JP2015104543A - 使い捨ておむつ - Google Patents

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Abstract

【課題】座位時の便漏れを防止する。【解決手段】上記課題は、使い捨ておむつに固定された付根部分15aと、この付根部分15aから突出するとともに使い捨ておむつの表側で幅方向に複数回折り返されてなる蛇腹状の突出部分15bと、この突出部分15bにおける前後端部がそれぞれ折り畳まれた状態に固定されて形成された前後折り畳み部17と、突出部分15bにおける前端部より後側であって肛門位置よりも前側の部位の少なくとも先端部が、使い捨ておむつの表面に対して固定されて形成された中間固定部18と、突出部分15bにおける前後折り畳み部17及び中間固定部18間に位置する伸縮自在の自由部分19と、を有するギャザーシート15と;自由部分19の少なくとも先端部に、前後方向に伸張した状態で固定されたギャザー弾性部材16と;を有する立体ギャザーBSにより解決される。【選択図】図9

Description

本発明は、座位時の便漏れ防止性に優れる使い捨ておむつに関する。
使い捨ておむつにおいては、脚周りに対するフィット性を高めるために、表面の幅方向両側に、身体側に突出する立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在しているものが一般的となっている(例えば特許文献1参照)。このような立体ギャザーを備えることによって、両立体ギャザー間に尿や便が留まり、使い捨ておむつの横からの尿や便の漏れが防止される。
しかしながら、装着者が座位のときにはおむつの表面と体との隙間が狭いため、排泄された便が吸収されずに臀部側に広がると、臀部側の立体ギャザーを押し広げて乗り越え、漏れ出ることがあった。テープタイプ使い捨ておむつやパンツタイプ使い捨ておむつの場合、便が立体ギャザーを越えても受け止める部分が存在するため、直ちに衣類を汚すことにならないとしても、おむつ交換をする際に衣類や周囲を汚すおそれが高くなり、また、肌の便付着面積が広くなりスキントラブルを発生し易くなる点も問題である。
特に、パンツタイプ使い捨ておむつは、一般に立体ギャザーの間隔が狭いため、このような座位時の便漏れが発生し易い傾向にある。
他方、便を収容する空間を設けることも提案されている(例えば特許文献2参照)が、厚み方向に便を移動させることを前提とするため、座位時のようにおむつが厚み方向に拡大困難な状況下では便収容空間が広がり難いという欠点がある。
特開2000−254170号公報 特表2002−515796号公報
そこで本発明の主たる課題は、座位時の便漏れを防止することにある。
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
装着者の腹側から股間を通り背側まで被覆する形状を有し、
排泄物を吸収保持する吸収体を有し、
表面の幅方向両側に、腹側から背側まで前後方向に沿って延在する立体ギャザーをそれぞれ備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記立体ギャザーは;
使い捨ておむつに固定された付根部分と、この付根部分から突出するとともに使い捨ておむつの表側で幅方向に複数回折り返されてなる蛇腹状の突出部分と、この突出部分における前後端部がそれぞれ折り畳まれた状態に固定されて形成された前後折り畳み部と、前記突出部分における前端部より後側であって肛門位置よりも前側の部位の少なくとも先端部が、使い捨ておむつの表面に対して固定されて形成された中間固定部と、前記突出部分における前記前後折り畳み部及び中間固定部間に位置する伸縮自在の自由部分と、を有するギャザーシートと;
前記自由部分の少なくとも先端部に、前後方向に伸張した状態で固定されたギャザー弾性部材と;を有するものである、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
(作用効果)
本発明では、蛇腹状の自由部分が側方に拡張することにより、立体ギャザーが側方に膨らんで便収容ポケットが形成されるようになっている。ただし、単に立体ギャザーを側方に拡張可能にしただけでは、かえって立体ギャザーが便の移動力により押し広げられ易くなり、ポケットも形成され難いため、本発明では、中間固定部を設けて、立体ギャザーの先端部が側方に移動するのを防止し、ポケット形成が促進される構造としている。よって、本発明では、座位時の排便により便が吸収されずに臀部側に広がると、その便が立体ギャザーの蛇腹部分を押してポケットを形成しつつその中に入り込むことになり、座位時の便漏れが効果的に防止されるとともに、肌の便付着面積の拡大も防止される。
<請求項2記載の発明>
前記ギャザーシートの突出部分における最も表側に位置する折り返し部分が、それよりも前記付根部分側となる部分よりも幅方向中央側に延在されて先端延在部が形成されており、前記中間固定部では少なくとも前記先端延在部が使い捨ておむつの表面に固定されている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような構造とすると、より深い便ポケットが形成されるため好ましい。
<請求項3記載の発明>
前記中間固定部では、前記先端延在部の先端側の一部が非固定部分とされ、かつこの非固定部分に前記ギャザー弾性部材が設けられるとともに、この非固定部分よりも基端側が使い捨ておむつの表面に固定されている、請求項2記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
本発明の立体ギャザーは、中間固定部の少なくとも先端部は使い捨ておむつの表面に対して固定されているため、自由部分のように立ち上がることはできないが、座位時にはおむつが体と座面との間に挟まれて隙間が無くなり、便の前方移動は阻止されるため、座位時における中間固定部からの便漏れのおそれは少ないものとなる。しかし、座位時以外には中間固定部からの尿や便の漏れのおそれは高くならざるを得ない。そこで、上述のように立体ギャザーの先端延在部の先端側の一部を非固定部分としてギャザー弾性部材により立ち上がるように構成するのも一つの好ましい形態である。
<請求項4記載の発明>
前記中間固定部と対応する前後方向範囲に、前記突出部分が折り畳み状態に固定されて形成された中間折り畳み部を有する、請求項2又は3記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような構造を採用することにより、中間固定部より後側に形成される便収容ポケットの前端が中間折り畳み部により遮断され、中間固定部より前側に連通しなくなり、中間固定部より後側の便収容ポケットに収容された便が前側に移動し、股間や腹側に付着するのを防止することができる。
<請求項5記載の発明>
前記ギャザーシートの突出部分の折り重なる部分が、前後方向全体にわたり前記吸収体の側縁よりも側方に位置している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような構造を採用することにより、吸収体の側方に便収容ポケットが形成されるとともに、吸収体を有する部分よりもその側方の部分が薄いこと(段差を有すること)により、立体ギャザーの突出部分が側方に拡張し易くなり、ポケット形成及び便導入がより容易となる。
<請求項6記載の発明>
前記吸収体の股間部に、前後両側より幅の狭い括れ部が形成されるとともに、前記中間固定部は前記括れ部と対応する前後方向範囲内であって且つ前記括れ部の側縁よりも幅方向外側に離間した位置に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように中間固定部の前後方向位置を括れ部に対応させて且つ括れ部の側縁に対して幅方向外側に離間させると、括れ部内の部分が相対的に低剛性となることにより、括れ部内の部分が前後両側の自由部分の立ち上がりにより引っ張られて持ち上がるようになる。よって、中間固定部は固定されたまま、その固定対象とともに弾力的に持ち上がるようになるため、座位時以外における中間固定部からの尿や便の漏れのおそれを低減することができる。
<請求項7記載の発明>
前身頃及び後身頃を有する外装シートと、この外装シートの内面に固定された内装体とを備えており、
前記内装体が、前記液透過性の表面シートと、前記液不透過性の裏面側シートと、これらのシート間に介在された前記吸収体とを備えるとともに、幅方向両側部に、股間部の前側から股間部の後側まで前後方向に沿って延在する前記立体ギャザーをそれぞれ備えており、
前記外装シートの前身頃と後身頃とが両側部において接合されることにより、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつである、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
このようなパンツタイプ使い捨ておむつは、一般に立体ギャザーの間隔が狭いため、このような座位時の便漏れが発生し易い傾向にある。よって、本発明はこのようなパンツタイプ使い捨ておむつに好適である。
以上のとおり、本発明によれば、座位時の便漏れを低減できる、等の利点がもたらされる。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(内面側)である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。 図1のD−D断面図である。 図1のC−C断面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの装着状態の斜視図である。 弾性部材のカットパターンを示す平面図である。 便ポケットの拡大変形を示す要部断面図である。 内装体の平面図である。 他の例を示す内装体の平面図である。 他の例を示す図1のB−B断面相当の断面図である。 他の例を示す図1のB−B断面相当の断面図である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(内面側)である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図中の点模様部分はホットメルト接着剤等の接合手段を示している。
図1〜図14はパンツタイプ使い捨ておむつを示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bをなす外装体20と、この外装体20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性表面シート11と液不透過性裏面側シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装体20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合(図2の点模様部分)された後に、内装体10および外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である縦方向(前後方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着またはホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部21が形成されることによって、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
(内装体の構造例)
内装体10は、図5〜図7に示すように、不織布などからなる液透過性表面シート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性裏面側シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、図示形態のように略長方形とすることが一般的である。
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う液透過性表面シート11としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性表面シート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う液不透過性裏面側シート12は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。
吸収体13の形状は、股間部に前後両側よりも幅の狭い括れ部13Nを有する略砂時計状に形成されているが、長方形状等、適宜の意形状とすることができる。括れ部13Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部13Nの前後方向長さはおむつ全長の20〜50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40〜60%程度とすることができる。このような括れ部13Nを有する場合において、内装体10の平面形状が略長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部13Nと対応する部分に、吸収体13を有しない余り部分が形成される。
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されている。この立体ギャザーBSは、図3、図5及び図6に示されるように、内装体10の裏面の側部に固定された付根部分15aと、この付根部分15aから内装体10の側方を経て内装体10の表面の側部上に突出する突出部分15bとを有しており、これらの部分が折返しによって二重シートとしたギャザーシート15により形成されている。
また、立体ギャザーBSの先端部等におけるギャザーシート15のシート間には、前端部から後端部にわたるようにギャザー弾性部材16が複数本間隔を空けて平行に配設されている。ギャザー弾性部材16は、立体ギャザーBSに弾性収縮力を作用させて立体ギャザーBSの突出部分15bを立ち上がらせ、肌に対して弾力的にフィットさせるためのものである。ギャザー弾性部材16は一本のみとしても良い。立体ギャザーBSを立ち上がりやすくするため、ギャザー弾性部材16を複数本配設する場合は、先端部側のギャザー弾性部材16の間隔を狭くすることが望ましい。
液不透過性裏面側シート12は、二重シート状のギャザーシート15の内部まで進入し、図5に示されるように、立体ギャザーBSの下端側において防漏壁を構成するようになっている。この液不透過性裏面側シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
ギャザー弾性部材16としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、固定時の伸長率は150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、ギャザー弾性部材16としては、図示形態のような糸状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
前述のギャザーシート15を構成する素材繊維も液透過性表面シート11と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザーシート15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
特徴的には、立体ギャザーBSの突出部分15bはおむつの表側で幅方向に複数回(好ましくは3回以上、特に好ましくは4回以上)折り返されて蛇腹状とされており、この突出部分15bにおける前後端部がそれぞれホットメルト接着剤等の固定手段HMにより折り畳まれた状態に固定されて前後折り畳み部17が形成されるとともに、突出部分15bにおける前端部より後側であって肛門位置よりも前側の部位(特に股間部に位置する部位)の少なくとも先端部が、液透過性表面シート11に対してホットメルト接着剤等の固定手段HMにより固定されて中間固定部18が形成されている。そして、突出部分15bにおける前後折り畳み部17及び中間固定部18間に位置する部分が非固定で伸縮自在の自由部分19とされている。
使用に際しては、座位時の排便により便が吸収されずに臀部側に広がると、その便が立体ギャザーBSの蛇腹部分を押して、図9に二点鎖線で示すように蛇腹状の自由部分19が側方に拡張する。これにより、立体ギャザーBSが側方に膨らんで便収容ポケットPが形成されつつ、その中に便が入り込むことになる。この際、中間固定部18を設けたことにより、立体ギャザーBSが外側に押し広がり難くなり、便収容ポケットPの形成が促進される。よって、座位時の便漏れが効果的に防止されるとともに、肌の便付着面積の拡大も防止される。
中間固定部18の構造は、突出部分15bの少なくとも先端部が移動しなければ特に限定されないが、図3、図5及び図6に示す例のように、ギャザーシート15の突出部分15bにおける最も表側に位置する折り返し部分が、それよりも付根部分15a側となる部分よりも幅方向中央側に延在されて先端延在部15cが形成されており、この先端延在部15cが液透過性表面シート11に固定されることにより中間固定部18が形成されていると、図9に示すように、より深い便ポケットが形成されるため好ましい。もちろん、前後折り畳み部17と同様に、突出部分15bを折り畳み状態に固定することにより中間固定部18を形成しても良い。よってこの場合、先端延在部15cを設けなくても良い。なお、先端延在部15cは中間固定部18だけに設ける他、図示形態のように、先端延在部15cは中間固定部18だけでなく、立体ギャザーBSの全体にわたり(つまり前折り畳み部17から後折り畳み部17まで)設けることができる。
立体ギャザーBSにおける中間固定部18はおむつ表面に対して固定されているため、自由部分19のように立ち上がることはできないが、座位時にはおむつが体と座面との間に挟まれて隙間が無くなり、便の前方移動は阻止されるため、座位時における中間固定部18からの便漏れのおそれは少ないものとなる。しかし、座位時以外には中間固定部18からの尿や便の漏れのおそれは高くならざるを得ない。そこで、図5に示すように、中間固定部18では、先端延在部15cの先端側の一部が非固定部分15dとされ、かつこの非固定部分15dに少なくとも一本のギャザー弾性部材16が設けられるとともに、この非固定部分15dよりも基端側が使い捨ておむつの表面に固定されている構造とすることも提案する。これにより、非固定部分15dがギャザー弾性部材16の収縮力により立ち上がり、遮断壁が形成される。
蛇腹状の折り返し構造は側方に拡張可能である限り、折り返し位置は特に限定されず、図3、図5及び図6に示す例のように各折り返し位置を合わせる他、図13に示すように折り返し位置をずらすこともできる。特に図13に示すように、厚み方向中間に近づくにつれて折り返し位置を段階的に幅方向外側にずらすと、便収容ポケットPが形成され易い利点がある。
また、図3、図5及び図6に示す例では、ギャザーシート15の突出部分15bの折り重なる部分15wが吸収体13と重なる形態とされているが、図12に示すように前後方向全体にわたり吸収体13の側縁よりも側方に位置させることもできる。このような構造を採用すると、吸収体13の側方に便収容ポケットPが形成されるとともに、吸収体13を有する部分よりもその側方の部分が薄いこと(段差を有すること)により、立体ギャザーBSの突出部分15bが側方に拡張し易くなり、便収容ポケットPの形成及び便導入がより容易となる。
さらにまた、図示形態のように、吸収体13の股間部に前後両側より幅の狭い括れ部13Nを有する場合、中間固定部18は括れ部13Nと対応する前後方向範囲内であって且つ括れ部13Nの側縁よりも幅方向外側に離間した位置に設けられていると、括れ部13N内の部分が相対的に低剛性となることにより、括れ部13N内の部分が前後両側の自由部分19の立ち上がりにより引っ張られて持ち上がるようになる。よって、中間固定部18は固定されたまま、その固定対象とともに弾力的に持ち上がるようになるため、座位時以外における中間固定部18からの尿や便の漏れのおそれを低減することができる。もちろん、括れ部13Nの有無に関係なく、中間固定部18を吸収体13上に設けることもできる。
特に、図示形態のようにギャザーシート15の先端延在部15cにより中間固定部18を形成する場合、図10に拡大して示すように、中間固定部18と対応する前後方向範囲に、突出部分15bが折り畳み状態に固定されて形成された中間折り畳み部18Fを有するのも好ましい形態である。このような構造を採用することにより、中間固定部18より後側に形成される便収容ポケットPの前端が中間折り畳み部18Fにより遮断され、中間固定部18より前側に連通しなくなり、中間固定部18より後側の便収容ポケットPに収容された便が前側に移動し、股間や腹側に付着するのを防止することができる。もちろん、図11に示すように、中間折り畳み部18Fを省略することもできる。
(外装体の構造例)
外装体20は、図3〜図6にも示されるように、それぞれ上層不織布20A及び下層不織布20B(つまり、この形態では下層不織布が最外側不織布となる)からなる2層構造の不織布シートとされ、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間、及び下層不織布20Bをウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cの不織布間に各種弾性部材が配設され、伸縮性が付与されている。平面形状は、中間両側部にそれぞれレッグ開口部を形成するために形成された凹状の脚回りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。
図示形態の外装体20においては、弾性部材として、図1及び図2に示される展開形状において、ウエスト開口部近傍23に配置されたウエスト部弾性部材24と、前身頃F及び後身頃Bに、縦方向に間隔をおいて幅方向に沿って配置された複数の腰回り弾性部材25とを有するとともに、前身頃F及び後身頃Bのそれぞれにおいて、腰回り弾性部材群25とは別に、一方のサイドシール部21から一方のレッグ開口部に沿って股間部に向かい、股間部を横断し、かつ他方のレッグ開口部に沿って他方のサイドシール部21に至るパターンで湾曲しつつ延在する、互いに交差することなく間隔をおいて配置された複数本の湾曲弾性部材26,28を備えている。これら、弾性部材24〜28は、それぞれその延在方向に沿って所定の伸長率で伸長された状態で固定されている。なお、本外装体20では、脚回りライン29に沿って前身頃Fのサイドシール部から後身頃Bのサイドシール部まで連続する、所謂脚回り弾性部材は設けられていない。
ウエスト部弾性部材24は、前身頃Fと後身頃Bとが接合されたサイドシール部21の範囲の内、ウエスト開口縁近傍に縦方向に間隔をおいて配置された複数条の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、身体のウエスト部回りを締め付けるように伸縮力を与えることによりおむつを身体に装着するためのものである。このウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、図示形態のウエスト部弾性部材24は、ウエスト部における下層不織布20Bの折り返し部分20Cの不織布間に挟持されているが、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間に挟持しても良い。
腰回り弾性部材25は、サイドシール部21の内、概ね上部から下部までの範囲に亘り、縦方向に間隔をおいて配置された糸ゴム等の細長状弾性部材であり、前身頃F及び後身頃Bの腰回り部分に夫々幅方向の伸縮力を与え、おむつを身体に密着させるためのものである。なお、ウエスト部弾性部材24と腰回り弾性部材25との境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、前身頃F及び後身頃Bに縦方向に間隔をおいて幅方向に配置された弾性部材の内、数は特定できなくても、上部側の何本かがウエスト部弾性部材として機能し、残りの弾性部材が腰回り弾性部材として機能していればよい。
後身頃Bにおいて、腰回り弾性部材25とは別に配設された背側湾曲弾性部材26は、糸ゴム等の細長状弾性部材であり、所定の曲線に沿って配置されている。背側湾曲弾性部材26は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、これら背側湾曲弾性部材26は互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この背側湾曲弾性部材群26は、2,3本程度の弾性部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜20mm、好ましくは6〜16mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
外装体20の前身頃Fにおいて、腰回り弾性部材群25とは別に配設された腹側湾曲弾性部材28は糸ゴム等の細長状弾性部材であり、所定の曲線に沿って配置されている。腹側湾曲弾性部材28は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸状弾性部材であり、これら腹側湾曲弾性部材28は、互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この腹側湾曲弾性部材群28も、2,3本程度の弾性部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜20mm、好ましくは6〜16mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
なお、図示例では、前身頃F及び後身頃Bに配置された腰回り弾性部材25及び湾曲弾性部材26,28は、図8に示すように、製造時に外装体に対して連続的に固定した後に、内装体と重なる部分の一部または全部が、所定の切断パターンCPで細かく切断されて収縮力が作用しない非収縮部分(つまり、図8の切断パターンCPと重なる部分)とされ、この非収縮部分より側方に湾曲しつつ延在する部分が収縮力の作用する収縮部分(つまり、図8の切断パターンCPより側方の、腰回り弾性部材25及び湾曲弾性部材26,28が連続的に残された部分)とされている。このため、腰回り弾性部材25及び湾曲弾性部材26,28は、一方側のサイドシール部21から内装体10を横切って他方(反対)側のサイドシール部21まで連続的に設けた後に、内装体と重なる部分の一部または全部が、細かく切断される。これにより、内装体(特に吸収体13)の幅方向の縮こまりをより防止することができる。もちろん、腰回り弾性部材25及び湾曲弾性部材26,28を、内装体10を横切って連続的に配置することもできる。
上述した外装体20は、例えば特開平4−28363号公報や、特開平11−332913号公報記載の技術により製造することができる。また、湾曲弾性部材26,28を内装体10上で切断し不連続化するには、特開2002−35029号公報、特開2002−178428号公報及び特開2002-273808号公報に記載される切断方法が好適に採用される。
図示例とは異なり、湾曲弾性部材26,28を、前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ設けるだけでも良い。また、湾曲弾性部材26,28を、前身頃F及び後身頃Bの両方に設ける場合、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材の群の一部又は全部と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材Bの群の一部又は全部とが交差する形態(図示せず)も採用できるが、図示例のように、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材28の群と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材Bの群とは互いに交差することなく前後方向中間部、特に前身頃Fに若干偏った位置で縦方向に離間している形態が好適であり、その縦方向離間範囲90における最小縦方向離間距離は10〜15mm程度とし、この部分に後述する広幅の固定領域を設けるのが好ましい。
さらに、湾曲弾性部材26,28はその全体が湾曲していなくても良く、部分的に直線状の部分を有していても良い。
弾性部材24〜28の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合、ウエスト部弾性部材24は230〜320%程度、腰回り弾性部材25は230〜320%程度、湾曲弾性部材26,28は230〜320%程度とすることができる。
他方、本発明は立体ギャザーBSにより便収容ポケットPを形成するものであるため、図1、図2、図8に示すように、外装体20の全体に弾性部材を配置すると、外装体20と肌との隙間に立体ギャザーBSが拡張し難くなるおそれがある。よって、図14に示すように、便収容ポケットPの膨出領域22(内装体10の後部両側)における弾性部材25,26を一部又は全部省略するのも一つの好ましい形態である。
(前後押えシート)
図1及び図4にも示されるように、外装体20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート50,60が設けられている。図示形態について更に詳細に説明すると、前押えシート50は、前身頃F内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート60は、後身頃B内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押えシート50,60の股下側縁部に幅方向の全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤が食み出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
図示形態のように、前後押えシート50,60を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装体20をおむつ内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、吸収パッド200と重なる部分まで延在させて、前述の押えシート50,60と同等の部分を形成することもできる。
上記実施形態のようなパンツタイプ使い捨ておむつは、一般に立体ギャザーの間隔が狭く、座位時の便漏れが発生し易い傾向にあるため、本発明の適用対象として好適なものであるが、本発明は、立体ギャザーを有するものであれば、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの他、テープタイプやパッドタイプ使い捨ておむつにも利用できるものである。
B…後身頃、F…前身頃、BS…立体ギャザー、10…内装体、11…液透過性表面シート、12…液不透過性裏面側シート、13…吸収体、13N…括れ部、14…包装シート、15…ギャザーシート、16…ギャザー弾性部材、20…外装体、20C…折り返し部分、21…サイドシール部、24…ウエスト部弾性部材、25…腰回り弾性部材、26,28…湾曲弾性部材、26…背側湾曲弾性部材、27…股間フィット弾性部材、28…腹側湾曲弾性部材、29…脚回りライン、15a…付根部分、15b…突出部分、17…前後折り畳み部、18…中間固定部、19…自由部分、P…便収容ポケット、15c…先端延在部、18F…中間折り畳み部。

Claims (7)

  1. 装着者の腹側から股間を通り背側まで被覆する形状を有し、
    排泄物を吸収保持する吸収体を有し、
    表面の幅方向両側に、腹側から背側まで前後方向に沿って延在する立体ギャザーをそれぞれ備えた、使い捨ておむつにおいて、
    前記立体ギャザーは;
    使い捨ておむつに固定された付根部分と、この付根部分から突出するとともに使い捨ておむつの表側で幅方向に複数回折り返されてなる蛇腹状の突出部分と、この突出部分における前後端部がそれぞれ折り畳まれた状態に固定されて形成された前後折り畳み部と、前記突出部分における前端部より後側であって肛門位置よりも前側の部位の少なくとも先端部が、使い捨ておむつの表面に対して固定されて形成された中間固定部と、前記突出部分における前記前後折り畳み部及び中間固定部間に位置する伸縮自在の自由部分と、を有するギャザーシートと;
    前記自由部分の少なくとも先端部に、前後方向に伸張した状態で固定されたギャザー弾性部材と;を有するものである、
    ことを特徴とする使い捨ておむつ。
  2. 前記ギャザーシートの突出部分における最も表側に位置する折り返し部分が、それよりも前記付根部分側となる部分よりも幅方向中央側に延在されて先端延在部が形成されており、前記中間固定部では少なくとも前記先端延在部が使い捨ておむつの表面に固定されている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記中間固定部では、前記先端延在部の先端側の一部が非固定部分とされ、かつこの非固定部分に前記ギャザー弾性部材が設けられるとともに、この非固定部分よりも基端側が使い捨ておむつの表面に固定されている、請求項2記載の使い捨ておむつ。
  4. 前記中間固定部と対応する前後方向範囲に、前記突出部分が折り畳み状態に固定されて形成された中間折り畳み部を有する、請求項2又は3記載の使い捨ておむつ。
  5. 前記ギャザーシートの突出部分の折り重なる部分が、前後方向全体にわたり前記吸収体の側縁よりも側方に位置している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
  6. 前記吸収体の股間部に、前後両側より幅の狭い括れ部が形成されるとともに、前記中間固定部は前記括れ部と対応する前後方向範囲内であって且つ前記括れ部の側縁よりも幅方向外側に離間した位置に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
  7. 前身頃及び後身頃を有する外装シートと、この外装シートの内面に固定された内装体とを備えており、
    前記内装体が、前記液透過性の表面シートと、前記液不透過性の裏面側シートと、これらのシート間に介在された前記吸収体とを備えるとともに、幅方向両側部に、股間部の前側から股間部の後側まで前後方向に沿って延在する前記立体ギャザーをそれぞれ備えており、
    前記外装シートの前身頃と後身頃とが両側部において接合されることにより、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつである、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
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