JP2015119666A - 魚介類の燻製およびその製造方法 - Google Patents

魚介類の燻製およびその製造方法 Download PDF

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【課題】一定の温度での一度のスモーク処理により、風味豊かな魚介類の燻製およびその製造方法を提供する。【解決手段】内臓を取るなどの下処理を含む前工程10を経た魚介類は、味付工程1において調味液に含浸される。調味液には、魚介類に対して、塩が約2〜5重量%、砂糖が約10〜20重量%、ワインが約5〜20重量%とすることができる。味付工程1では、魚介類の上下を返しながら約1〜3日間含浸する。味付工程1を経た魚介類は、第1次乾燥工程2において、約−20〜10℃の条件下で乾燥される。魚介類は、凍結および解凍を少なくとも1回ずつ経て、その表面は触っても水分が手に付着しない程度に乾燥し、その内部には水分が残存する状態になるまで乾燥させる。第1次乾燥工程2を経た魚介類は、燻煙工程3において燻煙され、第2次乾燥工程4において再乾燥される。第2次乾燥工程4は、約−20〜10℃の条件下でおこなうことができる。【選択図】図1

Description

この発明は、魚介類の燻製およびその製造方法に関し、特に乾燥工程および燻煙工程を有するとともに、燻煙工程は一度であることを特徴とする魚介類の燻製およびその製造方法に関する。
従来、魚介類を燻煙し、燻製品を製造する方法は知られている。例えば、特許文献1によれば、魚介類のスモーク処理に関し、魚介類に塩漬処理を施したのち、冷乾燥してスモーク処理を施すことが記載される。また、スモーク処理の後仕上昇温処理を施すことによって、肉の熱凝固を避けたスモーク魚介類を得ることが記載される。
特開2009−273403号公報
従来の燻製の製造方法において、肉の熱凝固を避け、かつ、表面乾燥を進め、旨味を肉に封じ込めるために二回のスモーク処理を要していた。しかも、これらスモーク処理は、それぞれ温度を変えるようにしていた。したがって、工程が煩雑になるという問題があった。
この発明は、一定の温度での一度のスモーク処理により、風味豊かな魚介類の燻製およびその製造方法を提供することを課題とする。
この発明は、第1の発明と第2の発明とを有する。
第1の発明は、魚介類を燻煙する魚介類の燻製の製造方法であって、前記魚介類を調味液に含浸する味付工程と、前記調味液に含浸した前記魚介類を低温下で乾燥する第1次乾燥工程と、前記乾燥した前記魚介類を燻煙する燻煙工程とを含み、前記調味液は、前記魚介類に対し5〜20重量%のワインが含まれることを特徴とする。
第1の発明は、前記燻煙した前記魚介類を低温下で再乾燥する第2次乾燥工程をさらに含んでもよい。
第1の発明は、前記第1次乾燥工程において、前記魚介類の少なくとも一部を凍結および解凍してもよい。
第1の発明は、前記魚介類は鮭を用い、前記鮭の内臓を除去する下処理工程と、前記内臓を除去した鮭を水に含浸する水出工程と、前記含浸した鮭を脱水する脱水工程とをさらに含むこととしてもよい。
第2の発明は、魚介類の燻製であって、前記魚介類を調味液に含浸する味付工程と、前記調味液に含浸した前記魚介類を低温下で乾燥する第1次乾燥工程と、前記乾燥した前記魚介類を燻煙する燻煙工程とを含む製造方法によって製造され、前記調味液は、前記魚介類に対し5〜20重量%のワインが含まれることを特徴とする。
この発明に係る魚介類の燻製およびその製造方法によれば、調味液にワインを添加することによって、魚介類の旨味を引き出すことができ、かつ、燻煙処理の前に低温乾燥することによって複数回の燻煙処理を施さなくても、風味豊かな燻製を得ることができる。
燻製の製造方法を示すフローチャート図。 鮭の燻製の前工程を示すフローチャート図。
図1を参照して、この発明の燻製の製造方法を説明する。
燻製の材料としては、鮭、タコ、ニシン、ホッケ、ホタテ、イカ、タイ、ハタハタ、フグ、カワハギ等の生鮮魚介類を用いることができる。材料となる魚介類は、内臓を取るなどの下処理を含む前工程10を経ることが望ましい。前工程10を経た魚介類は、味付工程1において調味液に含浸され、下味が付けられる。調味液には、少なくとも塩、砂糖およびワインが含まれる。調味液は魚介類の重量に対して、塩が約2〜5重量%、砂糖が約10〜20重量%、ワインが約5〜20重量%とすることができる。魚介類全体に調味液が付着するように、魚介類の上下を返しながら約1〜3日間含浸する。調味液にワインを添加することによって、魚介類にワインの風味付けをすることができるとともに、肉質を柔らかくすることができる。用いるワインの種類は限定されるものではなく、赤ワイン、白ワイン、ロゼワインのいずれでもよく、またその産地を限定するものでもない。
味付工程1を経た魚介類は、第1次乾燥工程2において、約−20〜10℃の条件下で乾燥される。魚介類は、凍結および解凍を少なくとも1回ずつ経て、その表面は触っても水分が手に付着しない程度に乾燥し、その内部には水分が残存する状態になるまで乾燥される。具体的には、最低気温が氷点下に達し、最高気温が摂氏0℃よりも高くなるような環境下において、屋外または風通しの良い屋内に魚介類を数日〜約1か月程度吊るすことによって、魚介類の凍結および解凍を複数回繰り返すことができる。このように凍結および解凍を経ることによって、魚介類の脱水が進み、魚肉中の旨味成分が凝集され、かつ、腐敗を防止し比較的長期間の保存が可能となる。
第1次乾燥工程2を経た魚介類は、燻煙工程3において燻煙される。燻煙は、通常の燻製製造に用いられるウッドやチップなどの燻煙材を用いることができ、例えば、桜、リンゴ、ナラ、ブナ、クルミ、ヒッコリーなどを用いることができる。また、通常のスモークハウスを用い燻煙することができる。燻煙は、冷燻または温燻のいずれでもよいが、非加熱の魚介類を用いる場合には、冷燻が好ましく、加熱した魚介類を用いる場合には、温燻が好ましい。燻煙材には、ハーブ等を入れることもできる。
燻煙工程3を経た魚介類は、第2次乾燥工程4において再乾燥される。第2次乾燥工程4は、約−20〜10℃の条件下、第1次乾燥工程2と同様に、最低気温が氷点下に達し、最高気温が摂氏0℃よりも高くなるような環境下において、屋外または風通しの良い屋内に魚介類を吊るす。第2次乾燥工程4は、数日〜数か月おこなうことができる。第2次乾燥工程4においても、魚介類が凍結および解凍を複数回繰り返すようにすることが望ましい。第2次乾燥工程4を経ることによって、魚介類の乾燥がさらに進み、かつ、燻煙工程3において魚介類に付着した飴色を鮮やかに発色させることができる。
上記のような工程によって得られた魚介類の燻製は、魚介類の旨味が凝集され、比較的長期間の保存を可能とすることができる。また、得られた燻製は、その表面の水分が抜けて乾燥しているものの、内部においては水分が残存し、表面に比べて柔らかい肉質であり、表面と内部とで異なる触感を楽しむことができる。
実施例の一つとして、鮭を用いた燻製の製造方法を説明する。図2は、前工程10の詳細を示したものである。生鮭は、下処理工程11において内臓を除去し洗浄する。鮭は、内臓以外の頭および尾びれなどは切り落とさずそのまま用いることができる。下処理工程11を経た鮭は、冷凍工程12において冷凍される。ただし、冷凍工程12は必須の工程ではなく、これを省略することも可能である。十分に凍結した鮭は、水出工程13において水に含浸される。水出工程13は約2〜3日おこなう。水出工程13を経ることによって、鮭の血抜きをすることができ、鮭の臭みを軽減することができる。血抜きした鮭は、脱水工程14である程度脱水される。ただし、この脱水工程14においては、水分を完全に除去するものではなく、後の工程における味付工程1において、調味液が浸透しやすくするためのものである。具体的には、約24時間天地を返しながら網などの上に放置することによって脱水することができる。また、鮭を回転させながら風乾することもできる。
上記のような前工程10を経た鮭は、図1に示した工程によって燻製にされる。
前工程10において脱水工程14を経た鮭は、調味液に含浸する味付工程1で下味が付けられる。調味液は、鮭の重量に対して、塩が約3.5重量%、砂糖が約15重量%、ワインは約7.5重量%とする。さらに、調味液には調味料、甘味料、着色料等の添加物を適宜添加する。鮭は、全体に調味液が付着するように上下を返しながら約2日間含浸する。
味付工程1を経た鮭は、第1次乾燥工程2で乾燥される。最低気温が氷点下になる条件下、具体的には冬季に、約1か月陰干しされる。次に、鮭は燻煙工程3で燻煙される。燻煙は、燻煙材として桜チップを用い、約15〜30℃で約4日間おこなう。燻煙工程3を経た鮭は、第2次乾燥工程4において再乾燥される。第2次乾燥工程4では、最低気温が氷点下になる条件下、具体的には冬季に、約90日間陰干しをする。第1次乾燥工程2および第2次乾燥工程4では、冷凍庫内で魚介類を風乾することもできる。これら工程を経て鮭の燻製を得ることができる。
第1次乾燥工程2および第2次乾燥工程4では、鮭の乾燥状態を観察し、触って乾燥状態を確認することによってその期間を調整することができる。また、燻煙工程3においても、鮭の乾燥状態、燻煙による着色状態を確認しながら、温度、期間を調整することができる。
上記のような工程を経て得られた鮭の燻製は、その表面の皮も食することができる。皮は、パリパリに乾燥し、燻煙による香ばしさを楽しむことができる。また、頭や尾びれも食することができる。これら皮や尾びれ等は、そのまま食することもできるし、細かく砕いて、例えばお茶漬けのトッピングとして用いることもできる。鮭の身は、内部にいくほど柔らかくジューシーな味わいを得ることができる。この製造方法によれば、内臓を取り除くだけで鮭を丸ごと一匹、燻製として食べることができる。
上記の実施例においては、鮭を例に説明したが他の魚介類を用い、同様の方法によって燻製を製造することができる。材料に応じて、調味液の配合を適宜調整し、各工程の温度、期間を調整することが望ましい。特に燻煙工程3においては、冷燻および温燻のいずれも用いることができ、例えば茹でたタコを燻煙する際には温燻を用いることが好ましい。また、温燻の場合には、冷燻の場合に比べて燻煙時間を短くすることができ、魚介類の状態によっては、第2次乾燥工程4を省略することも可能となる。
1 味付工程
2 第1次乾燥工程
3 燻煙工程
4 第2次乾燥工程
10 前工程
11 下処理工程
12 冷凍工程
13 水出工程
14 脱水工程

Claims (5)

  1. 魚介類を燻煙する魚介類の燻製の製造方法であって、
    前記魚介類を調味液に含浸する味付工程と、
    前記調味液に含浸した前記魚介類を低温下で乾燥する第1次乾燥工程と、
    前記乾燥した前記魚介類を燻煙する燻煙工程とを含み、
    前記調味液は、前記魚介類に対し5〜20重量%のワインが含まれることを特徴とする魚介類の燻製の製造方法。
  2. 前記燻煙した前記魚介類を低温下で再乾燥する第2次乾燥工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の魚介類の燻製の製造方法。
  3. 前記第1次乾燥工程において、前記魚介類の少なくとも一部を凍結および解凍することを特徴とする請求項1または2記載の魚介類の燻製の製造方法。
  4. 前記魚介類は鮭を用い、
    前記鮭の内臓を除去する下処理工程と、
    前記内臓を除去した鮭を水に含浸する水出工程と、
    前記含浸した鮭を脱水する脱水工程とをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の魚介類の燻製の製造方法。
  5. 魚介類の燻製であって、
    前記魚介類を調味液に含浸する味付工程と、
    前記調味液に含浸した前記魚介類を低温下で乾燥する第1次乾燥工程と、
    前記乾燥した前記魚介類を燻煙する燻煙工程とを含む製造方法によって製造され、
    前記調味液は、前記魚介類に対し5〜20重量%のワインが含まれることを特徴とする魚介類の燻製。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019033721A (ja) * 2017-08-21 2019-03-07 株式会社越田商店 鰤ジャーキーの製造方法
JP2020025810A (ja) * 2018-08-17 2020-02-20 エスペック株式会社 燻製調理器及び燻製の製造方法
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