JP2015112740A - フィルムセンサ及びフィルムセンサを備えるタッチパネル装置、並びに、フィルムセンサを作製するために用いられる積層体 - Google Patents

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橋 正 泰 高
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本 好 弘 岸
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俊 章 森
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Abstract

【課題】透明導電層と金属層との間の密着力が十分に確保された積層体を製造する方法の提供。【解決手段】ITOからなる透明導電層上に高導電性の金属(X)を含む金属層を備えた積層体において、飛行時間型二次イオン質量分析装置を用いて透明導電層及び金属層の厚み方向において所定の間隔で積層体の組成分析を実施した場合の、XとInとOとを含む第1の二次イオンのカウント数の最大値が現れる位置が、透明導電層と金属層との界面よりも前記透明導電層側に存在する。【選択図】図11

Description

本発明は、フィルムセンサおよびフィルムセンサを備えるタッチパネル装置に関する。また本発明は、フィルムセンサを作製するために用いられる積層体に関する。
タッチパネルセンサやディスプレイ用基板などの電子部品は一般に、光学的な特性を実現するための層や、電気的な特性を実現するための層など、複数の層から構成されている。このような電子部品を作製するための方法として、基材フィルム、透明導電層や金属層などの複数の層を含む積層体をはじめに準備し、次に、この積層体の任意の層をフォトリソグラフィー法などによってパターニングするという方法が知られている。
積層体を製造する方法の1つとして、はじめに基材フィルムを準備し、次に、スパッタリング法やEB蒸着法などの物理蒸着成膜法を用いて、基材フィルム上に透明導電層や金属層を積層していく、という方法が知られている。例えば特許文献1において、スパッタリング法を用いてポリエステルフィルムの上にITO層を形成し、その後、スパッタリング法を用いてITO層の上にクロム層を形成し、これによって、タッチパネルセンサを作製するための積層体を得ることが開示されている。
特開平4−160624号公報
フォトリソグラフィー法などを用いて積層体をパターニングした後、若しくは、パターニング後の製造工程の際、パターニングされた積層体の表面が損傷することを防ぐため、積層体の表面に保護フィルムを貼ることがある。このような保護フィルムは、通常、最終的に出荷される前に剥がされる。このとき、透明導電層と金属層との間の密着力が小さいと、保護フィルムを剥がす際に金属層が透明導電層から部分的に剥離されてしまうことがある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、透明導電層と金属層との間の密着力が十分に確保された積層体を提供することを目的とする。
本発明は、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の側に所定のパターンで設けられ、透光性および導電性を有する透明導電パターンと、前記透明導電パターン上に所定のパターンで設けられ、導電性を有する取出パターンと、を備え、前記透明導電パターンは、ITOからなる透明導電層を含み、前記取出パターンは、前記透明導電層上に設けられた金属層を含み、前記金属層が高導電性の金属(X)を含み、飛行時間型二次イオン質量分析装置を用いて前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向において所定の間隔で前記透明導電層及び前記金属層の組成分析を実施した場合、XとInとOとを含む第1の二次イオンのカウント数の最大値が現れる位置が、前記透明導電層と前記金属層との界面よりも前記透明導電層側にあり、前記透明導電層と前記金属層との界面の位置は、前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向の測定位置を横軸とし、前記組成分析において検出される二次イオンのカウント数を縦軸とした場合に、隣接する測定位置における二次イオンのカウント数を二次イオン毎に結ぶ線のうち、Xを含む第2の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、In からなる第3の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、が交差する位置に最も近接した測定位置である、フィルムセンサである。
本発明によるフィルムセンサにおいて、好ましくは、XはAl,Ag、AuまたはCuである。
本発明によるフィルムセンサにおいて、好ましくは、XがCuであり、前記第1の二次イオンがCuInO であり、前記第2の二次イオンがCu である。
本発明によるフィルムセンサにおいて、好ましくは、前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向において実施される前記透明導電層及び前記金属層の前記組成分析の、前記厚み方向における間隔が、1nm以下である。
本発明は、フィルムセンサと、前記フィルムセンサ上への接触位置を検出する制御回路と、を含むタッチパネル装置であって、前記フィルムセンサが、上記記載のフィルムセンサを備える、タッチパネル装置である。
本発明は、フィルムセンサを作製するために用いられる積層体であって、基材フィルムと、前記基材フィルムに設けられ、ITOからなる透明導電層と、前記透明導電層上に設けられ、導電性を有する金属層と、を備え、前記金属層が高導電性の金属(X)を含み、飛行時間型二次イオン質量分析装置を用いて前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向において所定の間隔で前記透明導電層及び前記金属層の組成分析を実施した場合、XとInとOとを含む第1の二次イオンのカウント数の最大値が現れる位置が、前記透明導電層と前記金属層との界面よりも前記透明導電層側にあり、前記透明導電層と前記金属層との界面の位置は、前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向の測定位置を横軸とし、前記組成分析において検出される二次イオンのカウント数を縦軸とした場合に、隣接する測定位置における二次イオンのカウント数を二次イオン毎に結ぶ線のうち、Xを含む第2の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、In からなる第3の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、が交差する位置に最も近接した測定位置である、積層体である。
本発明による積層体において、好ましくは、XはAl,Ag、AuまたはCuである。
本発明による積層体において、好ましくは、XがCuであり、前記第1の二次イオンがCuInO であり、前記第2の二次イオンがCu である。
本発明による積層体において、好ましくは、前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向において実施される前記透明導電層及び前記金属層の前記組成分析の、前記厚み方向における間隔が、1nm以下である。
本発明によれば、ITOからなる透明導電層上に高導電性の金属(X)を含む金属層を備えた積層体において、飛行時間型二次イオン質量分析装置を用いて透明導電層及び金属層の厚み方向において所定の間隔で透明導電層及び金属層の組成分析を実施した場合、XとInとOとを含む第1の二次イオンのカウント数の最大値が現れる位置が、透明導電層と金属層との界面よりも透明導電層側に存在する。これによって、透明導電層と金属層との間の密着力が十分に確保された積層体を得ることができる。
図1は、本発明の実施の形態における積層体製造装置を示す図。 図2は、図1に示す積層体製造装置の巻出装置を示す図。 図3は、図1に示す積層体製造装置の成膜装置を示す図。 図4は、図1に示す積層体製造装置の巻取装置を示す図。 図5は、積層体製造装置により製造された積層体を示す断面図。 図6は、積層体製造装置に供給される中間積層体を示す断面図。 図7は、積層体の変形例を示す断面図。 図8は、図7に示す積層体をパターニングすることにより得られるフィルムセンサを示す平面図。 図9は、図8に示すフィルムセンサの線VII−VIIに沿った断面図。 図10(a)〜(e)は、実施例における第1透明導電層に対する第1金属層の密着力の評価基準を説明するための図。 図11は、サンプル1の各層における組成分析をした結果を示す図。 図12は、第1の二次イオンの最大値が現れる位置と、密着性試験の結果と、の関係を示す図。
以下、図1乃至図9を参照して、本発明の実施の形態について説明する。はじめに図5を参照して、本実施の形態において製造される積層体10について説明する。
積層体
図5は、積層体10を示す断面図である。図5に示すように、積層体10は、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の側の面12a上に順に設けられた第1ハードコート層13a、第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aと、第1低屈折率層15aの一方の側の面上に設けられた第1透明導電層16aと、第1透明導電層16aの一方の側の面上に設けられた第1金属層17aと、を含んでいる。以下、基材フィルム12、第1ハードコート層13a、第1高屈折率層14a、第1低屈折率層15a、第1透明導電層16aおよび第1金属層17aについてそれぞれ説明する。なお第1金属層17aとは、第1透明導電層16aに隣接して設けられ、金属材料から構成される層の総称である。
(基材フィルム)
基材フィルム12としては、十分な透光性を有するフィルムが用いられる。基材フィルム12を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)、環状オレフィン・コポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが挙げられる。基材フィルム12の厚みは、例えば25〜200μmの範囲内となっている。
(ハードコート層)
第1ハードコート層13aは、擦り傷を防止するという目的や、層間の界面に低分子重合体(オリゴマー)が析出して白く濁ってみえることを防ぐという目的のために設けられる層である。第1ハードコート層13aとしては、例えばアクリル樹脂などが用いられる。なお図5に示すように、第1ハードコート層13aと同一の材料から構成された第2ハードコート層13bが、基材フィルム12の他方の面12b上にさらに設けられていてもよい。ハードコート層13a,13bの厚みは、例えば0.1〜10μmの範囲内となっている。
(高屈折率層および低屈折率層)
第1高屈折率層14aは、基材フィルム12を構成する材料よりも高い屈折率を有する材料から構成される層であり、一方、第1低屈折率層15aは、基材フィルム12を構成する材料よりも低い屈折率を有する材料から構成される層である。このような第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aを基材フィルム12と第1透明導電層16aとの間に設けることにより、積層体10における光の透過率や反射率を調整することができる。
第1低屈折率層15aを構成する材料としては、例えば酸化珪素やフッ化マグネシウムが用いられる。第1高屈折率層14aを構成する材料としては、例えば酸化ニオブやジルコニウムが用いられる。第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aの厚みは、所望の透過率や反射率が達成されるよう、用いられる材料に応じて適宜設定される。
なお本実施の形態においては、上述の第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aが積層体10に含まれている例について説明するが、しかしながら、第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aは必ずしも設けられていなくてもよい。同様に、ハードコート層13a,13bも、必要に応じて任意に設けられる層である。従って、基材フィルム12の一方の側の面12aや第1ハードコート層13aの一方の側の面に直接的に接するよう第1透明導電層16aが設けられることもある。
(透明導電層)
第1透明導電層16aを構成する材料としては、導電性を有しながら透光性を示す材料が用いられ、具体的にはインジウム錫酸化物(ITO)が用いられる。ここでITOとは、89〜99重量%のインジウムと、1〜11重量%の錫と、0.5重量%以下のその他の添加元素または不可避の不純物と、を含む金属酸化物を意味している。第1透明導電層16aの厚みは、例えば18〜50nmの範囲内となっている。
(金属層)
第1金属層17aは、タッチパネルセンサなどの電子部品において、信号を外部に取り出すための取出パターンや電極を形成するために用いられる、金属材料から構成される層である。第1金属層17aは、例えば、アルミ(Al)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)などの高導電性の金属、またはこれらの合金から構成され、第1透明導電層16aに隣接して配置される。第1金属層17aを構成するための合金としては、銀を主成分とするとともに銅およびパラジウムを含む、Ag−Pd−Cu系の銀合金、いわゆるAPC合金を挙げることができる。
ところで一般に、ITOからなる透明導電層は、金属材料からなる層との間で密着性が低いことが知られている。原因について調べるべく、積層体10の厚み方向において組成分析をした結果、第1透明導電層16aと第1金属層17aとの界面近傍における第1透明導電層16aに含まれる酸化インジウムと第1金属層17aに含まれる高導電性の金属との化合物の形成状態によって、第1透明導電層16aと第1金属層17aとの間の密着性が変化することを見出した。
具体的には、ION TOF社製の飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を用い、積層体10の厚み方向において所定の間隔で、積層体10の第1金属層17aから第1透明導電層16aに亘って組成分析を実施する。この時、まず、第1金属層17aないし第1透明導電層16aに一次イオンを照射することによって積層体から二次イオンを得る。そして、得られた二次イオンの質量電荷比に基づいて、二次イオンの組成式を各々規定する。このようにして組成式が規定された二次イオンの中から、第1透明導電層16aのITO(In+SnO)に含まれる酸化インジウム(In)と第1金属層17aに含まれる高導電性の金属(X)との化合物から検出される第1の二次イオンを特定する。同様に、第1金属層17aから検出される第2の二次イオン、及び、第1透明導電層16aから検出される第3の二次イオンを特定する。
次に、第1透明導電層16aと第1金属層17aとの界面の位置を、以下のように規定する。すなわち、上述の組成分析において、第1透明導電層16a及び第1金属層17aの厚み方向の測定位置を横軸とし、検出される二次イオンのカウント数を縦軸とした場合に、隣接する測定位置における二次イオンのカウント数を二次イオン毎に結ぶ線のうち、第2の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、第3の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、が交差する位置に最も近接した測定位置を、第1透明導電層16aと第1金属層17aとの界面の位置として規定する。ここで、「第2の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、第3の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、が交差する位置に最も近接した測定位置」とは、第2の二次イオンのカウント数を結ぶ線と第3の二次イオンのカウント数を結ぶ線とが交差する位置と、上述の組成分析におけるいずれかの測定位置と、が一致する場合には、当該交差する位置を意味し、当該交差する位置と、いずれかの測定位置と、が一致しない場合には、当該交差する位置に最も近い測定位置を意味するものとする。
そして、このようにして規定された第1透明導電層16aと第1金属層17aとの界面を基準として、第1の二次イオンのカウント数の最大値が現れる位置が第1透明導電層16aの側にあれば、第1透明導電層16aに対する第1金属層17aの密着性は実用上十分な程度に高くなる。
このような点を考慮し、本実施の形態の積層体10は、飛行時間型二次イオン質量分析装置を用いて第1透明導電層16a及び第1金属層17aの厚み方向において所定の間隔で第1透明導電層16a及び第1金属層17aの組成分析を実施した場合、XとInとOとを含む第1の二次イオンのカウント数の最大値が現れる位置が、第1透明導電層16aと第1金属層17aとの界面よりも第1透明導電層16a側に存在する積層体である。
ここで、第1透明導電層16aに含まれる酸化インジウム(In)と第1金属層17aに含まれる高導電性の金属(X)との化合物から検出される二次イオンとしては、さまざまなものが存在する。例えば、XがCuである場合には、CuInO が存在する。同様に、XがAlである場合には、AlInO が、XがAgである場合には、AgInO が、XがAuである場合には、AuInO が存在する。
また、Xを含む第1の金属層17aから検出される二次イオンとしては、さまざまなものが存在する。例えば、XがCuである場合には、Cu やCu などが存在する。同様に、XがAlである場合には、Al やAl などが、XがAgである場合には、Ag やAg などが、XがAuである場合には、Au やAu などが存在する。
同様に、ITOからなる第1の透明導電層16aから検出される二次イオンとしては、In や、InOHなどが存在する。
したがって、第1透明導電層16aと第1金属層17aとの界面の位置を規定し、第1透明導電層16aと第1金属層17aとの間の密着性の指標を導く上で、さまざまな二次イオンを第1、第2および第3の二次イオンとして採用可能である。
好ましくは、Xを含む第1の金属層17aに由来して検出される二次イオンのうち最も多くカウントされる二次イオンと、ITOからなる第1の透明導電層16aに由来して検出される二次イオンのうち最も多くカウントされる二次イオンとが、第1透明導電層16aと第1金属層17aとの界面の位置を規定する上で採用される。これによって、より高い精度で第1透明導電層16aと第1金属層17aとの界面の位置を規定することができる。その上で、InとXとの化合物に由来して検出される二次イオンのうち、最も多くカウントされる二次イオンが、第1透明導電層16aと第1金属層17aとの間の密着性の指標を導く上で採用される。これにより、より高い精度を有する指標を導くことができる。
なお、本発明者が研究を重ねた限りにおいては、Xを含む第1の金属層17aに由来して検出される二次イオンのうち、最も多くカウントされるものは、XがCuの場合はCu 、XがAlの場合はAl 、XがAgの場合はAg 、XがAuの場合はAu であった。また、ITOからなる第1の透明導電層16aに由来して検出される二次イオンのうち、最も多くカウントされるものは、In であった。これらの二次イオンを用いて第1透明導電層16aと第1金属層17aとの界面の位置を規定した上で、透明導電層16aに含まれる酸化インジウム(In)と第1金属層17aに含まれる高導電性の金属(X)との化合物から検出される二次イオンとして、XがCuである場合にはCuInO を、XがAlである場合にはAlInO を、XがAgである場合にはAgInO を、XがAuである場合にはAuInO を採用することにより、第1透明導電層16aと第1金属層17aとの間の密着性の指標を高い精度で導くことができる。
次に、図1乃至図4を参照して、第1透明導電層16a上に第1金属層17aを形成して積層体10を得るための積層体製造装置1について説明する。はじめに図1を参照して、積層体製造装置1全体について説明する。なおここでは、図6に示す後述する中間積層体11に対して成膜処理を実施することによって積層体10を製造するための積層体製造装置1について説明する。中間積層体11は、図5に示す積層体10を製造する工程の途中で得られる中間生成物である。図6に示すように、中間積層体11の段階で、基材フィルム12には、ハードコート層13a,13b、第1高屈折率層14a、第1低屈折率層15aおよび第1透明導電層16aが設けられている。
積層体製造装置
図1に示すように、積層体製造装置1は、中間積層体11を巻き出す巻出装置20と、中間積層体11上に金属層17aを設ける成膜装置30と、金属層17aが設けられた中間積層体11を巻き取る巻取装置50と、を備えている。以下、各装置20,30,50について、図2乃至図4を参照してそれぞれ説明する。
(巻出装置)
図2は、巻出装置20を示す図である。図2に示すように、巻出装置20は、回転自在に設けられ、中間積層体11が巻き付けられたシャフト21と、中間積層体11に沿って設けられ、中間積層体11を加熱する加熱機構29と、を備えている。
巻出装置20においては、シャフト21から巻き出された中間積層体11を加熱機構29によって加熱することにより、中間積層体11に付着している水分や油分などの不純物を蒸発または昇華させ、これによって不純物を中間積層体11から取り除くことができる。すなわち、いわゆる脱ガス処理を実施することができる。脱ガス処理の際の加熱温度は、中間積層体11を構成する材料の特性が大きく変化しないような温度である限り特に限定されないが、例えば50〜170℃の範囲内となっている。脱ガス処理を実施するための加熱機構29の具体的な構成は特に限定されないが、例えば図2に示すように、搬送されている中間積層体11に沿って中間積層体11の両側に設けられた一対のヒーター29aによって加熱機構29が構成されている。
図2に示すように、巻出装置20は、中間積層体11の第1透明導電層16aの表面に対してイオンボンバードメント処理などの表面処理を施す表面処理装置23をさらに備えていてもよい。イオンボンバードメント処理とは、第1透明導電層16aの表面にガスイオンを照射することによって、第1透明導電層16aの表面に付着している不純物を除去する処理のことである。表面処理装置23は、図2に示すように、電圧が印加されることによりプラズマ放電を生成する電極24と、電極24の周囲に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段25と、を有している。このような表面処理装置23を用いることにより、中間積層体11の周囲にプラズマ雰囲気27を形成することができ、これによって、第1透明導電層16aの表面に不活性ガスなどのイオンを照射する表面処理を実施することができる。電極24を構成する材料としては、例えばチタンが用いられる。不活性ガスとしては、アルゴンガスや窒素ガスなどが用いられる。
表面処理装置23は、図2に示すように、電極24の周囲に酸素ガスを供給する酸素供給手段26をさらに有していてもよい。この場合、第1透明導電層16aの表面には、不活性ガスのイオンに加えて、酸素ガスのイオンが照射される。図示はしないが、表面処理装置23は、電極24の周囲にその他のガス、例えば水素ガスなどを供給するためのガス供給手段をさらに有していてもよい。
図2に示すように、巻出装置20は、巻出装置20内の気体を外部に排出する排気手段22をさらに備えている。これによって、基材フィルム12から発生した気体を迅速に外部に排出することができ、このことにより、加熱手段29による脱ガス処理を効率良く実施することができる。また、表面処理装置23による表面処理を真空環境下で実施することができる。また図2に示すように、成膜装置30の内部雰囲気を巻出装置20の内部雰囲気に対して遮蔽するためのゲートバルブ(ロードロックバルブ)28が設けられていてもよい。これによって、中間積層体11の巻回体を巻出装置20内に搬入するために巻出装置20を大気に対して開放する際に、成膜装置30内の真空度を維持することができる。
(成膜装置)
次に、巻出装置20の下流側に設けられた成膜装置30について説明する。成膜装置30による成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリングやイオンプレーティングなど様々な物理的気相成長法が採用され得るが、ここでは、成膜方法としてスパッタリングが用いられる例について図3を参照して説明する。
図3に示すように、成膜装置30は、成膜処理が実施される成膜室36と、中間積層体11が巻き付けられて搬送される成膜用搬送ドラム38と、搬送される中間積層体11を案内するガイドローラー39と、成膜室36の内部の気体を外部に排出する成膜用真空排気機構37と、搬送されている中間積層体11に対向するよう設けられ、中間積層体11上に設けられる膜の原料となるターゲットと、を備えている。図3に示す例においては、ターゲットとして、第1金属層17aの原料となるAl、Ag、Au、Cuなどの高導電性の金属またはこれらの合金からなる第1ターゲット31a,第2ターゲット32aおよび第3ターゲット33aが設けられている。また、図3に示す例においては、Cuからなる第1金属層17aの成膜のために3つのターゲット31a,32a,33aが用いられるが、これに限られることはなく、形成される層の種類や厚みに応じて適宜ターゲットの種類や個数が設定される。
成膜装置30においては、はじめに成膜用真空排気機構37によって成膜室36の内部の気体を外部に排出し、これによって、成膜室36内を真空状態とする。次に、不活性ガス供給装置(図示せず)によって成膜室36内にアルゴンなどの不活性ガスを導入し、その後、電源によってターゲットに放電電力を印加する。これによって、各ターゲットの材料からなる膜を中間積層体11上に設けることができる。
図3に示すように、成膜装置30の成膜室36は、隔壁36aによって、第1ターゲット31aを含む第1領域31と、第2ターゲット32aを含む第2領域32と、第3ターゲット33aを含む第3領域33と、その他の第4領域34と、に区画されていてもよい。また図3に示すように、成膜用真空排気機構37は、各領域31〜34にそれぞれ接続され、各領域31〜34の内部の気体を外部に排出する排気手段31b〜34bを含んでいてもよい。これによって、ターゲットごとにターゲットの周囲の雰囲気(真空度など)を調整することができ、このことにより、ターゲットごとに最適化された条件の下でスパッタリングを実施することができる。
なお図3に示す成膜用搬送ドラム38は、その表面が所定の成膜温度に調整されたものであってもよい。これによって、最適な温度条件下で中間積層体11上に金属層19を形成することができる。成膜用搬送ドラム38の表面を所定の成膜温度に調整するための具体的な構成が特に限られることはなく、例えば図示はしないが、成膜用搬送ドラム38の内部に設けられ、オイルなどの所定の温度媒体を循環させる媒体循環路と、温度媒体を成膜温度に調整する媒体調整手段とが用いられる。成膜温度は、中間積層体11の基材フィルム12の耐熱性や、中間積層体11上に設けられる金属層17の特性に応じて適宜設定される。
(巻取装置)
次に図4を参照して、巻取装置50について説明する。巻取装置50は、第1金属層17aが形成された中間積層体11からなる積層体10を巻き取るシャフト51と、シャフト51に向けて搬送される積層体10を案内するガイドローラー59と、を備えている。また図4に示すように、巻取装置50の内部を真空状態に保つための排気手段52が設けられていてもよい。
また、シャフト51近傍に、図4に示すニアローラー53が設けられていてもよい。ニアローラー53は、シャフト51に巻き取られている積層体10の最外面と、ニアローラー53のうちシャフト51に対向する面との間の距離が、積層体10の厚みよりもわずかに大きくなるよう構成されている。なお、シャフト51に巻き取られている積層体10の最外面の位置は、積層体10の巻き数が増えるにつれて変化する。この変化に対応するよう、ニアローラー53は移動可能に構成されている。このため、積層体10の巻き数に依らず、シャフト51に巻き取られている積層体10の最外面とニアローラー53との間の距離を常に一定に保つことができる。このようなニアローラー53を設けることにより、シャフト51に巻き取られる際の積層体10にしわなどの凹凸が生じることを防ぐことができ、これによって、シャフト51に巻き取られている積層体10同士が密着してしまう、いわゆるブロッキングが生じることを防ぐことができる。
また図4に示すように、成膜装置30の内部雰囲気を巻取装置50の内部雰囲気に対して遮蔽するためのゲートバルブ55が設けられていてもよい。これによって、積層体10の巻回体を巻取装置50から搬出するために巻取装置50を大気に対して開放する際に、成膜装置30内の真空度を維持することができる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、はじめに、上述の中間積層体11を製造する方法の一例について説明する。次に、中間積層体11を積層体製造装置1に供給して積層体10を製造する方法について説明する。その後、積層体10をパターニングすることにより得られるフィルムセンサ60について説明する。
中間積層体の製造方法
はじめに基材フィルム12を準備する。次に、アクリル樹脂を含む塗布液を、コーターを用いて基材フィルム12の両側にコーティングする。これによって、基材フィルム12の両側にハードコート層13a,13bが形成される。次に、有機樹脂および有機樹脂内に分散された高屈折率材料の粒子、例えばジルコニウムの粒子を含む塗布液を、コーターを用いて第1ハードコート層13aの一方の側の面上にコーティングする。これによって、第1ハードコート層13a上に第1高屈折率層14aが形成される。その後、有機樹脂および有機樹脂内に分散された低屈折率材料の粒子、例えば酸化珪素の粒子を含む塗布液を、コーターを用いて第1高屈折率層14aの一方の側の面上にコーティングする。これによって、第1高屈折率層14a上に第1低屈折率層15aが形成される。その後、スパッタリング法などの真空成膜法を用いて、第1低屈折率層15a上に第1透明導電層16aを形成する。このようにして、図6に示す中間積層体11を得ることができる。
積層体の製造方法
次に、積層体製造装置1を用いて中間積層体11の一方の側に第1金属層17aを形成し、これによって図5に示す積層体10を得る方法について説明する。
(準備工程)
はじめに、巻出装置20において、中間積層体11が巻回されたシャフト21を準備する。次に、排気手段22によって巻出装置20内の気体を外部に排出する。このようにして、第1透明導電層16aが設けられた基材フィルム12を含む中間積層体11を真空環境下に置くことができる。なお本実施例において、真空環境下または真空状態とは、圧力が100Pa以下であることを意味している。
(脱ガス工程)
次に、シャフト21から中間積層体11を巻き出す。このとき、加熱機構29によって中間積層体11を50〜170℃で加熱する。これによって、中間積層体11に付着している水分や油分などの不純物を取り除くことができる。
(表面処理工程)
脱ガス工程後、表面処理装置23を用いて、第1透明導電層16aの表面にガスイオンを照射する表面処理工程を実施してもよい。この場合、はじめに、電極24に所定の電圧を印加する。また、不活性ガス供給手段25を用いて不活性ガスを電極24の周囲に供給する。これによって、中間積層体11と電極24との間にプラズマ雰囲気27を生成することができる。プラズマ雰囲気27には電子やガスイオンが存在している。電子やガスイオンは、中間積層体11の第1透明導電層16aの表面に照射される。これによって、第1透明導電層16aの表面に付着している不純物を除去することができる。不純物としては、中間積層体11が搬送される際などに第1透明導電層16aの表面に付着した有機物、珪素、アルカリ金属、シロキサン成分などが考えられる。また、上述の脱ガス工程において除去しきれなかった水分が、この表面処理工程において除去されることも考えられる。
表面処理工程の際、酸素供給手段26を用いて酸素ガスを電極24の周囲に供給してもよい。この場合、電子や不活性ガスのイオンに加えて、酸素ガスのイオンが第1透明導電層16aの表面に照射される。酸素ガスのイオンは、第1透明導電層16aの表面に付着している有機物などの不純物と反応して水や二酸化炭素になり、そして第1透明導電層16aの表面から除去される。すなわち、いわゆるアッシングによって、第1透明導電層16aの表面に付着している不純物をより確実に除去することができる。
表面処理工程において電極24に印加される電圧は特には限られないが、例えば0.3〜3kVの範囲内となっている。また、中間積層体11に対して表面処理装置23を用いた表面処理を実施する期間も特には限られないが、例えば0.01〜5分間にわたって表面処理が実施される。なお、電極24の周囲に供給されるアルゴンガスなどの不活性ガスの流量、および、酸素ガスの流量は、装置の寸法などに応じて適宜設定される。
(金属層形成工程)
次に、成膜装置30によって、中間積層体11上に第1金属層17aを形成する金属層形成工程を実施する。金属層形成工程においては、はじめに排気手段31b〜34bによって各領域31〜34の内部の気体を外部に排出し、これによって、各領域31〜34内を真空状態とする。次に、不活性ガス供給装置(図示せず)によって各領域31〜33内にアルゴンなどの不活性ガスを導入し、その後、電源によってターゲット31a〜33aに放電電力を印加する。これによって生じるスパッタリング現象によって、ターゲット31a〜33aを構成するAl、Ag、Au、Cuなどの高導電性の金属またはこれらの合金からなる第1金属層17aを第1透明導電層16a上に形成することができる。
(巻取工程)
その後、巻取装置50において、中間積層体11と、中間積層体11上に形成された第1金属層17aと、を含む積層体10が、シャフト51によって巻き取られる。これによって、積層体10の巻回体が得られる。
なお本実施の形態において、積層体製造装置1によって製造される積層体10の一例として、中間積層体11の一方の側にのみ第1透明導電層16aや第1金属層17aが形成された積層体10を示した。しかしながら、図7に示すように、積層体製造装置1が、基材フィルム12の一方の側および他方の側の両方にそれぞれ透明導電層16a,16bや金属層17a,17bが形成された積層体10を製造してもよい。図7に示す積層体10を製造する方法が特に限られることはない。
例えば、はじめに、基材フィルム12の両側にハードコート層13a,13b、高屈折率層14a,14b、低屈折率層15a,15bおよび透明導電層16a,16bが形成された中間積層体11を準備する。次に、中間積層体11を巻出装置20から成膜装置30を介して巻取装置50に搬送する間に、基材フィルム12の一方の側に上述の準備工程、脱ガス工程、表面処理工程および金属層形成工程を施し、これによって、基材フィルム12の一方の側に第1金属層17aを形成する。次に、一方の側に第1金属層17aが形成された中間積層体11を、巻出装置20に搬入する。その後、再び中間積層体11を巻出装置20から成膜装置30を介して巻取装置50に搬送する間に、中間積層体11の他方の側に上述の準備工程、脱ガス工程、表面処理工程および金属層形成工程を施し、これによって、中間積層体11の他方の側に第2金属層17bを形成する。このようにして、図7に示す積層体10が得られる。
フィルムセンサの製造方法
次に、積層体10の用途の一例として、積層体10をパターニングすることにより得られるフィルムセンサ(タッチパネルセンサ)60について説明する。フィルムセンサ60は、液晶表示パネルや有機EL表示パネルなどの表示パネルの観察者側に設けられ、人体などの被検出体の接触位置を検出するための透明導電パターンなどを含むセンサである。フィルムセンサ60としては、被検出体からの圧力に基づいてタッチ箇所を検出する抵抗膜方式のフィルムセンサや、人体などの被検出体からの静電気に基づいてタッチ箇所を検出する静電容量方式のフィルムセンサなど様々なタイプのものが知られているが、ここでは、積層体10をパターニングすることによって静電容量方式のフィルムセンサ60を形成する例について、図8および図9を参照して説明する。図8は、フィルムセンサ60を示す平面図であり、図9は、図8に示すフィルムセンサ60の線VII−VIIに沿った断面図である。なお図8および図9においては、図7に示す、基材フィルム12の一方の側および他方の側に配置された透明導電層16a,16bおよび金属層17a,17bを含む積層体10を用いることにより、フィルムセンサ60が作製されている。
図8に示すように、フィルムセンサ60は、指などの外部導体の接近に起因する静電容量の変化を検出するための透明導電パターン62a,62bを備えている。透明導電パターン62a,62bは、基材フィルム12の一方の側に配置され、図8の横方向に延びる第1透明導電パターン62aと、基材フィルム12の他方の側に配置され、図8の縦方向に延びる第2透明導電パターン62bと、からなっている。またフィルムセンサ60は、第1透明導電パターン62aに接続された第1取出パターン64aと、第2透明導電パターン62bに接続された第2取出パターン64bと、をさらに備えている。また、各取出パターン64a,64bに接続され、各透明導電パターン62a,62bからの信号を外部へ取り出すための端子部65a,65bがさらに設けられていてもよい。
図9に示すように、透明導電パターン62a,62bは、積層体10の透明導電層16a、16bをパターニングすることにより得られるものである。同様に、第1取出パターン64aは、積層体10の金属層17aをパターニングすることにより得られるものである。また図9には示されていないが、第1端子部65aも、積層体10の第1金属層17aをパターニングすることにより得られるものであり、また第2取出パターン64bおよび第2端子部65bは、積層体10の第2金属層17bをパターニングすることにより得られるものである。透明導電層16a,16bおよび金属層17a,17bをパターニングする方法としては、例えばフォトリソグラフィー法が用いられる。
なお、このようにして製造されたフィルムセンサ60と、フィルムセンサ60上への接触位置を検出する制御回路と、を用いて、本実施の形態のタッチパネル装置が製造される。
本実施の形態によれば、上述のように、第1取出パターン64aを構成する第1金属層17aおよび第1透明導電パターン62aを構成する第1透明導電層16a、並びに、第2取出パターン64bを構成する第2金属層17bおよび第2透明導電パターン62bを構成する第2透明導電層16bは、飛行時間型二次イオン質量分析装置を用いて透明導電層16a,16bおよび金属層17a,17bの厚み方向において所定の間隔で透明導電層16a,16bおよび金属層17a,17bの組成分析を実施した場合に、XとInとOとを含む第1の二次イオンのカウント数の最大値が現れる位置が、第1透明導電層16aと第1金属層17aとの界面よりも第1透明導電層16a側に存在し、また、第2透明導電層16bと第2金属層17bとの界面よりも第2透明導電層16b側に存在する。このため、第1取出パターン64aおよび第2取出パターン64bは、第1透明導電パターン62aおよび第2透明導電パターン62bに対して、それぞれ高い密着性を有している。このため、透明導電パターン62a,62bと取出パターン64a,64bとの間の密着力が高められたフィルムセンサ60を提供することができる。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
上述の積層体製造装置1を用いて、図5に示す上述の積層体10のサンプル1〜6を作製した。サンプル1〜6の金属層は、全て、Cuで構成されたターゲット31a〜33aを用いて形成されている。しかし、サンプル1〜6のその他の作成条件、例えば金属層成膜前に透明導電層に対して施されるプラズマ処理の強度や金属層の成膜温度、は様々である。
〔評価方法〕
(評価1 密着試験)
サンプル1〜6に係る積層体における第1透明導電層に対する第1金属層の密着力の評価を行った。具体的には、JIS K5600−5−6に規定されている「付着性−クロスカット法」に類似の方法を用いて、第1金属層の付着力をさらに詳細に評価した。具体的には、はじめにカッターなどの工具を用いて格子パターンを第1金属層に切り込み、次に接着テープを第1金属層に貼り付け、その後、0.3秒あたり5cmの速度(JIS K5600−5−6では1.0秒あたり5cmの速度)で、接着テープを第1金属層から剥がした。そして、クロスカットされている第1金属層の断片のうち格子パターンのエッジ部分から剥がされてしまった部分の、全体面積に対する比率に応じて、付着力を評価した。評価基準を以下に示す。
10点:エッジ部分における第1金属層の剥がれが無い
8点:エッジ部分における第1金属層の剥がれ面積が5%以下
6点:エッジ部分における第1金属層の剥がれ面積が5〜15%
4点:エッジ部分における第1金属層の剥がれ面積が15〜35%
2点:エッジ部分における第1金属層の剥がれ面積が35〜50%
0点:エッジ部分における第1金属層の剥がれ面積が50%以上
10点〜0点として評価された積層体の例を参考として図10(a)〜(e)にそれぞれ示す。なお、格子パターンの間隔は1mmとした。また接着テープとしては、ニチバンテープNo.405を使用した。
(評価2 組成分析)
さらに、サンプル1〜6に係る積層体の各層における組成を分析した。具体的には、ION TOF社製の飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)による積層体の表面の組成分析と、スパッタリングによる積層体の厚み方向における掘削と、を交互に繰り返すことにより、積層体の厚み方向の各位置における積層体の組成分析を行った。なお、TOF−SIMSは、試料の表面に一次イオンを照射し、この結果得られた二次イオンを分析することにより、試料表面の組成分析を行うものである。本実施例における一次イオンの照射条件は、以下の通りであった。
一次イオン:Bi3+
一次イオン電流値:0.2pA
一次イオン加速電圧:25keV
一次イオン照射面積:100×100μm
なお、一次イオンの照射に先立って、帯電補正のために、積層体表面に電子照射がなされた。
また、積層体の掘削のためのスパッタリング条件は、以下の通りであった。
スパッタガンガス種:Cs
掘削面積:500×500μm
加速電圧:1keV
電流値:50nA
このような条件の下、積層体の厚み方向の各位置において、一次イオンの照射と、それにより発生した二次イオンの検出と、を行い、得られた二次イオンの質量電荷比m/zと、二次イオンの組成式と、の対応関係を以下のように規定することによって、積層体の組成を分析した。
m/z=209.82:CuInO (質量数:209.82)
m/z=190.70:Cu (質量数:190.70)
m/z=277.78:In (質量数:277.78)
このようにして検出されたCuInO は、第1透明導電層に含まれるInと、第1金属層に含まれるCuと、により形成された化合物に由来するものと考えられる。
図11に、サンプル1に係る積層体の組成分析結果を示す。図11において、横軸は、積層体を掘削するために実施されたスパッタリングの回数を示している。より正確には、1回のスパッタリングと、1回のTOF−SIMSによる組成分析と、を1つのサイクルとして、積層体の各層における組成を分析を行う為に実施されたサイクルの回数を表している。サイクルの回数は、積層体の表面からの距離に対応している。従って、図11においては、左から右に向かって、第1金属層17aおよび第1透明導電層16aの組成分析結果が順次示されている。また、積層体の厚み方向において実施された積層体の組成分析の、積層体の厚み方向における間隔は、1nmであり、積層体の厚み方向における組成分析の分解能は5nmであった。
図11に示すようなサンプル1〜6の組成分析結果において、第1透明導電層と第1金属層との界面の位置を、次のように規定した。すなわち、第1金属層から第1透明導電層に移行する領域において、隣接する測定位置におけるCu (第2の二次イオン)のカウント数を結ぶ線と、隣接する測定位置におけるIn (第3の二次イオン)のカウント数を結ぶ線と、が交差する位置に最も近接した測定位置を、第1透明導電層と第1金属層との界面の位置とした。また、第1透明導電層と第1金属層との界面の位置を原点とし、且つ、第1金属層から第1透明導電層に向かう方向を正の向きとして、サンプル1〜6のCuInO (第1の二次イオン)のカウント数の最大値が現れる位置(界面からの距離)を測定した。
評価1〜2の結果をまとめて表1に示す。また、各サンプル1〜6の、評価1の結果と評価2の結果との関係を図12に示す。
表1および図12から分かるように、CuInO のカウント数の最大値が現れる位置が第1透明導電層と第1金属層との界面よりも第1透明導電層側に存在する積層体は、CuInO のカウント数の最大値が現れる位置が第1透明導電層と第1金属層との界面よりも第1金属層側に存在する積層体と比較して、第1透明導電層に対する第1金属層の密着性が高かった。このことから、第1透明導電層と第1金属層との界面近傍において第1金属層に含まれるCuと第1透明導電層に含まれるInとの化合物の形成状態が、第1透明導電層に対する金属層の密着力を低下させる一因になっていると考えられる。
そして、CuInO のカウント数の最大値が現れる位置が第1透明導電層と第1金属層との界面よりも第1透明導電層側に存在する場合、第1金属層の断片が第1透明導電層から剥離されることを効果的に防ぐことができた。
1 積層体製造装置
10 積層体
11 中間積層体
12 基材フィルム
17a,17b 金属層
20 巻出装置
23 表面処理装置
24 電極
25 不活性ガス供給手段
26 酸素供給手段
27 プラズマ雰囲気
30 成膜装置
50 巻取装置

Claims (9)

  1. 基材フィルムと、
    前記基材フィルムの一方の側に所定のパターンで設けられ、透光性および導電性を有する透明導電パターンと、
    前記透明導電パターン上に所定のパターンで設けられ、導電性を有する取出パターンと、を備え、
    前記透明導電パターンは、ITOからなる透明導電層を含み、
    前記取出パターンは、前記透明導電層上に設けられた金属層を含み、
    前記金属層が高導電性の金属(X)を含み、
    飛行時間型二次イオン質量分析装置を用いて前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向において所定の間隔で前記透明導電層及び前記金属層の組成分析を実施した場合、XとInとOとを含む第1の二次イオンのカウント数の最大値が現れる位置が、前記透明導電層と前記金属層との界面よりも前記透明導電層側にあり、
    前記透明導電層と前記金属層との界面の位置は、前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向の測定位置を横軸とし、前記組成分析において検出される二次イオンのカウント数を縦軸とした場合に、隣接する測定位置における二次イオンのカウント数を二次イオン毎に結ぶ線のうち、Xを含む第2の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、In からなる第3の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、が交差する位置に最も近接した測定位置である、フィルムセンサ。
  2. XはAl,Ag、AuまたはCuである、請求項1に記載のフィルムセンサ。
  3. XがCuであり、
    前記第1の二次イオンがCuInO であり、
    前記第2の二次イオンがCu である、請求項2に記載のフィルムセンサ。
  4. 前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向において実施される前記透明導電層及び前記金属層の前記組成分析の、前記厚み方向における間隔が、1nm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフィルムセンサ。
  5. フィルムセンサと、前記フィルムセンサ上への接触位置を検出する制御回路と、を含むタッチパネル装置であって、
    前記フィルムセンサが、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフィルムセンサを備える、タッチパネル装置。
  6. フィルムセンサを作製するために用いられる積層体であって、
    基材フィルムと、
    前記基材フィルムに設けられ、ITOからなる透明導電層と、
    前記透明導電層上に設けられ、導電性を有する金属層と、を備え、
    前記金属層が高導電性の金属(X)を含み、
    飛行時間型二次イオン質量分析装置を用いて前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向において所定の間隔で前記透明導電層及び前記金属層の組成分析を実施した場合、XとInとOとを含む第1の二次イオンのカウント数の最大値が現れる位置が、前記透明導電層と前記金属層との界面よりも前記透明導電層側にあり、
    前記透明導電層と前記金属層との界面の位置は、前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向の測定位置を横軸とし、前記組成分析において検出される二次イオンのカウント数を縦軸とした場合に、隣接する測定位置における二次イオンのカウント数を二次イオン毎に結ぶ線のうち、Xを含む第2の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、In からなる第3の二次イオンのカウント数を結ぶ線と、が交差する位置に最も近接した測定位置である、積層体。
  7. XはAl,Ag、AuまたはCuである、請求項6に記載の積層体。
  8. XがCuであり、
    前記第1の二次イオンがCuInO であり、
    前記第2の二次イオンがCu である、請求項7に記載の積層体。
  9. 前記透明導電層及び前記金属層の厚み方向において実施される前記透明導電層及び前記金属層の前記組成分析の、前記厚み方向における間隔が、1nm以下である、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の積層体。
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