JP6229977B2 - パンツタイプ使い捨ておむつ - Google Patents
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<請求項1記載の発明>
前身頃及び後身頃を構成する外装体と、この外装体の内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、
前記前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合され、この接合部分と対応する縦方向範囲が胴周り部とされるとともに、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成され、
前記外装体の胴周り部は、幅方向に第1の伸長率で伸長された状態で取り付けられた調節弾性部材と、この調節弾性部材の内側及び外側にそれぞれ面する内側層及び外側層とを有している、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記調節弾性部材は、経験伸長率の最大値が更新されるとそれに応じて同じ伸長率で発揮される収縮力が低下するものであり、
前記外装体の胴周り部は、前記調節弾性部材が前記外側層及び内側層に固定されない非固定の調節領域と、この調節領域の幅方向両側に位置し、前記調節弾性部材が前記外側層及び内側層の少なくとも一方に固定された固定領域とを有しており、
前記調節領域における前記調節弾性部材が、前記第1の伸長率よりも高い伸長率に伸長可能とされている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
本発明の調節弾性部材は、経験伸長率の最大値が更新されるとそれに応じて同じ伸長率で発揮される収縮力が低下するものである。よって、製造後の未使用品では、第1の伸長率が経験伸長率の最大値(過去最も長く伸長されたときの伸長率)となり、調節領域において調節弾性部材を第1の伸長率よりも高い伸長率に伸長させていない初期状態では、それに応じた初期収縮力が発揮される。これに対して、調節領域において調節弾性部材を第1の伸長率よりも高い伸長率に伸長させると、そのときの第2の伸長率が第1の伸長率に代わって経験伸長率の最大値となるから、それに応じて同じ伸長率で発揮される収縮力が低下する。つまり、初期収縮力では締め付けがきつい場合には、調節弾性部材を調節領域において第1の伸長率よりも伸長させることにより、締め付けを緩めることができる。また、調節弾性部材の伸長可能範囲内であれば、調節弾性部材を第2の伸長率よりも伸長させ、経験伸長率の最大値を更新する(つまり上記第2の伸長率よりも高い第3の伸長率まで伸長させる)ことにより、収縮力をさらに低下させることもできる。つまり、収縮力の低下は調節弾性部材の伸長可能範囲内であれば何度でも行うことができる。したがって、締め付け度合を確認しながら、調節領域における調節弾性部材の収縮力を次第に低下させることにより、胴周り部の締め付け力を、容易に目的の締め付け力に調節できる。また、本発明の構造では、胴周り部の弾性部材の全てを調節可能とする必要は無いため、ウエスト下側弾性部材の締め付け力は固定として、ウエスト縁部弾性部材のみの締め付け力を調節可能にするといったことも可能である。
前記調節弾性部材は切断せずに、前記外側層及び内側層における調節領域に、前記調節弾性部材の下側から前記ウエスト開口部の縁まで延びるスリット又はそれを形成するためのミシン目が設けられている、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
外装体の胴周り部は、自然長状態では、調節弾性部材の収縮により外側層及び内側層に皺が寄った収縮状態となり、この自然長状態から、外側層及び内側層が皺無くぴんと張った状態まで幅方向に伸長可能となる。後者の状態が最大伸長状態であり、これよりも伸長すると外側層及び内側層は塑性変形領域に入る。つまり、単に調節弾性部材として上記特徴的な特性の素材を用いるだけでは、調節領域において調節弾性部材を外側層及び内側層の最大伸長幅よりも伸長させることはできない。これは換言すれば、調節領域において調節弾性部材を第1の伸長率よりも伸長できないことを意味する。そこで、本発明では、調節領域における調節弾性部材を第1の伸長率よりも高い伸長率に伸長可能としているものであるが、その具体的な手段については特に限定されない。よって、例えば、調節領域において外側層及び内側層のいずれか一方に引き出し孔又はそれを形成するためのミシン目を形成したり、外側層及び内側層の接合を部分的に行わずに両層の隙間を外部に連通させたりすることにより、外側層及び内側層の間から調節弾性部材を引っ張り出すことができる構造を採用することもできる。この構造であっても、調節弾性部材を外側層及び内側層の拘束無く自由に伸長させることができ、収縮力を自由に低下させることができる。しかし、その作業はより容易である方が好ましい。
本項記載の発明は、使用者の作業をより容易なものとする構造の一形態を提案するものであり、収縮力を低下させる際には、胴周り部におけるスリット又はそれを形成するためのミシン目の両側を掴んで幅方向に広げ、ウエスト開口部の縁まで延びるスリットをV字状に広げつつ調節弾性部材を伸長させるものである。このような簡単な操作で、外側層及び内側層の最大伸長幅をスリットが閉じた初期状態よりも拡大することができ、同時に、第1の伸長率等の経験伸長率の最大値よりも高い伸長率まで、調節領域における調節弾性部材を伸長させることができる。
前記調節弾性部材は切断せずに、前記外側層及び内側層における、前記調節領域における前記調節弾性部材を含む操作部分を、切り起こすためのスリット又はそれを形成するためのミシン目が設けられている、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
本項記載の発明も、使用者の作業をより容易なものとする構造の一形態を提案するものであり、収縮力を低下させる際には、操作部分を指先で押し出すようにして切り起こすことにより調節弾性部材を伸長させるものである。このような簡単な操作で、第1の伸長率等の経験伸長率の最大値よりも高い伸長率まで、調節領域における調節弾性部材を伸長させることができる。この形態では、操作部分の設け方により、外側層及び内側層の最大伸長幅が拡大しないようにすることも、また拡大するようにすることもできる。
前記外側層の外面及び内側層の内面に、前記スリット又はそれを形成するためのミシン目の幅方向両側に固定された固定部分と、これら固定部部分の間に位置し、前記スリット又はミシン目を被覆する非固定のカバー部分とを有するカバーシートを備え、このカバーシートにおけるカバー部分の幅方向の少なくとも一部が幅方向に伸縮可能とされている、請求項2又は3記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
スリット又はそれを形成するためのミシン目を利用する前述の構造は、操作時に操作後において、調節弾性部材が露出したり、外装体に切れ目や捲れ部分が生じたりするため、見栄えや装着感が悪化するおそれがある。そこで、上述のようなカバーシートを設けるのも好ましい。
前記カバー部分は、幅方向の弛み部分を有するとともに、この弛み部分を折り畳み状態で着脱可能に固定する弛み止め手段を備えた、請求項4記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
カバーシートを設ける場合、カバー部分の幅方向の少なくとも一部を幅方向に伸縮可能とするために、カバーシート自体を伸縮性素材で形成しても良いが、上述のように幅方向の弛み部分を設けることにより素材伸縮に頼らない構造とすることもできる。ただし、その場合、弛み部分が不用意に展開すると装着感が悪化したり、漏れを引き起こしたりするおそれもあるため、上述のように弛み止め手段を設けることが好ましい。
図1〜図7はパンツタイプ使い捨ておむつを示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bをなす外装体20と、この外装体20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性表面シート11と液不透過性裏面側シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装体20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合(図2の点模様部分)された後に、内装体10および外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である縦方向(前後方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着またはホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部21が形成されることによって、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
内装体10は、図5〜図6に示すように、不織布などからなる液透過性表面シート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性裏面側シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、図示形態のように略長方形とすることが一般的である。
吸収体13の形状は、股間部に前後両側よりも幅の狭い括れ部分13Nを有する略砂時計状に形成されているが、長方形状等、適宜の意形状とすることができる。括れ部分13Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部分13Nの前後方向長さはおむつ全長の20〜50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40〜60%程度とすることができる。このような括れ部分13Nを有する場合において、内装体10の平面形状が略長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部分13Nと対応する部分に、吸収体13を有しない余り部分が形成される。
外装体20は、図4〜図6にも示されるように、それぞれ不織布等のシートからなる内側シート20A及び外側シート20Bからなる2層構造体とされ、内側シート20Aと外側シート20Bとの間、及び外側シート20Bをウエスト開口部の縁で内面側に折り返してなる折り返し部分と対向部分との間に各種弾性部材が配設され、伸縮性が付与されている。平面形状は、中間両側部にそれぞれ脚開口部を形成するために形成された凹状の脚周りライン29により、全体として前後方向中間部が括れた形状(砂時計形状)をなしている。
図1及び図4にも示されるように、外装体20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート50,60が設けられている。図示形態について更に詳細に説明すると、前押えシート50は、前身頃F内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート60は、後身頃B内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押えシート50,60の股下側縁部に幅方向の全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤が食み出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
特徴的には、図2及び3に示すように、前身頃Fにおけるウエスト縁部弾性部材24が本発明に係る調節弾性部材とされている。すなわち、前身頃Fにおけるウエスト縁部弾性部材24は、経験伸長率の最大値が更新されるとそれに応じて同じ伸長率で発揮される収縮力が低下する収縮力低下型弾性部材が使用されており、幅方向に第1の伸長率(例えば前述のように230〜320%程度とすることができる)で伸長された状態で取り付けられている。
伸長率 = {(伸長時の長さ)−(自然長)}×100/(自然長)
であるのに対して、他の場合における伸長率は自然長を100%とした時の値であり、両者は定量的には異なるが、本明細書における定性的説明において両者を区別する必要はないため、特に区別していない。図15は、未伸長の収縮力低下型弾性部材を2倍(伸長率100%)に伸ばした後に0倍(伸長率0%。自然長。)に戻す操作を3回繰り返したときのSSカーブであり、初期(1回目)伸長時には弾性伸長を示していないが、以降は3回目の戻りまで同じSSカーブを示している。つまり、製造の際、幅方向に第1の伸長率で伸長された状態で取り付ければ、以後、その伸長率以下ではほぼ同じSSカーブで伸縮がなされる。これに対して、図16は、経験伸長率の最大値が100%、200%、300%、及び400%のとき(換言すれば、100%、200%、300%、及び400%までしか伸長したことがないとき)のSSカーブをそれぞれ示しており、100%から400%へと経験伸長率の最大値が大きくなるほど、それに応じて同じ伸長率で発揮される収縮力が低下している。本発明で使用する収縮力低下型弾性部材はこのような特性を有するものである。なお、このような収縮力低下型弾性部材の例としては、特表2012−501261を例示することができる。
上記実施形態の前身頃では、ウエスト下側弾性部材25は締め付け力を非調節として、ウエスト縁部弾性部材24のみ締め付け力を調節可能な調節弾性部材としているが、反対に、ウエスト縁部弾性部材24の締め付け力は非調節として、ウエスト下側弾性部材25のみ締め付け力を調節可能な調節弾性部材としたり、ウエスト縁部弾性部材24及びウエスト下側弾性部材25の全てを、締め付け力を調節可能な調節弾性部材としたり、ウエスト縁部弾性部材24の一部のみ、又はウエスト下側弾性部材25の一部のみ締め付け力を調節可能な調節弾性部材にするといったことも可能である。要するに、本発明は胴周り部弾性部材24,25の少なくとも一部が締め付け力を調節可能であれば良いものである。
また、図3等に示す形態では前身頃Fのみに調節弾性部材を設けているが、これに代えて又はこれとともに、後身頃Bに調節弾性部材を設けても良い。
また、上記実施形態の調節弾性部材は、ある程度の幅を有するテープ状のものとしたが、他の弾性部材と同様に、糸ゴム等の細長状弾性部材としても良い。
Claims (5)
- 前身頃及び後身頃を構成する外装体と、この外装体の内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、
前記前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合され、この接合部分と対応する縦方向範囲が胴周り部とされるとともに、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成され、
前記外装体の胴周り部は、幅方向に第1の伸長率で伸長された状態で取り付けられた調節弾性部材と、この調節弾性部材の内側及び外側にそれぞれ面する内側層及び外側層とを有している、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記調節弾性部材は、経験伸長率の最大値が更新されるとそれに応じて同じ伸長率で発揮される収縮力が低下するものであり、
前記外装体の胴周り部は、前記調節弾性部材が前記外側層及び内側層に固定されない非固定の調節領域と、この調節領域の幅方向両側に位置し、前記調節弾性部材が前記外側層及び内側層の少なくとも一方に固定された固定領域とを有しており、
前記調節領域における前記調節弾性部材が、前記第1の伸長率よりも高い伸長率に伸長可能とされている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。 - 前記調節弾性部材は切断せずに、前記外側層及び内側層における調節領域に、前記調節弾性部材の下側から前記ウエスト開口部の縁まで延びるスリット又はそれを形成するためのミシン目が設けられている、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
- 前記調節弾性部材は切断せずに、前記外側層及び内側層における、前記調節領域における前記調節弾性部材を含む操作部分を、切り起こすためのスリット又はそれを形成するためのミシン目が設けられている、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
- 前記外側層の外面及び内側層の内面に、前記スリット又はそれを形成するためのミシン目の幅方向両側に固定された固定部分と、これら固定部部分の間に位置し、前記スリット又はミシン目を被覆する非固定のカバー部分とを有するカバーシートを備え、このカバーシートにおけるカバー部分の幅方向の少なくとも一部が幅方向に伸縮可能とされている、請求項2又は3記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
- 前記カバー部分は、幅方向の弛み部分を有するとともに、この弛み部分を折り畳み状態で着脱可能に固定する弛み止め手段を備えた、請求項4記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
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