JP2013245786A - 負荷感応型変速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】負荷に基づいた機械的な作動で自動的な変速を円滑に行う変速装置を、少ない部品点数で小型に構成する。
【解決手段】負荷が設定値未満である場合に等速伝動姿勢を維持し、負荷が設定値を超えた場合に減速伝動姿勢に変位する複数の切換部材20をリングギヤ12に変位自在に支持し、複数の切換部材20を繋ぐ付勢部材5を備えた。切換部材20が等速伝動姿勢であると、係合部23をキャリア15の凹状部15Aに係合させてサンギヤとリングギヤ12とキャリア15とを一体回転させる等速伝動状態を現出する。切換部材20が減速伝動姿勢に変位すると、当接アーム22をミッションケース側の拘束歯部3に係合させ、係合部23を凹状部15Aから離脱させてリングギヤ12を拘束して減速を現出する。
【選択図】図3

Description

本発明は、負荷感応型変速装置に関し、詳しくは、出力系に作用する負荷の変化に伴い機械的な作動により変速が行われる変速装置に関する。
上記のように構成された負荷感応型変速装置として特許文献1には、入力軸からの駆動力で回転するサンギヤと、サンギヤを取り囲む位置のリングギヤと、サンギヤとリングギヤとに咬合する複数のプラネタリギヤと、プラネタリギヤとともに公転運動するキャリアとを備えた遊星ギヤ伝動系が記載されている。
この特許文献1では、キャリアに出力軸が連結しており、リングギヤと同軸芯で相対回転自在に作動リングを備え、リングギヤと作動リングとの相対回転姿勢を中立姿勢に付勢するコイルバネを備えている。リングギヤには作動体が変位自在に支持され、リングギヤと作動リングとの相対回転姿勢が変化した際に作動体を変位させる連係軸を作動リンクに備えている。
この特許文献1では、出力軸に作用する負荷が設定値未満である場合には作動体の係合ピンをキャリアに係合させることで、サンギヤとリングギヤとプラネタリギヤとキャリアとを一体化させ高速伝動状態を実現する。これとは逆に、出力軸に作用する負荷が設定値を越える場合には、コイルバネの付勢力に抗して作動体を変位させて係合ピンをキャリアから分離すると共に、この作動体の内接当片をミッションケース側のロック部に係合させることで、リングギヤを拘束し遊星ギヤ伝動系での減速伝動状態を現出する。
特開2012‐31986号公報
特許文献1に記載される構成は、リングギヤと作動リングとが広い面で接触するため、出力軸に作用する負荷が変化した場合にリングギヤと作動リングと接触部位における抵抗により相対回転姿勢の変化が円滑に行われないことがあった。また、コイルバネ側面が作動部材の外周に接触摺動する構成であるため、コイルバネの伸縮が円滑に行われず、必要とする付勢力を適正に作用させることも行われ難く変速作動が不安定になることもあった。
また、高速伝動状態から減速伝動状態に切り換える際の作動時には、作動体の係合ピンをキャリアから分離させたタイミングで、作動体の内当接片をロック部に係合させる必要があるため、高い加工精度を必要とする。しかし、加工精度が低いものでは変速時に係合ピンがキャリアから分離したタイミングで、作動体の内当接片がロック部に係合しない状態が発生し、空転により伝動が行われない状況に陥ることが考えられた。
この空転を招かないように、作動体の係合ピンがキャリアから分離する以前に作動体の内当接片をロック部に係合させ、この後に、係合ピンをキャリアから分離させるように作動順序を設定する構成も考えられる。しかしながら、この構成を実現するには、駆動力を逃がし伝動系の破損を抑制する目的から作動体等に弾性変形可能なバネ鋼等を用いる必要があり、コストの上昇を招くことになる。
特に、特許文献1の構成では、比較的大型の作動リングを必要とするため、部品点数が増大するだけではなく、装置全体の大型化、重量化を招く観点において改善の余地があった。
本発明の目的は、負荷に基づき機械的な作動により自動的な変速を円滑に行う変速装置を、少ない部品点数で小型で合理的に構成する点にある。
本発明の特徴は、入力軸から駆動トルクが伝えられるサンギヤと、このサンギヤを取り囲むリングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに咬合するプラネタリギヤと、プラネタリギヤとともに主軸芯を中心に回転運動することが可能なキャリアと、キャリアの回転運動を取り出す出力軸と、その内部に前記入力軸、前記サンギヤ、前記リングギヤ、前記プラネタリギヤ、前記キャリア及び前記出力軸を収容するケースとを備えて遊星ギヤ伝動系を構成し、前記出力軸に作用する負荷トルクが設定値未満である場合に等速伝動姿勢に設定されることで前記サンギヤと前記リングギヤと前記プラネタリギヤと前記キャリアとを一体回転させる等速伝動状態を作り出し、前記負荷トルクが前記設定値を超える場合に減速伝動姿勢に設定されることで前記リングギヤの回転を阻止しながらキャリアの回転を許容して減速伝動状態を作り出す複数の切換部材を前記リングギヤに変位自在に備えると共に、前記切換部材が、前記キャリアと一体回転する被係合部に対して前記等速伝動姿勢で係合し、前記減速伝動姿勢で前記被係合部から分離する係合部と、前記ケースの拘束部に対して前記等速伝動姿勢で分離し、前記減速伝動姿勢で前記拘束部に当接する当接部とを備えて構成され、前記切換部材の変位力を隣接する前記切換部材に伝えるように隣接する位置の切換部材を繋ぐ状態で配置される付勢部材を備えて構成されている点にある。
この構成によると、出力軸に作用する負荷トルクが設定値未満である場合には、付勢部材の付勢力により切換部材が等速伝動姿勢に設定される。これにより、切換部材の係合部がキャリアの被係合部に係合する状態を維持し、リングギヤとキャリアとを一体化させ、結果として、サンギヤとリングギヤとプラネタリギヤとキャリアとを一体回転させる等速伝動状態を作り出す。これとは逆に、出力軸に作用する負荷トルクが設定値を越える場合には、リングギヤとキャリアとの相対回転位相の変化に伴い係合部から切換部材に力が作用する。この力の作用により付勢部材の付勢力に抗して切換部材が減速伝動姿勢の方向に変位して切換部材の係合部が被係合部から分離すると共に、切換部材の当接部がケースの拘束部に当接するためリングギヤの回転が阻止され、遊星ギヤ伝動系で減速した駆動力を出力軸に伝える減速状態を作り出す。
また、切換部材に対して余計な摺動抵抗の無い付勢部材の付勢力が直接的に作用するため、負荷トルクの変化に対して感度良く変速を行うことが可能となり、隣接する切換部材を繋ぐ位置に付勢部材を備えているので、複数の切換部材の姿勢を連動して変化させることも可能となる。
特に、変速作動時には、切換部材が等速伝動姿勢から減速伝動姿勢に切り換わり、切換部材の当接部がケースの拘束部に当接したタイミングで、切換部材の係合体をキャリアの被係合部に係合する状態を継続し、この後に、切換部材を更に変位させることで係合体をキャリアの被係合部から分離させることも可能となり、動力が伝えられない空転状態を招くことがない。尚、減速伝動状態から等速伝動状態に切り換わる際にも同様の作動により空転状態を招くことがない。
従って、負荷に基づき機械的な作動により自動的な変速を円滑に行う変速装置が少ない部品点数で小型で低廉に構成された。
本発明は、前記リングギヤに前記切換部材を支持する支持部が、前記リングギヤ又は前記切換部材に備えた支持軸と、この支持軸が挿通するように前記切換部材又は前記リングギヤに形成された孔部とを備えて構成され、前記切換部材が前記等速伝動姿勢から前記減速伝動姿勢に変化して前記拘束部に前記当接部が当接した際に、前記被係合部から係合部材が離間する方向への前記切換部材の変位を許す形状に前記孔部が設定されても良い。
これによると、例えば、切換部材が等速伝動姿勢にある状態で出力軸に作用する負荷トルクが増大して、キャリアの被係合部から切換部材の係合部に力が減速伝動姿勢の方向に作用した場合には、被係合部と係合部とが係合する状態のまま、切換部材の当接部を拘束部に当接する状態に移行し、この後に、被係合部から係合部を離間させる方向に切換部材を変位させることが可能となる。つまり、拘束部に対して当接部が当接する以前に被係合部から係合部が離間することによる空転を回避し、切換部材が減速伝動姿勢に達しリングギヤの回転を阻止する状態に移行した後に、被係合部と係合部とを離間させることで確実な変速を実現する。
本発明は、前記支持部が、一対の前記支持軸と、各々の支持軸が挿通し、長手方向の両端側ほど接近するように円弧状に形成された前記孔部とを備えて構成され、前記切換部材が等速伝動姿勢にある場合に一対の前記支持軸が対応する前記孔部の端部に当接するように位置関係が設定されても良い。
これによると、例えば、リングギヤに一対の支持軸を備え、切換部材に一対の孔部を長孔状に形成し、この孔部に支持軸を挿通し、等速伝動姿勢にある場合に夫々の支持軸に対して孔部の端部が当接する。このような当接形態であるため、単一に支持軸を孔部に挿通する構成と比較して切換部材の姿勢を安定させ、付勢部材から作用する付勢力が変化した場合にも切換部材の姿勢を等速伝動姿勢に維持することが可能となる。この安定化は切換部材に一対の支持軸を形成し、リングギヤに一対の孔部を形成した構成であっても同様に説明できる。また、一対の孔部が両端側ほど近接する円弧状であるので、切換部材の変位を容易に行わせる。
一対の支持軸を持つ、もう一つのメリットは、単一の支持軸しか持たない場合と比べ、回転中心となる支持軸から付勢部材(スプリング)支持部までの長さの設定可能範囲が広がることにより、切換しきい値設定の自由度が大きくなることである。
本発明は、前記係合部が、前記主軸芯と平行する姿勢の係合ピンで形成され、前記被係合部が、前記キャリア又は前記キャリアと一体回転する部材の外周において前記主軸芯の方向に窪む凹状部で構成されると共に、前記凹状部の開口部の開口幅が、前記凹状部の底部幅より狭く設定されても良い。
これによると、切換部材が等速伝動姿勢にある場合には、係合ピンが凹状部に入り込みリングギヤとキャリアとを一体回転させる。出力軸に作用する負荷トルクが増大して、被係合部から係合ピンに対して、切換機構を減速伝動姿勢に変化させる方向に力が作用する場合は、被係合部と係合ピンとが離間する方向に相対変位することになるが、凹状部の開口幅が凹状部の底部幅より狭く設定されているため、係合部材が減速伝動姿勢に達する以前に係合ピンが凹状部から抜け出す不都合を抑制する。
本発明は、前記係合部が、前記主軸芯と平行する姿勢で前記切換部材に形成される係合ピンで構成され、前記被係合部が、前記キャリア又は前記キャリアと一体回転する部材の外周において前記主軸芯の方向に窪む凹状部で構成されると共に、前記リングギヤに前記切換部材を支持する支持部が、前記リングギヤに備えた支持軸と、この支持軸が挿通するように前記切換部材に形成された孔部とを備えて構成され、この孔部は、前記等速伝動姿勢にある状態で前記切換部材が前記リングギヤに対して半径方向に変位を許す長孔状に形成され、前記切換部材が前記等速伝動姿勢にある状態で、この切換部材の前記リングギヤの軸芯から離間する方向への変位を規制する規制部材を備えても良い。
これによると、切換部材が等速伝動姿勢にある場合には、係合ピンが凹状部から離間する方向への切換部材の変位を規制部材が阻止するため、係合ピンが凹状部に係合する状態が維持される。また、切換部材が減速伝動姿勢に変化した場合には、規制部材の規制が解除されるため、切換部材の変位により凹状部から離間させることが可能となる。
本発明は、前記切換部材が前記等速伝動姿勢にある状態で、前記リングギヤの半径方向に移動自在にスライド部材が前記切換部材に支持され、このスライド部材に前記係合部を形成すると共に、前記切換部材が前記等速伝動姿勢にある状態では前記係合部を前記リングギヤの中心側に変位する状態を維持し、前記切換部材が前記減速伝動姿勢にある状態では前記係合部が前記被係合部から離間する方向への変位を許す制御機構を備えても良い。
これによると、切換部材が等速伝動姿勢にある場合には、係合ピンが凹状部から離間する方向へのスライド部材の変位を制御機構が阻止するため、係合ピンが凹状部に係合する状態が維持される。また、切換部材が減速伝動姿勢に変化した場合には、制御機構が、係合ピンが係合凹部から離間する方向へのスライド部材の変位を許すため、係合ピンを凹状部から離間させることが可能となる。
本発明は、前記リングギヤに対し前記主軸芯と同軸芯で相対回転自在に連動リングを備え、前記切換部材の姿勢変更の力を前記連動リングに伝えて回転作動させる連動部を、前記切換部材と前記リングギヤとの間に形成しても良い。
これによると、被係合部から係合部に作用する力により切換部材が、等速伝動姿勢から減速伝動姿勢に姿勢が変化する場合には、この変化により連動リングを回転させ、この回転力により他の切換部材の姿勢を減速伝動姿勢に設定する。つまり、複数の切換機構の姿勢を同時に同じ量だけ変更させることにより、例えば、減速する場合には、複数の切換機構の当接部材をケースの拘束部に同時に接当させると共に、複数の切換機構の係合部材をキャリアの被係合部から同時に離間させることが可能となり滑らかな変速が実現する。
本発明は、前記拘束部が、前記遊星ギヤ伝動系を内蔵する前記ケースにギヤ状に形成された複数の拘束歯部で構成され、前記当接部が、前記切換部材が前記減速伝動姿勢に変位した際に複数の前記拘束歯部の間に入り込む形態で前記拘束歯部に当接する当接アームで構成されると共に、前記拘束歯部に前記当接アームが当接した状態で、これらの間に相対回転力が作用した場合に、前記拘束歯部からの前記当接アームの抜け出しを阻止する係合構造が前記拘束歯部と前記当接アームとの間に形成されても良い。
これによると、切換部材の姿勢が等速伝動姿勢から減速伝動姿勢に変化する際には、切換部材はケースに対して回転する状態で姿勢が変化し、当接アーム部が複数の拘束歯部の間に入り込む状態で拘束歯部に当接する。この状態において拘束歯部と当接アームとの間に相対回転力が作用した場合に、拘束歯部と当接アームとの間に係止される係合構造が、拘束歯部からの当接アームの抜け出しを阻止する。これにより、切換部材のアーム部を当接歯部に当接する状態を維持してケースと一体化させ減速伝動状態への移行を迅速に行わせる。
第1実施形態の負荷感応型変速装置の断面図である。 第1実施形態のサンギヤとキャリアとリングギヤとの相対的な回転状態の概念を示す図である。 図1のIII-III線断面図である。 図1のIV-IV線断面図である。 第1実施形態の負荷感応型変速装置の分解斜視図である。 第1実施形態で、等速伝動状態から減速伝動状態に移行する際の切換部材の姿勢と拘束歯部との関係を連続的に示す図である。 第2実施形態で等速伝動状態の切換部材の姿勢等を示す断面図である。 第2実施形態のキャリアの凹状部の形状を示す断面図である。 第2実施形態で等速伝動状態から減速伝動状態に移行する際の切換部材の姿勢と拘束歯部との関係を連続的に示す図である。 第3実施形態の遊星ギヤ変速機構の構成を示す断面図である。 図10のXI-XI線断面図である。 第3実施形態で、等速伝動状態から減速伝動状態に移行する際の切換部材の姿勢と拘束歯部との関係を連続的に示す図である。 第4実施形態で、等速伝動状態から減速伝動状態に移行する際の切換部材の姿勢と拘束歯部との関係を連続的に示す図である。 第5実施形態の負荷感応型変速装置の断面図である。 図14のXV-XV線断面図である。 第5実施形態の姿勢制御孔を示す図である。 第5実施形態の負荷感応型変速装置の分解斜視図である。 第5実施形態で、等速伝動状態から減速伝動状態に移行する際の切換部材の姿勢と拘束歯部との関係を連続的に示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態・基本構成〕
図1、図3〜図5に示すように、本発明の負荷感応型変速装置は、入力軸1と、出力軸2とを主軸芯Xと同軸芯でミッションケースMに支持し、このミッションケースMの内部に入力軸1の駆動トルクSを出力軸2に伝える遊星ギヤ変速機構P(遊星ギヤ伝動系の一例)を備えている。この負荷感応型変速装置は、出力軸2に作用する負荷トルクTが設定値未満である場合には、図1、図3、図6(a)に示すように切換機構Aが遊星ギヤ変速機構Pでの変速を行わせず入力軸1の回転速度と等しい速度となる回転トルクを出力軸2に伝える等速伝動状態を現出する。これに対して、出力軸2に作用する負荷トルクTが設定値を超えた場合には図6(c)に示すように切換機構Aが遊星ギヤ変速機構Pで減速を行わせ入力軸1の回転速度より低速度の回転トルクを出力軸2に伝える減速伝動状態を現出する。
この負荷感応型変速装置は、自動車のスライドドアのように作動域により負荷トルクTが変動する駆動対象の駆動系に備えられるものであり、低負荷では等速伝動状態に設定し、負荷トルクTが増大した場合には減速伝動状態に設定し、負荷トルクTが低下した場合には再び等速伝動状態に設定するように負荷トルクTに感応する自動変速を行う。この負荷感応型変速装置は、変速比が自動的に変更されることで電動モータの大型化を抑制する。尚、作動対象としてはシートバックの角度を調整する駆動系や、ドアガラスを開閉する駆動系等自動車の全般に使用できるものであるが、自動車以外にも適用できる。
特に、この負荷感応型変速装置では、第1実施形態に限らず、後述する第2〜第5実施形態においても、入力軸1が正転・逆転の何れの方向に回転しても、出力軸2に作用する負荷トルクTに感応して切換機構Aが等速伝動状態と低速回転状態との切り換えを行えるように構成されている。
遊星ギヤ変速機構Pは、入力軸1に連結するサンギヤ11と、このサンギヤ11を取り囲む位置に配置されるリングギヤ12と、サンギヤ11及びリングギヤ12に咬合する複数のプラネタリギヤ14と、プラネタリギヤ14とともに主軸芯Xを中心に回転運動することが可能なキャリア15とを備えている。キャリア15には回転運動を取り出す出力軸2が連結している。このキャリア15は複数のプラネタリギヤ14を遊転支承するプラネタリギヤ14と同数の遊転軸16を主軸芯Xと平行姿勢で備え、このプラネタリギヤ14と同数の遊転軸16の突出側の端部に連結するキャリアリング15Rを備えている。リングギヤ12のうち出力軸2の方向にはリング状のプレート部13が一体的に形成され、このプレート部13に対して後述する切換部材20が支持される。尚、プラネタリギヤ14の数は2つでも4つ以上であっても良い。
図1及び図5に示すように、前述したように、入力軸1と出力軸2とは主軸芯Xと同軸芯上に配置され、この主軸芯Xと同軸芯にサンギヤ11の軸芯が配置され、この主軸芯Xと同軸芯にリングギヤ12の軸芯(リングの中心の軸芯)とキャリア15の軸芯とが配置されている。従って、プラネタリギヤ14は主軸芯Xを中心にして公転し、この公転に伴いキャリア15も主軸芯Xを中心にして回転する。
〔切換機構〕
切換機構Aは、リングギヤ12のプレート部13に対し支持部Acによって変位自在に支持される複数(3つ)の切換部材20と、複数の切換部材20に付勢力を作用させる付勢部材としての複数の引っ張りコイル型のスプリング5と、前述したキャリア15と、ミッションケースMの内部において出力軸2を取り囲む領域においてギヤ状に形成された拘束部としての拘束歯部3とを備えて構成されている。
切換部材20は、図3、図6(a)に示すように両側部にスプリング5の端部が係合する一対のスプリング支持部21が形成され、下部位置(主軸芯側)には拘束歯部3の方向に突出する当接部として一対の当接アーム22が一体的に形成されている。また、切換部材20の裏面側(リングギヤ側)には主軸芯Xと平行姿勢となる係合部としての係合ピン23が突出状態で形成されている。尚、一対の当接アーム22が形成されることにより、正転方向に駆動トルクSを伝える状態で減速伝動姿勢に変位した場合には一方の当接アーム22が拘束歯部3に係合し、逆転方向に駆動トルクSを伝える状態で減速伝動姿勢に変位した場合には他方の当接アーム22が拘束歯部3に係合する。
キャリア15は、円盤状に形成され、その外周に対して被係合部として多数の凹状部15Aが連続的に形成されると共に、この凹状部15Aの境界位置には外方に円弧状に突出するカム状部15Bが形成されている。尚、この凹状部15Aとカム状部15Bとを、キャリア15に形成せず、例えば、キャリア15と一体回転するディスク類の外周に形成しても良い。
支持部Acは、切換部材20に形成された一対の孔部24と、この孔部24に挿通するように主軸芯Xと平行姿勢となる支持軸としての支持ボルト25を備え、プレート部13には支持ボルト25が螺合するネジ孔13Aが形成されている。一対の孔部24は端部同士が近接するように相対的な位置関係で形成された円弧状の長孔として形成され、切換部材20を図3、図6(a)に示す等速伝動姿勢と、図6(b)を経て、図6(c)に示す減速伝動姿勢とへの変位を実現する。
この支持部Acによる切換部材20の変位の形態は後述するが、出力軸2に作用する負荷トルクTが設定値を越えた場合には、リングギヤ12とキャリア15との相対回転位相の変化により切換部材20の一方の当接アーム22を拘束歯部3に当接させるように、切換部材20を大きく揺動させる作動が行われる。この揺動を図3の上側に示される切換部材20を用いて説明すると、揺動は同図の右側(駆動トルクSの上流側)の支持ボルト25の部位を中心として切換部材20を図3、図6において時計回り方向に揺動させる。
この揺動は、3つの切換部材20において略同時に行われるものであり、この揺動により当接アーム22が拘束歯部3の当接歯面3Tに当接した後に、当接アーム22を拘束歯部3の谷状部3Aとの当接位置を中心にして切換部材20を時計回り方向に回転させる力が作用する。この力の作用により当接アーム22が拘束歯部3に当接する状態を維持しながら、係合ピン23をキャリア15のカム状部15Bから離間させる方向に切換部材20がシフトする。このような作動を実現するように一対の孔部24の形状が円弧状に設定されている。
スプリング5は、複数の切換部材20のうち隣接するもの同士を繋ぐ状態で配置される引っ張り型に構成され、その両端を前述したスプリング支持部21に支持している。この複数のスプリング5は、切換部材20が等速伝動姿勢にある状態で、複数の切換部材20に対して付勢力を作用させるように緊張状態(引っ張り状態)で備えられている。
そして、切換部材20が減速伝動姿勢に変位する場合には、複数のスプリング5が3つの切換部材20を連動して夫々の切換部材20を等速伝動姿勢に復元させる方向へ付勢力を作用させる。尚、切換部材20を減速伝動姿勢に変位させる力は、出力軸2に作用する負荷トルクTにより発生し、スプリング5により発生する付勢力は、常に等速伝動姿勢に復元させる方向に働き、このスプリング5による力と、負荷トルクTによって発生する力との釣り合いで切換部材20の姿勢が決まる。
拘束歯部3は、ミッションケースMのうち出力軸2が挿通する筒状部分の外周にギヤ状に複数形成され、夫々の拘束歯部3の境界位置には主軸芯Xを中心にする円弧状の谷状部3Aが形成されている。また、拘束歯部3は、突出側の周方向での端部幅が基端側の基端幅より広くなる扇状に形成されている。
〔切換機構の変形例〕
この切換機構Aでは、支持部Acとして切換部材20に支持軸としてのシャフトを突設し、このシャフトが係入する孔部をリングギヤ12に形成する構成を採用することにより、リングギヤ12に対して変位自在に切換部材20を支持するように構成しても良い。これと同様に、被係合部として多数の係合用のピン類をキャリア15(キャリア15と一体回転するディスク類でも良い)の外周に突設し、このピン類と係脱する凹状部を切換部材20に形成しても良い。
〔付勢部材の変形例〕
付勢部材としてのスプリングとして圧縮コイル型のスプリングを用いることが可能であり、トーション型のスプリングを用いることも可能である。また、付勢部材は切換部材20同士を直接的に繋ぐ位置に配置するものに限るものではなく、例えば、切換部材20とリングギヤ12とを繋ぐ位置に配置することで、リングギヤ12と切換部材20との間で付勢力を作用させる構成であっても良い。
〔作動形態〕
入力軸1に印加される駆動トルクSの作用方向を図3に示す方向(反時計方向)とし、駆動トルクSと逆方向(時計方向)に出力軸2に作用する負荷トルクを負荷トルクTとし、図2に示す相対的な回転状態を示す図に基づいて変速作動を説明する。尚、本発明の負荷感応型変速装置では、入力軸1が駆動トルクSの作用方向に回転し、出力軸2も駆動トルクSの作用方向と同方向に回転するものであるが、出力軸2に作用する負荷トルクTは駆動トルクSの作用方向に対して逆向きに作用する。
出力軸2に作用する負荷トルクTが増大すると、駆動トルクSで回転するサンギヤ11の回転速度に対し、負荷トルクTを受けるキャリア15の回転速度がわずかに低下し、相対回転位相が負荷トルクTの方向にずれる。このとき、キャリア15上にあるプラネタリギヤ14の遊転軸16もサンギヤ11に対し、相対回転位相がずれるので、サンギヤ11に咬合するプラネタリギヤ14は時計回りにわずかに自転する。プラネタリギヤ14はリングギヤ12とも咬合しているため、リングギヤ12もキャリア15に対して相対回転位相が負荷トルクTの方向にずれる。リングギヤ12とキャリア15との相対回転位相がずれると、両者に咬合している切換部材20は時計回りに変位し(傾き)、この時の変位量(傾き角度)は、スプリング5の付勢力と負荷トルクTとの釣り合いで決まる。つまり、負荷トルクTが大きいほど、切換部材20の変位(傾き)は大きくなる。
出力軸2に作用する負荷(負荷トルクT)が設定値未満である場合には、スプリング5の付勢力により3つの切換部材20が図3及び図6(a)に示す等速伝動姿勢に維持される。この等速伝動姿勢に維持されることで、切換部材20の係合ピン23がキャリア15の外周に形成された複数の凹状部15Aの何れかに係合すると共に、当接アーム22が拘束歯部3から離間する位置関係となる。
これにより、図2(a)に示す如く、リングギヤ12とキャリア15とを一体化させ、結果として、サンギヤ11とリングギヤ12とプラネタリギヤ14とキャリア15とを一体回転させる等速伝動状態を実現する。尚、この等速伝動状態では、出力軸2と入力軸1とが等速で回転する。
また、等速伝動姿勢では、スプリング5から切換部材20に作用する付勢力により一対の支持ボルト25が孔部24の内端部に当接する位置関係を維持するため、負荷トルクTが多少変動することがあっても切換部材20が変位することはなく等速伝動状態が安定的に維持される。
次に、出力軸2に作用する負荷(負荷トルクT)が設定値を越えた場合には、スプリング5の付勢力に抗してリングギヤ12とキャリア15との相対回転位相が変化する。切換部材20の変位は支持部Acにより許容されるものであり、このリングギヤ12とキャリア15との相対回転位相の変化に伴い係合ピン23にキャリア15の凹状部15Aからの押圧力が駆動トルクSの作用方向に作用する。この力の作用により、切換部材20は図6(b)に示す減速切換途中の伝動姿勢に変位し、当接アーム22が谷状部3Aに入り込む状態で拘束歯部3に係合する状態に達する。
また、当接アーム22が谷状部3Aに入り込む状態のように、出力軸2に作用する負荷トルクTが増大した場合には、負荷トルクTによりキャリア15の回転速度が減じられ、プラネタリギヤ14の公転速度も減じられるため、サンギヤ11からの駆動トルクSによりプラネタリギヤ14が自転を開始し、リングギヤ12を駆動トルクSの作用方向と逆向きに回転させるトルクが働く。このときリングギヤ12は、等速伝動時の駆動トルクSによる回転速度が十分速ければ負荷トルクTの増大時にも逆回転するに至らないが、等速伝動時の回転速度が遅ければ負荷トルクTの増大時に逆回転に至る場合が考えられ、リングギヤ12に取付けられている切換部材20も同様に、主軸芯X回りに駆動トルクSの作用方向と同方向に回転する場合と、逆方向に回転する場合が考えられる。
この変速装置では、リングギヤ12が駆動トルクSの作用方向と逆向きへ回転する場合と、駆動トルクSの作用方向に回転する場合とにおいて、当接アーム22の突出端と、拘束歯部3とを確実に係合させる係合構造を備えている。この係合構造として、当接歯面3Tが、前述したように突出側の周方向での端部幅が基端側の基端幅より広くなる扇状に成形され、この当接歯面3Tの駆動トルクSの作用方向の上流側と下流側とに当接歯面3Tが形成され、この当接歯面3Tに係合して抜け出しを阻止するように当接アーム22の係合面22Aが形成されている。
この構成からリングギヤ12が駆動トルクSの作用方向と逆方向に回転する状況では、図6(c)に示す如く、当接アーム22の一方の係合面22Aが拘束歯部3の一方の当接歯面3Tに当接する状態が維持される。
反対に、リングギヤ12が駆動トルクSの作用方向と同方向に回転する状況では、図6(b)に示す如く、当接アーム22の一方の係合面22Aが拘束歯部3の一方の当接歯面3Tに当接する。
リングギヤ12とキャリア15との相対回転により凹状部15Aが係合ピン23に強く当接する状態では、係合ピン23を、主軸芯Xから離間させる方向に外方に力を作用させる。この力の作用により切換部材20は、同図において時計回り方向に回転する変位を行い、この変位により切換部材20は駆動トルクSの作用方向の上流側の支持ボルト25の部位を中心にして時計回り方向に回転する。この回転により係合ピン23をキャリア15の凹状部15Aから離脱させるためキャリア15が出力軸2と一体的回転する状態に達する。
このとき、プラネタリギヤ14が自転するので、キャリア15から離脱したリングギヤ12は駆動トルクSの作用方向と逆方向に回転を始める。同様に切換部材20も主軸芯X回りに駆動トルクSの作用方向と逆方向に少し回転した後に、図6(c)に示すように当接アーム22の突出端が拘束歯部3の一方の当接歯面3Tに当接する状態に至り安定する。
また、切換部材20が負荷トルクTの増大により変位する場合に、当接アーム22の突出端が拘束歯部3の谷状部3Aに入らず外周部分に当接した場合には、切換部材20が主軸芯X回りに少し回転した後に、当接アーム22の突出端が谷状部3Aに嵌り込む。
リングギヤ12が駆動トルクSの作用方向と逆方向に回転すると、当接アーム22の突出端が拘束歯部3の谷状部3Aを駆動トルクSの作用方向と逆方向に向けて相対的に滑動し、図6(c)に示すように、他方の係合面22Aが他方の当接歯面3Tに当接し、当接状態が維持される。
更に、リングギヤ12が駆動トルクSの作用方向に回転することより、図6(c)に示す如く、当接アーム22の突出端と谷状部3Aとの当接部位を支点として切換部材20を時計回り方向に回転させる力が作用する。この力の作用の結果、切換部材20は、更に時計回り方向に回転する形態でシフトし(厳密には揺動を伴いシフトする)、係合ピン23はキャリア15の凹状部15Aから確実に離間する位置に達する。図2(b)に示すようにキャリア15の回転速度が減じられ減速伝動状態に達する。
つまり、変速作動時には、リングギヤ12が駆動トルクSの作用方向と逆方向へ回転しており直接図6(c)の減速伝動姿勢に達する場合と、駆動トルクSの作用方向と同方向へ回転しており図6(b)の状態を経て図6(c)の減速伝動姿勢に達する場合とがあるが、そのいずれの場合でも、当接アーム22が拘束歯部3に安定して当接維持された後キャリア15から係合ピン23が離脱する順序となるので、途中で動力が伝えられない空転状態を招くことがない。
〔第1実施形態の作用・効果〕
このように、本発明の負荷感応型変速装置は、リングギヤ12に対して変位自在に複数の切換部材20を支持し、隣接する切換部材20を繋ぐ形態で互いに付勢力を作用させるスプリング5を備えることにより、簡単で少ない部品で自動変速が可能な作動を実現する。この構成では、電気的な制御を行うためのセンサやアクチュエータ類を備えることなく、機械的な作動だけで等速伝動状態と低速伝動状態との切り換えを実現する。
また、負荷トルクTが設定値を越えた場合に切換部材20を等速伝動姿勢から減速伝動姿勢に切り換える際には、複数のスプリング5を介して複数の切換部材20を連係させる形態で姿勢の切換を行うことが可能となる。
支持部Acとして、一対の支持ボルト25(支持軸の一例)を用い、この支持ボルト25が挿通する孔部24とで構成し、等速伝動姿勢では、一対の支持ボルト25が孔部24の内端部に当接する状態を維持するため、スプリング5の付勢力を高めずとも等速伝動姿勢を維持できるものとなる。
特に、切換部材20が等速伝動姿勢から減速伝動姿勢に変位し、当接アーム22が拘束歯部3に当接したタイミングでは、キャリア15の凹状部15Aに係合ピン23が係合する状態が維持し、この後に、係合ピン23を凹状部15Aから分離させる作動を行うことにより、動力を空転させる不都合を解消する。これは減速伝動状態から等速伝動状態に切り換わる際にも同様に行われる。
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、リングギヤ12に対して複数(3つ)の切換部材20を支持部Acにより変位自在に支持し、隣接する切換部材20を繋ぐ形態でスプリング5を備え、変位により拘束歯部3に係脱する切換機構Aを備えた基本的な構成において第1実施例と共通する。
これに対し、この第2実施形態では、図7に示すように支持部Acを構成する一対の孔部24が円弧状ではなく長手方向の中間部で幅が拡大する長孔状に形成された点が第1実施形態と異なる。また、図8に示すようにキャリア15の外周に形成される凹状部15Aの開口幅W1が、この凹状部15Aの底部の底部幅W2より小さく設定された構成が第1実施形態と異なり、当接アーム22と拘束歯部3との当接形態が異なる。尚、この第2実施形態では第1実施形態と同じ機能を有するものには、第1実施形態と共通する番号・符号を付している。
つまり、キャリア15の外周に形成される凹状部15Aは、周方向での開口幅W1が、この凹状部15Aの底壁部の周方向での底部幅W2より広く設定されている。切換部材20の外端側(リングギヤ12の外周側)をV字状に切り欠く形態で一対のガイド面20Gを形成し、これらのガイド面20Gに当接するガイドピン17をプレート部13から切換部材20の方向に突出している。
拘束歯部3として、主軸芯Xに沿う方向視において、歯元から歯先に亘る領域を直線状に成形した一対の規制面3Sとすることで、各々の拘束歯部3が三角形状に形成されている。この規制面3Sに当接するように切換部材20の一対の当接アーム22の突出端には当接面22Sが形成され、一対の当接アーム22には規制面3Sに向かい合う方向に突出面22Tが形成されている。
〔作動形態〕
出力軸2に作用する負荷(負荷トルクT)が設定値未満である場合には、スプリング5の付勢力により3つの切換部材20が図9(a)に示す等速伝動姿勢に維持される。この等速伝動姿勢では、切換部材20の係合ピン23がキャリア15の外周に形成された複数の凹状部15Aの何れかに係合すると共に、当接アーム22が拘束歯部3から離間する位置関係となる。これにより、サンギヤ11とリングギヤ12とプラネタリギヤ14とキャリア15とを一体回転させる等速伝動状態を実現する。
特に、この等速伝動姿勢では、スプリング5から切換部材20に作用する付勢力により一対の支持ボルト25が孔部24の内端部に当接する位置関係を維持するため、負荷トルクTが多少変動することがあっても切換部材20が変位することはなく等速伝動状態が安定的に維持される。
次に、出力軸2に作用する負荷(負荷トルクT)が設定値を越えた場合には、スプリング5の付勢力に抗してリングギヤ12とキャリア15との相対回転位相が変化する。つまり、係合ピン23にはキャリア15の凹状部15Aの開口部の近傍からの押圧力が駆動トルクSの作用方向に加わり、切換部材20は揺動する形態で変位する。
この変位は支持部Acにより許容されるものであり、図9(b)に示すように、リングギヤ12とキャリア15との相対回転により凹状部15Aの開口部の近傍から係合ピン23に強く当接する。当接により係合ピン23を、主軸芯Xから離間させる方向に力を作用させ、この力の作用により切換部材20は、同図において時計回り方向に揺動する変位を開始するが、凹状部15Aの形状によりキャリア15から脱落しにくい方向に力が作用する。
このように揺動する際には、第1実施形態で説明したようにリングギヤ12が駆動トルクSの作用方向と同方向に回転するため、図9(b)に示す如く、一方の当接アーム22の突出面22Tが拘束歯部3の規制面3Sと反対側に当接することもあるが、各々の拘束歯部3が三角形状に形成されているので、突出面22Tが拘束歯部3の一方の規制面3Sの反対側(他方の規制面3S)の先端部に当接した場合にも、係合ピン23を支点として切換部材20を少し揺動させる形態で、当接アーム22が簡単に乗り越えることが可能となり、例えば、当接アーム22が拘束歯部3に嵌合して固着する不都合がない。
次に、当接状態で凹状部15Aから係合ピン23が離間した場合に、リングギヤ12の駆動トルクSの作用方向とは逆方向への回転トルクにより当接アーム22の当接面22Sが拘束歯部3の規制面3Sに当接する。この当接状態でリングギヤ12の回転が継続する。これにより、当接アーム22と拘束歯部3の規制面3Sに当接する状態で切換部材20を時計回りに回転させる力が作用する。この力の作用により切換部材20を主軸芯Xから離間させる離間方向に力が作用し、切換部材20はこの離間方向にシフトし、図9(c)に示すように、係合ピン23が凹状部15Aから完全に離間する。
このように切換部材20が減速伝動姿勢に達し、切換部材20のガイド面20Gがガイドピン17に当接することにより、リングギヤ12の回転が阻止されると共に、キャリア15の回転が許容される状態となり、入力軸1に伝えられる駆動トルクSによる回転がプラネタリギヤ14で減速してキャリア15に伝えられ、キャリア15を回転させることにより、減速された回転を出力軸2から取り出すことが可能となる。
〔第2実施形態の作用・効果〕
この第2実施形態では、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同様の作用・効果を奏するが、これらの作用・効果に加えて以下の作用・効果を奏する。キャリア15に形成される凹状部15Aの開口幅W1が、この凹状部15Aの底部幅W2より狭く形成されているので、この凹状部15Aに係入する係合ピン23の脱落を抑制して切換部材20の減速伝動姿勢への変位を確実に行わせる。
また、複数の拘束歯部3が三角形状に形成されているので、切換部材20が減速伝動姿勢に変位する際に、当接アーム22の先端が拘束歯部3に嵌合して分離不能に陥る不都合を抑制して確実な変速を実現する。
〔第3実施形態〕
この第3実施形態は、第1実施例と同様にリングギヤ12に対して複数(3つ)の切換部材20を支持部Acにより変位自在に支持し、隣接する切換部材20を繋ぐ形態でスプリング5を備え、変位により拘束歯部3に係脱する切換機構Aを備えた基本的な構成において共通する。尚、この第3実施形態では第1実施形態と同じ機能を有するものには、第1実施形態と共通する番号・符号を付している。
これに対し、この第3実施形態では、支持軸(支持シャフト32)が1本となる支持部Acの構成が第1実施形態と異なり、図10及び図11に示すようにキャリア15より小径となる係合ディスク31をキャリア15と一体的に形成し、この係合ディスク31の外周に被係合部として複数の係合凹部31Aを形成した構成が第1実施形態と異なる。
支持軸として3本の支持シャフト32をリングギヤ12に貫通する状態で備え、3つの切換部材20には支持部Acとして単一の非円形の孔部24を形成し、この孔部24に対して支持シャフト32を挿通する形態で切換部材20が変位自在に支持されている。
孔部24は、図11に示すように、切換部材20が等速伝動姿勢にある場合に、この切換部材20が主軸芯Xから離間する方向への変位を小さくするように中央位置の上下方向への第1幅D1を小さく、この中央位置の両側部の位置で外方に拡がる第2幅D2を大きく設定している。
切換部材20の下部(主軸芯Xの方向の部位)には、主軸芯Xの方向に突出する係合突起としての係合突起26を切換部材20と一体的に形成してあり、この係合突起26を挟む両側部に一対の当接アーム22を形成している。係合ディスク31の外周部分には鋸歯状となる被係合部としてV字状に窪む係合凹部31Aが形成されている。
〔第3実施形態の切換機構の変形例〕
この第3実施形態では、支持部Acとして切換部材20に軸体としてのシャフトを突設し、このシャフトが係入する孔部をリングギヤ12に形成する構成を採用することにより、リングギヤ12に対して変位自在に切換部材20を支持するように構成しても良い。
〔作動形態〕
出力軸2に作用する負荷(負荷トルクT)が設定値未満である場合には、スプリング5の付勢力により3つの切換部材20が図12(a)に示す等速伝動姿勢に維持される。この等速伝動姿勢では、切換部材20の係合突起26が係合ディスク31の外周の複数の係合凹部31Aの何れかに係合すると共に、当接アーム22は拘束歯部3から離間する位置関係となる。これにより、サンギヤ11とリングギヤ12とプラネタリギヤ14とキャリア15とを一体回転させる等速伝動状態を実現する。
尚、この第3実施形態では係合ディスク31に形成された係合凹部31Aが三角状の歯部を有する形状であるため、この係合凹部31Aから係合突起26に対して分離方向に力が作用するものであるが、孔部24の第1幅D1の部位により切換部材20の分離方向への変位は抑制される。
次に、出力軸2に作用する負荷(負荷トルクT)が設定値を越えた場合には、スプリング5の付勢力に抗してリングギヤ12とキャリア15との相対回転位相が変化する。つまり、係合突起26に対して係合凹部31Aからの押圧力が駆動トルクSの作用方向に加わり、切換部材20が揺動する形態で変位する。
この変位は支持部Acにより許容されるものであり、この変位により図12(b)に示すように、切換部材20は、同図において時計回り方向に回転する形態で揺動し、一方の当接アーム22が拘束歯部3の谷状部3Aに当接する状態に達する。
この当接状態でリングギヤ12が負荷トルクTの方向に回転することにより、当接アーム22と拘束歯部3の谷状部3Aとの当接部を中心にして切換部材20を更に時計回り方向に回転させる力が作用する。この力の作用により切換部材20を主軸芯Xから離間させる離間方向に力が作用し、図12(c)に示す如く、切換部材20は、孔部24の第2幅D2の方向にシフトする変位が行われる(厳密には揺動を伴いシフトする)。
〔第3実施形態の作用・効果〕
この第3実施形態では、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同様の作用・効果を奏するが、これらの作用・効果に加えて以下の作用・効果を奏する。切換部材20に形成される支持部Acを構成する孔部24を非円形に形成しているので、切換部材20が等速伝動姿勢にある場合には、係合突起26が係合ディスク31の係合凹部31Aから離間する方向への変位が規制する。また、切換部材20が減速伝動姿勢に達した場合には孔部24が、係合突起26が係合凹部31Aから確実に離脱する方向への変位を許容し、減速伝動状態に移行する。
この第3実施形態では、切換部材20に対して係合突起26を一体的に形成し、この係合突起26が係脱する係合ディスク31をキャリア15に一体的に形成したため、この係脱構造を強固に構成することを可能にしている。
〔第4実施形態〕
この第4実施形態は、リングギヤ12に対して複数(3つ)の切換部材20を支持部Acで変位自在に支持し、隣接する切換部材20を繋ぐ形態でスプリング5を備え、変位により拘束歯部3に係脱する切換機構Aを備えた基本的な構成において第1実施例と共通する。尚、この第4実施形態では第1実施形態と同じ機能を有するものには、第1実施形態と共通する番号・符号を付している。
これに対し、この第4実施形態では、支持部Acの構成が第1実施形態と異なる。つまり、図13に示すように支持部Acは切換部材20に形成された単一の孔部24と、この孔部24に挿通する支持軸としての支持ボルト25と、切換部材20に突出形成した制御突起20Aと、等速伝動姿勢において制御突起20Aに当接して主軸芯Xから離間する方向への切換部材20の変位を規制する規制部材としての規制ピン35とを備えている。支持ボルト25はリングギヤ12のプレート部13のネジ孔(図示せず)に螺合する状態で固定される。孔部24は等速伝動姿勢においてリングギヤ12の半径方向に沿う姿勢の長孔として形成されている。
切換部材20が図13(a)に示す等速伝動姿勢にある状態で制御突起20Aが規制ピン35に当接又は近接する位置関係となり、係合ピン23がキャリア15の凹状部15Aに係合する状態を維持する。また、切換部材20が図13(b)に示す減速伝動姿勢に達した場合には制御突起20Aが規制ピン35から離間する位置関係となり、孔部24の長手方向に沿う方向への切換部材20の変位を可能にする。
〔作動形態〕
出力軸2に作用する負荷(負荷トルクT)が設定値未満である場合には、スプリング5の付勢力により3つの切換部材20が図13(a)に示す等速伝動姿勢に維持される。この等速伝動姿勢では、切換部材20の係合ピン23がキャリア15の外周に形成された複数の凹状部15Aの何れかに係合すると共に、当接アーム22が拘束歯部3から離間する位置関係となる。これにより、サンギヤ11とリングギヤ12とプラネタリギヤ14とキャリア15とを一体回転させる等速伝動状態を実現する。
次に、出力軸2に作用する負荷(負荷トルクT)が設定値を越えた場合には、スプリング5の付勢力に抗してリングギヤ12とキャリア15との相対回転位相が変化する。つまり、係合ピン23にはキャリア15の凹状部15Aの開口部の近傍からの押圧力が駆動トルクSの作用方向に加わり、切換部材20は揺動する形態で変位する。
この変位は支持部Acにより許容されるものであり、この変位により図13(b)に示すように、切換部材20は、同図において時計回り方向に回転する形態で揺動し、一方の当接アーム22が拘束歯部3の谷状部3Aに当接する状態に達する。また、切換部材20の回転により、切換部材20の制御突起20Aが規制ピン35から離間する位置関係となり、この切換部材20は、孔部24の長手方向に移動可能な状態となる。
この当接状態でリングギヤ12が負荷トルクTの方向に向けて回転することにより、図13(c)に示す如く、当接アーム22の突出端と谷状部3Aとの当接部位を支点として切換部材20を時計回り方向に回転させる力が作用する。この力の作用の結果、切換部材20は、孔部24の長手方向にシフトする形態でシフトし、係合ピン23はキャリア15の凹状部15Aから確実に離間する位置に達する。
この第4実施形態では、第1実施形態と同様に一対の当接アーム22に係合面22Aを形成し、拘束歯部3に当接歯面3Tを形成した係合構造を備えており、リングギヤ12が駆動トルクSの作用方向に回転する際にも、この逆方向に回転する際にも当接アーム22の抜け出しを阻止するように構成されている。
〔第4実施形態の作用・効果〕
この第4実施形態では、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同様の作用・効果を奏するが、これらの作用・効果に加えて以下の作用・効果を奏する。切換部材20に長孔状の孔部24を形成し、この切換部材20に制御突起20Aを形成し、規制ピン35を備え、孔部24に単一の支持シャフト32を挿通するように支持部Acを構成している。このように支持部Acを構成することにより、部品点数で簡単な構成で切換部材20を変位自在に支持することが可能となり、切換部材20を適正に変位させて等速伝動状態と減速伝動状態とを現出する。
〔第5実施形態〕
この第5実施形態は、リングギヤ12に対して複数(3つ)の切換部材20を支持部Acにより変位自在に支持し、隣接する切換部材20を繋ぐ形態でスプリング5を備え、変位により拘束歯部3に係脱する切換機構Aを備えた基本的な構成において第1実施例と共通する。尚、この第5実施形態では第1実施形態と同じ機能を有するものには、第1実施形態と共通する番号・符号を付している。
これに対し、この第5実施形態では、支持部Acの構成と、複数の切換部材20を連動させて揺動させる連動リング41(図17を参照)を備えた構成とが第1実施形態と異なる。つまり、図14〜図17に示すように支持部Acは、切換部材20と、この切換部材20と重なる位置で切換部材20に対してスライド移動自在に配置されるスライド部材42と、このスライド部材42において主軸芯Xと平行姿勢で突出形成された係合部材としての係合ピン23とを備えている。
切換部材20には円形の単一の孔部24が形成され、スライド部材42には長孔状のガイド孔42Aが形成され、切換部材20には係合ピン23が挿通する長孔状の挿通孔27が形成されている。この構成により、スライド部材42のガイド孔42Aと、切換部材20の孔部24とに支持軸としての支持ボルト25を挿通し、この支持ボルト25のネジ部をプレート部13のネジ孔13Aに螺合させることにより、切換部材20とスライド部材42とがリングギヤ12に支持される。
スライド部材42に形成されるガイド孔42Aは、切換部材20が等速伝動姿勢にある状態で、長手方向がリングギヤ12の半径方向に沿う姿勢で形成されている。また、切換部材20に形成される挿通孔27は切換部材20が等速伝動姿勢にある状態で、長手方向がリングギヤ12の半径方向に沿って形成されている。これにより、切換部材20が支持ボルト25を中心として揺動する形態で変位した場合には、この切換部材20の揺動と連係してスライド部材42も支持ボルト25を中心として変位する。
リングギヤ12のプレート部13には、図16に示すように、係合ピン23を案内するU字状の姿勢制御孔43(制御機構の一例)が形成されている。この姿勢制御孔43は、主軸芯Xに近い部位の底部43Aと、この両側部において主軸芯Xから離間する方向に延びる長孔状のガイド部43Bとを備えている。
この連動リング41は、リングギヤ12に対して主軸芯Xと同軸芯上で相対回転自在に支持されている。切換部材20の外端位置(主軸芯Xと反対側位置)には、外歯ギヤ状のギヤ部28が一体的に形成され、連動リング41の内周部分には、切換部材20のギヤ部28に噛み合うように内歯ギヤ状の複数の連動ギヤ部41Aが形成されている。これにより切換部材20の変位に伴い連動リング41を回転させる連動部が、ギヤ部28と連動ギヤ部41Aとによって構成される。
〔作動形態〕
出力軸2に作用する負荷(負荷トルクT)が設定値未満である場合には、スプリング5の付勢力により3つの切換部材20が図18(a)に示す等速伝動姿勢に維持される。この等速伝動姿勢では、係合ピン23が姿勢制御孔43の底部43Aに位置するため係合ピン23がキャリア15の外周に形成された複数の凹状部15Aの何れかに係合し、当接アーム22が拘束歯部3から離間する位置関係となる。これにより、サンギヤ11とリングギヤ12とプラネタリギヤ14とキャリア15とを一体回転させる等速伝動状態を実現する。
次に、出力軸2に作用する負荷(負荷トルクT)が設定値を越えた場合には、スプリング5の付勢力に抗してリングギヤ12とキャリア15との相対回転位相が変化する。つまり、係合ピン23にはキャリア15の凹状部15Aの開口部の近傍からの押圧力が駆動トルクSの作用方向に加わり、切換部材20は揺動する形態で変位する。
この変位は支持部Acにより許容されるものであり、この変位により図18(b)に示すように、切換部材20は、同図において時計回り方向に回転する形態で揺動し、一方の当接アーム22が拘束歯部3の谷状部3Aに当接する状態に達する。また、スライド部材42が切換部材20とともに変位するため、係合ピン23が姿勢制御孔43のガイド部43Bの位置に達する。この位置に達することにより、スライド部材42はガイド孔42Aに沿って移動自在となり、スライド部材42のスライド移動により係合ピン23のキャリア15の凹状部15Aからの抜け出しが可能となる。
この当接状態でリングギヤ12が負荷トルクTの方向に向けて回転することにより、当接アーム22の突出端が拘束歯部3の当接歯面3Tに当接し、この当接状態でリングギヤ12が更に回転することにより、当接アーム22と拘束歯部3の谷状部3Aとの当接部を中心にして切換部材20を時計回り方向に回転させる力が作用する。この力の作用により、図18(c)に示すように、スライド部材42を主軸芯Xから離間させる方向にスライドさせ係合ピン23がカム状部15Bから離間し、減速伝動状態となる。
〔第5実施形態の作用・効果〕
この第5実施形態では、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同様の作用・効果を奏するが、これらの作用・効果に加えて以下の作用・効果を奏する。切換部材20をリングギヤ12のプレート部13に対して揺動させるように支持し、この切換部材20に対してスライド部材42を直線的にスライド移動自在に支持することにより、2種の単純な作動を合成する形態で係合ピン23を作動させ確実な作動を行わせることが可能となる。
また、この第5実施形態では、連動リング41により複数の切換部材20の揺動姿勢を連動して行わせることが可能となり、複数の切換部材20を同時に等しく変位させて迅速な変速が実現する。
本発明は、アクチュエータからの回転駆動力で対象物を作動させる駆動系の全般に適用することができる。特に対象物の作動途中で負荷が変動するものに最適に利用することができる。
1 入力軸
3 拘束部・拘束歯部
3T 当接歯面
5 付勢部材(スプリング)
11 サンギヤ
12 リングギヤ
14 プラネタリギヤ
15 キャリア
15A 被係合部・凹状部
20 切換部材
22 当接部(当接アーム)
23 係合部・係合ピン
24 孔部
25 支持軸(支持ボルト)
26 係合部(係合突起)
32 支持軸(支持シャフト)
35 規制部材(規制ピン)
41 連動リング
42 スライド部材
43 制御機構(姿勢制御孔)
Ac 支持部
M ケース(ミッションケース)
W1 開口幅
W2 底部幅
X 軸芯(主軸芯)

Claims (8)

  1. 入力軸から駆動トルクが伝えられるサンギヤと、このサンギヤを取り囲むリングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに咬合するプラネタリギヤと、プラネタリギヤとともに主軸芯を中心に回転運動することが可能なキャリアと、キャリアの回転運動を取り出す出力軸と、その内部に前記入力軸、前記サンギヤ、前記リングギヤ、前記プラネタリギヤ、前記キャリア及び前記出力軸を収容するケースとを備えて遊星ギヤ伝動系を構成し、
    前記出力軸に作用する負荷トルクが設定値未満である場合に等速伝動姿勢に設定されることで前記サンギヤと前記リングギヤと前記プラネタリギヤと前記キャリアとを一体回転させる等速伝動状態を作り出し、前記負荷トルクが前記設定値を超える場合に減速伝動姿勢に設定されることで前記リングギヤの回転を阻止しながらキャリアの回転を許容して減速伝動状態を作り出す複数の切換部材を前記リングギヤに変位自在に備えると共に、
    前記切換部材が、前記キャリアと一体回転する被係合部に対して前記等速伝動姿勢で係合し、前記減速伝動姿勢で前記被係合部から分離する係合部と、前記ケースの拘束部に対して前記等速伝動姿勢で分離し、前記減速伝動姿勢で前記拘束部に当接する当接部とを備えて構成され、
    前記切換部材の変位力を隣接する前記切換部材に伝えるように隣接する位置の切換部材を繋ぐ状態で配置される付勢部材を備えて構成されている負荷感応型変速装置。
  2. 前記リングギヤに前記切換部材を支持する支持部が、前記リングギヤ又は前記切換部材に備えた支持軸と、この支持軸が挿通するように前記切換部材又は前記リングギヤに形成された孔部とを備えて構成され、
    前記切換部材が前記等速伝動姿勢から前記減速伝動姿勢に変化して前記拘束部に前記当接部が当接した際に、前記被係合部から係合部材が離間する方向への前記切換部材の変位を許す形状に前記孔部が設定されている請求項1記載の負荷感応型変速装置。
  3. 前記支持部が、一対の前記支持軸と、各々の支持軸が挿通し、長手方向の両端側ほど接近するように円弧状に形成された前記孔部とを備えて構成され、前記切換部材が等速伝動姿勢にある場合に一対の前記支持軸が対応する前記孔部の端部に当接するように位置関係が設定されている請求項2記載の負荷感応型変速装置。
  4. 前記係合部が、前記主軸芯と平行する姿勢の係合ピンで形成され、前記被係合部が、前記キャリア又は前記キャリアと一体回転する部材の外周において前記主軸芯の方向に窪む凹状部で構成されると共に、前記凹状部の開口部の開口幅が、前記凹状部の底部幅より狭く設定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の負荷感応型変速装置。
  5. 前記係合部が、前記主軸芯と平行する姿勢で前記切換部材に形成される係合ピンで構成され、前記被係合部が、前記キャリア又は前記キャリアと一体回転する部材の外周において前記主軸芯の方向に窪む凹状部で構成されると共に、
    前記リングギヤに前記切換部材を支持する支持部が、前記リングギヤに備えた支持軸と、この支持軸が挿通するように前記切換部材に形成された孔部とを備えて構成され、この孔部は、前記等速伝動姿勢にある状態で前記切換部材が前記リングギヤに対して半径方向に変位を許す長孔状に形成され、
    前記切換部材が前記等速伝動姿勢にある状態で、この切換部材の前記リングギヤの軸芯から離間する方向への変位を規制する規制部材を備えている請求項1記載の負荷感応型変速装置。
  6. 前記切換部材が前記等速伝動姿勢にある状態で、前記リングギヤの半径方向に移動自在にスライド部材が前記切換部材に支持され、このスライド部材に前記係合部を形成すると共に、前記切換部材が前記等速伝動姿勢にある状態では前記係合部を前記リングギヤの中心側に変位する状態を維持し、前記切換部材が前記減速伝動姿勢にある状態では前記係合部が前記被係合部から離間する方向への変位を許す制御機構を備えている請求項1記載の負荷感応型変速装置。
  7. 前記リングギヤに対し前記主軸芯と同軸芯で相対回転自在に連動リングを備え、前記切換部材の姿勢変更の力を前記連動リングに伝えて回転作動させる連動部を、前記切換部材と前記リングギヤとの間に形成している請求項1〜6のいずれか一項に記載の負荷感応型変速装置。
  8. 前記拘束部が、前記遊星ギヤ伝動系を内蔵する前記ケースにギヤ状に形成された複数の拘束歯部で構成され、前記当接部が、前記切換部材が前記減速伝動姿勢に変位した際に複数の前記拘束歯部の間に入り込む形態で前記拘束歯部に当接する当接アームで構成されると共に、
    前記拘束歯部に前記当接アームが当接した状態で、これらの間に相対回転力が作用した場合に、前記拘束歯部からの前記当接アームの抜け出しを阻止する係合構造が前記拘束歯部と前記当接アームとの間に形成されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の負荷感応型変速装置。
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