JP2015105403A - 多層膜構造体の製造方法、及び多層膜構造体 - Google Patents

多層膜構造体の製造方法、及び多層膜構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性を向上させることができる多層膜構造体の製造方法、及び優れた光学特性を有する多層膜構造体を提供する。
【解決手段】SixC(x=2.3±0.2)からなるスパッタリングターゲットを用い、酸化性ガス、及びガス量を層毎に制御し、基体10上にSiCを主成分とする高屈折率膜21,23,25とSiOを主成分とする低屈折率膜22,24とを有する多層膜20を成膜する。単一のスパッタリングターゲットで高屈折率膜と低屈折率膜とを形成することができるため、生産性に優れるとともに、優れた光学特性を有する多層膜を得ることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、スパッタリングターゲットを用いて成膜する多層膜構造体の製造方法、及び多層膜構造体に関する。
従来、高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に形成し、所定のフィルタ特性を有する光学多層膜が知られている(例えば、特許文献1参照。)。通常、光学多層膜は、スパッタ法等により成膜されるが、高屈折率膜又は低屈折率膜を成膜する際には、2元構造以上のスパッタ機が必要であった。一元構造のスパッタ機ならば、都度ターゲットを交換しなければならず、都度ターゲットを交換する際には、ターゲット間でのコンタミネーションが発生する虞があり、優れた光学特性を有する光学多層膜を得ることは困難である。
特開2005−126813号公報
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、生産性を向上させることができる多層膜構造体の製造方法、及び優れた光学特性を有する多層膜構造体を提供する。
本発明者は、SixC(x=2.3±0.2)からなるスパッタリングターゲットを用いることにより、単一のスパッタリングターゲットで高屈折率膜と低屈折率膜とを形成することができ、優れた光学特性を有する多層膜を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る多層膜構造体の製造方法は、SixC(x=2.3±0.2)からなるスパッタリングターゲットを用い、酸化性ガス、及びガス量を層毎に制御し、基体上にSiCを主成分とする高屈折率膜とSiOを主成分とする低屈折率膜とを有する多層膜を成膜することを特徴とする。
また、本発明に係る多層膜構造体は、基体と、前記基体上にSiCを主成分とする高屈折率膜とSiOを主成分とする低屈折率膜とを有する多層膜とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、単一のスパッタリングターゲットで高屈折率膜と低屈折率膜とを形成することができるため、生産性に優れるとともに、優れた光学特性を有する多層膜を得ることができる。
Si、SiC、及びSiOの屈折率を示すグラフである。 Si、SiC、及びSiOの消衰係数を示すグラフである。 多層膜構造体の一例を示す概略断面図である。 金(Auを発色する多層膜の反射率の実測値及び設計値を示すグラフである。 銅(Cuを発色する多層膜の反射率の実測値及び設計値を示すグラフである。 チタン(Ti)を発色する多層膜の反射率の実測値及び設計値を示すグラフである。 クロム(Cr)を発色する多層膜の反射率の実測値及び設計値を示すグラフである。 金(Au)、銅(Cu)、チタン(Ti)、及びクロム(Cr)を発色する各多層膜の写真である。 ブルーライトカットフィルタの透過率を示すグラフである。 ブルーライトカットフィルタの反射率を示すグラフである。 信頼性試験後のブルーライトカットフィルタの透過率を示すグラフである。 信頼性試験後のブルーライトカットフィルタの反射率を示すグラフである。 低屈折率膜成膜工程における酸素濃度に対するブルーライトカットフィルタの透過率を示すグラフである。 低屈折率膜成膜工程における酸素濃度に対するブルーライトカットフィルタの反射率を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.多層膜構造体の製造方法
2.多層膜構造体
3.実施例
<1.多層膜構造体の製造方法>
本実施の形態に係る多層膜構造体の製造方法は、SixC(x=2.3±0.2)からなるスパッタリングターゲットを用い、酸化性ガス種、及びガス量を層毎に制御し、基体上にSiCを主成分とする高屈折率膜とSiOを主成分とする低屈折率膜とを有する多層膜を成膜する。
スパッタリングターゲットは、SixC(x=2.3±0.2)から構成される。すなわち、C原子に対するSi原子の原子数比(Si/C)は、2.1以上2.5以下である。原子数比(Si/C)が2.1未満となると、SiOの割合が高い低屈折率膜を高速に成膜するのが困難となる。また、原子数比(Si/C)が2.5を超えると、SiCの割合が高い高屈折率膜を成膜するのが困難となる。
また、スパッタリングターゲットの純度は、99wt%以上であることが好ましく、金属不純物(Al,Ca,Fe,Ni,Ti等)の合計は、1wt%以下であることが好ましい。また、密度は、2.5g/cm以上であることが好まましく、抵抗率は、0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
また、スパッタリングターゲットは、SiとSiCとが焼成されてなることが好ましい。具体的には、SiC粉末1質量部に対してSi粉末を1.1〜1.5質量部の割合で焼結することが好ましい。
本実施の形態におけるスパッタ法としては、反応性スパッタ(Reactive Sputtering)を用いる。また、膜付着性を向上させるために、交流(高周波)を掛けるRFスパッタを用いてもよい。また、被着体の耐熱性に乏しい場合には、ターゲット側に磁石で磁界をつくり、プラズマを試料から分離するマグネトロンスパッタを用いてもよい。
反応性スパッタに用いられる反応性ガスとしては、酸化性ガス及び不活性ガスの混合ガスが用いられる。酸化性ガスとしては、例えば、酸素、オゾン、炭酸ガス、又はこれらの混合ガス等が挙げられる。また、不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、又はこれらの混合ガス等が挙げられる。これらの中でも、本実施の形態では、アルゴンガスと酸素との混合ガスが好ましく用いられる。
本実施の形態では、酸化性ガスのガス量を調整して酸化性ガスの濃度を制御することにより、各層の屈折率、消衰係数等の光学特性を任意に制御する。具体的には、前述の単一のスパッタリングターゲットを用い、低濃度の酸化性ガス雰囲気中でSiCを主成分とする高屈折率膜を成膜し、高濃度の酸化性ガス雰囲気中でSiOを主成分とする低屈折率膜を成膜する。低濃度の酸化性ガス雰囲気としては、例えばArガス流量が100〜1000cc、Oガス流量が0〜100ccの混合ガス雰囲気を挙げることができる。また、高濃度の酸化性ガス雰囲気としては、例えばArガス流量が100〜1000cc、Oガス流量が120〜200ccの混合ガス雰囲気を挙げることができる。
図1及び図2は、それぞれSi、SiC、及びSiOの屈折率及び消衰係数を示すグラフである。SiCの屈折率及び消衰係数は、金属Siに近いが、SiCの屈折率及び消衰係数の波長分散は、Siより優れている。SixC(x=2.3±0.2)からなるスパッタリングターゲットを用いて成膜される膜組成は、Siで表され、例えば、酸化性ガスの流量がゼロである所謂メタルモードでは、SiCを主成分とする高屈折率膜となる。また、酸化性ガスの流量が比較的大きい所謂リアクティブモードでは、SiOを主成分とする低屈折率膜となり、ターゲット中のC成分は、成膜時に雰囲気中の酸化性ガスと反応してCO又はCOとなり、真空ポンプ等で排気される。
また、前述の単一のスパッタリングターゲットを用い、低濃度の酸化性ガス雰囲気中で高屈折率膜を成膜する高屈折率膜成膜工程と、高濃度の酸化性ガス雰囲気中で低屈折率膜を成膜する低屈折率膜成膜工程とを交互に選択し、基体上に高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に積層してなる多層膜を成膜してもよい。例えば、5層構造の多層膜の場合、1、3、5層目の高屈折率膜成膜時の酸素量は、完全透明膜とした2、4層目の低屈折率膜成膜時の1/3以下とすることが好ましい。低屈折率膜成膜時に完全透明膜とする場合、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス中の酸素ガスの含有割合は、10体積%以上60%以下であることが好ましい。また、各層の膜厚は、光学多層膜の設計に従って、10〜300nm程度の最適な値とすることが好ましい。
本実施の形態における多層膜構造体の製造方法は、前述の単一のスパッタリングターゲットを用い、酸化性ガスの濃度を制御することにより、膜の吸収(消衰係数)や屈折率を層毎にフレキシブルに変化させることが可能である。これにより、光学多層膜の設計の自由度が上がり、様々ジャンルでの画期的な商品を生み出すことが可能となる。
<2.多層膜構造体>
以下、前述の製造方法を適用して成膜可能な多層膜構造体について説明する。本実施の形態に係る多層膜構造体は、基体と、基体上にSiCを主成分とする高屈折率膜とSiOを主成分とする低屈折率膜とを有する多層膜とを備える。
図1は、多層膜構造体の一例を示す概略断面図である。この多層膜構造体は、基体10と、多層膜20とを備え、多層膜20は、基体10上に、高屈折率膜21と、低屈折率膜22と、高屈折率膜23と、低屈折率膜24と、高屈折率膜25とをこの順に交互に積層してなる。
基体10は、特に限定されず、ガラス基板、プラスチック基板、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、基体表面は、用途に応じて適宜選択することができ、例えば金属調の加飾を得る場合、金属光沢を発現させるために平坦であることが好ましい。
多層膜20は、高屈折率膜21,23,25と低屈折率膜22,24とが交互に積層してなる。これにより、光学干渉を利用した光学多層膜の設計が可能となり、金属調の構造色を発色したり、青色光帯域の透過を抑制したりすることができる。また、多層膜20は、3〜5層であることが好ましい。多層膜が3〜5層であることにより、製造コストを抑え、所望の光学特性を得ることができる。
高屈折率膜21,23,25は、SiCを主成分とする。SiCの屈折率及び消衰係数は、金属Siに近いが、SiCの屈折率及び消衰係数の波長分散は、Siより優れている。また、SiC単層膜は、膜厚50nm程度でゴールドに近い色を示す。
低屈折率膜22,24は、SiOを主成分とする。SiO単層膜は、無色透明であるが、酸化性ガスの濃度を変えることにより、各層の屈折率及び消衰係数を変化させることが可能である。
本実施の形態における多層膜構造体によれば、金、銀、銅、プラチナ、チタン、クロム等の金属調の構造色を発色することができる。金属調の構造色は、例えば所望の金属の分光反射率に一致するようにSiCとSiOとが交互に積層される光学多層膜の各膜厚を設計し、その設計に従って成膜することにより得ることができる。
金属調の加飾を得るために金属ターゲットを使用することもできるが、金属ターゲットを使用する方法では、基本的にその金属が有する色を着色することしかできず、色の数は有限である。また、導電性を有する金属材料を使用した場合、電波透過性が悪くなるため、例えば非接触型ICカードに加飾を施すことはできない。
一方、本実施の形態の金属調の構造色を発色する多層膜は、金属膜ではないので、例えば非接触型ICカードに成膜しても良好な電波透過性を有し、良好な通信を行うことができる。また、多層膜は、SiC及びSiOであるため、化学変化が極めて少なく、耐環境性能に優れる。さらに、SiCの特徴である硬い物性から膜の機械的強度にも優れる。また、代表的な金属色以外にも、膜構成や反応ガスを調整することにより、様々な色のバリエーションの加飾を実現することができる。
また、本実施の形態における多層膜構造体によれば、青色光帯域の透過を抑制することができる。青色光帯域の透過抑制は、例えば青色光帯域の反射率が大きい所望の分光反射率に一致するようにSiCとSiOとが交互に積層される光学多層膜の各膜厚を設計し、その設計に従って成膜することにより得ることができる。例えば、基板側から10〜50nmの高屈折率膜、30〜120nmの低屈折率膜、50〜200nmの高屈折率膜、50〜200nmの低屈折率膜を設計し、高屈折率膜の成膜時、及び低屈折率膜の成膜時の酸素濃度をリアルタイムに変化させることにより、膜の屈折率を厚み方向で変化させることができ、ブルーライトカットフィルタなどの光学特性を、最小の膜構成で得ることができる。
青色光帯域の透過を抑制する多層膜を、例えば液晶画面の保護ガラスとした場合、画面からの高いエネルギー強度を有するブルーライトを軽減することができる。また、450−680nmの可視光帯域の反射率が5%未満の光学フィルタとすることにより、画面のギラギラ感や映り込みを大きく軽減することができる。
<4.実施例>
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。本実施例では、SixC(x=2.3)からなるスパッタリングターゲットを用い、金属調の構造色を発色する多層膜、及び青色光の透過を抑制する多層膜を成膜し、それぞれ評価した。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[スパッタリングターゲット]
スパッタリングターゲットは、ケイ素(Si)1に対して炭化ケイ素(SiC)を1.3の割合で焼成したものを用いた。純度は99wt%以上であり、金属不純物(Al,Ca,Fe,Ni,Ti)の合計は1wt%以下であった。また、密度は2.5g/cm以上であり、抵抗率は0.1Ω・cm以下であった。
<金属調の構造色を発色する多層膜>
DC/RFマグネトロンスパッタを用い、表面が平坦なガラス基板上に高屈折率膜と高屈折率膜とが交互に積層された5層構造の多層膜を成膜した。この多層膜は、金属調の構造色を発色する加飾膜として機能する。
多層膜は、金(Au)、銅(Cu)、チタン(Ti)、及びクロム(Cr)の4種について、各分光反射率の文献値と一致させるように、一般的な光学多層膜のシミュレーションソフトを用いて設計した。シミュレーションは、高屈折率膜をSiC、低屈折率膜をSiOとして行った。その結果、例えば、金(Au)を発色する多層膜の設計は、基板側から50nmの高屈折率膜、125nmの低屈折率膜、42nmの高屈折率膜、136nmの低屈折率膜、及び36nmの高屈折率膜であった。
高屈折率膜の成膜条件は、Arガス:100〜1000cc、Oガス:0〜100cc、LFパワー:5〜10kw、RFパワー:0〜5kwとし、低屈折率膜の成膜条件は、Arガス:100〜1000cc、Oガス:120〜200cc、LFパワー:5〜10kw、RFパワー:0〜5kwとした。
図4〜図7は、それぞれ金(Au)、銅(Cu)、チタン(Ti)、及びクロム(Cr)を発色する多層膜の反射率の実測値及び設計値を示すグラフである。また、図8は、金(Au)、銅(Cu)、チタン(Ti)、及びクロム(Cr)を発色する各多層膜の写真である。図4〜図7に示すように、金、銅、チタン、クロムの分光反射率は、文献値とほぼ一致した。また、図8に示すように金属光沢を有する金属調加飾を実現することができた。
<青色光帯域の透過を抑制する多層膜>
DC/RFマグネトロンスパッタを用い、表面が平坦なガラス基板上に高屈折率膜と高屈折率膜とが交互に積層された5層構造の多層膜を成膜した。この多層膜は、青色波長域を反射するブルーライトカットフィルタとして機能する。
多層膜の設計は、基板側から10〜50nmの高屈折率膜、30〜120nmの低屈折率膜、50〜200nmの高屈折率膜、50〜200nmの低屈折率膜とした。高屈折率膜の成膜条件は、Arガス:100〜1000cc、Oガス:0〜100cc、LFパワー:5〜10kw、RFパワー:0〜5kwとし、低屈折率膜の成膜条件は、Arガス:100〜1000cc、Oガス:120〜200cc、LFパワー:5〜10kw、RFパワー:0〜5kwとした。なお、この場合の高屈折率膜や低屈折率膜については、成膜中の酸素濃度をリアルタイムに変化させることで、膜の屈折率を厚み方向で変化させることが可能であり、それによりブルーライトカットフィルタなどの光学特性を、最小の膜構成で高めることが可能となる。
図9及び図10は、それぞれブルーライトカットフィルタの透過率及び反射率を示すグラフである。400−450nmの青紫色光帯域の透過率は45.05%、450−500nmの青色光帯域の透過率は83.78%、500−590nmの緑色光帯域の透過率は93.49%、及び590−680nmの赤色光帯域の透過率は95.01%であった。450−680nmの可視光帯域の透過率は90.76%であり、可視光帯域の透過率に対する青色光帯域のカット比は7.7%であり、可視光帯域の透過率に対する青紫色光帯域のカット比は48.2%であった。
また、450−500nmの青色光帯域の反射率は6.22%、500−590nmの緑色光帯域の反射率は3.28%、及び590−680nmの赤色光帯域の反射率は4.02%であった。また、450−680nmの可視光帯域の反射率は4.51%であった。なおこのデータは基板の裏面反射4%程度を含むものである。
図9及び図10に示すように、ブルーライトカットフィルタは、400−450nmの青紫色光帯域の透過率、及び450−500nmの青色光帯域の透過率を効果的に抑制することができた。また、450−680nmの可視光帯域の反射率(膜界面)は3%未満と低い。このため、ブルーライトカットフィルタを例えば画像パネルの保護ガラスとした場合、画面のギラギラ感や映り込みを大きく軽減することができる。より具体的には、蛍光灯光が画面に映り込んだ場合でも、その部分の反射を抑え、視認性を向上させることができる。
また、図11及び図12は、それぞれ信頼性試験後のブルーライトカットフィルタの透過率及び反射率を示すグラフである。信頼性試験としては、60℃、95%、1000時間の高温高湿試験を行った。ブルーライトカットフィルタは、耐熱性の高いSiC、及びSiOを主成分として形成されているため、高温高湿の環境下でも光学特性の劣化を抑制することができる。
また、図13及び図14は、それぞれ低屈折率膜成膜工程における酸素濃度に対するブルーライトカットフィルタの透過率及び反射率を示すグラフである。多層膜の設計は、前述のブルーライトカットフィルタと同様とした。また、高屈折率膜の成膜条件も、前述のブルーライトカットフィルタと同様とした。そして、低屈折率膜の成膜条件の酸素供給量を変更し、酸素供給量以外の成膜条件は、前述のブルーライトカットフィルタと同様とした。
高屈折率膜の成膜時の酸素供給量を0cc〜100ccとし、低屈折率膜の成膜時の酸素供給量を120cc〜200ccとして多層膜を成膜した結果、多層膜を成膜しなかったガラス基板に比べ、可視光帯域の透過率を向上させ、青色光帯域の透過率を抑制することができた。また、酸素供給量を増加させることにより、透過率が増加することが分かった。これは、酸素供給量を各層で最適化させることにより、ブルーライト領域を膜吸収によりカットさせつつも、他の可視光領域に対しては膜吸収を軽減することが可能となったためと考えられる。
10 基体、20 多層膜、21 高屈折率膜、22 低屈折率膜、23 高屈折率膜、24 低屈折率膜、25 高屈折率膜

Claims (11)

  1. SixC(x=2.3±0.2)からなるスパッタリングターゲットを用い、酸化性ガス、及びガス量を層毎に制御し、基体上にSiCを主成分とする高屈折率膜とSiOを主成分とする低屈折率膜とを有する多層膜を成膜する多層膜構造体の製造方法。
  2. 前記スパッタリングターゲットを用い、低濃度の酸化性ガス雰囲気中で高屈折率膜を成膜する高屈折率膜成膜工程と、前記スパッタリングターゲットを用い、高濃度の酸化性ガス雰囲気中で低屈折率膜を成膜する低屈折率膜成膜工程とを交互に選択し、基体上に高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に積層してなる多層膜を成膜する請求項1記載の多層膜構造体の製造方法。
  3. 前記高屈折率膜成膜工程では、酸化性ガスのガス量を、前記高屈折率膜成膜工程における酸化性ガスのガス量の1/3以下とする請求項1又は2記載の多層膜構造体の製造方法。
  4. 前記スパッタリングターゲットが、SiとSiCとが焼成されてなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多層膜構造体の製造方法。
  5. 前記酸化性ガスが、酸素である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層膜構造体の製造方法。
  6. 基体と、
    前記基体上にSiCを主成分とする高屈折率膜とSiOを主成分とする低屈折率膜とを有する多層膜と
    を備える多層膜構造体。
  7. 前記多層膜が、高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に積層してなる請求項6記載の多層膜構造体。
  8. 前記多層膜が、3〜5層である請求項7記載の多層膜構造体。
  9. 前記多層膜が、金属調の構造色を発色する請求項6記載の多層膜構造体。
  10. 前記多層膜が、青色光帯域の透過を抑制する請求項6記載の多層膜構造体。
  11. 前記多層膜の450−680nmの可視光帯域の反射率が、5%未満である請求項10記載の多層膜構造体。
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