JP2015113252A - 亜鉛還元法による多結晶シリコンの製造に用いられる反応容器 - Google Patents

亜鉛還元法による多結晶シリコンの製造に用いられる反応容器 Download PDF

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和彦 花田
隆博 川合
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隆博 川合
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Toru Tanaka
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Abstract

【課題】太陽電池の特性に影響を及ぼす不純物の混入量の少ない多結晶シリコンを製造することができる亜鉛還元法用の反応容器の提供。
【解決手段】シリカ、炭化珪素およびアルミナからなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する材料からなり、リン濃度が150ppmw以下またはホウ素濃度が1500ppmw以下、かつ、鉄濃度が3000ppmw以下であり、四塩化珪素ガスを亜鉛ガスで還元することにより多結晶シリコンを製造する亜鉛還元反応に用いられる反応容器とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、亜鉛還元法に用いられる反応容器、該反応容器を用いた多結晶シリコンの製造方法、および、該製造方法により製造された多結晶シリコンに関する。
近年、クリーンエネルギーの1つとして注目されている太陽電池の需要が拡大している。太陽電池の主要原料である高純度の多結晶シリコンを製造する方法として、従来から知られているシーメンス法が商業ベースで行なわれている。しかしながら、シーメンス法は消費電力量が多くコスト高となる上に、回分法(バッチ式)であるため生産効率も悪い。その一方で、シーメンス法よりも製造コストを格段に引き下げられると期待される亜鉛還元法が注目されている。
亜鉛還元法は、四塩化珪素ガスを亜鉛ガスで還元することにより、高純度の多結晶シリコンを製造する方法である(例えば、特許文献1等参照)。このプロセスにおいて副生される塩化亜鉛から亜鉛と塩素を分離回収し、得られた亜鉛をガス化して上記亜鉛ガスとして再利用するとともに、得られた塩素をガス化してシリコン原料と反応させ、製造原料の前記四塩化珪素ガスとして再利用することにより、製造コストを大幅に引き下げられると期待されている。
亜鉛還元法で製造された高純度の多結晶シリコンを原料として結晶成長を行うことで、多結晶シリコンまたは単結晶シリコンのインゴットを得て、スライスした後に表面加工を施し、表面に電極等を形成して太陽電池を製造している。なお、結晶成長で得られるインゴットの電気抵抗を所定の値とするために、予めシリコン原料に対して、P型のドーパント成分であるホウ素(B)、N型のドーパント成分であるリン(P)を添加しておき、シリコンの結晶を成長させている。特に、単結晶シリコンの太陽電池は、多結晶シリコンの太陽電池に比べて発電効率が高いことから、この影響が大きくなる。
亜鉛還元法に供するシリコン原料中のホウ素、リン、アルミニウム(Al)または鉄(Fe)等の不純物の濃度が一定以上に高まると、所望の抵抗値を有したシリコンの結晶を得ることができず、太陽電池の発電効率等に悪影響を及ぼすことが知られている。
亜鉛還元法では、純度の高い多結晶シリコンを得るために、単結晶シリコンを得る反応容器と同程度に高純度の石英(SiO2)を築炉材として作製した反応容器が主に用いられている。しかしながら、石英製の反応容器の場合、大きさが限定され反応容器の大型化が難しく、また、反応容器全体を高純度の石英で作製すると、加工等の制限の問題から作製できる反応容器の構造が限定され、さらにコスト高となる。
一方、構造を比較的自由につくれるキャスタブル材等の築炉材では、一般的に、安価であるが不純物(B,P,FeおよびAl等)を多く含み、作製した反応容器にもこれらの不純物が含まれることとなる。反応容器自体に含まれるこれらの不純物は、亜鉛還元反応の際に、多結晶シリコンの原料である四塩化珪素ガスと意図しない反応を起こす。
具体的には、ホウ素と四塩化珪素ガスとが反応して熱力学的に最も安定な三塩化ホウ素(BCl3)が生成され、リンと四塩化珪素ガスとが反応して三塩化リン(PCl3)のガスが生成され、鉄と四塩化珪素ガスとが反応して二塩化鉄(FeCl2)が生成される。これらの不純物は、蒸気圧をもつ気体となる等、反応容器内のガスに混じり、成長する多結晶シリコンに不純物として取り込まれると考えられる。すなわち、不純物を含む反応容器を用いて亜鉛還元反応を行うと、亜鉛還元反応で得られた多結晶シリコンに意図せず不純物が混入してしまい、多結晶シリコンに含まれる不純物濃度を太陽電池用のシリコン原料に要求される基準濃度の範囲内に保つことができないという問題があった。
しかし、現状では亜鉛還元法に用いられる反応容器については十分に検討されていない。特に、反応容器の素材成分または不純物成分と四塩化珪素との反応により生成される塩化物と考えられる不純物の濃度や、それらの多結晶シリコンへの混入量は明らかとなってはいない。
特開2007−145663号公報
本発明は、太陽電池の特性に影響を及ぼす不純物の混入量が少ない多結晶シリコンを製造することができる亜鉛還元法用の反応容器を提供することを目的とする。
本発明者らは、一般に流通している亜鉛還元反応用の反応容器の素材として使用される可能性があるシリカ系および炭化珪素(SiC)系の築炉材を分析し、その生産方法や原材料の違いにより、築炉材中に多結晶シリコンにとって不純物であるリン、ホウ素、アルミニウムおよび鉄が異なる濃度で含まれていること、および、これら不純物が多結晶シリコンおよび該多結晶シリコンから作製される単結晶シリコンに混入し、最終的に製造される太陽電池等の各種製品の性能に悪影響を及ぼすおそれがあることを見出し、本発明を完成させた。本発明は、例えば、以下の態様を含む。
[1] シリカ、炭化珪素およびアルミナ(Al23)からなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する材料からなり、
リン濃度が150ppmw以下、かつ、鉄濃度が3000ppmw以下であり、
四塩化珪素ガスを亜鉛ガスで還元することによりP型の多結晶シリコンを製造する亜鉛還元反応に用いられる、亜鉛還元反応用の反応容器。
[2] シリカ、炭化珪素およびアルミナからなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する材料からなり、
ホウ素濃度が1500ppmw以下、かつ、鉄濃度が3000ppmw以下であり、
四塩化珪素ガスを亜鉛ガスで還元することによりN型の多結晶シリコンを製造する亜鉛還元反応に用いられる、亜鉛還元反応用の反応容器。
[3] シリカが主成分であり、かつ、アルミナ濃度が10重量%以下である、[1]または[2]の反応容器。
[4] 炭化珪素が主成分であり、かつ、アルミナ濃度が10重量%以下である、[1]または[2]の反応容器。
[5] [1]〜[4]のいずれかの反応容器を用いて四塩化珪素ガスを亜鉛ガスで還元する工程を含む、多結晶シリコンの製造方法。
[6] [5]の製造方法により製造された多結晶シリコン。
本発明によれば、太陽電池の特性に影響を及ぼす不純物の混入量が少ない多結晶シリコンを製造することができる亜鉛還元法用の反応容器、該反応容器を用いた多結晶シリコンの製造方法および多結晶シリコンの提供をすることができる。
図1は、本発明に係る反応容器を示した図である。
以下、本発明に係る反応容器および多結晶シリコンの製造方法等について詳細に説明する。
本発明に係る反応容器は、該反応容器がP型の多結晶シリコン製造用の場合、四塩化珪素ガスを亜鉛ガスで還元することにより高純度の多結晶シリコンを製造する亜鉛還元反応に用いられる反応容器であって、シリカ(SiO2)、炭化珪素(SiC)およびアルミナからなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する材料からなり、リン(P)が150ppmw以下、かつ、鉄(Fe)が3000ppmw以下であることを特徴とする。
また、該反応容器がN型の多結晶シリコンを製造する亜鉛還元反応用の場合、シリカ、炭化珪素およびアルミナからなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する材料からなり、ホウ素(B)濃度が1500ppmw以下、かつ、鉄濃度が3000ppmw以下であることを特徴とする。
シリカを主成分とする反応容器の場合、および炭化ケイ素を主成分とする反応容器の場合、副成分として含有されるアルミナの濃度が高いと断熱性が上がる一方でもろくなる傾向があり、キャスタブル材に含まれるアルミナ量を低減して亜鉛還元法で製造される多結晶シリコンへのアルミ混入量低減の観点から、アルミナの濃度は、反応容器全体に対して、10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。
反応容器自体に含まれるリンの濃度は、150ppmw以下であり、好ましくは100ppmw以下、より好ましくは80ppmw以下、さらに好ましくは50ppmw以下である。
反応容器自体に含まれるホウ素の濃度は、1500ppmw以下であり、より好ましくは800ppmw以下、さらに好ましくは500ppmw以下である。
反応容器自体に含まれる鉄の濃度は、3000ppmw以下であり、好ましくは2000ppmw以下、より好ましくは1500ppmw以下、さらに好ましくは1000ppmw以下である。
(反応容器の作製方法)
以下の方法により、本発明に係る反応容器を作製することができる。なお、築炉材に含まれる鉄等の不純物の評価については、微粉化した築炉材(キャスタブル材等)を50%HF等の酸に浸して不純物を溶出し、その溶出液を誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP−OES)で分析することにより行うことができる。
反応容器は、図1に示すように、キャスタブル材由来の上端が開口した筒状の容器下部3と、下端が開口した筒状に形成され該開口が前記容器下部3の開口に一致するように設けられる石英製の容器上部2とから、主として構成されている。
反応容器1は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、上端が開口し下端が閉塞した筒状の鉄製容器を作製し、この鉄製容器の内部に、該鉄製容器より小径で同一形状の別の鉄製容器を同軸で配置し、両者の隙間を一律にした状態で両者に固定する(不図示)。この固定は、例えば、金属の棒状部材等を双方の鉄製容器を貫通させる方法により行う。次に、前記2つの鉄製容器の隙間にキャスタブル材を流し込み、容器下部3を作製する。作製した容器下部3の内表面を耐火材4で覆い、容器下部3の上部に石英製の容器上部2を設置し、容器上部2の開口端と容器下部3の開口端とが一致するように積み上げて、無機材料用接着剤で両者を固定する。その後、亜鉛ガスやテトラクロロシランガスを導入するための供給ノズル5,6や排気管7を設ける。
流し込むキャスタブル材は、P型の多結晶シリコンを製造用の反応容器を製造する場合、リン濃度が150ppmw以下、かつ、鉄濃度が3000ppmw以下のキャスタブル材が用いられる。例えば、日本特殊炉材(株)製「フレキサイト(登録商標)KERSIK−PB」をキャスタブル材として使用することができる。
一方、N型の多結晶シリコンを製造用の反応容器を製造する場合は、ホウ素濃度が1500ppmw以下、かつ、鉄濃度が3000ppmw以下のキャスタブル材が用いられる。
なお、キャスタブル材中のその他の成分は、亜鉛還元反応により多結晶シリコンを製造するための反応容器の材質として知られている組成分であればよい。
このように作製した反応容器に含まれるリン,ホウ素および鉄の不純物濃度は、基本的には、使用したキャスタブル材の不純物濃度と同じである。
上記方法で作製した反応容器を用いて多結晶シリコンの製造を行うことにより、得られる高純度の多結晶シリコン中の鉄等の不純物の濃度を低く抑えることができる。
(多結晶シリコンの製造)
本発明に係る多結晶シリコンの製造方法は、上記反応容器を用いて、四塩化珪素ガスを亜鉛ガスで還元すること以外は、一般的な亜鉛還元法による多結晶シリコンの製造方法と同様の方法、条件、装置等を採用することができる。
亜鉛還元法では、通常、図1に示すように、四塩化珪素(SiCl4)ガスG1と亜鉛(Zn)ガスG2とが亜鉛還元反応用の反応容器の上部から供給される。供給された四塩化珪素ガスは反応容器内で亜鉛ガスにより還元され、下記反応式(1)で示すように高純度の多結晶シリコンと塩化亜鉛を含む排ガスG3とが生成される。この場合の反応温度は、通常、950℃〜1200℃である。
SiCl4+2Zn→Si+2ZnCl2・・・(1)
生成した高純度の多結晶シリコンは、図1に示すように、反応容器1内に突出した四塩化珪素ガスG1の供給ノズル5の先端に針状もしくは樹枝状に成長し、結晶同士が互いに付着しながら反応容器1の内側へ向けて管状の集合体Pとして成長する。高純度の多結晶シリコンPは、亜鉛還元反応の終了後、供給ノズル5の先端から取り外されて回収される。一方で、反応容器1内に残存する塩化亜鉛ガスを主成分として含むガスは、排ガスG3として排気管7を介して反応容器1の外に排出される。
塩化亜鉛ガスを主成分とする排ガスは塩化亜鉛回収装置により冷却され、排ガス中の塩化亜鉛が凝縮または固化されて液体または固体の状態で回収される。回収された塩化亜鉛は溶融塩電解装置による溶融塩電解により亜鉛と塩素ガスとに分離され、亜鉛はガス化されて亜鉛還元法の還元剤として再利用される。一方、回収された塩素ガスは、金属シリコンと反応させて四塩化珪素を製造するための塩化剤として再利用される。製造された四塩化珪素は、蒸留による精製を経て亜鉛還元法の原料となる。
このように亜鉛還元法においては、高純度の多結晶シリコンを製造するとともに、副生された亜鉛および塩素を再利用することにより、プロセスをクローズド化できるので、大幅なコスト削減が可能である。
上記亜鉛還元法で集合体として得られた多結晶シリコンは、結晶同士の付着力がそれほど強固ではないので、ジョークラッシャー等の破砕機で簡単に解砕できる。解砕された多結晶シリコンは、所定サイズの篩にかけて粒度を調整した後、高純度の多結晶シリコンの製品とされる。
亜鉛還元法により得られた高純度の多結晶シリコンに含まれる不純物の濃度は、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)により調べることができる。
(単結晶シリコンの製造)
本発明に係る多結晶シリコン中に含まれるホウ素、リンおよびアルミニウムの不純物濃度を測定するための単結晶シリコンは、上記亜鉛還元法により製造した多結晶シリコンを用いて一般的な単結晶シリコンを製造方法、例えばチョクラルスキー(CZ)法を用いて製造することができる。
以下、CZ法を用いた単結晶シリコンの製造について説明する。まず、上記多結晶シリコンを、必要に応じてホウ素、リン等のドーパント成分とともに高純度の石英ガラス製の坩堝内に充填する。その後、単結晶シリコンの引上げ装置の内部をアルゴンガスで置換するとともに、高周波加熱により多結晶シリコンを1420℃以上に加熱して融解する。
次に、引上げ装置内の温度を徐々に下げていき、例えば、シリコン融液の表面温度を1420℃まで下げる等の温度制御を行う。その後、作製したい方位の単結晶シリコンの種結晶をシリコン融液に浸して、種結晶の先端を溶解する。
そして、種結晶中に存在していた結晶欠陥(以下「転位」という。)および種付け時に熱ショックで新たに発生した転位などを除去するため、比較的速い引上げ速度(例えば2〜5mm/分)で引上げ、単結晶シリコンのネック部を直径4〜6mmで形成する。
結晶の直径が広がり、それに伴う潜熱分を徐熱するに必要分の融液に印加される電力を徐々に下げ、単結晶シリコンの引き上げ速度も例えば0.3〜0.7mm/分となるように遅くして、短時間でかつ急激に増径(2〜3mm径/min)させることで、小径のネック部から所定の直径(例えば180〜220mm)の定径部に至るまでの単結晶シリコンの肩部を形成する。その後、前記温度と引上げ速度とを調整し、単結晶シリコンの結晶径が一定になるように定径部の育成を行なっていく。
単結晶シリコンの引き上げをそのままを継続し、単結晶シリコンが所定の長さ(例えば1000mm)になったら、シリコン融液の上面近傍の温度を上げるとともに引上げ速度を早めて単結晶シリコンを細く形成するようにする。これにより、定径部から単結晶シリコンの直径を次第に減少させ、略ゼロとする尾部を形成する。単結晶シリコンのインゴットがシリコン融液から離れたら、引上げ製造作業は完了となる。
このように、本発明に係る反応容器を用いて製造した高純度の多結晶シリコンを原料として単結晶シリコンを生成することで、単結晶シリコン中のリン、ホウ素、アルミニウム(Al)および鉄等の不純物の濃度を低く抑えることができる。
成長させた単結晶シリコン中のリン、ホウ素、アルミニウムの濃度については、ウェーハに加工したシリコンの表面を鏡面エッチングした後、低温(12K)赤外吸収分析装置(低温FT−IR)により測定することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(反応容器の作製)
シリカを主成分としアルミナを5重量%含み、リン濃度が90ppmw、ホウ素濃度が850ppmw、鉄濃度が2000ppmwであるキャスタブル材(表6)を用いて、縦型の反応容器を作製した。キャスタブル材中のリン、ホウ素および鉄の濃度は、ICP−OES(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「SPS3500 Series」)で分析した。また、これ以外の成分についても分析した(表1)。
反応容器1の作製は、以下のように行った。まず、上端が開口し下端が閉塞した筒状の鉄製容器を作製した。次に、この鉄製容器の内部に、該鉄製容器より小径で同一形状の別の鉄製容器を同軸で配置し、両者の隙間を一律にした状態で両者を固定した。この固定は、金属の棒状部材を双方の鉄製容器を貫通させて行った。そして、前記2つの鉄製容器の隙間に上記組成のキャスタブル材を調製して充填し、およそ600℃で24時間以上保持して乾燥し、容器下部3を作製した(図1参照)。さらに、容器下部3の内表面を不透明の石英管である耐火材4(自社製)で覆った。容器下部3の上部に不透明の石英シリンダーである石英製の容器上部2(コバレントマテリアル社製「高純度石英ガラス製品 T-200型」)を設置し、容器上部2の開口端と容器下部3の開口端とが一致するように積み上げて、市販の無機材料用接着剤で両者を固定した。その後、亜鉛ガスやテトラクロロシランガスを導入するための供給ノズル5,6や排気管7を設けた。
なお、石英製の容器上部2、供給ノズル5,6および排気管7と耐火材4の材質を分析した結果、リン、ホウ素および鉄等の不純物濃度は検出レベル未満であった。
Figure 2015113252
(多結晶シリコンの製造)
作製した反応容器に対して亜鉛ガスを供給速度50kg/hで供給するとともに、四塩化珪素を供給速度85kg/hで供給しながら、還元温度を950℃に設定して、亜鉛還元反応を10時間行った。この結果、75kgの多結晶シリコンが得られた。
得られた多結晶シリコンを解砕した後、クラス100,000(1フィート立方中(28.8リットル)に直径0.5μm以上の微粒子が100,000個以下である清浄度)のクリーンルーム内で、純水洗浄と2%の希塩酸による洗浄とをそれぞれ行った。その後、洗浄した多結晶シリコンを純水でリンスし、乾燥して、50%の濃フッ酸に15時間浸漬した。浸漬した多結晶シリコンを再度純水でリンスし、さらに2%の希塩酸による洗浄および超純水洗浄をこの順で行った。その後、洗浄した多結晶シリコンから多結晶シリコンのサンプル3つを採取して、各サンプルについてICP−MS(Agilent Technologies社製「Agilent 7500 Series」)により多結晶シリコンに含まれる不純物の分析を行った。いずれのサンプルに含まれる鉄量も、検出下限である10ppbw(part per billion weight)より下であった(表7)。他の重金属成分のうち、亜鉛が250ppbw検出された以外は、12元素(Na、Mg、Ca、Ti、Cr、Mn、Co、NiCu、Mo、CdおよびPb)は検出下限である10ppbwより下であった。
(単結晶シリコンの製造)
上記洗浄した多結晶シリコンのうち、反応器の下部付近で回収されたシリコン50gを、合成石英製の坩堝を用いたCZ法により、直径15〜18mmの単結晶シリコンを以下のように成長させた。
多結晶シリコン50gを合成石英製の坩堝内に充填した後、単結晶シリコンの引上げ装置の内部をアルゴンガスで置換するとともに、石英ルツボを保持するためのグラファイトサセプターに200kHzを印加する高周波加熱により、多結晶シリコンを1420℃以上に加熱して融解した。その後、30分間融液を1420℃以上で保持した。
次に、引上げ装置内の温度を徐々に下げていき、シリコン融液の表面中心温度を1420℃まで下げた。その後、5mm角の(100)方位の単結晶シリコンの種結晶をシリコン融液に浸して種結晶の先端を溶解させ、さらに最適な温度に調整した。種結晶は10回転/分で回転させ、ルツボの回転はない条件とした。
単結晶シリコンの育成においては、ネッキング工程を実施することなくシリコン融液の上面近傍の温度を数℃下げるとともに、単結晶シリコンの引き上げ速度を例えば0.3〜0.7mm/分となるように遅くして、短時間でかつ急激に増径させることで、所定の直径(15〜18mm)の定径部に至るまでの単結晶シリコンの肩部を形成した。その後、引上げ速度を1mm/分とし、前記温度を調整し、単結晶シリコンの結晶径が一定になるように定径部の育成を行なった。
単結晶シリコンの引き上げをそのままを継続し、単結晶シリコンが所定の長さ(例えば70mm)になったところで、シリコン融液の上面近傍の温度を上げるとともに、引上げ速度を2mm/分に早めて単結晶シリコンを細く形成するようにした。これにより、定径部から単結晶シリコンの直径を次第に減少させ、略ゼロとする尾部を形成した。単結晶シリコンのインゴットがシリコン融液から離れた段階で、引上げ製造作業を完了させた。育成された結晶は室温まで冷却され、その後、装置から取り出した。
得られた単結晶シリコンの固化率90%の部分を外周刃の切断機により約2.3mm厚のウェハーに切断し、当該ウェハーの表面を炭化珪素砥粒でラッピングした後、純水で洗浄し、フッ硝酸(50%フッ酸:70%硝酸=1:5の混合液)で鏡面エッチングを行った。その後、該ウェハーを超純水でリンス処理した後、気体窒素(N2)を吹き付けて乾燥させた。
ここで、固化率90%の部分を切断するのは、一般に、結晶の固化率90%までが太陽電池用のシリコンとしてデバイス作製等に使用されるためである。また、固化率90%の単結晶シリコンの部分の不純物濃度を計測や算出するのは、固化率90%の部分が最も不純物濃度が高い部分となることから、固化率90%の部分で不純物濃度が上記所定値未満であることを確認できれば、その他の部分を確認する必要がなくなるからである。なお、「固化率90%」とは、CZ法に用いる坩堝に充填した多結晶シリコンの全量を100%としたときに、そのうちの90%に相当する量が単結晶シリコンとして固化したときのシリコン融液と接している単結晶シリコンの部分の位置をいう。
得られた単結晶シリコンのウェハーを低温FT−IR(ブルカー・オプティクス社製「CryoSAS」)に設置し、単結晶シリコン中のドーパント成分の濃度を測定した。その結果、各ドーパント成分の濃度は、ウェハー中のリン濃度は1.8×1014atoms/cc、ホウ素の濃度は1.2×1014atoms/cc、アルミニウム濃度は0.01×1014atoms/ccであった(表7)。
[実施例2]
(反応容器の作製)
シリカを主成分としアルミナを0.2重量%、リン濃度が50ppmw、ホウ素濃度が500ppmw、鉄濃度が900ppmwであるキャスタブル材を用いて、実施例1と同様に反応容器を作製した。キャスタブル材中のリン、ホウ素および鉄の各濃度をICP−OESで分析した(表6)。また、これ以外の成分についても分析した(表2)。
Figure 2015113252
(多結晶シリコンの製造)
上記実施例2の反応容器を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多結晶シリコンの製造を行った。得られた多結晶シリコンを解砕および洗浄した後、実施例1と同様に、ICP−MSにより不純物の分析を行った。分析の結果、多結晶シリコン中に含まれる鉄は、検出下限である10ppbwより下であった(表7)。亜鉛が450ppmwであること以外は、他の12金属元素は検出下限である10ppbwより下であった。
(単結晶シリコンの製造)
製造した多結晶シリコンを用いて、実施例1と同様に単結晶シリコンのウェハーを製造した。このウェハー中のドーパント成分について、実施例1と同様に低温FT−IRにより測定した。この単結晶の固化率90%の部位での各ドーパント成分の濃度は、リン濃度は0.5×1014atoms/cc、ホウ素濃度は0.3×1014atoms/cc、アルミニウム濃度は検出下限である0.01×1014atoms/ccより下であった(表7)。
[比較例1]
シリカを主成分としアルミナを15重量%で含み、反応容器としてP濃度が200ppmw、B濃度が3000ppmw、Fe濃度が8000ppmwであるキャスタブル材を用いて、実施例1と同様に反応容器を作製した。キャスタブル材のリン、ホウ素および鉄の各濃度はICP−OESで分析した(表6)。また、これ以外の成分についても分析した(表3)。
Figure 2015113252
(多結晶シリコンの製造)
上記比較例1の反応容器を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多結晶シリコンの製造を行った。得られた多結晶シリコンを解砕および洗浄した後、実施例1と同様に、ICP−MSにより不純物の分析を行った。分析の結果、多結晶シリコン中に含まれる鉄は、20ppbwであった(表7)。亜鉛が830ppmw以外は、他の12金属元素は検出下限である10ppbwより下であった。
(単結晶シリコンの製造)
製造した多結晶シリコンを用いて、実施例1と同様に単結晶シリコンのウェハーを製造した。このウェハー中のドーパント成分について、実施例1と同様に低温FT−IRにより測定した。この単結晶の固化率90%の部位での各ドーパント成分の濃度は、リン濃度は3.5×1014atoms/cc、ホウ素濃度は2.6×1014atoms/cc、アルミニウム濃度は0.03×1014atoms/ccであった(表7)。
[実施例3]
(反応容器の作製)
炭化珪素を主成分とし、アルミナを9重量%含み、リン濃度が100ppmw、ホウ素濃度が300ppmw、鉄濃度が1500ppmwであるキャスタブル材(日本特殊炉材(株)製「フレキサイト(登録商標)KERSIK−PB」、表6)を用いて、実施例1と同様に反応容器を作製した。キャスタブル材中のリン、ホウ素および鉄の各濃度をICP−OESで分析した。また、これ以外の成分についても分析した(表4)。
Figure 2015113252
(多結晶シリコンの製造)
上記実施例3の反応容器を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多結晶シリコンの製造を行った。得られた多結晶シリコンを解砕および洗浄した後、実施例1と同様に、ICP−MSにより不純物の分析を行った。分析の結果、シリコン中に含まれる鉄は、検出下限である10ppbwより下であった(表7)。亜鉛が580ppmw以外は、他の12金属元素は検出下限である10ppbwより下であった。
(単結晶シリコンの製造)
製造した多結晶シリコンを用いて、実施例1と同様に単結晶シリコンのウェハーを製造した。このウェハー中のドーパント成分について、実施例1と同様に低温FT−IRにより測定した。この単結晶シリコンの固化率90%の部位での各ドーパント成分の濃度は、リン濃度は1.5×1014atoms/cc、ホウ素濃度は0.3×1014atoms/cc、アルミニウム濃度は検出下限である0.01×1014atoms/ccより下であった(表7)。
[比較例2]
(反応容器の作製)
炭化珪素を30%、シリカを22%とし、アルミナを43重量%で含み、リン濃度が200ppmw、ホウ素濃度が300ppmw、鉄濃度が1000ppmwであるキャスタブル材(日本特殊炉材(株)製「フレキサイト(登録商標)KERSIK−PB」、表6)を用いて、反応容器を実施例3と同様に作製した。キャスタブル材のリン、ホウ素および鉄の各濃度はICP−OESで分析した。また、これ以外の成分についても分析した(表5)
Figure 2015113252
(多結晶シリコンの製造)
上記比較例2の反応容器を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多結晶シリコンの製造を行った。得られた多結晶シリコンを解砕および洗浄した後、実施例1と同様に、ICP−MSにより不純物の分析を行った。分析の結果、多結晶シリコン中に含まれる鉄は、検出下限である10ppbwより下であった。亜鉛が650ppmw以外は、他の12金属元素は検出下限である10ppbwより下であった(表7)。
(単結晶シリコンの製造)
製造した多結晶シリコンを用いて、実施例1と同様に単結晶シリコンのウェハーを製造した。このウェハー中のドーパント成分について、実施例1と同様に低温FT−IRにより測定した。かかる単結晶の固化率90%の部位での各ドーパント成分の濃度は、リン濃度は3.5×1014atoms/cc、ホウ素濃度は0.4×1014atoms/cc、アルミニウム濃度は検出下限の0.72×1014atoms/ccより下であった(表7)。
Figure 2015113252
Figure 2015113252
本発明に係る上記反応容器を用いた亜鉛還元法により得られた多結晶シリコンは、重金属等の不純物が少なく、また、リンやホウ素等のシリコンのドーパント成分も少ない。この結果、太陽光発電用の結晶シリコンを育成する際、結晶シリコンの電気抵抗率を調整しやすい。また、亜鉛還元反応用の反応容器を大型化することができ、製造量を増やすことができる点で、低コストで高純度の結晶シリコンの製造が可能となる。
1 反応容器
2 容器上部
3 容器下部
4 耐火材
5,6 供給ノズル
7 排気管
P 多結晶シリコンの集合体
G1 四塩化珪素ガス
G2 亜鉛ガス
G3 排ガス

Claims (6)

  1. シリカ、炭化珪素およびアルミナからなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する材料からなり、
    リン濃度が150ppmw以下、かつ、鉄濃度が3000ppmw以下であり、
    四塩化珪素ガスを亜鉛ガスで還元することによりP型の多結晶シリコンを製造する亜鉛還元反応に用いられる、亜鉛還元反応用の反応容器。
  2. シリカ、炭化珪素およびアルミナからなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する材料からなり、
    ホウ素濃度が1500ppmw以下、かつ、鉄濃度が3000ppmw以下であり、
    四塩化珪素ガスを亜鉛ガスで還元することによりN型の多結晶シリコンを製造する亜鉛還元反応に用いられる、亜鉛還元反応用の反応容器。
  3. シリカが主成分であり、かつ、アルミナ濃度が10重量%以下である、請求項1または2に記載の反応容器。
  4. 炭化珪素が主成分であり、かつ、アルミナ濃度が10重量%以下である、請求項1または2に記載の反応容器。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の反応容器を用いて四塩化珪素ガスを亜鉛ガスで還元する工程を含む、多結晶シリコンの製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法により製造された多結晶シリコン。
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WO2020153340A1 (ja) * 2019-01-25 2020-07-30 株式会社トクヤマ 多結晶シリコン塊状物、その梱包体及びこれらの製造方法

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