JP2015101825A - 砂防堰堤用土砂捕捉部材およびそれを用いた砂防堰堤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】砂防堰堤用土砂捕捉部材3は、水平方向に延び、上下方向に並んで配置された複数本の梁部材11と、水路7に面する両堰堤本体部4、5の内側面に上下方向に延びる溝8の内部に各梁部材11の両端部11a、11bが挿入された状態で当該溝8の内部に充填される充填材13aとを備えている。梁部材11の両端部11a、11bは、梁部材11の軸方向から見た場合において上面23と下面24と前記水路7の上流側を向く上流側側面25と当該水路7の下流側を向く下流側側面26を有する矩形の外形形状を有する。充填材11aは、1枚の平板形状の部材によって構成される。充填材11aは、梁部材の両端部11a、11bの上流側側面25に当接する位置に配置されている。
【選択図】図4
Description
(1)
本実施形態の土砂捕捉部材3では、梁部材11の両端部11a、11bが矩形の外形形状を有しているので、当該両端部11a、11bと水路7に面する両堰堤本体部4、5の内側面に形成された上下方向に延びる溝8との間にできる隙間B1、C1を埋める第1充填材13aおよび第2充填材13bは、簡単な平板状の部材で構成することが可能になる。したがって、充填材13a、13bの設計および製造が容易になり、製造費を低減することが可能になる。
梁部材11が水路7を流れる水流から圧力を受けたときに、梁部材11の両端部11a、11bが当該両端部11a、11bよりも下流側に位置する溝8の内壁面8dに接触し、当該内壁面から反力を受ける場合がある。そこで、本実施形態の土砂捕捉部材3は、補強部材31を備えることによって、この反力を当該補強部材31によって受けることが可能である。これによって、梁部材11の両端部11a、11bの変形や破損を防ぐことが可能である。そのため、両端部11a、11bの変形防止のために、応力分散用のクッション材などを梁部材11の両端部11a、11bの下流側に配置する必要がなくなる。また、梁部材11の両端部11a、11bと溝8の内壁面との間にクッション材を配置するための隙間が不要になるので、その隙間に充填材を配置する必要もなくなる。
本実施形態の土砂捕捉部材3は、鋼製型枠15を備えており、当該鋼製型枠15が溝8の内壁面に沿って当該溝8に埋め込まれている。これにより、コンクリートを打設して溝8を有する堰堤本体部4、5を形成する際に、コンクリートの重みを型枠の剛性で受けることによって、型枠が溝8の内側に膨らむおそれが低減される。その結果、溝8を精度よく形成することが可能である。また、梁部材11が水路7を流れる水流から圧力を受けたときに、梁部材11の両端部11a、11bは、当該両端部11a、11bよりも下流側Bに位置する溝8の内壁面8d(図8参照)を覆う鋼製型枠15に接触する。この鋼製型枠15によって、梁部材11の両端部11a、11bから溝8の内壁面8dに作用する荷重は分散されるので、溝8の内壁面8dの破損や損傷を防ぐことが可能である。そのため、溝8の内壁面8dの破損防止のために、応力分散用のクッション材などを梁部材11の両端部11a、11bの下流側Bに配置する必要がなくなる。また、梁部材11の両端部11a、11bと溝8の内壁面8dとの間にクッション材を配置するための隙間が不要になるので、その隙間に充填材を配置する必要もなくなる。
本実施形態の土砂捕捉部材3では、第1充填材13aは、梁部材側密着面13a1および溝側密着面13a2を有するので、梁部材側密着面13a1が梁部材11の上流側側面25に密着するとともに溝側密着面13a2が当該上流側側面25に対向する溝8の上流側の内壁面8cに密着することが可能である。その状態で、第1充填材13aは、当該上流側側面25と当該溝8の上流側の内壁面8cとの隙間B1を確実に塞ぐことが可能である。
本実施形態の土砂捕捉部材3では、梁部材本体21の両端部21a、21bの周面に取り付けられた外形構成部材20が梁部材11の両端部11a、11bにおける上面23、下面24、上流側側面25および下流側側面26を有する矩形の外形形状を構成するので、上記の項目(1)〜(4)の作用効果を奏しながら、梁部材本体21として従来の土砂捕捉部材3の梁部材11に用いられる円形鋼管を利用することが可能である。
本実施形態の土砂捕捉部材3では、外形構成部材20は、梁部材本体21の両端部21a、21bの4箇所、すなわち、当該上側および下側においてそれぞれ水路7の上流側および下流側に別々に取り付けられた複数の構成部品22を有しているので、各構成部品22を小型にすることが可能になる。しかも、各構成部品22は、互いに直交する第1面22a1と第2面22a2とを有する簡単な構成にすることが可能である。そのため、各構成部品22の製造および梁部材本体21への取付作業が容易になる。しかも、構成部品22が上記のように梁部材本体21の両端部21a、21bの上側および下側においてそれぞれ上流側および下流側に取り付けられた状態では、これら構成部品22の第1面22a1および第2面22a2によって、梁部材11の両端部11a、11bの上面23、下面24、上流側側面25および下流側側面26を構成することが可能である。
本実施形態の土砂捕捉部材3では、外形構成部材20の各構成部品22の閉鎖部として機能する軸方向面22b4によって、梁部材11の両端部11a、11bの上面23、下面24、上流側側面25および下流側側面26に囲まれた範囲内で、かつ、梁部材本体21の外側に形成された空間部Aを通って土砂などの異物が溝8内部へ異物の浸入を防ぐことが可能である。
本実施形態の土砂捕捉部材3では、梁部材11の両端部11a、11bと溝8の奥側の内壁面8b(すなわち、奥端面)との隙間C1に第2充填材13bが配置されているので、溝8の最上部からこの隙間C1に土砂等の異物が浸入することを防止することが可能である。また、この第2充填材13bが梁部材11の両端部11a、11bを軸方向から支持することによって、梁部材11の軸方向への変位を抑制することが可能である。
本実施形態の土砂捕捉部材3では、梁部材11の両端部11a、11bの間にスペーサ12が介在するので、スペーサ12の高さを選定することにより、梁部材11の上下の間隔を任意に設定することが可能である。
本実施形態の土砂捕捉部材3では、スペーサ12が梁部材11の両端部11a、11bの上面23に載置されているだけの構造であるので、スペーサ12の設置が容易である。また、スペーサ12を梁部材11の両端部11a、11bに連結するための部材が不要になる。
本実施形態の土砂捕捉部材3では、規制部材であるピン16がスペーサ12を梁部材11の両端部11a、11bに係止することによって、スペーサ12における梁部材11の両端部11a、11bに対する水平方向の変位を規制することが可能である。
本実施形態の砂防堰堤1では、土砂捕捉部材3の梁部材11の両端部11a、11bが矩形の外形形状を有しているので、当該両端部11a、11bと水路7に面する両堰堤本体部4、5の内側面に形成された上下方向に延びる溝8との間にできる隙間B1、C1は、簡単な平板状の部材からなる複数の充填材13a、13bによって確実に塞ぐことが可能である。すなわち、梁部材11の両端部11a、11bは、上記の溝8にそれぞれ挿入され、梁部材11の両端部11a、11bの上流側側面25および下流側側面26は、溝8内部の対向する一対の内壁面8c、8dと平行に延びるように配置されている。梁部材11の両端部11a、11bの上流側側面25と溝8の上流側の内壁面8cという2つの平面の間にできる隙間B1は、平板形状の部材からなる第1充填材13aによって確実に塞ぐことが可能である。そして、梁部材11の両端部11a、11bの下流側側面26は溝8の下流側の内壁面8cに当接しているので、隙間をなくすことが可能である。
本実施形態の砂防堰堤1では、第1充填材13aの梁部材側密着面13a1が梁部材11の上流側側面25に密着するとともに溝側密着面13a2が当該上流側側面25に対向する溝8の上流側の内壁面8cに密着するので、その状態で、第1充填材13aは、当該上流側側面25と当該溝8の上流側の内壁面8cとの隙間B1を確実に塞ぐことが可能である。
本実施形態の砂防堰堤1では、溝8の最上部は、蓋14によって閉じられているので、溝8の最上部から溝8へ土砂等の異物が浸入することを抑えることが可能である。
(A)
上記実施形態の土砂捕捉部材3では、上下方向に並ぶ梁部材11の両端部11a、11bの間にスペーサ12が介在している構造を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図10に示されるように、スペーサ12を省略して梁部材11の両端部11a、11bを互いに当接させながら梁部材だけを上下方向に並べてもよい。この場合も、両端部11a、11bは、矩形の外形形状を有するので、上下方向に並ぶ梁部材11の両端部11a、11bを上下方向に延びる溝8に挿入させた状態で両端部11a、11bの上面23および下面23を互いに当接させることによって、梁部材11だけでも安定して積み上げることが可能である。しかも、スペーサ12を省略することによって、梁部材11の両端部11a、11bの上下における隙間(いわゆる、梁部材間隔)をなくすことが可能である。
上記実施形態のスペーサ12は、略直方体形状の外形形状を有しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図11に示されるように、H型鋼42と複数枚の補強用鋼板(いわゆる、スチフナ)45〜47とを組み合せることによってより簡易な構造のスペーサを用いてもよい。このスペーサ12では、上面36を構成する板状部分および下面37を構成する板状部分の間を縦板35で連結したH型鋼42を用意し、上面36と下面37との間において、複数枚の補強用鋼板45〜47が溝8の入口側Dから奥端側Eにかけて互いに平行に並んで配置されている。これら補強用鋼板45〜47によって、スペーサ12内部の空間を通って土砂等の異物が溝8内部に浸入することを防ぐことが可能である。
上記の実施形態の砂防堰堤1では、溝8に鋼製型枠15が埋め込まれた構造が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、鋼製型枠15を省略してもよい。
上記実施形態では、2つの充填材、すなわち、梁部材11の両端部11a、11bの上流側側面25に密着する第1充填材13a、および梁部材11の両端部11a、11bの軸方向端部11dに密着する第2充填材13bを備えた例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも、第1充填材13aが、梁部材の両端部11a、11bの上流側側面25に当接する位置に配置されていればよい。なお、これに対応して、梁部材11は、円形鋼管からなる梁部材本体21と、充填材に当接する上流側側面25のみを有する外形構成部材20とを備えた構成にしてもよい。
2 堰堤本体
3 土砂補足部材
4、5 堰堤本体部
7 水路
8 溝
11 梁部材
11a、11b 端部
12 スペーサ
13a 第1充填材
13b 第2充填材
14 蓋
15 鋼製型枠
16 ピン(規制部材)
20 外形構成部材
21 梁部材本体
22 構成部品
22a1 第1面
22a2 第2面
23 上面
24 下面
25 上流側側面
26 下流側側面
31 補強部材
Claims (14)
- 左右の堰堤本体部の間に上下方向に延びる水路が形成されてこの水路に面する前記両堰堤本体部の内側面に上下方向に延びる溝が形成された砂防堰堤に用いられ、その水路中で土砂を捕捉する土砂捕捉部材であって、
水平方向に延び、その両端部が前記溝の内部に挿入される長さを有し、上下方向に並んで配置された複数本の梁部材と、
前記溝の内部に前記各梁部材の両端部が挿入された状態で当該溝の内部に充填される充填材と
を備えており、
前記梁部材の両端部は、前記梁部材の軸方向から見た場合において上面と下面と前記水路の上流側を向く上流側側面と当該水路の下流側を向く下流側側面を有する矩形の外形形状を有し、
前記充填材は、少なくとも1枚の平板形状の部材によって構成され、
前記充填材は、少なくとも前記梁部材の両端部の前記上流側側面に当接する位置に配置されている、
ことを特徴とする砂防堰堤用土砂捕捉部材。 - 前記梁部材は、前記梁部材が前記水路を流れる水流から圧力を受けたときに前記両端部が当該両端部よりも下流側に位置する前記溝の内壁面に接触して当該内壁面から反力を受ける場合の当該反力を受ける補強部材を有する、
請求項1に記載の砂防堰堤用土砂捕捉部材。 - 前記溝の内壁面に沿って当該溝に埋め込まれた鋼製の型枠をさらに備えている、
請求項1または2に記載の砂防堰堤用土砂捕捉部材。 - 前記充填材は、前記上流側側面に密着する梁部材側密着面と、当該上流側側面に対向する前記溝の内壁面に密着することが可能な溝側密着面とを有する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の砂防堰堤用土砂捕捉部材。 - 前記梁部材は、
円形鋼管からなる梁部材本体と、
前記梁部材本体の両端部の周面に取り付けられることにより、前記梁部材の両端部における前記上面、前記下面、前記上流側側面および前記下流側側面を有する矩形の外形形状を構成する外形構成部材と
を備えている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の砂防堰堤用土砂捕捉部材。 - 前記外形構成部材は、前記梁部材本体の両端部の上側および下側においてそれぞれ前記水路の上流側および下流側に取り付けられた複数の構成部品を有しており、
各構成部品は、互いに直交する第1面と第2面とを有しており、
前記構成部品の第1面および第2面によって、前記上面、前記下面、前記上流側側面および前記下流側側面が構成される、
請求項5に記載の砂防堰堤用土砂捕捉部材。 - 前記構成部品は、前記上面、前記下面、前記上流側側面および前記下流側側面に囲まれた範囲内で、かつ、前記梁部材本体の外側に形成された空間部に配置され、当該空間部を通って異物が前記溝内部へ浸入することを防ぐ閉鎖部を有する、
請求項6に記載の砂防堰堤用土砂捕捉部材。 - 前記充填材は、前記梁部材の両端部と前記溝の奥端面との隙間にさらに配置される、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の砂防堰堤用土砂捕捉部材。 - 前記梁部材が上下に配列された状態で当該梁部材の両端部の間に介在する複数のスペーサをさらに備えており、
前記スペーサは、前記梁部材の軸方向から見た場合において上面と下面と前記水路の上流側を向く上流側側面と前記水路の下流側を向く下流側側面を有する矩形の外形形状を有し、
前記充填材は、少なくとも前記スペーサの前記上流側側面に当接する位置に配置されている、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の砂防堰堤用土砂捕捉部材。 - 前記スペーサは、前記梁部材の両端部の上面に載置されている、
請求項9に記載の砂防堰堤用土砂捕捉部材。 - 前記スペーサにおける前記梁部材の両端部に対する水平方向の変位を規制する規制部材をさらに備えている
請求項10に記載の砂防堰堤用土砂捕捉部材。 - 上下方向に延びる水路を挟んでその左右両側に配置される堰堤本体部を有する堰堤本体と、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の砂防堰堤用土砂捕捉部材と
を備えており、
前記水路に面する前記両堰堤本体部の内側面において、上下方向に延びる溝がそれぞれ形成され、
前記砂防堰堤用土砂捕捉部材の各梁部材の両端部が前記溝にそれぞれ挿入された状態で、当該土砂捕捉部材は、前記水路の内部に配置され、
前記充填材は、少なくとも前記梁部材の両端部の前記上流側側面と前記溝の内壁面との隙間に配置され、
前記梁部材の両端部の前記下流側側面は、前記溝の内壁面に当接している、
ことを特徴とする砂防堰堤。 - 前記溝は、上下方向に延び、互いに対向する上流側の内壁面と下流側の内壁面とを有しており、
前記充填材は、前記上流側側面に密着する梁部材側密着面と、当該上流側側面に対向する前記溝の内壁面に密着する溝側密着面とを有し、
前記充填材は、前記梁部材側密着面が前記上流側側面に密着するとともに前記溝側密着面が当該上流側側面に対向する前記溝の上流側の内壁面に密着した状態で、当該上流側側面と当該溝の上流側の内壁面との隙間を塞ぐ、
請求項12に記載の砂防堰堤。 - 前記溝の最上部を閉じる蓋をさらに備え、
前記蓋は、前記堰堤本体部の上面に固定されている、
請求項12または13に記載の砂防堰堤。
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