JP2015111530A - 非水電解質二次電池用マイクロカプセル(microcapsule)、非水電解質二次電池用セパレータ(separator)、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池用電極活物質層、及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用マイクロカプセル(microcapsule)、非水電解質二次電池用セパレータ(separator)、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池用電極活物質層、及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】非水電解質二次電池を薄膜化し、非水電解質二次電池内で安定して存在し、かつ、非水電解質二次電池の異常発熱時に電極間の絶縁を確保することが可能な、新規かつ改良された非水電解質二次電池用マイクロカプセル等を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、発泡性モノマーの重合体を含むコア部と、コア部を覆い、かつ、非水電解質二次電池内での安定性がコア部よりも高いシェル部と、を有し、平均粒子径が0.05μm〜0.5μmであることを特徴とする、非水電解質二次電池用マイクロカプセルが提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池用マイクロカプセル、非水電解質二次電池用セパレータ、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池用電極活物質層、及び非水電解質二次電池に関する。
例えば特許文献1に開示されるように、耐熱性の有機繊維を用いた不織布に、熱膨張することが可能な熱膨張性マイクロカプセルを含有させることによって、内部短絡等による急激な発熱反応が起こった場合でも、セパレータの絶縁性が消失するのを抑止できる非水系二次電池を提供できることが知られている。熱膨性マイクロカプセルは、ポリスチレンやポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等)(Polystyrene and polyolefin (polyethylene or polypropylene))で作製されることが多い。
特開2007−273127号公報
しかしながら、従来の熱膨張性マイクロカプセルは粒子径が大きいという問題があった。このため、熱膨張性マイクロカプセルを電極又はセパレータ上に配したリチウムイオン(lithium ion)二次電池は、膜厚が増加するという問題があった。
さらに、ポリスチレン製の熱膨張性マイクロカプセルは電解液に溶解しやすいため、電池用途への適用が困難であった。一方、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンは耐電解液性の観点では問題ないが、発泡剤とポリオレフィンを溶融混練後、押し出し成型によって作製されるため、サブミクロン(Sub−micron)以下の微粒子を作製することが難しいという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、非水電解質二次電池を薄膜化し、非水電解質二次電池内で安定して存在し、かつ、非水電解質二次電池の異常発熱時に電極間の絶縁を確保することが可能な、新規かつ改良された非水電解質二次電池用マイクロカプセル、非水電解質二次電池用セパレータ、非水電解質二次電池用電極、非水電解質二次電池用電極活物質層、及び非水電解質二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、発泡性モノマー(monomer)の重合体を含むコア(core)部と、コア部を覆い、かつ、非水電解質二次電池内での安定性がコア部よりも高いシェル(shell)部と、を有し、平均粒子径が0.05μm〜0.5μmであることを特徴とする、非水電解質二次電池用マイクロカプセルが提供される。
本観点のマイクロカプセルは、非水電解質二次電池内で安定して存在し、かつ異常発熱時に発砲(膨張)する。また、マイクロカプセルの平均粒子径は0.05μm〜0.5μmと非常に小径である。
したがって、マイクロカプセルは、非水電解質二次電池を薄膜化し、非水電解質二次電池内で安定して存在し、かつ、非水電解質二次電池の異常発熱時に電極間の絶縁を確保することができる。さらに、マイクロカプセルは、非水電解質二次電池の異常発熱時にセパレータの熱収縮を抑制することができる。
ここで、発泡性モノマーはジアゾ(Diazo compound)化合物を含んでいてもよく、この場合、異常発熱時に迅速に発泡することができる。
また、ジアゾ化合物は、以下の化学式Iで示される構造を有していてもよく、この場合、非水電解質二次電池の異常発熱時に迅速に発泡することができる。
Figure 2015111530
化学式I中、R1は水素原子又はメチル(methyl)基、R2は水素又は炭素数1〜6のアルキル(alkyl)基、R3は水素又は炭素数1〜6のアルキル基、R4は水素、メチル基、アクリル(acrylic)基、メタクリル(methacrylic)基、またはグリシジル(Glycidyl)基、Xは直結又は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
また、ジアゾ化合物は、以下の化学式IIで示される構造を有していてもよく、この場合、非水電解質二次電池の異常発熱時に迅速に発泡することができる。
Figure 2015111530
化学式II中、R1は水素原子又はメチル基、R2は水素又は炭素数1〜6のアルキル基、Aはメチレン(methylene)基又はカルボニル(carbonyl)基、Qはメチレン基又はメチン(methine)基、Tは直結、二重結合、メチレン基、酸素、またはNH基を表す。
また、発泡温度が120℃以上250℃以下であってもよく、この場合、非水電解質二次電池の異常発熱時により確実に発泡することができる。
本発明の他の観点によれば、セパレータと、セパレータ上に設けられ、上記の非水電解質二次電池用マイクロカプセルが分散したマイクロカプセル層と、を有することを特徴とする、非水電解質二次電池用セパレータ層が提供される。
この観点によるセパレータ層を非水電解質二次電池に適用することで、非水電解質二次電池を薄膜化し、かつ、非水電解質二次電池の異常発熱時に電極間の絶縁を確保することができる。さらに、マイクロカプセルは、非水電解質二次電池内で安定して存在し、非水電解質二次電池の異常発熱時にセパレータの熱収縮を抑制することができる。
本発明の他の観点によれば、電極活物質層と、電極活物質層上に設けられ、上記の非水電解質二次電池用マイクロカプセルが分散したマイクロカプセル層と、を有することを特徴とする、非水電解質二次電池用電極が提供される。
この観点による電極を非水電解質二次電池に適用することで、非水電解質二次電池を薄膜化し、かつ、非水電解質二次電池の異常発熱時に電極間の絶縁を確保することができる。さらに、マイクロカプセルは、非水電解質二次電池内で安定して存在し、非水電解質二次電池の異常発熱時にセパレータの熱収縮を抑制することができる。
本発明の他の観点によれば、電極活物質と、上記の非水電解質二次電池用マイクロカプセルと、を有することを特徴とする、非水電解質二次電池用電極活物質層が提供される。
この観点による活物質層を非水電解質二次電池に適用することで、非水電解質二次電池を薄膜化し、かつ、非水電解質二次電池の異常発熱時に電極間の絶縁を確保することができる。さらに、マイクロカプセルは、非水電解質二次電池内で安定して存在し、非水電解質二次電池の異常発熱時にセパレータの熱収縮を抑制することができる。
本発明の他の観点によれば、上記の非水電解質二次電池用セパレータ、上記の非水電解質二次電池用電極、及び上記の非水電解質二次電池用電極活物質層のうち、すくなくとも1つを含むことを特徴とする、非水電解質二次電池が提供される。
この観点による非水電解質二次電池は、薄膜化が可能であり、かつ、異常発熱時に電極間の絶縁を確保することができる。さらに、マイクロカプセルは、非水電解質二次電池内で安定して存在し、非水電解質二次電池の異常発熱時にセパレータの熱収縮を抑制することができる。
以上説明したように本発明によるマイクロカプセルは、非水電解質二次電池を薄膜化し、非水電解質二次電池内で安定して存在し、かつ、非水電解質二次電池の異常発熱時に電極間の絶縁を確保することができる。
本発明の第1の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を示す側断面図である。 第2の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を示す側断面図である。 第3の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を示す側断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
(リチウムイオン二次電池の構成)
まず、図1に基づいて、第1の実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の構成について説明する。
リチウムイオン二次電池10は、正極20と、負極30と、セパレータ層40とを備える。リチウムイオン二次電池10の充電到達電圧(酸化還元電位)は、例えば4.3V(vs.Li/Li)以上5.0V以下、特に4.5V以上5.0V以下となる。リチウムイオン二次電池10の形態は、特に限定されない。即ち、リチウムイオン二次電池10は、円筒形、角形、ラミネート(laminate)形、ボタン(button)形等のいずれであってもよい。
正極20は、集電体21と、正極活物質層22とを備える。集電体21は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム(aluminium)、ステンレス(stainless)鋼、及びニッケルメッキ(nickel coated)鋼等で構成される。
正極活物質層22は、少なくとも正極活物質を含み、導電剤と、結着剤とをさらに含んでいてもよい。正極活物質は、例えばリチウムを含む固溶体酸化物であるが、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出することができる物質であれば特に制限されない。固溶体酸化物は、例えば、LiMnCoNi(1.150≦a≦1.430、0.45≦x≦0.6、0.10≦y≦0.15、0.20≦z≦0.28)、LiMnCoNi(0.3≦x≦0.85、0.10≦y≦0.3、0.10≦z≦0.3)、LiMn1.5Ni0.5となる。
導電剤は、例えばケッチェンブラック(Ketjenblack)、アセチレンブラック(acetylene black)等のカーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等であるが、正極の導電性を高めるためのものであれば特に制限されない。
結着剤は、例えばポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、エチレンプロピレンジエン(ethylene−propylene−diene)三元共重合体、スチレンブタジエンゴム(Styrene−butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile−butadiene rubber)、フッ素ゴム(fluororubber)、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ニトロセルロース(cellulose nitrate)等であるが、正極活物質及び導電剤を集電体21上に結着させることができるものであれば、特に制限されない。
正極活物質層22は、例えば、以下の製法により作製される。すなわち、まず、正極活物質、導電剤、及び結着剤を乾式混合することで正極合剤を作製する。ついで、正極合剤を適当な有機溶媒に分散させることで正極合剤スラリー(slurry)を形成し、この正極合剤スラリーを集電体21上に塗工し、乾燥、圧延することで正極活物質層が形成される。
負極30は、集電体31と、負極活物質層32とを含む。集電体31は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、及びニッケルメッキ鋼等で構成される。負極活物質層32は、リチウムイオン二次電池の負極活物質層として使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、負極活物質層32は、負極活物質を含み、結着剤をさらに含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛活物質(人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等)、ケイ素もしくはスズもしくはそれらの酸化物の微粒子と黒鉛活物質との混合物、ケイ素もしくはスズの微粒子、ケイ素もしくはスズを基本材料とした合金、及びLiTi12等の酸化チタン系化合物等が考えられる。ケイ素の酸化物は、SiO(0≦x≦2)で表される。負極活物質としては、これらの他に、例えば金属リチウム等が挙げられる。結着剤は、正極活物質層22を構成する結着剤と同様のものでもある。正極活物質と結着剤との質量比は特に制限されず、従来のリチウムイオン二次電池で採用される質量比が本実施形態でも適用可能である。
負極活物質層32は、例えば、以下の製法により作製される。すなわち、まず、負極活物質、及び結着剤を乾式混合することで負極合剤を作製する。ついで、負極合剤を適当な溶媒に分散させることで負極合剤スラリー(slurry)を形成し、この負極合剤スラリーを集電体31上に塗工し、乾燥、圧延することで負極活物質層32が形成される。
セパレータ層40は、セパレータ(separator)40aと、マイクロカプセル層40b、40cと、非水電解液とを含む。セパレータは、特に制限されず、リチウムイオン二次電池のセパレータとして使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。セパレータを構成する樹脂としては、例えばポリエチレン(polyethylene),ポリプロピレン(polypropylene)等に代表されるポリオレフィン(polyolefin)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate),ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)等に代表されるポリエステル(Polyester)系樹脂、PVDF、フッ化ビニリデン(VDF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル(par fluorovinyl ether)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(trifluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン(fluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン(hexafluoroacetone)共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン(ethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン(propylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン(trifluoro propylene)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)−ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン(ethylene)−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体等を挙げることができる。
マイクロカプセル層40bは、セパレータ40aの表面のうち、正極活物質層22に対向する面上に形成される。マイクロカプセル層40cは、セパレータ40aの表面のうち、負極活物質層32に対向する面上に形成される。マイクロカプセル層40b、40cは、マイクロカプセルと、結着剤とを含む。
マイクロカプセルは、コアシェル型の熱膨張性マイクロカプセルとなっており、コア部と、シェル部とを有する。コア部は、発泡性モノマーの重合体を含む。したがって、コア部が熱膨張の機能を有する。発泡性モノマーは、加熱された際に発泡する樹脂であれば特に制限なく使用できるが、揮発性の低いものが好ましい。揮発性の高い発泡性モノマーを含むマイクロカプセルを電解液に投入した場合、揮発性の成分が電解液中に溶出する可能性があるからである。
発泡性モノマーは、120℃〜250℃の間で発泡することが好ましい。リチウムイオン二次電池10はこの温度範囲内の温度まで急激に発熱する可能性があるからである。発泡性モノマーは、好ましくはジアゾ化合物を含む。ジアゾ化合物は、加熱されることで分解する。そして、ジアゾ化合物は、分解生成物である窒素ガスにより発泡する。ジアゾ化合物は、好ましくは、以下の化学式Iまたは化学式IIで示される構造を有することが好ましい。
Figure 2015111530
化学式I中、R1は水素原子又はメチル基、R2は水素又は炭素数1〜6のアルキル基、R3は水素又は炭素数1〜6のアルキル基、R4は水素、メチル基、アクリル基、メタクリル基、またはグリシジル基、Xは直結又は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
Figure 2015111530

化学式II中、R1は水素原子又はメチル基、R2は水素又は炭素数1〜6のアルキル基、Aはメチレン基又はカルボニル基、Qはメチレン基又はメチン基、Tは直結、二重結合、メチレン基、酸素、またはNH基を表す。
コア部は、特にジアゾ化合物の重合体で構成される場合、電極活物質と反応しやすく、かつ、電解液に膨潤しやすい。したがって、コア部のみを電解液に投入した場合、コア部は電極と反応し、電解液で膨潤する。この結果、リチウムイオン二次電池10の内部抵抗の増大、サイクル寿命の低下といった問題が生じうる。
そこで、本実施形態では、コア部をシェル部で覆う。シェル部は、コア部よりもリチウムイオン二次電池10内での安定性が高い。具体的には、シェル部は、コア部よりも電解液に膨潤しにくい。また、シェル部は、コア部よりも電極活物質と反応しにくい。シェル部を構成する材料としては、例えば、アクリロニトリルとアクリル酸との共重合体等が挙げられる。
マイクロカプセルの平均粒子径は、0.05μm〜0.5μmである。ここで、平均粒子径は、マイクロカプセルを球とみなしたときの直径のD50値である。平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱式粒子径粒度分布測定装置(たとえば、日機装株式会社製 Microtrac MT3000)平均粒子径が0.05μmを下回ると、マイクロカプセルが熱膨張しても十分な大きさとならず、この結果、リチウムイオン二次電池10の異常発熱時に電極間の絶縁を確保できない可能性がある。一方、マイクロカプセルの平均粒子径が0.5μmより大きくなると、リチウムイオン二次電池10が厚くなり、かつ、内部抵抗が上昇する。
結着剤は、マイクロカプセル同士を結着させるとともに、マイクロカプセル層40b、40cをセパレータ40aに固定する。結着剤は、リチウムイオン二次電池10の結着剤として使用されるものであれば特に制限はなく、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。
マイクロカプセル層40b、40cは、マイクロカプセル及び結着剤を含むスラリーをセパレータ40a上に塗工し、乾燥することで作製される。なお、リチウムイオン二次電池10は、マイクロカプセル層40b、40cのいずれかを有していなくてもよい(変形例)。
非水電解液は、従来からリチウム二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。非水電解液は、非水溶媒に電解質塩を含有させた組成を有する。非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(propylene carbonate)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、ブチレンカーボネート(ethylene carbonate)、クロロエチレンカーボネート(chloroethylene carbonate)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate)等の環状炭酸エステル(ester)類;γ−ブチロラクトン(butyrolactone)、γ−バレロラクトン(valerolactone)等の環状エステル類;ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate)、エチルメチルカーボネート(ethyl methyl carbonate)等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル(methyl formate)、酢酸メチル(methyl acetate)、酪酸メチル(butyric acid methyl)等の鎖状エステル類;テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran)またはその誘導体;1,3−ジオキサン(dioxane)、1,4−ジオキサン(dioxane)、1,2−ジメトキシエタン(dimethoxyethane)、1,4−ジブトキシエタン(dibutoxyethane)、メチルジグライム(methyl diglyme)等のエーテル(ether)類;アセトニトリル(acetonitrile)、ベンゾニトリル(benzonitrile)等のニトリル(nitrile)類;ジオキソラン(Dioxolane)またはその誘導体;エチレンスルフィド(ethylene sulfide)、スルホラン(sulfolane)、スルトン(sultone)またはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、電解質塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF,LiPF6−x(C2n+1[但し、1<x<6,n=1or2],LiSCN,LiBr,LiI,LiSO,Li10Cl10,NaClO,NaI,NaSCN,NaBr,KClO,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO,LiN(CFSO,LiN(CSO,LiN(CFSO)(CSO),LiC(CFSO,LiC(CSO,(CHNBF,(CHNBr,(CNClO,(CNI,(CNBr,(n−CNClO,(n−CNI,(CN−maleate,(CN−benzoate,(CN−phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム(stearyl sulfonic acid lithium)、オクチルスルホン酸リチウム(octyl sulfonic acid)、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(dodecyl benzene sulphonic acid)等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。なお、電解質塩の濃度は、従来のリチウム二次電池で使用される非水電解液と同様でよく、特に制限はない。本実施形態では、適当なリチウム化合物(電解質塩)を0.8〜1.5mol/L程度の濃度で含有させた非水電解液を使用することができる。
なお、非水電解液には、各種の添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、負極作用添加剤、正極作用添加剤、エステル系の添加剤、炭酸エステル系の添加剤、硫酸エステル系の添加剤、リン酸エステル系の添加剤、ホウ酸エステル系の添加剤、酸無水物系の添加剤、及び電解質系の添加剤等が挙げられる。これらのうちいずれか1種を非水電解液に添加しても良いし、複数種類の添加剤を非水電解液に添加してもよい。
(リチウムイオン二次電池の製造方法)
次に、リチウムイオン二次電池10の製造方法について説明する。正極20は、以下のように作製される。まず、正極活物質、導電剤、及び結着剤を混合したものを、溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン)に分散させることでスラリーを形成する。次いで、スラリーを集電体21上に形成(例えば塗工)し、乾燥させることで、正極活物質層22を形成する。なお、塗工の方法は、特に限定されない。塗工の方法としては、例えば、ナイフコーター(knife coater)法、グラビアコーター(gravure coater)法等が考えられる。以下の各塗工工程も同様の方法により行われる。次いで、プレス(press)機により正極活物質層22をプレスする。これにより、正極20が作製される。
負極30も、正極20と同様に作製される。まず、負極活物質、及び結着剤を混合したものを、溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン、水)に分散させることでスラリーを形成する。次いで、スラリーを集電体31上に形成(例えば塗工)し、乾燥させることで、負極活物質層32を形成する。次いで、プレス機により負極活物質層32をプレスする。これにより、負極30が作製される。
マイクロカプセル層40b、40cは、以下の方法により作製される。すなわち、マイクロカプセル及び結着剤を混合したものを溶媒(例えば水)に分散させることでスラリーを形成する。次いで、スラリーをセパレータ40aの両面に塗工、乾燥する。これにより、マイクロカプセル層40b、40cが作製される。
次いで、マイクロカプセル層40b、40cが形成されたセパレータ40aを正極20及び負極30で挟むことで、電極構造体を作製する。次いで、電極構造体を所望の形態(例えば、円筒形、角形、ラミネート形、ボタン形等)に加工し、当該形態の容器に挿入する。次いで、当該容器内に上記組成の電解液を注入することで、セパレータ内の各気孔に電解液を含浸させる。これにより、リチウムイオン二次電池が作製される。
(第2の実施形態)
(リチウムイオン二次電池の構成)
次に、図2に基づいて、第2の実施形態に係るリチウムイオン二次電池10aの構成を説明する。第1変形例に係るリチウムイオン二次電池10aも、正極20、負極30、及びセパレータ層40を備える。
正極20は、集電体21と、正極活物質層22と、マイクロカプセル層23とを備える。集電体21及び正極活物質層22は第1の実施形態と同様である。マイクロカプセル層23は、正極活物質層22の表面、すなわちセパレータ層40に接触する面上に設けられる。マイクロカプセル層23自体の構成は第1の実施形態と同様である。
負極30は、集電体31と、負極活物質層32と、マイクロカプセル層33とを備える。集電体31及び負極活物質層32は第1の実施形態と同様である。マイクロカプセル層33は、負極活物質層32の表面、すなわちセパレータ層40に接触する面上に設けられる。マイクロカプセル層33自体の構成は第1の実施形態と同様である。リチウムイオン二次電池10aは、マイクロカプセル層22、32のうち、いずれかを有していなくてもよい。マイクロカプセル層22、23は、正極活物質層22または負極活物質層23の表面に第1の実施形態で説明したスラリーを塗工、乾燥することで作製される。
セパレータ層40は、セパレータと、非水電解液とを有する。セパレータ及び非水電解質は第1の実施形態と同様である。すなわち、リチウムイオン二次電池10aは、各電極にマイクロカプセル層が形成される点で第1の実施形態と異なる。
(リチウムイオン二次電池の製造方法)
第2の実施形態に係るリチウムイオン二次電池10aの製造方法は、第1の実施形態とほぼ同様である。正極20は、以下のように作製される。まず、第1の実施形態と同様の方法により正極活物質層22を作製する。一方、マイクロカプセル及び結着剤を混合したものを溶媒(例えば水)に分散させることでスラリーを形成する。次いで、スラリーを正極活物質層22上に塗工、乾燥する。これにより、マイクロカプセル層23が作製される。
負極30も同様の方法により作製される。まず、第1の実施形態と同様の方法により負極活物質層32を作製する。一方、マイクロカプセル及び結着剤を混合したものを溶媒(例えば水)に分散させることでスラリーを形成する。次いで、スラリーを負極活物質層32上に塗工、乾燥する。これにより、マイクロカプセル層33が作製される。次いで、セパレータ40aを正極20及び負極30で挟むことで、電極構造体を作製する。その後は第1の実施形態と同様の処理を行うことで、リチウムイオン二次電池10aが作製される。
(第3の実施形態)
(リチウムイオン二次電池の構成)
次に、図3に基づいて、第3の実施形態に係るリチウムイオン二次電池10aの構成を説明する。第1変形例に係るリチウムイオン二次電池10bも、正極20、負極30、及びセパレータ層40を備える。
正極20は第1の実施形態と同様であり、セパレータ40は第2の実施形態と同様である。負極30は、集電体31と、負極活物質層32aとを備える。集電体31は第1の実施形態と同様である。
負極活物質層32aは、負極活物質及びマイクロカプセルを含み、結着剤をさらに含んでいてもよい。すなわち、第3の実施形態では、負極活物質層32a内にマイクロカプセルが混入される。各材料は第1の実施形態と同様である。
(リチウムイオン二次電池の製造方法)
第3の実施形態に係るリチウムイオン二次電池10bの製造方法は、第1の実施形態とほぼ同様である。正極20は、第1の実施形態と同様の処理により作製される。負極30は、以下の処理により作製される。すなわち、負極活物質、及び結着剤を混合したものを、溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン、水)に分散させることでスラリーを形成する。次いで、スラリーを集電体31上に形成(例えば塗工)し、乾燥させることで、負極活物質層32を形成する。次いで、プレス機により負極活物質層32をプレスする。これにより、負極30が作製される。その後は第2の実施形態と同様の処理によりリチウムイオン二次電池10bが作製される。第3の実施形態によれば、マイクロカプセル層を形成する手間が省ける。
なお、第1〜第3の実施形態を任意に組み合わせてもよい。例えば、第2または第3の実施形態のセパレータ層40を第1の実施形態のセパレータ層40に置き換えてもよい。また、第1または第2の実施形態の負極30を第3の実施形態の負極30に置き換えてもよい。
(発泡性モノマーの合成例1)
まず、本実施例で使用した発泡性モノマーの合成例を説明する。合成例1では、以下の方法により発泡性モノマーとしてN−モノアクリルアゾジカルボンアミドを合成した。
冷却管、温度計、及び滴下ロートを装着した1リットルの3つ口フラスコに窒素雰囲気下でアゾジカルボンアミド50g(0.43mol,1当量)、無水N,N−ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)500g、無水ピリジン500g(6.32mol,14.7当量)を加え、これらの混合液をマグネティックスターラで撹拌しながら氷浴で5℃に冷却した。
ついで、滴下ロートにアクリル酸クロリド39g(0.43mol,1.0当量)を加え、混合液の温度を30℃以下に維持しながら当該混合液にアクリル酸クロリドを滴下した。滴下終了後、氷浴をオイルバスに交換し、混合液を40℃で2時間、加熱撹拌した。次いで、反応液を室温に冷却後、反応液を1000mlの水に注ぎ撹拌した。この溶液を3000mlの分液ロートに移し、酢酸エチル300mlで3回抽出した。全ての有機層を集め、収集物を水500mlで2回、飽和食塩水300mlで1回洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え乾燥した。乾燥後の収集物から吸引ろ過で無水硫酸マグネシウムを取り除いたのち、ロータリーエバポレータ(浴温40℃)で濃縮した。濃縮物を更に真空乾燥機(40℃/133Pa)で6時間乾燥した。これにより、N−モノアクリルアゾジカルボンアミド55g(収率75%)を得た。
(発泡性モノマーの合成例2)
アクリル酸クロリドの代わりにメタクリル酸クロリド(Methacrylic acid chloride)45g(0.43mol,1.0当量)を用いた以外は発泡性モノマー合成例1と同様の処理を行った。これにより、N−モノアクリルアゾジカルボンアミド(N−Monoacrylic azodicarbonamide)58g(収率73%)を得た。
(発泡性モノマーの合成例3)
アクリル酸クロリド(acrylic acid chloride)を80g(0.88mol,2.05当量)用いた以外は発泡性モノマー合成例1と同様の処理を行った。これにより、N,N’−ジアクリルアゾジカルボンアミド(N,N’−diacrylic azodicarbonamide)78g(収率81%)を得た。
(発泡性モノマーの合成例4)
アクリル酸クロリドの代わりにメタクリル酸クロリド92.3g(0.88mol,2.05当量)を用いた以外は発泡性モノマー合成例4と同様の処理を行った。これにより、N,N’−ジメタクリルアゾジカルボンアミド(N,N’−dimethacrylic azodicarbonamide)85g(収率78%)を得た。
(マイクロカプセルの合成例1)
次に、本実施例で使用したマイクロカプセルの合成例を説明する。合成例1では、以下の処理により平均粒子径98nmのマイクロカプセルを作製した。攪拌機、温度計、冷却管、送液ポンプ(pump)を装着した0.5リットルの3つ口フラスコ(Flask)に、水240g、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(sodium dodecylbenzenesulfonate (SDBS))300mg(0.861mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して0.001質量部(外数))を加えることで第1混合液を作製した。
ついで、3つ口フラスコ内をダイアフラムポンプ(Diaphragm pump)で2600Paに減圧後、窒素で常圧に戻す操作を3回繰り返すことで、第1混合液の溶存酸素を除去した。ついで、フラスコ内を窒素雰囲気に保ち、第1混合液を攪拌しながらオイルバス(oil bath)でフラスコ内の温度が65℃になるように加熱後、過硫酸アンモニウム(ammonium)0.102g(0.447mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量のモル(mol)数に対して0.05モル%(外数))を第1混合液に加えた。過硫酸アンモニウムを加えた直後から、N−モノアクリルアゾジカルボンアミド(合成例1)15g(88.2mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して25.0質量部)、アクリロニトリル(Acrylonitrile)(和光純薬社製)15g(282.7mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して25.0質量部)、アクリル酸ブチル(butyl acrylate)(和光純薬社製)3g(23.4mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して5.0質量部)の混合物(第2混合液)を送液ポンプで1時間掛けて第1混合液に滴下することで、各モノマーを乳化重合させた。これにより、マイクロカプセルのコア部を合成した。
続いてアクリロニトリル(和光純薬社製)25g(471.2mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して41.7質量部)、アクリル酸(和光純薬社製)2g(27.8mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して3.3質量部)の混合物を送液ポンプで1時間掛けてコア部の分散液に滴下することで、コア部の表面上でモノマーを乳化重合させた。これにより、コア部の表面にシェル部を形成した。滴下終了後、マイクロカプセル分散液を更に1時間攪拌を継続したのち、マイクロカプセル分散液の温度を80℃に昇温して1時間攪拌を継続した。マイクロカプセル分散液を室温に冷却した後、100メッシュ(mesh)のフィルター(filter)でマイクロカプセル分散液をろ過することで、凝集物を除いた。これにより、マイクロカプセル分散液を得た。マイクロカプセル分散液をアルミパン(Aluminium pan)に約1ml量り取り、160℃に加熱したホットプレート(hot plate)上で15分間乾燥させ、残渣重量から不揮発分を算出したところ、マイクロカプセル分散液の総質量に対して19.6質量%(収率98%)であった。また、レーザー(laser)回折散乱式粒子径粒度分布測定装置(日機装株式会社製 Microtrac MT3000)を用いてマイクロカプセルの平均粒子径(D50)を測定したところ98nmであった。
(マイクロカプセルの合成例2)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム150mg(0.43mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して0.0025質量部(外数))を用いた以外はマイクロカプセルの合成例1と同様の処理を行った。これにより、合成例2に係るマイクロカプセルを得た。不揮発分は19.5質量%(収率98%)であった。また、平均粒子径は150nmであった。
(マイクロカプセルの合成例3)
水190g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム60mg(0.17mmol、モノマー総質量に対して0.001質量部(外数))を用いた以外はマイクロカプセルの合成例1と同様の処理を行った。これにより、合成例3に係るマイクロカプセルを得た。不揮発分は23.7質量%(収率99%)であった。また、マイクロカプセルの平均粒子径は300nmであった。
(マイクロカプセルの合成例4)
N−モノアクリルアゾジカルボンアミドの代わりにN−モノメタクリルアゾジカルボンアミド(発泡性モノマーの合成例2)30g(162.9mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して50.0質量部)を用いた以外はマイクロカプセルの合成例1と同様の処理を行った。これにより、合成例4に係るマイクロカプセルを得た。不揮発分は19.5質量%(収率98%)であった。また、マイクロカプセルの平均粒子径は100nmであった。
(マイクロカプセルの合成例5)
N−モノアクリルアゾジカルボンアミドの代わりにN−モノメタクリルアゾジカルボンアミド(発泡性モノマーの合成例2)30g(162.9mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して50.0質量部)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム150mg(0.43mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して0.0025質量部(外数))を用いた以外はマイクロカプセルの合成例1と同様の処理を行った。これにより、合成例5に係るマイクロカプセルを得た。不揮発分は19.5質量%(収率98%)であった。また、マイクロカプセルの平均粒子径は160nmであった。
(マイクロカプセルの合成例6)
水190gを使用し、N−モノアクリルアゾジカルボンアミドの代わりにN−モノメタクリルアゾジカルボンアミド(発泡性モノマー合成例2)30g(162.9mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して50.0質量部)を使用し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム60mg(0.17mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して0.001質量部(外数))を用いた以外はマイクロカプセルの合成例1と同様の処理を行った。これにより、合成例6に係るマイクロカプセルを得た。不揮発分は23.5質量%(収率98%)であった。また、マイクロカプセルの平均粒子径は305nmであった。
(マイクロカプセルの合成例7)
N−モノアクリルアゾジカルボンアミドの代わりにN,N’−ジアクリルアゾジカルボンアミド(発泡性モノマーの合成例3)30g(133.8mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して50.0質量部)を使用し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム150mg(0.43mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して0.0025質量部(外数))を用いた以外はマイクロカプセルの合成例1と同様の処理を行った。これにより、合成例7に係るマイクロカプセルを得た。不揮発分は19.5質量%(収率98%)であった。また、マイクロカプセルの平均粒子径は110nmであった。
(マイクロカプセルの合成例8)
N−モノアクリルアゾジカルボンアミドの代わりにN,N’−ジメタアクリルアゾジカルボンアミド(発泡性モノマーの合成例4)30g(118.9mmol、マイクロカプセルのモノマー総質量に対して50.0質量部)を使用し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム150mg(0.43mmol、モノマー総質量に対して0.0025質量部(外数))を用いた以外はマイクロカプセルの合成例1と同様の処理を行った。これにより、合成例8に係るマイクロカプセルを得た。不揮発分は19.6質量%(収率98%)であった。また、マイクロカプセルの平均粒子径は105nmであった。
(負極合剤スラリーの作製例1)
次に、負極合剤スラリーの作製例について説明する。人造黒鉛95質量%、アセチレンブラック(acetylene black)2質量%、スチレンブタジエン共重合体(SBR)2質量%、カルボキシメチルセルロース(CMC)1質量%を混合し、更に粘度調整のために水を加えることで負極合剤スラリーを作製した。なお、負極合剤スラリー(slurry)中の不揮発分はスラリーの総質量に対して48質量%であった。
(負極合剤スラリーの作製例2)
人造黒鉛95質量%、アセチレンブラック2質量%、スチレンブタジエン共重合体(SBR)1質量%、カルボキシメチルセルロース(CMC)1質量%、マイクロカプセルの合成例1で作製されたマイクロカプセル分散液を固形分換算で1質量%混合することで負極合剤を作製した。ついで、負極合剤に粘度調整のために水を加えることで、負極合剤スラリーを作製した。なお、負極合剤スラリー中の不揮発分はスラリーの総質量に対して48質量%であった。
(負極合剤スラリーの作製例3〜9)
マイクロカプセルの合成例2〜8で作製されたマイクロカプセル分散液を使用した以外は全て負極合剤スラリーの作製例2と同様の処理を行うことで、作製例3〜9に係る負極合剤スラリーを作製した。
(負極作製例1)
次に、負極の作製例について説明する。乾燥後の合剤塗布量(面密度)が9.55mg/cmになるようにバーコータ(Bar coater)のギャップ(gap)を調整した。次いで、このバーコータにより作製例1で作成された負極合剤スラリーを銅箔(集電体,10μm)へ均一に塗布した。次いで、負極合剤スラリーを80℃に設定した送風型乾燥機で15分乾燥した。ついで、乾燥後の負極合剤をロールプレス(roll press)機により合剤密度が1.65g/cmとなるようにプレスした。ついで、負極合剤を150℃で6時間真空乾燥することで、負極集電体と負極活物質層とからなるシート(sheet)状の負極を作製した。この負極は第1の実施形態に対応する。
(負極作製例2)
マイクロカプセルの合成例1で作製されたマイクロカプセル分散液100質量部とカルボキシメチルセルロース1質量%水溶液(カルボキシメチルセルロースを水溶液の総質量に対して1質量%含むもの。以下同じ)25質量部との混合液を作製した。ついで、この混合液を、負極作製例1で作製したシート状の負極に、乾燥後の塗工層の厚みが2μmとなるように調整したバーコータで塗布後、80℃の送風乾燥機で15分乾燥した。ついで、塗工層を80℃で6時間真空乾燥することで、負極集電体、負極活物質層、及びマイクロカプセル層からなるシート状の負極を作製した。この負極は第2の実施形態に対応する。
(負極作製例3〜9)
マイクロカプセルの合成例2〜8で作製されたマイクロカプセル分散液を用いた以外は負極作製例2と同様の処理を行った。これにより、負極作製例3〜9に係る負極を作製した。これらの負極も第2の実施形態に対応する。
(負極作製例10〜17)
負極合剤スラリー作製例2〜9で作製されたスラリーを用いた他は負極作製例1と同様の処理を行うことで、負極作製例10〜17に係る負極を作製した。これらの負極は第3の実施形態に対応する。
(正極合剤スラリー作製例)
次に、正極合剤スラリーの作製例について説明する。固溶体酸化物Li1.20Mn0.55Co0.10Ni0.1596質量%、ケッチェンブラック(Ketjenblack)2質量%、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)2質量%をN−メチル−2−ピロリドンに分散させることで、正極合剤スラリーを形成した。なお、正極合剤スラリー中の不揮発分は50質量%であった。
(正極作製例1)
次に、正極作製例について説明する。乾燥後の合剤塗布量(面密度)が22.7mg/cmになるようにバーコータのギャップを調整した。ついで、このバーコータにより正極合剤スラリーを集電体であるアルミニウム集電箔上に塗工し、乾燥させることで、正極活物質層を作製した。乾燥後の正極合剤をロールプレス機により合剤密度が3.9g/cmとなるようにプレスした。ついで、正極合剤を80℃で6時間真空乾燥することで、正極集電体と正極活物質層とからなるシート状の正極を作製した。この正極は、第1の実施形態に対応する。
(正極作製例2)
マイクロカプセル合成例1で作製したマイクロカプセル分散液100質量部とカルボキシメチルセルロース1質量%水溶液25質量部の混合液を作製した。ついで、この混合液を、正極作製例1で作製したシート状の正極に、乾燥後の塗工層の厚みが2μmとなるように調整したバーコータで塗布後、80℃の送風乾燥機で15分乾燥した。ついで、塗工層を80℃で6時間真空乾燥することで、正極集電体、正極活物質層、及びマイクロカプセル層からなるシート状の正極を作製した。この正極は、第2の実施形態に対応する。
(正極作製例3〜9)
マイクロカプセル合成例2〜8で作製されたマイクロカプセル分散液を用いた以外は全て正極作製例2と同様の処理を行うことで、正極作製例3〜9に係る正極を作製した。これらの正極は第2の実施形態に対応する。
(セパレータ作製例1)
厚さ16μmのポリエチレン多孔質膜を用意した。また、乾燥後のポリエチレン多孔質膜全体の膜厚が18μm(塗工層の厚みが両面合計で2μmとなる)ように、塗工機のギャップを調整した。また、マイクロカプセル合成例1で作製されたマイクロカプセル分散液100質量部とカルボキシメチルセルロース1%水溶液25質量部の混合液を作製した。ついで、上記の塗工機を用いて、混合液をポリエチレン多孔質膜の両面に塗工、乾燥(乾燥炉温度80℃)した。ついで塗工層を80℃で6時間真空乾燥することで、両面にマイクロカプセル層を有するポリエチレン多孔質膜セパレータを作製した。このセパレータは第1の実施形態に対応する。
(セパレータ作製例2〜8)
マイクロカプセル合成例2〜8で作製されたマイクロカプセル分散液を用いた以外はセパレータ作製例1と同様の処理を行うことで、セパレータ作製例2〜8に係るセパレータを作製した。これらのセパレータも第1の実施形態に対応する。
(セパレータ作製例9)
厚さ16μmのポリエチレン多孔質膜を用意した。また、乾燥後のポリエチレン多孔質膜全体の膜厚が18μm(塗工層の厚みが2μmとなる)ように、塗工機のギャップを調整した。また、マイクロカプセル合成例1で作製されたマイクロカプセル分散液100質量部とカルボキシメチルセルロース1%水溶液25質量部の混合液を作製した。ついで、上記の塗工機を用いて、混合液をポリエチレン多孔質膜の片面に塗工し、80℃の送風乾燥機で15分乾燥した。ついで塗工層を80℃で6時間真空乾燥することで、片面にマイクロカプセル層を有するポリエチレン多孔質膜セパレータを作製した。このセパレータは第1の実施形態の変形例に対応する。
(セパレータ作製例10、11)
マイクロカプセル合成例2、3で作製されたマイクロカプセル分散液を用いた以外はセパレータ作製例9と同様の処理を行うことで、セパレータ作製例10、11に係るセパレータを作製した。これらのセパレータも第1の実施形態の変形例に対応する。
(セル作製例1)
正極作製例1で作製された正極を直径1.3cmの円形に、負極作製例2で作製された負極を直径1.55cmの円形に、さらにセパレータとして厚さ16μmのポリエチレン多孔質膜を直径1.9cmの円形に各々切断した。
ついで、直径2.0cmのステンレス(stainless)製コイン(coin)外装容器内で、先に作製した直径1.3cmの正極、直径1.9cmのセパレータ、直径1.55cmの負極、さらにスペーサー(spacer)として直径1.5cmの円形に切断した厚さ200μmの銅プレート(plate)をこの順番に重ね合わせた。ついで、容器に電解液(1.5MのLiPF エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)/フルオロエチレンカーボネート(FEC)=10/70/20混合溶液(体積比))を溢れない程度に垂らした。ついで、ポリプロピレン製のパッキン(packing)を介して、ステンレス製のキャップ(cap)を容器に被せ、コイン電池作製用のかしめ器で容器を密封した。これにより、リチウムイオン二次電池を作製した。
(セル作製例2〜38)
表2に示した正極、負極、及びセパレータを使用した以外はセル作製例1と同様の処理を行うことで、セル作製例2〜38に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
(発泡試験)
つぎに、本実施例で作製された各マイクロカプセルが120℃〜250℃の間で発泡することを確認するために、以下の発泡試験を行った。具体的には、セパレータ作製例1〜8で作製されたセパレータをホットプレートで160℃まで加熱し、その温度で3分間放置した。その後、セパレータの温度を室温に戻し、セパレータの膜厚を測定した。ついで、測定値からポリエチレン多孔質膜の厚さ(=16μm)を減じることで、加熱後のマイクロカプセル層の厚さ(膜厚)を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2015111530
いずれのマイクロカプセル層も、160℃に加熱することによって膜厚が増加している。したがって、いずれのマイクロカプセルも120℃〜250℃の温度範囲内で発泡することが確認された。
(セル抵抗値の評価方法)
各作製例で作製されたリチウムイオン二次電池を25℃で0.1Cの定電流−定電圧で4.2V、0.04mAまで充電したのち、0.1Cの定電流で2.5Vまで放電する条件で1サイクルした。これを低抵抗計(敦賀電機株式会社製 MODEL3566)の交流4端子法を用いてセル抵抗(リチウムイオン二次電池の内部抵抗)を測定した。更にリチウムイオン二次電池をホットプレートにて160℃に加熱し、その温度で3分間放置後、室温に冷却し、再度セル抵抗を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2015111530
負極作製例2〜17、正極作製例2〜9、セパレータ作製例1〜11は本実施形態に係るマイクロカプセルを含有するので、本実施形態の実施例に相当する。また、作製例1〜38に係るリチウムイオン二次電池は、正極、負極、及びセパレータのうちいずれか1種以上の構成要素にマイクロカプセルが含まれるので、本実施形態の実施例に相当する。
表2によれば、加熱前のリチウムイオン二次電池はいずれも内部抵抗が低い。したがって、マイクロカプセルはリチウムイオン二次電池内の反応にほとんど悪影響を及ぼしていない(例えばコア部が膨潤する等)ことがわかる。さらに、リチウムイオン二次電池を160℃まで加熱することでリチウムイオン二次電池の内部抵抗値が大きく増加している。したがって、本実施例のリチウムイオン二次電池は、異常発熱時に内部抵抗が増大することがわかる。
以上により、第1〜第3の実施形態に係るマイクロカプセルは、リチウムイオン二次電池10、10a、10b内で安定して存在し、かつ異常発熱時に発砲(膨張)する。また、マイクロカプセルの平均粒子径は0.05μm〜0.5μmと非常に小径である。
したがって、マイクロカプセルは、リチウムイオン二次電池を薄膜化し、リチウムイオン二次電池内で安定して存在し、かつ、リチウムイオン二次電池の異常発熱時に電極間の絶縁を確保することができる。さらに、マイクロカプセルは、リチウムイオン二次電池の異常発熱時にセパレータの熱収縮を抑制することができる。
ここで、マイクロカプセルのコア部を構成する発泡性モノマーはジアゾ化合物を含んでいてもよく、この場合、異常発熱時に迅速に発泡することができる。
また、ジアゾ化合物は、上記化学式Iまたは化学式IIで示される構造を有していてもよく、この場合、異常発熱時に迅速に発泡することができる。
また、マイクロカプセルは、発泡温度が120℃以上250℃以下であるので、リチウムイオン二次電池の異常発熱時により確実に発泡することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、リチウムイオン二次電池に本発明を適用したが、他の非水電解質二次電池に適用してもよいことはもちろんである。
10、10a、10b リチウムイオン二次電池
20 正極
21 集電体
22 正極活物質層
23 マイクロカプセル層
30 負極
31 集電体
32 負極活物質層
33 マイクロカプセル層
40 セパレータ層
40a セパレータ
40b、40c マイクロカプセル層

Claims (9)

  1. 発泡性モノマーの重合体を含むコア部と、
    前記コア部を覆い、かつ、非水電解質二次電池内での安定性が前記コア部よりも高いシェル部と、を有し、
    平均粒子径が0.05μm〜0.5μmであることを特徴とする、非水電解質二次電池用マイクロカプセル。
  2. 前記発泡性モノマーはジアゾ化合物を含むことを特徴とする、請求項1記載の非水電解質用マイクロカプセル。
  3. 前記ジアゾ化合物は、以下の化学式Iで示される構造を有することを特徴とする、請求項2記載の非水電解質二次電池用マイクロカプセル。
    Figure 2015111530
    化学式I中、R1は水素原子又はメチル基、R2は水素又は炭素数1〜6のアルキル基、R3は水素又は炭素数1〜6のアルキル基、R4は水素、メチル基、アクリル基、メタクリル基、またはグリシジル基、Xは直結又は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
  4. 前記ジアゾ化合物は、以下の化学式IIで示される構造を有することを特徴とする、請求項2または3記載の非水電解質二次電池用マイクロカプセル。
    Figure 2015111530

    化学式II中、R1は水素原子又はメチル基、R2は水素又は炭素数1〜6のアルキル基、Aはメチレン基又はカルボニル基、Qはメチレン基又はメチン基、Tは直結、二重結合、メチレン基、酸素、またはNH基を表す。
  5. 発泡温度が120℃以上250℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用マイクロカプセル。
  6. セパレータと、
    前記セパレータ上に設けられ、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用マイクロカプセルが分散したマイクロカプセル層と、を有することを特徴とする、非水電解質二次電池用セパレータ層。
  7. 電極活物質層と、
    前記電極活物質層上に設けられ、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用マイクロカプセルが分散したマイクロカプセル層と、を有することを特徴とする、非水電解質二次電池用電極。
  8. 電極活物質と、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用マイクロカプセルと、を有することを特徴とする、非水電解質二次電池用電極活物質層。
  9. 請求項6記載の非水電解質二次電池用セパレータ、請求項7記載の非水電解質二次電池用電極、及び請求項8記載の非水電解質二次電池用電極活物質層のうち、すくなくとも1つを含むことを特徴とする、非水電解質二次電池。
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