JP5682324B2 - サーモクロミック体及びサーモクロミック体の製造方法 - Google Patents

サーモクロミック体及びサーモクロミック体の製造方法 Download PDF

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本発明は、サーモクロミック体及びサーモクロミック体の製造方法に関し、特に、低温成膜が可能なサーモクロミック体及びサーモクロミック体の製造方法に関する。
二酸化バナジウムは、サーモクロミック現象を示す材料として知られている。サーモクロミック現象とは、温度変化によって光学特性が可逆的に変化することを指す。二酸化バナジウムは、約68℃で単斜晶系から正方晶系ルチル構造に相転移し、これに伴って赤外域における光反射率が大きく増加する。
以前から、このような二酸化バナジウムの室温近傍での性質に着目して、熱線遮蔽材料として二酸化バナジウムを利用する試みがなされている。この相転移は可逆的な半導体−金属転移であり、特許文献1や特許文献2に記載されているように、タングステンやモリブデン等を少量添加することで、相転移温度を室温近傍、あるいはそれ以下まで低下させることが可能となる。
近年、環境意識の高まりとともに、低炭素社会を目指した自然エネルギーの有効利用が活発に進められている。建築物に目を向けると、窓ガラス等の開口部を通じて、夏には熱の流入、冬には熱の流出が少なからず起こり、冷暖房の使用エネルギー増加の一因となっている。このような課題を解決する方法の1つとして、室温近傍でサーモクロミック現象が起こるよう調整された二酸化バナジウム系材料を窓ガラスにコーティングすることによって、無駄な熱の流出入を防ぎ、結果として冷暖房の省エネルギーを実現させることが検討されている。
ところで、単斜晶系結晶構造を有する良質な二酸化バナジウム系薄膜を形成することは、一般に難易度の高い技術とされている。例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、バナジウム金属又はバナジウム合金のターゲットを用いて反応性スパッタリング法により薄膜を形成するためには、スパッタリング雰囲気を極めて限られた範囲の酸素比率に制御する必要がある。
このような課題を解決するものとして、特許文献3には、幅広い酸素ガス流量比の範囲で二酸化バナジウム膜を成膜するために、遷移金属の下地膜を有するサーモクロミック体及びその製造方法が提案されている。しかしながら、特許文献3に記載の技術では、遷移金属の下地膜によってスパッタリング雰囲気の酸素ガス流量比を広くする効果は得られるものの、遷移金属の下地膜に起因する着色が大きいため、可視光透過率が低下してしまう問題が生じてしまう。
二酸化バナジウム系薄膜は、可視域において光吸収を示すため、極力薄い膜厚でサーモクロミック特性が発揮されるよう、結晶性が優れていることが求められる。しかしながら、ガラス基板上に直接薄膜を成膜する場合には、一定以上の膜厚、すなわち、必要以上の膜厚まで厚くしないと、二酸化バナジウム(VO)相が主成分の膜が得られないことが課題とされている。
例えば、非特許文献1には、基板温度400℃において、V酸化物ターゲットを用いた反応性のRFマグネトロンスパッタリングによる成膜を実施した場合、膜厚200nm程度ではV相が主成分の膜となり、膜厚500nmを超えるとVO相が主成分となることが記載されている。同様に、V酸化物ターゲットを用いたAr−5%H雰囲気での反応性のRFマグネトロンスパッタリングによる成膜を実施した場合には、膜厚100nm以下では非晶質の膜となり、膜厚400nmを超えるとVO相の膜が得られることが記載されている。実際には、可視域での光吸収を軽減するために膜厚を少なくとも100nm以下にする必要があるため、ガラス基板への直接成膜では実用化は現状では困難となっている。
この問題を解決する方法として、非特許文献2には、ガラス基板上に30nm以下のZnOを下地膜として形成することによって、非特許文献1と同様のプロセスで、100nm以下の膜厚でもVO相の膜形成が可能であることが記載されている。この非特許文献2において用いられているZnOの下地膜は、特許文献3で用いた遷移金属の下地膜と比較して可視光の光吸収が小さい点でも優れている。
このようにZnOを下地膜とする方法によって、膜厚100nm以下の薄い膜でも結晶性の良好なVO相の膜を形成することができるが、非特許文献2に記載された成膜条件以外、すなわち、基板温度を低下させた場合の可否は不明である。工業的な利用を考えた場合には、非特許文献2の基板温度(300℃を超える温度)では高すぎる懸念がある。ガラスは、熱歪みに弱い。そのため、大型ガラスでは、昇降温速度を非常に遅くする必要がある。基板温度が高くなると温度を昇降温させるための時間がかかるため、生産性が低くなってしまう。
窓ガラスに二酸化バナジウム系薄膜を熱線遮蔽膜としてコーティングする用途において、例えば、大型のガラス基板にスパッタリング成膜する場合、ムラの少ない均一な温度分布が求められる。温度分布が生じた場合には、応力が発生してガラス基板が割れる危険性が高まる。この危険性を回避するためには、緩やかな昇温並びに降温が求められるが、工程に掛かる時間が長くなるため、生産性が悪くなってしまう。
このように、基板温度を高くすると、製造上の問題が生じてしまう。一方で、フィルムにコーティングする用途では、フィルムの耐熱性が十分でなくなる問題がある。特に、汎用性の高いPET(Polyethylene Terephthalate)フィルムを使用する場合には、100℃以下での耐熱性が求められる。
特開平7−331430号公報 特開平8−3546号公報 特開2000−137251号公報 特開2007−22837号公報
Jpn.J.Appl.Phys.Vol.39(2000)pp.6016−6024 Jpn.J.Appl.Phys.Vol.42(2003)pp.6523−6531 Jpn.J.Appl.Phys.Vol.43(2004)pp.186−187
本発明は、従来と比較して、より低温で結晶性の良好なVO相からなる二酸化バナジウム系薄膜を形成することが可能なサーモクロミック体及びサーモクロミック体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討した結果、酸化マグネシウム薄膜又は酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜を下地膜として形成することによって、低温で結晶性の高いVO相の膜形成が可能となることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明に係るサーモクロミック体は、酸化マグネシウム薄膜又は酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜からなる下地膜と、下地膜上に形成された二酸化バナジウム系薄膜とを備えることを特徴とする。
本発明に係るサーモクロミック体は、下地膜のマグネシウム添加量が、Mg/(Mg+Zn)原子数比で0.01〜1.0であることを特徴とする。
本発明に係るサーモクロミック体は、下地膜が、酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜からなり、下地膜のマグネシウム添加量が、Mg/(Mg+Zn)で表されるマグネシウム原子数比で0.01〜0.18であることを特徴とする。
本発明に係るサーモクロミック体は、下地膜は、酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜に、さらにアルミニウム及び/又はガリウムが添加されてなり、マグネシウム添加量が、Mg/(Mg+Zn+Al+Ga)で表されるマグネシウム原子数比で0.01〜0.18であり、かつ、(Al+Ga)/(Mg+Zn+Al+Ga)で表されるアルミニウム及び/又はガリウム原子数比で0.05以下であることを特徴とする。
本発明に係るサーモクロミック体は、二酸化バナジウム系薄膜上に、さらに酸化ケイ素薄膜を備えることを特徴とする。
本発明に係るサーモクロミック体は、波長λにおいて、下地膜の光学膜厚をλ/4、二酸化バナジウム系薄膜の光学膜厚をλ/2、酸化ケイ素薄膜の光学膜厚をλ/4とすることを特徴とする。
本発明に係るサーモクロミック体は、波長λが200〜400nmであり、波長λがλを超えて700nm以下の範囲である場合に、下地膜の光学膜厚をλ/4、二酸化バナジウム系薄膜の光学膜厚をλ/2、酸化ケイ素薄膜の光学膜厚をλ/4とすることを特徴とする。
本発明に係るサーモクロミック体は、波長λが200〜400nmであり、波長λがλを超えて700nm以下の範囲である場合に、下地膜の光学膜厚をλ/4、二酸化バナジウム系薄膜の光学膜厚をλ/2、酸化ケイ素薄膜の光学膜厚をλ/4とすることを特徴とする。
本発明に係るサーモクロミック体は、波長λが200〜400nmであり、波長λ及びλがλを超えて700nm以下の範囲である場合に、下地膜の光学膜厚をλ/4、二酸化バナジウム系薄膜の光学膜厚をλ/2、酸化ケイ素薄膜の光学膜厚をλ/4とすることを特徴とする。
本発明に係るサーモクロミック体の製造方法は、基体上に、酸化マグネシウム薄膜又は酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜を下地膜として形成し、下地膜上に、二酸化バナジウム系薄膜を形成することを特徴とする。
本発明によれば、酸化マグネシウムを含む下地層を用いることによって、より低温、例えば、室温近傍で結晶性の良好なVO相からなる二酸化バナジウム系薄膜を形成することができる。
本実施の形態に係る2層積層膜構造のサーモクロミック体の構成例を示す断面図である。 本実施の形態に係る3層積層膜構造のサーモクロミック体の構成例を示す断面図である。 マグネシウム、亜鉛及びガリウムを含む酸化物薄膜を下地膜に用いた2層積層膜構造のサーモクロミック体のX線回折結果を示すグラフである。 サーモクロミック体の透過率及び反射率の測定結果を示すグラフである。 室温及び80℃で測定したサーモクロミック体の透過率の測定結果を示すグラフである。 酸化亜鉛薄膜を下地膜に用いた2層積層膜構造のサーモクロミック体のX線回折結果を示すグラフである。
以下に、本発明を適用した具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」と呼ぶ)の一例について、以下の順序で詳細に説明する。
1.サーモクロミック体
2.サーモクロミック体の製造方法
3.サーモクロミック体の適用例
4.実施例
<1.サーモクロミック体>
<1−1.2層積層膜構造>
図1は、2層積層膜構造からなるサーモクロミック体1の構成例を示す断面図である。本発明に係るサーモクロミック体1は、図1に示すように、基体10上に、酸化マグネシウム薄膜又は酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜からなる下地膜11と、下地膜11上に形成された二酸化バナジウム系薄膜12とを備える。
基体10としては、特に限定されないが、例えば、ガラス基板を用いることができる。また、基体10としては、種々の樹脂基板を用いてもよく、透明性の高いものが好ましい。室温〜100℃の範囲で成膜する場合には、基体10として、汎用性の高いポリエチレンテレフタレート(PET)基板を用いることができる。100℃を超える基板温度で成膜する場合には、基体10として、耐熱性の高い高耐熱性樹脂基板を用いることができる。高耐熱性樹脂基板としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルホン(PES)、透明ポリイミド(PI)などや、アートン、シルプラス、透明ポリアミドイミド(PAI)などが挙げられる。なお、成膜時の温度を示す室温とは、約15〜30℃の範囲をいう。
下地膜11としては、酸化マグネシウム薄膜又は酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜を用いる。これにより、二酸化バナジウム系薄膜12を低い基板温度で結晶性良く形成することが可能となる。
例えば、上述した非特許文献2に記載のZnO薄膜を下地膜11として用いた場合よりも、低い基板温度で二酸化バナジウム系薄膜12を形成することが可能となる。マグネシウムは、亜鉛と比較すると酸素親和力が高い。よって、酸化マグネシウム薄膜又は酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜を下地膜11として用いることにより、ZnO薄膜を下地膜11として用いた場合と比較して、二酸化バナジウム系薄膜12の過剰な酸素をより効果的に吸収することができる。これにより、二酸化バナジウム系薄膜12内の酸素量を自動的かつ精密に最適化し、結晶性の良好な膜を形成することができる。
ここで、下地膜11のマグネシウム含有量は、Mg/(Zn+Mg)で表されるマグネシウム原子数比で0.01〜1.0であることが好ましい。マグネシウム原子数比が0.01未満である場合には、二酸化バナジウム系薄膜12を低い基板温度で結晶性良く形成することができない。マグネシウム原子数比が1.0を超えた場合には、二酸化バナジウム系薄膜12を低い基板温度で結晶性良く形成することができない。
また、出発原料として酸化物ターゲットを使用し、直流スパッタリング法によって、下地膜11を形成する場合には、マグネシウム原子数比は、0.01〜0.18であることがより好ましい。
また、酸化物ターゲットの導電性を高めて直流スパッタリングをし易くする目的で、下地膜11の酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜に、さらにアルミニウム及び/又はガリウムを添加してもよい。その場合には、マグネシウム含有量としては、Mg/(Zn+Mg+Al+Ga)で表されるマグネシウム原子数比で0.01〜0.18であり、(Al+Ga)/(Zn+Mg+Al+Ga)で表されるアルミニウム及び/又はガリウム原子数比で0.05以下であることが好ましい。マグネシウム原子数比が0.18を超えると、アーキングが起こり易くなるため、直流スパッタリングが困難になる。また、アルミニウム及び/又はガリウム原子数比が0.05を超える場合も、直流スパッタリングにおいてアーキングが起こり易くなる。
下地膜11は、透明性が高く可視光の吸収が小さいため、膜厚については特に制限されないが、膜厚が100nm以下であることが好ましい。
二酸化バナジウム系薄膜12は、酸化マグネシウム薄膜又は酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜からなる下地膜11上に形成される。二酸化バナジウム系薄膜12の結晶相は、単斜晶のVO相であることが必要である。このVO相は、転移点を超えると空間群P4/mnmで表される正方晶のVO相に変態することにより、サーモクロミック特性を示す。
二酸化バナジウム系薄膜12としては、バナジウムと酸素とによってのみ構成されるだけでなく、タングステン、モリブデン、タンタル及びニオブからなる金属元素群から選ばれる1種以上の金属元素を含んでもよい。特に、転移点を制御するためには、二酸化バナジウム系薄膜12に、タングステン又はモリブデンを含有させることが好ましい。具体的に、タングステンの含有量としては、W/(V+W)で表される原子数比で0.1以下が好ましく、0.01〜0.02がより好ましい。また、モリブデンの含有量としては、Mo/(V+Mo)で表される原子数比で0.1以下が好ましく、0.02〜0.045がより好ましい。なお、不可避不純物に関しては、その限りではない。
この二酸化バナジウム系薄膜12は、優れたサーモクロミック特性が得られるという観点から、転移点以下の温度範囲において、JCPDSカードの44−0252に記載の空間群P2/cで表される単斜晶系の結晶構造をとることが必要である。この単斜晶系結晶構造をとることによって、上述した金属元素群を添加しない場合には、転移温度68℃において半導体−金属相転移が起こり、同カードの44−0253に記載の空間群P4/mnmで表される正方晶系ルチル型結晶構造に転移する。一方で、上述した金属元素群を適量含んだ場合には、68℃の転移温度を室温近傍に制御することが可能となる。
以上説明したように、酸化マグネシウムを含む下地膜11を用いることによって、より低温、すなわち、室温近傍で結晶性の良好なVO相からなる二酸化バナジウム系薄膜12の形成が可能となり、良好なサーモクロミック体1を形成することができる。
<1−2.3層積層膜構造>
図2は、3層積層膜構造からなるサーモクロミック体2の構成例を示す断面図である。以下のサーモクロミック体2の説明では、上述した図1に示すサーモクロミック体1と同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図2に示すサーモクロミック体2は、基体10上に形成された下地膜11と、下地膜11上に形成された二酸化バナジウム系薄膜12と、二酸化バナジウム系薄膜12上に形成された酸化ケイ素(酸化シリコン)薄膜13とを備える。サーモクロミック体2は、酸化ケイ素薄膜13を備える点で、上述したサーモクロミック体1とは構成が異なる。
上述した非特許文献3に記載されているように、二酸化バナジウム系薄膜12は、屈折率が高い。よって、二酸化バナジウム系薄膜12上に、屈折率の低い酸化ケイ素薄膜13を形成させることにより、サーモクロミック体2の最表面における光の反射率を効果的に低減させることが可能となる。
酸化ケイ素薄膜13を備えるサーモクロミック体2は、下地膜11の光学膜厚をλ/4、二酸化バナジウム系薄膜12の光学膜厚をλ/2、及び酸化ケイ素薄膜13の光学膜厚をλ/4とすることが好ましい。ここで、波長λは、400nm以下であることが好ましく、より好ましくは、200〜400nmである。
また、酸化ケイ素薄膜13の光学膜厚、下地膜11の光学膜厚、又は下地膜11及び酸化ケイ素薄膜13の光学膜厚を上述したλ/4よりも厚くしてもよい。これにより、サーモクロミック体2における可視光の透過率をより高くすることができる。
一般に、反射防止構造では、透明性の高い膜によって構成されることにより、可視光領域における反射防止効果の得られる波長と最大透過率を示す波長とが概ね一致する。したがって、可視光領域における透過率を向上させるためには、視感度の高い波長550nmを中心波長λに設定すればよい。その場合の膜構造としては、基体10側から第1層となる低屈折率層の光学膜厚がλ/4、第2層となる高屈折率層の光学膜厚がλ/2、第3層となる低屈折率層又は中間屈折率層の光学膜厚がλ/4に設計される。
サーモクロミック体2は、このような通常の反射防止構造と同様の膜構造を有する。しかしながら、サーモクロミック体2は、可視光の吸収が比較的大きい二酸化バナジウム系薄膜12を第2層として備えるため、反射防止効果の中心波長と可視光領域における最大透過率を示す波長とが一致しない。そのため、波長λを変化させながら可視光領域におけるサーモクロミック体2の透過率の変化を調べることで、良好な透過率となる波長λを決定する。具体的には、波長λが400nmを超えると、波長400〜500nmの可視光領域短波長側の光の吸収が大きくなり、波長500nmにおける透過率が40%を下回ってしまう。
サーモクロミック体2は、光学膜厚を決定するときの波長λが400nm以下、より好ましくは、200〜400nmであり、下地膜11の光学膜厚をλ/4、二酸化バナジウム系薄膜12の光学膜厚をλ/2とし、酸化ケイ素薄膜13の光学膜厚λ/4をλ/4より厚くすることが好ましい。酸化ケイ素薄膜13の光学膜厚λ/4を決定する場合には、λがλを超えて700nm以下の範囲であること、すなわち、λ<λ≦700nmを満たすことがより好ましく、λを超えて500nm以下の範囲、すなわち、λ<λ≦500nmを満たすことがさらに好ましい。
また、サーモクロミック体2は、光学膜厚を決定するときの波長λが400nm以下、より好ましくは、200〜400nmであり、二酸化バナジウム系薄膜12の光学膜厚をλ/2、酸化ケイ素薄膜13の光学膜厚をλ/4とし、下地膜11の光学膜厚λ/4をλ/4より厚くすることが好ましい。下地膜11の光学膜厚λ/4を決定する場合、λがλを超えて700nm以下の範囲であること、すなわち、λ<λ≦700nmを満たすことがより好ましく、λを超えて500nm以下の範囲であること、すなわち、λ<λ≦500nmを満たすことがさらに好ましい。
さらに、サーモクロミック体2は、光学膜厚を決定するときの波長λが400nm以下、より好ましくは、200〜400nmであり、二酸化バナジウム系薄膜12の光学膜厚をλ/2とし、下地膜11の光学膜厚λ/4及び酸化ケイ素薄膜13の光学膜厚λ/4をλ/4より厚くすることがより好ましい。下地膜11の光学膜厚λ/4及び酸化ケイ素薄膜13の光学膜厚λ/4を決定する場合には、λ及びλがλを超えて700nm以下の範囲であること、すなわち、λ<λ,λ≦700nmを満たすことがより好ましく、λを超えて500nm以下の範囲であること、λ<λ,λ≦500nmを満たすことがさらに好ましい。
以上説明したように、上述したサーモクロミック体1の最表面に、さらに酸化ケイ素薄膜13を形成することによって、可視光透過率の高いサーモクロミック体2を形成することができる。
また、サーモクロミック体2においては、酸化マグネシウムを含む下地膜11、及び/又は酸化ケイ素薄膜13の光学膜厚を上述したようにλ/4よりも厚いλ及び/又はλとすることによって、可視光透過率を向上させることができる。
なお、本実施の形態に係るサーモクロミック体の膜構造は、さらに多層にしても構わないが、層の数が増えるに伴いコストも増大するため、3層までにすることが好ましい。
<2.サーモクロミック体の製造方法>
本実施の形態に係るサーモクロミック体1は、基体10上に、酸化マグネシウム薄膜又は酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜を下地膜11として形成し、下地膜11上に二酸化バナジウム系薄膜12を形成することにより得られる。
例えば、基体10上に、周知の成膜方法、例えば、上述した特許文献1に記載のスパッタリング法や、イオンプレーティング法、PLD法等の物理的成膜方法、又は上述した特許文献4に記載のCVD(Chemical Vapor Deposition)法やスプレー法、MOD(Metal Organic Decompositon)法等の化学的成膜法を施すことで、サーモクロミック体1を形成することができる。
サーモクロミック体1の形成方法では、特にスパッタリング法を用いることが好ましい。具体的には、直流スパッタリング法、直流パルススパッタリング法又は高周波スパッタリング法が挙げられる。これらスパッタリング法のうち、二酸化バナジウム系薄膜12の形成には、高周波スパッタリングを用いることが好ましく、酸化バナジウム系焼結体ターゲットを用いることが特に好ましい。
また、バナジウム系金属ターゲットを用いる場合には、直流パルススパッタリング法も好適に用いることができる。直流パルススパッタリング法は、高周波スパッタリング法における一般的な周波数13.56MHzよりも低い数百kHzの周波数を採用したり、印加電流・印加電圧の波形を変化(例えば矩形状に変化)させたりする方法であり、直流スパッタリング法に含まれる。ターゲットに印加する負電圧を周期的に停止し、その間に低い正電圧を印加して正のチャージングを電子により中和することにより、アーキングを抑制しながら成膜することが可能である。これにより、高周波スパッタリング法のようにインピーダンス整合回路を制御する必要がなく、成膜速度が高周波スパッタリング法よりも速い等の利点を有する。また、PEM(Plasma Emission Monitor)等と組み合わせて、最適な酸素量を精密制御することにより、二酸化バナジウム系薄膜12の形成が可能となる。なお、直流スパッタリング法又は直流パルススパッタリング法であっても、高速成膜を実現するためには、いずれも導電性ターゲットが必要である。
サーモクロミック体1を各種スパッタリング法で形成する場合には、スパッタリングガスとして不活性ガスと酸素、特にアルゴンと酸素とからなる混合ガスを用いることが好ましい。また、スパッタリング装置のチャンバー内を0.1〜5Pa、特に0.2〜0.8Paの圧力として、スパッタリングすることが好ましい。例えば、2×10−4Pa以下まで真空排気後、アルゴンと酸素とからなる混合ガスを導入し、ガス圧を0.2〜0.5Paとし、ターゲットの面積に対する直流電力、すなわち、直流電力密度が1〜3W/cm程度の範囲となるよう電力を印加してプラズマを発生させ、プリスパッタリングを実施することが好ましい。このプリスパッタリングを5〜30分間行い、放電状態を安定させた後、必要により基体10の位置を修正したうえで、スパッタリング成膜することが好ましい。
また、サーモクロミック体1は、所定の温度に基体10を加熱して成膜することにより、各層が所望の構造をとる結晶膜を得ることができる。基体10の温度としては、室温以上500℃以下が好ましい。基体10の温度が室温未満の場合には、成膜装置に冷却処置を設ける必要があり、コスト上昇を招くなどの弊害となる。また、室温近傍の低温で非晶質膜を形成し、その後、非酸化性などの適当な雰囲気における熱処理によって結晶膜としてもよい。
以上のように、サーモクロミック体1の形成方法では、酸化マグネシウムを含む下地膜11を形成し、下地膜11上に二酸化バナジウム系薄膜12を形成することにより、より低温、すなわち、室温近傍で結晶性の良好なVO相からなる二酸化バナジウム系薄膜12を形成することができる。したがって、良好なサーモクロミック体1を形成することができる。
また、サーモクロミック体1の形成方法では、サーモクロミック体1の最表面、すなわち、二酸化バナジウム系薄膜12上に、酸化ケイ素薄膜13をさらに形成することによって、可視光透過率の高いサーモクロミック体2を形成することができる。
<3.サーモクロミック体の適用例>
上述した本実施の形態に係るサーモクロミック体は、例えば、熱線遮蔽ガラスや、熱線遮蔽フィルムに好適に適用することができる。熱線遮蔽ガラスや熱線遮蔽フィルムは、例えば、基体10としてガラスやフィルムを用い、この基体10上に下地膜11を形成し、下地膜11上に二酸化バナジウム系薄膜12を形成することにより得られる。基体10であるガラスやフィルム上に形成された下地膜11上に、二酸化バナジウム系薄膜12を形成することにより、基体10の材質が制限されず、例えば、非耐熱性のフィルム等に対しても、室温近傍で結晶性の良好なVO相からなる二酸化バナジウム系薄膜12を形成することができる。
以下に、本発明の実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によって限定されるものではない。
〔薄膜の基本特性評価〕
下記の実施例及び比較例において得られた各層の薄膜の組成は、ICP発光分光法によって調べた。各層の薄膜の膜厚は表面粗さ計(テンコール社製Alpha−Step IQ)で測定した。成膜速度は、膜厚と成膜時間から算出した。
膜の生成相は、X線回折装置(フィリップス製X´PertPRO MPD)を用いて、2θ/θ測定によって同定した。
サーモクロミック特性として、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ製U−4100型)を用いて、室温及び80℃における透過率を測定し、波長1500nmの透過率差をΔT1500として求めた。
(実施例1〜6)
実施例1〜6では、下地膜である酸化マグネシウム薄膜上に、二酸化バナジウム薄膜を形成した2層積層膜構造のサーモクロミック体を形成した。
成膜は、アーキング抑制機能のない直流電源及び高周波電源を装備したマグネトロンスパッタリング装置(アネルバ製SPF−530H)の非磁性体ターゲット用カソードに酸化マグネシウム酸化物焼結体及び二酸化バナジウム酸化物焼結体の2種のスパッタリングターゲットを取り付けて実施した。
また、基体としては、厚さ1.1mmのコーニング7059ガラス基板を用いた。スパッタリング装置のチャンバー内が1×10−4Pa以下の真空度まで排気され、所定の基板温度、すなわち、室温(実施例1)、100℃(実施例2)、200℃(実施例3)、300℃(実施例4)、400℃(実施例5)、500℃(実施例6)に到達したことを確認した。
具体的に、実施例1〜6においては、以下の操作により2層積層膜構造のサーモクロミック体を形成した。
先ず、ガラス基板上に、下地膜として酸化マグネシウム薄膜を形成した。酸化マグネシウム薄膜は、アルゴンと酸素の混合ガスを酸素の比率が0.5%になるように導入して全ガス圧を0.5Paに調整し、高周波電力200Wを印加して高周波プラズマを発生させ、高周波スパッタリングによって成膜した。なお、ターゲット−基板間の距離は、60mmとした。
この酸化マグネシウム薄膜の成膜処理は、10分間のプリスパッタリング後、スパッタリングターゲットの直上、すなわち静止対向位置に基板を配置し、所定の基板温度でスパッタリングを実施して、膜厚30nmの酸化マグネシウム薄膜を形成した。
次に、酸化マグネシウム薄膜上に二酸化バナジウム薄膜の形成を実施した。二酸化バナジウム薄膜は、アルゴンと酸素の混合ガスを酸素の比率が0.3%になるように導入してガス圧を0.5Paに調整し、高周波電力200Wを印加して高周波プラズマを発生させ、高周波スパッタリングによって成膜した。なお、ターゲット−基板間距離は60mmとした。
この二酸化バナジウム薄膜の成膜処理は、10分間のプリスパッタリングの後、スパッタリングターゲットの直上、すなわち静止対向位置に基板を配置し、酸化マグネシウム薄膜と同じ基板温度でスパッタリングを実施して、膜厚約160nmの二酸化バナジウム薄膜を形成した。
以上のプロセスを経て形成した2層積層膜構造のサーモクロミック体を、X線回折測定によって調べた結果、全ての基板温度において空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相の生成が確認された。
なお、第2層の二酸化バナジウム薄膜を、二酸化バナジウムにタングステンをW/(V+W)で表される原子数比で0.015添加した薄膜、又は二酸化バナジウムにモリブデンをMo/(V+Mo)で表される原子数比で0.032添加した薄膜でも、同様に、全ての基板温度において空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相の生成が確認された。これらの薄膜の転移温度は、いずれも32℃であった。
(実施例7〜12)
実施例7〜12では、下地膜として、酸化マグネシウムの代わりに、マグネシウムの含有量がMg/(Mg+Zn)で表される原子数比で0.30である酸化マグネシウムと、亜鉛の含有量がZn/(Mg+Zn)で表される原子数比で0.70である亜鉛とを含む酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いたことを除いて、実施例1〜6と同様のスパッタリング装置及び基板を用いてサーモクロミック体を作製した。基板温度は、室温(実施例7)、100℃(実施例8)、200℃(実施例9)、300℃(実施例10)、400℃(実施例11)、500℃(実施例12)とした。
具体的には、ガラス基板上の下地膜となるマグネシウムと亜鉛を含む酸化物薄膜は、上述したスパッタリングターゲットを用いて、アルゴンガスのみを導入してガス圧を0.3Pa、ターゲット−基板間距離を60mmに調整し、高周波電力200Wを印加して高周波スパッタリングによって成膜した。成膜処理は、10分間のプリスパッタリングの後、スパッタリングターゲットの直上、すなわち静止対向位置に基板を配置し、所定の基板温度でスパッタリングを実施して、膜厚30nmの同薄膜を形成した。
次に、実施例1〜6と同様のプロセスによって、下地膜上に二酸化バナジウム薄膜の形成を実施した。
以上のプロセスを経て形成した2層積層膜構造のサーモクロミック体を、X線回折測定によって調べた結果、全ての基板温度において空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相の生成が確認された。
なお、第2層の二酸化バナジウム薄膜を、二酸化バナジウムにタングステンをW/(V+W)で表される原子数比で0.015添加した薄膜、又は二酸化バナジウムにモリブデンをMo/(V+Mo)で表される原子数比で0.032添加した薄膜でも、同様に、全ての基板温度において空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相の生成が確認された。これらの薄膜の転移温度は、いずれも32℃であった。
(実施例13〜18)
実施例13〜18では、下地膜として、酸化マグネシウムの代わりに、マグネシウムの含有量がMg/(Mg+Zn+Al)で表される原子数比で0.18、亜鉛の含有量がZn/(Mg+Zn+Al)で表される原子数比で0.77、アルミニウムの含有量がAl/(Mg+Zn+Al)で表される原子数比で0.05である、マグネシウム、亜鉛及びアルミニウムを含む酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いたことを除いては、基板温度を室温(実施例13)、100℃(実施例14)、200℃(実施例15)、300℃(実施例16)、400℃(実施例17)、500℃(実施例18)として、実施例1〜6と同様のスパッタリング装置及び基板を用いてサーモクロミック体を作製した。
具体的には、ガラス基板上の下地膜となるマグネシウム、亜鉛及びアルミニウムを含む酸化物薄膜は、上述したスパッタリングターゲットを用いて、アルゴンガスのみを導入してガス圧を0.5Pa、ターゲット−基板間距離を49mmに調整し、直流電力200Wを印加して直流スパッタリングによって成膜した。成膜処理は、10分間のプリスパッタリングの後、スパッタリングターゲットの直上、すなわち静止対向位置に基板を配置し、所定の基板温度でスパッタリングを実施して、膜厚30nmの同薄膜を形成した。
次に、実施例1〜6と同様のプロセスによって、下地膜上に二酸化バナジウム薄膜の形成を実施した。
以上のプロセスを経て形成した2層積層膜構造のサーモクロミック体を、X線回折測定によって調べた結果、全ての基板温度において空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相の生成が確認された。
(実施例19〜24)
実施例19〜24では、下地膜として、酸化マグネシウムの代わりに、マグネシウムの含有量がMg/(Mg+Zn+Ga)で表される原子数比で0.105、亜鉛の含有量がZn/(Mg+Zn+Ga)で表される原子数比で0.845、ガリウムの含有量がGa/(Mg+Zn+Ga)で表される原子数比で0.05である、マグネシウム、亜鉛及びガリウムを含む酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いたことを除いて、実施例1〜6と同様のスパッタリング装置及び基板を用いてサーモクロミック体を作製した。基板温度は、室温(実施例19)、100℃(実施例20)、200℃(実施例21)、300℃(実施例22)、400℃(実施例23)、500℃(実施例24)とした。
具体的には、ガラス基板上の下地膜となるマグネシウム、亜鉛及びガリウムを含む酸化物薄膜は、上述したスパッタリングターゲットを用いて、アルゴンガスのみを導入してガス圧を0.5Pa、ターゲット−基板間距離を49mmに調整し、直流電力200Wを印加して直流スパッタリングによって成膜した。成膜処理は、10分間のプリスパッタリングの後、スパッタリングターゲットの直上、すなわち静止対向位置に基板を配置し、所定の基板温度でスパッタリングを実施して、膜厚30nmの同薄膜を形成した。
次に、実施例1〜6と同様のプロセスによって、下地膜上に二酸化バナジウム薄膜の形成を実施した。
以上のプロセスを経て形成した2層積層膜構造のサーモクロミック体を、X線回折測定によって調べた結果、全ての基板温度において空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相の生成が確認された。
図3は、マグネシウム、亜鉛及びガリウムを含む酸化物薄膜を下地膜に用いた2層積層膜構造のサーモクロミック体のX線回折結果を示すグラフである。図3において、黒抜きの丸の記号(●)は、空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相に相当するピークを示す。また、図3において、黒抜きの三角の記号(▲)は、ZnO相に相当するピークを示す。
なお、第2層の二酸化バナジウム薄膜を、二酸化バナジウムにタングステンをW/(V+W)で表される原子数比で0.015添加した薄膜、又は二酸化バナジウムにモリブデンをMo/(V+Mo)で表される原子数比で0.032添加した薄膜でも、同様に、全ての基板温度において空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相の生成が確認された。これらの薄膜の転移温度は、いずれも32℃であった。
(実施例25〜30)
実施例25〜30では、下地膜として、酸化マグネシウムの代わりに、マグネシウムの含有量がMg/(Mg+Zn+Ga+Al)で表される原子数比で0.01、亜鉛の含有量がZn/(Mg+Zn+Ga+Al)で表される原子数比で0.94、アルミニウムの含有量がAl/(Mg+Zn+Ga+Al)で表される原子数比で0.025、並びにガリウムの含有量がGa/(Mg+Zn+Ga+Al)で表される原子数比で0.025である、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム及びガリウムを含む酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いたことを除いて、実施例1〜6と同様のスパッタリング装置及び基板を用いてサーモクロミック体を作製した。基板温度は、室温(実施例25)、100℃(実施例26)、200℃(実施例27)、300℃(実施例28)、400℃(実施例29)、500℃(実施例30)とした。
具体的には、ガラス基板上の下地膜となるマグネシウム、亜鉛、アルミニウム及びガリウムを含む酸化物薄膜は、上述したスパッタリングターゲットを用いて、アルゴンガスのみを導入してガス圧を0.5Pa、ターゲット−基板間距離を49mmに調整し、直流電力200Wを印加して直流スパッタリングによって成膜した。成膜処理は、10分間のプリスパッタリングの後、スパッタリングターゲットの直上、すなわち静止対向位置に基板を配置し、所定の基板温度でスパッタリングを実施して、膜厚30nmの同薄膜を形成した。
次に、実施例1〜6と同様のプロセスによって、下地膜上に二酸化バナジウム薄膜の形成を実施した。
以上のプロセスを経て形成した2層積層膜構造のサーモクロミック体を、X線回折測定によって調べた結果、全ての基板温度において空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相の生成が確認された。
(実施例31)
実施例31では、ガラス基板の代わりに、厚み100μmのPETフィルムを基板に用いたことを除いては、基板温度が室温の実施例7と同様のスパッタリング装置を用いてサーモクロミック体を作製した。
X線回折測定によって、形成したサーモクロミック体の結晶性を調べた結果、空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相の生成が確認された。
表1に、各実施例において二酸化バナジウム系薄膜を形成した場合の基板温度、下地層の種類ならびにVO相生成の可否をまとめて示した。
(実施例32)
実施例32では、酸化マグネシウムに亜鉛及びガリウムを添加した酸化物薄膜からなる下地膜(第1層)と、下地膜上に形成された二酸化バナジウム系薄膜(第2層)と、二酸化バナジウム系薄膜に形成された酸化ケイ素薄膜(第3層)とを備えるサーモクロミック体を形成した。このサーモクロミック体は、波長λ=300nmとして、下地膜及び酸化ケイ素薄膜の光学膜厚がλ/4、二酸化バナジウム系薄膜の光学膜厚がλ/2となるように、物理的な膜厚を調整した。
成膜は、アーキング抑制機能のない直流電源及び高周波電源を装備したマグネトロンスパッタリング装置(アネルバ製SPF−530H)の非磁性体ターゲット用カソードに、マグネシウムの含有量がMg/(Mg+Zn+Ga)で表される原子数比で0.105、亜鉛の含有量がZn/(Mg+Zn+Ga)で表される原子数比で0.845、ガリウムの含有量がGa/(Mg+Zn+Ga)で表される原子数比で0.05である、マグネシウム、亜鉛及びガリウムを含む酸化物焼結体、二酸化バナジウム酸化物焼結体及びシリコンの3種のスパッタリングターゲットを取り付けて実施した。
また、基板としては、厚さ1.1mmのコーニング7059ガラス基板を用いた。スパッタリング装置のチャンバー内が1×10−4Pa以下の真空度まで排気され、基板温度400℃に到達したことを確認した。
具体的に、実施例32においては、以下の操作により3相構造のサーモクロミック体を形成した。
先ず、ガラス基板上へ下地膜として酸化マグネシウムに亜鉛及びガリウムを添加した酸化物薄膜を、実施例23と同様のプロセスによって、光学膜厚λ/4(λ=300nm)相当の膜厚で形成した。
次に、基板温度を400℃に維持したまま、酸素流量比を0.7%とした以外は実施例1〜5と同様のプロセスによって、下地膜上に二酸化バナジウム薄膜を、光学膜厚λ/2相当の膜厚で形成した。
さらに、基板温度を400℃に維持したまま、シリコンをターゲットとして使用して酸化ケイ素薄膜の形成を実施した。酸化ケイ素薄膜は、アルゴンと酸素の混合ガスを酸素の比率が2%になるように導入してガス圧を0.5Paに調整し、高周波電力200Wを印加して高周波プラズマを発生させ、高周波スパッタリングによって成膜した。なお、ターゲット−基板間距離は60mmとした。
この酸化ケイ素薄膜の成膜処理は、10分間のプリスパッタリングの後、スパッタリングターゲットの直上、すなわち静止対向位置に基板を配置し、光学膜厚λ/4相当の膜厚の同薄膜を形成した。
以上のプロセスを経て形成した3層積層膜構造のサーモクロミック体の各層の物理的な膜厚を測定したところ、第1層は40nm、第2層は45nm、第3層は51nmであった。
また、X線回折測定によって、このサーモクロミック体の結晶性を調べた結果、第2層の二酸化バナジウム薄膜には、空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相が生成していることが確認された。
図4は、サーモクロミック体の透過率及び反射率の測定結果を示すグラフである。また、図5は、室室温及び80℃で測定したサーモクロミック体の透過率の測定結果を示すグラフである。
図4及び図5に示す結果から分かるように、実施例32で形成したサーモクロミック体の可視光最大透過率は49.6%であり、サーモクロミック特性の指標となる波長1500nmにおける透過率差はΔT1500=24.9%であった。
(実施例33)
実施例33では、酸化ケイ素薄膜(第3層)の光学膜厚をλ/4とした場合に、波長λをλ=300nmからλ=500nm相当に厚くしたこと以外は、実施例32と同様にサーモクロミック体を形成した。なお、第3層の物理的な膜厚は85nmであり、実施例32とは異なることが確認された。
図4に示すように、実施例33で形成したサーモクロミック体の可視光最大透過率は58.3%であり、波長1500nmにおける透過率差はΔT1500=24.1%であった。
(実施例34)
実施例34では、酸化マグネシウムに亜鉛及びガリウムを添加した酸化物薄膜からなる下地膜(第1層)の光学膜厚をλ/4とした場合に、波長λをλ=300nmからλ=500nm相当に厚くしたこと以外は、実施例32と同様にサーモクロミック体を形成した。なお、第1層の物理的な膜厚は65nmであり、実施例32と異なることが確認された。
図4に示すように、実施例34で形成したサーモクロミック体の可視光最大透過率は55.0%であり、波長1500nmにおける透過率差はΔT1500=24.3%であった。
(実施例35)
実施例35では、酸化マグネシウムに亜鉛及びガリウムを添加した酸化物薄膜からなる下地膜(第1層)、及び酸化ケイ素薄膜(第3層)の光学膜厚をλ/4及びλ/4とした場合に、波長λをλ=500nm及び波長λをλ=500nm相当に厚くしたこと以外は、実施例32と同様にサーモクロミック体を形成した。なお、第1層ならびに第3層の物理的な膜厚は、それぞれ65nm及び85nmであり、実施例32と異なることが確認された。
図4及び図5に示すように、実施例35で形成したサーモクロミック体の可視光最大透過率は63.1%であり、波長1500nmにおける透過率差はΔT1500=23.1%であった。
(比較例1〜6)
比較例1〜6では、下地膜として、酸化マグネシウムの代わりに、酸化亜鉛焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いたこと以外は、実施例1〜6と同様のスパッタリング装置及び基板を用いて2層積層膜構造のサーモクロミック体を作製した。基板温度は、室温(比較例1)、100℃(比較例2)、200℃(比較例3)、300℃(比較例4)、400℃(比較例5)、500℃(比較例6)とした。
先ず、ガラス基板上の下地膜となる酸化亜鉛薄膜は、上述したスパッタリングターゲットを用いて、アルゴンガスのみを導入してガス圧を0.5Pa、ターゲット−基板間距離を49mmに調整し、直流電力200Wを印加して直流スパッタリングによって成膜した。成膜処理は、10分間のプリスパッタリングの後、スパッタリングターゲットの直上、すなわち静止対向位置に基板を配置し、所定の基板温度でスパッタリングを実施して、膜厚30nmの同薄膜を形成した。
次に、実施例1〜6と同様のプロセスによって、下地膜上に二酸化バナジウム薄膜の形成を実施した。
以上のプロセスを経て形成した2層積層膜構造のサーモクロミック体を、X線回折測定によって調べた結果、基板温度200〜400℃において空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相が生成したが、基板温度が室温及び100℃では生成しないことが確認された。
図6は、酸化亜鉛薄膜を下地膜に用いた2層サーモクロミック体のX線回折結果を示すグラフである。図6において、黒抜きの丸の記号(●)は、空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相に相当するピークを示す。また、黒抜きの三角の記号(▲)は、ZnO相に相当するピークを示す。
(比較例7)
比較例7では、コーニング7059の基板上に、二酸化バナジウム薄膜のみの形成を実施した。具体的には、酸素流量比を0.7%とした以外は実施例1〜6と同様のプロセスによって、実施例32と同じ膜厚、すなわち光学膜厚λ/4(λ=300nm)相当の膜厚となるように、二酸化バナジウム薄膜を基板温度400℃にて形成した。しかしながら、得られた薄膜にはVO相が形成されず非晶質であったため、酸素流量比を0.5%として同様の薄膜を形成した。
X線回折測定によって、形成された薄膜の結晶性を調べた結果、空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相の生成が確認された。
図4及び図5に示すように、比較例7で形成したサーモクロミック体の可視光最大透過率は43.4%であり、波長1500nmにおける透過率差はΔT1500=23.1%であった。
実施例1〜実施例33、比較例1〜比較例7の結果をまとめたものを以下の表1及び表2に示す。なお、表2において、λ=300nm、λ=500nm、λ=500nmである。
Figure 0005682324
Figure 0005682324
(VO相生成についての評価)
表1及び図3に示す結果から明らかなように、下地膜として酸化マグネシウム薄膜を用いた場合(実施例1〜実施例6)、下地膜としてマグネシウムと亜鉛を含む酸化物薄膜を用いた場合(実施例7〜実施例12)、下地膜としてマグネシウムと亜鉛、並びにガリウム及び/又はアルミニウムを含む酸化物薄膜を用いた場合(実施例13〜実施例30)には、室温〜500℃の基板温度において、空間群P2/cの単斜晶系の結晶構造からなるVO相を生成できることが分かった。
一方、比較例1〜5の下地膜ZnO薄膜では、図6に示すように、基板温度200〜500℃ではVO相は生成されるものの、基板温度が室温〜100℃の温度では、VO相を生成することができないことがわかった。
以上のことから、室温〜100℃の範囲での低温成膜が必要な基板、例えばPETフィルム等にサーモクロミック特性を示すVO相からなる二酸化バナジウム系薄膜を形成する場合には、酸化マグネシウム薄膜、マグネシウムと亜鉛を含む酸化物薄膜、或いはマグネシウムと亜鉛、並びにガリウム及び/又はアルミニウムを含む酸化物薄膜が、下地膜として極めて有用であることが示された。
(透過率についての評価)
次に、図4によって、実施例32〜35の下地膜が酸化マグネシウムに亜鉛及びガリウムを添加した酸化物薄膜と、下地膜上に形成された二酸化バナジウム系薄膜と、二酸化バナジウム系薄膜上に形成された酸化ケイ素薄膜とからなる3層積層膜構造のサーモクロミック体と、比較例7のコーニング7059ガラス基板上に直接成膜された二酸化バナジウム薄膜の透過率とを比較する。
波長λ=300nmにおいて、下地膜の光学膜厚λ/4、二酸化バナジウム系薄膜の光学膜厚λ/2、酸化ケイ素薄膜の光学膜厚λ/4である実施例32のサーモクロミック体は、比較例7の二酸化バナジウム薄膜のみのサーモクロミック体に対して、可視光透過率が高いことが分かる。このことから、酸化マグネシウムを含む下地膜を使用した3層積層膜構造のサーモクロミック体は、可視光透過率が高いという点で有用であることが分かる。
また、酸化ケイ素薄膜の光学膜厚をλ/4(λ=500nm)相当に厚くした実施例33のサーモクロミック体、下地膜の光学膜厚をλ/4(λ=500nm)相当に厚くした実施例34のサーモクロミック体、下地膜及び酸化ケイ素薄膜の光学膜厚をλ/4(λ=500nm)及びλ/4(λ=500nm)相当に厚くした実施例35のサーモクロミック体は、実施例32のサーモクロミック体よりも、さらに可視光透過率の向上が認められた。すなわち、第1層及び/又は第3層の膜厚を、λ/4よりも厚くすることによって、さらに可視光透過率が向上することが確認された。
このように3層積層膜構造を変化させても、図4に示すサーモクロミック特性評価から分かるように、指標となるΔT1500には大きな変化はなく、可視光透過率の向上効果が大きいことが確認された。したがって、酸化マグネシウムを含む下地膜を使用した3層積層膜構造のサーモクロミック体において、下地膜及び/又は酸化ケイ素薄膜をλ/4より厚くした構造が有用であることが明らかとなった。
1,2 サーモクロミック体、10 基体、11 下地膜、12 二酸化バナジウム系薄膜、13 酸化ケイ素薄膜

Claims (12)

  1. 基体上に形成された酸化マグネシウム薄膜又は酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化
    物薄膜からなる下地膜と、
    前記下地膜上に形成された二酸化バナジウム系薄膜と
    を備えることを特徴とするサーモクロミック体。
  2. 前記下地膜のマグネシウム添加量が、Mg/(Mg+Zn)で表されるマグネシウム原子数比で0.01〜1.0であることを特徴とする請求項1に記載のサーモクロミック体。
  3. 前記下地膜は、酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜からなり、
    前記下地膜のマグネシウム添加量が、Mg/(Mg+Zn)で表されるマグネシウム原子数比で0.01〜0.18であることを特徴とする請求項1又は2に記載のサーモクロミック体。
  4. 前記下地膜は、酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜に、さらにアルミニウム及び/又はガリウムが添加されてなり、
    マグネシウム添加量が、Mg/(Mg+Zn+Al+Ga)で表されるマグネシウム原子数比で0.01〜0.18であり、かつ、(Al+Ga)/(Mg+Zn+Al+Ga)で表されるアルミニウム及び/又はガリウム原子数比で0.05以下であることを特徴とする請求項1に記載のサーモクロミック体。
  5. 前記二酸化バナジウム系薄膜上に、さらに酸化ケイ素薄膜を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のサーモクロミック体。
  6. 波長λにおいて、前記下地膜の光学膜厚をλ/4、前記二酸化バナジウム系薄膜の光学膜厚をλ/2、前記酸化ケイ素薄膜の光学膜厚をλ/4とすることを特徴とする請求項5に記載のサーモクロミック体。
  7. 波長λが200〜400nmであり、波長λが該λを超えて700nm以下の範囲である場合に、
    前記下地膜の光学膜厚をλ/4、前記二酸化バナジウム系薄膜の光学膜厚をλ/2、前記酸化ケイ素薄膜の光学膜厚をλ/4とすることを特徴とする請求項5に記載のサーモクロミック体。
  8. 波長λが200〜400nmであり、波長λが該λを超えて700nm以下の範囲である場合に、
    前記下地膜の光学膜厚をλ/4、前記二酸化バナジウム系薄膜の光学膜厚をλ/2、前記酸化ケイ素薄膜の光学膜厚をλ/4とすることを特徴とする請求項5に記載のサーモクロミック体。
  9. 波長λが200〜400nmであり、波長λ及びλが該λを超えて700nm以下の範囲である場合に、
    前記下地膜の光学膜厚をλ/4、前記二酸化バナジウム系薄膜の光学膜厚をλ/2、前記酸化ケイ素薄膜の光学膜厚をλ/4とすることを特徴とする請求項5に記載のサーモクロミック体。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のサーモクロミック体を有する熱線遮蔽ガラス。
  11. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のサーモクロミック体を有する熱線遮蔽フィルム。
  12. 基体上に、酸化マグネシウム薄膜又は酸化マグネシウムに亜鉛を添加した酸化物薄膜を下地膜として形成し、該下地膜上に、二酸化バナジウム系薄膜を形成することを特徴とするサーモクロミック体の製造方法。
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