JP2015121315A - 負荷感応型減速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力軸に作用する負荷が設定値以上に達した場合には等速伝動状態から減速伝動状態に切換わる際に固着を回避し、この切換わる際のトルク変動を抑制する負荷感応型減速装置を構成する。【解決手段】リングギヤ12に揺動自在に支持された第1レバー21の揺動端を、第1付勢機構46の付勢力でキャリア14の第1係合部25に係合させて等速出力モードでの伝動を行う。第1レバー21に第2揺動軸芯を中心に揺動自在に第2レバー22が支持され、出力軸2に作用する負荷が減速閾値以上に達すると、第1レバー21を第1係合部25から離間させ、かつ、リングギヤ12の回転力を第2レバー22の揺動端から第2揺動軸芯に向かう方向に受け止めるように第2レバー22の姿勢を設定して第2係合部26に係合させることで減速出力モードでの伝動を行う。【選択図】図9

Description

本発明は、負荷感応型減速装置に関し、詳しくは、出力軸に作用する負荷が低い場合には等速で伝動を行い、出力軸に作用する負荷が増大した場合には、減速を行う装置に関する。
上記のように構成された負荷感応型減速装置に関連する技術が特許文献1に示されている。この特許文献1では、出力軸に備えたサンギヤと、リングギヤと、これらに咬合するプラネタリギヤと、プラネタリギヤを支持するキャリアと、キャリアと一体回転する出力軸とを有する遊星減速機構を備え、出力軸に作用する負荷により伝動形態を切り換える切換手段を備えている。
この特許文献1では出力軸に作用する負荷(トルク)が設定値未満である場合に高速伝動を行わせ、設定値以上である場合に減速伝動を行わせる切換手段が、作動体を備えて構成されている。作動体は、一対の内当接片と一対の外当接片と単一の係合片とを有し、リングギヤに対して揺動自在に支持されている。複数の係合部が外周に形成された係合プレートがキャリアに固定されている。ミッションケースのうち、出力軸の外側には複数のロック部が外周に形成されたブロック部がミッションケースに形成され、この外側となるリング部には、複数のロック部が内周に形成されている。
このような構成において、出力軸に作用する負荷(トルク)が設定値未満である場合には、作動体が中立姿勢に維持され、作動体の係合ピンが係合プレートに係合することにより、遊星減速機構のキャリアとリングギヤとキャリアに形成された出力軸とを一体回転させる高速伝動状態を現出する。これとは逆に、出力軸に作用する負荷が設定値以上である場合には、作動体が揺動することにより、作動体の係合ピンが係合プレートから分離すると共に、内当接片がブロック部のロック部に係合すると同時に、外当接片がリング部のロック部に係合することでリングギヤがミッションケースに固定される。この固定により、キャリアを回転させて遊星減速機構で減速される減速伝動状態を現出している。
特開2012‐31986号公報
特許文献1に記載されるように、出力軸に作用する負荷が増大した場合に、高速伝動状態から減速伝動状態に切り換わる構成では、電気的な制御やアクチュエータ類を用いることなく負荷に対応した伝動状態を現出する。
特許文献1に記載されるブロック部の複数のロック部は、ギヤ状に形成されているため、凹状の部位と凸状の部位とが交互に連続する形状となる。従って、高速伝動状態から減速伝動状態に切り換わる際に作動体の姿勢を変化した場合でも、例えば、内当接片がロック部の凸状の部位に強く当接した場合には、この内当接片が係合状態に移行できないこともあり、しかも、係合ピンも係合プレートから分離できない固着状態に陥ることも考えられた。
このような不都合に対して、この特許文献1の別実施形態(a)には内当接片を弾性変形可能に構成することにより、ロック部の凸状の部位に内当接片が乗り上げた場合には、弾性変形により相対回転を行わせ、固着状態に陥る現象を解消している。
しかしながら、作動体がミッションケース側の部材に係合する際に当接片の一部の弾性変形を伴う場合には、この弾性変形を行わせる負荷の作用により、高速伝動状態から減速伝動状態に切り換わる際の設定値を変動させることに繋がるものであった。つまり、当接片が弾性変形を伴わずに係合状態に達した場合と、当接片が弾性変形した後に係合状態に達した場合とでは、高速伝動状態から減速伝動状態に切り換える際の負荷(トルク)の値が異なることになり、決まった負荷に基づいて変速を行えないことに繋がり改善の余地がある。
また、特許文献1に記載のように、作動リングに付勢力を作用させるために複数のバネを用いるものでは、複数のバネを必要とするだけでなく、複数のバネとして付勢力が均一なものを用いる必要があり、改善の余地がある。
本発明の目的は、出力軸に作用する負荷が設定値以上に達した場合には等速伝動状態から減速伝動状態に切換わる作動を円滑に行う負荷感応型減速装置を構成する点にある。
本発明の特徴は、回転軸芯と同軸芯に配置され駆動力が伝えられるサンギヤと、前記回転軸芯と同軸芯で前記サンギヤを取り囲む位置に配置されるリングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに咬合するプラネタリギヤと、前記プラネタリギヤを支持し、このプラネタリギヤからの回転力により前記回転軸芯を中心に回転可能なキャリアと、前記回転軸芯と同軸芯で前記キャリアに一体形成される出力軸と、を備えて遊星ギヤ減速機構が構成されると共に、前記リングギヤに対し第1揺動軸芯を中心に揺動自在に支持される第1レバーと、前記第1レバーに対し第2揺動軸芯を中心に揺動自在に支持される第2レバーと、前記第1レバーに対し、この第1レバーの揺動端を前記回転軸芯に接近させる方向に付勢する第1付勢機構と、前記第2レバーに対し、この第2レバーの揺動端を前記回転軸芯に接近させる方向に付勢する第2付勢機構と、前記第1付勢機構の付勢力により前記第1レバーの揺動端が係合するために前記キャリアに形成された第1係合部と、前記第2付勢機構の付勢力により前記第2レバーの揺動端が係合するために固定系に形成された第2係合部と、を備えて切換機構が構成され、前記切換機構は、前記出力軸に作用する負荷が減速閾値未満の間、第1付勢機構の付勢力により前記第1レバーの揺動端を前記第1係合部に係合させて前記リングギヤと前記キャリアとを一体回転させる等速出力モードでの伝動を行い、前記等速出力モードで前記出力軸に作用する負荷が前記減速閾値以上に達し前記キャリアに対し前記リングギヤが回転を開始すると、前記第1付勢機構の付勢力に抗して前記第1レバーの揺動端を前記第1係合部から離間させ、かつ、前記リングギヤの回転力を前記第2レバーの揺動端から前記第2揺動軸芯に向かう方向に受け止める姿勢に設定して、前記第2レバーの揺動端を前記第2係合部に係合させることで前記リングギヤの回転を阻止して前記遊星ギヤ減速機構で減速された駆動力を前記出力軸に伝える減速出力モードでの伝動を行う点にある。
この構成によると、出力軸に作用する負荷が減速閾値未満である間、第1レバーの揺動端が、第1付勢機構の付勢力によりキャリアの第1係合部に係合し、リングギヤとキャリアとを一体的に回転させて等速伝動状態を実現する。また、出力軸に作用する負荷が設定値以上となりキャリアに対してリングギヤの回転が開始すると、第1付勢機構の付勢力に抗して第1レバーの揺動端が第1係合部から離脱し、第2レバーの揺動端が固定系の第2係合部に係合する。このように第2レバーが第2係合部に係合する状態では、リングギヤの回転力を第2レバーの揺動端から第2揺動軸芯の方向に受け止める姿勢に達するため、強い力が作用しても強力に受け止めることが可能となる。これにより、リングギヤの回転が阻止され、このリングギヤに咬合するプラネタリギヤが公転運動し、この公転運動がキャリアから出力軸に伝えられるため減速伝動状態を実現する。
特に、本発明の構成では、リングギヤの回転力を第2レバーが、その揺動端から第2揺動軸芯に向かう方向に受け止めるため、減速伝動状態では、第2係合機構と第1レバーの揺動端との間で強く圧力が作用することになるが、第2付勢機構により、第2レバーの揺動端を第2係合に係合させるに必要な付勢力を得る必要はなく、この第2レバーを第2係合部に係合させるための付勢力を強くしないで済む。つまり、等速伝動状態から減速伝動状態に切り換わる際に、第2レバーの揺動端が、例えば、第2係合部の凸部の先端に当接する位相にある場合には、第2レバーの揺動端と第2係合部とが係合可能な位相に達した後に第2レバーの揺動端を第2係合部に係合させることが可能となり、この第2付勢機構の付勢力が、切換わりの負荷(トルク)に影響を与えることがない。
従って、出力軸に作用する負荷が減速閾値以上に達した場合には等速伝動状態から減速伝動状態に切換わる際に固着を回避し、切換りの負荷が切換わる際のトルク変動を抑える負荷感応型減速装置が構成された。
本発明は、前記第1レバーが前記第1係合部に係合する係合姿勢にある間、前記第2レバーを前記第2係合部から遠ざける規制姿勢に保持する規制機構を備えても良い。
これによると、第1レバーの揺動端が第1係合部に係合する状態では、規制機構が第2レバーの揺動端が第2係合部に係合する方向に揺動させることがなく、第2レバーの揺動端を第2係合部に係合させることがない。
本発明は、前記第1係合部と前記第2係合部とが前記回転軸芯に沿う方向にオフセットして配置され、前記第1レバーの揺動端に対し前記第2レバーが前記回転軸芯に沿う方向にオフセットする位置に連結しても良い。
これによると、第1係合部と第2係合部との配置の設定、及び、第1レバーと第2レバーとの連結の設定だけで複雑な構成を用いることなく、第1レバーの係合と、第2レバーとの係合が可能となる。
本発明は、前記第1係合部が、前記キャリアにおいて前記回転軸芯に向けて半径方向に窪む凹状に形成され、前記出力軸に作用する負荷が前記減速閾値以上に達し、前記キャリアが回転を開始すると、前記第1レバーを前記回転軸芯から離間する方向に向かう押圧力を作用させる姿勢制御面が、凹状の前記第1係合部に連なる領域に形成されても良い。
これによると、出力軸に作用する負荷が減速閾値以上に達し、前記キャリアが回転を開始すると、第1係合部に連なる領域に形成された姿勢制御面からの押圧力第1レバーに作用し、この第1レバーの揺動端を第1係合部から円滑に離間させることが可能となる。
本発明は、前記第1係合部と前記第1レバーとの少なくとも何れか一方に対して、前記第1係合部に前記第1レバーが係合する際の衝撃を緩和する緩衝部材を備えても良い。
これによると、第1係合部に対して第1レバーが係合する際の衝撃音と振動とを緩衝部材が緩和することになる。
本発明は、前記緩衝部材が、前記第1係合部において前記第1レバーが当接する当接面から突出する形態で前記キャリアに嵌め込み支持されると共に、この緩衝部材は、前記第1レバーに接触する突出部と、前記第1レバーが接触した後に前記突出部を前記当接面より沈み込む位置まで変位させる弾性変形部とを備えても良い。
これによると、第1係合部に対して第1レバーが係合する間、緩衝部材の突出部に対して第1レバーが接触し、第1レバーの作動速度を減ずるため、第1レバーが第1係合部の当接面に当接する際の作動速度を小さくして衝撃を小さくすることが可能となる。また、第1レバーが第1係合部の当接面に当接する状態に達した場合には、緩衝部材の弾性変形部が突出部を当接面より沈み込む位置まで変位させるため、第1係合部の当接面に対して第1レバーを直接的に当接させ、等速出力モードでの伝動を安定的に行わせることが可能となる。
本発明は、前記第2係合部が、前記回転軸芯を中心とする円周状の外周面の複数箇所に形成した突起により構成されても良い。
これによると、突起に対して第2レバーの揺動端が当接することによりリングギヤの回転を阻止することが可能となる。
本発明は、前記切換機構が、前記減速出力モードにおいて前記出力軸に作用する負荷が減少して前記等速出力モードに切り換わる際の等速閾値が、前記減速閾値より小さい値に設定されても良い。
これによると、減速出力モードにおいて出力軸に作用する負荷が減速閾値より小さい値に低下した場合でも、この負荷が等速閾値より小さい値まで低下しない限り等速出力モードに移行することはない。これにより、出力軸に作用する負荷が減速出力モードへ切換わる値を含む領域で変動することがあっても、減速出力モードに移行した後に等速出力モードに頻繁に移行することがなく、ハンチングを抑制して安定的な出力を実現する。
本発明は、前記第1付勢機構が、前記第1レバーの揺動端と、前記リングギヤとの間に配置される引っ張り型コイルスプリングで構成されても良い。
これによると、引っ張り型コイルスプリングを用いることにより第1付勢機構の付勢力を大きい値に設定することも容易に行える。
本発明の特徴は、前記回転軸芯を中心にした所定角度の回転により複数の前記第1レバーを揺動させる連動回転部材を備え、
前記第1付勢機構が、その外端を当該負荷感応型減速装置のケースに支持し、その内端を前記連動回転部材に連係させることにより、前記回転軸芯を中心にした回転力を前記連動回転部材に作用させる渦巻スプリングで構成されている点にある。
例えば、第1付勢機構として引っ張り型のコイルスプリングを用いる構成では、複数の第1レバーの数に等しいコイルスプリングを必要とするため、各々のコイルスプリングの性能バラツキから、撓み量や、付勢力を正確に設定することが困難で、伝動状態の切換えの減速閾値の設定が困難になることが考えられる。しかも、コイルスプリングの配置スペースを確保するために装置全体の大型化を招くものであった。
これに対して、渦巻スプリングから作用する付勢力で連動回転部材を回転させ、この回転力を第1レバーに伝えるように構成したものでは、第1レバーの数に対応した数のスプリングを備えずに済むだけではなく、第1レバーが複数備えられていても各々の第1レバーに対して等しい付勢力を作用させることも可能となる。
その結果、伝動状態の切り換わりを実現する減速閾値を決める付勢機構を単純にする負荷感応型減速装置が構成された。
本発明は、前記連動回転部材の外周側に前記渦巻スプリングが配置されても良い。
これによると、例えば、回転軸芯方向に重なり合う位置関係に連動部材と渦巻スプリングとが配置されるものと比較して回転軸芯方向での大型化を抑制し、装置の小型化が可能となる。
本発明は、前記連動回転部材の外周に形成された複数の係合凹部の何れか1つに前記渦巻スプリングの内端が係合しても良い。
これによると、連動回転部材の複数の係合凹部の何れか1つを選択して渦巻きスプリングの内端を係合させることにより、渦巻スプリングから連動回転部材に作用させる付勢力の調節を行える。この調節により、等速出力モードと減速出力モードとの切換を行う減速閾値の変更も容易に行える。
第1実施形態の負荷感応型変速装置の断面図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1のIV−IV線断面図である。 第1実施形態で等速出力モードでの揺動体等を示す図である。 第1実施形態で等速出力モードでの第1レバーの姿勢を示す図である。 第1実施形態で減速出力モードでの揺動体等を示す図である。 第1実施形態で減速出力モードでの第2レバーの姿勢を示す図である。 第1実施形態の負荷感応型変速装置の主要構成の分解斜視図である。 第2実施形態の負荷感応型変速装置の断面図である。 図10のXI−XI線断面図である。 図10のXII−XII線断面図である。 第2実施形態で等速出力モードから減速出力モードへの移行途中を示す図である。 第2実施形態で減速出力モードでの第2レバーの姿勢等を示す図である。 第2実施形態で負荷感応型変速装置の主要構成の分解斜視図である。 第2実施形態で等速出力モードでの各部に作用するトルク等を説明する図である。 第2実施形態で減速出力モードでの各部に作用するトルク等を説明する図である。 第2実施形態で負荷トルクと入力トルクと減速閾値と等速閾値とを示すグラフである。 第3実施形態の負荷感応型変速装置の断面図である。 第3実施形態で非係合状態の第1レバーと緩衝部材とを示す図である。 第3実施形態で係合状態の第1レバーと緩衝部材とを示す図である。 第3実施形態で負荷感応型変速装置の主要構成の分解斜視図である。 第3実施形態の緩衝部材の変形例を示す図である。 第3実施形態の緩衝部材の変形例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態の基本構成〕
図1〜図9に示すように、外部からの駆動力が伝えられる入力軸1と、この入力軸1からの駆動力が伝えられる遊星ギヤ減速機構Pと、この遊星ギヤ減速機構Pからの駆動力が伝えられる出力軸2と、この出力軸2に作用する負荷トルクにより遊星ギヤ減速機構Pを制御する切換機構Aと、をミッションケース3に収容して負荷感応型変速装置が構成されている。
この負荷感応型変速装置では、入力軸1が駆動方向Rで示す方向に駆動回転される。切換機構Aは、出力軸2に作用する負荷トルクが減速閾値未満である場合に、入力軸1とリングギヤ12とキャリア14とを駆動方向Rに一体回転させる等速出力モードで伝動を行う。これに対し、出力軸2に作用する負荷トルクが減速閾値以上に達することによりリングギヤ12をミッションケース3(固定ブロック18)に固定することにより遊星ギヤ減速機構Pで減速した回転力を出力軸2に伝える自動変速を行う。
この負荷感応型変速装置は、自動車のスライドドアのように作動域により負荷トルクが変動する駆動対象の駆動系に備えられ、出力軸2に作用する負荷の上昇に対応して自動的減速を行うことにより電動モータの大型化を抑制する。また、作動対象としてはシートバックの角度を調整する駆動系や、ドアガラスを開閉する駆動系等自動車の全般に使用できるものであるが、自動車以外にも適用できる。
尚、この負荷感応型変速装置は、決まった方向への回転動力の自動減速を行うものであるため、スライドドアの開閉やドアガラスの開閉を行うためには、2つの負荷感応型変速装置を用いることや、出力軸2から伝えられる駆動力の回転方向を切り換えるギヤ等が用いられる。
〔遊星ギヤ減速機構〕
図1及ぶ図4に示すように、入力軸1と遊星ギヤ減速機構Pと出力軸2とが回転軸芯Xと同軸芯上に配置されている。遊星ギヤ減速機構Pは、サンギヤ11と、リングギヤ12と、複数のプラネタリギヤ13と、キャリア14とを備えて構成されている。
遊星ギヤ減速機構Pは、サンギヤ11が入力軸1と一体的に形成され、キャリア14が出力軸2に対して回転軸芯Xに対して直交する姿勢のプレート状で一体形成されている。出力軸2は、回転軸芯Xと同軸芯となる六角孔2Aを有した筒状に形成されている。
出力軸2は、キャリア14の両面から突出する姿勢で形成され、この出力軸2の一方の突出部に第1ブッシュ16を介して相対回転自在にサンギヤ11が支持されている。また、この出力軸2の他方の突出部に第2ブッシュ17を介して固定ブロック18が支持されている。尚、固定ブロック18はミッションケース3の内部で出力軸2を取り囲む位置に配置され、ボルト19により固定されている。ミッションケース3に連結固定されるものであるがミッションケース3と一体的に形成しても良い。また、第1ブッシュ16と第2ブッシュ17とに代えてニードルベアリングを用いても良い。
サンギヤ11を取り囲む位置にリングギヤ12が配置され、サンギヤ11とリングギヤ12とに咬合する位置に複数(第1実施形態では4つ)のプラネタリギヤ13が配置されている。複数のプラネタリギヤ13は、キャリア14に支持される支軸15に対して回転自在に支持されている。
この負荷感応型減速装置では、入力軸1と一体的に回転するホイールギヤ40を備え、このホイールギヤ40に咬合するウォームギヤ41をミッションケース3に備えているため、このウォームギヤ41を外部の電動モータ等の駆動源で駆動するように構成される。また、出力軸2には六角孔2Aが形成されているため、これに嵌合する軸により動力が取り出される。
〔切換機構〕
図1〜図3、図5〜図8に示すように、切換機構Aは、第1レバー21と、第2レバー22と、連動回転部材45と、第1付勢機構としての渦巻スプリング46と、第2付勢機構としての第2スプリング24と、キャリア14の外周に形成した複数の第1係合部25と、固定ブロック18に形成した第2係合部26とを備えている。
この負荷感応型変速装置では、リングギヤ12が一体形成された第1ケース5と、第2ケース6とをミッションケース3に内蔵している。第1ケース5は、第1レバー21を支持する一対のレバー支持部5Aと、回転軸芯Xを中心とする円弧状となる複数の壁状部5Bとを有している。第2ケース6は、回転軸芯Xを中心とするリング状の回転支持部6Aと、第1ケース5の壁状部5Bの切欠き部分に嵌り込む嵌合部6Bとを有している。
第1ケース5と、第2ケース6とは組み合わせた状態でミッションケース3に内蔵され、第1ケース5の一対のレバー支持部5Aの各々に対し第1揺動支軸27を介し、回転軸芯Xと平行姿勢の第1揺動軸芯Y1を中心に揺動自在に第1レバー21が支持されている。第1レバー21に対して、第2揺動支軸28を介し、回転軸芯Xと平行姿勢の第2揺動軸芯Y2を中心に揺動自在に第2レバー22が支持されている。
第1レバー21は、回転軸芯Xに沿う方向にオフセットする位置関係で揺動体21Fが一体形成され、この揺動体21Fに対し、回転軸芯Xと平行姿勢となる連動ピン21Gが形成されている。揺動体21Fは第1揺動軸芯Y1を中心とした円弧状の外縁を有すると共に、第1揺動軸芯Y1を中心にした揺動方向に張り出す等速側当接部21Lと、減速側当接部21Mとが形成されている。
第2レバー22の基端部には、第1レバー21に当接して揺動限界を決める第2規制部22Aを備えている。第2スプリング24は、第1レバー21と第2レバー22との間に備えられるトーションスプリングとして構成されている。この第2スプリング24は、第2レバー22の揺動端を回転軸芯Xに接近させる付勢力を作用させる。これにより第2レバー22は、第2規制部22Aにより揺動が規制される姿勢に達するまで揺動する。また、この第2スプリング24の付勢力は渦巻スプリング46から第1レバー21に作用する付勢力と比較して小さい値に設定されている。
第1係合部25と第2係合部26とは、回転軸芯Xに沿う方向でオフセットする位置関係で配置されている。この位置関係に対応するように第1レバー21の揺動端に対し、第2レバー22の基端部を回転軸芯Xに沿う方向で重ね合わせ位置関係で、第2揺動軸芯Y2を中心に揺動自在に支持することで、第1レバー21と第2レバー22とがオフセットする位置関係で配置されている。
尚、この第1実施形態では、切換機構Aとして、第1レバー21と、第2レバー22とを2組備えているが、3組以上であっても良い。
図2及び図9に示すように、連動回転部材45は、中央に中央孔部45Aが形成されたリング状に成形され、この中央孔部45Aを半径方向の外方に切り欠く形態で一対の連動凹部45Bが形成されている。また、外周には渦巻スプリング46の内端の付勢力作用部46Aが係合する複数の係合凹部45Cが形成されている。
この連動回転部材45の中央孔部45Aの内径が、第2ケース6の回転支持部6Aの外径より僅かに大きい値に設定され、この中央孔部45Aを回転支持部6Aに外嵌することにより、連動回転部材45が回転軸芯Xを中心に回転自在に支持される。このように支持された状態で一対の連動凹部45Bに対して第1レバー21の連動ピン21Gを係合させている。
渦巻スプリング46は、帯状のバネ材を渦巻き状に成形したものであり、その内径は、連動回転部材45の外径より充分大きい値に設定されている。この渦巻スプリング46は、その内端の付勢力作用部46Aを係合凹部45Cに作用させると共に、外端の係合支持部46Bを第1ケース5の壁状部5Bの一部に係合支持している。これにより、付勢力が、回転軸芯Xを中心に連動回転部材45を回転させる方向に作用し、更に、この回転が連動ピン21Gを介して第1レバー21に作用する結果、第1レバー21の揺動端を回転軸芯Xに近接させる方向に付勢力を作用させる。
第1ケース5の壁状部5Bの内面には、第1レバー21の揺動体21Fの一方の等速側当接部21Lが当接するためゴムや樹脂等の緩衝板7を備えている。これにより、図5に示す如く、渦巻スプリング46の付勢力によって第1レバー21の等速側当接部21Lが緩衝板7に当接して位置が決まる。また、変速時には、等速側当接部21Lが高速に移動して緩衝板7に当接することになり、この当接時の衝撃を緩和し、衝撃音の低減も可能にする。
第1係合部25は、キャリア14の外周において半径方向に窪む複数の凹状に形成され、この第1係合部25と連なる領域に姿勢制御面25Sが形成されている。この姿勢制御面25S(当接面の一例)は、係合状態の第1レバー21に沿うように直線的に形成され、この姿勢制御面25Sには支持凹部14Kが形成され、この支持凹部14Kに嵌め込む状態でゴムや樹脂のように柔軟に変形し得る可撓性材料を用いた緩衝部材30が備えられている。
切換機構Aでは、等速出力モードにおいて出力軸2に作用する負荷トルクが減速閾値以上に達した場合には、遊星ギヤ減速機構Pから反力によりリングギヤ12が入力軸1の駆動方向Rと逆向きとなる逆転方向Sに回転を開始する。姿勢制御面25Sは、この逆転方向Sへの回転に伴い第1レバー21の揺動端を回転軸芯Xから離間させる押圧力を作用させるように機能する。
第2係合部26は、固定ブロック18において、回転軸芯Xを中心とする円形の外周面18Sの複数箇所に凸状となる突起として構成されている。前述したように固定ブロック18はミッションケース3に連結固定されるため、第2係合部26は固定系に形成されることになる。
〔作動形態〕
このような構成から、出力軸2作用する負荷トルクが減速閾値未満である場合には図5及び図6に示す如く、渦巻スプリング46の付勢力により第1レバー21の揺動端がキャリア14の第1係合部25に係合する。この係合状態が維持されることにより、リングギヤ12とキャリア14とが一体回転するため遊星ギヤ減速機構Pでは減速が行われない。従って、入力軸1と、サンギヤ11と、複数のプラネタリギヤ13と、リングギヤ12と、キャリア14と、出力軸2と、が駆動方向Rに向けて一体回転する等速出力モードで伝動が行われる。
次に、等速出力モードでの伝動時に、出力軸2に作用する負荷が減速閾値以上に増大した場合には、プラネタリギヤ13が公転するため、渦巻スプリング46の付勢力に抗してリングギヤ12が逆転方向Sに向けて回転を開始する。
このようにリングギヤ12が逆転方向Sに回転した場合には、このリングギヤ12に対してキャリア14が相対回転するため、第1レバー21の揺動端が姿勢制御面25Sに沿って相対移動する。この相対移動により、第1レバー21が第1揺動軸芯Y1を中心にして揺動し、第1レバー21の揺動端が回転軸芯Xから離間する方向に円滑に変位する。
この第1レバー21の揺動に伴い、第2レバー22の揺動端が回転軸芯Xに近接する方向に変位する。そして、第1レバー21が図7及び図8に示す姿勢に達することにより、第2レバー22の揺動端が、第2係合部26に係合し、減速出力モードに移行する。
尚、第2レバー22の揺動端が回転軸芯Xに近接する方向に揺動した場合でも、第2レバー22が第2係合部26の突出部分に当接して係合状態に達しない場合には、この当接により、第2揺動軸芯Y2を中心にして第2レバー22が回転軸芯Xから離間する方向に揺動した後に、第2スプリング24の付勢力により回転軸芯Xに近接する方向に揺動することで第2係合部26に係合できるように構成されている。
このように減速出力モードに移行した場合には、第2レバー22の揺動端が第2係合部26に係合することによりリングギヤ12の回転が阻止され、遊星ギヤ減速機構Pが機能して減速動力をキャリア14から出力軸2に伝動する状態となる。また、第2レバー22の揺動端が第2係合部26に係合する状態では、第2レバー22が、リングギヤ12の回転力を第2レバー22の揺動端から第2揺動軸芯Y2に向かう方向に受け止める姿勢に設定される。
この減速出力モードに移行する場合に、第1レバー21が揺動し、減速側当接部21Mが第1ケース5の壁状部5Bの内面に当接することになるが、この第1レバー21の揺動が低速で行われるため当接音を発生させることはない。
次に、減速出力モードにおいて出力軸2に作用する負荷トルクが減速閾値未満まで低下した場合には、遊星ギヤ減速機構Pからリングギヤ12に作用する反力が低下し渦巻スプリング46の付勢力によりリングギヤ12が逆転方向Sと反対方向に回転を開始する。この回転により第1レバー21は回転軸芯Xに接近する方向に揺動を行う。
そして、第1レバー21の揺動端が、キャリア14の第1係合部25に係合する状態に達し、等速出力モードへの移行が完了する。第1係合部25に係合する方向に第1レバー21が揺動する際には、緩衝部材30の突出部31に対して第1レバー21が接触し、この突出部31と弾性変形部33とが弾性変形することにより第1レバー21の運動エネルギーを奪い第1レバー21の揺動速度を減ずる。これと同時に、第1レバー21の等速側当接部21Lが緩衝板7に当接することにより、衝撃を緩和する。これにより衝撃に伴う振動を抑制し衝撃音を緩和する。
このような構成により、2つの第1レバー21に対して、単一の渦巻スプリング46からの付勢力を作用させることが可能となり、例えば、第1レバー21の各々に付勢力を作用させるコイルスプリングを備える構成と比較してスプリングの配置が容易となり、しかも、2つの(複数の)第1レバー21に対して等しい付勢力を作用させることも可能となる。また、連動回転部材45の外周の複数の係合凹部45Cの何れか1つを選択して渦巻スプリング46の付勢力作用部46Aを係合させることにより等速出力モードと減速出力モードとの切換が行われる減速閾値の変更も可能となる。
〔第2実施形態の基本構成〕
図10〜図12及び図15に示すように、外部からの駆動力が伝えられる入力軸1と、この入力軸1からの駆動力が伝えられる遊星ギヤ減速機構Pと、この遊星ギヤ減速機構Pからの駆動力が伝えられる出力軸2と、この出力軸2に作用する負荷トルクにより、遊星ギヤ減速機構Pを制御する切換機構Aとをミッションケース3に収容して負荷感応型変速装置が構成されている。
この負荷感応型変速装置では、入力軸1が駆動方向Rで示す方向に駆動回転される。切換機構Aは、図18に示すように、出力軸2に作用する負荷トルクTopが減速閾値Ta未満である場合に、入力軸1とリングギヤ12とキャリア14とを駆動方向Rに一体回転させる等速出力モードで伝動を行う。また、出力軸2に作用する負荷トルクTopが減速閾値Ta以上に達した後に、リングギヤ12をミッションケース3(固定ブロック18)に固定することにより遊星ギヤ減速機構Pで減速した回転力を出力軸2に伝える自動変速を行う。
切換機構Aは、減速出力モードにおいて、出力軸2に作用する負荷トルクTopが、前述した減速閾値Taより小さい値となる等速閾値Tb未満に低下した場合には再び等速伝動状態に復帰するように自動変速の変速形態が設定されている。この切換機構Aによる自動変速の作動形態は後述する。
この負荷感応型変速装置は、自動車のスライドドアのように作動域により負荷トルクTopが変動する駆動対象の駆動系に備えられ、出力軸2に作用する負荷の上昇に対応して自動的な減速を行うことにより電動モータの大型化を抑制する。また、作動対象としてはシートバックの角度を調整する駆動系や、ドアガラスを開閉する駆動系等自動車の全般に使用できるものであるが、自動車以外にも適用できる。
尚、この負荷感応型変速装置は、決まった方向への回転動力の自動減速を行うものであるため、スライドドアの開閉やドアガラスの開閉を行うためには、2つの負荷感応型変速装置を用いることや、出力軸から伝えられる駆動力の回転方向を切り換えるギヤ等が用いられる。
〔遊星ギヤ減速機構〕
入力軸1と遊星ギヤ減速機構Pと出力軸2とが回転軸芯Xと同軸芯上に配置されている。遊星ギヤ減速機構Pは、サンギヤ11と、リングギヤ12と、複数のプラネタリギヤ13と、キャリア14とを備えて構成されている。
遊星ギヤ減速機構Pは、サンギヤ11が入力軸1と一体的に形成され、キャリア14が出力軸2に対して回転軸芯Xに対して直交する姿勢のプレート状で一体形成されている。
出力軸2は、回転軸芯Xと同軸芯となる六角孔2Aを有した筒状に形成されている。
出力軸2は、キャリア14の両面から突出する姿勢で形成され、この出力軸2の一方の突出部に第1ブッシュ16を介して相対回転自在にサンギヤ11が支持されている。また、この出力軸2の他方の突出部に第2ブッシュ17を介して固定ブロック18が支持されている。尚、固定ブロック18はミッションケース3の内部で出力軸2を取り囲む位置に配置され、ミッションケース3に連結固定されるものであるがミッションケース3と一体的に形成しても良い。また、第1ブッシュ16と第2ブッシュ17とに代えてニードルベアリングを用いても良い。
サンギヤ11を取り囲む位置にリングギヤ12が配置され、サンギヤ11とリングギヤ12とに咬合する位置に複数(第2実施形態では4つ)のプラネタリギヤ13が配置されている。複数のプラネタリギヤ13は、キャリア14に支持される支軸15に対して回転自在に支持されている。
この負荷感応型減速装置では、入力軸1が筒状に構成されているため、この入力軸1の外周に対して外部の電動モータ等の駆動源から駆動力が伝えられる。また、出力軸2には六角孔2Aが形成されているため、これに嵌合する軸により動力が取り出される。
〔切換機構〕
図10、図11、図15に示すように、切換機構Aは、第1レバー21と、第2レバー22と、第1付勢機構としての第1スプリング23と、第2付勢機構としての第2スプリング24と、キャリア14の外周に形成した複数の第1係合部25と、固定ブロック18に形成した第2係合部26とを備えている。
この第2実施形態では、切換機構Aとして、第1レバー21と、第2レバー22と、第1スプリング23と、第2スプリング24とを2組備えているが、これらが1組であっても良く3組以上であっても良い。
リングギヤ12の一方の端面を凹状に切り欠いてレバー支持面12Aが形成され、このレバー支持面12Aに対し、回転軸芯Xと平行姿勢となる第1揺動軸芯Y1と同軸芯の第1揺動支軸27を介して第1レバー21が揺動自在に支持されている。この第1レバー21の揺動端に対し、回転軸芯Xと平行姿勢の第2揺動軸芯Y2と同軸芯となる第2揺動支軸28を介して第2レバー22が揺動自在に支持されている。
第1係合部25と第2係合部26とは、回転軸芯Xに沿う方向でオフセットする位置関係で配置されている。この位置関係に対応するように第1レバー21の揺動端に対し、第2レバー22の基端部を回転軸芯Xに沿う方向で重ね合わせることで、第1レバー21と第2レバー22とがオフセットする位置関係で配置されている。
第1レバー21の基端部には、この第1レバー21の揺動端が回転軸芯Xに接近する方向への揺動限界を決める第1規制部21Aが形成されている。この第1規制部21Aは、リングギヤ12に形成された第1規制面12Bに当接することにより第1レバー21の揺動を規制する。
また、図11に示すように、第1レバー21が第1係合部25に係合する係合姿勢にある際には、第2レバー22の揺動端を第2係合部26から遠ざける(回転軸芯Xから離間する方向に変位した姿勢)規制姿勢に保持する規制機構として第2規制部22Aが、第2レバー22の基端部に形成されている。この第2規制部22Aは、第1レバー21の揺動端の近傍に当接することにより第2レバー22の揺動を規制する構造を有している。
また、第1レバー21の揺動端部には、この第1レバー21の揺動端が回転軸芯Xから離間する方向への揺動限界を決める第3規制部21Bが形成されている。この第3規制部21Bは、リングギヤ12に形成された第3規制面12Cに当接することにより第1レバー21の揺動を規制する。
第1スプリング23は、第2揺動支軸28と、リングギヤ12に備えた支持軸体29とに亘って備えられた引張り型コイルスプリングとして構成されている。この第1スプリング23は、第1レバー21の揺動端を回転軸芯Xに接近させる付勢力を作用させる。回転軸芯Xに沿う方向視において、この第1スプリング23の中間部分が回転軸芯Xに近接する位置に配置されるため、固定ブロック18には第1スプリング23が配置される空間が全周に亘って形成されている。
第2スプリング24は、第1レバー21と第2レバー22との間に備えられるトーションスプリングとして構成されている。この第2スプリング24は、第2レバー22の揺動端を回転軸芯Xに接近させる付勢力を作用させる。また、この第2スプリング24の付勢力は第1スプリング23の付勢力と比較して小さい値に設定されている。
第1係合部25は、キャリア14の外周において半径方向に窪む複数の凹状に形成され、この第1係合部25と連なる領域に姿勢制御面25Sが形成されている。切換機構Aでは、等速出力モードにおいて出力軸2に作用する負荷トルクTop(図18を参照)が減速閾値Ta以上に増大した場合には、図13に示すように遊星ギヤ減速機構Pから反力によりリングギヤ12が入力軸1の駆動方向Rと逆向きとなる逆転方向Sに回転を開始する。姿勢制御面25Sは、この逆転方向Sへの回転に伴い第1レバー21の揺動端を回転軸芯Xから離間させる押圧力を作用させるように機能する。
第2係合部26は、固定ブロック18において、回転軸芯Xを中心とする円形の外周面18Sの複数箇所に凸状となる突起として構成されている。前述したように固定ブロック18はミッションケース3に連結固定されるため、第2係合部26は固定系に形成されることになる。
〔減速閾値と等速閾値〕
図16に示すように、負荷感応型減速装置が等速出力モードにある場合には、キャリア14に回転力が作用するため、キャリア14に形成された姿勢制御面25Sの外周近傍の作用点Cが第1レバー21に当接し、第1レバー21は作用点Cで力FCを受ける。また、第1レバー21の揺動端には第1スプリング23からの付勢力FSPが作用している。
回転軸芯Xから作用点Cまでの距離RCと、第1揺動軸芯Y1から第1スプリング23の付勢力FSPが作用する点(第2揺動軸芯Y2)までの距離RA1と、第1揺動軸芯Y1から作用点Cまでの距離RA2とを考えると、第1レバー21に作用する揺動トルクTLAは同図の「揺動トルクの式」により表される。
また、サンギヤ11の基準半径RSと、プラネタリギヤ13の基準半径Rpとを想定すると、減速閾値Taと力FCとの関係は同図の「減速閾値の式」で与えることが可能である。
等速出力モードは、リングギヤ12とキャリア14とが一体的に回転する状態であり、キャリア14は作用点Cにおいて第1レバー21当接する状態を維持する。作用点Cではキャリア14から第1レバー21に力FCが作用する。また、第1レバー21には第1スプリング23から付勢力FSPが作用する。
従って、力FCに距離RA2を乗じたトルク値の絶対値と、付勢力FSPに距離RA1を乗じたトルク値の絶対値とが一致する状態で、第1レバー21に作用する揺動トルクTLAが「0」となる状態が存在し、力FCがこれより小さければ、第1レバー21は第1規制部21Aが第1規制面12Bに当接して揺動が規制された状態で第1レバー21の揺動端が第1係合部25に係合する状態を維持し、結果として、リングギヤ12とキャリア14とが一体的に回転するのである。
また、減速閾値Taは、「減速閾値の式」に示すように、力FCに距離RCを乗じたトルク値の絶対値と遊星ギヤ諸元で与えられる。つまり、力FCと釣り合う付勢力FSPを設定することにより、減速閾値Taを設定することができる。
図17に示すように、負荷感応型減速装置が減速出力モードにある場合には、第2レバー22の揺動端(第2揺動軸芯Y2の位置)が第2係合部26に対して当接点Qにおいて当接する状態にある。また、第2レバー22の基端には第1スプリング23からの付勢力FSPと、リングギヤ12の回転力FDとが作用している。
回転軸芯Xから第2揺動軸芯Y2までの距離RDと、第2揺動軸芯Y2から当接点Qまでの距離RB1とを想定すると、第2レバー22に作用する揺動トルクTLBは同図の「揺動トルクの式」により表される。
また、サンギヤ11の基準半径RSと、プラネタリギヤ13の基準半径Rpとを想定すると、等速閾値Tbは「等速閾値の式」で与えることが可能である。
減速出力モードでは第2レバー22の揺動端が当接点Qにおいて第2係合部26に当接することによりリングギヤ12の回転が阻止され、キャリア14が回転する。この状態では、リングギヤ12から第2レバー22には回転力FDが作用し、第2レバー22には第1スプリング23から付勢力FSPが作用している。
従って、回転力FDに距離RB1を乗じたトルク値の絶対値と、付勢力FSPに距離RB1を乗じたトルク値の絶対値とが一致する状態で、第2レバー22に作用する揺動トルクTLBが「0」となる状態が存在し、回転力FDがこれより大きければ第1レバー21は第3規制部21Bが第3規制面12Cに当接して揺動が規制された状態で第2レバー22の揺動端が第2係合部26に係合する状態を維持し、結果として、リングギヤ12が固定され、キャリア14から減速された駆動力が取り出されるのである。
また、等速閾値Tbは、「等速閾値の式」に示すように、回転力FDに距離RDを乗じたトルク値の絶対値と遊星ギヤ諸元で与えられる。つまり、回転力FDに釣り合う付勢力FSPを設定することにより等速閾値Tbを設定することが可能である。
以上のように、減速閾値Taを「減速閾値の式」で与えることが可能であり、等速閾値Tbを「等速閾値の式」で与えることが可能であるため、これらの式の要素の設定により閾値を任意に設定できる。従って、本発明の負荷感応型減速装置では、減速閾値Taより等速閾値Tbを小さくするように、距離RA2、距離RC、距離RB1、距離RD、等の諸元を設定することにより、減速閾値Taと等速閾値Tbとの間に不感帯を作り出している。
〔作動形態〕
このように減速閾値Taと等速閾値Tbとを設定したことにより、図18に示すように、出力軸2作用する負荷トルクTopが減速閾値Ta未満である場合には図11に示す如く、第1レバー21の揺動端が第1スプリング23の付勢力によりキャリア14の第1係合部25に係合する。この係合状態が維持されることにより、リングギヤ12とキャリア14とが一体回転するため遊星ギヤ減速機構Pでは減速が行われない。従って、入力軸1と、サンギヤ11と、複数のプラネタリギヤ13と、リングギヤ12と、キャリア14と、出力軸2と、が駆動方向Rに向けて一体回転する等速出力モードで伝動が行われる。
次に、等速出力モードでの伝動時に、出力軸2に作用する負荷が減速閾値Ta以上に増大した場合には、プラネタリギヤ13が公転するため、図13に示すように、第1スプリング23の付勢力に抗してリングギヤ12が逆転方向Sに向けて回転を開始する。
このようにリングギヤ12が逆転方向Sに回転した場合には、このリングギヤ12に対してキャリア14が相対回転するため、第1レバー21の揺動端が姿勢制御面25Sに沿って相対移動する。この相対移動により、第1レバー21が第1揺動軸芯Y1を中心にして揺動し、第1レバー21の揺動端が回転軸芯Xから離間する方向に円滑に変位する。
この第1レバー21の揺動に伴い、第2レバー22の揺動端が回転軸芯Xに近接する方向に変位する。そして、第1レバー21が図14に示す姿勢に達することにより、第2レバー22の揺動端が、第2係合部26に係合し、減速出力モードに移行する。
このように減速出力モードに移行した場合には、第2レバー22の揺動端が第2係合部26に係合することによりリングギヤ12の回転が阻止され、遊星ギヤ減速機構Pが機能して減速動力をキャリア14から出力軸2に伝動する状態となる。
第2レバー22の揺動端が第2係合部26に係合した状態では、第2レバー22の揺動端、つまり、図17の当接点Qと、第2揺動軸芯Y2とを結ぶ仮想直線が、固定ブロック18の外周面の接線に沿う姿勢となる。このように第2レバー22の姿勢が決まるため、リングギヤ12の回転に起因する力が第2係合部26から強く作用した場合でも、この第2レバー22を揺動させる方向への分力が殆ど発生させず、当接状態を維持できる。これにより、第2スプリング24の付勢力は極めて小さいもので済む。
また、第2レバー22の揺動端が、第2係合部26の突起に当接可能な姿勢に達した場合でも、図13に示すように、第2レバー22の揺動端が第2係合部26の突出端に当接して係合状態に達しない場合には、第2スプリング24の付勢力に抗して第2レバー22の揺動端が回転軸芯Xから離間する方向に変位する。このように当接した状態では第2スプリング24の付勢力が小さいため減速閾値Taに影響を与えることがない。
この種の負荷感応型減速装置で、例えば、等速出力モードに切換わる際の閾値と、減速出力モードから等速出力モードに切換わる際の閾値とが同じ値であるものでは、負荷トルクTopが閾値より増大する状態と、閾値より減少する状態との間で変動する場合に、減速出力モードと等速出力モードとの間で切換わるハンチングを招くことになる。
このような不都合を解消するため、前述したように減速出力モードから等速出力モードに切り換えるための等速閾値Tbを、等速出力モードから減速出力モードに切り換えるための減速閾値Taより小さい値で設定することで不感帯を作り出している。
これにより、減速出力モードにおいて出力軸2に作用する負荷トルクTopが減速閾値Ta未満まで低下しても、等速出力モードに切換わることはなく、しかも、キャリア14は回転を継続するため、キャリア14の姿勢制御面25Sが第1レバー21に当接し、この第1レバー21を回転軸芯Xから離間させる方向に変位させるため、減速出力モードでの伝動が継続する。
次に、減速出力モードにおいて出力軸2に作用する負荷トルクTopが等速閾値Tb未満まで低下した場合には、遊星ギヤ減速機構Pからリングギヤ12に作用する反力が低下し第1スプリング23の付勢力によりリングギヤ12が逆転方向Sと反対方向に回転を開始する。この回転により第1レバー21は回転軸芯Xに接近する方向に揺動を行う。
そして、出力軸2に作用する負荷が等速閾値Tb未満まで低下した場合に、第1レバー21の揺動端が、キャリア14の第1係合部25に係合する状態に達し、等速出力モードへの移行が完了する。
〔入力トルクと負荷トルク〕
この負荷感応型減速装置において、入力軸1における入力トルクTinと、出力軸2に作用する負荷トルクTopと、切換機構Aによるモードの自動的な切り換えを図18のグラフに示している。等速出力モードでは、入力軸1と出力軸2とが一体回転するため、入力軸1に作用する入力トルクTinと出力軸2に作用する負荷トルクTopとが一致する。
そして、出力軸2に作用する負荷トルクTopが減速閾値Ta以上に達した場合には、前述したようにリングギヤ12が回転を開始し、第1レバー21の揺動端が第1係合部25から離脱し、かつ、第2レバー22の揺動端が第2係合部26に係合する状態となり、減速出力モードに移行する。
このように減速出力モードに移行した後には、出力軸2に作用する負荷トルクTopが減速閾値Ta未満であっても、この負荷トルクTopが等速閾値Tb未満にならない限り(不感帯にある限り)、減速出力モードでの伝動状態が維持される。これにより出力軸2に作用する負荷が変動した場合に、等速出力モードと減速出力モードとの間でモードが頻繁に切換わるハンチングを招くことがない。そして、減速出力モードに切換わることにより入力軸1に作用する入力トルクTinは大きく低下する。
次に、減速出力モードにおいて出力軸2に作用する負荷トルクTopが等速閾値Tb未満まで低下した際には、第2レバー22の揺動端が第2係合部26から離間すると共に、第1スプリング23の付勢力で第1レバー21の揺動端が第1係合部25に係合する状態に達し、等速出力モードでの伝動に移行するのである。
〔第3実施形態〕
この第3実施形態の負荷感応型変速装置は、第2実施形態の負荷感応型変速装置と基本的に変わるところはなく、第1係合部25に対して第1レバー21が係合する際の衝撃を緩和する緩衝部材30を備えた構成が第2実施形態と相違している(共通する構成には第2実施形態と共通する番号・符号を付している)。
図19〜図22に示すように、リングギヤ12には、第1レバー21の揺動端が回転軸芯Xに近接する方向へ揺動した際に第1規制部21Aに当接して、この方向への揺動限界を決めるピン状の第1規制体12Pが突設されている。また、リングギヤ12には、第1レバー21の揺動端が回転軸芯Xから離間する方向へ揺動した際に第1レバー21に当接して、この方向への揺動限界を決めるピン状の第2規制体12Qが突設されている。
キャリア14の外周には第1レバー21が係合するために複数の第1係合部25が形成され、この第1係合部25には第1レバー21の係合時に、この第1レバー21が当接する当接面としての姿勢制御面25Sが形成されている。
この姿勢制御面25S(当接面の一例)は、係合状態の第1レバー21に沿うように直線的に形成されており、この姿勢制御面25Sにはゴムや樹脂のように柔軟に変形し得る可撓性材料を用いた緩衝部材30が備えられている。
緩衝部材30は、第1レバー21の方向に突出する突出部31と、この緩衝部材30をキャリア14に支持するために外方に張り出す一対の係合部32と、突出部31に第1レバー21が接触して圧力作用した際に突出部を姿勢制御面25Sより沈み込む位置まで変位させる弾性変形部33とが一体的に形成されている。
緩衝部材30の中央部には孔状部34が形成され、この孔状部を取り囲む領域には円弧状となる弾性変形部33が形成され、この弾性変形部33のうち最も外方に突出する部位により前述した突出部31が構成されている。この緩衝部材30の弾性変形部33(突出部31を含む)は外力が作用しない状態で図20に示す形状を維持するように構成されている。
キャリア14のうち姿勢制御面25Sが形成された部位を厚さ方向(回転軸芯Xに沿う方向)の一方を残し、他方の一部切り欠く形態で支持凹部14Kが形成されている。この支持凹部14Kには緩衝部材30の一対の係合部32が係合する被係合部が一体的に形成されている。このように支持凹部14Kが形成されることにより、第1レバー21が係合した際には、第1係合部25においてキャリア14の厚さ方向で一方に残される姿勢制御面25Sに対して第1レバー21の当接が可能となる。
この構成から、緩衝部材30を支持凹部14Kに嵌め込むことにより、緩衝部材30の一対の係合部32が支持凹部14Kの被係合部に係合し、図20に示す如く緩衝部材30の姿勢が決まる。その結果、緩衝部材30の突出部31と弾性変形部33とが姿勢制御面25Sから第1係合部25の内部空間に突出する状態となる。
〔作動形態〕
出力軸2に作用する負荷トルクTopが減速閾値Ta以上にある場合には、図20に示す如く第1レバー21の揺動端が回転軸芯Xから離間する姿勢にあり、第2レバー22の揺動端が第2係合部26に係合する状態にある。この状態では、リングギヤ12の回転が阻止され、遊星ギヤ減速機構Pが機能するため、入力軸1に伝えられる駆動力を遊星ギヤ減速機構Pで減速し、その減速動力をキャリア14から出力軸2に伝動する減速出力モードが維持される。
この減速出力モードにおいて、出力軸2に作用する負荷トルクTopが低下して等速閾値Tb未満まで低下した場合には、遊星ギヤ減速機構Pからリングギヤ12に作用する反力が低下し、第1スプリング23の付勢力によりリングギヤ12が逆転方向Sと反対方向に回転を開始する。この回転により第1レバー21は回転軸芯Xに接近する方向に揺動を開始する。
この後に、出力軸2に作用する負荷トルクTopが等速閾値Tb未満まで低下することにより、第1レバー21の揺動端が、キャリア14の第1係合部25に係合する状態に達し、等速出力モードへの移行が完了する。
特に、第1係合部25に対して第1レバー21が係合する際には、第1スプリング23の付勢力により、第1レバー21が第1係合部25の姿勢制御面25Sに対して高速で作動する。従って、例えば、キャリア14と第1レバー21とが金属材で構成されるものでは、姿勢制御面25S(当接面の一例)に対して第1レバー21が直接的に当接する場合に第1レバー21と第1係合部25の姿勢制御面25Sとが当接する際に大きい衝撃音を発生させ、振動を招くことになるが、この衝撃音と振動とを緩衝部材30が抑制する。
つまり、第1係合部25に係合する方向に第1レバー21が揺動する際には、緩衝部材30の突出部31に対して第1レバー21が接触し、この突出部31と弾性変形部33とが弾性変形することにより第1レバー21の運動エネルギーを奪い第1レバー21の揺動速度を減ずる。これにより、第1レバー21に対して第1スプリング23から強力な付勢力が作用する構成でありながら、第1レバー21が第1係合部25の姿勢制御面25S(当接面)に当接する際には、揺動速度が減じられ当接時の衝撃音と振動との抑制を実現するのである。
また、第1レバー21が第1係合部25の姿勢制御面25Sに当接する状態に達した場合には、図21に示すように、緩衝部材30の弾性変形部33が大きく弾性変形することにより、突出部31が姿勢制御面25Sより沈み込む位置まで変位する。この変位により、第1係合部25の姿勢制御面25Sに対して第1レバー21を直接的に当接させる状態が維持され等速出力モードでの伝動を安定的に行わせることになる。
〔第3実施形態の変形例〕
本発明では、緩衝部材30として板バネやコイルスプリング等の付勢部材を用い、この付勢部材の一部、あるいは、付勢部材で付勢された部材を姿勢制御面25S(当接面)から第1係合部25の内部空間に突出させるように備えることが可能である。
具体的な構成として、図23に示すように、板バネで構成される緩衝部材30を、キャリア14の支持凹部14Kに支持しても良い。この構成でもキャリア14のうち姿勢制御面25Sが形成された部位を厚さ方向(回転軸芯Xに沿う方向)の一方を残して支持凹部14Kが形成されている。
緩衝部材30は、板バネが長さ方向の中央の領域を円弧状に成形して突出部31と弾性変形部33とを形成しており、この板バネの長手方向の両端部に一対の係合部32を形成した構成を有している。そして、係合部32を支持凹部14Kに連なる部位に支持し、突出部31が最も突出するように、この突出部31と弾性変形部33とが姿勢制御面25Sから第1係合部25の内部空間に突出するように支持凹部14Kに支持している。
これにより、第1係合部25に係合する方向に第1レバー21が揺動する際には、緩衝部材30の突出部31に対して第1レバー21が接触し、弾性変形部33が弾性変形することにより第1レバー21の運動エネルギーを奪い第1レバー21の揺動速度を減ずる。
従って、第1レバー21が第1係合部25の姿勢制御面25S(当接面)に当接する際には、揺動速度が減じられ当接時の衝撃音と振動とが抑制されるのである。
また、具体的な構成として、図24に示すように、緩衝部材30を、樹脂材で成る突出部31と、コイルスプリングで成る弾性変形部33とで構成し、これらをキャリア14の支持凹部14Kに支持しても良い。この構成でもキャリア14のうち姿勢制御面25Sが形成された部位を厚さ方向(回転軸芯Xに沿う方向)の一方を残して支持凹部14Kが形成されている。
この構成では、突出部31が姿勢制御面25Sから第1係合部25の内部空間に突出するように支持凹部14Kに支持し、この支持凹部14Kの内部に弾性変形部33が配置される。
これにより、第1係合部25に係合する方向に第1レバー21が揺動する際には、緩衝部材30の突出部31に対して第1レバー21が接触し、突出部31が弾性変形部33(コイルスプリング)の付勢力により変位することにより第1レバー21の運動エネルギーを奪い第1レバー21の揺動速度を減ずる。従って、第1レバー21が第1係合部25の姿勢制御面25S(当接面)に当接する際には、揺動速度が減じられ当接時の衝撃音と振動とが抑制されるのである。
更に、本発明では、緩衝部材30として、姿勢制御面25S(当接面の一例)に対して弾性変形可能でブロック状となるゴムや樹脂を用い、この緩衝部材30を焼き付けや接着により固定しても良い。また、緩衝部材30として、姿勢制御面25Sに対して樹脂材を塗布することにより形成される樹脂膜で構成しても良い。
尚、前述した第3実施形態では、第1係合部25に対して緩衝部材30を支持していたが、第1レバー21に対して緩衝部材30を備える構成や、第1レバー21と第1係合部25との双方に緩衝部材30を備える構成を採用しても良い。このように緩衝部材30を備えた構成でも、減速出力モードから等速出力モードへの移行時において衝撃と振動を抑制することが可能となる。
本発明は、出力軸に作用する負荷トルクの増大に基づいて自動的な減速を行う負荷感応型減速装置に利用することができる。
2 出力ギヤ
5 ケース(第1ケース)
11 サンギヤ
12 リングギヤ
13 プラネタリギヤ
14 キャリア
21 第1レバー
21A 規制機構(第1規制部)
21B 規制機構(第3規制部)
22 第2レバー
22A 規制機構(第2規制部)
23 第1付勢機構(第1スプリング)
24 第2付勢機構(第2スプリング)
25 第1係合部
25S 姿勢制御面・当接面
26 第2係合部
30 緩衝部材
31 突出部
33 弾性変形部
45 連動回転部材
45C 係合凹部
46 第1付勢機構(渦巻スプリング)
A 切換機構
Ta 減速閾値
Tb 等速閾値
X 回転軸芯

Claims (12)

  1. 回転軸芯と同軸芯に配置され駆動力が伝えられるサンギヤと、前記回転軸芯と同軸芯で前記サンギヤを取り囲む位置に配置されるリングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに咬合するプラネタリギヤと、前記プラネタリギヤを支持し、このプラネタリギヤからの回転力により前記回転軸芯を中心に回転可能なキャリアと、前記回転軸芯と同軸芯で前記キャリアに一体形成される出力軸と、を備えて遊星ギヤ減速機構が構成されると共に、
    前記リングギヤに対し第1揺動軸芯を中心に揺動自在に支持される第1レバーと、前記第1レバーに対し第2揺動軸芯を中心に揺動自在に支持される第2レバーと、
    前記第1レバーに対し、この第1レバーの揺動端を前記回転軸芯に接近させる方向に付勢する第1付勢機構と、前記第2レバーに対し、この第2レバーの揺動端を前記回転軸芯に接近させる方向に付勢する第2付勢機構と、
    前記第1付勢機構の付勢力により前記第1レバーの揺動端が係合するために前記キャリアに形成された第1係合部と、前記第2付勢機構の付勢力により前記第2レバーの揺動端が係合するために固定系に形成された第2係合部と、を備えて切換機構が構成され、
    前記切換機構は、前記出力軸に作用する負荷が減速閾値未満の間、第1付勢機構の付勢力により前記第1レバーの揺動端を前記第1係合部に係合させて前記リングギヤと前記キャリアとを一体回転させる等速出力モードでの伝動を行い、
    前記等速出力モードで前記出力軸に作用する負荷が前記減速閾値以上に達し前記キャリアに対し前記リングギヤが回転を開始すると、前記第1付勢機構の付勢力に抗して前記第1レバーの揺動端を前記第1係合部から離間させ、かつ、前記リングギヤの回転力を前記第2レバーの揺動端から前記第2揺動軸芯に向かう方向に受け止める姿勢に設定して、前記第2レバーの揺動端を前記第2係合部に係合させることで前記リングギヤの回転を阻止して前記遊星ギヤ減速機構で減速された駆動力を前記出力軸に伝える減速出力モードでの伝動を行う負荷感応型減速装置。
  2. 前記第1レバーが前記第1係合部に係合する係合姿勢にある間、前記第2レバーを前記第2係合部から遠ざける規制姿勢に保持する規制機構を備えている請求項1記載の負荷感応型減速装置。
  3. 前記第1係合部と前記第2係合部とが前記回転軸芯に沿う方向にオフセットして配置され、前記第1レバーの揺動端に対し前記第2レバーが前記回転軸芯に沿う方向にオフセットする位置に連結している請求項1又は2記載の負荷感応型減速装置。
  4. 前記第1係合部が、前記キャリアにおいて前記回転軸芯に向けて半径方向に窪む凹状に形成され、
    前記出力軸に作用する負荷が前記減速閾値以上に達し、前記キャリアが回転を開始すると、前記第1レバーを前記回転軸芯から離間する方向に向かう押圧力を作用させる姿勢制御面が、凹状の前記第1係合部に連なる領域に形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の負荷感応型減速装置。
  5. 前記第1係合部と前記第1レバーとの少なくとも何れか一方に対して、前記第1係合部に前記第1レバーが係合する際の衝撃を緩和する緩衝部材を備えている請求項4記載の負荷感応型減速装置。
  6. 前記緩衝部材が、前記第1係合部において前記第1レバーが当接する当接面から突出する形態で前記キャリアに嵌め込み支持されると共に、この緩衝部材は、前記第1レバーに接触する突出部と、前記第1レバーが接触した後に前記突出部を前記当接面より沈み込む位置まで変位させる弾性変形部とを備えている請求項5記載の負荷感応型減速装置。
  7. 前記第2係合部が、前記回転軸芯を中心とする円周状の外周面の複数箇所に形成した突起により構成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の負荷感応型減速装置。
  8. 前記切換機構が、前記減速出力モードにおいて前記出力軸に作用する負荷が減少して前記等速出力モードに切り換わる際の等速閾値が、前記減速閾値より小さい値に設定されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の負荷感応型減速装置。
  9. 前記第1付勢機構が、前記第1レバーの揺動端と、前記リングギヤとの間に配置される引っ張り型コイルスプリングで構成されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の負荷感応型減速装置。
  10. 前記回転軸芯を中心にした所定角度の回転により複数の前記第1レバーを揺動させる連動回転部材を備え、
    前記第1付勢機構が、その外端を当該負荷感応型減速装置のケースに支持し、その内端を前記連動回転部材に連係させることにより、前記回転軸芯を中心にした回転力を前記連動回転部材に作用させる渦巻スプリングで構成されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の負荷感応型減速装置。
  11. 前記連動回転部材の外周側に前記渦巻スプリングが配置されている請求項10記載の負荷感応型減速装置。
  12. 前記連動回転部材の外周に形成された複数の係合凹部の何れか1つに前記渦巻スプリングの内端が係合している請求項10又は11記載の負荷感応型減速装置。
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