JP2015108572A - 蛍光色素内包ナノ粒子、蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法、蛍光標識剤、及び蛍光免疫染色方法 - Google Patents

蛍光色素内包ナノ粒子、蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法、蛍光標識剤、及び蛍光免疫染色方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015108572A
JP2015108572A JP2013251897A JP2013251897A JP2015108572A JP 2015108572 A JP2015108572 A JP 2015108572A JP 2013251897 A JP2013251897 A JP 2013251897A JP 2013251897 A JP2013251897 A JP 2013251897A JP 2015108572 A JP2015108572 A JP 2015108572A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
core
fluorescent dye
thermosetting resin
shell
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013251897A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6241239B2 (ja
Inventor
古澤 直子
Naoko Furusawa
直子 古澤
健作 高梨
Kensaku Takanashi
健作 高梨
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2013251897A priority Critical patent/JP6241239B2/ja
Publication of JP2015108572A publication Critical patent/JP2015108572A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6241239B2 publication Critical patent/JP6241239B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacturing Of Micro-Capsules (AREA)

Abstract

【課題】組織標本の作製の際、有機溶剤による脱水・透徹、又は有機系封入剤による封入を行っても樹脂粒子や蛍光色素が溶出することのない、蛍光色素内包ナノ粒子を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂中に蛍光色素を内包したコア粒子に1〜10分間100℃以上に保持する加熱処理を施すことにより得られる、硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子;熱硬化性樹脂中に蛍光色素を内包したコア粒子と、該コア粒子を被覆する蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂で形成されたシェル層とを有するコア/シェル粒子に1〜10分間100℃以上に保持する加熱処理を施すことにより得られる、コア/硬化シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子;熱硬化性樹脂中に蛍光物質を内包したコア粒子に1〜10分間100℃以上に保持する加熱処理を施すことにより得られた硬化コア粒子と、該硬化コア粒子を被覆する蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂で形成された層とを有する、硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、組織切片中の特定の物質を検出するために用いる蛍光色素内包ナノ粒子、その製造方法、並びに該蛍光色素内包ナノ粒子を用いた蛍光標識剤及び蛍光免疫染色方法に関する。
病理診断では、臓器摘出や針生検によって得た組織検体を厚さ数ミクロン程度に薄切りして組織標本を作製し、様々な所見を得るために光学顕微鏡を用いて拡大観察することが広く行われている。多くの場合、標本は、採取した組織を固定するため脱水し、パラフィンブロック化した後、数μmの厚さに薄切りし、パラフィンを取り除いて作製される。
病理診断では、免疫染色と呼ばれる、標本の分子情報の発現を確認するための分子標的染色を施し、遺伝子やタンパクの発現異常といった機能異常を診断する免疫観察が行なわれている。免疫染色には、例えば、酵素を用いた色素染色法(DAB染色等)が用いられる(特許文献1)。DAB染色は、ジアミノベンジジン(DAB)を基質として発色させることのできるペルオキシダーゼで修飾された抗体を用いて、観察対象となる抗原を当該発色により染色して観察することで抗原量を測るものである。しかしながら、DAB染色のような酵素標識による染色は、染色濃度が温度・時間等の環境条件により大きく左右されるため、染色濃度から実際の抗原等の量を見積もることが難しいという課題がある。
最近、病理診断における免疫観察では、酵素標識による染色の代わりに、蛍光標識体を用いる蛍光標識法が行なわれている。この方法はDAB染色と比べて定量性に優れるという特徴がある(非特許文献1)。蛍光標識法は、蛍光色素が修飾された抗体を蛍光標識体として、対象となる抗原を染色して観察することで抗原量を測るものである。
蛍光標識体には、例えば、熱硬化性樹脂粒子中に蛍光色素を含み、粒子径がナノメートルサイズであるメラミン・ホルムアルデヒド粒子等が知られている(特許文献2)。蛍光色素を内包した粒子として可能な限り小さい直径(<100nm)を有するものを製造し、次にこれらの分子上にストレプトアビジンを固定したものは、蛍光強度が高く、ビオチンラベルタンパク質を検出するのに用いられる。
ところで、蛍光標識法に用いる標本作製において、エタノール又はキシレン等の有機溶剤を用いた洗浄又は透徹が行われる。また、染色後は、水系や有機系の封入剤を用いて、組織切片の封入が行われる。水系封入剤は、標本との屈折率差が大きく、標本を透明にしにくい、等の問題がある一方で、有機系封入剤は標本との屈折率差が小さく、標本を透明にできる、形態染色の色味や発色が良い、等の特徴があることから、有機系封入剤の方が標本作製に好適に用いられる。
このような標本作製の際、従来の蛍光標識体を用いた場合、有機溶剤や有機系の封入剤を添加すると、樹脂粒子が一部溶出するために、組織切片中の検出対象物質上に一旦固定されていた蛍光色素が滲み出すことがあった。そうなると、輝点の位置及び強度(蛍光強度)にバラツキを生じ、蛍光顕微鏡での観察において、発光強度が低下したり、鮮明な染色像が得られず、判定精度が悪化する場合がある。
熱硬化性樹脂については、アミノ樹脂粒子を合成又は加工した後、90℃以上の温度で一定時間保持して硬化をさらに進めることにより、脂肪族又は芳香族炭化水素を含む有機溶媒に接触させても、アミノ樹脂の該溶媒への溶解を防止できることが知られている(特許文献3)。しかしながら、加熱処理を施すことで、熱硬化性樹脂に含まれる添加物等に影響を及ぼすことが懸念されるため、加熱処理には慎重な検討が必要である。
特開2010−134195号公報 特表2008−543982号公報 特開2003−82049号公報
Robbins Basic Pathology: With STUDENT CONSULT Online Access, 9e (Robbins Pathology) Saunders, (2012)
本発明は、組織標本の作製の際に、エタノールによる脱水、キシレンによる透徹、又は有機系封入剤による封入を行っても、組織切片内で樹脂粒子が溶け出し、蛍光色素が滲み出ることのない、病理染色用の蛍光色素内包ナノ粒子及びその製造方法、並びに該蛍光色素内包ナノ粒子を用いた蛍光標識剤及び蛍光免疫染色方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、熱硬化性樹脂中に蛍光色素を内包したコア粒子、又は該コア粒子を樹脂で被覆したコア/シェル粒子に、所定の条件で加熱処理を施すことにより、得られる硬化粒子は、標本作製時に有機溶剤による洗浄や透徹、又は有機系封止剤の添加によっても、樹脂や蛍光色素の溶出が抑制されることを見出した。
すなわち、本発明は以下の事項からなる。
[1]熱硬化性樹脂中に蛍光色素を内包したコア粒子に、1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより得られる、硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子。
[2]熱硬化性樹脂中に蛍光色素を内包したコア粒子と、該コア粒子を被覆する蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂で形成されたシェル層とを有するコア/シェル粒子に、1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより得られる、コア/硬化シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子。
[3]熱硬化性樹脂中に蛍光物質を内包したコア粒子に、1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより得られた硬化コア粒子と、該硬化コア粒子を被覆する蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂で形成されたシェル層とを有する、硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子。
[4]前記加熱処理の温度が100〜200℃である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
[5]前記加熱処理の温度が110〜150℃である、[4]に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
[6]前記シェル層の厚みが10〜100nmである、[2]又は[3]に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
[7]前記コア粒子の熱硬化性樹脂及び/又は前記シェル層の熱硬化性樹脂がメラミン樹脂又は尿素樹脂である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
[8]蛍光強度が、前記加熱処理が施されていない前記コア粒子、又はコア粒子及びシェル層ともに前記加熱処理が施されていない前記コア/シェル粒子の蛍光強度の70%以上であり、かつ、有機溶媒に10分間浸漬した後の蛍光強度が、有機溶媒に浸漬する前の蛍光強度の70%以上である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
[9]前記有機溶媒がエタノール又はキシレンである、[8]に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
[10]熱硬化性樹脂と蛍光色素とを接触させてコア粒子を得る工程(i)と、該コア粒子に1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施して、硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子を得る工程(ii)とを含む、硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
[11]熱硬化性樹脂と蛍光色素とを接触させてコア粒子を得る工程(i)と、該コア粒子と蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂とを接触させて、表面が該熱硬化性樹脂で形成されたシェル層で被覆されたコア/シェル粒子を得る工程(iii)と、該コア/シェル粒子に1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施して、コア/硬化シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子を得る工程(iv)とを含む、コア/硬化シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
[12]熱硬化性樹脂と蛍光色素とを接触させてコア粒子を得る工程(i)と、該コア粒子に1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施して硬化コア粒子を得る工程(v)と、該硬化コア粒子と蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂とを接触させて、表面が該熱硬化性樹脂で形成されたシェル層で被覆された硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子を得る工程(vi)とを含む、硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
[13]前記加熱処理の温度が100〜200℃である、[10]〜[12]のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
[14]前記加熱処理の温度が110〜150℃である、[13]に記載の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
[15]前記シェル層の厚みが10〜100nmである、[11]又は[12]に記載の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
[16]前記コア粒子の熱硬化性樹脂及び/又は前記シェル層の熱可塑性樹脂がメラミン樹脂又は尿素樹脂である、[10]〜[15]のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
[17][1]〜[9]のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子と、それに結合した生体物質認識部位とを有する、蛍光標識剤。
[18]有機溶媒で処理された組織切片を[17]に記載の蛍光標識剤を用いて免疫染色処理する工程、及び/又は[17]に記載の蛍光標識剤で免疫染色処理された組織切片を有機溶媒で処理する工程を含む、蛍光免疫染色方法。
本発明によれば、熱硬化性樹脂中に蛍光色素を内包したコア粒子、又は該コア粒子を熱硬化性樹脂で被覆したコア/シェル粒子を1〜10分間、100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより、又は該コア粒子を1〜10分間、100℃以上の温度に保持する加熱処理を施した後、硬化コア粒子を熱硬化性樹脂で被覆することにより、得られる硬化コア型、コア/硬化シェル型、又は硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子は、基材ガラスに載置した組織切片に添加した後、エタノールによる脱水や、キシレンによる透徹の操作を施しても、又は有機系封入剤を添加しても、樹脂や蛍光色素の溶出が効果的に抑制される。そのため、組織切片上で蛍光色素が輝度を良好に維持し、検出対象物を視認性良く観察することができる。
図1は、実施例において、10℃/分の速度で昇温し、100℃以上の温度で1〜10分間保持し、10℃/分の速度で降温する、加熱処理を表す図である。 図2は、コア粒子を蛍光色素を含まないシェル層で被覆した、コア/硬化シェル型、又は硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子を表す模式図である。
本発明の蛍光色素内包ナノ粒子には、熱硬化性樹脂中に蛍光色素を内包したコア粒子に、1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより得られる、硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子(以下、「硬化コア型粒子(1)」という。)、熱硬化性樹脂中に蛍光色素を内包したコア粒子と、該コア粒子を被覆する蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂で形成されたシェル層とを有するコア/シェル粒子に、1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより得られる、コア/硬化シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子(以下、「コア/硬化シェル型粒子(2)」という。)、及び熱硬化性樹脂中に蛍光物質を内包したコア粒子に、1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより得られた硬化コア粒子と、該硬化コア粒子を被覆する蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂で形成された層とを有する、硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子(以下、「硬化コア/シェル型粒子(3)」という。)がある。
以下、各粒子について詳細に説明する。
[蛍光色素内包ナノ粒子]
熱硬化性樹脂
本発明で用いられる熱硬化性樹脂には、免疫染色用の標識体に用いることができるものであれば、既存の如何なるものでも構わない。例えば、メラミン樹脂、ポリウレア、ポリベンゾグアナミン及びフェノール樹脂等、安定的に蛍光色素を内包できるものが挙げられる。メラミン樹脂としては、例えば、水溶性メラミン樹脂「ニカラックMX−035」(日本カーバイド工業社製)が挙げられる。
蛍光色素
本発明で用いられる蛍光色素には、免疫染色用の標識体に用いることができるものであれば、既存の如何なるものでも構わない。例えば、ローダミン系色素分子、スクアリリウム系色素分子、シアニン系色素分子、芳香環系色素分子、オキサジン系色素分子、カルボピロニン系色素分子、ピロメセン系色素分子等が挙げられる。或いは、Alexa Fluor(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、Cy(登録商標、GEヘルスケア社製)系色素分子、DY(登録商標、DYOMICS社製)系色素分子、HiLyte(登録商標、アナスペック社製)系色素分子、DyLight(登録商標、サーモサイエンティフィック社製)系色素分子、ATTO(登録商標、ATTO−TEC社製)系色素分子、MFP(登録商標、Mobitec社製)系色素分子等が挙げられる。なお、これら色素分子の総称は、化合物中の主要な構造(骨格)又は登録商標に基づき命名されており、それぞれに属する蛍光色素の範囲は当業者であれば過度の試行錯誤を要することなく適切に把握できるものである。
ローダミン系色素分子の具体例としては、5−カルボキシ−ローダミン、6−カルボキシ−ローダミン、5,6−ジカルボキシ−ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、テキサスレッド、スペクトラムレッド、LD700パークロレート、スルホローダミン101等が挙げられる。
スクアリリウム系色素分子の具体例としては、SRfluor, 680−carboxylate、1,3−ビス[4−(ジメチルアミノ)−2−ヒドロキシフェニル]−2,4−ジヒドロキシシクロブテンジイリウムジヒドロキシド、ビス‐1,3−ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−2,4−ジヒドロキシシクロブテンジイリウムジヒドロキシド、ビス‐2−(4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−(ジエチルイミニオ)−2−ヒドロキシシクロヘキサ−2,5−ジエニリデン)−3−オキソシクロブテ−1−エノレート、2−(4−(ジブチルアミノ)−2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−(ジブチルイミニオ)−2−ヒドロキシシクロヘキサ−2,5−ジエニリデン)−3−オキソシクロブテ−1−エノレート、2−(8−ヒドロキシ−1,1,7,7−テトラメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロピリド[3,2,1−ij]キノリン−9−イル)−4−(8−ヒドロキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,2,1−ij]キノリニウム−9(5H)−イリデン)−3−オキソシクロブテ−1−エノレート等が挙げられる。
シアニン系色素分子の具体例としては、1−ブチル−2−[5−(1−ブチル−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−2H−インドール−2−イリデン)−ペンタ−1,3−ジエニル]−3,3−ジメチル−3H−インドリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−2−[5−(1−ブチル−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−イリデン)−3−クロロペンタ−1,3−ジエニル]−3,3−ジメチル−3H−インドリウムヘキサフルオロホスフェート、3−エチル−2−[5−(3−エチル−3H−ベンゾチオアゾール−2−イリデン)−ペンタ−1,3−ジエニル]−ベンゾチアゾール−3−イウム-アイオダイド等が挙げられる。
芳香環系色素分子の具体例としては、N, N−ビス−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6,7,12−(4−tert−ブチルフェノキシ)−ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミド、N,N'−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6,7,12−テトラフェノキシペリレン−3,4:9,10−テトラカルボキシジイミド、N,N'−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボイミド)、16N,N'−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミド、4,4'−[(8,16−ジヒドロ−8,16−ジオキソジベンゾ[a,j]ペリレン−2,10−ジイル)ジオキシ]ジブチル酸、2,10−ジヒドロキシ−ジベンゾ[a,j]ペリレン−8,16−ジオン、2,10−ビス(3−アミノプロポキシ)ジベンゾ[a,j]ペリレン−8,16−ジオン、3,3'−[(8,16−ジヒドロ−8,16−ジオキソジベンゾ [a,j]ペリレン−2,10−ジイル)ジオキシ]ジプロピルアミン、17−ビス(オクチルオキシ)アントラ[9,1,2−cde−]ベンゾ[rst]ペンタフェン−5−10−ジオン、オクタデカン酸、 5,10−ジヒドロ−5,10−ジオキソアントラ [9,1,2−cde]ベンゾ[rst]ペンタフェン−16,17−ジイルエステル、ジヒドロキシジベンズアントロン、ベンゼンスルホン酸,4,4',4'',4'''−[[2,9−ビス[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,3,8,10−テトラオキソアントラ [2,1,9−def:6,5,10−d'e'f']ジイソキノリン−5,6,12,13−テトライル]テトラキス(オキシ)]テトラキス−,ベンゼンエタンアミニウム、4,4',4'',4'''−[[2,9−ビス[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,3,8,10−テトラオキソアントラ [2,1,9−def:6,5,10−d’e'f’]ジイソキノリン−5,6,12,13−テトライル]テトラキス(オキシ)]テトラキス[N,N,N−トリメチル−]等が挙げられる。
オキサジン系色素分子の具体例としては、Cresyl violet、Oxazine 170、EVOblue30、Nile Blue等が挙げられる。
カルボピロニン系色素分子の具体例としては、CARBOPYRONIN 149等が挙げられる。
ピロメセン系色素分子の具体例としては、PYRROMETHENE 650等が挙げられる。
Alexa Fluor系色素分子の具体例としては、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750等(以上、インビトロジェン社製)が挙げられる。
BODIPY系色素分子の具体例としては、BODIPY FL、BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上、インビトロジェン社製)等が挙げられる。
Cy系色素分子の具体例としては、Cy3.5、Cy5、Cy5.5(以上、GEヘルスケア社製)等が挙げられる。
DY系色素分子の具体例としては、DY-590、DY-610、DY-615、DY-630、DY-631、DY-632、DY-633、DY-634(以上、DYOMICS社製)等が挙げられる。
HiLyte系色素分子の具体例としては、HiLyte Fluor 594、HiLyte Fluor TR(以上、アナスペック社製)等が挙げられる。
DyLight系色素分子の具体例としては、DyLight 594、DyLight 633(以上、サーモサイエンティフィック社製)等が挙げられる。
ATTO系色素分子の具体例としては、ATTO590、ATTO610、ATTO620、ATTO633、ATTO655等(以上、ATTO−TEC社製)が挙げられる。
MFP系色素分子の具体例としては、MFP590、MFP631(以上、Mobitec社製)等が挙げられる。
その他色素としては、C−フィコシアニン、フィコシアニン、APC(アロフィコシアニン)、APC-XL、Northern Lights 637(R&D Systems社製)等が挙げられる。
また、これらの誘導体(蛍光色素として機能しうるもの、例えば、公知の誘導体)を挙げることができる。
これらのうち、例えば、ローダミン系色素分子、芳香環系色素分子等の蛍光色素は、比較的耐光性が高いため好ましく、なかでも芳香環系色素分子に属するペリレン、特にペリレンジイミドが好ましい。一方、比較的耐光性の低い蛍光色素であっても、適切な熱硬化性樹脂を選択することにより、本発明による所定の蛍光強度の保持条件を満たす蛍光色素内包ナノ粒子を調製することができる。
コア粒子
コア粒子とは、上記熱硬化性樹脂中に一種又は二種以上の蛍光色素が内包された構造を有するナノメートルサイズの粒子である。本発明で用いられるコア粒子は、適切な蛍光色素及び粒子を形成する熱硬化性樹脂を原料として選択した上で、公知の方法により調製することができる。一般的には、熱硬化性樹脂を合成する際に蛍光色素を添加することにより、蛍光色素を内包した熱硬化性樹脂の粒子を調製することができる。この際、熱硬化性樹脂のモノマーが有する官能基と、蛍光色素が有する官能基との相互作用を利用して、熱硬化性樹脂の粒子に蛍光色素を吸着させるようにしてもよい。また、粒子原料である熱硬化性樹脂のモノマーに蛍光色素分子を結合させ、そのモノマーを重合させて熱硬化性樹脂の粒子を合成する方法も挙げられる。
ここで、硬化コア型粒子(1)におけるコア粒子に生体物質認識部位を結合させるための官能基を持たせる方法としては、所定の官能基を予め側鎖に有する(コ)モノマーを(共)重合させるか、(共)重合して粒子(母体)を調製した後に、それを構成しているモノマー単位に結合した官能基を試薬処理して該所定の官能基に変換する方法が挙げられる。
上記の方法は、コア/硬化シェル型粒子(2)または硬化コア/シェル型粒子(3)におけるシェル層に生体物質認識部位を結合させるための官能基を持たせる場合についても同様である。
あるいは、硬化コア型粒子(1)におけるコア粒子におけるコア粒子、コア/硬化シェル型粒子(2)または硬化コア/シェル型粒子(3)におけるシェル層、どちらに対しても所望の官能基を有するシランカップリング剤を反応させることで当該官能基を導入するようにしてもよい。
[硬化コア型粒子(1)]
本発明の硬化コア型粒子(1)は、上記コア粒子を1〜10分間、100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより得られる。
加熱処理は、コア粒子をオートクレーブ等の装置に入れて、2〜50℃/分の昇温速度で昇温し、最高温度である100℃以上の温度まで昇温したら、1〜10分間、好ましくは1〜5分間、その温度に保持し、その後、10〜50℃/分の降温速度で降温する。
上記加熱処理における最高温度は、100℃以上であり、好ましくは110℃以上である。一方、前記最高温度の上限値は、好ましくは200℃以下であり、より好ましくは150℃以下であり、特に好ましくは135℃以下である。具体的には、加熱処理における最高温度は、好ましくは100〜200℃であり、より好ましくは110〜150℃、特に好ましくは110〜135℃である。
最高温度が100℃未満であると、硬化が不十分となる場合がある。最高温度は280℃であり、それ以上となると樹脂の熱分解が起こる。
加熱処理の保持時間が1分未満だと、十分に加熱処理を行うことができないことがあるが、加熱処理の保持時間が10分を超えると、熱により蛍光色素が損傷を受け、その結果、蛍光強度が低下し、組織切片上で視認性良く蛍光観察ができなくなることがある。
硬化コア型粒子(1)の平均粒径は通常20〜300nm、好ましくは50〜200nmである。硬化コア型粒子(1)の平均粒径が300nmを超えると染色性に問題が生じる場合があり、硬化コア型粒子(1)の平均粒径が20nm未満であると、視認性に問題が生じる場合がある。上記硬化コア型粒子(1)の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し、蛍光色素内包ナノ粒子の断面積を計測し、その計測値を相当する円の面積としたときの直径(面積円相当径)として測定することができる。蛍光色素内包ナノ粒子の集団の粒子サイズの平均(粒径)及び変動係数は、十分な数(例えば1000個)の蛍光色素内包ナノ粒子について上記のようにして粒子サイズ(粒径)を測定した後、平均粒径はその算術平均として算出され、変動係数は式:100×粒径の標準偏差/平均粒径により算出される。このような平均粒径の測定方法は、コア/硬化シェル型粒子(2)および硬化コア/シェル型粒子(3)についても同様である。
[コア/硬化シェル型粒子(2)]
本発明のコア/硬化シェル型粒子(2)は、上記コア粒子の表面に、蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂を被覆してシェル層を形成し、該コア/シェル粒子に、1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより得られる。
熱硬化性樹脂には、例えば、メラミン樹脂、ポリウレア、ポリベンゾグアナミン及びフェノール樹脂等が挙げられる。このうち、安定的に蛍光色素を内包できるという観点から、例えば、メラミン樹脂、ポリウレア、ポリベンゾグアナミン及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましい。メラミン樹脂としては、例えば、水溶性メラミン樹脂「ニカラックMX−035」(日本カーバイド工業社製)が挙げられる。
なお、蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂を被覆するとは、熱硬化性樹脂に蛍光色素を添加又は反応させることなくそのまま被覆に用いることをいう。
加熱処理の温度及び時間についての詳細は、[硬化コア型粒子(1)]の項ですでに述べたとおりである。
コア/硬化シェル型粒子(2)の平均粒径は通常40〜500nm、好ましくは50〜200nmである。コア/硬化シェル型粒子(2)の平均粒径が500nmを超えると、染色性に課題がある場合があり、コア/硬化シェル型粒子(2)の平均粒径が40nm未満であると、視認性に問題が生じる場合がある。上記コア/硬化シェル型粒子(2)の平均粒径の測定方法は、[硬化コア型粒子(1)]の項ですでに述べたとおりである。
シェル層の厚みは、10〜100nmであるのが好ましく、20〜40nmであるのがより好ましい。コア/硬化シェル型粒子の作製に用いられるコア粒子の平均粒径と、最終的に得られたコア/硬化シェル型粒子の平均粒径の差を、シェル層の厚みとみなすことができる。
[硬化コア/シェル型粒子(3)]
本発明の硬化コア/シェル型粒子(3)は、上記コア粒子に、1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施した後、得られた硬化コア粒子の表面を、蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂を被覆してシェル層を形成したものである。
上記樹脂は、[コア/硬化シェル型粒子(2)]の項で記載したとおりである。
加熱処理の温度及び時間についての詳細は、[硬化コア型粒子(1)]の項ですでに述べたとおりである。
硬化コア/シェル型粒子(3)の平均粒径は、[コア/硬化シェル型粒子(2)]と同様に、通常40〜500nm、好ましくは50〜200nmの粒子である。硬化コア/シェル型粒子(3)の平均粒径が500nmを超えると、染色性に課題ある場合があり、硬化コア/シェル型粒子(3)の平均粒径が40nm未満であると、視認性に課題ある場合がある。上記硬化コア/シェル型粒子(3)の平均粒径の測定方法は、[硬化コア型粒子(1)]の項ですでに述べたとおりである。
シェル層の厚みは、10〜100nmであるのが好ましく、20〜40nmであるのがより好ましい。シェル層の厚みの測定方法は、[コア/硬化シェル型粒子(2)]の項ですでに述べたとおりである。
[蛍光色素内包ナノ粒子]
本発明の蛍光色素内包ナノ粒子の蛍光強度は、上記の加熱処理が施されていないコア粒子、又はコア粒子及びシェル層ともに上記加熱処理が施されていないコア/シェル粒子の蛍光強度の70%以上であり、かつ、本発明の蛍光色素内包ナノ粒子を有機溶媒中に10分間浸漬した後の蛍光強度は、有機溶媒に浸漬する前の蛍光強度の70%以上であることが好ましい。
前者の蛍光強度は、本発明の蛍光色素内包ナノ粒子と、上記加熱処理が施されていないコア粒子、又はコア粒子及びシェル層ともに上記加熱処理が施されていないコア/シェル粒子と、のそれぞれについて、後述するような方法で評価スライドを作製し、蛍光顕微鏡によって蛍光画像を取得し(励起波長575〜600nm、蛍光波長612〜682nm)、それぞれの蛍光像を目視で評価し、両者の蛍光強度を比較することにより求める。
後者の蛍光強度は、本発明の蛍光色素内包ナノ粒子をエタノール又はキシレン中に分散させた分散液について、まず蛍光強度を測定し、それから、該分散液を10分間攪拌した後、遠心分離し、上澄みを除去し、蛍光色素内包ナノ粒子をエタノール又はキシレン中に再び分散し、遠心分離前と同一の濃度に再調整して、蛍光強度を再び測定し、両者の蛍光強度を比較することにより求める。
本発明では、コア粒子又はコア/シェル粒子を1〜10分間100℃以上という条件下に保持することにより、加熱処理により熱硬化性樹脂や蛍光色素を損傷させることなく、熱硬化性樹脂の付加縮合反応を完全に進行させることができる。これにより、熱硬化性樹脂内で分子が緊密に結合し、該熱硬化性樹脂の三次元構造に蛍光色素が強固に取り込まれ、評価スライド作製時にエタノールやキシレン等の有機溶媒や有機系封止剤と接触させても、組織切片上に載置した蛍光色素内包ナノ粒子から熱硬化性樹脂や蛍光色素が溶け出すことなく、輝点の位置や蛍光強度を良好に維持することができる。
[蛍光標識剤]
本発明の蛍光標識剤は、上記蛍光色素内包ナノ粒子と、それに結合した生体物質認識部位とを有する。
特定の抗原に対して免疫染色を行う際には、蛍光色素内包ナノ粒子と一次抗体とを連結させた標識体(コンジュゲート)を作製し、抗原に直接結合させる方法(一次抗体法);蛍光色素内包ナノ粒子と二次抗体とを連結させた標識体を作製し、抗原に結合した一次抗体に結合させる方法(二次抗体法);蛍光色素内包ナノ粒子と、アビジン又はストレプトアビジンとを連結させた標識体を作製し、抗原に結合したビオチン修飾一次抗体が有するビオチン又は一次抗体に結合したビオチン修飾二次抗体が有するビオチンに結合させる方法、あるいはこれらの結合様式におけるビオチンとアビジン又はストレプトアビジンとを入れ替えた方法(ビオチン−アビジン法)等がある。
本発明の蛍光色素内包ナノ粒子は、これらの方法に基づき、上記のような生体物質認識部位と連結させた蛍光標識剤の形態にして用いられる。
ここで、本発明の蛍光色素内包ナノ粒子は、標識体化していない状態で分散液として保存しておき、免疫染色を行う直前にその蛍光色素内包ナノ粒子と標識体化のための試薬とを反応させて標識体化して、病理染色液を調製するようにしてもよいが、免疫染色を行う際に直ちに使用できるよう、あらかじめ標識体化した状態で分散液として保存しておくことが好ましい。この場合、病理染色液の用途(免疫染色の対象とする抗原)が限定されない汎用的なものとなるよう、蛍光色素内包ナノ粒子は、アビジン又はストレプトアビジンが連結して複合体化されていることが好ましい。
なお、免疫染色に用いる一次抗体は如何なるものでも構わず、免疫染色を行いたい対象によって変わる。例えば、Ki67(細胞周期関連核タンパク質)を抗原とする免疫染色を行う場合には、抗Ki67抗体を用いる。また、二次抗体は如何なるものを用いても構わず、一次抗体によって変わる。二次抗体には、例えば、抗マウス・ラビット・牛・ヤギ・羊・犬・チキン抗体等がある。
蛍光色素内包ナノ粒子と抗体やビオチンの結合は既存の如何なる方法を用いても構わない。例えば、アミンとカルボン酸の反応によるアミド化、マレイミドとチオールの反応によるスルフィド化、アルデヒドとアミンの反応によるイミン化、エポキシとアミンの反応によるアミノ化等を用いることができる。
免疫染色の対象となりうる抗原には、前述したKi67以外にも、HER−2、HER−3、HER−4(Human Epidermal Growth Factor Receptor(ヒト上皮成長因子受容体))、EGFR(Epidermal Growth Factor Receptor(上皮成長因子受容体))、PDGFR(Platelet-Derived Growth Factor(血小板由来増殖因子受容体))、VEGRR(Vascular Endothelial Growth Factor Receptor(血管内皮細胞増殖因子受容体))、NGFR(Nerve Growth Factor Receptor(神経成長因子受容体))、FGFR(Fibroblast Growth Factor Receptor(繊維芽細胞増殖因子受容体))、IR(Insulin Receptor(インスリン受容体))、ER(Estrogen Receptor(エストロゲン受容体)、PgR(Progesterone Receptor(プロゲステロン受容体))、c−Met(肝細胞増殖因子受容体)、TNF−α(Tumor Necrosis Factor(腫瘍壊死因子))受容体、IL−6(Interleukin(インターロイキン))受容体等の炎症性サイトカイン受容体;ALK(Anaplastic lymphoma kinase(未分化リンパ腫キナーゼ))等の受容体関連物質;
CD31(PECAM−1)(Platelet Endothelial Cell Adhesion Molecule-1(血小板内皮細胞接着分子1));CD34(Endothelial cell marker(内皮細胞マーカー))、GPC3(Glypican(グリピカン)3)等の細胞表面マーカー関連物質;
p53遺伝子、c-kit(CD117前がん遺伝子)等のがん遺伝子関連物質;
RSVFタンパク質B型肝炎ウイルス表面抗原、B型肝炎ウイルスコア抗原、C型肝炎ウイルスNS3(Non-structural protein(非構造タンパク質)3)等のウイルス関連物質;
CK7(Cytokeratin(サイトケラチン))、Actin(アクチン)等の細胞骨格関連物質等が挙げられる。
[蛍光免疫染色方法]
本発明の蛍光免疫染色方法は、有機溶媒で処理された組織切片を上記蛍光標識剤を用いて免疫染色処理する工程、及び/又は上記蛍光標識剤で免疫染色処理された組織切片を有機溶媒で処理する工程を含む。具体的には、本発明の蛍光免疫染色方法は、アミノシランコートを施した基材ガラス(以下「アミノシランコートスライドガラス」という。)に組織切片を載せ、脱パラフィン処理及び賦活化処理の工程を行った後、ブロッキング剤を添加する工程(I)と、該組織切片上に上記病理染色液を添加し、組織切片中の抗原に対して抗体を反応させ、免疫染色する工程(II)とからなる。
工程(I)で用いられるアミノシランコートスライドガラスは、例えば、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン又はアミノプロピルメチルジメトキシシラン等をスライドガラスにコートすることにより作製することができる。また、S08110(松浪硝子工業社製 APS(アミノシラン)コートスライドグラス)及びシラン1106(武藤化学社製 剥離防止剤コートスライド)等の市販品を使用してもよい。
脱パラフィン処理では、ガラス容器等に入れた十分な量の脱パラフィン剤に、組織切片を貼り付けたアミノシランコートスライドガラスを室温で3〜30分程度浸漬し、組織切片全体が浸かるようにして、パラフィンを溶かし出して組織切片から除去する。必要により、浸漬途中で脱パラフィン剤を清浄なものに入れ替えて、或いは脱パラフィン剤を容器ごと替えて、浸漬を複数回繰り返してもよい。脱パラフィン剤には、通常、キシレンが用いられる。次いで、アミノシランコートスライドガラスに固定した組織切片をエタノール中に浸漬させて、脱パラフィン剤を除去する。さらに、エタノールに浸漬した後の組織切片を水中に浸漬させて、エタノールを除去する。
賦活化処理とは、賦活液として、例えば、0.01M(モル濃度mol/L、以下同じ)クエン酸緩衝液(pH6.0)、1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)溶液(pH8.0)、5%尿素、又は0.1Mトリス塩酸緩衝液等を用いて、検出対象である生体物質の賦活化処理を行うことをいう。加熱機器としては、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、又はウォーターバス等が用いられる。温度は室温〜130℃、時間は5〜30分で行うことができる。次いで、PBSを入れた容器に、賦活処理後の組織切片はPBSで洗浄する。
上記ブロッキング剤には、正常血清、ウサギ血清、ヤギ血清及びラット血清等の動物血清、ウシ血清アルブミン、人工合成ポリマー、ゼラチン並びにカゼイン等の既存のものが特に制限なく用いられる。このうち、動物血清及びウシ血清アルブミン等が好ましく、動物血清がより好ましい。
ブロッキング剤の添加は、アミノシランコートスライドガラスに固定した組織切片に対して添加することにより行う。組織切片へのブロッキング剤の適当な添加量は、組織切片を覆うことができる程度の量であればよく、通常30〜800μL、好ましくは50〜300μLである。
組織切片には、例えば、癌等の非自己物質を含む病理切片が用いられる。具体的には、乳がんや肝臓がん等の組織を1〜20μm程度の厚さにスライスしたものが用いられる。例えば、肝臓がん組織スライド(US Biomax社製T031)等の市販品を使用してもよい。この肝臓がん組織スライドは、肝臓がんのサンプルとして一般的に使用されるものである。
工程(II)は免疫染色工程である。すなわち、例えば、PBSで5倍程度に希釈した病理染色液を組織切片上に添加して、検出の対象とする組織を染色し、次いで、封入剤を添加した後、カバーガラスを載せて、評価スライドとする。
なお、上記の免疫染色は、組織染色に限定されるものではなく、細胞染色に適用することも可能である。また、検出の対象とする病理組織物質は、蛍光標識体と特異的に結合する物質が存在するものであれば特に限定されるものではない。典型的には、上記のように抗原及び抗体の組み合わせが用いられるが、例えば、核酸分子(オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド)及びそれに相補的に結合しうる配列を有する核酸分子の組み合わせを用いることも可能である。
免疫染色をした組織切片は、有機溶媒により脱水及び透徹した後、封入剤で封入する。具体的には、脱水及び透徹は、染色した組織切片をPBS(リン酸緩衝液生理的食塩水)等の水系洗浄液で洗浄後、エタノールによる脱水及びキシレン置換により行う。エタノールによる脱水は、エタノールに水を混合する割合を、例えば、50%、30%、10%、0%というように水含有率を下げたエタノールに、組織切片を順次漬けていき、エタノールに置換することにより行う。エタノール置換した組織切片をキシレンに漬けることで、キシレン置換が行われ、組織切片が透徹される。キシレン置換した組織切片に封入剤を載せ、カバーガラス等を載せることで封入が行われる。
封入剤には有機系封入剤が好ましく、例えば、コスモバイオ社製マウントクイック等の他、メルク社製エンテランニュー等の市販品が挙げられる。
蛍光観察
上記工程(I)及び(II)により作製した評価スライドに、蛍光色素内包ナノ粒子が内包する蛍光色素に応じた所定の波長を有する励起光(例えば、励起波長575〜600nm、蛍光波長612〜682nm)を照射することにより、その蛍光色素内包ナノ粒子が発する蛍光を観察する。これにより、その組織切片内の特定の生体分子を検出することができる。
励起光の照射には、一般的な蛍光観察と同様の照射手段を用いればよく、例えば、蛍光顕微鏡が備えるレーザー光源から、必要に応じて所定の波長を選択的に透過させるフィルターを用いて、適切な波長及び出力の励起光を染色された組織切片に照射すればよい。
蛍光の観察は、蛍光顕微鏡の鏡筒から行ってもよいし、蛍光顕微鏡に設置されたカメラが撮影した画像を別途、モニタ等の表示手段に表示して行ってもよい。また、必要に応じて所定の波長を選択的に透過させるフィルターを用いてもよい。
具体的には、アミノシランコートスライドガラスに載せた組織切片内に存在する輝点数を計測する。観察視野全体の核の面積及び核に存在する輝点数を計測し、単位面積当たりの輝点数(個/μm2)を算出し、3視野における平均値を求めることで、シグナルとして算出する。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[調製例1]コア粒子の調製(工程i)
スルホローダミン101(シグマアルドリッチ社製)2.5mgを水22.5mLに加えた後、ホットスターラーを使って70℃で20分間加熱した。ここに、ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製、メラミン樹脂)1.5gを加え、さらに5分間加熱攪拌した。さらにギ酸100μLを加え、60℃で20分間加熱攪拌した後、室温下に放冷した。放冷後、反応混合物を遠心用チューブに入れて遠心分離機で12000rpmで20分間、遠心分離し、上澄みを除去し、沈殿物を1mLの純水中に再分散し、樹脂粒子の分散液を得た。
[実施例1]
硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子の調製(工程(ii))
調製例1で得られた分散液を、オートクレーブに入れて、10℃/分の昇温速度で昇温させ、100℃の温度を10分間保持した後、10℃/分の降温速度で降温させて硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子を得た。
表面修飾(工程(vii))
得られた硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子0.1mgをエタノール1.5mL中に分散し、アミノプロピルトリエトキシシランLS-3150(信越化学工業社製)2μLを加えて8時間反応させて表面アミノ化処理した。
さらに、ここに、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を2mM含有したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加して、濃度が3nMとなるように調整し、この溶液に最終濃度が10mMとなるようにSM(PEG)12(サーモサイエンティフィック社製、スクシンイミジル‐[(N−マレオミドプロピオンアミド)‐ドデカエチレングリコール]エステル)を混合し、1時間反応させた。この混合液を10,000Gで20分間遠心分離し、上澄みを除去した後、EDTAを2mM含有したPBSを加え、沈殿物を分散させ、再度遠心分離した。同様の手順による洗浄を3回行い、末端にマレイミド基が付いた蛍光色素内包ナノ粒子を得た。
一方、ストレプトアビジン(和光純薬社製)をN−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA)を用いてチオール基付加処理を行った後、ゲルろ過カラムによるろ過を行い、蛍光色素内包ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジン溶液を得た。
上記の末端にマレイミド基が付いた蛍光色素内包ナノ粒子とストレプトアビジンとを、EDTAを2mM含有したPBS中で混合し、1時間反応させた。10mMメルカプトエタノールを添加し、反応を停止させた。得られた溶液を遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲルろ過カラムを用いて未反応ストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を得た。
[実施例2]
実施例1の工程(ii)において、オートクレーブ内で、100℃の温度で10分間保持する代わりに、110℃の温度で1分間保持したこと以外は、実施例1と同様にしてストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
[実施例3]
実施例1の工程(ii)において、オートクレーブ内で、100℃の温度で10分間保持する代わりに、110℃の温度で3分間保持したこと以外は、実施例1と同様にしてストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
[実施例4]
実施例1の工程(ii)において、オートクレーブ内で、100℃の温度で10分間保持する代わりに、110℃の温度で7分間保持したこと以外は、実施例1と同様にしてストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
[実施例5]
実施例1の工程(ii)において、オートクレーブ内で、100℃の温度で10分間保持する代わりに、110℃の温度で10分間保持したこと以外は、実施例1と同様にしてストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
[実施例6]
実施例1の工程(ii)において、オートクレーブ内で、100℃の温度で10分間保持する代わりに、205℃の温度で10分間保持したこと以外は、実施例1と同様にしてストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
[実施例7]
調製例1において、ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製、メラミン樹脂)の代わりに、尿素樹脂を用いたこと以外は、調製例1と同様にして分散液を得た。尿素樹脂原料0.80gを使用した以外は、実施例1と同様に色素樹脂粒子の製造等を行った。本尿素樹脂は、骨格自体にアミノ基を多く含有することで樹脂がプラス電荷となった。なお、尿素樹脂原料は既存の方法により作製した、メチロール化度が40〜70%の尿素であった。
実施例1の工程(ii)において、調製例1で得られた分散液の代わりに、前記分散液を用いたことと、オートクレーブ内で、100℃の温度で10分間保持する代わりに、110℃の温度で10分間保持することに変更した以外は、実施例1と同様にしてストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
[比較例1]
調製例1において、反応混合物を遠心分離し、上澄みを除去した後、沈殿物を純水中に再分散する操作を行わなかったこと以外は、調製例1と同様にして樹脂粒子を得た。
実施例1の工程(ii)において、工程(ii)を行わなかったことと、工程(vii)において、硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子の代わりに、前記樹脂粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
[比較例2]
実施例1の工程(ii)において、オートクレーブ内で、100℃の温度で10分間保持する代わりに、95℃に昇温した後、該温度を保持せずにすぐに降温したこと以外は、実施例1と同様にしてストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
[比較例3]
実施例1の工程(ii)において、オートクレーブ内で、100℃の温度で10分間保持する代わりに、110℃の温度で12分間保持したこと以外は、実施例1と同様にしてストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
[実施例8]
実施例1の工程(ii)において、オートクレーブ内で、100℃の温度で10分間保持する代わりに、135℃の温度で10分間保持することに変更した以外は、実施例1と同様にしてストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
[実施例9]
実施例1の工程(ii)において、オートクレーブ内で、100℃の温度で10分間保持する代わりに、150℃の温度で10分間保持することに変更した以外は、実施例1と同様にしてストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
[実施例10]
コア/シェル粒子の形成(工程iii)
調製例1で得られた分散液1mLを水15mLに添加し、ホットスターラー上で70℃で20分間加熱し、ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製、メラミン樹脂)0.3gを加え、さらに5分間加熱攪拌した。ギ酸10μLを加え、70℃で5分間加熱攪拌した後、温度を60℃に調整し、再びギ酸10μLを添加した。60℃で20分間加熱攪拌した後、室温で放冷した。冷却後、反応混合物を遠心用チューブに入れて遠心分離機に12000rpmで20分間かけ、上澄みを除去した。得られた沈殿物を1mLの純水中に再分散し、コア/シェル粒子(コア/シェル型の樹脂粒子)(シェルの厚み:5nm)の分散液を得た。
コア/硬化シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子の調製(工程(iv))
実施例1の工程(ii)において、調製例1で得られた分散液の代わりに、工程(iii)で得られた分散液を用いたことと、オートクレーブ内で、100℃の温度で10分間保持する代わりに、135℃の温度で10分間保持することに変更した以外は、実施例1の工程(ii)と同様にして、コア/硬化シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子を得た。
表面修飾(工程(vii))
実施例1の工程(vii)において、硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子の代わりに、上記工程(iv)で得られたコア/硬化シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子を用いたこと以外は、実施例1の工程(vii)と同様にして、ストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を得た。
[実施例11]
硬化コア粒子の形成(工程(v))
調製例1及び実施例1の工程(ii)に従って、硬化コア粒子を得た。
硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子の調製(工程(vi))
実施例10の工程(iii)において、調製例1で得られた分散液1mLの代わりに、上記工程(v)で得られた硬化コア粒子を1mL純水中に分散させた分散液を用いたこと以外は、実施例10の工程(iii)と同様にして、硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子を得た。
表面修飾(工程(vii))
実施例1の工程(vii)において、硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子の代わりに、工程(vi)で得られた硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子を用いたこと以外は、実施例1の工程(vii)と同様にして、ストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を得た。
[実施例12]
実施例10の工程(iii)において、シェルの厚みが5nmではなく、15nmのコア/シェル粒子の分散液を得たこと以外は、実施例10と同様にして、ストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を得た。
[実施例13]
実施例10の工程(iii)において、シェルの厚みが5nmではなく、110nmのコア/シェル粒子の分散液を得たこと以外は、実施例10と同様にして、ストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を得た。
[評価スライドの作製]
アミノシランコートスライドガラス(S08110(松浪硝子工業社製 APS(アミノシラン)コートスライドグラス))に固定された肝臓がん組織スライド(US Biomax社製T031)をキシレンに浸漬し、パラフィンを除去後、クエン酸緩衝液(pH6.0)中15分間、オートクレーブ処理した。PBSを用いて洗浄後、10%ウサギ血清(ニチレイ社製)を添加し、室温下1時間放置した。PBSで洗浄後、抗Ki67抗体(ダコ社製)を添加し、室温下30分間放置した。PBSで洗浄後、ビオチン標識抗マウス抗体(ニチレイ社製)を添加し、室温下で30分間放置した。実施例1〜13及び比較例1〜3で調製したナノ粒子を添加し、室温下2時間反応させた後、PBSで洗浄を行った。エタノール、キシレンの順にスライドを浸漬させ、次いで有機系封入剤(メルク社エンテランニュー)を添加した後、カバーガラスを載せ、評価スライドを作製した。
[参考例1]
ストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子(加熱処理なし)の調製及び評価スライドの作製
スルホローダミン101(シグマアルドリッチ社製)2.5mgを水22.5mLに加えた後、ホットスターラーを使って70℃で20分間加熱した。ここに、ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製、メラミン樹脂)1.5gを加え、さらに5分間加熱攪拌した。さらにギ酸100μLを加え、60℃で20分間加熱攪拌した後、室温下に放冷した。放冷後、反応混合物を遠心用チューブに入れて遠心分離機で12000rpmで20分間、遠心分離し、上澄みを除去して樹脂粒子を得た。
上記樹脂粒子を用いて、実施例1の工程(vii)と同様にして、コア/シェル型のストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を調製した。
上記ストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子を用いて、[評価スライドの作製]の項と同様にして、評価スライドを作製した。
[評価方法]
評価法1(蛍光強度判定):参考例1で作製した評価スライドと、実施例1〜13及び比較例1〜3で作製した評価スライドとについて、カールツァイス社製正立型蛍光顕微鏡Axio Imager 2を用いて蛍光画像を取得し、それぞれの蛍光像を目視で評価した。励起波長575〜600nm、蛍光波長612〜682nmとした。
加熱処理を施した実施例1〜13及び比較例2〜3の評価スライドの蛍光強度が、加熱処理を施していない比較例1(コア粒子)又は参考例1(コア/シェル粒子)の評価スライドの蛍光強度の90%以上である場合を◎とし、80%以上90%未満である場合を○とし、70%以上80%未満である場合を△とし、70%未満である場合を×とした。
評価法2(有機溶媒耐性判定):ストレプトアビジン結合テキサスレッド色素内包メラミンナノ粒子をエタノール又はキシレン中に分散させた分散液の蛍光強度を測定した。その後、上記分散液を10分間攪拌した後、遠心分離し、上澄みを除去し、粒子をエタノール又はキシレン中に再分散し、遠心分離前と同一の濃度に再調整して、蛍光強度を再び測定した。
遠心分離後に測定した蛍光強度が、遠心分離前に測定した蛍光強度の90%以上である場合を◎とし、80%以上90%未満である場合を○とし、70%以上80%未満である場合を△とし、70%未満である場合を×とした。
[評価結果]
加熱処理を施していない比較例1、及び加熱処理が不十分な比較例2では、エタノール又はキシレンに浸漬させた後の蛍光強度が、浸漬前と比べて小さくなっており、有機溶媒耐性に劣ることがわかる。
加熱処理の時間の長い比較例3では、加熱処理後の蛍光強度が、加熱処理前と比べて小さくなっていることから、加熱処理を長く行ったことにより、蛍光色素が損傷したことが示唆される。

Claims (18)

  1. 熱硬化性樹脂中に蛍光色素を内包したコア粒子に、1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより得られる、硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子。
  2. 熱硬化性樹脂中に蛍光色素を内包したコア粒子と、該コア粒子を被覆する蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂で形成されたシェル層とを有するコア/シェル粒子に、1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより得られる、コア/硬化シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子。
  3. 熱硬化性樹脂中に蛍光物質を内包したコア粒子に、1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施すことにより得られた硬化コア粒子と、該硬化コア粒子を被覆する蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂で形成されたシェル層とを有する、硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子。
  4. 前記加熱処理の温度が100〜200℃である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
  5. 前記加熱処理の温度が110〜150℃である、請求項4に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
  6. 前記シェル層の厚みが10〜100nmである、請求項2又は3に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
  7. 前記コア粒子の熱硬化性樹脂及び/又は前記シェル層の熱硬化性樹脂がメラミン樹脂又は尿素樹脂である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
  8. 蛍光強度が、前記加熱処理が施されていない前記コア粒子、又はコア粒子及びシェル層ともに前記加熱処理が施されていない前記コア/シェル粒子の蛍光強度の70%以上であり、かつ、
    有機溶媒に10分間浸漬した後の蛍光強度が、有機溶媒に浸漬する前の蛍光強度の70%以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
  9. 前記有機溶媒がエタノール又はキシレンである、請求項8に記載の蛍光色素内包ナノ粒子。
  10. 熱硬化性樹脂と蛍光色素とを接触させてコア粒子を得る工程(i)と、
    該コア粒子に1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施して、硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子を得る工程(ii)とを含む、硬化コア型の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
  11. 熱硬化性樹脂と蛍光色素とを接触させてコア粒子を得る工程(i)と、
    該コア粒子と蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂とを接触させて、表面が該熱硬化性樹脂で形成されたシェル層で被覆されたコア/シェル粒子を得る工程(iii)と、
    該コア/シェル粒子に1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施して、コア/硬化シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子を得る工程(iv)とを含む、コア/硬化シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
  12. 熱硬化性樹脂と蛍光色素とを接触させてコア粒子を得る工程(i)と、
    該コア粒子に1〜10分間100℃以上の温度に保持する加熱処理を施して硬化コア粒子を得る工程(v)と、
    該硬化コア粒子と蛍光色素を含有しない熱硬化性樹脂とを接触させて、表面が該熱硬化性樹脂で形成されたシェル層で被覆された硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子を得る工程(vi)とを含む、硬化コア/シェル型の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
  13. 前記加熱処理の温度が100〜200℃である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
  14. 前記加熱処理の温度が110〜150℃である、請求項13に記載の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
  15. 前記シェル層の厚みが10〜100nmである、請求項11又は12に記載の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
  16. 前記コア粒子の熱硬化性樹脂及び/又は前記シェル層の熱可塑性樹脂がメラミン樹脂又は尿素樹脂である、請求項10〜15のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法。
  17. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の蛍光色素内包ナノ粒子と、それに結合した生体物質認識部位とを有する、蛍光標識剤。
  18. 有機溶媒で処理された組織切片を請求項17に記載の蛍光標識剤を用いて免疫染色処理する工程、及び/又は請求項17に記載の蛍光標識剤で免疫染色処理された組織切片を有機溶媒で処理する工程を含む、蛍光免疫染色方法。
JP2013251897A 2013-12-05 2013-12-05 蛍光色素内包ナノ粒子、蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法、蛍光標識剤、及び蛍光免疫染色方法 Active JP6241239B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013251897A JP6241239B2 (ja) 2013-12-05 2013-12-05 蛍光色素内包ナノ粒子、蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法、蛍光標識剤、及び蛍光免疫染色方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013251897A JP6241239B2 (ja) 2013-12-05 2013-12-05 蛍光色素内包ナノ粒子、蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法、蛍光標識剤、及び蛍光免疫染色方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015108572A true JP2015108572A (ja) 2015-06-11
JP6241239B2 JP6241239B2 (ja) 2017-12-06

Family

ID=53439022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013251897A Active JP6241239B2 (ja) 2013-12-05 2013-12-05 蛍光色素内包ナノ粒子、蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法、蛍光標識剤、及び蛍光免疫染色方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6241239B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017022559A1 (ja) * 2015-08-05 2017-02-09 コニカミノルタ株式会社 環境応答性色素集積ナノ粒子および細胞内環境分析方法
EP3281987A1 (en) 2016-08-09 2018-02-14 Konica Minolta, Inc. Core/shell-type fluorescent dye-containing nanoparticle and production method of the same
WO2018151072A1 (ja) * 2017-02-14 2018-08-23 コニカミノルタ株式会社 アミノクマリン化合物およびアミノクマリン化合物内包樹脂粒子
JPWO2017104476A1 (ja) * 2015-12-18 2018-10-04 コニカミノルタ株式会社 蛍光物質集積ナノ粒子およびそれを用いた標識剤
JPWO2017109828A1 (ja) * 2015-12-21 2018-10-04 コニカミノルタ株式会社 色素含有熱硬化性樹脂粒子の製造方法
CN114316088A (zh) * 2021-12-22 2022-04-12 中国水产科学研究院黄海水产研究所 亲和树脂、制备方法及其在分离纯化藻蓝蛋白中的应用
WO2022234721A1 (ja) * 2021-05-07 2022-11-10 コニカミノルタ株式会社 蛍光色素含有ナノ粒子及びその製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004189900A (ja) * 2002-12-11 2004-07-08 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd 被覆型蛍光微粒子、その水分散液およびその製造方法
JP2008543982A (ja) * 2005-05-10 2008-12-04 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング ナノスケール蛍光メラミン粒子
US20090197291A1 (en) * 2005-10-27 2009-08-06 Yuri Volkov Assays Using Nanoparticles
JP2010248475A (ja) * 2009-03-24 2010-11-04 Nippon Shokubai Co Ltd アミノ樹脂架橋粒子およびその製造方法
JP2010248479A (ja) * 2009-03-25 2010-11-04 Toray Ind Inc 炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、炭素繊維強化複合材料および電子電気部品筐体
WO2013146694A1 (ja) * 2012-03-28 2013-10-03 コニカミノルタ株式会社 生体物質の検出方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004189900A (ja) * 2002-12-11 2004-07-08 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd 被覆型蛍光微粒子、その水分散液およびその製造方法
JP2008543982A (ja) * 2005-05-10 2008-12-04 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング ナノスケール蛍光メラミン粒子
US20090197291A1 (en) * 2005-10-27 2009-08-06 Yuri Volkov Assays Using Nanoparticles
JP2010248475A (ja) * 2009-03-24 2010-11-04 Nippon Shokubai Co Ltd アミノ樹脂架橋粒子およびその製造方法
JP2010248479A (ja) * 2009-03-25 2010-11-04 Toray Ind Inc 炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、炭素繊維強化複合材料および電子電気部品筐体
WO2013146694A1 (ja) * 2012-03-28 2013-10-03 コニカミノルタ株式会社 生体物質の検出方法

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2017022559A1 (ja) * 2015-08-05 2018-05-31 コニカミノルタ株式会社 環境応答性色素集積ナノ粒子および細胞内環境分析方法
WO2017022559A1 (ja) * 2015-08-05 2017-02-09 コニカミノルタ株式会社 環境応答性色素集積ナノ粒子および細胞内環境分析方法
EP3392315A4 (en) * 2015-12-18 2019-04-24 Konica Minolta, Inc. NANOPARTICLES COMPRISING AN ACCUMULATED FLUORESCENT SUBSTANCE AND MARKING AGENT USING SAME
US10889720B2 (en) 2015-12-18 2021-01-12 Konica Minolta, Inc. Phosphor integrated dots nanoparticles and labeling agent using same
JPWO2017104476A1 (ja) * 2015-12-18 2018-10-04 コニカミノルタ株式会社 蛍光物質集積ナノ粒子およびそれを用いた標識剤
US11279872B2 (en) 2015-12-21 2022-03-22 Konica Minolta, Inc. Process for producing dye-containing thermosetting resin particles
JPWO2017109828A1 (ja) * 2015-12-21 2018-10-04 コニカミノルタ株式会社 色素含有熱硬化性樹脂粒子の製造方法
JP2018025433A (ja) * 2016-08-09 2018-02-15 コニカミノルタ株式会社 コアシェル型蛍光色素含有ナノ粒子およびその製造方法
EP3281987A1 (en) 2016-08-09 2018-02-14 Konica Minolta, Inc. Core/shell-type fluorescent dye-containing nanoparticle and production method of the same
US20180045732A1 (en) * 2016-08-09 2018-02-15 Konica Minolta, Inc. Core/shell-type fluorescent dye-containing nanoparticle and production method of the same
JPWO2018151072A1 (ja) * 2017-02-14 2019-12-12 コニカミノルタ株式会社 アミノクマリン化合物およびアミノクマリン化合物内包樹脂粒子
WO2018151072A1 (ja) * 2017-02-14 2018-08-23 コニカミノルタ株式会社 アミノクマリン化合物およびアミノクマリン化合物内包樹脂粒子
US11434376B2 (en) 2017-02-14 2022-09-06 Konica Minolta, Inc. Aminocoumarin compound, and aminocoumarin compound-containing resin particles
JP7151489B2 (ja) 2017-02-14 2022-10-12 コニカミノルタ株式会社 アミノクマリン化合物およびアミノクマリン化合物内包樹脂粒子
WO2022234721A1 (ja) * 2021-05-07 2022-11-10 コニカミノルタ株式会社 蛍光色素含有ナノ粒子及びその製造方法
CN114316088A (zh) * 2021-12-22 2022-04-12 中国水产科学研究院黄海水产研究所 亲和树脂、制备方法及其在分离纯化藻蓝蛋白中的应用
CN114316088B (zh) * 2021-12-22 2022-09-09 中国水产科学研究院黄海水产研究所 亲和树脂、制备方法及其在分离纯化藻蓝蛋白中的应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP6241239B2 (ja) 2017-12-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6241239B2 (ja) 蛍光色素内包ナノ粒子、蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法、蛍光標識剤、及び蛍光免疫染色方法
JP6112169B2 (ja) 生体物質検出用の蛍光標識体
JP6236881B2 (ja) 免疫染色方法、蛍光免疫染色用前処理液および免疫染色用キット
JP6593482B2 (ja) 組織染色用染色剤、組織染色用染色剤の製造方法および組織染色用染色剤を含む組織染色用キット
JP5974892B2 (ja) 生体物質検出方法
JP6536706B2 (ja) 蛍光標識用樹脂粒子
JP6107244B2 (ja) 蛍光色素標識用樹脂粒子及びその製造方法並びに該粒子を含む組織免疫染色用キット
JP6424826B2 (ja) 組織切片における生体物質の定量法
WO2016152244A1 (ja) 目的生体物質の検出方法および検出システム
JP6237194B2 (ja) 染色方法
WO2017014196A1 (ja) 目的生体物質の解析方法および解析システム
JP6187170B2 (ja) 蛍光色素内包樹脂粒子、該蛍光色素内包樹脂粒子を含む組織多重染色用蛍光色素内包樹脂粒子セット、及び該蛍光色素内包樹脂粒子を用いた組織多重染色法
JP6583011B2 (ja) 酸性水溶液を用いた免疫染色スライドの洗浄方法
JP6303313B2 (ja) 水分散液、病理染色液および自動染色装置用の試薬ボトル
JP6406253B2 (ja) 病理染色液
WO2017164355A1 (ja) 病理染色用粒子の製造方法、病理染色用粒子および洗浄方法
JP2017222877A (ja) 蛍光色素内包樹脂粒子および該蛍光色素内包樹脂粒子を含む組織多重染色用蛍光色素内包樹脂粒子セット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160627

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170516

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170718

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171010

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171023

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6241239

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150