JP2015102505A - 光計測装置及び光計測方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、対物レンズは開口数が0.4以上である。
更に、求めた位相が維持されるように対物レンズと試料の光軸方向の相対位置を制御する。
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図15にエネルギー準位図を使ってラマン散乱が起こる過程を示す。ラマン散乱にはストークス散乱とアンチストークス散乱とがあるが、図15ではストークス散乱のみを示した。701は分子の基底状態を表し、702は振動励起状態を表す。周波数ωPのポンプ光を分子に照射すると、中間状態703を経て、周波数ωSの光を散乱する。このとき、分子は振動励起状態702の一つに帰着する。散乱光の周波数ωSはポンプ光より周波数の低いストークス光となっている。分子の振動励起状態の準位は複数あり、分子の種類によって振動励起状態が異なり、また中間状態から振動励起状態の準位への遷移確率が異なるため、分子特有のスペクトルが形成される。ラマンシフト周波数ΩはΩ=ωP−ωSで表され、ストークス散乱の場合は正の値となる。アンチストークス光の場合は、始状態が分子の振動励起状態であり、中間準位を経て分子の状態が基底状態に帰着する。この場合、ωASをアンチストークス光の周波数とすると、ωP<ωASとなっており、アンチストークスラマン散乱光の方がポンプ光より周波数が高い。
PAS (3)(ωAS)=|χr (3)(ωAS)+χnr (3)|EP 2(ωP)E*S(ωS)
で表される。ここに、χr (3)(ωAS)は3次の電気感受率の分子振動の共鳴項であり、周波数依存性のないχnr (3)は非共鳴項である。また、ポンプ光及びプローブ光の電場をEPで表し、ストークス光の電場はESで表している。上式中でESの肩についたアスタリスクは複素共役を示す。CARS光の強度は以下のように表される。
ICARS(ωAS)∝|PAS (3)(ωAS)|2
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による光計測装置の基本的な実施形態を示す模式図である。本装置は、反射型のCARS顕微鏡と位相センサ、及び装置全体の制御を行うコントローラ200から構成されている。コントローラ200は、図2に示すように短パルスレーザ光源を制御するレーザドライバ、試料ステージや対物レンズ及びミラーなど各光学素子の位置制御を行う位置制御部、CARS顕微鏡と位相センサから得られた信号に対して信号処理を行い、画像生成や表面位置検出を行う信号処理部、検出した表面位置にレーザ光の集光位置を追従させる追従動作制御部からなる。なお、ここで述べた各構成の必ずしも全てが光計測装置に備わっている必要はなく、必要な機能や精度に基づいて構成を決定すればよい。
続いてCARS顕微鏡の構成を説明する。短パルスレーザ光源201は、コントローラ200の指示に基づいて短パルスレーザ光を出射する。短パルスレーザ光源201は例えばチタンサファイアレーザやファイバレーザなどであり、パルス幅はナノ秒以下である。またピークパワーは非線形光学効果を誘起可能なキロワットオーダ以上が望ましい。また波長については測定対象の吸収や用いる光学部品の対応波長から選定すればよいが、例えば800nmや1064nmなどである。
次に、位相センサの構成を説明する。位相センサは偏光ビームスプリッタ210、λ/4板221、ミラー211、位相検出器214から構成されており、ポンプ光による試料207の表面検出を行う。試料207に集光したポンプ光は、細胞膜表面など屈折率が異なる界面にて反射する。反射したポンプ光は界面の位相情報を保持した信号光として対物レンズ206にてコリメートされた後、λ/4板220を再度透過することによって円偏光からp偏光となる。λ/4板220を透過した信号光は、ロングパスフィルタ205を透過しダイクロイックミラー204で反射され偏光ビームスプリッタ210へ入射する。偏光ビームスプリッタ210ではp偏光である信号光は透過され、位相検出器214へ入射する。一方、参照光はλ/4板221を透過し、偏光状態がp偏光から円偏光に変換され、位置が固定のミラー211に入射し反射された後、再度λ/4板221を透過することにより偏光状態を円偏光からs偏光へ変換される。s偏光となった参照光は偏光ビームスプリッタ210で反射され、信号光と合波されて位相検出器214へ入射する。位相検出器214では信号光の強度や参照光を基準とした信号光の位相を検出する。なお、位相検出器214の構成例については後述する。
図7は、位相検出器214の構成例を示した図である。偏光ビームスプリッタ210で合波された信号光と参照光の合波光は、ハーフビームスプリッタ713、λ/2板714、λ/4板719、集光レンズ715及び720、ウォラストンプリズム716及び721から構成される干渉光学系712へ入射する。合波光はハーフビームスプリッタ713によって透過光と反射光に分岐される。透過光は光学軸が水平方向に対して約22.5度に設定されたλ/2板714を透過した後、集光レンズ715によって集光され、ウォラストンプリズム716によって分岐されることにより位相関係が180度異なる第一の干渉光と第二の干渉光が生成される。第一の干渉光と第二の干渉光は電流差動型の光検出器717によって検出され、それらの強度の差に比例した信号718が出力される。
ここで、上に述べた動作原理について数式を用いて詳細に説明する。干渉光学系712へ入射する時点での合波光のジョーンズベクトルを
[式1]
と表すこととすると、ハーフビームスプリッタ713を透過し、さらにλ/2板714を透過した後の合波光のジョーンズベクトルは次のようになる。
図8に本方式による位相センサと、従来のOCTの比較を示す。従来のOCTは走査方法によってタイムドメインOCTとフーリエドメインOCTに分類され、フーリエドメインOCTは更に光源によってスペクトルドメインOCTと波長走査型OCTに分けられる。タイムドメインOCTは、参照光のミラーを移動させることによって光路長を変化させた際に、信号光の光路長と一致したときのみ干渉信号が得られることを利用した方式である。この方式の深さ分解能は光源のコヒーレンス長が直接反映され、10μm程度となる。
図10及び図11に、位相センサによる表面への追従動作の原理を示す。なお、ここでは説明を分かりやすくするために細胞や対物レンズなどの大きさの関係が実際と異なって表示されている。
図12は、本発明に従う装置が細胞などの表面位置を検出して分子情報を取得するまでの動作フローチャートの例である。ここでは、表面上の1点でCARS測定を行う例を説明する。
201 短パルスレーザ光源
202 ビームスプリッタ
203 波長変換手段
204 ダイクロイックミラー
205 ロングパスフィルタ
206 対物レンズ
207 試料
208 試料ステージ
209 ミラー
210 偏光ビームスプリッタ
211 ミラー
213 光検出器
214 位相検出器
220 λ/4板
221 λ/4板
225 アクチュエータ
401 光路変更手段
501 ダイクロイックミラー
601 短パルスレーザ光源
712 干渉光学系
713 ハーフビームスプリッタ
714 λ/2板
715 集光レンズ
716 ウォラストンプリズム
717 光検出器
718 差動信号
719 λ/4板
720 集光レンズ
721 ウォラストンプリズム
722 光検出器
723 差動信号
1001 細胞
1002 信号光
Claims (10)
- 試料を保持する試料ステージと、
ポンプ光を発生するポンプ光発生部と、
前記ポンプ光より波長の長いストークス光を発生させるストークス光発生部と、
前記ポンプ光又はストークス光から参照光を分岐させる参照光分岐部と、
前記ポンプ光と前記ストークス光を同軸に合波する合波部と、
前記合波されたポンプ光とストークス光を前記試料ステージに保持された試料に集光する対物レンズと、
前記対物レンズと前記試料ステージに保持された試料との相対位置を制御する位置制御部と、
前記対物レンズを通った試料からの反射光と前記参照光を干渉させて前記反射光の強度又は前記参照光に対する前記反射光の位相を検出することで試料の表面位置を特定する位相センサと、
試料から発生した反射CARS光を検出する検出部と、
を有することを特徴とする光計測装置。 - 請求項1記載の光計測装置において、
前記位相センサは、試料の表面位置を光軸方向に3マイクロメートル以下の精度で検出するものであることを特徴とする光計測装置。 - 請求項1記載の光計測装置において、
前記対物レンズは開口数が0.4以上であることを特徴とする光計測装置。 - 請求項1記載の光計測装置において、
前記位相センサは位相差が互いに異なる少なくとも3つの干渉光を生成する干渉計を備え、前記反射光の強度に比例した信号及び前記参照光を基準とした前記反射光の位相を表す信号を出力することを特徴とする光計測装置。 - 請求項1記載の光計測装置において、
前記ポンプ光発生部は短パルスレーザ光源を備え、
前記ストークス光発生部は、前記短パルスレーザ光源から出射した光を波長変換して前記ストークス光とする波長変換部を備えることを特徴とする光計測装置。 - 請求項1記載の光計測装置において、
前記ポンプ光発生部は第1の短パルスレーザ光源を備え、
前記ストークス光発生部は第2の短パルスレーザ光源を備え、
前記第1の短パルスレーザ光源と前記第2の短パルスレーザ光源を同期させて駆動する同期部を有することを特徴とする光計測装置。 - 請求項1記載の光計測装置において、
前記参照光は前記ポンプ光から分岐されたものであり、前記位相センサは試料から反射されたポンプ光の強度に比例した信号及び前記参照光を基準とした前記試料から反射されたポンプ光の位相を表す信号を出力することを特徴とする光計測装置。 - ポンプ光を対物レンズで集光して試料に照射する工程と、
試料から反射したポンプ光と試料に照射されないポンプ光の干渉光を用いて位相センサで試料の表面位置を検出する工程と、
前記対物レンズの集光位置を検出された試料の表面位置に調整する工程と、
前記ポンプ光よりも長波長のストークス光と前記ポンプ光との合波光を、前記対物レンズを介して試料に照射する工程と、
試料から発生した反射CARS光を検出する工程と、
を有することを特徴とする光計測方法。 - 請求項8記載の光計測方法において、
前記位相センサは、位相差が互いに異なる少なくとも3つの干渉光を生成し、前記反射光の強度に比例した強度信号を用いて試料の表面位置を検出し、試料の表面位置が検出されたときに前記参照光を基準とした前記反射光の位相を求めることを特徴とする光計測方法。 - 請求項9記載の光計測方法において、
前記求めた位相が維持されるように前記対物レンズと試料の光軸方向の相対位置を制御することを特徴とする光計測方法。
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