JP2015112428A - 車椅子 - Google Patents

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Abstract

【課題】着脱が容易な側板を備えた車椅子を提供すること。
【解決手段】左右のフレーム体F,Fと、左右のフレーム体F,Fの間に配置される座シート18と、左右のフレーム体F,Fに取り付けられて座シート18の両側に配置される左右の側板3,3とを備え、各側板3は、対応する側のフレーム体Fが備える前杆状部材25及び後杆状部材26に対して車椅子1の内側から嵌合可能、かつ、該嵌合を解除可能な前嵌合部33、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を備え、前嵌合部33を前杆状部材25に、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を後杆状部材26に嵌合することにより、各側板3がフレーム体Fに取り付けられる車椅子1。
【選択図】図2

Description

本発明は、車椅子の搭乗者を安定させ安全に保持するために、座部の両側に取り付けられる側板を備えた車椅子に関する。
車椅子の座部の両側に取り付けられる側板は、汚損したときに洗浄や交換が可能なように着脱可能であることが求められている。着脱可能な車椅子の側板としては、下記特許文献1に記載されたスカートガードがある。このスカートガードは、アームサポート(アームレスト)のフレーム枠の上側から枠を覆うようにして装着してから、螺子で3箇所固定している(同文献の段落0019及び図3参照)。
なお、車椅子の側板に関するものではないが、車椅子の枠体に関する従来技術として、下記特許文献2に記載されたものがある。
特許第4991337号公報 特許第3718549号公報
しかし、上記特許文献1のようなスカートガードは、螺子で取り付けるものであり、工具を用いて着脱しなければならないため、着脱が容易でなく、また、複数回着脱を繰り返すうちに螺子溝や螺子穴が摩耗したり変形したりして、着脱が困難になる虞があった。
本発明は、上述した問題を解決するものであり、着脱が容易な側板を備えた車椅子を提供することを目的とする。
本発明の車椅子は、左右のフレーム体と、前記左右のフレーム体の間に配置される座部と、前記左右のフレーム体に取り付けられて前記座部の両側に配置される左右の側板と、を備えた車椅子であって、前記各側板は、対応する側の前記フレーム体が備える杆状部材に対して前記車椅子の内側から嵌合可能、かつ、該嵌合を解除可能な嵌合部を備え、前記嵌合部を前記杆状部材に嵌合することにより、前記各側板が前記フレーム体に取り付けられることを特徴とする。
これによれば、螺子止めの必要なく側板を取り付け可能となるため、工具を用いることなく側板を着脱でき、また、螺子溝や螺子穴の変形・摩耗により側板の着脱が困難になる虞がないため、側板の着脱が容易となり、側板の洗浄や交換が容易となる。
ここで、前記車椅子は、座部の下方に正面視においてX字状をなすクロス杆状部材を備えて、前記クロス杆状部材を折畳み・展開することにより、車幅方向に折畳み・展開可能に構成され、前記クロス杆状部材の左右の上端部に、それぞれ、座部を支持する座部支持杆が、長さ方向を前後方向に沿わせて取り付けられ、前記各フレーム体に前記車椅子の内側に突出する支持杆受け部が設けられて、前記車椅子が展開状態のときに前記支持杆受け部により前記座部支持杆が支持されるように構成され、前記各側板の下部に、前記車椅子の内側に突出する位置決め部が形成され、前記各位置決め部が、対応する側の前記フレーム体の前記支持杆受け部の位置に合わせて配置されて、前記車椅子が展開状態のときに前記支持杆受け部と前記座部支持杆との間に前記位置決め部が介在するように構成されていることが好ましい。
これによれば、車椅子の展開状態において、位置決め部が座部支持杆と支持杆受け部との間に挟まれるため、外側から側板が押されたときに側板がフレーム体から外れてしまう虞を低減できる。
また、前記各フレーム体が、略上下方向に延設された後杆状部材を備え、前記各側板の後部に形成された前記嵌合部が、対応する側の前記フレーム体の前記後杆状部材に嵌合され、シート部材の左の端部が左の前記後杆状部材に着脱可能に取り付けられるとともに、該シート部材の右の端部が右の前記後杆状部材に着脱可能に取り付けられ、前記シート部材の左右の端部は、該端部と該端部が取り付けられている前記後杆状部材との間に、該後杆状部材に嵌合されている前記嵌合部を、前記車椅子の内側から挟むように配置されることとしてもよい。
これによれば、車椅子が折畳み状態である等、位置決め部が座部支持杆と支持杆受け部との間に挟まれていない状態であっても、シート部材の左右の端部で、後杆状部材に嵌合されている嵌合部が内側から押さえられるため、外側から側板が押されたときに側板がフレーム体から外れてしまう虞を低減できる。
本発明によれば、着脱が容易な側板を備えた車椅子を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る車椅子の側面図である。 同車椅子の要部斜視図である。 同車椅子の要部背面図である。 同車椅子の側板の斜視図である。 同車椅子の内側から見た要部斜視図である。 同車椅子の外側から見た要部斜視図である。 (a)は図5のVIIa-VIIa線要部断面図、(b)は図5のVIIb-VIIb線要部断面図である。 図5のVIII矢視図である。 (a)は骨盤支持ベルトを取り付ける前の状態を示す図、(b)は骨盤支持ベルトを取り付けた後の状態を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、左右とは、車椅子1の搭乗者にとっての左右をいうものとする。
図1〜3に示すように、実施形態の車椅子1は、左右のフレーム体F,Fと、フレーム体F,F間に配置された座シート18(座部に相当。図2では二点鎖線で表示。)と、フレーム体F,Fに取り付けられて座シート18の両側に配置された左右の側板3,3とを備え、さらに、フレーム体F,Fに取り付けられた背シート10、骨盤支持ベルト5、左右の前輪12,12及び後輪13,13を備えている。
詳しくは、各フレーム体Fは、それぞれ、サイドフレーム2とサイドフレーム2に連結された背部支持杆9とから構成されている。そして、座シート18は、左右のサイドフレーム2,2間に配置され、左右の側板3,3及び骨盤支持ベルト5は、左右のサイドフレーム2,2に取り付けられ、背シート10は、左右の背部支持杆9,9に取り付けられている。また、左右の前輪12,12は、左右のサイドフレーム2,2の下部に取り付けられ、左右の後輪13,13は、左右の背部支持杆9,9の下部に取り付けられている。なお、要部を見易くするために、後輪13,13は二点鎖線で図示している。
各サイドフレーム2は、複数の杆状部材を備え、詳しくは、上杆状部材21、中間杆状部材22、中間杆状部材22と一体形成されたフットサポート支持杆23、下杆状部材24、前杆状部材25、及び、後杆状部材26を備えている。これらの杆状部材はいずれも金属製パイプからなる。なお、杆状部材とは、中空の管状部材のみならず、中空でない棒状部材をも含む意である。
各上杆状部材21は、長さ方向を前後方向に沿わせて配置され、上面にアームサポート11が取り付けられている。各中間杆状部材22は、長さ方向を前後方向に沿わせて、対応する側の上杆状部材21の下方に配置されている。なお、対応する側とは、右の部材であれば右側、左の部材であれば左側をいう。各中間杆状部材22の前端部から下方に、フットサポート支持杆23が、長さ方向を略上下方向に沿わせて延設され、各フットサポート支持杆23には、フットサポート15が取り付けられている。各下杆状部材24は、長さ方向を前後方向に沿わせて、対応する側の中間杆状部材22の下方に配置され、各下杆状部材24の前端は、対応する側のフットサポート支持杆23に連結されている。各中間杆状部材22には、図5に示すように、車椅子1の内側(車椅子1の利用者が座る側)に突出する矩形板状の支持杆受け部27,27が設けられている。
各前杆状部材25は、上端が対応する側の上杆状部材21に連結され、前方に凸となるように湾曲されて、下方に延設され、中間部が対応する側の中間杆状部材22に連結され、下端が対応する側の下杆状部材24に連結されている。左の中間杆状部材22の中間部と左の前杆状部材25の下部とを連結するように、車輪制動装置支持杆17が設けられ、車輪制動装置支持杆17には、後輪13を制動する車輪制動装置16が取り付けられている。車椅子1の右部にも同様に、図示しない車輪制動装置16が取り付けられている。
各後杆状部材26は、上端が対応する側の上杆状部材21に連結され、略上下方向に沿って(詳しくは、上端から下端に行くにしたがって斜め後方に若干傾斜して)延設され、下端が対応する側の中間杆状部材22に連結されている。
各背部支持杆9は、金属製パイプからなり、上端部にハンドル91を有し、長さ方向を上下方向に略沿わせて配置されて、対応する側の上杆状部材21の後端及び中間杆状部材22の後端が連結されるとともに、下端が対応する側の下杆状部材24に連結されている。各ハンドル91付近には、ブレーキ装置(図示せず。)を操作するためのブレーキレバー92が配設されている。
図4〜6に示すように、各サイドフレーム2には、合成樹脂製の側板3が取り付けられている。各側板3は、略四角形状の板状のベース板部30と、ベース板部30の後部から突設された第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32と、ベース板部30の前部から突設された前嵌合部33と、ベース板部30の下部から車椅子1の内側に向かって突設された中間杆状部材係合部39,39と、中間杆状部材係合部39,39からさらに車椅子1の内側に向かって突設された位置決め部40,40とから構成されている。すなわち、各側板3は、前部と後部とにそれぞれ嵌合部を有するとともに、下部に車椅子1の内側に突出する位置決め部40,40を有している。
ベース板部30の中央部には、厚みがベース板部30の他の部分よりも厚くされた補強部30aが形成されている。補強部30aは、前杆状部材25と同様の湾曲形状をなす帯状に形成されて、車椅子1の外側に膨出している。
第1後嵌合部31は、側板3の後端縁に沿って形成され、図7(a)に示すように、一部を軸方向に沿って切り欠いた断面略C字状の略筒状をなしている。第2後嵌合部32は、側板3の後端縁に沿って第1後嵌合部31の下方に形成され、第1後嵌合部31と同様の形状であるので、以下、纏めて説明する。第1後嵌合部31、第2後嵌合部32の軸方向に沿った切り欠き部31a、32a(図6参照)は、いずれも、車椅子1の外側に向かって開口し、弾性的にその開口幅を拡開・縮小する。そして、この開口幅は、拡開したとき、後杆状部材26の外径よりも大きくなり、縮小したとき、後杆状部材26の外径よりも小さくなる。したがって、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32は、車椅子1の内側から後杆状部材26に嵌合可能であり、かつ、その嵌合を解除して後杆状部材26から外すことが可能である。そして、後杆状部材26に嵌合された状態では、外力が加わらなければ第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32が後杆状部材26から外れてしまうことはない。
前嵌合部33は、第1外側部34、第1内側部35、第2外側部36、第2内側部37、及び、第3外側部38からなる。図6及び図7(b)に示すように、第1外側部34、第2外側部36、及び、第3外側部38は、車椅子1の外側に凸となりつつ車椅子1の外側に向かって突出する断面円弧状の板状をなし、第1内側部35及び第2内側部37は、車椅子1の内側に凸となりつつ車椅子1の外側に向かって突出する断面円弧状の長尺板状をなしている。そして、前杆状部材25の軸方向から見たときに、図7(b)に示すように、第2外側部36と第2内側部37との組合せは略C字形状をなして、この略C字形状の開口部分の開口幅は弾性的に拡開・縮小する。これは、第1外側部34と第1内側部35との組合せ、第1内側部35と第2外側部36との組合せ、第2内側部37と第3外側部38との組合せでも同様である。そして、この略C字形状の開口部分の開口幅は、拡開したとき、前杆状部材25の外径よりも大きくなり、縮小したとき、前杆状部材25の外径よりも小さくなるため、前嵌合部33が前杆状部材25に嵌合されている状態では、外力が加わらなければ前嵌合部33が前杆状部材25から外れてしまうことはない。また、前嵌合部33における上記開口部分は、車椅子1の外側に向かって開口している。したがって、前嵌合部33は、車椅子1の内側から前杆状部材25に嵌合可能であり、かつ、その嵌合を解除して前杆状部材25から外すことが可能である。
そして、かかる前嵌合部33、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を、前杆状部材25及び後杆状部材26に嵌合することにより、各側板3は、サイドフレーム2に対して、螺子やリベット等の工具が必要な締結手段で締結する必要なく取り付けられる。
中間杆状部材係合部39,39は、ベース板部30の前部の下端縁及び後部の下端縁から、車椅子1の内側に向かって突設され、中間杆状部材22における被係合箇所の形状に合わせて車椅子1の内側に凸となる断面円弧状の長尺板状をなしている。なお、側板3の前部に設けられた中間杆状部材係合部39と、後部に設けられた中間杆状部材係合部39とで、形状が若干異なるが、ここでは纏めて説明する。
位置決め部40,40は、中間杆状部材係合部39,39の下端部に連接されて、各側板3がサイドフレーム2に取り付けられたときに略水平面を形成する底壁部42と、底壁部42の中間杆状部材係合部39側とは反対側の端部から上方に立ち上がる側壁部43とを有して、断面略L字状をなし、前後の端部には下方に突出する突出部41がそれぞれ設けられている。
上述したように各側板3をサイドフレーム2に取り付けたとき、中間杆状部材係合部39,39は、中間杆状部材22,22に沿って、中間杆状部材22,22上に配置され、位置決め部40,40は、支持杆受け部27,27の位置に合わせて配置される。詳しくは、図8に示すように、各支持杆受け部27は、位置決め部40の突出部41,41間に、クリアランスCを有した状態で配置される。
逆に言えば、位置決め部40,40が支持杆受け部27,27の位置に合うように側板3を車椅子1の内側から配置すると、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32が後杆状部材26の嵌合されるべき箇所(以下、「被嵌合箇所」という。)に位置し、前嵌合部33が前杆状部材25の被嵌合箇所に位置するように、側板3が配置される。すなわち、各位置決め部40は、側板3の取り付け位置を決める機能を有するものである。
ここで、クリアランスCを設ける理由は、側板3をサイドフレーム2に車椅子1の内側から取り付けたり、外したりする際に、スムーズに突出部41,41間に支持杆受け部27を出し入れ可能とするためであり、例えば、上記特許文献2のように、係止爪を設けて支持杆受け部27を係止すると、スムーズに突出部41,41間に支持杆受け部27を出し入れすることができず、側板3の着脱が困難になる一方、側板3は、上述した前後の嵌合部によりサイドフレーム2に取り付けられ、容易には外れないことから、位置決め部40を支持杆受け部27に係止する必要はないからである。
車椅子1は、座シート18の下方であってサイドフレーム2,2の間に、正面視(背面視でも同様。図3参照)においてX字状をなすクロス杆状部材として、前クロス杆状部材6及び後クロス杆状部材7を備えている。前クロス杆状部材6は、杆状の前部材61,61の中間部を互いに軸62で連結することにより構成され、軸62を中心に前部材61,61を回動させることにより、左右方向の幅を縮めるように折畳み可能であるとともに、左右方向の幅を広げるように展開可能である。後クロス杆状部材7も同様に、杆状の後部材71,71の中間部を互いに軸72で連結することにより構成され、軸72を中心に後部材71,71を回動させることにより、左右方向の幅を縮めるように折畳み可能であるとともに、左右方向の幅を広げるように展開可能である。
前クロス杆状部材6の左右の上端部(すなわち、各前部材61の上端部)には、それぞれ、長さ方向を前後方向に沿わせて、座部支持杆8が連結されている。各座部支持杆8は、前クロス杆状部材6との連結位置よりも後方位置において、後クロス杆状部材7の対応する側の上端部(すなわち、後部材71の上端部)にも連結されている。換言すれば、左の座部支持杆8は、前クロス杆状部材6の左の上端部と後クロス杆状部材7の左の上端部とを連結するように延設され、右の座部支持杆8は、前クロス杆状部材6の右の上端部と後クロス杆状部材7の右の上端部とを連結するように延設されている。
座部支持杆8,8には、可撓性を有する座シート18が取り付けられている。座シート18は、左右の両端が、対応する側の座部支持杆8に取り付けられ、前クロス杆状部材6及び後クロス杆状部材7が折り畳まれることにより、座部支持杆8,8が持ち上がると、座部支持杆8,8と共に持ち上がり、折り畳まれる。
一方、前クロス杆状部材6及び後クロス杆状部材7が展開されたとき、座シート18も展開されつつ下降し、図3に示すように、サイドフレーム2,2間に展開状態で配置されることとなる。そして、図2に示すように、前クロス杆状部材6及び後クロス杆状部材7の展開状態、すなわち、車椅子1の展開状態においては、各座部支持杆8は、それぞれ対応する側の支持杆受け部27,27によって支持されるが、このとき、支持杆受け部27,27との間に側板3の位置決め部40,40が介在し、位置決め部40,40と中間杆状部材係合部39,39とで形成される凹部44,44に、座部支持杆8は配置されることとなる。
図1,9に示すように、左右の後杆状部材26,26には、可撓性を有する布製帯状の骨盤支持ベルト5が、後杆状部材26,26を連結するように取り付けられている。詳しくは、骨盤支持ベルト5は、長方形状の布製のシート部材50と、シート部材50の左右の端部51,51からそれぞれ突設された面ファスナ52,53,54とを有している。そして、図9(a)に示すように、側板3,3がサイドフレーム2,2に取り付けられた状態で、シート部材50を長手方向が左右方向に沿うように車椅子1の内側に配置し、左右の面ファスナ52,53,54を、対応する側の後杆状部材26の前側から、第1後嵌合部31と上杆状部材21との間、第1後嵌合部31と第2後嵌合部32との間、第2後嵌合部32と中間杆状部材22との間に、それぞれ挿通して、図9(b)に示すように、後杆状部材26を巻回するように折り曲げて、シート部材50の後面に止着する。これにより、シート部材50の左の端部51が左の後杆状部材26に、右の端部51が右の後杆状部材26に、それぞれ着脱可能に取り付けられる。
そして、上記のように骨盤支持ベルト5を取り付けることにより、端部51,51は、その端部51が取り付けられている後杆状部材26との間に、その後杆状部材26に嵌合されている第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を、車椅子1の内側から挟むように配置される(図7(a)、図9(b)参照)。また、シート部材50の前側には、背シート10の下部が配置される。すなわち、シート部材50は、一方の側の後杆状部材26から、一方の側の背部支持杆9と背シート10との間を通って、背シート10の後側を回り、他方の側の背部支持杆9と背シート10との間を通って、他方の側の後杆状部材26に至るように配置される。
以上のように構成された車椅子1の作用及び効果について説明する。
車椅子1に側板3,3を取り付けるときは、車椅子1を完全には展開しない状態(すなわち、座部支持杆8,8が位置決め部40,40上に載置されていない状態)で、車椅子1の内側から、各側板3の第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を対応する側の後杆状部材26に嵌合し、前嵌合部33を対応する側の前杆状部材25に嵌合することにより、側板3,3をサイドフレーム2,2に取り付ける。上述したように、前嵌合部33、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32は、外力が加わらなければ嵌合が解除されないため、各側板3は螺子、リベット等による締結の必要なくフレーム体Fに取り付けられる。
なお、側板3をフレーム体Fに取り付けるとき、各位置決め部40の突出部41,41間に支持杆受け部27が差し込まれるように、位置決め部40,40の位置を支持杆受け部27,27に合わせることにより、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32が後杆状部材26の被嵌合箇所に、前嵌合部33が前杆状部材25の被嵌合箇所に、自ずから配置されるため、各側板3の位置決めが容易であり、取り付けが容易である。
また、各側板3は、前部と後部とに嵌合部(すなわち、前嵌合部33、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32)を有しており、しかも、前部の嵌合部は略上下方向に沿ってある程度の長さにわたって設けられ、後部の嵌合部も、上下に間隔をおいて2つ設けられている(換言すれば、略上下方向に沿ってある程度の長さにわたって設けられている)ため、側板3は、前後がある程度の長さにわたってフレーム体Fに固定されることとなり、フレーム体Fに取り付けたとき、がたつくことなく、安定する。
骨盤支持ベルト5を取り付けるときは、図9を用いて上述したように、まず、骨盤支持ベルト5を車椅子1の内側に配置して、一方の側の面ファスナ52,53,54を、同じ側の後杆状部材26にその前側から巻回してシート部材50の後面に止着し、同じ側の背部支持杆9と背シート10との間にシート部材50及び他方の側の面ファスナ52,53,54を通して、背シート10の後側に回し、他方の側の背部支持杆9と背シート10との間にシート部材50及び他方の側の面ファスナ52,53,54を通して、その面ファスナ52,53,54を、他方の側の後杆状部材26にその前側から巻回してシート部材50の後面に止着する。
このように骨盤支持ベルト5を取り付けることにより、上述したように、シート部材50の各端部51は、後杆状部材26との間に第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を車椅子1の内側から挟むように、後杆状部材26に取り付けられる。すなわち、シート部材50の各端部51が、車椅子1の内側から第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を押さえることとなるため、側板3に外側から力が加わったときに第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32が後杆状部材26から外れる虞を低減できる。すなわち、骨盤支持ベルト5により、車椅子1の折畳み状態等、座部支持杆8,8が位置決め部40,40の上に載置されていない状態において、外側から力が加えられたときに側板3がサイドフレーム2から外れる虞を低減可能である。
車椅子1を完全に展開した状態では、上述したように、座部支持杆8,8が、位置決め部40,40の上に載置され、座部支持杆8,8と支持杆受け部27,27との間に位置決め部40,40が挟まれるため、外側から力が加えられたときに側板3がサイドフレーム2から外れる虞が低減される。
特に、上述したように、各側板3は前部と後部とに嵌合部を有しており、車椅子1が完全に展開された状態では、前部、後部、及び、位置決め部40,40が形成された下部の3箇所で、サイドフレーム2に固定された状態となるため、外側から力が加わったときに外れてしまう虞は非常に小さくなる。
また、完全に展開した状態の車椅子1に利用者が座ると、その利用者の体重が座シート18及び座部支持杆8,8に掛かるため、座部支持杆8,8により位置決め部40,40が支持杆受け部27,27に押し付けられることとなる。すなわち、座部支持杆8,8と支持杆受け部27,27との間に、位置決め部40,40がしっかりと挟まれることとなる。したがって、車椅子1に搭乗者がいる状態においては、側板3に外側から力が加わったときに側板3がサイドフレーム2から外れてしまう虞を、より低減可能である。
また、車椅子1の搭乗者が背シート10に凭れると、背シート10と共に骨盤支持ベルト5により搭乗者の骨盤付近が支えられるが、このとき、骨盤支持ベルト5は、搭乗者の体重が掛かることにより後方に押圧され、図7(a)の二点鎖線に示すように、各端部51が後方に引っ張られた状態となる。このため、各端部51は、緩みの殆どない状態で、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32にある程度の面積で接触して、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を車椅子1の内側から押さえることとなる。したがって、搭乗者が背シート10に凭れることにより、各端部51が第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32をしっかりと押さえることとなる。すなわち、骨盤支持ベルト5を車椅子1に取り付けることにより、車椅子1に搭乗者がいる状態において、側板3に外側から力が加わったときに側板3がサイドフレーム2から外れてしまう虞を、より低減可能である。
以上説明したように、車椅子1は、左右のフレーム体F,Fと、左右のフレーム体F,Fの間に配置される座シート18と、左右のフレーム体F,Fに取り付けられて座シート18の両側に配置される左右の側板3,3とを備え、各側板3は、対応する側のフレーム体Fが備える前杆状部材25及び後杆状部材26に対して車椅子1の内側から嵌合可能、かつ、該嵌合を解除可能な前嵌合部33、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を備え、前嵌合部33を前杆状部材25に、第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を後杆状部材26に嵌合することにより、各側板3がフレーム体Fに取り付けられる。このため、側板3の螺子止めの必要がなくなり、工具を用いることなく側板3を着脱でき、また、螺子溝や螺子穴の変形・摩耗により側板3の着脱が困難になる虞がないため、側板3の着脱が容易となり、側板3の洗浄や交換が容易となる。
また、車椅子1は、座シート18の下方に正面視においてX字状をなす前クロス杆状部材6及び後クロス杆状部材7を備えて、これらを折畳み・展開することにより、車幅方向に折畳み・展開可能に構成され、前クロス杆状部材6及び後クロス杆状部材7の左右の上端部に、それぞれ、座シート18を支持する座部支持杆8,8が、長さ方向を前後方向に沿わせて取り付けられ、各フレーム体Fに車椅子1の内側に突出する支持杆受け部27,27が設けられて、車椅子1が展開状態のときに支持杆受け部27,27により座部支持杆8,8が支持されるように構成され、各側板3の下部に、車椅子1の内側に突出する位置決め部40,40が形成され、各位置決め部40が、対応する側のフレーム体Fの支持杆受け部27の位置に合わせて配置されて、車椅子1が展開状態のときに支持杆受け部27と座部支持杆8との間に位置決め部40が介在するように構成されている。すなわち、車椅子1の展開状態において、位置決め部40が座部支持杆8と支持杆受け部27との間に挟まれることとなるため、外側から側板3が押されたときに側板3がフレーム体Fから外れてしまう虞を低減できる。
さらに、各フレーム体Fが、略上下方向に延設された後杆状部材26を備え、各側板3の後部に形成された第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32が、対応する側のフレーム体Fの後杆状部材26に嵌合され、シート部材50の左の端部51が左の後杆状部材26に着脱可能に取り付けられるとともに、右の端部51が右の後杆状部材26に着脱可能に取り付けられ、左右の端部51,51は、その端部51とその端部51が取り付けられている後杆状部材26との間に、その後杆状部材26に嵌合されている第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を、車椅子1の内側から挟むように配置される。このため、車椅子1が折畳み状態である等、位置決め部40が座部支持杆8と支持杆受け部27との間に挟まれていない状態であっても、シート部材50の左右の端部51,51で、後杆状部材26に嵌合されている第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32が、車椅子1の内側から押さえられるため、外側から側板3が押されたときに側板3がフレーム体Fから外れてしまう虞を低減できる。
なお、上記実施形態では、後杆状部材26に第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を嵌合し、骨盤支持ベルト5のシート部材50の端部51で第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を押さえることとしたが、後杆状部材26及び骨盤支持ベルト5を設けない形態とすることも可能である。かかる形態としては、例えば、各背部支持杆9に側板3の第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を嵌合し、背シート10の左右の端部を、対応する側の背部支持杆9に着脱可能に取り付けて、背シート10の左右の端部で、対応する側の背部支持杆9に嵌合されている第1後嵌合部31及び第2後嵌合部32を押さえる形態がある。この場合には、背部支持杆9が本発明の杆状部材、背シート10が本発明のシート部材に相当する。
また、側板3の嵌合部の位置や個数、形状は変更可能である。要するに、嵌合部は、側板3が螺子やリベット等、工具が必要な締結手段で締結されることなく着脱可能にフレーム体Fに取り付けられるものであればよい。但し、上記実施形態のように側板3が上下よりも前後に長い場合には、側板3の少なくとも前部と後部とに設けることが、取り付け状態の安定化のためには好ましい。また、側板3が略四角形状である場合には、対向する2辺に嵌合部を設けることが、取り付け状態の安定化のためには好ましい。なお、側板3が略四角形状である場合に、その3辺以上に嵌合部を設けると、フレーム体Fの形状の精度によっては、嵌合部と被嵌合箇所との位置が合わず、取り付けが困難になる場合が生じるため、対向する2辺にのみ設けることが好ましい。
なお、上記実施形態では、図4,5に示すように、前後の中間杆状部材係合部39,39間に、車椅子1の外側に凹むように切り欠かれた凹状部45が形成されている。これは、座部支持杆8が、搭乗者の座位安定のために、後部が前部よりも若干下がるように屈曲されているのに対応して、中間杆状部材22も、後部が前部よりも若干下がるように屈曲されていることから、中間杆状部材22の精度にばらつきが出る虞があり、凹状部45を設けて中間杆状部材係合部39,39を前後に分け、中間杆状部材係合部39,39の中間杆状部材22の軸方向に沿った長さを短くすることにより、中間杆状部材22の精度にばらつきがあっても、中間杆状部材係合部39,39が中間杆状部材22に沿わなくなる虞を低減するためである。但し、凹状部45がない形態、すなわち、中間杆状部材係合部が前後で分かれてなく、1つの中間杆状部材係合部を、前の位置決め部40の形成位置から後の位置決め部40の形成位置まで及ぶように形成した形態としてもよい。特に、中間杆状部材22が屈曲されていない場合には、中間杆状部材22の精度のばらつきの虞が小さいため、かかる形態とすることが好ましい。かかる形態とすれば、側板3のベース板部30と中間杆状部材22との隙間が中間杆状部材係合部で覆われるため、かかる隙間にゴミ等が溜まる虞が低減される。
1…車椅子
3…側板
5…骨盤支持ベルト
6…前クロス杆状部材
7…後クロス杆状部材
8…座部支持杆
18…座シート(座部)
25…前杆状部材
26…後杆状部材
27…支持杆受け部
31…第1後嵌合部
32…第2後嵌合部
33…前嵌合部
40…位置決め部
50…シート部材
51…端部

Claims (3)

  1. 左右のフレーム体と、前記左右のフレーム体の間に配置される座部と、前記左右のフレーム体に取り付けられて前記座部の両側に配置される左右の側板と、を備えた車椅子であって、
    前記各側板は、対応する側の前記フレーム体が備える杆状部材に対して前記車椅子の内側から嵌合可能、かつ、該嵌合を解除可能な嵌合部を備え、
    前記嵌合部を前記杆状部材に嵌合することにより、前記各側板が前記フレーム体に取り付けられることを特徴とする車椅子。
  2. 前記車椅子は、座部の下方に正面視においてX字状をなすクロス杆状部材を備えて、前記クロス杆状部材を折畳み・展開することにより、車幅方向に折畳み・展開可能に構成され、
    前記クロス杆状部材の左右の上端部に、それぞれ、座部を支持する座部支持杆が、長さ方向を前後方向に沿わせて取り付けられ、
    前記各フレーム体に前記車椅子の内側に突出する支持杆受け部が設けられて、前記車椅子が展開状態のときに前記支持杆受け部により前記座部支持杆が支持されるように構成され、
    前記各側板の下部に、前記車椅子の内側に突出する位置決め部が形成され、
    前記各位置決め部が、対応する側の前記フレーム体の前記支持杆受け部の位置に合わせて配置されて、前記車椅子が展開状態のときに前記支持杆受け部と前記座部支持杆との間に前記位置決め部が介在するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車椅子。
  3. 前記各フレーム体が、略上下方向に延設された後杆状部材を備え、
    前記各側板の後部に形成された前記嵌合部が、対応する側の前記フレーム体の前記後杆状部材に嵌合され、
    シート部材の左の端部が左の前記後杆状部材に着脱可能に取り付けられるとともに、該シート部材の右の端部が右の前記後杆状部材に着脱可能に取り付けられ、
    前記シート部材の左右の端部は、該端部と該端部が取り付けられている前記後杆状部材との間に、該後杆状部材に嵌合されている前記嵌合部を、前記車椅子の内側から挟むように配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の車椅子。
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