に対して転がり接触する際に右軸部材42R及び左軸部材42Lが水平移動することから、湾曲面25cは単曲線を形成するものであることは言うまでもない。
このように、本実施形態によれば、例えばパーキンソン病患者や、足腰の弱い高齢者であっても、椅子1を用いることにより、容易にかつ安心して立ち上がることができる。
上述した基本的な起立動作では、椅子本体2が通常使用状態から立上り使用状態に移行したタイミングで起立したが、このタイミングを上手く図れずに基本的な起立動作による立上りに失敗した場合には、次の何れかの方法で立ち上がることができる。
即ち、第1の方法では、椅子本体2を立上り使用状態に維持した状態で、使用者は肘掛け部9の前端にかけていた手を後方にずらし、上半身の中心軸の延長線上或いは延長線よりやや後方の位置に手をかける。この状態で肘掛け部9を後方に押し出すようにすると、肘掛け部9を押し出すことにより得られる反動を利用して、容易に立ち上がることができる。即ち、肘掛け部9の前端に手をかけた状態では、手が上半身の中心軸よりも前方に位置することになるため、この状態で肘掛け部9を後方に押し出そうとしても、十分な反動を得ることができず、この状態での起立動作は困難となる。これに対し、手の位置を後方にずらすことにより、自然に前倒姿勢を取ることができると共に、比較的容易に十分な反動を得ることができ、容易に立ち上がることができる。
第2の方法では、椅子本体2を数回揺動させた後に起立動作を行う。この方法は、主にパーキンソン病患者に有効な方法であって、椅子本体2を数回揺動させることにより脚を慣らしたのちに、上述した基本的な起立動作にて起立するものである。即ち、上半身を前後に揺らし、椅子本体2を湾曲面25cで転がすようにしながら前後に揺らす。パーキンソン病患者であれば、このような揺動を数回繰り返すことで脚を慣らすことができる。そして、脚が十分に慣れたら、上述した基本的な起立動作と同様に、前下端面25bが支持面31に当接したタイミングで起立することで、容易に立ち上がることができる。
このように、本実施形態における椅子1であれば、使用者は椅子1に着座した姿勢から容易に、且つ不安感を抱くことなく安心して立ち上がることができる。また、椅子1には車輪手段が設けられているため、使用者は椅子1に着座した状態で足で床面を蹴るようにすれば、椅子1に着座したまま容易に移動することができる。更に、メインキャスタ5cを支点にして椅子1全体を水平方向に回転移動させることができるため、椅子1の左右方向への方向転換を容易に行うことができる。
また、本実施携帯における椅子1によれば、自動ブレーキ機構7に加えて手動ブレーキ機構6が設けられているため、不用意に椅子1が移動してしまうのを防止できると共に、椅子本体2を通常使用状態に維持するためのロック機構8が設けられているため、椅子本体2が不用意に傾動して、使用者の意思と関係なく立上り使用状態へ移行してしまうのを防止でき、使用者は安心して椅子1を利用することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る椅子について説明する。なお、上述した第1実施形態にかかる椅子1と実質同一の部材については同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。
図13を参照して、本実施形態に係る椅子101は上述した椅子1と実質同一の構成を有するが、前補助キャスタ5bを覆う左右一対のキャスターカバー110(図13には右側のキャスターカバーのみ示す)が設けられている点で異なる。これら左右のキャスターカバー110は、左右対称に実質同一形状に構成されている。
図13及び図14を参照して、各キャスターカバー110は略C字状の横断面を有し、その開放部が外側を向くと共に内部に前補助キャスタ5bが収容されるようにベース部材3の下面に取り付けられ、その下面110aと床面Fとの間に若干の隙間が形成される高さ寸法に形成されている。かかる構成により、キャスターカバー110に収容された前補助キャスタ5bは、その前側、後側、及び内側がキャスターカバー110により覆われ、使用者の足等が誤って前補助キャスタ5bと床面Fとの間に挟まれるのが防止される。また、キャスターカバー110の内部に埃などが入り込んでも、車輪手段を用いて椅子を移動させるうちに、これらの埃はキャスターカバー110の外側に形成された開放部から外部に排出されるため、キャスターカバー110の内部に埃が溜まるのが防止される。
以上、本発明の実施形態に係る椅子について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
例えば、上記実施形態におけるロック手段は、左右のナックル機構を備えて構成されていたが、本発明は係る構成に限定されず、他の構成を有するロック手段を用いることもできる。例えば、図15に示すロック手段は、ベース部材3の支持面31の後方位置に載置固定された固定部材120と、回動軸S10を介して固定部材120に揺動自在に支持された揺動片121とを備え、揺動片121には略L字状の開口部121aが形成されている。この開口部121aには何れか一方の支持部材22の側面に固定された連結軸122が開口部121aに沿ってスライド自在且つ抜け不能に遊嵌されている。また、揺動片121は、図示しない付勢手段により回動軸S10を中心に図中反時計回りに付勢されている。かかる構成において、椅子本体2が通常使用状態にあるときには、連結軸122は開口部121aの後端部に収容されて、これにより連結軸122ひいては連結軸122が固定された支持部材22が揺動片121に対して上方へ移動するのが規制され、椅子本体2が通常使用状態に維持される。一方、使用者が操作レバー81を所定方向に操作すると、操作レバー81に連結された操作ワイヤ82によって揺動片121が図中反時計回りに揺動し、連結軸122は開口部121aの垂直部121bに沿って上下方向にスライド移動可能とされ、これにより連結軸122ひいては連結軸122が固定された支持部材22が揺動片121に対して上方へ移動するのが許容され、椅子本体2を通常使用状態から立上り使用状態へ移行させることができる。
また、座部21を高さ調整可能に構成してもよく、座部21を前後方向へ位置調節可能に構成しても良い。また、車輪手段は必ずしも設ける必要はなく、ベース部材3の下面を直接床面に載置させる構成としてもよい。