JP6349695B2 - フィルムセンサを作製するために用いられる積層体 - Google Patents

フィルムセンサを作製するために用いられる積層体 Download PDF

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Description

本発明は、フィルムセンサなどの電子部品を作製するために用いられる積層体に関する。
今日、入力手段として、タッチパネル装置が広く用いられている。タッチパネル装置は、フィルムセンサ(タッチパネルセンサ)、フィルムセンサ上への接触位置を検出する制御回路、配線およびFPC(フレキシブルプリント基板)を含んでいる。タッチパネル装置は、多くの場合、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の表示装置が組み込まれた種々の装置等(例えば、券売機、ATM装置、携帯電話、ゲーム機)に対する入力手段として、表示装置とともに用いられている。このような装置においては、フィルムセンサが表示装置の表示面上に配置されており、これによって、表示装置に対する極めて直接的な入力が可能になっている。フィルムセンサのうち表示装置の表示領域に対面する領域は透明になっており、フィルムセンサのこの領域が、接触位置(接近位置)を検出し得るアクティブエリアを構成するようになる。
フィルムセンサとしては、網目状に配置された金属材料からなる導線によってセンサ電極を作製するタイプのものや、ITOなどの透光性を有する導電性酸化物材料を用いてセンサ電極を作製するタイプのものが知られている。前者のタイプのタッチパネルセンサにおいては、センサ電極を構成するための金属材料として、高い導電性を有するとともに比較的に安価な銅が主に用いられている。また後者のタイプにおいても、アクティブエリアの周辺に存在する非アクティブエリア、いわゆる額縁領域に設けられる額縁配線を構成する材料として、銅が広く用いられている。
フィルムセンサを作製するための方法として、基材フィルム上に、ITOからなる透明導電層や銅からなる金属層などを設けることにより作製された積層体をはじめに準備し、次に、この積層体の任意の層をフォトリソグラフィー法などによってパターニングするという方法が知られている。また、積層体を製造する方法の1つとして、はじめに基材フィルムを準備し、次に、スパッタリング法やEB蒸着法などの物理蒸着成膜法を用いて、基材フィルム上に金属層などを積層していく、という方法が知られている。例えば特許文献1において、スパッタリング法を用いてポリエステルフィルムの上に透明導電層を形成し、その後、スパッタリング法を用いて透明導電層の上に金属層を形成し、これによって、フィルムセンサを作製するための積層体を得ることが開示されている。
特開平4−160624号公報
一般に銅は柔らかく、このため損傷しやすい。また銅からなる金属層は従来、積層体の最表面に位置している。このため、積層体の製造工程や、積層体からフィルムセンサを作製するためのフォトリソグラフィー工程などにおいて、銅からなる金属層の表面が損傷されてしまうことがある。
このような損傷を防ぐため、例えば、銅よりも高い硬度を有する金属材料からなる層を、銅を保護するための被覆層として、銅からなる金属層の上に設けることが考えられる。ここで、本件発明者らが鋭意研究を重ねた結果、積層体の表面の損傷を十分に抑制するためには、単に被覆層を設けるだけでは不十分であり、金属層や被覆層を構成する金属結晶において、所定の結晶面の比率が適切な範囲内になっていることが重要であることを見出した。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、表面が損傷されてしまうことを抑制することができる積層体を提供することを目的とする。
第1の本発明は、フィルムセンサを作製するために用いられる積層体であって、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の側に設けられ、結晶状態の銅を含む銅層と、前記銅層の一方の側の面上に設けられ、導電性を有する被覆層と、を備え、前記積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、前記銅層の銅結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCu{220}とし、前記銅層の銅結晶の{311}面に基づく回折ピークの高さをPCu{311}とするとき、PCu{220}/PCu{311}が1.6〜1.9の範囲内になっている、積層体である。
第1の本発明による積層体において、前記被覆層が、結晶状態のCuNi合金を含んでいてもよい。この場合、好ましくは、前記積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、前記被覆層のCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCuNi{220}とするとき、PCuNi{220}/PCu{220}が0.5〜0.8の範囲内になっている。
第1の本発明による積層体において、前記銅層の厚みが、80〜200nmの範囲内になっており、前記被覆層の厚みが、10〜50nmの範囲内になっていてもよい。
第2の本発明は、タッチパネルセンサを作製するために用いられる積層体であって、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の側に設けられ、結晶状態の銅を含む銅層と、前記銅層の一方の側の面上に設けられ、結晶状態のCuNi合金を含む被覆層と、を備え、前記積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、前記銅層の銅結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCu{220}とし、前記被覆層のCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCuNi{220}とするとき、PCuNi{220}/PCu{220}が0.5〜0.8の範囲内になっている、積層体である。
第2の本発明による積層体において、前記銅層の厚みが、80〜200nmの範囲内になっており、前記被覆層の厚みが、10〜50nmの範囲内になっていてもよい。
第1および第2の本発明による積層体において、好ましくは、積層体の一方の側の表面のインデンテーション硬度が4.8GPa以上になっている。
第1の本発明による積層体は、基材フィルムと、基材フィルムの一方の側に設けられ、結晶状態の銅を含む銅層と、銅層の一方の側の面上に設けられ、導電性を有する被覆層と、を備えている。そして、積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、銅層の銅結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCu{220}とし、銅層の銅結晶の{311}面に基づく回折ピークの高さをPCu{311}とするとき、PCu{220}/PCu{311}が1.6〜1.9の範囲内になっている。本件発明者らの研究結果によれば、PCu{220}/PCu{311}が上記範囲に入るよう積層体の銅層を構成することにより、被覆層の下地となる銅層の硬度を十分に確保することができる。これによって、積層体の製造工程やフィルムセンサの製造工程において、被覆層の表面が損傷されてしまうことを抑制することができる。
第2の本発明による積層体は、基材フィルムと、基材フィルムの一方の側に設けられ、結晶状態の銅を含む銅層と、銅層の一方の側の面上に設けられ、導結晶状態のCuNi合金を含む被覆層と、を備えている。そして、積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、銅層の銅結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCu{220}とし、被覆層のCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCuNi{220}とするとき、PCuNi{220}/PCu{220}が0.5〜0.8の範囲内になっている。本件発明者らの研究結果によれば、PCuNi{220}/PCu{220}が上記範囲に入るよう積層体の銅層を構成することにより、銅層および被覆層の硬度を十分に確保することができる。これによって、積層体の製造工程やフィルムセンサの製造工程において、被覆層の表面が損傷されてしまうことを抑制することができる。
図1は、積層体を製造するための積層体製造装置を示す図。 図2は、図1に示す積層体製造装置の成膜装置を示す図。 図3は、図2に示す成膜装置を用いることによって形成された、本発明の第1の実施の形態による積層体を示す断面図。 図4は、図3に示す積層体の変形例であって、基材フィルムの両側に設けられた銅層および被覆層を備える積層体を示す断面図。 図5は、基材フィルムの両側に設けられた銅層および被覆層を備える積層体の変形例を示す断面図。 図6は、図4に示す積層体をパターニングすることにより得られるフィルムセンサを示す平面図。 図7は、図6に示すフィルムセンサの線VII−VIIに沿った断面図。 図8は、本発明の第2の実施の形態による積層体を示す断面図。 図9は、図8に示す積層体の変形例であって、基材フィルムの両側に設けられた銅層および被覆層を備える積層体を示す断面図。 図10は、基材フィルムの両側に設けられた銅層および被覆層を備える積層体の変形例を示す断面図。 図11は、図9に示す積層体をパターニングすることにより得られるフィルムセンサを示す平面図。 図12は、図11に示すフィルムセンサの線XII−XIIに沿った断面図。 図13は、積層体の一方の側の表面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定する方法を説明するための図。 図14は、サンプル1,2,4,5の積層体から得られた回折ピークを示す図。 図15は、銅層の銅結晶の{220}面に基づく回折ピークおよび被覆層のCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークをそれぞれ模式的に示す図。 図16(a)〜(e)はそれぞれ、学振試験機によってサンプル1〜5の積層体の表面に形成された傷を、光学顕微鏡を用いて観察した結果を示す図。 図17は、サンプル1〜5の積層体の銅層および被覆層を成膜する際の成膜温度と、各積層体の表面に形成された傷の面積率との関係を示す図。 図18は、積層体のインデンテーション硬度と、各積層体の表面に形成された傷の面積率との関係を示す図。 図19は、CuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さと、積層体の表面に形成された傷の面積率並びに各積層体におけるインデンテーション硬度との関係を示す図。
第1の実施の形態
以下、図1乃至図7を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。はじめに図3を参照して、本実施の形態における積層体10Aについて説明する。
積層体
図3は、積層体10Aを示す断面図である。図3に示すように、積層体10Aは、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の側の面12a上に順に設けられた第1ハードコート層13a、第1高屈折率層14a、第1低屈折率層15a、第1酸化珪素層16a、第1透明導電層17a、第1銅層18aおよび第1被覆層19aと、を含んでいる。なお「一方の側」および後述する「他方の側」とは、積層体10Aの各層の位置関係を、積層体10Aの載置のされ方に依らず相対的に表現するための用語である。例えば図3に示す例においては、「一方の側」および「他方の側」がそれぞれ上側および下側に相当するが、「一方の側」および「他方の側」が意味する向きが上側および下側に限られることはなく、積層体10Aの向きに応じて「一方の側」および「他方の側」が意味する向きは変化する。
以下、基材フィルム12、第1ハードコート層13a、第1高屈折率層14a、第1低屈折率層15a、第1酸化珪素層16a、第1透明導電層17a、第1銅層18aおよび第1被覆層19aについてそれぞれ説明する。
(基材フィルム)
基材フィルム12としては、十分な透光性を有するフィルムが用いられる。基材フィルム12を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)、環状オレフィン・コポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが挙げられる。基材フィルム12の厚みは、例えば25〜200μmの範囲内となっている。
(ハードコート層)
第1ハードコート層13aは、擦り傷を防止するという目的や、層間の界面に低分子重合体(オリゴマー)が析出して白く濁ってみえることを防ぐという目的のために設けられる層である。第1ハードコート層13aとしては、例えばアクリル樹脂などが用いられる。なお図3に示すように、第1ハードコート層13aと同一の材料から構成された第2ハードコート層13bが、基材フィルム12の他方の面12b上にさらに設けられていてもよい。ハードコート層13a,13bの厚みは、例えば0.1〜10μmの範囲内となっている。
(高屈折率層および低屈折率層)
第1高屈折率層14aは、基材フィルム12を構成する材料よりも高い屈折率を有する材料から構成される層であり、一方、第1低屈折率層15aは、基材フィルム12を構成する材料よりも低い屈折率を有する材料から構成される層である。これら第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aは、積層体10Aにおける光の透過率や反射率を調整するために基材フィルム12と第1透明導電層17aとの間に任意に設けられるものである。第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aは、後述するように積層体10Aの第1透明導電層17aがパターニングされてフィルムセンサのセンサ電極となる場合に、センサ電極が設けられている領域と設けられていない領域との間の光の透過率および反射率の差を小さくするためのインデックスマッチング層として機能することができる。
第1高屈折率層14aの材料としては、例えば酸化ニオブやジルコニウムなどの高屈折率材料が用いられる。高屈折率材料を用いて第1高屈折率層14aを構成する具体的な方法が特に限られることはない。例えば第1高屈折率層14aは、高屈折率材料単体によって構成される膜であってもよく、若しくは、有機樹脂と、有機樹脂内に分散された高屈折率材料の粒子と、から構成されていてもよい。
第1低屈折率層15aの材料としては、例えば酸化珪素やMgF(フッ化マグネシウム)などの低屈折率材料が用いられる。低屈折率材料を用いて第1低屈折率層15aを構成する具体的な方法が特に限られることはない。例えば第1低屈折率層15aは、低屈折率材料単体によって構成される膜であってもよく、若しくは、有機樹脂と、有機樹脂内に分散された低屈折率材料の粒子と、から構成されていてもよい。例えば、有機樹脂および低屈折率材料の粒子を含む塗布液を、コーターを用いてコーティングすることによって、第1低屈折率層15aを形成することができる。
(酸化珪素層)
第1酸化珪素層16aは、酸化珪素の膜として形成される層である。第1酸化珪素層16aに含まれる酸化珪素の組成が特に限られることはなく、SiO(xは任意の数)の組成を有する様々な酸化珪素が用いられるが、例えばx=1.8となっている。
なお本実施の形態においては、上述の第1高屈折率層14a、第1低屈折率層15aおよび第1酸化珪素層16aが積層体10Aに含まれている例について説明するが、しかしながら、第1高屈折率層14a、第1低屈折率層15aおよび第1酸化珪素層16aは必ずしも設けられていなくてもよい。同様に、ハードコート層13a,13bも、必要に応じて任意に設けられる層である。従って、基材フィルム12の一方の側の面12aや第1ハードコート層13aの一方の側の面に直接的に接するよう第1透明導電層17aが設けられることもある。
(透明導電層)
第1透明導電層17aは、後述するように、フィルムセンサのセンサ電極を形成するために用いられる層である。第1透明導電層17aを構成する材料としては、導電性を有しながら透光性を示す材料が用いられ、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などの金属酸化物が用いられる。第1透明導電層17aの厚みは、積層体10Aから作製される透明電極またはセンサ電極における電気抵抗の仕様などに応じて適宜設定されるが、例えば15〜40nmの範囲内となっている。
(銅層)
第1銅層18aは、銅を含む層である。例えば第1銅層18aは、95atm%以上の銅を含んでいる。本実施の形態において、第1銅層18aおよび上述の第1被覆層19aは、第1透明導電層17aからの信号を外部に取り出すための配線を形成するために用いられる層である。すなわち、第1銅層18aおよび第1被覆層19aは、いわゆる額縁配線を形成するために用いられる層である。第1銅層18aの厚みは、額縁配線に対して求められる導電性に応じて適宜設定されるが、例えば80〜200nmの範囲内になっている。
(被覆層)
ところで銅は一般に柔らかい。このため、仮に第1銅層18aが積層体10Aの最も外側の表面(以下、最表面とも称する)を構成するとした場合、積層体10Aの製造工程や、積層体10Aからフィルムセンサを作製するための工程において、積層体10Aの表面が損傷してしまうことが懸念される。第1被覆層19aは、このような損傷を防ぐために、第1銅層18aの一方の側の面上に設けられた層である。なお第1銅層18aおよび第1被覆層19aは上述のように、第1透明導電層17aからの信号を外部に取り出すための配線を形成するための層である。従って、第1被覆層19aには、フィルムセンサの信号を取り出すためのフレキシブル基板の端子などが接続される。このため、第1被覆層19aには、単に第1銅層18aを保護するという役割だけでなく、信号を低抵抗で伝達するという役割も求められる。このような点を考慮し、第1被覆層19aは、導電性を有する金属材料から構成されている。例えば、第1被覆層19aは、CuNi合金を含んでいる。
CuNi合金は、銅に比べて高い硬度を有している。例えば、Cuからなる第1銅層18aと、CuNiからなる第1被覆層19aとについて、インデンテーション硬度をそれぞれ測定した場合、第1被覆層19aの方が第1銅層18aよりもインデンテーション硬度が高くなる。インデンテーション硬度とは、極小領域の硬度を評価するためのナノ・インデンテーション試験によって算出される硬度である。硬度の指標としてインデンテーション硬度を採用することにより、第1銅層18aおよび第1被覆層19aの厚みが小さい場合であっても、例えば1μm以下の場合であっても、それらの硬度を適切に評価することができる。
第1被覆層19aの厚みは、積層体10Aに対して求められる耐擦傷性に応じて適宜設定されるが、例えば10〜50nmの範囲内になっている。また、その最表面が第1被覆層19aによって構成されている積層体10Aの一方の側の表面のインデンテーション硬度は、好ましくは4.8〜5.1GPaの範囲内になっている。なお上述のように、インデンテーション硬度は、極小領域の硬度を表すことができる。このため、積層体10Aの一方の側の表面のインデンテーション硬度は、第1被覆層19aのインデンテーション硬度とほぼ同義である。
ここで、本件発明者らが鋭意研究を重ねた結果、積層体10Aの表面の損傷を十分に抑制するためには、単に第1被覆層19aを設けるだけでは不十分であり、後述する実施例において示されるように、第1銅層18aや第1被覆層19aを構成する金属結晶において、所定の結晶面の比率が適切な範囲内になっていることが重要であることを見出した。
(PCu{220}/PCu{311}に関する条件)
はじめに、第1銅層18aに含まれる銅結晶の結晶面について説明する。後述するように、積層体10Aの一方の側の面にX線を入射させると、積層体10Aの最表層である第1被覆層19aに含まれるCuNi結晶の回折ピークだけでなく、第1銅層18aに含まれる銅結晶の回折ピークも得られる。ここでは、回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、第1銅層18aの銅結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCu{220}とし、第1銅層18aの銅結晶の{311}面に基づく回折ピークの高さをPCu{311}とする。この場合、本件発明者らの研究の成果によれば、PCu{220}/PCu{311}が適切な範囲内になっているとき、良好な耐擦傷性を有する積層体10Aを得ることができた。PCu{220}/PCu{311}の具体的な数値については、実施例において詳細に説明するが、例えば、PCu{220}/PCu{311}が1.6〜1.9の範囲内になっていることが、積層体10Aの耐擦傷性を高める上で有効である。より好ましくは、PCu{220}/PCu{311}は1.64〜1.88の範囲内になっている。
Cu{220}/PCu{311}を上記範囲にすることによって積層体10Aの耐擦傷性が得られる理由は、特には限られないが、例えば、PCu{220}/PCu{311}を上記範囲にすることにより、第1銅層18aにおける、{220}面の結晶方位を有する銅結晶の比率が十分に高くなり、この結果、第1銅層18aの硬度が十分に高くなり、第1銅層18a上に位置する第1被覆層19aが傷つきにくくなる、ということが考えられる。
(PCuNi{220}/PCu{220}に関する条件)
次に、第1銅層18aに含まれる銅結晶の所定の結晶面の比率と、第1被覆層19aに含まれるCuNi結晶の所定の結晶面の比率との間の関係の適切な範囲について説明する。ここでは、回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、第1被覆層19aのCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCuNi{220}とする。この場合、本件発明者らの研究の成果によれば、PCuNi{220}/PCu{220}が適切な範囲内になっているとき、良好な耐擦傷性を有する積層体10Aを得ることができた。PCuNi{220}/PCu{220}の具体的な数値については、実施例において詳細に説明するが、例えば、PCuNi{220}/PCu{220}が0.5〜0.8の範囲内になっていることが、積層体10Aの耐擦傷性を高める上で有効である。より好ましくは、PCuNi{220}/PCu{220}は0.53〜0.76の範囲内になっている。
CuNi{220}/PCu{220}を上記範囲にすることによって積層体10Aの耐擦傷性が得られる理由は、特には限られないが、例えば、PCuNi{220}/PCu{220}が上記範囲内にあることは、第1被覆層19aのCuNi結晶の結晶化が十分に進行していることを意味し、このため、第1被覆層19aの硬度が十分に高くなり、この結果、積層体10Aの耐擦傷性が良好になる、ということが考えられる。
本実施の形態によれば、第1銅層18aおよび第1被覆層19aを構成する金属結晶の結晶面に関する上述の知見に基づいて、高い耐擦傷性を有する積層体10Aを製造することができる。例えば、PCu{220}/PCu{311}またはPCuNi{220}/PCu{220}の少なくともいずれか一方に関する上述の条件を満たすことができる成膜条件を予め見出しておき、その成膜条件に沿って第1銅層18aおよび第1被覆層19aを成膜することができる。PCu{220}/PCu{311}またはPCuNi{220}/PCu{220}を満たすことができる具体的な成膜条件は特には限られないが、例えば後述する実施例において示すように、第1銅層18aおよび第1被覆層19aの成膜温度を高温にすること、例えば60℃以上にすること、より具体的には60℃〜150℃の範囲内にすることが考えられる。
Cu{220}/PCu{311}またはPCuNi{220}/PCu{220}に関する上述の条件を、製造された積層体10Aに対して実施する検査において利用してもよい。ここで、PCu{220}/PCu{311}またはPCuNi{220}/PCu{220}の値は、積層体10Aを破壊すること無く得られる。従って本実施の形態によれば、後述する学振試験などの、積層体10Aを実際に傷つける評価を実施することなく、製造された積層体10Aが有する耐擦傷性に関する指標を得ることができる。
〔積層体の変形例〕
なお図4に示すように、第2ハードコート層13bの他方の側に順に設けられた第2高屈折率層14b、第2低屈折率層15b、第2酸化珪素層16bおよび第2透明導電層17b、第2銅層18bおよび第2被覆層19bをさらに備えた積層体10Bが提供されてもよい。すなわち、フィルムセンサのセンサ電極を構成するための透明導電層や、フィルムセンサの額縁配線を構成するための銅層および被覆層が、基材フィルム12の一方の側だけでなく他方の側にも設けられていてもよい。これによって、後述するように、基材フィルム12の両側にセンサ電極や額縁配線を形成することができる。なお本実施の形態においては、片側にのみ銅層および被覆層が設けられている積層体を符号10Aで表し、両側に銅層および被覆層が設けられている積層体を符号10Bで表している。また後述する中間積層体についても、片側にのみ透明導電層が設けられている中間積層体を符号11Aで表し、両側に透明導電層が設けられている中間積層体を符号11Bで表している。
第2高屈折率層14b、第2低屈折率層15b、第2酸化珪素層16b、第2透明導電層17b、第2銅層18bおよび第2被覆層19bを構成する材料は、上述の第1高屈折率層14a、第1低屈折率層15a、第1酸化珪素層16a、第1透明導電層17a、第1銅層18aおよび第1被覆層19aを構成する材料と同一であるので、詳細な説明を省略する。
なお図4においては、1つの基材フィルム12の両側に透明導電層、銅層および被覆層が設けられる例を示したが、しかしながら、両側にセンサ電極や額縁配線を形成するために用いられる積層体が、図4に示す積層体10Bに限られることはない。例えば図5に示すように、図3に示す積層体10Aを2つ準備し、これらを、互いの第1被覆層19aが外側を向くように接着層5などを介して貼り合せることによって、積層体10Bを作製してもよい。
次に図1および図2を参照して、上述の積層体10Aや積層体10Bを製造するための積層体製造装置1について説明する。はじめに図1を参照して、積層体製造装置1全体について説明する。なおここでは、中間積層体11Aに対して成膜処理を実施することによって積層体10を製造するための積層体製造装置1について説明する。中間積層体11Aは、図3に示す積層体10Aを製造する工程の途中で得られる中間生成物である。図3に示すように、中間積層体11Aは、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の側の面12a上に順に設けられた第1ハードコート層13a、第1高屈折率層14a、第1低屈折率層15a、第1酸化珪素層16aおよび第1透明導電層17aと、を含んでいる。
積層体製造装置
図1に示すように、積層体製造装置1は、中間積層体11Aを巻き出す巻出装置20と、中間積層体11A上に第1銅層18aおよび第1被覆層19aを設ける成膜装置30と、第1銅層18aおよび第1被覆層19aが設けられた中間積層体11Aを巻き取る巻取装置50と、を備えている。
(成膜装置)
次に、積層体製造装置1の成膜装置30について説明する。成膜装置30における成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリング、CVDやイオンプレーティングなど様々な方法が採用され得るが、ここでは、成膜方法としてスパッタリングが用いられる例について図2を参照して説明する。
図2に示すように、成膜装置30は、成膜処理が実施される成膜室36と、中間積層体11Aが巻き付けられて搬送される成膜用搬送ドラム38と、搬送される中間積層体11Aを案内するガイドローラー39と、成膜室36の内部の気体を外部に排出する成膜用真空排気機構37と、搬送されている中間積層体11Aに対向するよう設けられ、中間積層体11A上に設けられる膜の原料となるターゲット材と、を備えている。図3に示す例においては、ターゲット材として、第1銅層18aの原料となる銅を含むターゲット材31a,32a,33a、および、第1被覆層19aの原料となるCuNi合金を含むターゲット材34aが設けられている。なお図2に示す例においては、第1銅層18aの成膜のために3つのターゲット材31a,32a,33aが用いられるが、これに限られることはなく、形成される層の種類や厚みに応じてターゲットの個数が適切に設定され得る。
成膜装置30においては、はじめに成膜用真空排気機構37によって成膜室36の内部の気体を外部に排出し、これによって、成膜室36内を真空状態とする。次に、不活性ガス供給装置(図示せず)によって成膜室36内にアルゴンなどの不活性ガスを導入し、その後、放電装置によってターゲット材に放電電力を印加する。これによって、各ターゲット材からなる膜を中間積層体11A上に設けることができる。
図2に示すように、成膜装置30の成膜室36は、隔壁36aによって、第1ターゲット材31aを含む第1領域31と、第2ターゲット材32aを含む第2領域32と、第3ターゲット材33aを含む第3領域33と、第4ターゲット材34aを含む第4領域34と、その他の第5領域35と、に区画されていてもよい。また図2に示すように、成膜用真空排気機構37は、各領域31〜35にそれぞれ接続され、各領域31〜35の内部の気体を外部に排出する排気手段31c〜35cを含んでいてもよい。これによって、ターゲット材ごとにターゲット材の周囲の雰囲気(真空度など)を調整することができ、このことにより、ターゲット材ごとに最適化された条件の下でスパッタリングを実施することができる。
成膜装置30の搬送ドラム38は、その表面に巻き付けられている中間積層体11Aを加熱するための加熱手段を含んでいてもよい。これによって、第1銅層18aや第1被覆層19aの成膜処理を適切な温度条件の下で実施することができるようになる。すなわち、第1銅層18aや第1被覆層19aを作製する際の成膜温度を制御することが可能になる。この場合、例えば成膜温度を高温にすることによって、第1銅層18aの銅の結晶化や、第1被覆層19aのCuNi合金の結晶化を促すことができる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、はじめに、上述の中間積層体11Aを製造する方法の一例について説明する。次に、中間積層体11Aを積層体製造装置1に供給して積層体10Aを製造する方法について説明する。その後、積層体をパターニングすることにより得られるフィルムセンサ60について説明する。
中間積層体の製造方法
はじめに基材フィルム12を準備する。次に、アクリル樹脂を含む塗布液を、コーターを用いて基材フィルム12の両側にコーティングする。これによって、基材フィルム12の両側にハードコート層13a,13bが形成される。次に、有機樹脂および有機樹脂内に分散された高屈折率材料の粒子、例えばジルコニウムの粒子を含む塗布液を、コーターを用いて第1ハードコート層13aの一方の側の面上にコーティングする。これによって、第1ハードコート層13a上に第1高屈折率層14aが形成される。その後、有機樹脂および有機樹脂内に分散された低屈折率材料の粒子、例えば酸化珪素の粒子を含む塗布液を、コーターを用いて第1高屈折率層14aの一方の側の面上にコーティングする。これによって、第1高屈折率層14a上に第1低屈折率層15aが形成される。その後、スパッタリング法などの真空成膜法を用いて、第1低屈折率層15a上に第1酸化珪素層16aを形成する。同様に、スパッタリング法などの真空成膜法を用いて、第1酸化珪素層16a上に第1透明導電層17aを形成する。このようにして中間積層体11Aを得ることができる。なお、第1酸化珪素層16aや第1透明導電層17aを形成するための真空成膜を実施するための装置は、上述の積層体製造装置1の中に、例えば上述の巻出装置20と成膜装置30との間に設けられたものであってもよく、または、積層体製造装置1からは分離されたものであってもよい。
積層体の製造方法
次に、積層体製造装置1を用いて中間積層体11Aの一方の側に第1銅層18aおよび第1被覆層19aを形成し、これによって図3に示す積層体10Aを得る方法について説明する。
はじめに、巻出装置20において、中間積層体11Aが巻回されたシャフト21を準備し、次に、成膜装置30に向けて中間積層体11Aを巻き出す。その後、以下に説明するように、中間積層体11Aを被成膜体として、スパッタリングによる成膜方法を実施する。
(銅層形成工程)
まず成膜装置30の第1領域31において、中間積層体11Aの第1透明導電層17aの一方の側の面上に第1銅層18aを形成する銅層形成工程を実施する。銅層形成工程においては、はじめに排気手段31cによって第1領域31の内部の気体を外部に排出し、これによって、第1領域31内を真空状態とする。次に、不活性ガス供給装置(図示せず)によって第1領域31内にアルゴンなどの不活性ガスを導入し、その後、放電装置によって第1ターゲット材31aに放電電力を印加する。これによって生じる、銅のスパッタリングによって、第1銅層18aを第1透明導電層17a上に形成することができる。
この際、搬送ドラム38の温度、すなわち第1銅層18aの成膜温度は、得られる第1銅層18aの銅結晶において、所定の結晶面の比率が適切なものとなるよう、設定される。例えば、第1銅層18aの成膜温度は60〜150℃の範囲内になっている。
第1領域31の場合と同様に、第2領域32および第3領域33においても、第2ターゲット材32aおよび第3ターゲット材33aに放電電力を印加することによって、第1透明導電層17a上に銅を成膜する。この際も、搬送ドラム38の温度が適切に制御される。これによって、第1透明導電層17a上に、所望の厚みを有する第1銅層18aを、適切な成膜温度で形成することができる。
(被覆層形成工程)
その後第1銅層18aの形成工程の場合と同様にして、第4ターゲット材34aを用いたスパッタリングにより、第4ターゲット材34aを構成するCuNi合金からなる第1被覆層19aを第1銅層18a上に形成することができる。
この際、搬送ドラム38の温度、すなわち第1被覆層19aの成膜温度は、得られる第1被覆層19aのCuNi結晶において、所定の結晶面の比率が適切なものとなるよう、設定される。例えば、第1被覆層19aの成膜温度は60〜150℃の範囲内になっている。
(巻取工程)
その後、巻取装置50において、中間積層体11Aと、中間積層体11A上に形成された第1銅層18aおよび第1被覆層19aと、を含む積層体10Aが、シャフト51によって巻き取られる。これによって、積層体10Aの巻回体が得られる。
本実施の形態によれば、PCu{220}/PCu{311}またはPCuNi{220}/PCu{220}の少なくともいずれか一方に関する上述の条件を満たすことができるよう予め設定された成膜条件、例えば成膜温度に基づいて、第1銅層18aおよび第1被覆層19aを形成することができる。このため、優れた耐擦傷性を有する積層体10Aを得ることができる。
なお、上述のようにして得られた積層体10Aの基材フィルム12の他方の側に、第2高屈折率層14b、第2低屈折率層15b、第2酸化珪素層16b、第2透明導電層17b、第2銅層18bおよび第2被覆層19bをさらに設け、これによって図4に示す積層体10Bを作製してもよい。若しくは、図4に示す中間積層体11Bをまず準備し、次に、積層体製造装置1の成膜装置30を用いて中間積層体11Bの一方の側に第1銅層18aおよび第1被覆層19aを形成し、その後、積層体製造装置1の成膜装置30を用いて中間積層体11Bの他方の側に第2銅層18bおよび第2被覆層19bを形成し、これによって、図4に示す積層体10Bを得てもよい。若しくは、上述のようにして得られた2つの積層体10Aを貼り合せることによって、図5に示す積層体10Bを作製してもよい。
フィルムセンサの製造方法
次に、積層体の用途の一例として、本実施の形態による積層体をパターニングすることにより得られるフィルムセンサ(タッチパネルセンサ)60について説明する。フィルムセンサ60は、人の指などの被検出体の、フィルムセンサ60に対する接触位置を検出するためのものである。フィルムセンサ60は、液晶表示パネルや有機EL表示パネルなどの表示パネルの観察者側に設けられる。フィルムセンサ60としては、被検出体からの圧力に基づいて接触箇所を検出する抵抗膜方式のフィルムセンサや、人の指などの被検出体からの静電気に基づいて接触箇所を検出する静電容量方式のフィルムセンサなど様々なタイプのものが知られている。ここでは、積層体10Bをパターニングすることによって静電容量方式のフィルムセンサ60を形成する例について、図6および図7を参照して説明する。図6は、フィルムセンサ60を示す平面図であり、図7は、図6に示すフィルムセンサ60の線VII−VIIに沿った断面図である。
図6に示すように、フィルムセンサ60は、指などの外部導体の接近に起因する静電容量の変化を検出するためのセンサ電極62a,62bを備えている。センサ電極62a,62bは、基材フィルム12の一方の側に配置され、図6の横方向に延びる第1センサ電極62aと、基材フィルム12の他方の側に配置され、図6の縦方向に延びる第2センサ電極62bと、からなっている。またフィルムセンサ60は、第1センサ電極62aに接続された第1額縁配線64aと、第2センサ電極62bに接続された第2額縁配線64bと、をさらに備えている。また、各額縁配線64a,64bに接続され、各センサ電極62a,62bからの信号を外部へ取り出すための端子部65a,65bがさらに設けられていてもよい。
図7に示すように、センサ電極62a,62bは、積層体10の透明導電層17a、17bをパターニングすることにより得られるものである。同様に、第1額縁配線64aは、積層体10の第1銅層18aおよび第1被覆層19aをパターニングすることにより得られるものである。また図7には示されていないが、第1端子部65aも、積層体10の第1銅層18aおよび第1被覆層19aをパターニングすることにより得られるものである。また第2額縁配線64bおよび第2端子部65bは、積層体10の第2銅層18bおよび第2被覆層19bをパターニングすることにより得られるものである。透明導電層17a,17b、銅層18a,18bおよび被覆層19a,19bをパターニングする方法としては、例えばフォトリソグラフィー法が用いられる。なお図7に示すように、積層体10の酸化珪素層16a,16bは、センサ電極62a,62bや額縁配線64a,64bに対応したパターンを有するようパターニングされていてもよい。
本実施の形態によれば、額縁配線64a,64bは、結晶状態の銅を含む銅層18a,18bと、結晶状態のCuNi合金を含む被覆層19a,19bと、を有している。また上述のように、銅層18a,18bおよび被覆層19a,19bは、PCu{220}/PCu{311}またはPCuNi{220}/PCu{220}の少なくともいずれか一方に関する上述の条件を満たすよう成膜されたものである。このため、フィルムセンサ60の製造工程の間に被覆層19a,19bが傷ついてしまうことを抑制することができる。このことにより、表面の傷が低減された、または傷の無い額縁配線64a,64bを備えたフィルムセンサ60を得ることができる。
第2の実施の形態
上述の第1の実施の形態においては、積層体の銅層および被覆層が、フィルムセンサの額縁配線を形成するための層として用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、積層体の銅層および被覆層は、フィルムセンサのセンサ電極を形成するための層として用いられてもよい。すなわち、いわゆるメッシュタイプのフィルムセンサを製造するための積層体として、上述の銅層および被覆層を備えた積層体が用いられてもよい。
以下、図8乃至図12を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。はじめに図8を参照して、本実施の形態における積層体10Aについて説明する。なお、図8乃至図12に示す第2の実施の形態において、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、第1の実施の形態において得られる作用効果が本実施の形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
積層体
図8は、積層体10Aを示す断面図である。図8に示すように、積層体10Aは、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の側の面12a上に順に設けられた第1銅層18aおよび第1被覆層19aと、を含んでいる。なお図8に示すように、第1ハードコート層13aと同一の材料から構成された第2ハードコート層13bが、基材フィルム12の他方の面12b上にさらに設けられていてもよい。
また図9に示すように、第2ハードコート層13bの他方の側に順に設けられた第2銅層18bおよび第2被覆層19bをさらに備えた積層体10Bが提供されてもよい。すなわち、フィルムセンサのセンサ電極を構成するための銅層および被覆層が、基材フィルム12の一方の側だけでなく他方の側にも設けられていてもよい。また図10に示すように、図3に示す積層体10Aを2つ準備し、これらを、互いの第1被覆層19aが外側を向くように接着層5などを介して貼り合せることによって、積層体10Bを作製してもよい。
本実施の形態による積層体10A,10Bを製造する方法は、高屈折率層14a、4b、低屈折率層15a,15b、酸化珪素層16a,16bおよび透明導電層17a,17bを形成する工程が省かれる点を除いて、上述の第1の実施の形態における積層体の製造方法と同一であるので、説明を省略する。
フィルムセンサの製造方法
次に、積層体の用途の一例として、本実施の形態による積層体をパターニングすることにより得られるフィルムセンサ(タッチパネルセンサ)60について説明する。図11は、フィルムセンサ60を示す平面図であり、図12は、図11に示すフィルムセンサ60の線XII−XIIに沿った断面図である。
図11に示すように、本実施の形態において、センサ電極62a,62bは、網目状に配置された複数の導線70a,70bから構成されている。第1導線70aは、図12に示すように、第1銅層18aと、第1銅層18aの一方の側の面上に設けられた第1被覆層19aと、を含んでいる。同様に第2導線70bは、第2銅層18bと、第2銅層18bの他方の側の面上に設けられた第2被覆層19bと、を含んでいる。なお、額縁配線64a,64bや端子部65a,65bも同様に導線70a,70bから構成されていてもよい。
本実施の形態によれば、センサ電極62a,62bを構成する導線70a,70bは、結晶状態の銅を含む銅層18a,18bと、結晶状態のCuNi合金を含む被覆層19a,19bと、を有している。また上述のように、銅層18a,18bおよび被覆層19a,19bは、PCu{220}/PCu{311}またはPCuNi{220}/PCu{220}の少なくともいずれか一方に関する上述の条件を満たすよう成膜されたものである。このため、フィルムセンサ60の製造工程の間に被覆層19a,19bが傷ついてしまうことを抑制することができる。このことにより、表面の傷が低減された、または傷の無いセンサ電極62a,62bを備えたフィルムセンサ60を得ることができる。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(サンプル1)
基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の側に順に設けられた第1銅層18aおよび第1被覆層19aと、を備えた積層体10Aを作製した。第1銅層18aは、95atm%以上の銅を含むよう、スパッタリング法によって成膜した。第1銅層18aの厚みは145nmであった。また第1被覆層19aは、95atm%以上のCuNi合金を含むよう、スパッタリング法によって成膜した。第1被覆層19aの厚みは34nmであった。第1銅層18aおよび第1被覆層19aの成膜温度は室温(RT、約25℃)とした。
(サンプル2)
第1銅層18aおよび第1被覆層19aの成膜温度を60℃としたこと以外は、サンプル1の場合と同様にして、積層体10Aを作製した。
(サンプル3)
第1銅層18aおよび第1被覆層19aの成膜温度を80℃としたこと以外は、サンプル1の場合と同様にして、積層体10Aを作製した。
(サンプル4)
第1銅層18aおよび第1被覆層19aの成膜温度を100℃としたこと以外は、サンプル1の場合と同様にして、積層体10Aを作製した。
(サンプル5)
第1銅層18aおよび第1被覆層19aの成膜温度を150℃としたこと以外は、サンプル1の場合と同様にして、積層体10Aを作製した。
〔評価1 回折ピーク〕
積層体10Aの一方の側の表面にX線を入射させ、第1銅層18aに含まれる銅結晶の回折ピーク、および、第1被覆層19aに含まれるCuNi結晶の回折ピークを測定した。測定方法としては、図13に示すように、θ−2θ法を採用した。測定器としては、(株)リガク製のSmartLabを用いた。
図13に示すように、X線源81から出射したX線L0は、積層体10Aの一方の側の表面から積層体10Aに、入射角θで入射する。積層体10Aに入射したX線L0は、第1銅層18a中の銅結晶および第1被覆層19a中のCuNi結晶によってそれぞれ回折され、この結果、回折X線L1および回折X線L2が積層体10Aから出射する。X線L0の入射角θを変化させながら、検出器82を用いて回折X線L1および回折X線L2の強度を測定することにより、第1銅層18aに含まれる銅結晶の回折ピーク、および、第1被覆層19aに含まれるCuNi結晶の回折ピークを得ることができる。図14に、サンプル1,2,4,5の積層体10Aにおいて得られた回折ピークを示す。図14において、縦軸は、検出された回折X線L1および回折X線L2の強度(cps:count per sec.)を表しており、横軸は、入射角θを2倍した値(2θ)を表している。
図14において、2θ=75°近傍の回折ピークは、銅結晶およびCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークである。なおCuNi結晶の格子定数は、銅結晶の格子定数とわずかに異なっており、このため、CuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークは、銅結晶の{220}面に基づく回折ピークとはわずかに異なる位置に現れる。図14において2θ=75°近傍に表れている回折ピークは、CuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークと、銅結晶の{220}面に基づく回折ピークとが重なり合って形成されたものであり、このため2θ=75°近傍の回折ピークには、2つの極大値が現れている。2θの値が小さい側の極大値が、銅結晶の{220}面に基づく回折ピークに起因するものであり、2θの値が大きい側の極大値が、CuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークに起因するものである。
図14において、2θ=90°近傍の回折ピークは、銅結晶およびCuNi結晶の{311}面に基づく回折ピークである。2θ=75°近傍の回折ピークの場合と同様に、CuNi結晶の{311}面に基づく回折ピークは、銅結晶の{311}面に基づく回折ピークとはわずかに異なる位置に現れる。
サンプル1,2,4,5について、第1銅層18aの銅結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さPCu{220}、第1銅層18aの銅結晶の{311}面に基づく回折ピークの高さPCu{311}、第1被覆層19aのCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さPCuNi{220}、および、第1被覆層19aのCuNi結晶の{311}面に基づく回折ピークの高さPCuNi{311}をそれぞれ算出した結果を表1に示す。単位は、図14と同様にcpsである。また表1には、PCu{220}/PCu{311}、PCuNi{220}/PCuNi{311}、PCuNi{220}/PCu{220}およびPCuNi{311}/PCu{311}の値も併せて示されている。
なお図14に示すように、銅結晶の回折ピークおよびCuNi結晶の回折ピークとは、互いに重なり合って現れる。従って、銅結晶の回折ピークの高さおよびCuNi結晶の回折ピークの高さをそれぞれ個別に評価するためには、観測された回折ピークを2つに分離し、分離されたピークそれぞれの高さを算出する必要がある。図15は、2θ=75°近傍の回折ピークが、銅結晶の{220}面に基づく回折ピークと、CuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークとに分離され、そして各々の回折ピークの高さPCu{220}およびPCuNi{220}が算出される様子の概略を示す図である。
〔評価2 耐擦傷性〕
サンプル1乃至5に係る積層体10Aの一方の側の表面の耐擦傷性を評価した。評価用の試験機としては、JIS K 5701に準拠した学振試験機である、テスター産業(株)製のAB−301型を用いた。試験条件は以下のとおりである。
・往復距離:20mm
・往復速度:300mm/sec
・往復回数:50回
・試験荷重:200gf
・ヘッド:白ネル(白ネルの柔面を積層体10Aの表面に接触させた)
AB−301型を用いてサンプル1〜5に係る積層体10Aの第1被覆層19aに摩擦を加えた後、各サンプルに係る積層体10Aの表面を、光学顕微鏡を用いて観察し、第1被覆層19aの表面に形成された傷の密度(傷面積率)を算出した。結果、サンプル1〜5に係る積層体10Aにおける傷面積率は、それぞれ23.6%、6.6%、9.8%、10.8%および1.2%であった。図16(a)〜(e)に、試験後のサンプル1〜5に係る積層体10Aの表面の観察結果をそれぞれ示す。
上述のように、60℃〜150℃の成膜温度で作製されたサンプル2〜5に係る積層体10Aにおいては、傷面積率が11%以下になっていた。特に、150℃の成膜温度で作製されたサンプル5に係る積層体10Aにおいては、傷面積率が1.2%まで低減されていた。成膜温度を高くすることにより、第1銅層18aおよび第1被覆層19aにおける結晶化が促進され、これによって、高い耐擦傷性が得られたと考えられる。図17に、横軸を成膜温度として、縦軸に傷面積率を描いたグラフを示す。図17によれば、成膜温度と傷面積率の関係がより明確に理解され得る。
〔評価3 インデンテーション硬度〕
サンプル1乃至5に係る積層体の一方の側の表面におけるインデンテーション硬度を測定した。
具体的には、はじめに、所定の圧子を、各サンプルに係る積層体10Aの一方の側の表面に押し込んだ。この際、圧子の最大押し込み力を15μNにした状態での押し込み量を測定することにより、各サンプルに係る積層体10Aのインデンテーション硬度を算出した。結果、サンプル1〜5に係る積層体10Aにおけるインデンテーション硬度は、それぞれ3.43GPa、4.81GPa、5.09GPa、5.08GPaおよび5.07GPaであった。なお、圧子を積層体10Aに押し込むための試験機としては、(株)エリオニクス製のENT−2100を用いた。
図18に、横軸をインデンテーション硬度として、縦軸を傷発生率として、上記評価2および3の結果をプロットしたグラフを示す。なお図18には、上述のサンプル1〜5以外のサンプルに係る積層体における、インデンテーション硬度と傷発生率との関係もプロットされている。
図18に示すように、インデンテーション硬度がほぼ同一であっても、傷面積率が大きく異なる、というサンプルが存在していた。このことから、インデンテーション硬度だけでは、各サンプルに係る積層体の耐擦傷性を正確に予測することは困難であると言える。
図19に、第1被覆層19aのCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さと、積層体10Aの表面に形成された傷の面積率並びに各積層体10Aにおけるインデンテーション硬度との関係を示す。図19に示すように、CuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さと、傷面積率との間には、高い相関が見られた。具体的には、CuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さが大きくなるにつれて、傷面積率が小さくなった。このことから、積層体10Aの耐擦傷性は、第1被覆層19aにおけるCuNi合金の{220}面の比率に密接に関係していると言える。なお図19において、CuNi結晶の{220}面に基づく回折ピーク高さがゼロであるサンプルは、上述のサンプル1〜5とは別に準備された、銅によって最表面が構成された積層体からなっている。また、CuNi結晶の{220}面に基づく回折ピーク高さが262(cps)であるサンプルは、上述のサンプル3である。また、CuNi結晶の{220}面に基づく回折ピーク高さが319(cps)であるサンプルは、上述のサンプル5である。
上述のように、積層体10Aの耐擦傷性は、第1被覆層19aにおけるCuNi合金の結晶性の程度、すなわちCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さPCuNi{220}に密接に関連している。ここで、表1に示すように、高い耐擦傷性が確認された、サンプル2,3,4,5に係る積層体10Aにおいては、PCuNi{220}/PCu{220}が0.5〜0.8の範囲内(より具体的には0.53〜0.76の範囲内)になっていた。一方、耐擦傷性が劣っていた、サンプル1に係る積層体10Aにおいては、PCuNi{220}/PCu{220}が0.45になっていた。すなわち、耐擦傷性が劣っていたサンプルにおけるPCuNi{220}/PCu{220}の値は、優れた耐擦傷性を示したサンプルにおけるPCuNi{220}/PCu{220}の範囲から大きく逸脱していた。このことから、PCuNi{220}/PCu{220}が0.5〜0.8の範囲内になっていることは、積層体10Aの耐擦傷性を高める上で有効であると言える。
また表1に示すように、高い耐擦傷性が確認された、サンプル2,3,4,5に係る積層体10Aにおいては、PCu{220}/PCu{311}が1.6〜1.9の範囲内(より具体的には1.64〜1.88の範囲内)になっていた。一方、耐擦傷性が劣っていた、サンプル1に係る積層体10Aにおいては、PCu{220}/PCu{311}が1.25になっていた。すなわち、耐擦傷性が劣っていたサンプルにおけるPCu{220}/PCu{311}の値は、優れた耐擦傷性を示したサンプルにおけるPCu{220}/PCu{311}の範囲から大きく逸脱していた。このことから、PCu{220}/PCu{311}が1.6〜1.9の範囲内になっていることは、積層体10Aの耐擦傷性を高める上で有効であると言える。
1 積層体製造装置
5 接着層
10A 積層体
10B 積層体
11A 中間積層体
11B 中間積層体
12 基材フィルム
13a,13b ハードコート層
14a,14b 高屈折率層
15a,15b 低屈折率層
16a,16b 酸化珪素層
17a,17b 透明導電層
18a,18b 銅層
19a,19b 被覆層
20 巻出装置
30 成膜装置
38 搬送ドラム
50 巻取装置
60 フィルムセンサ
62a,62b センサ電極
64a,64b 額縁配線
65a,65b 端子部
70a,70b 導線

Claims (11)

  1. フィルムセンサを作製するために用いられる積層体であって、
    基材フィルムと、
    前記基材フィルムの一方の側に設けられ、結晶状態の銅を含む銅層と、
    前記銅層の一方の側の面上に設けられ、導電性を有する被覆層と、を備え、
    前記銅層における銅の含有率は、95atm%以上であり、
    前記積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、前記銅層の銅結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCu{220}とし、前記銅層の銅結晶の{311}面に基づく回折ピークの高さをPCu{311}とするとき、PCu{220}/PCu{311}が1.6〜1.9の範囲内になっている、積層体。
  2. 前記被覆層が、結晶状態のCuNi合金を含み、
    前記積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、前記被覆層のCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCuNi{220}とするとき、PCuNi{220}/PCu{220}が0.5〜0.8の範囲内になっている、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記銅層の厚みが、80〜200nmの範囲内になっており、
    前記被覆層の厚みが、10〜50nmの範囲内になっている、請求項2に記載の積層体。
  4. タッチパネルセンサを作製するために用いられる積層体であって、
    基材フィルムと、
    前記基材フィルムの一方の側に設けられ、結晶状態の銅を含む銅層と、
    前記銅層の一方の側の面上に設けられ、結晶状態のCuNi合金を含む被覆層と、を備え、
    前記積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、前記銅層の銅結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCu{220}とし、前記被覆層のCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCuNi{220}とするとき、PCuNi{220}/PCu{220}が0.5〜0.8の範囲内になっている、積層体。
  5. 前記銅層の厚みが、80〜200nmの範囲内になっており、
    前記被覆層の厚みが、10〜50nmの範囲内になっている、請求項4に記載の積層体。
  6. 積層体の一方の側の表面のインデンテーション硬度が4.8GPa以上になっている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. フィルムセンサを作製するために用いられる積層体の製造方法であって、
    前記積層体は、
    基材フィルムと、
    前記基材フィルムの一方の側に設けられ、結晶状態の銅を含む銅層と、
    前記銅層の一方の側の面上に設けられ、導電性を有する被覆層と、を備え、
    前記銅層における銅の含有率は、95atm%以上であり、
    前記製造方法は、
    前記基材フィルムの一方の側に60〜150℃の成膜温度で前記銅層を成膜する工程と、
    前記銅層の一方の側の面上に60〜150℃の成膜温度で前記被覆層を成膜する工程と、を備える、積層体の製造方法。
  8. 前記積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、前記銅層の銅結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCu{220}とし、前記銅層の銅結晶の{311}面に基づく回折ピークの高さをPCu{311}とするとき、PCu{220}/PCu{311}が1.6〜1.9の範囲内になっている、請求項7に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記製造方法は、前記積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定し、PCu{220}/PCu{311}が1.6〜1.9の範囲内になっていることを検査する工程を更に備える、請求項8に記載の積層体の製造方法。
  10. 前記被覆層が、結晶状態のCuNi合金を含み、
    前記積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定した場合の、前記被覆層のCuNi結晶の{220}面に基づく回折ピークの高さをPCuNi{220}とするとき、PCuNi{220}/PCu{220}が0.5〜0.8の範囲内になっている、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  11. 前記製造方法は、前記積層体の一方の側の面にX線を入射させることによって発生する回折ピークをθ−2θ法で測定し、PCuNi{220}/PCu{220}が0.5〜0.8の範囲内になっていることを検査する工程を更に備える、請求項10に記載の積層体の製造方法。
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