JP6303313B2 - 水分散液、病理染色液および自動染色装置用の試薬ボトル - Google Patents

水分散液、病理染色液および自動染色装置用の試薬ボトル Download PDF

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Description

本発明は、病理診断に使用する標識体水分散液に関する。
医学的診断の一つとして、病理診断が行われている。病理医は人体から採取した組織片から病気を診断し、治療や手術の要不要を臨床医に伝える。患者の状態と病理診断によって、内科系医師は薬物治療方針を、外科系医師は手術を行うか否かを決定する。
病理診断では、免疫染色と呼ばれる、組織標本の分子情報を確認するために分子標的染色を施し、遺伝子やタンパク質の発現異常といった機能異常を診断する免疫観察が行われている。
免疫染色には、例えば、酵素を用いた色素染色(DAB染色等)が用いられる。DAB染色は、ジアミノベンジジン(DAB)を基質として発色させることができるペルオキシダーゼで修飾された抗体を用いて、観察対象となる抗原を当該発色により染色して観察することで抗原量を測るものである。
しかしながら、DAB染色のような酵素標識による染色は、染色濃度が温度・時間などの環境条件により大きく左右されるため、染色濃度から実際の抗原等の量を見積もることが難しいという問題がある。そのため、病理診断における免疫観察では、酵素標識による染色の代わりに、蛍光標識体を用いてその輝点を顕微鏡で観察する蛍光標識法が検討されている(特許文献1)。この蛍光標識法は、蛍光色素が修飾された抗体を用いて対象となる抗原を染色して観察することで抗原量を測るものであり、酵素標識による染色法に比べ、定量性能の高い方法である(非特許文献1)。
ところで、病理診断の現場では、病理医不足による需要格差やIT技術等による作業効率化への要望から、自動染色装置の利用が拡大している。自動染色装置を使って蛍光免疫染色を行う場合、病理染色液を自動染色装置の試薬ボトルに保存し、ここから生体組織上に直接吐出することになるが、病理染色液が分散系であるため、保存中に蛍光標識体の粒子が徐々に凝集又は沈降するため、吐出量や蛍光標識体の濃度が不安定となり、診断に支障をきたすという問題が散見されている。さらに、組織標本上で粒子が偏在するために、正確な輝点数を測定することが困難であった。
したがって、この蛍光免疫染色に用いる病理染色液として、安定した分散性を維持できるものが望まれている。対策のひとつに、病理染色液の粘度を上げることが考えられるが、吐出に過大な力が必要となること、また、吐出時に液切れが悪くなる等の問題がある。
特開2012−194013号公報
HER2-Targeted Therapy: Lessons learned and Future Directions, Rita Nahta and Francisco J. Esteva, Clin. Cancer Res., Nov. 2003; 9; 5078-5084
本発明は、病理染色液の調製に用いることができる、長時間保存した後においても標識体粒子が凝集又は沈降しない水分散液を提供することを課題とする。
本発明者は、水分散液の粘度が、標識体粒子の凝集又は沈降に影響を及ぼすことに着目し、水分散液にチキソトロピー性を持たせることにより、上記の問題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の事項からなる。
[1]微粒子状標識体と、チキソトロピー付与剤と、これら2成分を分散または溶解するための水系溶媒とを含有する水分散液。
[2]前記チキソトロピー付与剤が水溶性高分子である、[1]に記載の水分散液。
[3]前記水溶性高分子がカルボキシメチルセルロース塩である、[2]に記載の水分散液。
[4]B型粘度計を用いて、25℃及び60rpmの条件下で測定したみかけ粘度が10〜50mPa・sである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の水分散液。
[5]pH6〜8である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の水分散液。
[6]前記微粒子状標識体が微粒子状蛍光標識体である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の水分散液。
[7]前記微粒子状蛍光標識体が、蛍光ナノ粒子が標識体化されたものである、[6]に記載の水分散液。
[8]前記微粒子状標識体が、病理染色用の生体関連物質が複合体化されているものである、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の水分散液。
[9][8]に記載の水分散液を含有する病理染色液。
[10][8]に記載の病理染色液が充填された、自動染色装置用の試薬ボトル。
本発明によれば、水分散液にチキソトロピー付与剤を添加して保存時の粘性を高くすることにより、蛍光ナノ粒子のような標識体の沈降または凝集が抑制される病理染色液を調製することができる。標識体が病理染色液中で沈降または凝集せず安定的に分散することで、染色の際に個々の標識体が生体組織上の染色対象分子に偏在することがなく結合でき、輝点数の計測および染色対象分子数の評価を正確に行うことができるようになる。また、このような病理染色液は、使用時には吐出によるせん断力が加わるため粘性が下がり、生体組織上にむらなく載せることができる。
図1は、自動染色装置の試薬ボトルから生体組織上に病理染色液を吐出する様子を示す概略図である。従来技術では、病理染色液中で蛍光標識体の粒子が凝集又は沈降するため、吐出量が不安定となり、また、粒子が凝集又は沈降すると生体組織上での粒子の分布が不均一となるのに対し、本発明では、病理染色液の分散性が保たれるため、蛍光標識体を生体組織上に均一に載せることができる。 図2は、比較例1−1および実施例1−1で測定した、水分散液(病理染色液)を自動染色装置の試薬ボトルから、吐出量を150μLに設定して5回吐出したときの吐出量の変動(1回目の吐出量を基準としたときの、各回の吐出量の変化率[%])を示すグラフである。チキソトロピー付与剤を添加しなかった比較例1−1では吐出量が一定しないのに対し、チキソトロピー付与剤である寒天を添加した実施例1−1では水分散液が安定的に吐出されることが分かる。 図3は、比較例2−1および参考例2−1で測定した、APSコートスライドガラス上に水分散液(病理染色液)を吐出したときの輝度ヒストグラム(縦軸に輝点数、横軸に輝度)である。チキソトロピー付与剤を添加しなかった比較例2−1では、蛍光標識体粒子の凝集により、輝度ヒストグラムがブロードな分布を示すのに対し、チキソトロピー付与剤キサンタンガムを添加した参考例2−1では、水分散液中で蛍光標識体粒子の凝集が抑えられ、輝度ヒストグラムの分布が狭いことが分かる。 図4は、生体組織上で抗原に結合した蛍光標識体の輝点の様子を示す、蛍光顕微鏡での撮影画像である。
本発明の水分散液について以下に詳細に説明する。
[微粒子状標識体]
本発明で用いられる微粒子状標識体は、病理染色に使用することができるものであれば、既存の如何なるものでもよい。
微粒子状標識体としては、特定の波長の励起光を照射することにより蛍光を発することのできる微粒子状の蛍光標識体が、病理染色において一般的に用いられている。本発明の作用効果を考慮すれば、染色性に優れ、通常では凝集、沈降が起きやすいものの本発明によってそれを防止することができる微粒子状蛍光標識体、特に水系溶媒に分散する蛍光ナノ粒子を標識体化したものを用いることが好適である。
蛍光ナノ粒子は、水系溶媒に対する適切な分散性を有するよう、粒子を親水性の物質で形成するか、粒子表面に親水性の修飾基(たとえばPEG)を導入しておくことが好ましい。
上記蛍光ナノ粒子の平均粒径は通常5〜1000nm、好ましくは30〜200nmである。
上記蛍光ナノ粒子の平均粒径のばらつきを示す変動係数も特に限定されないが、小さい方が好ましく、通常20%以下であり、より好ましくは15%以下である。
本発明では、蛍光ナノ粒子の粒径を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し、蛍光ナノ粒子の断面積を計測し、その計測値に相当する円の面積としたときの直径(面積円相当径)とする。そして、蛍光ナノ粒子の平均粒径は、十分な数(例えば1000個)の蛍光ナノ粒子について上記のようにして直径(粒径)を測定した後、算術平均として算出される。
上記蛍光ナノ粒子の密度(g/cm3)は、通常1.0〜2.3g/cm3、好ましくは1.0〜1.6g/cm3である。密度は密度勾配遠心法により測定することができる。
上記蛍光ナノ粒子は、標識体化して用いることができるものであれば、既存の如何なるものでも構わない。例えば、本発明で用いる蛍光ナノ粒子は、次に述べる(A)無機蛍光ナノ粒子、(B)蛍光色素内包ナノ粒子、(C)蛍光ナノ粒子内包粒子のいずれであってもよい。
(A)無機蛍光ナノ粒子
無機蛍光ナノ粒子としては、半導体ナノ粒子及びその他の無機蛍光体からなるナノ粒子が挙げられる。
半導体には、例えば、II−VI族半導体であるZnSe、ZnTe、CdSe、CdTe、PbS、PbSe、PbTe等やII−VI族半導体であるAlAs、AlSb、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、InSb等を用いることができ、毒性の観点から、GaP、InPを好適に用いることができる。これらは単独で又は組み合わせて使用することができる。
その他の無機蛍光体は、例えば、母体にY23、YVO4、ZnO、ZnS等を用い、発光中心にEuやNd等を単独で又は組み合わせて使用することができる。
(B)蛍光色素内包ナノ粒子
蛍光色素内包ナノ粒子とは、有機物又は無機物でできた粒子(母体)中に複数の蛍光色素が内包された構造を有するナノサイズの粒子である。本発明で用いる蛍光色素内包ナノ粒子は、適切な蛍光色素及び粒子を形成する有機物又は無機物を原料として選択した上で、公知の方法により作製することができる。
粒子を形成する有機物又は無機物としては、例えば、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリアクリロニトリル、ポリグリシジルメタクリレート、メラミン樹脂、ポリウレア、ポリベンゾグアナミン、ポリフラン、ポリキシレン、フェノール樹脂、多糖、シリカ等、安定的に蛍光色素を内包できるものが挙げられる。メラミン樹脂としては、例えば、水溶性メラミン樹脂「ニカラックMX−035」(日本カーバイド工業社製)が挙げられる。
内包される蛍光色素は、例えば、ローダミン系色素分子、スクアリリウム系色素分子、シアニン系色素分子、芳香環系色素分子、オキサジン系色素分子、カルボピロニン系色素分子、ピロメセン系色素分子、等の中から選択することができる。あるいはAlexa Fluor(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、Cy(登録商標、GEヘルスケア社製)系色素分子、DY(登録商標、DYOMICS社製)系色素分子、HiLyte(登録商標、アナスペック社製)系色素分子、DyLight(登録商標、サーモサイエンティフィック社製)系色素分子、ATTO(登録商標、ATTO−TEC社製)系色素分子、MFP(登録商標、Mobitec社製)系色素分子等の中から選択することができる。なお、これら色素分子の総称は、化合物中の主要な構造(骨格)又は登録商標に基づき命名されており、それぞれに属する蛍光色素の範囲は当業者であれば過度の試行錯誤を要することなく適切に把握できるものである。
ローダミン系色素分子の具体例としては、5−カルボキシ−ローダミン、6−カルボキシ−ローダミン、5,6−ジカルボキシ−ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、テキサスレッド、スペクトラムレッド(Spectrum Red)、LD700パークロレート(LD700 PERCHLORATE)、などが挙げられる。
スクアリリウム系色素分子の具体例としては、SRfluor, 680−carboxylate、1,3−ビス[4−(ジメチルアミノ)−2−ヒドロキシフェニル]−2,4−ジヒドロキシシクロブテンジイリウムジヒドロキシド(1,3-bis[4-(dimethylamino)-2-hydroxyphenyl]-2,4-dihydroxycyclobutenediylium dihydroxide)、ビス、1,3−ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−2,4−ジヒドロキシシクロブテンジイリウムジヒドロキシド(bis, 1,3-bis[4-(dimethylamino)phenyl]-2,4-dihydroxycyclobutenediylium dihydroxide)ビス、2−(4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−(ジエチルイミニオ)−2−ヒドロキシシクロヘキサ−2,5−ジエニリデン)−3−オキソシクロブテ−1−エノレート(bis, 2-(4-(diethylamino)-2-hydroxyphenyl)-4-(4-(diethyliminio)-2-hydroxycyclohexa-2,5-dienylidene)-3-oxocyclobut-1-enolate)、2−(4−(ジブチルアミノ)−2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−(ジブチルイミニオ)−2−ヒドロキシシクロヘキサ−2,5−ジエニリデン)−3−オキソシクロブテ−1−エノレート(2-(4-(dibutylamino)-2-hydroxyphenyl)-4-(4-(dibutyliminio) -2-hydroxycyclohexa-2,5-dienylidene)-3-oxocyclobut-1-enolate)、2−(8−ヒドロキシ−1,1,7,7−テトラメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロピリド[3,2,1−ij]キノリン−9−イル)−4−(8−ヒドロキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,2,1−ij]キノリニウム−9(5H)−イリデン)−3−オキソシクロブテ−1−エノレート(2-(8-Hydroxy-1,1,7,7-tetramethyl-1,2,3,5,6,7-hexahydropyrido[3,2,1-ij]quinolin-9-yl)-4-(8-hydroxy-1,1,7,7-tetramethyl-2,3,6,7-tetrahydro-1H-pyrido[3,2,1-ij]quinolinium-9(5h)-ylidene)-3-oxocyclobut-1-enolate)、などが挙げられる。
シアニン系色素分子の具体例としては、1−ブチル−2−[5−(1−ブチル−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−2H−インドール−2−イリデン)−ペンタ−1,3−ジエニル]−3,3−ジメチル−3H−インドリウムヘキサフルオロホスフェート(1-butyl-2-[5-(1-butyl-1,3-dihydro-3,3-dimethyl-2H-indol-2-ylidene)-penta-1,3-dienyl]-3,3-dimethyl-3H-indolium hexafluorophosphate)、1−ブチル−2−[5−(1−ブチル−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−イリデン)−3−クロロペンタ−1,3−ジエニル]−3,3−ジメチル−3H−インドリウムヘキサフルオロホスフェート(1-butyl-2-[5-(1-butyl-3,3-dimethyl-1,3-dihydro-indol-2-ylidene)-3-chloropenta-1,3-dienyl]-3,3-dimethyl-3H-indolium hexafluorophosphate)、3−エチル−2−[5−(3−エチル−3H−ベンゾチオアゾール−2−イリデン)−ペンタ−1,3−ジエニル]−ベンゾチアゾール−3−イウム-アイオダイド(3 -ethyl-2-[5-(3-ethyl-3H-benzothiazol-2-ylidene)-penta-1,3-dienyl]-benzothiazol-3-ium iodide)、などが挙げられる。
芳香環系色素分子の具体例としては、N, N−ビス−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6,7,12−(4−tert−ブチルフェノキシ)−ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミド(N, N-bis-(2,6-diisopropylphenyl)-1,6,7,12-(4-tert-butylphenoxy)-perylen-3,4,9,10-tetracarboxylic acid diimide)、N,N'−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6,7,12−テトラフェノキシペリレン−3,4:9,10−テトラカルボキシジイミド(N,N'-bis(2,6-diisopropylphenyl)-1,6,7,12-tetraphenoxyperylene-3,4:9,10-tetracarboxdiimide)、N,N'−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボイミド)(N,N'-bis(2,6-diisopropylphenyl)perylene-3,4,9,10-bis(dicarbimide))、16N,N'−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミド(16N,N'-bis(2,6-dimethylphenyl)perylene-3,4,9,10-tetracarboxylic diimide)、4,4'−[(8,16−ジヒドロ−8,16−ジオキソジベンゾ[a,j]ペリレン−2,10−ジイル)ジオキシ]ジブチル酸(4,4'-[(8,16-dihydro-8,16-dioxodibenzo[a,j]perylene-2,10-diyl)dioxy]dibutyric acid)、2,10−ジヒドロキシ−ジベンゾ[a,j]ペリレン−8,16−ジオン(2,10-dihydroxy-dibenzo[a,j]perylene-8,16-dione)、2,10−ビス(3−アミノプロポキシ)ジベンゾ[a,j]ペリレン−8,16−ジオン(2,10-bis(3-aminopropoxy)dibenzo[a,j]perylene-8,16-dione)、 3,3'−[(8,16−ジヒドロ−8,16−ジオキソジベンゾ [a,j]ペリレン−2,10−ジイル)ジオキシ]ジプロピルアミン(3,3'-[(8,16-dihydro-8,16-dioxodibenzo[a,j]perylen-2,10-diyl)dioxy]dipropylamine])、17−ビス(オクチルオキシ)アントラ[9,1,2−cde−]ベンゾ[rst]ペンタフェン−5−10−ジオン(17-bis(octyloxy)anthra[9,1,2-cde-]benzo[rst]pentaphene-5-10-dione)、オクタデカン酸、 5,10−ジヒドロ−5,10−ジオキソアントラ [9,1,2−cde]ベンゾ[rst]ペンタフェン−16,17−ジイルエステル(octadecanoic acid, 5,10-dihydro-5,10-dioxoanthra[9,1,2-cde]benzo[rst]pentaphene-16,17-diyl ester)、ジヒドロキシジベンズアントロン(dihydroxydibenzanthrone)、ベンゼンスルホン酸,4,4',4'',4'''−[[2,9−ビス[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,3,8,10−テトラオキソアントラ [2,1,9−def:6,5,10−d'e'f']ジイソキノリン−5,6,12,13−テトライル]テトラキス(オキシ)]テトラキス−,ベンゼンエタンアミニウム(benzenesulfonic acid, 4,4',4'',4'''-[[2,9-bis[2,6-bis(1-methylethyl)phenyl]-1,2,3,8,9,10-hexahydro-1,3,8,10-tetraoxoanthra[2,1,9-def:6,5,10-d'e'f']diisoquinoline-5,6,12,13-tetrayl]tetrakis(oxy)]tetrakis-,benzeneethanaminium)、 4,4',4'',4'''−[[2,9−ビス[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−1,2,3,8,9,10−ヘキサヒドロ−1,3,8,10−テトラオキソアントラ [2,1,9−def:6,5,10−d’e'f’]ジイソキノリン−5,6,12,13−テトライル]テトラキス(オキシ)]テトラキス[N,N,N−トリメチル−](4,4',4'',4'''-[[2,9-bis[2,6-bis(1-methylethyl)phenyl]-1,2,3,8,9,10-hexahydro-1,3,8,10-tetraoxoanthra[2,1,9-def:6,5,10-d'e'f']diisoquinoline-5,6,12,13-tetrayl]tetrakis(oxy)]tetrakis[N,N,N-trimethyl-])、などが挙げられる。
オキサジン系色素分子の具体例としては、Cresyl violet、Oxazine 170、EVOblue30、Nile Blueなどが挙げられる。
カルボピロニン系色素分子の具体例としては、CARBOPYRONIN 149などが挙げられる。
ピロメセン系色素分子の具体例としては、PYRROMETHENE 650などが挙げられる。
Alexa Fluor系色素分子の具体例としては、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750など(以上、インビトロジェン社製)が挙げられる。
BODIPY系色素分子の具体例としては、BODIPY FL、BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上、インビトロジェン社製)などが挙げられる。
Cy系色素分子の具体例としては、Cy3.5、Cy5、Cy5.5(以上、GEヘルスケア社製)などが挙げられる。
DY系色素分子の具体例としては、DY-590、DY-610、DY-615、DY-630、DY-631、DY-632、DY-633、DY-634(以上、DYOMICS社製)、などが挙げられる。
HiLyte系色素分子の具体例としては、HiLyte Fluor 594、HiLyte Fluor TR(以上、アナスペック社製)などが挙げられる。
DyLight系色素分子の具体例としては、DyLight 594、DyLight 633(以上、サーモサイエンティフィック社製)などが挙げられる。
ATTO系色素分子の具体例としては、ATTO590、ATTO610、ATTO620、ATTO633、ATTO655など(以上、ATTO−TEC社製)が挙げられる。
MFP系色素分子の具体例としては、MFP590、MFP631(以上、Mobitec社製)などが挙げられる。
その他色素としては、C−フィコシアニン(C-phycocyanin)、フィコシアニン(phycocyanin)、APC(アロフィコシアニン(allo phycocyanin))、APC-XL、Northern Lights 637(R&D Systems社製)、等が挙げられる。
また、これらの誘導体(蛍光色素として機能しうるもの、例えば、公知の誘導体)を挙げることができる。
以上のような蛍光色素は、蛍光色素内包ナノ粒子中に、いずれか一種を単独で内包させるようにしても、複数種を混合して内包させるようにしてもよい。
例えば、ローダミン系色素分子、芳香環系色素分子などの蛍光色素は比較的耐光性が高いため好ましく、なかでも芳香環系色素分子に属するペリレン(perylene)、特にペリレンジイミド(perylene diimide)が好ましい。一方、比較的耐光性の低い蛍光色素であっても、適切な母体を選択することにより、本発明による所定の輝度保持率の条件を満たす蛍光色素内包ナノ粒子を作製できる可能性がある。
蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法は特に限定されるものではない。粒子原料であるモノマーに色素分子を結合させて粒子を合成する方法、粒子に色素を吸着させて導入する方法等、粒子への色素の導入には如何なる方法を用いても構わない。
ここで、モノマーとしては、所定の官能基を予め側鎖に有する(コ)モノマーを(共)重合させるか、上記有機物又は無機物粒子(母体)の作製後に、それを構成しているモノマー単位に結合した官能基を試薬処理して該所定の官能基に変換する方法が挙げられる。
具体的には、スチレンと共にグリシジルメタクリレートをモノマーとして用いて共重合させることにより、表面にエポキシ基を有するポリスチレン系樹脂粒子を製造する実施形態や、あるいは、スチレンと共にスチレンカルボン酸モノマーとして用いて共重合させることにより、表面にカルボン酸を有するスチレン系樹脂を製造する実施形態等が挙げられる。なお、グリシジルメタクリレートが有するエポキシ基は、アンモニアや2官能性の1級アミン等の所定の試薬処理により表面にアミノ基を導入することもできる。同様にカルボン酸も、2官能性の1級アミン等の所定の試薬処理により、表面にアミノ基を導入することもできる。
(C)無機蛍光ナノ粒子内包粒子
本発明に係る無機蛍光ナノ粒子内包粒子とは、有機物又は無機物でできた粒子(母体)に対し、上記(A)で説明した無機蛍光ナノ粒子が内包されてなるものである。無機蛍光ナノ粒子は、蛍光色素内包ナノ粒子中に、いずれか一種を単独で内包させるようにしても、複数種を混合して内包させるようにしてもよい。
蛍光色素内包ナノ粒子の製造方法は特に限定されるものではない。粒子原料である上記モノマーに無機蛍光ナノ粒子を結合させて粒子を合成する方法、粒子に無機蛍光ナノ粒子を吸着させて導入する方法等、粒子への無機蛍光ナノ粒子の導入は如何なる方法を用いても構わない。
・微粒子状標識体の調製
たとえば、蛍光ナノ粒子を利用して特定の抗原に対して免疫染色を行う際には、蛍光ナノ粒子と一次抗体とを連結させた標識体(コンジュゲート)を作製し、抗原に直接結合させる方法(一次抗体法);蛍光ナノ粒子と二次抗体とを連結させた標識体を作製し、抗原に結合した一次抗体に結合させる方法(二次抗体法);蛍光ナノ粒子とアビジン又はストレプトアビジンとを連結させた標識体を作製し、抗原に結合したビオチン修飾一次抗体が有するビオチン又は一次抗体に結合したビオチン修飾二次抗体が有するビオチンに結合させる方法、あるいはこれらの結合様式におけるビオチンとアビジン又はストレプトアビジンとを入れ替えた方法(ビオチン−アビジン法)などがある。
本発明における微粒子状標識体も、このような形態に準じて、蛍光ナノ粒子に代表される微粒子状の標識体に、病理染色用の生体関連物質を結合させて調製される。すなわち、本発明の水分散液は、粒子状標識体、好ましくは標識体化された蛍光ナノ粒子と、チキソトロピー付与剤と、これら2成分を分散または溶解するための水系溶媒とを含有するものとして規定される。本発明に係る水分散液は主として病理染色液の調製に用いられることから、上記生体関連物質は病理染色用の生体関連物質、すなわち、病理染色する対象物質に対応した一次抗体、二次抗体、アビジンもしくはストレプトアビジン、またはビオチン等とすることが好適である。この場合、病理染色液の用途(免疫染色の対象とする抗原)が限定されない汎用的なものとなるよう、微粒子状標識体は、アビジン又はストレプトアビジンが連結して複合体化されていることが好ましい。
免疫染色に用いる一次抗体は如何なるものでも構わず、免疫染色を行いたい対象によって変わる。例えば、Ki67を抗原とする免疫染色を行う場合には、抗Ki67抗体を用いる。また、二次抗体は如何なるものを用いても構わず、一次抗体によって変わる。例えば、抗マウス・ラビット・牛・ヤギ・羊・犬・チキン抗体が挙げられる。
微粒子状標識体の調製にあたって、蛍光体と抗体やビオチンの生体関連物質との結合には、既存の如何なる方法を用いても構わない。例えば、アミンとカルボン酸の反応によるアミド化、マレイミドとチオールの反応によるスルフィド化、アルデヒドとアミンの反応によるイミン化、エポキシとアミンの反応によるアミノ化等を用いることができる。
免疫染色の対象となりうる抗原には、前述したKi67以外にも、HER−2、HER−3、HER−4(Human Epidermal Growth Factor Receptor(ヒト上皮成長因子受容体))、EGFR(Epidermal Growth Factor Receptor(上皮成長因子受容体))、PDGFR(Platelet-Derived Growth Factor(血小板由来増殖因子受容体))、VEGRR(Vascular Endothelial Growth Factor Receptor(血管内皮細胞増殖因子受容体))、NGFR(Nerve Growth Factor Receptor(神経成長因子受容体))、FGFR(Fibroblast Growth Factor Receptor(繊維芽細胞増殖因子受容体))、IR(Insulin Receptor(インスリン受容体))、ER(Estrogen Receptor(エストロゲン受容体)、PgR(Progesterone Receptor(プロゲステロン受容体))、c−Met(肝細胞増殖因子受容体)、TNF−α(Tumor Necrosis Factor(腫瘍壊死因子))受容体、IL−6(Interleukin(インターロイキン))受容体、c−Kit(幹細胞因子受容体)、ALK(Anaplastic lymphoma kinase(未分化リンパ腫キナーゼ)など、サイトカインのような各種の生体関連物質に対する、細胞表面に発現する受容体;CD31(PECAM−1)(Platelet Endothelial Cell Adhesion Molecule-1(血小板内皮細胞接着分子1))、CD34(Endothelial cell marker(内皮細胞マーカー))、GPC3(Glypican(グリピカン)3)など、細胞表面に発現するマーカー分子(糖タンパク質等);CK7(Cytokeratin(サイトケラチン))、Actin(アクチン)、p53など、細胞内に発現する分子;RSVFタンパク質、B型肝炎ウイルス表面抗原、B型肝炎ウイルスコア抗原、C型肝炎ウイルスコア抗原、NS3(Non-structural protein(非構造タンパク質)3)等のウイルスで発現する分子などが挙げられる。これらの抗原は、特定のウイルスまたは細胞(たとえばがん細胞、白血球)における発現量が多いことなどから、それらを検出するための対象として利用することができる。
微粒子状標識体は、免疫染色の目的に応じて、通常用いられる濃度で水分散液中に含まれていればよく、水分散液1mLに対し、通常0.01〜2.00 mmol、好ましくは0.04〜1.00 mmolの割合で添加する。水分散液中の微粒子状標識体の量が上記範囲内にあると、自動染色装置内の試薬ボトルに水分散液を入れて長時間保存しても、粒子の分散性が良好に維持される。
[チキソトロピー付与剤]
本発明におけるチキソトロピー付与剤としては、水分散液にチキソトロピー性を付与できるものであれば既存の如何なるものでも構わない。一般的に、増粘多糖類、増粘剤、乳化安定剤などとして知られている物質を、本発明におけるチキソトロピー付与剤として用いることができる。
ここで、チキソトロピー性とは、低せん断速度下で粘度が高く、かつ、高せん断速度下で粘度の低下を起こす性質をいう。
上記チキソトロピー付与剤としては、水溶性高分子、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、ペクチン及びこれらの誘導体、カルボキシメチルセルロース(CMC)塩類、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩類、グルコマンナン、寒天、カラギナン等、ゲル化能を有する増粘多糖類;メタクリル酸アルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、架橋性アクリル酸重合体などの合成樹脂、PEG系のHLB8〜12のノニオン系増粘剤(界面活性剤)などが挙げられる。
これらのうち、分散安定性の点から、キサンタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)塩、及びPEG系のノニオン系増粘剤などの水溶性高分子が、より好ましい。カルボキシメチルセルロース(CMC)塩のようにカルボン酸塩やスルホン酸塩を形成している場合、たとえばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、などが1価の塩がより好ましい。
上記チキソトロピー付与剤は、水分散液1mL中に、通常1〜800mg、好ましくは10〜100mg添加する。水分散液中のチキソトロピー付与剤の量が上記範囲内にあると、自動染色装置内の試薬ボトルに水分散液を入れて長時間保存しても、病理染色用等の標識体(たとえば蛍光色素内包蛍光ナノ粒子)の分散性が良好に維持される。
[水系溶媒]
本発明の水分散液は、微粒子状標識体及びチキソトロピー付与剤の他に、これら2成分を分散または溶解させるための水系溶媒を含む。上記水系溶媒としては、免疫染色に用いることができる、具体的にはチキソトロピー付与剤を溶解させて所定の粘度に調節することができるものであれば、既存の如何なるものでも構わない。一般的には、水(純水)又はPBS(リン酸緩衝液生理的食塩水)等の緩衝液が用いられる。本発明の水分散液に配合される溶媒は、病理診断への用途において要求される生体親和性や透明性などを考慮すると、実質的に水系溶媒のみからなり有機溶媒は含有しない(水分散液に配合する各種の成分にその調製時に用いたものが付着しているなど、完全には排除しがたい有機溶媒の混入は許容されるが、意図的には有機溶媒を添加しない)ことが好ましい。
[水分散液]
本発明の水分散液は、上述したような微粒子状標識体、チキソトロピー付与剤、及び水系溶媒を含有する。このような水分散系は、主として後述するような病理染色液として利用する、あるいは病理染色液の調製に利用することが好適であるが、微粒子状標識体が沈殿、凝集しにくいという特性を活かした他の用途において利用することも可能である。
本発明の水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、好ましくは10〜200mPa・sであり、より好ましくは10〜50mPa・sである。
ここで、本発明において、みかけ粘度とは、水分散液の流動の特性について、B型粘度計を使用し、所定の回転数でローターを回転させたときのトルクを測定し、ずり速度とずり応力の関係(ずり応力/ずり速度)を求めたものである。
B型粘度計を用いて、1%キサンタンガム水溶液のみかけ粘度を測定する方法を具体例を挙げて説明する。
共栓付き300mL三角フラスコに約2.2gのキサンタンガムを精秤し、次式に従って溶解水を加える。
溶解水(g)=キサンタンガム(g)×(99−水分(%))
得られた水溶液を一夜間放置後、マグネチックスターラーで約5分間かき混ぜ、完全な溶液とした後、口径約45mm、高さ約145mmのフタ付き容器に移し、25±0.2℃の恒温槽に30分間静置した後、ガラス棒で溶液をゆるくかき混ぜて、B型粘度計(BII形粘度計)に、ローター及びガードを取り付け、ローターを回転させ、3分後にB型粘度計の目盛を読み取る。ローターの種類(No.1〜4)および回転数に応じて、表1の係数を乗じて粘度とする。なお、ローターの種類および回転数は、キサンタンガム水溶液の粘度の高低に応じて選択する。
粘度(mPa・s)=読み取り目盛×係数
水分散液のみかけ粘度が上記範囲を超えると、自動染色装置を使って生体組織上に水分散液を添加する際に水分散液の粘度が高くて正確な量で吐出できなくなることがあり、上記範囲を下回ると、水分散液中で粒子の凝集又は沈降が生じ、生体組織上に均一に標識体を載せることができなくなることがある。
本発明の水分散液のpHは、好ましくは6〜8、より好ましくは7付近である。pHが中性から外れると、すなわち、酸性側又は塩基性側に傾くと、中性のときに比べて、生体組織上に水分散液を吐出した後の生体組織上の輝点数が減少する。これは、pHが酸性又は塩基性であると、中性のときに比べて、例えば、アビジン複合体とビオチン標識タンパク質との反応が起こり難くなるなど、抗原抗体反応が進みにくくなり、免疫染色の染色性が低下するためである。
本発明の水分散液の密度は、通常1.00〜3.00g/cm3、好ましくは1.00〜2.00g/cm3である。水分散液の密度が上記範囲を超えると、水分散液中の粒子の運動が抑制され、免疫染色の染色性が低下することがある。
本発明の水分散液は透明であることが好ましい。水分散液に、不純物などの固体成分が含まれていると、生体組織上に水分散液を吐出した後、励起光を照射したときにこれらの不純物も反射するため、生体組織上の輝点数を正確に計測できなくなることがある。
[病理染色液]
・病理染色液の使用方法
本発明の病理染色液は前述したような水分散液を含有するものとして調製することができる。すなわち、前述したような本発明の水分散液をそのまま病理染色液として使用してもよいし、水分散液に病理染色への用途に応じてさらに添加剤を配合して病理染色液を調製してもよい。
本発明の病理染色液は、自動染色装置用、すなわち自動染色装置にセッティングして用いられる試薬ボトルに充填するためのものとして用いることが好適である。
病理染色液を用いた免疫染色の方法の一例を示す。
免疫染色の方法は、一般的な生体物質検出方法と同様に、通常は、含アミノ基シランカップリング剤で処理した基材ガラスに生体組織を載せ、脱パラフィン処理をした後、ブロッキング剤を添加する工程(i)と、該生体組織上に上記水分散液を添加し、生体組織中の抗原に対して抗体を反応させ、免疫染色する工程(ii)とからなる。
工程(i)で用いられる含アミノ基シランカップリング剤で処理した基材ガラスとは、例えば、アミノシランコートスライドガラスのように、生体組織の切片とガラス面との接着剤として、基材ガラスにシランコートを施したものをいう。この含アミノ基シランカップリング剤で処理した基材ガラスを、以下単に「アミノシランコートスライドガラス」ともいう。
上記アミノシランコートスライドガラスは、例えば、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン又はアミノプロピルメチルジメトキシシラン等をスライドガラスにコートすることにより作製することができる。アミノシランコートスライドガラスには、S08110(松浪硝子工業社製 APS(アミノシラン)コートスライドグラス)及びシラン1106(武藤化学社製 剥離防止剤コートスライド)などの市販品を使用してもよい。
脱パラフィン処理とは、ガラス容器等に入れた十分な量の脱パラフィン剤に、生体組織を貼り付けたアミノシランコートスライドガラスを浸漬し、生体組織全体が浸かるようにして、パラフィンを溶かし出して生体組織から除去するものである。脱パラフィン剤を清浄なものに入れ替えて、あるいは脱パラフィン剤を容器ごと替えて、浸漬を複数回繰り返してもよい。脱パラフィン剤には、通常、キシレンが用いられる。
上記ブロッキング剤には、人工合成ポリマー、正常血清、ウサギ血清、ヤギ血清及びラット血清などの動物血清、ウシ血清アルブミン、ゼラチン及びカゼインなどの既存のものが特に制限なく用いられる。このうち、動物血清及びウシ血清アルブミンなどが好ましく、動物血清がより好ましい。
ブロッキング剤の添加は、アミノシランコートスライドガラスに固定した生体組織に対して添加することにより行う。生体組織に対するブロッキング剤の適切な添加量は、生体組織を覆うことができる程度の量であればよく、通常30〜800μL、好ましくは50〜300μLである。
生体組織には、例えば、癌などの非自己物質を含む病理組織の切片が用いられる。具体的には、乳がんなどの組織を1〜20μm程度の厚さにスライスしたものが用いられる。また、例えば、肝臓がん組織スライド(US Biomax社製T031)などの市販品を使用してもよい。この肝臓がん組織スライドは、肝臓がんのサンプルとして一般的に使用されるものである。
工程(ii)は免疫染色工程である。すなわち、本発明の水分散液を生体組織上に添加して、検出の対象とする生体組織を染色し、次いで、封入剤を添加した後、カバーガラスを載せて、評価スライドとする。
なお、上記の免疫染色は、組織染色に限定されるものではなく、細胞染色に適用することも可能である。また、検出の対象とする生体組織は、蛍光標識体と特異的に結合する物質が存在するものであれば特に限定されるものではない。典型的には、上記のように抗原及び抗体の組み合わせが用いられるが、例えば、核酸分子(オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド)及びそれに相補的に結合しうる配列を有する核酸分子の組み合わせを用いることも可能である。
免疫染色をした組織切片は、有機溶媒により脱水及び透徹した後、封入剤で封入する。
脱水及び透徹は、染色した組織切片をPBS(リン酸緩衝液生理的食塩水)等の水系洗浄液で洗浄後、エタノールによる脱水及びキシレン置換により行う。エタノールによる脱水は、エタノールの水含有率を、例えば、50%、30%、10%、0%というように水含有率を下げたエタノールに、組織切片を順次漬けていき、エタノールに置換することにより行う。エタノール置換した組織切片をキシレンに漬けることで、キシレン置換が行われ、組織切片が透徹される。キシレン置換した組織切片に封入剤を載せ、カバーガラス等を載せることで封入が行われる。
封入剤には油系封入剤が好ましく、市販品には、例えば、コスモバイオ社製マウントクイックなどの他、メルク社製エンテランニューなどが挙げられる。
・蛍光観察
上記工程により得られた評価スライドに、所定の波長を有する励起光(例えば、励起波長575〜600nm、蛍光波長612〜682nm)を照射することにより、その蛍光標識体が発する蛍光を観察する。これにより、その病理組織内に存在する所定の生体分子を検出することができる。
励起光の照射には、一般的な蛍光観察と同様の照射手段を用いればよく、例えば、蛍光顕微鏡が備えるレーザー光源から、必要に応じて所定の波長を選択的に透過させるフィルターを用いて、適切な波長及び出力の励起光を染色された組織切片に照射すればよい。
蛍光の観察は、蛍光顕微鏡の鏡筒から行ってもよいし、蛍光顕微鏡に設置されたカメラが撮影した画像を別途、モニタ等の表示手段に表示して行ってもよい。また、必要に応じて所定の波長を選択的に透過させるフィルターを用いてもよい。
具体的には、アミノシランコートスライドガラスに載せた生体組織内に存在する輝点数を計測する。観察視野全体の核の面積及び核に存在する輝点数を計測し、単位面積当たりの輝点数(個/μm2)を算出し、3視野における平均値を求めることで、シグナルとして算出する。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[調製例1]抗体結合蛍光メラミン樹脂粒子の調製
蛍光色素としてSulfoRhodamine101(シグマアルドリッチ社製)14.4mgを水22mLに加えて溶解した。その後、この溶液に乳化重合用乳化剤のエマルゲン(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王社製)の5%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.65g加えた。さらに、この溶液に反応触媒兼界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学社製)の10%水溶液を1000μL加え、70℃で50分間加熱撹拌した。その後、90℃に昇温して20分間加熱撹拌した。得られた色素樹脂粒子の分散液から、余剰の樹脂原料や蛍光色素等の不純物を除くため、純水による洗浄を行った。
具体的には、遠心分離機(クボタ社製マイクロ冷却遠心機3740)にて20000Gで15分間、遠心分離し、上澄み除去後、超純水を加えて超音波照射して再分散した。遠心分離、上澄み除去および超純水への再分散による洗浄を5回繰り返した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含むことから、プラス電荷となった。樹脂粒子の電荷の評価は、IR等による樹脂組成分析と、ゼータ電位測定により行なった。
上記洗浄したメラミン樹脂粒子0.67nM水分散液1mLと1,2-Bis(2-aminoethoxy)ethane 20mgを混合し、温度70℃で20分反応させ、表面をアミノ基に変換するアミノ化処理を行なった。すなわち、メラミン樹脂粒子の水酸基に1,2-Bis(2-aminoethoxy)ethaneのアミノ基を反応させて、アミノ基を導入した。得られたメラミン樹脂粒子を、遠心による上澄み除去および超純水への再分散による洗浄を3回繰り返した。
アミノ基を導入したメラミン粒子は、THFに分散後、遠心により粒子沈殿し、再度THFに分散する事で脱水を行なった。その際の粒子濃度が0.67nMとなるようにした。その後、濃度調整した色素樹脂粒子の分散液に対して、SM(PEG)12(Succinimidyl−[(N−maleоmidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester、サーモサイエンティフィック社製)3mgを混合し、20℃1時間反応させて、末端にマレイミドがついた蛍光色素を有する色素樹脂粒子を含む混合液を得た。
この混合液を10000Gで20分間遠心分離を行い、上澄みを除去した後、2mMのEDTAを含有したPBSを加えて沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による上記洗浄を3回行った。
(ストレプトアビジンの調製)
一方、ストレプトアビジン(和光純薬工業社製)と2-Iminothiolane・HCl(略称:Traut's試薬)を用いて、ストレプトアビジンに対してチオール基の付加処理を行い、ゲル濾過を行って色素樹脂粒子に結合可能なストレプトアビジンを別途用意した。
(樹脂粒子とストレプトアビジンの結合)
上記色素樹脂粒子とストレプトアビジンを、2mMのEDTAを含有したPB中で混合後、室温で1時間反応させて、両者を結合させる反応を行った。反応後、10mMメルカプトエタノールを添加して反応を停止させた。得られた溶液をφ=0.65μmの遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲル濾過カラムを用いて未反応のストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジンが結合した色素樹脂粒子を得た。
[実施例1−1]
水分散液の調製
抗体結合蛍光メラミン樹脂粒子を0.3nMの濃度で含む1%BSA(ダコ社製)/PBS分散液1mLに、チキソトロピー付与剤としてキサンタンガムを0.5mg添加し、キサンタンガムの濃度が0.5mg/mLの水分散液を調製した。なお、BSAには、ダコ社製BSA(ウシ血清アルブミン)を用いた。
水分散液を一週間保存した後の安定性の評価(以下「評価1」という。)
自動染色装置(ベンタナ社製、XTシステム ディスカバリー)の試薬ボトルに水分散液を投入し、150μLずつ5回吐出し、それぞれの粒子濃度から標準偏差を計算した。水分散液を試薬ボトルに入れたまま一週間経った後、再び150μLずつ5回吐出し、それぞれの粒子濃度から標準偏差を計算した。粒子濃度は蛍光光度計(日立製作所社製 F−7000)による輝度とし、吐出前の同量の分散液輝度を100として計算した。
標準偏差が小さい値であるほど、水分散液中の粒子のばらつきが少ないことを示し、水分散液を投入してすぐに測定したときの標準偏差と、一週間経過後に測定したときの標準偏差の差が小さいほど、保存安定性に優れることを示す。
結果を以下に示す。
標準偏差(投入後すぐに測定) 5
標準偏差(一週間経過後) 8
みかけ粘度の測定
水分散液10mLを一夜間放置後、マグネチックスターラーで約5分間かき混ぜ、完全な溶液とした後、口径約45mm、高さ約145mmのフタ付き容器に移し、25±0.2℃の恒温槽に30分間静置した後、ガラス棒で溶液をゆるくかき混ぜて、B型粘度計(東機産業社製BII形粘度計)のローター(No.1)及びガードを取り付け、ローターを回転させ、3分後の目盛を読み取った。
粘度(mPa・s)=読み取り目盛×係数
水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、45mPa.sであった。
参考例1−2]
実施例1−1において、チキソトロピー付与剤として、キサンタンガムの代わりにカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC−Na)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、CMC−Naの濃度が20mg/mLの水分散液を調製した。
上記水分散液を用いて評価1を行った結果を以下に示す。
標準偏差(投入後すぐに測定) 4
標準偏差(一週間静置後) 5
みかけ粘度の測定
実施例1−1と同条件でみかけ粘度を測定し、水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、70rpm)は、56mPa.sであった。
参考例1−3]
実施例1−1において、チキソトロピー付与剤として、キサンタンガムの代わりにグアーガムを用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、グアーガムの濃度が1mg/mLの水分散液を調製した。
上記水分散液を用いて評価1を行った結果を以下に示す。
標準偏差(投入後すぐに測定) 6
標準偏差(一週間静置後) 8
みかけ粘度の測定
実施例1−1と同条件でみかけ粘度を測定し、水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、72mPa.sであった。
参考例1−4]
実施例1−1において、チキソトロピー付与剤として、キサンタンガムの代わりにPEG系のノニオン系増粘剤であるエマノーン3299V(花王社)を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、エマノーン3299Vの濃度が10mg/mLの水分散液を調製した。
上記水分散液を用いて評価1を行った結果を以下に示す。
標準偏差(投入後すぐに測定) 5
標準偏差(一週間静置後) 6
みかけ粘度の測定
実施例1−1と同条件でみかけ粘度を測定し、水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、80mPa.sであった。
[比較例1−1]
実施例1−1において、チキソトロピー付与剤を用いなかったこと以外は、実施例1−1と同様にして、水分散液を調製した。
上記水分散液を用いて評価1を行った結果を以下に示す。
標準偏差(投入後すぐに測定) 13
標準偏差(一週間静置後) 85
みかけ粘度の測定
実施例1−1と同条件でみかけ粘度を測定し、水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、1.8mPa.sであった。
[比較例1−2]
実施例1−1において、チキソトロピー付与剤の代わりにスクロースを用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、スクロースの濃度が750mg/mLの水分散液を調製した。
上記水分散液を用いて評価1を行った結果を以下に示す。
標準偏差(投入後すぐに測定) 8
標準偏差(一週間静置後) 52
みかけ粘度の測定
実施例1−1と同条件でみかけ粘度を測定し、水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、50mPa.sであった。
[比較例1−3]
実施例1−1において、チキソトロピー付与剤の代わりにグリセロールを用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、グリセロールの濃度が950mg/mLの水分散液を調製した。
上記水分散液を用いて評価1を行った結果を以下に示す。
標準偏差(投入後すぐに測定) 11
標準偏差(一週間静置後) −(測定不能)
比較例1−1〜1−3では、実施例1−1および参考例1−2〜1−3と比べて、水分散液を投入してすぐに測定したときと、一週間静置後に測定したときのいずれにおいても、標準偏差の値が大きく、また、水分散液を投入してすぐに測定したときの標準偏差と、一週間静置後に測定したときの標準偏差との差(ばらつきの上がり方)も大きいことがわかる。
したがって、実施例1−1および参考例1−2〜1−3は、比較例1−1〜1−3と比べて、チキソトロピー付与剤を添加することにより、水分散液中の粒子のばらつきが少なく、一週間静置後の保存安定性にも優れることがわかる。
みかけ粘度の測定
実施例1−1と同条件でみかけ粘度を測定し、水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、40mPa.sであった。
参考例2−1]
水分散液の調製
抗体結合蛍光メラミン樹脂粒子を0.3nMの濃度で含む1%BSA/PBS分散液1mLに、チキソトロピー付与剤としてキサンタンガムを1.0mg添加し、キサンタンガムの濃度が1.0mg/mLの水分散液を調製した。
みかけ粘度の測定
水分散液10mLを一夜間放置後、マグネチックスターラーで約5分間かき混ぜ、完全な溶液とした後、口径約45mm、高さ約145mmのフタ付き容器に移し、25±0.2℃の恒温槽に30分間静置した後、ガラス棒で溶液をゆるくかき混ぜて、B型粘度計(東機産業社製BII形粘度計)のローター(No.1)及びガードを取り付け、ローターを回転させ、3分後の目盛を読み取った。
粘度(mPa・s)=読み取り目盛×係数
水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、80mPa.sであった。
APSコートスライドガラス上の粒子の分散性評価(以下「評価2」という。)
自動染色装置(ベンタナ社製、XTシステム ディスカバリー)の試薬ボトルに、水分散液を投入し、5枚のAPS(アミノシラン)コートスライドガラス(松浪硝子工業社製)上にそれぞれ150μLずつ続けて吐出し、各APSコートスライドガラス上の輝点数を蛍光顕微鏡(オリンパス社製、BX53)により計測し、輝点数から標準偏差を計算した。
輝点数が多いほど、水分散液中で粒子が凝集又は沈殿を起こさず、良好な分散性を維持していることを示す。したがって、輝点数の平均値が高く、標準偏差が小さいほど、APSコートスライドガラス上における輝点数の分散性が良好であることを示す。
5回実施した輝点数の平均値及び標準偏差を以下に示す。
輝点数(平均値) 2930
標準偏差 14
[実施例2−2]
参考例2−1において、チキソトロピー付与剤としてキサンタンガムを1.0mgではなく、0.5mg添加し、キサンタンガムの濃度を1.0mg/mLではなく、0.5mg/mLとしたこと以外は、参考例2−1と同様にして、分散液を調製した。
水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、45mPa.sであった。
上記水分散液を用いて評価2を行った結果を以下に示す。
輝点数(平均値) 4632
標準偏差 7
参考例2−3]
参考例2−1において、チキソトロピー付与剤として、キサンタンガムの代わりにカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC−Na)を用いたこと以外は参考例2−1と同様にして、分散液を調製した。濃度も22mg/mLと参考例2−1と同じとした。
水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、70mPa.sであった。
上記水分散液を用いて評価2を行った結果を以下に示す。
輝点数(平均値) 2239
標準偏差 12
参考例2−4]
参考例2−3において、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC−Na)の濃度を1.0mg/mLではなく、20mg/mLとしたこと以外は、参考例2−3と同様にして、分散液を調製した。
水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、56mPa.sであった。
上記水分散液を用いて評価2を行った結果を以下に示す。
輝点数(平均値) 3150
標準偏差 11
[実施例2−5]
参考例2−3において、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC−Na)の濃度を1.0mg/mLではなく、16mg/mLとしたこと以外は、参考例2−3と同様にして、分散液を調製した。
水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、30mPa.sであった。
上記水分散液を用いて評価2を行った結果を以下に示す。
輝点数(平均値) 5212
標準偏差 4
参考例2−6]
参考例2−1において、チキソトロピー付与剤として、キサンタンガムの代わりにグアーガムを用いたこと以外は参考例2−1と同様にして、分散液を調製した。濃度も1.0mg/mLと参考例2−1と同じとした。
水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、72mPa.sであった。
上記水分散液を用いて評価2を行った結果を以下に示す。
輝点数(平均値) 3042
標準偏差 10
参考例2−7]
参考例2−1において、チキソトロピー付与剤として、キサンタンガムの代わりにPEG系のノニオン系増粘剤であるエマノーン3299V(花王社)を用いたこと以外は参考例2−1と同様にして、分散液を調製した。濃度も1.2mg/mLと参考例2−1と同じとした。
水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、80mPa.sであった。
上記水分散液を用いて評価2を行った結果を以下に示す。
輝点数(平均値) 3120
標準偏差 12
[比較例2−1]
参考例2−1において、チキソトロピー付与剤を用いなかったこと以外は参考例2−1と同様にして、分散液を調製した。
水分散液の粘度をB型粘度計(東機産業社製BII形粘度計)で測定し、1.8mPa.sであった。
上記水分散液を用いて評価2を行った結果を以下に示す。
輝点数(平均値) 750
標準偏差 15
比較例2−1では、参考例2−1、実施例2−2、参考例2−3〜2−4および実施例2−5と比べて、粘度が低く、輝点数の平均値が小さい。これは、粘度が低いために分散液中で粒子が凝集又は沈殿し、吐出時に液詰まりを起こし、水分散液をAPSコートスライドガラス上に正確な量で載せることができなかったためである。
すなわち、参考例2−1、実施例2−2、参考例2−3〜2−4および実施例2−5は、比較例2−1と比べて、チキソトロピー付与剤を添加することにより、APSコートスライドガラス上における粒子の分散性が向上することがわかる。
[参考例2−
ここで、参考として、濃度が0.05%、0.25%、0.50%及び1.00%であるキサンタンガム水溶液について、B型粘度計(東機産業社製BII形粘度計)およびローター(NO.1)を使って、ローター(NO.1)の回転数を6rpm、12rpm、30rpm及び60rpmとしたときのローターの回転数とみかけ粘度との関係を表2に示す。
表2から、キサンタンガム水溶液が上記いずれの濃度であっても、粘度計のローターの回転数が多くなるほど、みかけ粘度が低下するのがわかる。
参考例3−1]
水分散液の調製
抗体結合蛍光メラミン樹脂粒子を0.3nMの濃度を含む1%BSA/PBS分散液1mLに、チキソトロピー付与剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC−Na)を20mg添加し、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC−Na)の濃度が20mg/mLの水分散液を調製した。この水分散液に、酢酸を添加し、pHメーター(堀場製作所社製)を用いて、pHを5とした。
水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、56mPa.sであった。
所定のpH条件下での免疫組織染色の評価(以下「評価3」という。)
自動染色装置(ベンタナ社製、XTシステム ディスカバリー)の試薬ボトルに水分散液を投入し、組織切片を載せたAPSコートスライドガラス上に150μL吐出し、APSコートスライドガラス上の輝点数を蛍光顕微鏡(オリンパス社製、BX53)により計測し、目視で確認した。
結果を以下に示す。
輝点数 2342
参考例3−2]
参考例3−1において、pHを5ではなく、9としたこと以外は、参考例3−1と同様にして分散液を調製し、評価3を行った。
結果を以下に示す。
輝点数 2845
参考例3−3]
参考例3−1において、pHを5ではなく、7としたこと以外は、参考例3−1と同様にして分散液を調製し、評価3を行った。
結果を以下に示す。
輝点数 4532
参考例3−3では、参考例3−1及び3−2に比べ、輝点数が多く観察されることから、pHが中性に近いほど、染色性が良いことがわかる。この原因として、pHが中性から外れると、アビジン−ビオチン反応が進みにくくなることが考えられる。
[参考例3−
参考例3−3において、チキソトロピー付与剤を用いなかったことと、水分散液の25℃におけるみかけ粘度(B型粘度計、60rpm)は、56mPa.sではなく、1.8mPa.sとしたこと以外は、参考例3−3と同様にして、分散液を調製し、評価3を行った。
結果を以下に示す。
輝点数 532

Claims (9)

  1. 微粒子状標識体と、チキソトロピー付与剤と、これら2成分を分散または溶解するための水系溶媒とを含有し、かつ、
    B型粘度計を用いて、25℃及び60rpmの条件下で測定したみかけ粘度が10〜50mPa・sである、水分散液。
  2. 前記チキソトロピー付与剤が水溶性高分子である、請求項1に記載の水分散液。
  3. 前記水溶性高分子がカルボキシメチルセルロース塩である、請求項2に記載の水分散液。
  4. pH6〜8である、請求項1〜のいずれか一項に記載の水分散液。
  5. 前記微粒子状標識体が微粒子状蛍光標識体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の水分散液。
  6. 前記微粒子状蛍光標識体が、蛍光ナノ粒子が標識体化されたものである、請求項に記載の水分散液。
  7. 前記微粒子状標識体が、病理染色用の生体関連物質が複合体化されているものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の水分散液。
  8. 請求項に記載の水分散液を含有する病理染色液。
  9. 請求項8に記載の病理染色液が充填された、自動染色装置用の試薬ボトル。
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