JP2015120968A - 硬質箔用アルミニウム合金、アルミニウム合金硬質箔、リチウムイオン二次電池正極集電体用アルミニウム合金箔およびアルミニウム合金硬質箔の製造方法 - Google Patents
硬質箔用アルミニウム合金、アルミニウム合金硬質箔、リチウムイオン二次電池正極集電体用アルミニウム合金箔およびアルミニウム合金硬質箔の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
このような観点で、高い強度と伸びとを有するアルミニウム合金硬質箔が提案されている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、特異的な条件下でしか加工軟化が発現しなかったため、工業的に使用される合金成分または製造工程への加工軟化の適用はされていない。
本願発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、合金成分を規制することで工程途中での加工軟化を発現させることを可能にし、薄箔、広幅の高強度アルミニウム合金硬質箔を生産性を低下することなく提供することを基本的な目的とする。
Feは、引張強度と伸びを確保して製造時に加工軟化をもたらす。ただし、Fe含有量が1.00%未満であると、引張強度と伸びが低下する。また、加工軟化が発現しない。一方、1.70%を超えると、強度が向上して薄箔、特に好適な箔厚である15μm以下の圧延性を阻害する。このため、Fe含有量を1.00〜1.70%に定める。同様の理由で上限を1.35%とするのが望ましい。
Mnは、引張強度を確保し、Feとともに添加することで製造時に加工軟化をもたらす。ただし、Mn含有量が0.10%未満であると、引張強度が不足する。また、加工軟化が発現しない。一方、Mn含有量が0.50%を超えると、巨大晶出物が生成し、圧延時に破断する。このため、Mn含有量を0.10%〜0.50%に限定する。同様の理由で上限を0.30%とするのが望ましい。
Cu、Mg、Cr、Zrは、総量で0.05%を超えて含有すると、固溶体硬化が生じて加工軟化が発現せず、薄箔を得るためには生産性が低下する。なお、同様の理由で総量を0.02%以下とするのが望ましい。
Fe、Mnの総量が2.0%を超えると、半連続鋳造で作製した鋳塊にAl−Fe−Mn系の巨大晶出物が生成し、その晶出物を起点として圧延時に破断する場合がある。このため、Fe、Mnの総量は2.0%以下とする。なお、同様の理由で1.9%以下とするのが望ましい。
Fe/Mn比が3.5未満であると、加工軟化が発現しにくくなる。また、薄箔、特に好適な箔厚である15μm以下の圧延性を阻害する。このため、Fe/Mn比は3.5以上とするのが望ましい。同様の理由でFe/Mn比は5.0以上とするのが一層望ましい。また、Mnが少なくても加工軟化が発現しにくくなるため、Fe/Mn比は8.0以下とするのが望ましい。
箔の加工で巻出す際に耐荷重が必要であり、また、圧延時の破断を防止する。また、リチウムイオン二次電池正極集電体用アルミニウム合金箔として使用する場合に、活物質を圧着して正極板を製造する際に破断が生じないように強度が必要とされる。これらのため、200MPa以上の引張強度が必要とされる。
伸びが低いと破断し易く、薄箔の圧延が困難になる。また、リチウムイオン二次電池正極集電体用アルミニウム合金箔として使用する際に、折り曲げによる破断が生じにくく、電極材として小さい曲げを可能にして使い勝手をよくする。このため、伸びの下限を3.0%とするのが望ましい。同様の理由で伸びの下限を4.0%とするのが一層望ましい。
冷間圧延の最後の1パスに当たる最終冷間圧延前の伸びが低いと最終冷間圧延時に破断し易く、薄箔の圧延が困難になる。このため、最終冷間圧延前の伸びの下限を2.0%とするのが望ましい。同様の理由で最終冷間圧延前の伸びの下限を4.0%とするのが一層望ましい。
熱間圧延時の仕上り温度が200℃未満になると、低温のために安定した圧延が困難になる。また、仕上り温度が290℃を超えると、高温になり、部分再結晶が生じて伸びが不足する。このため、熱間圧延仕上り温度を200〜290℃にするのが望ましい。なお、同様の理由で仕上り温度の下限を240℃、上限を280℃とするのが一層望ましい。
圧下率を適切に定めることで、中間焼鈍回数を少なくして、高い生産性で高強度アルミニウム合金硬質箔を製造することができる。圧下率を90.0%未満にすると、中間焼鈍回数が増えて、生産性が低下する。また、加工軟化が発現しない。一方、圧下率が99.9%を超えると、必要な冷間圧延回数が増えて生産性が低下する。また、引張強度の向上がほとんど見込めない上に表面割れが発生して破断し易い。このため、上記圧下率は90.0〜99.9%とするのが望ましい。なお、同様の理由で上記圧下率は、下限を98.0%とするのが一層望ましく、上限を99.7%とするのが一層望ましい。
箔厚が5μm未満になると、箔の加工で巻き出す際の耐荷重不足かつ、箔の製造が困難になる。また、箔を加工する際の取扱いが難しい。一方、20μmを超えると、薄箔のメリットを得にくい。また、リチウムイオン二次電池用正極集電体に使用した際の電池容量を確保するためには20μm以下が望ましい。このため、箔厚は5〜20μmとするのが望ましい。なお、同様の理由で、箔厚は、下限を6μm、上限を15μmとするのが一層望ましい。
本発明の組成としたアルミニウム合金は常法により溶製することができ、既知の半連続鋳造法や連続鋳造圧延法を採用することができる。
半連続鋳造により得られる鋳塊は、所望により均質化処理を行うことができる。均質化処理をする場合、均質温度420〜620℃、保持時間1〜12時間に制御することが望ましい。これにより、FeとMnの析出状態を薄箔の圧延により好適な状態とすることができる。
均質温度が420℃未満であると、Mnが析出しないため、加工硬化により圧延が困難になる。一方、均質温度が620℃を超えると、局部溶解が起こる場合がある。このため、均質温度は420〜620℃が望ましい。均質時間は、1時間未満ではMnが析出しないため、加工硬化により圧延が困難になる。一方、12時間を超えると、析出物が肥大化し、圧延時に破断しやすくなる。このため、均質時間は、1〜12時間とするのが望ましい。
上記アルミニウム合金材は、冷間圧延に供され、中間焼鈍を経て、再度冷間圧延、最終冷間圧延が行われる。中間焼鈍は、バッチ式焼鈍炉または連続焼鈍炉を使用し常法により行うことができる。
中間焼鈍の回数は特に限定されるものではなく、1回または2回以上行うことができる。ただし、本実施形態では、製造時に加工軟化がもたらされ、圧下率も大きく設定できるため、中間焼鈍回数を少なくすることができる。
また、本実施形態では、中間焼鈍は行わないものとしてもよい。
冷間圧延、最終冷間圧延を経て、厚さが5〜20μmであるアルミニウム合金硬質箔を得ることができる。該アルミニウム合金硬質箔は、引張強度が200MPa以上である。また、伸びが3.0%以上であり、4.0%以上が一層望ましい。
なお、圧下率は板厚減少率を指し、T0を初期板厚、T1を圧延後の板厚として、(T0−T1)/T0の百分率で表す。
表1に示す各種組成(残部Alおよびその他の不可避不純物)からなるアルミニウム合金の鋳塊を半連続鋳造により厚さ500mmの鋳塊に鋳造した。得られた鋳塊を、均質温度580℃、保持時間10時間で均質化処理を行った後、面削して表面の不均一層を除去した。
その後、冷却された鋳塊を520℃に再加熱し、表2に示す仕上り温度の熱間圧延にて、厚さ3.0mmの板材とした。
作製したアルミニウム合金硬質箔を供試材として以下の評価を行った。
Claims (6)
- 質量%で、Fe:1.00〜1.70%、Mn:0.10〜0.50%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、Cu、Mg、Cr、Zrの合計量が0.05%以下の組成を有し、前記組成中のFeおよびMnの総量が2.0%以下であることを特徴とする硬質箔用アルミニウム合金。
- 前記組成中のFe/Mn比が3.5以上であることを特徴とする請求項1記載の硬質箔用アルミニウム合金。
- 請求項1または2に記載の組成を有し、箔厚さを5〜20μmで、引張強度が200MPa以上、伸びが3.0%以上であることを特徴とするアルミニウム合金硬質箔。
- 最終冷間圧延前の伸びが2.0%以上であることを特徴とする請求項3記載のアルミニウム合金硬質箔。
- 請求項3または4に記載のアルミニウム合金硬質箔からなるリチウムイオン二次電池正極集電体用アルミニウム合金箔。
- 請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム合金に、仕上り温度が200〜290℃の熱間圧延、冷間圧延、最終冷間圧延を行い、熱間圧延後から最終冷間圧延後までの圧下率、冷間圧延途中に中間焼鈍を行う場合は中間焼鈍後から最終冷間圧延後までの圧下率を90.0〜99.9%にして、箔厚さ5〜20μmの箔を得ることを特徴とするアルミニウム合金硬質箔の製造方法。
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