JP2015107901A - 炭化珪素粉粒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで大量に、しかも高い収率で、所望の粒度を有する炭化珪素粉粒体を製造することができる方法を提供する。
【解決手段】(A)製造の目的である炭化珪素粉粒体について、所望の粒度を定めるとともに、該所望の粒度に対応するシリコン粉粒体とカーボン粉粒体のモル比(Si/C)を定める粒度決定工程と、(B)シリコン粉粒体およびカーボン粉粒体を、工程(A)で定めたモル比で混合して、粉粒体混合物を得た後、該粉粒体混合物を加熱して、温度勾配(例えば、高温領域と低温領域との温度の差として、10〜300℃)を有する融液5を得て、融液5中に炭化珪素粉粒体6を析出させる加熱工程、を含む炭化珪素粉粒体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化珪素粉粒体の製造方法に関する。
炭化珪素(SiC)は、研磨・研削材、セラミックス焼結体、導電性材料等の工業用材料として、従来、幅広く使用されている。最近では、省エネルギー志向の強まりや脱原発による自然再生エネルギーの活用への期待等の社会的背景下において、パワー半導体等に用いられる単結晶ウェハの原料として、高純度の炭化珪素粉末が求められている。
高純度の炭化珪素粉末を製造する方法としては、気相法、還元法、及び低純度の炭化珪素粉末を純化する方法等が知られている。
気相法は、四フッ化珪素(SiF4)等のシラン化合物を原料として用い、プラズマ法等によって、高純度の炭化珪素粉末を生成させる方法である。
還元法は、シリカ(SiO2)と炭素(C)を原料として用い、シリカの還元反応を高温下で生じさせて、高純度の炭化珪素粉末を生成させる方法である。
還元法の例として、特許文献1に、シリカと炭素を出発原料として炭化けい素を製造する方法において、該出発原料を塩化水素を含む非酸化性雰囲気中1500℃以上で合成し、炭化けい素を得る高純度炭化けい素粉末の製造方法が、記載されている。
還元法の他の例として、特許文献2に、炭素とシリカとを所定のモル比で配合した原料を非酸化性雰囲気下で加熱してSiC化反応せしめることにより得られる炭化珪素の製造方法において、特定の炭素粉末と特定のシリカ粉末をC/SiO2モル比で3.1〜5.0の範囲内となるよう配合し、均一に混合した原料を1600〜2000℃の範囲内の温度に加熱することなどを特徴とする高純度炭化珪素微粉末の製造方法が、記載されている。
低純度の炭化珪素粉末を純化する方法は、低純度の炭化珪素粉末を原料として用い、減圧および加熱を組み合わせるなどして、不純物を除去し、高純度の炭化珪素粉末を得る方法である。
低純度の炭化珪素粉末を純化する方法の例として、特許文献3に、炭化珪素粉末を真空度が9×10−5〜1×10−2torrの範囲で、かつ、1500〜1700℃の温度範囲で加熱し、高純度化する高純度炭化珪素粉末の製造方法が、記載されている。
低純度の炭化珪素粉末を純化する方法の他の例として、特許文献4に、炭化珪素粉とフッ化水素酸との混合物を密閉容器内に導入し加圧下で加熱処理することを特徴とする高純度炭化珪素粉の製造方法が、記載されている。
一方、工業的に炭化珪素粉末を製造する方法として、アチソン法が知られている。
アチソン法は、耐火煉瓦で形成されたアチソン炉と呼ばれる大気開放炉の中に、珪砂(シリカ)とコークス(炭素)の混合物を仕込むとともに、該大気開放炉の内部空間に黒鉛粉を水平方向に延びる柱状に配置させ、この黒鉛粉に通電することによって、黒鉛粉の周囲の珪砂およびコークスを加熱して反応させ、炭化珪素の塊状物を得る方法である。
アチソン法の例として、特許文献5に、アチソン炉を用いて、粒子内にシリカとカーボンの各々が全体的に分布しており、かつ、B及びPの各々の含有率が1ppm以下である、シリカとカーボンからなる粒子を加熱して、高純度炭化珪素粉末を得る、高純度炭化珪素粉末の製造方法が記載されている。
特公平6−2568号公報 特開昭62−27316号公報 特開昭64−61308号公報 特許第4006716号公報 特開2013−95635号公報
上述のとおり、高純度の炭化珪素粉末を製造するための種々の方法が知られている。
しかし、上述の各方法には、問題点もある。
例えば、気相法の場合、炭化珪素粉末の生成のために用いるガスが、高価であり、また、工業的な規模の量の炭化珪素粉末を安定的にかつ安価に製造することが難しいという問題がある。
特許文献1の方法では、使用する塩化水素ガスが腐食性を有するため、製造装置が腐食するおそれがあり、設備費用が高くなるという問題がある。
特許文献2の方法では、炭素粉末とシリカ粉末を反応させるときのC/SiO2モル比が高いため、未反応の炭素の残留量が多くなり、インゴットが軟質化する傾向があり、製品を回収することが困難な場合があるという問題がある。
特許文献3の方法では、装置が複雑かつ高価であるとともに、大量生産が難しいという問題がある。
特許文献4の方法では、使用するフッ化水素酸が、人体に有害で危険性が高いために取扱いが難しく、また、工業的な規模の量の炭化珪素粉末を製造することが難しいという問題がある。
特許文献5の方法では、一度に大量の炭化珪素を生成させることができるものの、原料であるシリカが、ガスとして大気中に飛散するため、炭化珪素粉末の収率が悪いという問題がある。また、炭化珪素が塊状物として得られるため、特定の粒度(例えば、粒径3mm以下)の粉粒体を得るためには、塊状物を粉砕する必要があり、粉砕の手間がかかるという問題がある。また、粉砕の際に不純物が混入して、炭化珪素粉末の純度が低下する可能性もある。
一方、炭化珪素粉粒体に関し、所望の粒度を有するものを製造することができれば、用途に応じて、最適な粒度を有する炭化珪素粉粒体を提供することができるという利点がある。
本発明の目的は、低コストで大量に、しかも高い収率で、所望の粒度を有する炭化珪素粉粒体を製造することができる方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、シリコン粉粒体およびカーボン粉粒体の混合物からなる原料を加熱して融液を得て、この融液の析出物として炭化珪素粉粒体を得る方法において、シリコン粉粒体とカーボン粉粒体のモル比の大きさに応じて、炭化珪素粉粒体の粒度の大きさが定まるなどの知見を得て、この知見に基いて、本発明を完成した。
本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1] シリコン粉粒体とカーボン粉粒体を混合してなる粉粒体混合物を加熱して、炭化珪素粉粒体を得る炭化珪素粉粒体の製造方法であって、(A)製造の目的である炭化珪素粉粒体について、所望の粒度を定めるとともに、該所望の粒度に対応するシリコン粉粒体とカーボン粉粒体のモル比(Si/C)を定める粒度決定工程と、(B)シリコン粉粒体およびカーボン粉粒体を、工程(A)で定めたモル比で混合して、粉粒体混合物を得た後、該粉粒体混合物を加熱して、該粉粒体混合物が融解してなる融液を得て、該融液中に炭化珪素粉粒体を析出させる加熱工程、を含むことを特徴とする炭化珪素粉粒体の製造方法。
[2] 工程(B)において、上記粉粒体混合物が融解してなる融液が、温度勾配を有するように加熱する上記[1]に記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
[3] 上記シリコン粉粒体の粒度が5mm以下であり、かつ、上記カーボン粉粒体の粒度が5mm以下である、上記[1]又は[2]に記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
[4] 上記シリコン粉粒体中の珪素の含有率が90質量%以上であり、かつ、上記カーボン粉粒体中の灰分の含有率が1.0質量%以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
[5] 上記カーボン粉粒体中のB、P、Fe、Ti、V、Cr、Cu、NiおよびZnの各含有率が3ppm以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
[6] 工程(B)において、黒鉛からなる容器の中に上記粉粒体混合物を収容して加熱する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
本発明によれば、シリコン粉粒体とカーボン粉粒体の配合比を調整することによって、所望の粒度を有する炭化珪素粉粒体を製造することができる。このため、用途に応じて、最適な粒度を有する炭化珪素粉粒体を製造することができる。
本発明によれば、シリコン粉粒体とカーボン粉粒体を混合してなる粉粒体混合物を加熱するための加熱手段があれば、炭化珪素粉粒体を製造することができるので、加熱手段以外に減圧手段等を必要とする場合に比べて、製造が容易であり、また、製造設備や運転に要するコストが低い。
本発明によれば、加熱手段として、大容量の加熱炉を用いることができるので、一度に大量の炭化珪素粉粒体を製造することができる。
本発明によれば、シリコン粉粒体とカーボン粉粒体の配合比を調整することによって、高い収率で炭化珪素粉粒体を得ることができる。
本発明の製造方法で得られた炭化珪素粉粒体は、高い純度を有するため、パワー半導体等に用いられる単結晶ウェハの原料等として好適に用いることができる。
本発明の炭化珪素粉粒体の製造方法で用いられる装置の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の炭化珪素粉粒体の製造方法は、(A)製造の目的である炭化珪素粉粒体について、所望の粒度を定めるとともに、該所望の粒度に対応するシリコン粉粒体とカーボン粉粒体のモル比を定める粒度決定工程と、(B)シリコン粉粒体およびカーボン粉粒体を、工程(A)で定めたモル比で混合して、粉粒体混合物を得た後、該粉粒体混合物を加熱して、該粉粒体混合物が融解してなる融液を得て、該融液中に炭化珪素粉粒体を析出させる加熱工程、を含む。
以下、各工程毎に詳しく説明する。
[工程(A):粒度決定工程]
工程(A)は、製造の目的である炭化珪素粉粒体について、所望の粒度を定めるとともに、該所望の粒度に対応するシリコン粉粒体とカーボン粉粒体のモル比(Si/C)を定める工程である。
本発明で製造可能な炭化珪素粉粒体の粒度は、10〜2000μmである。
本発明において、この粒度範囲内で、所望の粒度を定めることができる。例えば、所望の粒度として、10〜50μm程度の粒度を定めたり、400〜500μm程度の粒度を定めたり、900〜2000μm程度の粒度を定めることができる。
本明細書中、「粉粒体」とは、粉体(粒度が0.1mm以下のもの)のみからなる集合体、粒体(粒度が0.1mmを超えるもの)のみからなる集合体、及び、粉体及び粒体からなる集合体の3つの形態を包含するものである。
また、本明細書中、粒度の値は、篩の目開き寸法に対応する値である。
シリコン粉粒体とカーボン粉粒体のモル比(Si/C)は、炭化珪素粉粒体について定めた目的とする所望の粒度の大きさに応じて定められる。
シリコン粉粒体とカーボン粉粒体のモル比(Si/C)は、好ましくは、1/1〜10/1である。該モル比が1/1以上であると、カーボン粉粒体の割合が過大であることによる炭化珪素粉粒体の収率の低下の抑制の観点から、好ましい。該モル比が10/1以下であると、シリコン粉粒体およびカーボン粉粒体を収容する容器(例えば、黒鉛からなる容器)の劣化の進行の抑制の観点から、好ましい。
シリコン粉粒体の粒度は、カーボン粉粒体との反応性を良好にして、炭化珪素粉粒体の製造効率を向上させる観点から、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
シリコン粉粒体の粒度の下限値は、特に限定されないが、粉砕に要する労力等の観点から、通常、0.01mmである。
カーボン粉粒体の粒度は、シリコン粉粒体との反応性を良好にして、炭化珪素粉粒体の製造効率を向上させる観点から、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、特に好ましくは1mm以下である。
カーボン粉粒体の粒度の下限値は、特に限定されないが、入手可能なカーボンの一般的な粒度を考慮すると、通常、10nmである。
シリコン粉粒体の中のSiの含有率(純度)は、より高純度の炭化珪素粉粒体を得る観点から、好ましくは90質量%以上、より好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99.999質量%以上、特に好ましくは99.999999999質量%以上である。
Siを98質量%以上の含有率で含む原料としては、一般的に、金属グレードシリコンと呼ばれる原料が挙げられる。Siを99.9999質量%以上の含有率で含む原料としては、一般的に、太陽電池グレードシリコンと呼ばれる原料が挙げられる。Siを99.999999999質量%以上の含有率で含む原料としては、一般的に、半導体グレードシリコンと呼ばれる原料が挙げられる。
コストの低減や入手の容易性の観点からは、金属グレードシリコンを用いることが好ましい。本発明の製造方法によれば、Siの含有率(純度)が、98質量%以上、99.999質量%未満である金属グレードシリコンを用いても、高純度の炭化珪素粉粒体を得ることができる。
シリコン粉粒体として、使用済みの太陽電池用シリコンウェハ、使用済みの半導体用シリコンウェハ、太陽電池用シリコンウェハの製造工程で発生する端材、及び半導体用シリコンウェハの製造過程で発生する端材(シリコンインゴットからウェハを切り出す際に発生する切りくず等)等の中から選ばれる少なくとも1種を使用してもよい。これらの原料を使用することで、使用済みのシリコン含有製品等の再利用を図ることができる。
カーボン粉粒体中の灰分の含有率は、炭化珪素粉粒体の純度をより高める観点から、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以下である。
カーボン粉粒体中のB、P、Fe、Ti、V、Cr、Cu、NiおよびZnの各含有率は、好ましくは3ppm以下、より好ましくは1ppm以下である。本明細書中、ppmは質量基準である。
このように灰分の含有率が小さいカーボン粉粒体として、カーボンブラック、黒鉛パウダー(グラファイトパウダー)、熱分解黒鉛粉等が挙げられる。中でも、カーボンブラックは、低コストで、炭素の含有率が大きく、粒度が小さい点で、好ましく用いられる。
[工程(B):加熱工程]
工程(B)は、シリコン粉粒体およびカーボン粉粒体を、工程(A)で定めたモル比で混合して、粉粒体混合物を得た後、該粉粒体混合物を加熱して、該粉粒体混合物が融解してなる融液を得て、該融液中に炭化珪素粉粒体を析出させる工程である。
粉粒体混合物の加熱は、例えば、黒鉛からなる容器の中で行うことができる。この場合の一例を、図1を参照して説明する。
図1中、黒鉛からなる坩堝1内に収容されたシリコン粉粒体およびカーボン粉粒体の混合物を加熱して、該混合物が融解してなる融液5を得る際に、融液5が温度勾配を有するように加熱することによって、融液5中に炭化珪素粉粒体6が析出する。この時、黒鉛からなる坩堝1は、カーボン粉粒体と共に、炭化珪素粉粒体6を析出させるための炭素(カーボン)の供給源として、炭素を融液5に供給する。このため、黒鉛からなる坩堝1の板厚は、時間の経過とともに小さくなる。炭化珪素粉粒体の製造開始時の黒鉛からなる坩堝1の板厚は、融液5の漏れが生じない程度の厚みであればよい。
坩堝1は、その内部に乱流板2を有してもよい。乱流板2を設けることで、融液5中に溶け出した坩堝1由来の炭素が、融液5中に均一に分散され、得られる炭化珪素粉粒体6の収率が向上する。乱流板2の材質は、炭素供給源として働く観点から、黒鉛が好ましい。乱流板2は、平坦な板状体であることが好ましく、また、坩堝1の側面の内壁から水平方向に延びるように固着されていることが好ましい。なお、坩堝1が有する乱流板の数は、一つでもよく、複数でもよい。
坩堝1内に収容された混合物(炭化珪素粉粒体6の原料)を加熱する温度は、好ましくは1500℃以上、より好ましくは1600〜2400℃、特に好ましくは1700〜2200℃である。加熱温度が1500℃未満の場合、混合物のすべてを溶融するまでに多大な時間がかかる。
その後、得られた融液5が温度勾配を有するように(換言すると、高温領域と低温領域を有するように)加熱することによって、融液中に炭化珪素粉粒体を析出させることができる。
例えば、融液中の高温領域と低温領域との温度の差が、10〜300℃(好ましくは20〜270℃)となる温度勾配を有するように加熱することによって、坩堝1から炭素(C)が溶け出し、融液の低温領域において炭化珪素粉粒体が析出する。融液の高温領域と低温領域との温度の差が大きいほど、炭化珪素粉粒体が析出する速度が大きくなるが、温度の差が300℃を超えると、得られた炭化珪素粉粒体が互いにくっつき一体化してしまう場合がある。
また、融液が、上述した温度勾配を有するようにするために、黒鉛からなる坩堝の底面および側面に複数個の加熱体を設けて加熱を調整してもよく、融液の一部を強制冷却してもよい。
融液の低温領域の温度は、通常、2000℃以下である。なお、高温度域と低温領域の温度差を大きくすることで、析出速度が大きくなり、炭化珪素粉粒体の収率も向上する。
例えば、坩堝1の底面部分のみを加熱し、黒鉛からなる坩堝1の底面周辺の融液5の高温領域における最高温度が1500〜2000℃となり、融液5の液面周辺の低温領域における最低温度が1200〜1990℃となるように温度勾配を設けることによって、融液5の液面周辺の低温領域において、炭化珪素粉粒体6が析出する。
なお、融液5の温度を1450℃以下に制御する場合、シリコンの融液に遷移金属(例えばCr、Fe、Ti、Co、Ni等)を添加し、合金溶媒とすることが好ましい。
加熱の方法は、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱、誘電加熱等が挙げられる。抵抗加熱は、誘電加熱に比べて、所定の温度に達するまでの時間が長いものの、大規模な装置による大量生産に向いている。
融液をムラなく加熱する観点から、坩堝1は、回転しながら加熱されてもよい。
具体的には、溶液炉7内に、水平方向に回転する台座4を設置し、坩堝1を台座4の上面に載置して、台座4を回転させながら坩堝1を加熱する。回転は、一定の時間間隔で正転と逆転を交互に行ってもよい。
坩堝1、発熱体3等を、密閉することができる加熱炉7内に設置し、加熱等を行ってもよい。密閉された加熱炉7内で加熱することで、エネルギー効率良く、融液5を得ることができる。
また、加熱を非酸化性雰囲気下で行ってもよい。加熱を非酸化性雰囲気下で行うことによって、不純物(NおよびO)の含有率、特に酸素(O)の含有率の小さい炭化珪素粉粒体を得ることができる。具体的には、溶液炉内の空気を、非酸化性のガス(例えば、Ar(アルゴン)ガス、He(ヘリウム)ガス等)で置換して、加熱を行えばよい。
坩堝1内の混合物の中に、金属を加えてもよい。金属を加えることによって、融液中のSiCの溶解量が増大し、融液の低温領域における、炭化珪素粉粒体の析出速度が大きくなるとともに、析出量が増大し、収率をより高めることができる。
金属の好ましい例としては、炭化珪素粉粒体の析出速度を大きくする観点から、遷移金属(例えば、Cr、Fe、Ti、Co、Ni等)が挙げられる。
本発明の炭化珪素粉粒体の収率は、例えば、15〜60%である。本発明において、高い収率で炭化珪素粉粒体を得ることを重視する場合、本発明の炭化珪素粉粒体の収率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上である。
以下、実施例に基いて本発明を説明する。なお、以下の文中、「%」、「ppm」は、特に断らない限り、質量基準である。
[実施例1〜3、比較例1]
(1)原料
シリコン粉粒体:半導体グレードシリコン(粒度:2mm程度、中国製、Siの含有率:99.999999999%以上)
カーボン粉粒体:カーボンブラック(粒径:0.05〜1000μm、商品名:シースト600、東海カーボン社製)
(2)炭化珪素粉粒体の製造
原料である上述のシリコン粉粒体とカーボン粉粒体を、表1に示すモル比で混合して、粉粒体混合物を得た。
次いで、小型の黒鉛からなる坩堝1(新日本カーボン社製、商品名IGS−743KII:内径25mm×高さ50mm)の中に、得られた粉粒体混合物を、坩堝1の上面と面一となるように収容した。収容後、黒鉛からなる坩堝1を加熱炉7内の台座4の上面に載置した。
載置後、加熱炉7内を真空にし、Ar(アルゴン)ガスで置換することを2回繰り返して、加熱炉7内をAr雰囲気とした。その後、坩堝1の底部の温度を1750〜1900℃の範囲内に維持しながら、24時間加熱を保持した。
この際、加熱は、坩堝1内の粉粒体混合物の融液が温度勾配を有するように(具体的には、坩堝の底部周辺の融液が高温領域となり、坩堝の上部周辺の融液が低温領域となるように)行った。加熱によって粉粒体混合物が融解した後、融液5の液面周辺において炭化珪素粉粒体が析出した。なお、加熱中の融液5の液面の温度は、1730℃であった。
また、加熱中、坩堝1を設置した台座4が、一定の時間間隔で水平方向に正転又は逆転することで、底部の温度にムラが発生しないようにした。
加熱後、坩堝1を加熱炉7から取り出し、ダイヤモンドカッターを用いて、黒鉛からなる坩堝1を2分割し、坩堝1内で析出した炭化珪素粉粒体6を回収した。この粉粒体6を混酸(フッ酸と硝酸の体積比(フッ酸:硝酸)が1:2のもの)に浸漬し、残存していたSiをフッ硝酸に溶解させて、炭化珪素粉粒体を得た。
得られた炭化珪素粉粒体中、B、P、Fe、Ti、V、Cr、Cu、Zn及びNiの含有率を、グロー放電質量分析計を用いて測定した。
また、得られた炭化珪素粉粒体の収率(%)を算出した。なお、収率(%)は、仕込んだ原料の質量に対する、得られた炭化珪素粉粒体の質量の割合である。
さらに、1時間当たりの生産収率(%)を算出した。
結果を表1に示す。表1から、原料である粉粒体混合物におけるSi/Cのモル比の大きさと、得られた炭化珪素粉粒体の粒度の間には、相関関係があること、および、この相関関係を用いて、所望の粒度を有する炭化珪素粉粒体を製造することができることがわかる。また、原料である粉粒体混合物におけるSi/Cのモル比の大きさと、炭化珪素粉粒体の収率および1時間当たりの生産収率の間に、相関関係があること、および、この相関関係を用いて、所望の収率で炭化珪素粉粒体を製造することができることもわかる。
Figure 2015107901
1 黒鉛からなる坩堝
2 乱流板
3 発熱体
4 台座
5 融液
6 炭化珪素粉粒体
7 加熱炉

Claims (6)

  1. シリコン粉粒体とカーボン粉粒体を混合してなる粉粒体混合物を加熱して、炭化珪素粉粒体を得る炭化珪素粉粒体の製造方法であって、
    (A) 製造の目的である炭化珪素粉粒体について、所望の粒度を定めるとともに、該所望の粒度に対応するシリコン粉粒体とカーボン粉粒体のモル比(Si/C)を定める粒度決定工程と、
    (B) シリコン粉粒体およびカーボン粉粒体を、工程(A)で定めたモル比で混合して、粉粒体混合物を得た後、該粉粒体混合物を加熱して、該粉粒体混合物が融解してなる融液を得て、該融液中に炭化珪素粉粒体を析出させる加熱工程、
    を含むことを特徴とする炭化珪素粉粒体の製造方法。
  2. 工程(B)において、上記粉粒体混合物が融解してなる融液が、温度勾配を有するように加熱する請求項1に記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
  3. 上記シリコン粉粒体の粒度が5mm以下であり、かつ、上記カーボン粉粒体の粒度が5mm以下である請求項1又は2に記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
  4. 上記シリコン粉粒体中の珪素の含有率が90質量%以上であり、かつ、上記カーボン粉粒体中の灰分の含有率が1.0質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
  5. 上記カーボン粉粒体中のB、P、Fe、Ti、V、Cr、Cu、NiおよびZnの各含有率が3ppm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
  6. 工程(B)において、黒鉛からなる容器の中に上記粉粒体混合物を収容して加熱する請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
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