JP2015106140A - 赤外線カット機能を有する低屈折率膜形成用組成物及びこれを用いた低屈折率膜の形成方法並び低屈折率膜 - Google Patents

赤外線カット機能を有する低屈折率膜形成用組成物及びこれを用いた低屈折率膜の形成方法並び低屈折率膜 Download PDF

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Abstract

【課題】低屈折率化機能に加えて赤外線カット機能を有する低屈折率膜を形成する組成物を提供する。【解決手段】本発明の赤外線カット機能を有する低屈折率膜形成用組成物は、数珠状コロイダルシリカ粒子、球状コロイダルシリカ粒子、針状コロイダルシリカ粒子、板状コロイダルシリカ粒子又はヒュームドシリカ粒子と、平均粒子径が10〜120nmの範囲のIn、Sn、Zn、Ti及びWからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の粒子とが液体媒体中に分散してなる。前記シリカ粒子を組成物の全固形分に対して50〜95質量%含み、前記金属酸化物の粒子を組成物の全固形分に対して0.1〜30質量%含む。【選択図】なし

Description

本発明は、カメラモジュール、センサーモジュール、ディスプレイパネル、太陽電池、光学レンズ等に用いられる赤外線カット機能を有する低屈折率膜を形成するための組成物及びこれを用いた低屈折率膜の形成方法並び低屈折率膜に関する。
ガラスやプラスチック等の透明基材の表面に形成された低屈折率の膜は、ブラウン管、液晶、有機EL等のディスプレイパネル、太陽電池、光学レンズ、ショーケース用ガラス等において、入射する光の反射を防止するための反射防止膜として利用されている。例えば、ディスプレイパネルの表示面側には視認性を向上させるための反射防止膜が設けられる。また太陽電池の分野では、入射する太陽光の反射を防止して光の吸収率を上げるために、ガラス基材の表面等に低屈折率の膜が反射防止膜として形成されている。
従来、ゾルゲル法を利用した低屈折率膜の形成方法として、テトラアルコキシシランであるケイ素化合物(A)と、フッ素含有のトリアルコキシシランであるケイ素化合物(B)と、アルコール(C)と、シュウ酸(D)とを所定の割合で混合して得られた反応混合物を、水の不存在を維持しながら、所定の温度で加熱することでポリシロキサン溶液を生成し、このポリシロキサン溶液を基材表面に塗布し、熱硬化させる被膜の形成方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法によれば、ポリシロキサン溶液の生成を、ケイ素化合物(A)とケイ素化合物(B)の加水分解による縮合ではなく、水が存在しない反応混合物中での加熱により行っている。これにより、反応の過程でポリシロキサン溶液に濁りが生じたり、不均一なポリシロキサンが生成されるのを防止でき、またケイ素化合物(B)の割合を従来よりも少なくしても低屈折率の膜が得られる。
こうした低屈折率膜の用途のひとつとして、表面にマイクロレンズを形成することにより受光感度を向上させたCCD(Charge Coupled Device, 電荷結合素子)に代表される固体撮像素子において、カラーフィルタ層と層間絶縁膜の間に設けられる低屈折率の透明平坦化膜が知られている(例えば、特許文献2参照。)。一般に、カメラに装着されたCCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の光電変換素子を有する従来の固体撮像素子では、カラーフィルタ層に赤外線をカットする機能がなく、そのため、700nm以上の長波長の光が光電変換素子に入ってしまい正確な色分解がなされない。上記特許文献1に示される低屈折率膜にも、また上記特許文献2に示される低屈折率の透明平坦化膜にも赤外線をカットする機能がない。そのために、低屈折率の透明平坦化膜を有する上記特許文献2に示される固体撮像素子においては、正確な色分解を行って光電変換素子のS/N(信号/ノイズ)比を向上させる赤外線カットフィルタを更に設ける必要があった。
その一方、こうした赤外線カットフィルタを不要とした、赤外領域の光をカットする機能をもった固体撮像素子及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この固体撮像素子は、複数の光電変換素子上に、少なくとも平坦化層、カラーフィルタ層、略半球状のマイクロレンズが構成要素として順次に配設され、上記マイクロレンズ及び平坦化層が赤外線吸収機能をもっている。
この固体撮像素子は、次の1)〜5)の工程により製造される。
1)半導体基板の光電変換素子上に、赤外線吸収機能をもつ樹脂塗布液を用い、赤外線吸収機能をもつ平坦化層を形成する工程、
2)この平坦化層上に、色素を色材とした感光性着色レジストを用い、フォトリソグラフィによって複数色のカラーフィルタ層を形成する工程、
3)この複数色のカラーフィルタ層上に、赤外線吸収機能をもつ樹脂塗布液を用い、赤外線吸収層を形成する工程、
4)この赤外線吸収層上に、アルカリ可溶性、感光性、及び熱フロー性を有するレンズ材料を用い、フォトリソグラフィ及び熱処理によってレンズ母型を形成する工程、
5)このレンズ母型上に、ドライエッチングを行い、赤外線吸収層レンズ母型パターンを転写し、赤外線吸収層を赤外線吸収機能をもつ略半球状のマイクロレンズとする工程。
上記特許文献3に示される固体撮像素子では、上記構成により、厚みのある赤外カットフィルタを必要することなく集光性を改善するとともに、反射光を低減させるS/N(信号/ノイズ)比を改善して画質を向上させている。そしてこのマイクロレンズの最外層に、低屈折率樹脂の薄膜を積層することにより、マイクロレンズの表面の入射光の再反射を低減させている。
上記特許文献3に示される赤外線吸収層は、赤外線吸収剤を含む樹脂塗布液を用いて形成され、この赤外線吸収剤としては、アントラキノン系化合物、フタロシアニン系化合物、シアニン系化合物、ポリメチレン系化合物、アルミニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、イモニウム系化合物、アゾ系化合物が用いられ、赤外線吸収機能は、赤外線吸収剤を透明樹脂に添加或いはペンダント(反応性染料など反応型赤外線吸収剤などの形で樹脂分子鎖に組み込む)方式が採られている。
特開平9−208898号公報(請求項1、段落[0009]) 特開2007−119744号公報(段落[0002]) 特開2004−200360号公報(請求項1、請求項3、請求項8、段落[0011]、[0025]、[0031]、図6、図7)
上記特許文献3に示される固体撮像素子の平坦化層は、その屈折率が高く、固体撮像素子の光取込量を阻害するために、この固体撮像素子ではその図7に示されように赤外線吸収層の上に低屈折率膜を設ける必要があり、余分な成膜工程を要する不具合があった。
本発明の第1の目的は、低屈折率化機能に加えて赤外線カット機能を有する低屈折率膜を形成するための組成物を提供することにある。本発明の第2の目的は、この組成物を用いて製造コストと製造時間の比較的少ないゾルゲル法により低屈折率膜を形成する方法を提供することにある。また本発明の第3の目的は、低屈折率化する機能に加えて赤外線カット機能を有する低屈折率膜を提供することにある。
本発明の第1の観点は、数珠状コロイダルシリカ粒子、球状コロイダルシリカ粒子、針状コロイダルシリカ粒子、板状コロイダルシリカ粒子又はヒュームドシリカ粒子と、平均粒子径が10〜120nmの範囲のIn、Sn、Zn、Ti及びWからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の粒子とが液体媒体中に分散してなり、前記シリカ粒子を組成物固形分に対して50〜95質量%含み、前記金属酸化物の粒子を組成物固形分に対して0.1〜30質量%含む赤外線カット機能を有する低屈折率膜形成用組成物である。
本発明の第2の観点は、第1の観点の発明であって、ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素及びジチオール金属錯体色素からなる群より選ばれた1種又は2種以上の近赤外線吸収色素を組成物固形分100質量%に対して0.001〜0.5質量%の範囲で更に含む低屈折率膜形成用組成物である。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の低屈折率膜形成用組成物を基材上に塗布し乾燥した後、焼成することにより赤外線カット機能を有する低屈折率膜を形成する方法である。
本発明の第4の観点は、第3の観点の方法により製造された赤外線カット機能を有する低屈折率膜であって、波長550nmにおける屈折率が1.4以下で、波長300〜800nmにおける平均透過率が80%以上で、波長800〜1500nmにおける平均透過率が50%以下である赤外線カット機能を有する低屈折率膜である。
本発明の第5の観点は、第4の観点の発明であって、空隙率が10〜50%である赤外線カット機能を有する低屈折率膜である。
本発明の第6の観点は、光電変換素子上に第4又は第5の観点の赤外線カット機能を有する低屈折率膜が形成されたフォトダイオードである。
本発明の第7の観点は、光電変換素子上に第4又は第5の観点の赤外線カット機能を有する低屈折率膜が形成された太陽電池である。
本発明の第1の観点の組成物は、数珠状コロイダルシリカ粒子、球状コロイダルシリカ粒子、針状コロイダルシリカ粒子、板状コロイダルシリカ粒子又はヒュームドシリカ粒子と、平均粒子径が10〜120nmの範囲のIn、Sn、Zn、Ti及びWからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の粒子とが液体媒体中に分散して調製される。前記シリカ粒子が組成物固形分に対して50〜95質量%含まれ、かつ前記金属酸化物の粒子が組成物固形分に対して0.1〜30質量%含まれるため、この組成物は赤外線カット機能を有するとともに低屈折率膜を形成するのに適する。
本発明の第2の観点の組成物は、第1の観点の組成物中に、ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素及びジチオール金属錯体色素からなる群より選ばれた1種又は2種以上の近赤外線吸収色素を組成物固形分100質量%に対して0.001〜0.5質量%の範囲で更に含むため、より一層赤外線カット機能が高くなる。
本発明の第3の観点の方法では、前記組成物をゾルゲル法により基材上に塗布し乾燥した後、焼成することにより、製造コストと製造時間を比較的少なくして、1つのプロセスで赤外線カット機能と低屈折率機能の2つの機能を有する膜を形成することができる。
本発明の第4の観点によれば、波長550nmにおける屈折率が1.4以下で、波長300〜800nmにおける平均透過率が80%以上で、波長800〜1500nmにおける平均透過率が50%以下であるため、広い波長領域で赤外線カット機能を有する低屈折率膜が得られる。
本発明の第5の観点によれば、空隙率が10〜50%であるため、屈折率をより低くした低屈折率膜が得られる。
本発明の第6の観点によれば、光電変換素子上に前記赤外線カット機能を有する低屈折率膜を形成することにより、赤外線をカットするとともに低屈折率化する機能を有する膜を備えたフォトダイオードが得られる。
本発明の第7の観点によれば、光電変換素子上に前記赤外線カット機能を有する低屈折率膜を形成することにより、赤外線をカットするとともに低屈折率化する機能を有する膜を備えた太陽電池が得られる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の赤外線カット機能を有する低屈折率膜形成用組成物は、低屈折率膜を形成するための液組成物である第1分散体と、赤外線カット機能を有する液組成物である第2分散体を均一に混合することにより製造される。
〔第1分散体〕
初めに第1分散体について説明する。低屈折率膜を形成するための液組成物である第1分散体は、特定のケイ素化合物による加水分解物と、数珠状コロイダルシリカ粒子、球状コロイダルシリカ粒子、針状コロイダルシリカ粒子、板状コロイダルシリカ粒子又はヒュームドシリカ粒子が液体媒体中に分散したシリカゾル(F)を所定の割合で混合して製造される。加水分解物は下記化学式(1)に示すケイ素アルコキシド(A)と、下記化学式(2)に示すフルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)との加水分解による縮合によって生成したものである。
Si(OR) (1)
(但し、式(1)中、Rは1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)
CF(CF)CHCHSi(OR) (2)
(但し、式(2)Rは1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表し、nは0〜8の整数を表す。)
ケイ素アルコキシド(A)とフルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)との加水分解物とする理由は、膜表面の濡れ性を向上させるためである。例えば、ケイ素アルコキシド(A)のみによる加水分解物では、膜表面の濡れ性が悪化し、重ねて膜を形成する際の塗布性が十分に得られず、また均一な膜厚の膜が得られないからである。
上記式(1)に示すケイ素アルコキシド(A)としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。このうち、硬度が高い膜が得られることから、テトラメトキシシランが好ましい。また、上記式(2)に示すフルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)としては、具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。このうち、加水分解反応性が高く、反応制御がしやすいという理由から、トリフルオロプロピルトリメトキシシランが好ましい。
上記式(1)に示すケイ素アルコキシド(A)と、上記式(2)に示すフルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)との加水分解物は、有機溶媒中において、これらを加水分解(縮合)させることにより生成される。具体的には、先ず、上記ケイ素アルコキシド(A)と上記ケイ素アルコキシド(B)を、質量比で1:0.6〜1.6(A:B)の割合で混合する。ここで、ケイ素アルコキシド(A)とフルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)の質量比を上記範囲に限定したのは、ケイ素アルコキシド(A)に対するケイ素アルコキシド(B)の質量比が少なすぎると、形成後の膜の屈折率が十分に低下しないからである。また、ケイ素アルコキシド(A)に対するケイ素アルコキシド(B)の質量比が多すぎると、膜表面の濡れ性が悪化するからである。このうち、ケイ素アルコキシド(A)とケイ素アルコキシド(B)の割合は、質量比で1:0.65〜1.3(A:B)とするのが好ましい。
そして、上記混合物1質量部に対して、水(C)を0.5〜5.0質量部、ギ酸(D)を0.005〜0.5質量部、アルコール、グリコールエーテル、又はグリコールエーテルアセテートの有機溶媒(E)を1.0〜5.0質量部の割合で混合してケイ素アルコキシド(A)とケイ素アルコキシド(B)の加水分解反応を進行させることで得られる。ここで、水(C)の割合を上記範囲に限定したのは、水(C)の割合が下限値未満では屈折率が十分に低下せず、一方、上限値を越えると膜のヘイズが増大するからである。このうち、水(C)の割合は0.8〜3.0質量部が好ましい。水(C)としては、不純物の混入防止のため、イオン交換水や純水等を使用するのが望ましい。
ギ酸(D)は加水分解反応を促進させるための酸性触媒として機能するが、触媒をギ酸(D)に限定したのは、ギ酸(D)を用いることによって、屈折率が低く、かつヘイズの低い膜になりやすいからである。加水分解反応を促進させる触媒としては、アンモニア等の塩基性触媒や、硝酸、塩酸等の無機酸、或いはシュウ酸、酢酸等のギ酸以外の有機酸も存在するが、例えば硝酸を触媒として用いた場合等には、形成される膜に成膜後の膜中において不均一なゲル化が促進されやすいことから、膜のヘイズが増大する傾向がみられ、ギ酸(D)を用いた場合の上記効果が得られ難い。また、ギ酸(D)の割合を上記範囲に限定したのは、ギ酸(D)の割合が下限値未満では反応性に乏しいために膜が形成されず、一方、上限値を越えると膜のヘイズが増大するからである。このうち、ギ酸(D)の割合は0.008〜0.2質量部が好ましい。
有機溶媒(E)に用いられるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール(IPA)等が挙げられる。また、グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。また、グリコールエーテルアセテートとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。有機溶媒(E)を、これらアルコール、グリコールエーテル又はグリコールエーテルアセテートに限定した理由は、ケイ素アルコキド(A)及びフルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)との混合がしやすいのためである。このうち、加水分解反応の制御がしやすく、また膜形成時に良好な塗布性が得られることから、エタノール、IPA、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。また、有機溶媒(E)の割合を上記範囲に限定したのは、有機溶媒(E)の割合が下限値未満では成膜時の膜厚ムラによってヘイズが増大し、一方、上限値を越えると液中に析出物が生じる結果、塗膜のヘイズが増大するからである。このうち、有機溶媒(E)の割合は1.5〜3.5質量部が好ましい。
低屈折率膜を形成するための液組成物である第1分散体に含まれるシリカゾル(F)は、数珠状コロイダルシリカ粒子、球状コロイダルシリカ粒子、針状コロイダルシリカ粒子、板状コロイダルシリカ粒子又はヒュームドシリカ粒子が液体媒体中に分散したゾルである。この中で特に数珠状コロイダルシリカ粒子が分散したシリカゾル(F)が好ましい。数珠状コロイダルシリカ粒子が分散したものが好ましい理由は、数珠状コロイダルシリカ粒子が存在することによって、形成される膜に空孔ができやすく、非常に低い屈折率の膜を形成することができるからである。また、粒子のサイズが小さく、膜のヘイズを小さくできるためである。
上記数珠状コロイダルシリカ粒子は、平均粒子径が5〜50nmの複数の球状コロイダルシリカ粒子が、金属酸化物含有シリカによって接合されたものである。ここで、数珠状コロイダルシリカ粒子を構成する複数の球状コロイダルシリカ粒子の平均粒子径を上記範囲に限定したのは、平均粒子径が下限値未満では形成後の膜の屈折率が十分に低下せず、一方、上限値を越えると膜表面の凹凸により膜のヘイズが増大するからである。このうち、上記数珠状コロイダルシリカ粒子を構成する複数の球状コロイダルシリカ粒子の平均粒子径は5〜30nmの範囲であることが好ましい。なお、上記球状コロイダルシリカ粒子の平均粒子径とは、BET法により測定した平均粒径をいう。
また、上記数珠状コロイダルシリカ粒子は、上記球状コロイダルシリカ粒子の動的光散乱法により測定された平均粒子径(Dnm)と上記球状コロイダルシリカ粒子の窒素吸着法により測定された比表面積Sm/gからD=2720/Sの式により得られる平均粒子径(Dnm)との比D/Dが3以上であって、このDが30〜300nmであり、上記球状コロイダルシリカ粒子が一平面内のみにつながっている。D/Dが3以上に限定したのは、3未満では、形成後の膜のヘイズが増大するからである。このうち、D/Dは3〜20であることが好ましい。また、Dを上記範囲に限定したのは、下限値未満では粒子が凝集して沈殿物を形成しやすく、一方、上限値を越えると形成後の膜のヘイズが増大するからである。このうち、Dは35〜150nmであることが好ましい。また、球状コロイダルシリカ粒子を接合する金属酸化物含有シリカとしては、例えば非晶質のシリカ、又は、非晶質のアルミナ等が例示される。また、数珠状コロイダルシリカ粒子が分散する液体媒体としては、例えばメタノール、エタノール、IPA、エチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が例示され、使用するシリカゾルのSiO濃度が5〜40質量%であるものが好ましい。使用するシリカゾルのSiO濃度が低すぎると形成後の膜の屈折率が十分に低下しない場合があり、一方、高すぎるとシリカゾル中のSiOが凝集しやすく液が不安定となる場合がある。このような数珠状コロイダルシリカ粒子が分散したシリカゾルとしては、例えば特許第4328935号に記載されているシリカゾル等を使用することができる。
低屈折率膜を形成するための液組成物である第1分散体において、上記加水分解物と上記シリカゾル(F)は、加水分解物中のSiO分を100質量部とするときに、上記シリカゾル(F)のSiO分が50〜500質量部となるように混合して調製される。シリカゾル(F)の割合が下限値未満では形成後の膜の屈折率が十分に低下せず、一方、上限値を越えると膜厚が不均一になることでヘイズが増大するからである。このうち、シリカゾル(F)の割合は、加水分解物中のSiO分100質量部に対するシリカゾル(F)のSiO分が150〜350質量部となる割合とするのが好ましい。
〔第1分散体の製造〕
上記第1分散体を製造するには、先ず、上記ケイ素アルコキシド(A)と上記フルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)を、上述の所定の割合となるように秤量して混合する。更に、この混合物に有機溶媒を添加して、好ましくは30〜40℃の温度で5〜20分間撹拌することにより第1液を調製する。また、水(C)とギ酸(D)を混合し、好ましくは30〜40℃の温度で5〜20分間撹拌することにより第2液を、これとは別に調製する。なお、ケイ素アルコキシド(A)として用いられるテトラメトキシシラン等は毒性が強いため、この単量体を予め3〜6程度重合させたオリゴマーを使用するのが望ましい。次に、上記調製した第1液を、好ましくは30〜80℃の温度に保持して、第1液に第2液を添加し、上記温度を保持した状態で好ましくは30〜180分間撹拌する。これにより、上記ケイ素アルコキシド(A)と上記フルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)との加水分解物が生成される。そして、加水分解物と上記数珠状コロイダルシリカ粒子が分散したシリカゾルを上述の所定の割合で混合することにより、第1分散体が得られる。
〔第2分散体〕
次に第2分散体について説明する。赤外線カット機能、即ち熱線遮蔽機能を有する液組成物である第2分散体は、平均粒子径が10〜120nmの範囲のIn、Sn、Zn、Ti及びWからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の粒子を液体媒体に混合調製されるか、或いは上記金属の酸化物粒子に加えて、ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素及びジチオール金属錯体色素からなる群より選ばれた1種又は2種以上の近赤外線吸収色素が分散して調製される。なお、第2分散体における粒子の平均粒子径とは、個数分布に基づく平均粒子径をいい、200個の平均粒子径である。
上記金属酸化物を例示すれば、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ZnO、WO等が挙げられ、ITOが好ましい。ITO粒子の中で、4.0eV〜4.5eV、好ましくは4.0〜4.35eVの範囲のバンドギャップを有するITO膜の製造に用いられるITO粉末が好ましい。これはバンドギャップが4.0eV未満では、可視光領域の透過率が十分に向上せず、またバンドギャップの上限値の4.5eVは現在の技術で到達し得る最高値である。このITO膜を製造に用いられるITO粉末は、濃青色(L表色系において、L=30以下、a<0、b<0)の色調を有する。
上記ITO粉末は、以下の4つの方法で製造された表面改質処理したITO粉末である。表面改質処理することによってこのITO粉末を用いて製造された赤外線カット機能、即ち熱線遮蔽機能を有する組成物の可視光領域の透過率を上げることができる。
〔ITO粉末の製造〕
(1)第1の製造方法
3価インジウム化合物と2価錫化合物は溶液中においてアルカリの存在下で沈殿し、インジウムと錫の共沈水酸化物を生成する。このとき、溶液のpHを4.0〜9.3、好ましくはpH6.0〜8.0、液温を5℃以上、好ましくは液温10℃〜80℃に調整することによって、乾燥粉末が山吹色から柿色の色調を有するインジウム錫の共沈水酸化物を沈澱させることができる。この山吹色から柿色の色調を有する水酸化物は、従来の白色のインジウム錫水酸化物よりも結晶性に優れている。反応時の液性をpH4.0〜9.3に調整するには、例えば、3塩化インジウム(InCl)と2塩化錫(SnCl・2HO)の混合水溶液を用い、この混合水溶液とアルカリ水溶液とを同時に水に滴下して上記pH範囲に調整することが好ましい。或いは、アルカリ水溶液に上記混合液を滴下する。アルカリ水溶液としてはアンモニア(NH)水、炭酸水素アンモニウム(NHHCO)水などが用いられる。
上記共沈インジウム錫水酸化物の生成後、この沈殿物を純水で洗浄し、上澄み液の抵抗率が5000Ω・cm以上、好ましくは50000Ω・cm以上になるまで洗浄する。上澄み液の抵抗率が5000Ω・cmより低いと塩素等の不純物が十分に除去されておらず、高純度のインジウム錫酸化物粉末を得ることができない。抵抗率が5000Ω・cm以上となった上記沈殿物の上澄み液を捨て、粘度の高いスラリー状にして、このスラリーを撹拌しながら、126〜365nmの範囲の紫外線を1〜50時間の範囲で照射する。紫外線の波長が下限値未満では汎用性のある紫外線照射装置を用いることができず、上限値を越えると上記沈殿物の紫外線吸収が乏しく、紫外線を照射する効果が得られなくなる。その照射時間が下限値未満では上記沈殿物の紫外線吸収が乏しく、紫外線を照射する効果が得られなくなり、その上限値を越えて紫外線を照射してもその効果が得られない。
紫外線を照射した後、スラリー状のインジウム錫水酸化物を大気中、好ましくは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、100〜200℃の範囲で2〜24時間乾燥した後、大気中250〜800℃の範囲で0.5〜6時間焼成する。この焼成により形成された凝集体をハンマーミルやボールミルなどを用いて粉砕してほぐし、ITO粉末を得る。このITO粉末を50〜95質量部の無水エタノールと5〜50質量部の蒸留水を混合した表面処理液に入れて含浸させた後、ガラスシャーレに入れて窒素ガス雰囲気下、200〜400℃の範囲で0.5〜5時間加熱すると、表面改質処理したITO粉末が得られる。
(2)第2の製造方法
第1の製造方法で得られたインジウム錫共沈水酸化物である沈殿物の上澄み液を捨ててスラリー状のインジウム錫水酸化物を得た後、管の長手方向を鉛直にして配置した、250〜800℃の範囲に加熱した管状炉の内部にキャリアガスであるNガスを流通させている状態で、スラリー状のインジウム錫水酸化物を40kHz〜2MHzの超音波によりガス化して流通しているNガスに噴霧する。超音波の周波数が下限値未満では、霧化されたインジウム錫水酸化物を含む液滴が大きく、液滴中のインジウム錫水酸化物の含有量が多いため、熱分解する際に、ITOが焼結し粗大化してしまう不具合があり、上限値を越えると霧化する効率が悪くなる不具合がある。これによりインジウム錫水酸化物が管状炉内で熱分解して管状炉の排出口より表面改質処理したITO粉末が得られる。
(3)第3の製造方法
第1の製造方法で得られたインジウム錫共沈水酸化物である沈殿物の上澄み液を捨ててスラリー状のインジウム錫水酸化物を得た後、このインジウム錫水酸化物を大気中、好ましくは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、100〜200℃の範囲で2〜24時間乾燥してインジウム錫水酸化物粉末を得る。このインジウム錫水酸化物粉末の分散溶液にレーザー光を照射する。この方法で用いることのできるレーザーの種類は、高強度のパルス光を発生できるレーザーであればよく、例えば、Nd:YAGレーザー、エキシマレーザー、Tiサファイアレーザーを用いることができ、Nd:YAGレーザーが好ましい。レーザー光の照射強度は溶液中のインジウム錫水酸化物がレーザー光照射を受けてアブレーションができるのに十分に足りる強度があれば良く、1パルス当りの強度としては10mJ(10mJ/pulse)以上あれば十分であり、望ましくは50mJ/pulse〜500mJ/pulseである。また、レーザー光のパルス幅は限定されないが1nm〜20nsが好ましく、せん頭値(ピークパワー)は0.5〜500MWが好ましい。また、レーザーの発振周波数(パルス周期)は限定されないが、10〜60Hzが好ましく、平均パワーは、0.1〜30Wが好ましい。
この方法では溶液の溶媒として水或いはアルコールやヘキサンなどの有機溶媒を使用することができ、その溶媒はとくに制限されない。好ましくは、照射するレーザー光の波長に対して強い光吸収を有していない液体が望ましい。例えば、266〜1064nmの波長のNd:YAGレーザー光を用いる場合には、脱イオン水、エタノール、メタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコールが好ましい。また、溶液中には各種の界面活性剤あるいは金属塩、酸、アルカリ等の物質を添加剤として加えることができるが、溶液中に完全に溶解されればその物質は制限されない。溶液と同様に照射するレーザー光の波長に対して強い光吸収が無い物質を添加剤として用いることが特に望ましい。例えば、266〜1064nmの波長のNd:YAGレーザー光を用いる場合には、両イオン性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の添加剤を用いることが好ましい。
レーザー光の波長は、溶液の溶媒として脱イオン水を使用した場合には特に限定されないが、266〜1064nmが好ましい。有機溶媒あるいは界面活性剤を用いた場合には、有機溶媒あるいは界面活性剤に対して強い吸収が無い波長が望ましく、355〜1064nmがさらに好ましい。例えば、脱イオン水、またはエタノール、メタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコールなどのアルコールの場合、ナノ秒パルス幅を有するNd:YAGレーザーの基本波(波長:1064nm)、第二高調波(波長:532nm)、第三高調波(波長:355nm)、第四高調波(波長:266nm)などが利用できる。
また望ましくはレーザー光を、集光レンズを介して照射するが、レーザー光の強度が十分に強い場合は集光レンズを除外することも可能である。使用する集光レンズの焦点距離は50cm〜3cmが好ましく、更に好ましくは10cm〜5cmである。また、レーザー光の集光点は液体表面近傍、特に望ましくは液体中に存在すればよい。溶液に分散させるITO粉末の濃度は、10g/L以下が好ましく、望ましくは0.02g/L以下、特に望ましくは0.005g/L以上0.01g/L以下である。
インジウム錫水酸化物がレーザーアブレーションにより溶液中に原子、イオン、クラスターとして解離したのち溶液中で反応し、レーザー照射前のインジウム錫水酸化物よりも平均粒径が小さくなるとともに、熱分解が起こり、ITOナノ粉末が形成される。溶液中で、アブレーションができたことは、例えば、アブレーションプラズマからの発光により確認することができる。
ITO粉末分散液が満たされる容器は、公知の容器の材質、形状などから適宜選択して用いることができる。また、レーザー光照射中は容器内の底部に設置した、撹拌手段を用いてITO粉末分散溶液を撹拌することが好ましい。撹拌手段としては、公知のものを用いることができ、例えばマグネチックスターラーを介して設けられたテフロン(登録商標)製回転子などが挙げられる。撹拌速度は特に限定はないが50〜500rpmが好ましい。またレーザー光を照射する直前のITO粉末分散液の温度は20〜35℃が好ましい。またレーザー光照射中の溶液の温度は25〜40℃が好ましい。
上記条件でのレーザー光照射後、ITOナノ粉末を透過電子顕微鏡により観察するとレーザー照射後のITOナノ粉末分散溶液中の粉末の平均粒子径は、好ましくは1nm以上30nm以下であり、より好ましくは2nm以上15nm以下である。また、レーザー照射後のITOナノ粉末の結晶性を電子線回折によって評価すると、レーザー照射条件によっては非晶質化したITOナノ粉末が得られる場合もある。このようにレーザー照射後に得られるITOナノ粉末が分散した溶液を固液分離し、乾燥すると、表面改質処理したITO粉末が得られる。
(4)第4の製造方法
第1の方法で得られたインジウム錫共沈水酸化物である沈殿物の上澄み液を捨ててスラリー状のインジウム錫水酸化物を得た後、このインジウム錫水酸化物を大気中、好ましくは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、100〜200℃の範囲で2〜24時間乾燥した後、大気中250〜800℃の範囲で0.5〜6時間焼成する。この焼成により形成された凝集体をハンマーミルやボールミルなどを用いて粉砕してほぐし、ITO粉末を得る。このITO粉末をジェットミルを用いて、粉砕処理を行い、平均粒径を5〜15nmの範囲にする。以下、第1の方法と同様に、このITO粉末を無水エタノールと蒸留水とを混合した表面処理液に入れて含浸させた後、ガラスシャーレに入れて窒素ガス雰囲気下、加熱すると、表面改質処理したITO粉末が得られる。
〔第2分散体の製造〕
上記第2分散体を製造するには、先ず、上記方法で製造されたITO粉末又はATO粉末、ZnO粉末、WO粉末等をメチルエチルケトン、トルエン、キシレン又はイソプロピルアルコール等の分散媒に分散して金属酸化物粉末の分散液、即ち第2分散体を製造する。この第2分散体における粉末濃度は0.1〜50質量%、好ましくは0.3〜30質量%の範囲に調整される。粉末濃度が上記下限値未満であると十分な赤外線カット特性、即ち熱線カット特性が得られず、上記上限値を超えると可視光線の透過率が低下する不具合がある。
上記金属酸化物粉末の分散液に更に加えて、ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素及びジチオール金属錯体色素からなる群より選ばれた1種又は2種以上の近赤外線吸収色素を均一に混合して、第2分散体を製造することが好ましい。上記近赤外線吸収色素は上記分散液100質量%に対して0.01〜0.5質量%、好ましくは0.05〜0.3質量%の範囲で添加する。上記下限値未満であると近赤外線のカット率が十分に高くなく、上記上限値を超えると可視光線の透過率が低下する不具合がある。なお、初めに上記分散媒に近赤外線吸収色素粉末を混合した後、この混合液に上記金属酸化物粉末の分散液を混合して金属酸化物粉末濃度が上記範囲にある第2分散体を製造してもよい。ここで、近赤外線とは波長が約700nm〜2500nmの範囲の電磁波をいう。
上記ジイモニウム系色素としては、例えば、日本カーリット社製のCIR−1080、CIR−1081、CIR−1083、エポリン社製のEpolight1117、日本火薬社製のIRG−022、IRG−023、IRG−040等が挙げられる。
また上記フタロシアニン系色素としては、フタロシアニン系色素として具体的には、次の式(3)で示されるものが挙げられ、例えば、Avecia社製PROJETの800NP、830NP、900NP、925NP、及び日本触媒社製イーエクスカラーのIR−10A、IR−12、IR−14、906B、910B等が挙げられる。
Figure 2015106140
ただし、式中、X〜X16は、独立して水素原子、ハロゲン原子、−SR又は−OR、−NHRを表し、R、R、Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基又は炭素原子数1〜20個のアルキル基を表し、Mは無金属、金属、金属酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。
フタロシアニン錯体の中心のMは、無金属、金属、金属酸化物又は金属ハロゲン化物を表わす。無金属とは、金属以外の原子、例えば、2個の水素原子であることを意味する。金属としては、鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、スズ等が挙げられる。金属酸化物としては、チタニル、バナジル等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、塩化ケイ素等が挙げられる。好ましくは、金属、金属酸化物又は金属ハロゲン化物であり、具体的には、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄、バナジル、チタニル、塩化インジウム、塩化スズ(II)である。
置換基を有するフェニル基としては、炭素原子数1〜4個のアルキル基で1〜3個置換されたフェニル基、炭素原子数1〜4個のアルコキシ基で1〜2個置換されたフェニル基、あるいは塩素、フッ素等のハロゲン原子で1〜5個置換されたフェニル基等が挙げられる。
更にジチオール金属錯体系色素として具体的には、次の式(4)で示されるものが挙げられ、例えば、エポリン社製Epolight3063、Epolight4019、Epolight4121、Epolight4129、及び、みどり化学社製のMIR−101、MIR−111、MIR−121、MIR−102、MIR−105等が挙げられる。
Figure 2015106140
ただし、式中、R〜Rは独立して置換基を有していてもよいフェニル基又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、Mは金属を表す。ジチオール金属錯体系色素の中心のMは、ニッケル、白金、パラジウム、銅、モリブデン等の金属を表す。置換基を有するフェニル基としては、炭素原子数1〜4個のアルキル基で1〜3個置換されたフェニル基、炭素原子数1〜4個のアルコキシ基で1〜2個置換されたフェニル基、或いは塩素、フッ素等のハロゲン原子で1〜5個置換されたフェニル基等が挙げられる。ジチオール金属錯体系色素のSはSeでも良く、ジセレノレン錯体を用いることもできる。式(4)に示すジチオール金属錯体系色素は、一般的に、耐熱性に優れ、中心金属や置換基の種類により極大吸収波長を800nm〜1100nmに有するものである。
近赤外線吸収色素として、更に次の式(5)で示されるジチオール金属錯体系色素を用いることができる。この化合物はアルコール溶媒中でジチオロン化合物と塩基を反応させてイオン化し、塩化ニッケル、塩化パラジウムなどの金属イオン水溶液を添加して反応させたものであり、850nm〜1300nmに極大吸収を有する。この化合物は、長波長側に吸収特性が求められる電子機器、例えばプラズマディスプレーパネルに用いるリモコンの誤作動防止用には効果的である。第2分散体中の近赤外線吸収色素として、この化合物を単独で用いることもできるが、式(5)に示すジチオール金属錯体系色素に配合して用いることもできる。
Figure 2015106140
中心金属Mは、ニッケル、白金、パラジウム、銅、モリブデン等の遷移金属であり、nは整数である。具体的には、例えばn=1では次の式(6)となり、n=2では次の式(7)に示す化合物である。
Figure 2015106140
Figure 2015106140
〔赤外線カット機能を有する低屈折率膜形成用組成物の製造〕
本発明の上記組成物は、第1分散体と第2分散体を均一に混合して製造される。具体的には、組成物固形分に対して上記シリカ粒子を50〜95質量%、好ましくは70〜90質量%含み、上記金属酸化物の粒子を0.1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%含むように第1分散体と第2分散体を混合することにより、本発明の上記組成物は調製される。上記組成物で形成された膜は、波長550nmにおける屈折率が1.4以下で、波長300〜800nmにおける平均透過率が80%以上で、波長800〜1500nmにおける平均透過率が50%以下となる。シリカ粒子の含有量が上記下限値未満であるか、金属酸化物粒子の含有量が上記上限値を超える場合には、この組成物で形成された膜の屈折率が低くならない。またシリカ粒子の含有量が上記上限値を超えるか、金属酸化物粒子の含有量が上記下限値未満の場合には、この組成物で形成された膜の赤外線カット機能が劣る。
〔赤外線カット機能を有する低屈折率膜の形成〕
本発明の赤外線カット機能を有する低屈折率膜を形成する方法について説明する。本発明の赤外線カット機能を有する低屈折率膜の形成方法は、上述の本発明の組成物を用いること以外は、従来の方法と同様である。先ず、ガラスやプラスチック等の基材を用意し、この基材表面に、上述した本発明の組成物を、例えばスピンコート法、ダイコート法又はスプレー法等により塗布する。塗布した後は、ホットプレートや雰囲気焼成炉等を用いて、好ましくは50〜100℃の温度で5〜60分間乾燥した後、ホットプレートや雰囲気焼成炉等を用いて、好ましくは100〜300℃の温度で5〜120分間焼成して硬化させる。こうして赤外線カット機能を有する低屈折率膜が形成される。
〔赤外線カット機能を有する低屈折率膜〕
このように形成された膜は、膜内部に適度な空孔、例えば空隙率が10〜50%の空孔が生じることにより、1.15〜1.4程度の非常に低い屈折率になるとともに、波長300〜800nmにおける平均透過率が80%以上で、波長800〜1500nmにおける平均透過率が50%以下になる。また、膜表面の濡れ性に優れ、高い撥水性を示すため、形成された膜表面に、更に別の膜を形成するのが容易であることから汎用性等にも優れる。そのため、赤外線カット機能を有する低屈折率膜は、例えばブラウン管、液晶、有機EL等のディスプレイパネルやフォトダイオード、太陽電池、ショーケース用ガラス等において入射光の反射を防止するために用いられる反射防止膜、或いはセンサーやカメラモジュール等に用いられる屈折率差を利用した中間膜等に使用される以外に、前述した特許文献1及び2に示される光電変換素子を有する固体撮像素子に好適に使用することができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1−1>
第1分散体を製造するために、先ず、ケイ素アルコキシド(A)としてテトラメトキシシラン(TMOS)を、フルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)としてトリフルオロプロピルトリメトキシシラン(TFPTMS)を用意し、ケイ素アルコキシド(A)の質量を1としたときのフルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)の割合(質量比)が0.6になるように秤量し、これらをセプラブルフラスコ内に投入して混合することにより混合物を得た。この混合物1質量部に対して1.0質量部となる量のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を有機溶媒(E)として添加し、30℃の温度で15分間撹拌することにより第1液を調製した。なお、ケイ素アルコキシド(A)としては、単量体を予め3〜5程度重合させたオリゴマーを使用した。
また、この第1液とは別に、混合物1質量部に対して1.0質量部となる量のイオン交換水(C)と0.01質量部となる量のギ酸(D)をビーカー内に投入して混合し、30℃の温度で15分間撹拌することにより第2液を調製した。次に、上記調製した第1液を、ウォーターバスにて55℃の温度に保持してから、この第1液に第2液を添加し、上記温度を保持した状態で60分間撹拌した。これにより、上記ケイ素アルコキシド(A)と上記フルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)との加水分解物を得た。
そして、上記得られた加水分解物と、球状粒子の平均粒子径が15nmの数珠状コロイダルシリカ粒子が分散したシリカゾル(F)を、加水分解物中のSiO分100質量部に対するシリカゾル(F)中のSiO分が200質量部となる割合で、撹拌して混合することにより第1分散体を製造した。
一方、第2分散体を製造するために、先ず、In金属18gを含有する塩化インジウム(InCl)水溶液50mLと、二塩化錫(SnCl・2HO)3.6gとを混合し、この混合水溶液とアンモニア(NH)水溶液を水500mLに同時に滴下し、pH7に調整した。液温を30℃にした状態で30分間反応させた。生成したインジウム錫共沈水酸化物である沈殿物をイオン交換水によって繰り返し傾斜洗浄を行った。上澄み液の抵抗率が50000Ω・cm以上になったところで、上記沈殿物の上澄み液を捨て、粘度の高いスラリー状のインジウム錫水酸化物を得た。このインジウム錫水酸化物を110℃で一晩乾燥した後、大気中550℃で3時間焼成し、凝集体を粉砕してほぐし、ITO粒子を得た。このITO粒子をジェットミル(スギノマシン社製ジェットミル極少量対応機 スターバースト ミニ)を用いて、粉砕処理を行った。このITO粒子25gを無水エタノールと蒸留水とを混合した表面処理液に入れて含浸させた後、ガラスシャーレに入れて窒素ガス雰囲気下、330℃にて2時間加熱して表面改質処理したITO粒子を得た。このITO粒子をメチルエチルケトンでITO粒子の含有量が30質量%になるまで希釈して平均粒子径が10nmのITO粒子が分散した分散液を製造した。この分散液自体を第2分散体とした。
<実施例1−2>
実施例1−1と同じ第1分散体を用意した。実施例1−1のITO粒子の分散液と、上記式(4)に示されるジチオール金属錯体色素(Epolight3063、エポリン社製)とをメチルエチルケトンに均一に混合して第2分散体を製造した。
<実施例1−3>
実施例1−1と同じ第1分散体を用意した。実施例1−1のITO粒子の分散液と、近赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素(CIR−1080、日本カーリット社製)とをメチルエチルケトンに均一に混合して第2分散体を製造した。
<実施例1−4>
実施例1−1と同じ第1分散体を用意した。実施例1−1のITO粒子の分散液と、近赤外線吸収色素として上記式(4)に示されるジチオール金属錯体色素(Epolight4129、エポリン社製)とをメチルエチルケトンに均一に混合して第2分散体を製造した。
<実施例1−5>
実施例1−1と同じ第1分散体を用意した。実施例1−1のITO粒子の分散液と、近赤外線吸収色素として上記式(3)に示されるフタロシアニン系色素(PROJET−800NP、Avecia社製)とをメチルエチルケトンに均一に混合して第2分散体を製造した。
<実施例1−6>
実施例1−1と同じ第1分散体を用意した。実施例1−1のITO粒子の分散液と、近赤外線吸収色素として上記式(4)に示されるジチオール金属錯体色素(Epolight3063、エポリン社製)と、ジイモニウム系色素(CIR−1080、日本カーリット社製)とをジチオール金属錯体色素:ジイモニウム系色素=1:1の質量比でメチルエチルケトンに均一に混合して第2分散体を製造した。
<実施例2−1>
ケイ素アルコキシド(A)とフルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)の混合物を1質量部としたときの水(C)の割合を0.5質量部に変更し、球状粒子の平均粒子径が10nmである数珠状コロイダルシリカ粒子を用いた以外は、実施例1−1と同様にして第1分散体を製造した。実施例1−1のITO粒子の代わりに、平均粒子径が30nmのATO粒子が分散した分散液それ自体を第2分散体とした。
<実施例2−2>
実施例2−1と同じ第1分散体を用意した。実施例1−1のITO粒子の代わりに、平均粒子径が30nmのATO粒子が分散した分散液を用い、この分散液と、近赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素(CIR−1080、日本カーリット社製)とをメチルエチルケトンに均一に混合して第2分散体を製造した。
<実施例2−3>
実施例2−1と同じ第1分散体を用意した。実施例1−1のITO粒子の代わりに、平均粒子径が30nmのATO粒子が分散した分散液と、近赤外線吸収色素として上記式(4)に示されるジチオール金属錯体色素(Epolight4129、エポリン社製)とをメチルエチルケトンに均一に混合して第2分散体を製造した。
<実施例2−4>
実施例2−1と同じ第1分散体を用意した。実施例1−1のITO粒子の代わりに、平均粒子径が30nmのATO粒子が分散した分散液と、近赤外線吸収色素として上記式(3)に示されるフタロシアニン系色素(PROJET−800NP、Avecia社製)とをメチルエチルケトンに均一に混合して第2分散体を製造した。
<実施例3−1>
ケイ素アルコキシド(A)とフルオロアルキル基含有のケイ素アルコキシド(B)の混合物1質量部に対して1.0質量部となる量のイオン交換水(C)と0.005質量部となる量のギ酸(D)を混合した以外は、実施例1−1と同様にして第1分散体を製造した。実施例1−1のITO粒子の代わりに、平均粒子径が50nmのZnO粒子が分散した分散液それ自体を第2分散体とした。
<実施例3−2>
実施例3−1と同じ第1分散体を用意した。実施例1−1のITO粒子の代わりに、平均粒子径が50nmのATO粒子が分散した分散液を用い、この分散液と、近赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素(CIR−1080、日本カーリット社製)とをメチルエチルケトンに均一に混合して第2分散体を製造した。
<実施例4−1>
実施例1−1と同じ第1分散体を用意した。実施例1−1のITO粒子の代わりに、平均粒子径が120nmのWO粒子が分散した分散液それ自体を第2分散体とした。
<実施例4−2>
実施例1−1の有機溶媒(E)としてのPGMEAをエタノールに変更し、その添加量を1.0質量部から2.5質量部に変更した以外、実施例1−1と同じ分散液を第1分散体とした。実施例1−1のITO粒子の代わりに、平均粒子径が120nmのWO粒子が分散した分散液と、近赤外線吸収色素として上記式(4)に示されるジチオール金属錯体色素(Epolight4129、エポリン社製)とをメチルエチルケトンに均一に混合して第2分散体を製造した。
<実施例1−1から実施例4−2までの第1及び第2分散体を用いた組成物の製造>
実施例1−1から実施例4−2までの上記第1分散体に実施例1−1から実施例4−2までの上記第2分散体を添加し均一に混合して、赤外線カット機能を有する低屈折率膜形成用組成物を製造した。この添加割合及び近赤外線吸収色素の配合割合は、組成物固形分100質量%に対する、シリカ粒子、金属酸化物粒子及び近赤外線吸収色素の含有量(質量%)が表1に示すように決められた。
<比較例1−1>
実施例1−1と同じ第1分散体に、金属酸化物粒子を含まない近赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素(CIR−1080、日本カーリット社製)をメチルエチルケトンに均一に混合した第2分散体を添加し均一に混合して組成物を製造した。この添加割合及び近赤外線吸収色素の配合割合は、組成物固形分100質量%に対する、シリカ粒子及び近赤外線吸収色素の含有量(質量%)が表1に示すように決められた。
<比較例1−2〜比較例1−3>
実施例1−3と同じ第1分散体及び実施例1−3と同じ第2分散体をそれぞれ用意した。上記第1分散体に上記第2分散体を添加し均一に混合して2種類の組成物を製造した。比較例1−2〜比較例1−3の上記添加割合及び近赤外線吸収色素の配合割合は、組成物固形分100質量%に対する、シリカ粒子、金属酸化物粒子及び近赤外線吸収色素の含有量(質量%)が表1に示すように決められた。
<比較例2−1と比較例2−2>
実施例2−3と同じ第1分散体及び実施例2−3と同じ第2分散体をそれぞれ用意した。上記第1分散体に上記第2分散体を添加し均一に混合して2種類の組成物を製造した。比較例2−1と比較例2−2の上記添加割合及び近赤外線吸収色素の配合割合は、組成物固形分100質量%に対する、シリカ粒子、金属酸化物粒子及び近赤外線吸収色素の含有量(質量%)が表1に示すように決められた。
<比較例2−3>
実施例2−4と同じ第1分散体及び実施例2−4と同第2分散体をそれぞれ用意した。上記第1分散体に上記第2分散体を添加し均一に混合して組成物を製造した。比較例2−3の上記添加割合及び近赤外線吸収色素の配合割合は、組成物固形分100質量%に対する、シリカ粒子、金属酸化物粒子及び近赤外線吸収色素の含有量(質量%)が表1に示すように決められた。
<比較例3−1>
実施例3−2と同じ第1分散体及び実施例3−2と同じ第2分散体をそれぞれ用意した。上記第1分散体に上記第2分散体を添加し均一に混合して組成物を製造した。比較例3−1の上記添加割合及び近赤外線吸収色素の配合割合は、組成物固形分100質量%に対する、シリカ粒子、金属酸化物粒子及び近赤外線吸収色素の含有量(質量%)が表1に示すように決められた。
<比較例4−1>
実施例4−1と同じ第1分散体及び実施例4−1と同じ第2分散体をそれぞれ用意した。上記第1分散体に上記第2分散体を添加し均一に混合して組成物を製造した。比較例4−1の上記添加割合は、組成物固形分100質量%に対する、シリカ粒子、金属酸化物粒子及び近赤外線吸収色素の含有量(質量%)が表1に示すように決められた。
<比較例4−2>
実施例4−2と同じ第1分散体及び実施例4−2と同じ第2分散体をそれぞれ用意した。上記第1分散体に上記第2分散体を添加し均一に混合して組成物を製造した。比較例4−2の上記添加割合及び近赤外線吸収色素の配合割合は、組成物固形分100質量%に対する、シリカ粒子、金属酸化物粒子及び近赤外線吸収色素の含有量(質量%)が表1に示すように決められた。
Figure 2015106140
Figure 2015106140
<比較試験及び評価>
実施例1−1〜実施例4−2及び比較例1−1〜比較例4−2で製造した組成物を、基板としてのガラス基板の表面にスピンコート法により塗布して塗膜を形成した。この塗膜が形成されたガラス基板を、雰囲気焼成炉を用いて50℃の温度で10分間乾燥させた後、雰囲気焼成炉を用いて130℃の温度で焼成して硬化させることにより、厚さ約80オングストロームの膜を形成した。これらの膜について、波長550nmにおける屈折率、波長300〜800nmにおける平均透過率、波長800〜1500nmにおける平均透過率及び空隙率をそれぞれ評価した。これらの結果を表1及び表2に示す。
(i) 屈折率:分光エリプソメトリー装置(J.A.Woollam Japan株式会社製、型番:M-2000)を用いて測定し、解析した光学定数における550nmの値とした。
(ii) 波長300〜800nmにおける平均透過率:分光光度計(日立ハイテクノロジー社製U−4100型)を用いて、塗膜を形成する前のガラス基板をブランクとして、塗膜を形成した後の基板の透過率を1nm間隔で測定した。その後、波長300〜800nmの透過率の平均値を求め、これを波長300〜800nmにおける平均透過率とした。
(iii) 波長800〜1500nmにおける平均透過率:分光光度計(日立ハイテクノロジー社製U−4100型)を用いて、塗膜を形成する前のガラス基板をブランクとして、塗膜を形成した後の基板の透過率を1nm間隔で測定した。その後、波長800〜1500nmの透過率の平均値を求め、これを波長800〜1500nmにおける平均透過率とした。
(iv) 空隙率:基材上に密着した膜に対し、収束イオンビーム(FIB)法で加工して試料断面を露出させた。この試料の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することで、断面にシリカが存在する面積を評価し、この面積が評価面に占める割合を空隙率とみなした。
表1及び表2から明らかなように、シリカ粒子を98質量%含む比較例1−1、比較例1−2、比較例2−1、比較例2−3、比較例4−1の組成物から形成された膜は、波長300〜800nmにおける平均透過率が80%未満であるか、又は波長800〜1500nmにおける平均透過率が50%を超えていたため、赤外線カット機能が不十分であった。特に比較例1−1の組成物から形成された膜は基材との密着性が低く、基材から膜が剥がれてしまい、断面測定ができず、空隙率の測定ができなかった。またシリカ粒子を45質量%含む比較例1−3、比較例2−2、比較例3−1、比較例4−2の組成物から形成された膜は、空隙率が7〜9%と低いため、波長550nmにおける屈折率が1.4を超え、低屈折率化機能に劣っていた。
これに対して、平均粒子径が10〜120nmの範囲の金属酸化物粒子を組成物固形分に対して0.1〜30質量%含み、かつシリカ粒子を組成物固形分に対して50〜95質量%含む実施例1−1〜実施例4−2の組成物から形成された膜は、空隙率が10〜50%と高いため、波長550nmにおける屈折率が1.4以下であった。またこれらの膜は、波長300〜800nmにおける平均透過率が80%以上であり、かつ波長800〜1500nmにおける平均透過率が50%以下であった。この結果、これらの膜は低屈折率化機能に加えて赤外線カット機能を有することが判った。

Claims (7)

  1. 数珠状コロイダルシリカ粒子、球状コロイダルシリカ粒子、針状コロイダルシリカ粒子、板状コロイダルシリカ粒子又はヒュームドシリカ粒子と、平均粒子径が10〜120nmの範囲のIn、Sn、Zn、Ti及びWからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属の酸化物の粒子とが液体媒体中に分散してなり、
    前記シリカ粒子を組成物固形分に対して50〜95質量%含み、前記金属酸化物の粒子を組成物固形分に対して0.1〜30質量%含む赤外線カット機能を有する低屈折率膜形成用組成物。
  2. ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素及びジチオール金属錯体色素からなる群より選ばれた1種又は2種以上の近赤外線吸収色素を組成物固形分100質量%に対して0.001〜0.5質量%の範囲で更に含む請求項1記載の低屈折率膜形成用組成物。
  3. 請求項1又は2記載の低屈折率膜形成用組成物を基材上に塗布し乾燥した後、焼成することにより赤外線カット機能を有する低屈折率膜を形成する方法。
  4. 請求項3記載の方法により製造された赤外線カット機能を有する低屈折率膜であって、
    波長550nmにおける屈折率が1.4以下で、波長300〜800nmにおける平均透過率が80%以上で、波長800〜1500nmにおける平均透過率が50%以下である赤外線カット機能を有する低屈折率膜。
  5. 空隙率が10〜50%である請求項4記載の赤外線カット機能を有する低屈折率膜。
  6. 光電変換素子上に請求項4又は5記載の赤外線カット機能を有する低屈折率膜が形成されたフォトダイオード。
  7. 光電変換素子上に請求項4又は5記載の赤外線カット機能を有する低屈折率膜が形成された太陽電池。
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