JP2015123051A - コンバイン - Google Patents

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Abstract

【課題】排気ガス浄化装置の表面温度の過剰な高温化を抑制するとともに、塵埃等の蓄積を低減させることで、排気ガス浄化装置のメンテナンス作業性を向上させることができるコンバインを提供すること。
【解決手段】
穀粒貯留部側に近接する脱穀部の他側縁上部は、穀粒貯留部側に下り傾斜状で前後方向に延伸する傾斜面部となして、傾斜面部の直上方に一定の間隔をあけて、前後方向に延伸させて形成した排気ガス浄化装置を配設した。
【選択図】図7

Description

本発明は、コンバイン、詳しくは排気ガス浄化装置を装備したコンバインに関する。
従来、コンバインの一形態として、特許文献1に開示されたものがある。すなわち、特許文献1には、機体の前方に刈取部を取り付け、機体に脱穀部と運転部と穀粒貯留部を配設して、刈取部により刈り取った穀稈の穀粒を脱穀部で脱穀し、脱穀部で脱穀された穀粒を穀粒貯留部に貯留するようにしたコンバインが開示されている。そして、運転部の下方に形成されたエンジンルーム内にはディーゼルエンジンを搭載し、ディーゼルエンジンの上面に排気ガス浄化装置であるディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、ディーゼル排気中の粒子状物質を除去するフィルタであるDiesel Particulate Filter を略した「DPF」ともいう。)を載置して、ディーゼルエンジンから排出された排気ガスをDPF中に通過させることで、排気ガスを浄化するようにしている。ここで、DPFはディーゼルエンジンから排出される排気ガス中の黒煙を主体とする粒子状物質(以下、「PM」ともいう。)等を捕集するものである。
特開2011−231618号公報
しかしながら、上記したコンバインでは、雰囲気温度の高いエンジンルーム内に搭載したディーゼルエンジンの上面にDPFを載置しているため、DPFの表面温度も高温になっている。しかも、ディーゼルエンジンの上面に載置されているDPFには、刈取部から脱穀部に搬送される穀稈から飛散する塵埃等が蓄積し易い上に、DPFの表面温度が高温化しているため、DPFのメンテナンス性が劣るという不具合がある。
そこで、本発明は、排気ガス浄化装置の表面温度の過剰な高温化を抑制するとともに、塵埃等の蓄積を低減させることで、排気ガス浄化装置のメンテナンス作業性を向上させることができるコンバインを提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、機体の前方に刈取部を取り付け、機体の一側方に脱穀部を配置する一方、機体の他側方に穀粒貯留部を配置して、脱穀部と穀粒貯留部を左右に隣接させて配置し、機体の前部にはディーゼルエンジンを配置して、ディーゼルエンジンの排気口部に排気管を接続するとともに、排気管の中途部には排気ガス浄化装置を設けたコンバインであって、穀粒貯留部側に近接する脱穀部の他側縁上部は、穀粒貯留部側に下り傾斜状で前後方向に延伸する傾斜面部となして、傾斜面部の直上方に一定の間隔をあけて、前後方向に延伸させて形成した排気ガス浄化装置を配設したことを特徴とする。
請求項1記載の発明では、穀粒貯留部側に近接する脱穀部の他側縁上部を、穀粒貯留部側に下り傾斜状で前後方向に延伸する傾斜面部となして、傾斜面部の直上方に一定の間隔をあけて、前後方向に延伸させて形成した排気ガス浄化装置を配設しているため、排気ガス浄化装置の周囲の前後方向への通気性を良好となすことができる。そのため、通気性が良好な漸次拡幅空間内に排気ガス浄化装置を配置することができる。その結果、機体の前部に配置したディーゼルエンジンから適度に離隔させることもできて、排気ガス浄化装置の表面温度の高温化を抑制することができる。また、排気ガス浄化装置をディーゼルエンジンから離隔させることで、エンジンルームの小型化も図ることができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明であって、穀粒貯留部は、後部側を枢支するとともに、前部側を外側方へ回動可能となして、穀粒貯留部から排気ガス浄化装置の上方へ向けて可動側係止体を突設する一方、脱穀部から排気ガス浄化装置の上方へ向けて固定側係止体を突設して、固定側係止体に可動側係止体を排気ガス浄化装置の上方において係止・離脱自在に係止し、固定側係止体に、刈取部や脱穀部等から排気ガス浄化装置側に飛散してくる塵埃等を遮蔽する遮蔽体を取り付けたことを特徴とする。
請求項2記載の発明では、排気ガス浄化装置の上方において、固定側係止体に可動側係止体を係止・離脱自在に係止しているため、両係止体を係止・離脱させる際には排気ガス浄化装置が支障とならず、両係止体の係止・離脱操作を堅実に行うことができる。また、脱穀部から排気ガス浄化装置の上方へ向けて突設した固定側係止体に遮蔽体を取り付けているため、遮蔽体取付部材を別個に設けることなく、固定側係止体に遮蔽体を堅実に支持させることができる。この際、遮蔽体は、刈取部や脱穀部等から排気ガス浄化装置側に飛散してくる塵埃等を遮蔽しているため、排気ガス浄化装置に塵埃等が滞留・蓄積されるのを防止することができる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明であって、遮蔽体は、排気ガス浄化装置の側方位置で、かつ、脱穀部の傾斜面部の上方位置に配置して、その下端縁部と傾斜面部との間に所定の間隔を保持させたことを特徴とする。
請求項3記載の発明では、排気ガス浄化装置の側方位置で、かつ、脱穀部の傾斜面部の上方位置に遮蔽体を配置しているため、刈取部や脱穀部等から排気ガス浄化装置側に飛散してくる塵埃等を遮蔽体により遮蔽することができる。この際、遮蔽体の下端縁部と傾斜面部との間に所定の間隔を保持させているため、脱穀部の傾斜面部上に落下した塵埃等の滑落に遮蔽体が支障とならない。そのため、傾斜面部上に塵埃等が滞留・蓄積されることがない。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の発明であって、遮蔽体の側面には、排気ガス浄化装置に取り付けたセンサのワイヤハーネスの中途部を支持させたことを特徴とする。
請求項4記載の発明では、遮蔽体の側面、つまり、排気ガス浄化装置に対面する側面に、排気ガス浄化装置に取り付けたセンサのワイヤハーネスの中途部を支持させているため、ワイヤハーネスを整然と配線することができるとともに、飛散してくる塵埃等がワイヤハーネスに付着するのを防止することができる。
本発明は次のような効果を奏する。すなわち、本発明によれば、排気ガス浄化装置の表面温度の高温化を抑制することができるとともに、塵埃等の蓄積を低減させることができて、排気ガス浄化装置のメンテナンス作業性を向上させることができる。
本実施形態としてのコンバインの左側面図。 本実施形態としてのコンバインの右側面図。 本実施形態としてのコンバインの平面図。 本実施形態としてのコンバインの正面図。 ディーゼルエンジンに接続した吸・排気配管部を示す右側面図。 ディーゼルエンジンに接続した吸・排気配管部を示す正面図。 脱穀部と穀粒貯留部の正面図。 図5のI-I線断面説明図。 排気ガス浄化装置の取付状態を示す斜視図。 排気ガス浄化装置の取付状態を示す平面図。 排気ガス浄化装置の取付状態を示す正面図。 排気ガス浄化装置の取付状態を示す背面図。 遮蔽体の右側面説明図。 固定側連結体と可動側連結体の連結状態を示す斜視図。 固定側連結体と可動側連結体の連結状態を示す拡大斜視図。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図4に示す1は本実施形態としてのコンバインであり、コンバイン1の全体構成について図1〜図4を参照しながら概略的に説明する。
[コンバイン1の全体構成の概略説明]
コンバイン1は、図1〜図4に示すように、左右一対のクローラ式の走行部2を有して前後方向に走行自在となした走行機体3を備えている。走行機体3の前方には、穀稈を刈取る4条刈り用の刈取部4を昇降自在に取り付けている。
走行機体3の前進方向に向かって左側の上部には、刈取部4により刈り取られた穀稈を脱穀する脱穀部5を配設している。走行機体3の左側下部には、脱穀部5により脱穀された穀粒を選別する選別部6を配設している。左側上下部に配設した脱穀部5及び選別部6の後方には、排藁を処理する排藁処理部7を配設している。
走行機体3の前進方向に向かって右側の前部には、キャビン内で各部を操作するようにした運転部8を配設している。走行機体3の右側後部には、選別部6により選別された穀粒(清粒)を貯留する穀粒貯留部9を配設している。そして、穀粒貯留部9は、走行機体3に後端部を上下方向に延伸する軸線を中心に回動自在に枢支しており、穀粒貯留部9の前部側を水平面上にて側方へ回動させることで、穀粒貯留部9を姿勢変更自在としている。つまり、穀粒貯留部9は、前方へ指向させた使用姿勢(収穫作業姿勢)と、前外方へ指向させた不使用姿勢(収穫非作業姿勢)との間で水平に回動させて姿勢変更自在としている。
走行機体3の右側後端部には、穀粒貯留部9に貯留された穀粒を外部へ搬出する搬出部10を配設している。搬出部10は、機体フレーム15から立ち上げて穀粒貯留部9の後端部と連通連設した縦オーガ11と、縦オーガ11の上端部に基端部を旋回自在に接続するとともに、前方へ伸延させて形成した横オ―ガ12とを具備している。縦オーガ11には穀粒貯留部9の後端部を上下方向に延伸する縦オーガ11の軸線を中心に回動自在に枢支・連結している。
運転部8の後半部の直下方には、図1〜図4に示すように、エンジンルーム20を形成しており、エンジンルーム20は、走行機体3の中央寄り位置まで(脱穀部5の右側前部近傍位置まで)張り出し状に形成している。エンジンルーム20内には、各部の駆動部を駆動するディーゼルエンジン21を搭載している。図5及び図6に示すように、ディーゼルエンジン21の吸気口部34には、外気を浄化した後に吸気するための吸気配管部23の基端部を接続する一方、ディーゼルエンジン21の排気口部43には、排気管としての排気配管部24の基端部を接続している。
吸気配管部23は、穀粒貯留部9の前上方に配置しており、プレクリーナ30と上流側吸気管31とエアクリーナ32と下流側吸気管33とを具備して、これらを順次直列的に連通連結している。下流側吸気管33はディーゼルエンジン21に設けた吸気口部34に接続している。そして、プレクリーナ30から外気を取り入れて、エアクリーナ32で外気を浄化した後に吸気口部34からディーゼルエンジン21に吸気するようにしている。
排気配管部24は、上流側排気管40と排気ガス浄化装置41と下流側排気管42とを具備して、これらを順次直列的に連通連結している。上流側排気管40はディーゼルエンジン21に設けた排気口部43に接続している。上流側排気管40の中途部には振動吸収用の蛇腹部48を形成している。そして、上流側排気管40は、ディーゼルエンジン21の排気口部43と排気ガス浄化装置41の下面前部とを最短距離で接続して、前後左右上下のいずれの方向からの振動も中途部に設けた蛇腹部48により吸収可能としている。また、上流側排気管40は、点対称に形成して、ディーゼルエンジン21の排気口部43と排気ガス浄化装置41の下面前部に、両端部を振り替えて接続可能としている。
上記のように構成したコンバイン1において、本実施形態は、排気ガス浄化装置41の配設構造に特徴を有しており、次に、排気ガス浄化装置41の配設構造について図7〜図15を参照しながら説明する。
[排気ガス浄化装置41の配設構造の説明]
穀粒貯留部9側に近接する脱穀部5の他側縁上部(本実施形態では右側縁上部)は、前半部を穀粒貯留部9側に下り傾斜状で前後方向に延伸する傾斜面部50となしている。傾斜面部50の上方における脱穀部5と穀粒貯留部9との間には、排気ガス浄化装置41を配設するための配設空間51を形成している。配設空間51は、前後方向に延伸させて形成して、配設空間51内に前後方向に延伸させて形成した排気ガス浄化装置41を収容可能としている。排気ガス浄化装置41は、傾斜面部50の直上方に一定の間隔D1をあけて配置しており、脱穀部5の傾斜面部50に、前部ステー52及び後部ステー53を介して排気ガス浄化装置41を支持させることで、排気ガス浄化装置41と傾斜面部50との間に一定の間隔D1を保持させている。ここで、穀粒貯留部9の天井面部57は、脱穀部5の天井面部56よりも高位置に配置しており、排気ガス浄化装置41は、脱穀部5の天井面部56の上面よりも高位置に位置する穀粒貯留部9の天井面部57の上面よりも下方位置に配置している。
走行機体3の前部に配置したディーゼルエンジン21の排気口部には、排気配管部24の上流側を形成する上流側排気管40(図5及び図6参照)を介して、排気ガス浄化装置41の周壁41aの前下部に設けた流入側接続部54を接続するとともに、排気ガス浄化装置41の後端壁41cに設けた流出側連通部55に、排気配管部24の下流側を形成する下流側排気管42の基端部を非接触状態で連通させている。下流側排気管42は、傾斜面部50に沿わせて後方へ向けて延伸させて、その先端部42aを後方へ向けて開口させている。
穀粒貯留部9は、走行機体3に後端部を枢支するとともに、前部側を外側方へ回動可能となしており、穀粒貯留部9の前壁97の上部には、排気ガス浄化装置41の上方へ向けて可動側係止体60を突設している。一方、脱穀部5から排気ガス浄化装置41の上方へ向けて固定側係止体61を突設している。排気ガス浄化装置41の上方において、固定側係止体61に可動側係止体60を係止・離脱自在に係止している。固定側係止体61には、刈取部4や脱穀部5等から排気ガス浄化装置41側に飛散してくる塵埃等を遮蔽する遮蔽体70と補助遮蔽体74を取り付けており、遮蔽体70は固定側係止体61から後方へ向けて延伸させて取り付ける一方、補助遮蔽体74は固定側係止体61から前方へ向けて突出させて取り付けている。
遮蔽体70は、排気ガス浄化装置41の左側方位置で、かつ、脱穀部5の傾斜面部50の上方位置に配置して、その下端縁部と傾斜面部50との間に所定の間隔D2を保持させている。遮蔽体70の内側面には、図13に示すように、支持体71を介してワイヤハーネス73の中途部を支持させており、ワイヤハーネス73は排気ガス浄化装置41に取り付けた温度センサ等(図示せず)に通電している。
上記のように排気ガス浄化装置41の配設構造を構成することで、次のような作用・効果が生起される。すなわち、穀粒貯留部9側に近接する脱穀部5の他側縁上部を、穀粒貯留部9側に下り傾斜状で前後方向に延伸する傾斜面部50となしているため、傾斜面部50上における前後方向への通気性を良好となすことができる。そのため、通気性が良好な傾斜面部50上に排気ガス浄化装置41を配置することができる。その結果、走行機体3の前部に配置したディーゼルエンジン21から適度に離隔させることもできて、排気ガス浄化装置41の表面温度の過剰な高温化を抑制することができるとともに、排気ガス浄化装置41のメンテナンス作業性を向上させることができる。また、傾斜面部50上に落下した塵埃等は、脱穀部5と穀粒貯留部9との間に滑落させることができるため、傾斜面部50上に配置した排気ガス浄化装置41の周囲における塵埃等の蓄積を低減させることができる。また、傾斜面部50上に排気ガス浄化装置41を配置しているため、走行機体3のコンパクト化を図ることができる。排気ガス浄化装置41をディーゼルエンジン21から離隔させて配置しているため、エンジンルーム20の小型化も図ることができる。
刈取部4で刈り取られた穀稈が脱穀部5に搬入される際に生起される塵埃等が、傾斜面部50側に飛散して落下したとしても、塵埃等は傾斜面部50上を滑落する。この際、排気ガス浄化装置41と傾斜面部50との間には一定の間隔D1が保持されているため、排気ガス浄化装置41は傾斜面部50上を滑落する塵埃等に支障とならない。そのため、排気ガス浄化装置41の周囲に塵埃等が滞留・蓄積されることがない。
排気ガス浄化装置41の後部には、基端部を接続した下流側排気管42を、傾斜面部50の上方において後方へ向けて延伸させて、その先端部42aを後方へ向けて開口させているため、傾斜面部50の上方に下流側排気管42自体をコンパクトにかつ短幅化して配置することができるとともに、排気ガスが排気される下流側排気管42の先端部42aを、運転部8に着座している運転者から離隔させることができて、運転環境を良好となすことができる。
穀粒貯留部9と連通連設した縦オーガ11の上端部に、搬出オーガとしての横オ―ガ12の基端部を旋回自在に接続して、穀粒貯留部9内に貯留している穀粒をこれらのオーガ11,12により搬出するようにした場合には、横オ―ガ12を穀粒貯留部9の上方において旋回動作可能とするとともに、横臥状に収納させることで、横オ―ガ12が、穀粒貯留部9の天井面部57の上面よりも下方位置に配置した排気ガス浄化装置41と干渉するのを簡単に回避することができる。また、横臥状に収納させた横オ―ガ12にシートカバーを掛けた際にも、シートカバーが高温化した排気ガス浄化装置41と接触するのを回避することができる。
また、排気ガス浄化装置41の上方において、固定側係止体61に可動側係止体60を係止・離脱自在に係止しているため、両係止体60,61を係止・離脱させる際には、排気ガス浄化装置41が支障とならず、両係止体60,61の係止・離脱操作を堅実に行うことができる。また、脱穀部5から排気ガス浄化装置41の上方へ向けて突設した固定側係止体61に遮蔽体70を取り付けているため、遮蔽体取付部材を別個に設けることなく、固定側係止体61に遮蔽体70を堅実に支持させることができる。この際、遮蔽体70は、刈取部4や脱穀部5等から排気ガス浄化装置41側に飛散してくる塵埃等を遮蔽しているため、排気ガス浄化装置41に塵埃等が滞留・蓄積されるのを防止することができる。
遮蔽体70は、排気ガス浄化装置41の左側方位置で、かつ、脱穀部5の傾斜面部50の上方位置に配置しているため、刈取部4や脱穀部5等から排気ガス浄化装置41側に飛散してくる塵埃等を遮蔽体70により遮蔽することができる。この際、遮蔽体70の下端縁部と傾斜面部との間には、所定の間隔D2を保持させているため、脱穀部5の傾斜面部50上に落下した塵埃等の滑落に遮蔽体70が支障とならない。そのため、傾斜面部50上に塵埃等が滞留・蓄積されることがない。
遮蔽体70の側面、つまり、排気ガス浄化装置41に対面する右側面に、排気ガス浄化装置41に取り付けた温度センサ等のワイヤハーネス73の中途部を支持させているため、ワイヤハーネス73を整然と配線することができるとともに、飛散してくる塵埃等がワイヤハーネス73に付着するのを防止することができる。
次に、前記した排気ガス浄化装置41の配設構造を、より具体的に説明する。すなわち、脱穀部5は、扱室90を内蔵するメイン脱穀ケース91と、二番還元室92を内蔵するサブ脱穀ケース93を有している。メイン脱穀ケース91は四角形箱型に形成する一方、サブ脱穀ケース93はメイン脱穀ケース91の右側部を左側方へ膨出させて四角形箱型に形成している。そして、サブ脱穀ケース93は、天井面部を右側下方へ下り傾斜状に形成した傾斜面部50となしている。サブ脱穀ケース93の前後幅は、メイン脱穀ケース91の前後幅の略四分の三の幅に形成している。
サブ脱穀ケース93の右側壁94と左右方向で対面する穀粒貯留部9の左側壁95の前上部には、前方と左側方とが開口する凹部96を形成している。そして、凹部96の上下幅と前後幅は、排気ガス浄化装置41の上下幅と前後幅よりも広幅に形成している。
前記した配設空間51は、脱穀部5と穀粒貯留部9との両上部間に形成した空間を、その左側方に形成された傾斜面部50の上方の空間と、その右側方に形成された凹部96の空間とに左右方向に連続させて周囲に膨出させて形成することにより、排気ガス浄化装置41を収容可能な空間となしている。脱穀部5と穀粒貯留部9との下部間に形成した空間内には、前後方向に延伸する後述の二番還元筒132を配設するとともに、脱穀部5と穀粒貯留部9との中途部間に形成した空間内には、上下方向に延伸する後述の揚穀筒136を配設しており、配設空間51内に配設した排気ガス浄化装置41は、二番還元筒132の直上方位置で、かつ、揚穀筒136の直前方位置に配置している。このように、排気ガス浄化装置41は、脱穀部5と穀粒貯留部9との前上部間に形成した配設空間51内にコンパクトに配設するとともに、配設空間51の一部を形成する脱穀部5の傾斜面部50に堅実に支持させている。
脱穀部5の傾斜面部50には、その前端部に前部ステー52を突設するとともに、傾斜面部50の中途部に後部ステー53を突設して、両ステー52,53間に排気ガス浄化装置41を横架することで、傾斜面部50に排気ガス浄化装置41を一定の間隔D1をあけて堅実に支持させている。
前部ステー52は、傾斜面部50の上面に面接触させて固定した固定片52aと、固定片52aから右側上方へ向けて立ち上がり状に延設した立ち上がり片52bとから形成して、立ち上がり片52bの上端部に排気ガス浄化装置41の前端壁41bを取り付けている。
後部ステー53は、傾斜面部50の上面に面接触させて固定した固定片53aと、固定片53aから右側上方へ向けて立ち上がり状に延設した立ち上がり片53bと、これらの固定片53a及び立ち上がり片53bから右側方へ突出させるとともに、後端縁部を上方へ突出させた排気管基部支持片53cとから形成している。
そして、立ち上がり片53bの上端部に排気ガス浄化装置41の後端周縁部に設けたフランジ部41dを取り付けるとともに、排気管基部支持片53cに基部側支持補助片80を介して下流側排気管42の基部を下方から支持させている。81は下流側排気管42の中途部を下方から支持するためにサブ脱穀ケース93の後壁上部に突設した排気管中途部支持片であり、82は中途部側支持補助片である。
固定側係止体61は、左右方向に延伸する板状の前面部61a及び後面部61bと、これらの上端縁部間に架設した板状の天井面部61cとから側断面門型に形成して、サブ脱穀ケース93の前端上部から右側上方へ向けて片持ち状に突設している。すなわち、固定側係止体61は、排気ガス浄化装置41の前部の直上方に向けて突設して、先端部を排気ガス浄化装置41の前部の直上方に配置することで、排気ガス浄化装置41の前部の直上方を被覆している。そして、前面部61a及び後面部61bの先端部間には、固定ピン横架片83,83を介して前後方向に軸線を向けた固定ピン84を架設している。
可動側係止体60は、左右方向に横長の五角形板状に形成して、穀粒貯留部9の前壁97の上部面に基端部60aの後面を重合状態に取り付けて、穀粒貯留部9から先端部60bを左側方へ突出させている。左側方へ突出している先端部60bの左側端には、上下に二叉状の係合凹部60cを形成している。そして、穀粒貯留部9を前方へ指向させた使用姿勢(収穫作業姿勢)となした場合には、可動側係止体60の係合凹部60cが固定側係止体61の固定ピン84に側方から係合可能に構成している。
可動側係止体60の先端部60bの前面には、前後方向に軸線を向けた枢支ピン85を介して板状の係合連結片86の基端部を上下方向に回動自在に取り付けている。係合連結片86の先端部には、上方向と前後方向とが開口するフック部86aを形成して、固定ピン84にフック部86aを下方から係合・解除自在としている。係合連結片86と可動側係止体60との間には、スプリング係止片87a,87bを介して引っ張りスプリング87を介設して、引っ張りスプリング87により枢支ピン85を中心に固定ピン84にフック部86aを下方から係合させる方向(本実施形態では正面視にて反時計廻り)に回動付勢している。つまり、固定ピン84にフック部86aを下方から係合させることで、固定側係止体61に可動側係止体60を連結可能に構成している。フック部86aの上端面にはガイド用傾斜面86bを形成して、ガイド用傾斜面86bに沿って可動側係止体60の係合部60aに固定ピン84を係合させる方向に押圧させると、引っ張りスプリング87の付勢力に抗して枢支ピン85を中心にフック部86aが固定ピン84から係合解除させる方向(本実施形態では正面視にて時計廻り)に回動されて、係合部60aに固定ピン84を係合可能に構成している。
係合連結片86の下部には、連結片88の先端部を連結する一方、穀粒貯留部9の前壁97の下部には、前後方向に軸線を向けた枢軸89aを介して操作レバー89の上端部を取り付けるとともに、枢軸89aを中心に回動操作自在となした操作レバー89の中途部に連結片88の基端部を連結している。そして、操作レバー89を引っ張りスプリング87の回動付勢力に抗して(本実施形態では正面視にて時計廻りに)回動操作すると、枢支ピン85を中心に固定ピン84からフック部86aを係合解除可能に構成している。また、固定ピン84からフック部86aが係合解除された状態となすことで、穀粒貯留部9を、前外方へ指向させた不使用姿勢(収穫非作業姿勢)に姿勢変更可能に構成している。
遮蔽体70は、前後方向に横長の四角形板状に形成した側方遮蔽片70aと、側方遮蔽片70aの上端縁部から右側上方へ延出させて前後方向に延伸する帯状に形成した上方遮蔽片70bと、上方遮蔽片70b及び側方遮蔽片70aの後端縁部に連設して縦長の四角形板状に形成した後方遮蔽片70cとから形成している。
上方遮蔽片70bの傾斜角度は、固定側係止体61の天井面部61cの傾斜角度と同一となして、上方遮蔽片70bの前端縁部70dを天井面部61cの上面側に延設して、天井面部61cの上面に延設部の下面を重合させて連結している。そして、固定側係止体61の後面部61bに側方遮蔽片70aの前端縁部を当接させている。後方遮蔽片70cは、排気ガス浄化装置41の後端壁41cの左側部を後方から被覆している。図13に示す71は、固定側係止体61の後面部61bの中途部と傾斜面部50の中途部との間に架設した支持体である。支持体71は、後面部61bに前端部を連結した棒状の前後方向延伸片71aと、前後方向延伸片71aの後端部から下方へ延伸する下方延伸片71bと、下方延伸片71bの下端部に上面を取り付けて傾斜面部50に下端面を連結した連結片71cとから形成している。72は、遮蔽体70に支持体71を取り付けるための取付ブラケットである。このように構成して、遮蔽体70は、支持体71と固定側係止体61とにより、傾斜面部50から上方へ一定幅だけ離隔した状態で支持して、固定側係止体61と一体となって排気ガス浄化装置41の左側部を塵埃等から遮蔽している。遮蔽体70の内面側、つまり、排気ガス浄化装置41側の面には、支持体71を介してワイヤハーネス73の中途部を支持させて、ワイヤハーネス73の中途部を遮蔽体70により被覆・保護している。
走行部2は、図1及び図2に示すように、トラックフレーム100に、駆動スプロケット101とテンションローラ102と複数のトラックローラ103とこれらの廻りに巻回した履帯104を設けている。駆動スプロケット101はディーゼルエンジン21の動力を受けて回転駆動する。テンションローラ102は履帯104のテンションを維持する。複数のトラックローラ103は履帯104の接地側を接地状態に保持する。駆動スプロケット101によって履帯104の前側を支持し、テンションローラ102によって履帯104の後側を支持し、トラックローラ103によって履帯104の接地側を支持する。
刈取部4は、図1〜図4に示すように、走行機体3に設けた刈取回動支点軸(図示せず)に刈取フレーム110を連結している。刈取部4は、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置111と、圃場の未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置112と、刈刃装置111によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置113と、圃場の未刈り穀稈を分草する4条分の分草体114とを備えている。刈刃装置111は、刈取フレーム110の下部に設けられている。穀稈引起装置112は、刈取フレーム110の前部に配置されている。穀稈搬送装置113は、穀稈引起装置112と脱穀部5に設けたフィードチェン121の前端部(送り始端側)との間に配置されている。分草体114は、穀稈引起装置112の前下部に突設されている。刈取部4は、ディーゼルエンジン21により走行部2とともに駆動して、圃場内を移動しながら圃場の未刈り穀稈を連続的に刈り取るようにしている。
脱穀部5は、図1〜図4に示すように、扱室90の左側壁にフィードチェン121を設け、扱室90内に穀稈脱穀用の扱胴122を前後方向に伸延する軸線廻りに回動自在に取り付けている。そして、穀稈が、フィードチェン121により株元部を挟持されるとともに、穂先部が回動する扱胴122の下周面側に配置されて後方へ搬送されることで、扱胴122により穂先部の穀粒が脱穀される。
選別部6は、図1〜図4に示すように、扱胴122により脱穀されて下方に落下する穀粒を揺動選別する揺動選別盤125と、揺動選別盤125に選別風を供給する唐箕126及び補助唐箕127と、一番穀粒を回収する一番樋128と、一番樋128内に配置した一番コンベア129と、二番穀粒を回収する二番樋130と、二番樋130内に配置した二番コンベア131と、一番樋128の右側端部と穀粒貯留部9の左側上部との間に介設した揚穀筒136と、二番樋130の右側端部とサブ脱穀ケース93の右側部との間に介設した二番還元筒132と、扱胴122の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴133と、揺動選別盤125の後部の排塵を機外に排出する排塵ファン134とを備えている。二番還元筒132は、図7に示すように、サブ脱穀ケース93に二番還元筒前端部137を連通連設している。
揺動選別盤125は、扱胴122により脱穀されて下方に落下した穀粒を、揺動選別(比重選別)するように構成している。揺動選別盤125から落下した穀粒(一番選別物)は、その穀粒中の粉塵が唐箕126及び補助唐箕127からの選別風によって除去され、一番樋128に落下する。一番樋128のうち脱穀部5における穀粒貯留部9寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部(右側端部)には、上下方向に伸延する揚穀筒136の下端部が連通状態に接続されている。一番樋128から取出された穀粒は、揚穀筒136内の揚穀コンベヤ(図示せず)によって穀粒貯留部9に搬入され、穀粒貯留部9に貯留される。
揺動選別盤125は、揺動選別(比重選別)によって、枝梗付き穀粒等の二番穀粒(穀粒と藁屑等が混在した再選別用の還元再処理物)を二番樋130に落下させるように構成している。二番樋130によって取出された二番穀粒は、二番還元筒132により二番還元筒前端部137から揺動選別盤125の上面側に戻されて再選別される。また、扱胴122からの脱粒物中の藁屑及び粉塵等は、唐箕126及び補助唐箕127からの選別風によって、走行機体3の後部から圃場に向けて排出される。
排藁処理部7は、図1に示すように、フィードチェン121の後端側(送り終端側)に排藁チェン135が配置されている。フィードチェン121の後端側から排藁チェン135に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体3の後方に排出されるか、又は脱穀部5の後方側に設けた排藁カッタ(図示せず)にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体3の後方下方に排出される。
1 コンバイン
5 脱穀部
9 穀粒貯留部
21 ディーゼルエンジン
24 排気配管部
41 排気ガス浄化装置
42 下流側排気管
60 可動側係止体
61 固定側係止体
70 遮蔽体
50 傾斜面部
51 配設空間

Claims (4)

  1. 機体の前方に刈取部を取り付け、機体の一側方に脱穀部を配置する一方、機体の他側方に穀粒貯留部を配置して、脱穀部と穀粒貯留部を左右に隣接させて配置し、機体の前部にはディーゼルエンジンを配置して、ディーゼルエンジンの排気口部に排気管を接続するとともに、排気管の中途部には排気ガス浄化装置を設けたコンバインであって、
    穀粒貯留部側に近接する脱穀部の他側縁上部は、穀粒貯留部側に下り傾斜状で前後方向に延伸する傾斜面部となして、
    傾斜面部の直上方に一定の間隔をあけて、前後方向に延伸させて形成した排気ガス浄化装置を配設したことを特徴とするコンバイン。
  2. 穀粒貯留部は、後部側を枢支するとともに、前部側を外側方へ回動可能となして、
    穀粒貯留部から排気ガス浄化装置の上方へ向けて可動側係止体を突設する一方、脱穀部から排気ガス浄化装置の上方へ向けて固定側係止体を突設して、
    固定側係止体に可動側係止体を排気ガス浄化装置の上方において係止・離脱自在に係止し、
    固定側係止体に、刈取部や脱穀部等から排気ガス浄化装置側に飛散してくる塵埃等を遮蔽する遮蔽体を取り付けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
  3. 遮蔽体は、排気ガス浄化装置の側方位置で、かつ、脱穀部の傾斜面部の上方位置に配置して、その下端縁部と傾斜面部との間に所定の間隔を保持させたことを特徴とする請求項2記載のコンバイン。
  4. 遮蔽体の側面には、排気ガス浄化装置に取り付けたセンサのワイヤハーネスの中途部を支持させたことを特徴とする請求項3記載のコンバイン。
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