JP2015101817A - 不織布及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い通気性を確保しつつ、肌触りが良く、ウエットバックし難い不織布を提供すること。また、本発明の不織布によれば、穴を連想し難く不織布の品質が向上する不織布を提供すること。【解決手段】本発明の不織布1は、長繊維2を含むウェブから形成されている。不織布1は、ウェブが引き裂かれてなる引裂部4を複数有している。複数の引裂部4の内の一部は、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れて開口部40を形成している。【選択図】図4

Description

本発明は、長繊維を含む不織布及びその製造方法に関する。
従来より、使い捨ておむつ等の吸収性物品には、高い通気性を確保する観点から開孔を有する開孔不織布が多用されている。開孔不織布の製造方法として、例えば、特許文献1には、溶融により複数の開口を創出する工程を備える不織布の製造方法が開示されており、また、特許文献2には、高圧水流を施すことにより繊維をより分けて複数の開口を形成する工程を備える不織布の製造方法が開示されている。
これとは別の技術として、本出願人は、先に、長繊維の一部が破断されて、一端部のみが熱融着部により固定され他端部側の自由端部が太くなっている繊維を備えている不織布を提案した(特許文献3参照)。
特表平11−504684号公報 特開2000−265353号公報 特開2012−092475号公報
しかし、特許文献1に記載の製造方法で製造された不織布は、開口が溶融により形成されているので、溶融の部分が硬くなり肌触りの点で劣る不織布であった。その点、特許文献2に記載の製造方法で製造された不織布は、開口が高圧水流を施すことにより繊維をより分けて形成されているので、硬くなる部分が無く、肌触りの良い不織布である。
しかし、特許文献2に記載の製造方法で製造された不織布は、高圧水流を垂直方向に施すことにより繊維をより分けて開口が形成されているので、該不織布を平面視して、該開口が円形状或いは陸上競技場のトラックのようなトラック円形状に複数個形成される。このような円形状或いはトラック円形状の開口は、使用者によっては、穴を連想し、不織布の品質が悪いイメージを与えてしまう。また、このような円形状或いはトラック円形状の開口は、一度通過した液が該開口を介して肌対向面側にウエットバックし易かった。
尚、特許文献3には、弧状に引き裂かれた弧状の引裂部を有する不織布に関し何ら開示されておらず、該弧状の引裂部を有する不織布の製造方法に関しても何ら開示されていない。
従って、本発明は、上記課題を解消し得る不織布及びその不織布の製造方法を提供することに関する。
本発明は、長繊維を含むウェブから形成された不織布であって、前記ウェブが引き裂かれてなる引裂部を複数有し、複数の前記引裂部の内の一部は、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れて開口部を形成している不織布を提供するものである。
また、本発明は、長繊維を含むウェブを熱融着部により固定した原料不織布を、一対の凹凸ローラ間に供給して、該不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す不織布の製造方法であって、前記部分延伸加工にて、前記原料不織布を、1×102-1以上の歪み速度で延伸して、長繊維を含むウェブが引き裂かれてなる引裂部を複数有し、前記複数の引裂部の内の一部は、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れて開口部を形成している不織布を製造する不織布の製造方法を提供するものである。
本発明の不織布によれば、高い通気性を確保しつつ、肌触りが良く、ウエットバック(特に軟便が液戻り)し難い。また、本発明の不織布によれば、穴を連想し難く不織布の品質が向上する。
また、本発明の不織布の製造方法によれば、そのような不織布を連続して製造することができる。
図1は、本発明の不織布の一実施形態を示す平面図である。 図2は、図1に示す不織布の要部拡大平面図である。 図3は、1個の熱融着部におけるX方向の破断伸度の測定法を説明するための説明図である。 図4は、図1に示す不織布の要部拡大斜視図である。 図5は、本発明の不織布の起毛している繊維の量を測定する方法を示した模式図である。 図6は、図4に示す不織布の有する自由端部が太くなっている繊維を示す斜視図である。 図7は、本発明の不織布の製造方法に用いられる好適な製造装置を示す模式図である。 図8は、図7に示す製造装置の備える部分延伸加工部を示す模式図である。 図9は、図7に示す部分延伸加工部の要部拡大断面図である。 図10は、図7に示す製造装置の備える起毛加工部を示す模式図である。 図11は、本発明の不織布の使用形態の例を説明するための図であり、パンツ型使い捨ておむつを展開して伸長させた状態を示す展開平面図である。 図12は、図11のI−I線断面図である。
以下、本発明の不織布を、その好ましい実施形態に基づき、図1〜図6を参照しながら説明する。
本実施形態の不織布1は、図1に示すように、長繊維2を含むウェブから形成された不織布であって、該ウェブが引き裂かれてなる引裂部4を複数有している。不織布1については、図1に示すように、構成繊維の配向方向により繊維の配向方向に沿うMD方向を長手方向(Y方向)、それと直交するCD方向を幅方向(X方向)と判断する。従って、以下の説明では、Y方向とMD方向とは同じ方向を意味し、X方向とCD方向は同じ方向を意味する。
本実施形態の不織布1は、長繊維2を含むウェブを熱融着部3により固定して形成された不織布であり、詳述すると、長繊維2を含むウェブを熱融着部3により間欠的に、互いの繊維を圧着または融着して、固定した不織布10を元に形成されている。以下、これを元の不織布(原料不織布)10として説明する。原料不織布10とは、長繊維2を含むウェブを引き裂く前の不織布である。ここで、「長繊維」とは、30mm以上の繊維長を有するもので、原料不織布10としては、繊維長150mm以上の所謂連続長繊維であると破断強度が高い不織布1が得られる点で好ましい。
原料不織布10としては、長繊維2を含むウェブから形成された不織布であればよいが、長繊維2を含むウェブを熱融着部3により固定して形成された不織布が好ましい。長繊維2を含むウェブを熱融着部3により固定して形成された原料不織布10の好ましい具体例としては、スパンボンド不織布、又はスパンボンドの層とメルトブローンの層との積層不織布、カード法によるヒートロール不織布等が挙げられる。積層不織布としては、例えば、スパンボンド−スパンボンド積層不織布、スパンボンド−スパンボンド−スパンボンド積層不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布、スパンボンド−スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布等が挙げられる。
原料不織布10を構成する長繊維2は、熱可塑性樹脂を主として含んでおり、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ビニル系樹脂、ビニリデン系樹脂などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。ポリアミド系樹脂としてはナイロン等が挙げられる。ビニル系樹脂としてはポリ塩化ビニル等が挙げられる。ビニリデン系樹脂としてはポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。これら各種樹脂の1種を単独で又は2種以上を混合して用いることもでき、これら各種樹脂の変成物を用いることもできる。また、原料不織布10を構成する長繊維2として複合繊維を用いることもできる。複合繊維としてサイドバイサイド繊維、芯鞘繊維、偏芯したクリンプを有する芯鞘繊維、分割繊維などを用いることができる。複合繊維を用いる場合には、芯がポリプロピレン、鞘がポリエチレンからなる芯鞘繊維を用いると柔らかな不織布1が得られる点で好ましい。長繊維2の繊径は、後述する加工前において、5μm以上30μm以下であることが好ましく、10μm以上20μm以下であることが更に好ましい。
原料不織布10として、引裂部4を構成する後述する第1弧状引裂部41を形成し易い観点から、1個の熱融着部3における長繊維2の配向方向に直交する方向(X方向)の破断伸度が、45%以下である不織布を用いることが好ましく、35%以下である不織布を用いることが更に好ましく、30%以下である不織布を用いることが特に好ましい。尚、前記破断伸度の下限値は、5%以上である不織布を用いることが好ましい。前記破断伸度は以下の方法で測定される。
〔1個の熱融着部3におけるX方向の破断伸度の測定法〕
22℃65%RH環境下にて、原料不織布10から、長繊維2の配向方向(Y方向)に10mm、配向方向と直交する方向(X方向)に50mm以上の寸法の長方形形状の測定片を切り出す。この切り出された長方形形状の測定片の中央領域にある1個の熱融着部3を選出する。次に、図3に示すように、選出した1個の熱融着部3における破断伸度を測定するために、1個の熱融着部3における測定片の長手方向の中間位置にて、長方形形状の測定片の長手方向に沿う両側縁それぞれから1個の熱融着部3の両側縁それぞれの位置まで、水平方向に延びる切り込みを入れて測定サンプルを作製する。この測定サンプルを、CD方向(X方向)が引張方向となるように、引張試験機(例えば、オリエンテック社製テンシロン引張り試験機「RTA−100」)のチャックに取り付ける。チャック間距離は25mmとする。測定サンプルを100mm/分で引っ張り、測定サンプルが破断する破断伸度(%)を測定する。尚、破断伸度(%)は、設定した上記チャック間距離に対する、破断の際に伸長されて増加した分の長さの割合であり、例えば、設定した上記チャック間距離25mmのサンプルが50mmに伸長されて破断した場合、その破断伸度(%)は{(50−25)/25}×100=100%とされる。
本実施形態の不織布1では、図1,図2に示すように、熱融着部3は、肌触りや、加工適正の観点から、各熱融着部3の表面積が、0.05mm2以上10mm2以下であることが好ましく、0.1mm2以上1mm2以下であることが更に好ましい。熱融着部3の数は、10個/cm2以上250個/cm2以下であることが好ましく、35個/cm2以上65個/cm2以下であることが更に好ましい。X方向に隣り合う熱融着部3同士の中心間の距離は、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることが更に好ましく、Y方向に隣り合う熱融着部3同士の中心間の距離は、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
熱融着部3は、エンボス(エンボス凸ローラとフラットローラなどによる)による熱圧着により間欠的に形成されたものや、超音波融着によるもの、間欠的に熱風を加えて部分融着させたものなどが挙げられる。この中で熱圧着によるものが繊維を破断させやすい点で好ましい。熱融着部3の形状は、特に制限されず、例えば、図2に示す楕円形の他、円形、菱形、三角形等の任意の形状であってもよい。不織布1の一面の表面積に占める熱融着部3の合計表面積の割合は、毛玉が出来難い観点から、5%以上30%以下であることが好ましく、10%以上20%以下であることが更に好ましい。
上述したように、本実施形態の不織布1は、ウェブが引き裂かれてなる引裂部4を複数有している。そして、複数の引裂部4の内の一部は、図1、図2及び図4に示すように、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部41の外周縁が捲れて開口部40を形成している。本実施形態の不織布1では、複数の引裂部4は、図1に示すように、開口部40を形成する第1弧状引裂部41と、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れていない第2弧状引裂部42と、円形状に引き裂かれた円状引裂部43とからなる。ここで、第1弧状引裂部41と第2弧状引裂部42との区別は、弧状の引裂部の外周縁が、不織布1の外表面と同一面状になく、不織布1の外表面から上方又は下方に離れている形態を第1弧状引裂部41とし、弧状の引裂部の外周縁が、不織布1の外表面と同一面状にある形態を第2弧状引裂部42として区別する。また円状引裂部43は円状に引き裂かれており、開孔している。
本実施形態の不織布1では、引裂部4(第1弧状引裂部41、第2弧状引裂部42及び円状引裂部43)における第1弧状引裂部41の割合が、通気性や、肌触りや、加工適正の観点から、好ましくは30%以上、更に好ましくは45%以上、そして、好ましくは100%以下、より具体的には、30%以上100%以下であることが好ましく、45%以上100%以下であることが更に好ましい。第1弧状引裂部41の割合は、第1弧状引裂部41の数を50倍に拡大したマイクロスコープで観察して求めることができる。
本実施形態の不織布1では、引裂部4(第1弧状引裂部41、第2弧状引裂部42及び円状引裂部43)は、通気性や、肌触りや、加工適正の観点から、各引裂部4の表面積が、2mm2以上10mm2以下あることが好ましく、3mm2以上7mm2以下であることが更に好ましい。引裂部4の数は、5個/cm2以上300個/cm2以下であることが好ましく、10個/cm2以上150個/cm2以下であることが更に好ましい。引裂部4の数は、目視にて測定する。
本実施形態の不織布1では、引裂部4の内の開口部40を形成する第1弧状引裂部41は、図2及び図4に示すように、熱融着部3の全周の内の一部の周縁31に沿って引き裂かれ、更に、隣り合う熱融着部3,3同士の間の長繊維2が引き裂かれて形成されている。詳述すると、第1弧状引裂部41は、熱融着部3の一部の周縁31に沿って引き裂かれ、該熱融着部3に隣り合う熱融着部3,3同士の間の長繊維2が引き裂かれ、更に該隣り合う熱融着部3の一部の周縁31に沿って引き裂かれることを繰り返し、それらが繋がって弧状に形成されている。尚、本実施形態の不織布1では、引裂部4の内の第2弧状引裂部42も円状引裂部43も、第1弧状引裂部41と同様に、熱融着部3の全周の内の一部の周縁31に沿って引き裂かれ、更に、隣り合う熱融着部3,3同士の間の長繊維2が引き裂かれて形成されている。
また、本実施形態の不織布1は、ウェブが引き裂かれてなる引裂部4を備えると共に、図4に示すように、長繊維2の一部が破断されて、一端部20aのみが熱融着部3により固定され他端部側が自由端部20bとなっている起毛繊維20を備えている。不織布1は、自由端部20bを有する起毛繊維20、後述する熱融着部3,3同士の間でループ状に起立するループ状の繊維23(起毛繊維20、繊維23をあわせて「起毛している繊維」という)及び「起毛している繊維」以外の起毛していない繊維で構成されている。不織布1は、この起毛していない繊維を主として形成されている。そして起毛繊維20は、図4に示すように、自由端部20bが太くなっている繊維21及び自由端部20bが太くなっていない繊維22からなる。先端が太くなっている繊維21としては、その先端部における断面が扁平状(楕円や潰れた形状)であるものが好ましい。ここで、「自由端部」とは、一端部20aのみが熱融着部3により固定されている起毛繊維20における「他端部」のことを意味し、言い換えれば「先端部」を意味する。自由端部20bが太くなっているか否かは、以下の測定法により繊維径を測定し、先端繊維径の増加割合を算出し判断する。
〔繊維径の測定法〕
先ず、22℃、65%RH環境下にて、図5(a)に示すように、測定する不織布1から、鋭利なかみそりで、CD方向に2cm、MD方向に2cmの大きさの測定片を切り出す。切り出す際、可能な限り引裂部4を外すようにすることが好ましい。そして、図5(b)に示すように、引裂部4を外す位置であって、複数個の熱融着部3を通るCD方向に延びる折り返し線Zにて山折りした測定サンプルを、図5(c)に示すように、カーボンテープを載せた走査型電子顕微鏡(SEM)用アルミ製試料台に載せて固定する。次に、およそ750倍に拡大したSEM画像から、一端部20aのみが熱融着部3により固定されている起毛繊維20をランダムに10本選出し、それら繊維の自由端部の先端付近の写真撮影を行なう。得られた写真(図6参照)から、自由端部20bの先端から120μm離れた位置での起毛繊維20の繊維径(自由端部20bを除く部位での起毛繊維20の径21a)をそれぞれ測定する。自由端部20bを除く部位での起毛繊維20の径21aの測定時における傾きを、そのまま自由端部20b側に平行移動し、自由端部20bの先端と先端から20μm離れた位置との間に挟まれた領域において最も太くなっている位置での繊維21の繊維径(自由端部20bでの繊維21の径21b)を測定する。尚、先端部が扁平状である場合は観察角度によっては先端が太く見えない場合もあるが、その場合でも得られた写真でそのまま測定する。
自由端部20bが太くなっている繊維21とは、先のランダムに選出した10本の起毛繊維20の中で、10本の起毛繊維20の写真それぞれから測定した、自由端部20bでの起毛繊維20の径21bと、自由端部20bを除く部位での起毛繊維20の径21aとから、下記の式(1)で求められる先端繊維径の増加割合の値が15%以上との要件を満たす繊維であることを意味し、熱融着部3同士の間(熱融着部3と繊維との境界を除く、繊維形態部分)での繊維の切断が抑えられ、破断強度の減少が抑えられ、肌触りの良いものが得られる点から、20%以上大きくなっていることが好ましく、25%以上大きくなっていることが更に好ましい。

先端繊維径の増加割合(%)=[((21b−21a)÷21a)×100]・・・(1)
不織布1においては、肌に接した際の肌触りと破断強度の両立の観点、クッション性向上の観点から、一端部20aのみが熱融着部3により固定されている起毛繊維20(自由端部20bが太くなっている繊維21及び自由端部20bが太くなっていない繊維22)における、自由端部20bが太くなっている繊維21の割合が、20%以上であることが好ましく、30%以上であることが更に好ましく、40%以上であることが特に好ましい。自由端部20bが太くなっている繊維21の割合は、上述した繊維径の測定法において、ランダムに10本選んだ起毛繊維20をおよそ750倍に拡大したSEM画像から、先端繊維径の増加割合をそれぞれ算出し、自由端部20bが太くなっている繊維21の割合を算出する。
上述したように、不織布1は、図4に示すように、熱融着部3,3同士の間でループ状に起立するループ状の繊維23を有している。起立している「ループ状の繊維23」とは、上述した繊維径の測定法において図5(c)のように観察した際、他端部側に自由端部20bを有さず、折り返し線Zから0.5mm以上離れて起立している繊維を意味する。
以上のように構成された不織布1は、安価でかつ、良好な肌触り感が得られること、また加工適正の観点から、その坪量が、5g/m2以上であることが好ましく、そして100g/m2以下あることが好ましく、25g/m2以下であることが更に好ましく、具体的には、5g/m2以上100g/m2以下あることが好ましく、5g/m2以上30g/m2以下であることが更に好ましい。
また、以上のように構成された不織布1は、肌触りに優れる観点から、そのバルクソフトネスが、10cN以下であることが好ましく、5.5cN以下であることが更に好ましく、そして0.5cN以上であることが好ましい。
尚、原料不織布10は、柔軟なものが得られ肌触りに優れる点と開口しやすい観点から、そのバルクソフトネスが、15cN以下であることが好ましく、10cN以下であることが更に好ましく、そして3cN以上であることが好ましく、具体的には、3cN以上15cN以下であることが好ましく、3cN以上10cN以下であることが更に好ましい。
バルクソフトネスは、以下の測定法により測定する。
〔バルクソフトネスの測定方法〕
不織布1のバルクソフトネスは、22℃65%RH環境下にて、不織布1をY方向(長手方向)に150mm、X方向(幅方向)に30mm切り出し、直径45mmのリング状に、ホッチキスを用いて端部を上下2箇所で止める。このときステープラーの芯はY方向(長手方向)に長くなるようにする。引張試験機(例えば、オリエンテック社製テンシロン引張り試験機「RTA−100」)を用いて、試料台の上に前記リングを筒状に立て、上方から台とほぼ平行な平板にて圧縮速度10mm/分の速度で圧縮していった際の最大荷重を測定し、バルクスフトネスとする。
また、以上のように構成された不織布1は、通気性に優れる観点から、その通気度が、 750m/Pa・s以上であることが好ましく、1000m/Pa・s以上であることが更に好ましく、そして3000m/Pa・s以下であることが好ましい。具体的には、750m/Pa・s以上3000m/Pa・s以下であることが好ましく、1000m/Pa・s以上3000m/Pa・s以下であることが更に好ましい。
通気度は、カトーテック製AUTOMATIC AIR−PERMEABILITY TESTER KES−F8−AP1(通気性試験機)により通気抵抗を測定し、その逆数として求められる。
また、以上のように構成された不織布1は、肌触りに優れる観点から、その微小荷重時の圧縮特性値が18.0(gf/cm2)/mm以下であり、15.0(gf/cm2)/mm以下であることがさらに好ましい。不織布1の上記圧縮特性値の下限は特に制限されないが、製造上の観点からは、1.00(gf/cm2)/mm程度である。
微小荷重時の圧縮特性値は、以下の測定法により測定する。
〔微小荷重時の圧縮特性値〕
微小荷重時の圧縮特性値の算出の元となるデータの測定はカトーテック株式会社製のKES FB3−AUTO−A(商品名)を用い、22℃65%RH環境下にて測定を行う。具体的には、不織布1を20cm×20cmに3枚カットして測定サンプルを準備する。次にそのうちの1枚の測定サンプルを試験台に起毛面を上に向けて設置する(起毛してない場合、または両面が起毛している場合は両方測定して小さいほうを採用する)。次に、面積2cm2の円形平面の鋼板間で圧縮する。圧縮速度20μm/sec、最大圧縮荷重10gf/cm2、回復過程も同一速度で測定する。このとき、鋼板間の変位量をx(mm)とし、荷重をy(gf/cm2)とし、荷重を検知した点の位置をx=0として圧縮方向に測定する。xの値は圧縮されるほど大きくなる。
微小荷重時の圧縮特性値は測定したデータ(x、y)より、微小荷重時の厚みの変形量を抽出して算出する。具体的には回復過程ではない一回目の、荷重が0.30gf/cm2から1.00gf/cm2の間の荷重とそのときの変形量のデータを抽出し、xとyの関係について近似直線を最小二乗法により求め、そのときの傾きを上記特性値とする(単位(gf/cm2)/mm)。1枚の測定サンプルで3箇所測定する。3枚のサンプル合計9箇所の測定を行う。9箇所それぞれの特性値を算出して、それらの平均値をその不織布の微小荷重時の圧縮特性値とする。
次に、本発明の不織布1の好適な製造方法について、図7〜図10を参照しながら説明する。不織布1の製造方法に好ましく用いられる製造装置200は、部分延伸加工部5と、部分延伸加工部5の下流側に配される起毛加工部6とに大別される。
部分延伸加工部5は、図7〜図9に示すように、一対の凹凸ローラ51,52からなるスチールマッチングエンボスローラ53を備えている。スチールマッチングエンボスローラ53は、図8に示すように、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性の円筒形状のものであり、一方の凹凸ローラ51が周面に複数個の凸部511を有し、他方の凹凸ローラ52が、周面に一方の凹凸ローラ51の凸部511に対応する位置に凸部511が入り込む凹部522を有している。また、図8に示すように、他方の凹凸ローラ52が周面に複数個の凸部521を有し、一方の凹凸ローラ51が、周面に他方の凹凸ローラ52の凸部521に対応する位置に凸部521が入り込む凹部512を有している。一対の凹凸ローラ51,52は、図8に示すように、それぞれの周面に、凸部511,521及び凹部512,522が何れも千鳥状に配置されている。一対の凹凸ローラ51,52は、少なくとも一方の回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって噛み合って回転する。本実施形態の製造装置200においては、互いの凸部511,521が互いの凹部522,512に対応する位置に設けられている以外は、一方の凹凸ローラ51と他方の凹凸ローラ52とは同じローラである。従って、以下の説明では、同様な部分については、主に、一方の凹凸ローラ51の凸部511について説明する。尚、部分延伸加工部5は、例えば図7及び図8に示すように、スチールマッチングエンボスローラ53の上流側及び下流側に、原料不織布10を搬送する際に用いる搬送ローラ54,55を備えている。
図9に示すように、凹凸ローラ51の各凸部511は、凹凸ローラ51の底から凸部511の頂点までの高さhが、1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上7mm以下であることが更に好ましい。回転軸方向に隣り合う凸部511同士の距離(ピッチ)は、0.01mm以上20mm以下であることが好ましく、1mm以上10mm以下であることが更に好ましく、周方向に隣り合う凸部511同士の距離(ピッチ)P1は、0.01mm以上20mm以下であることが好ましく、1mm以上10mm以下であることが更に好ましい。凹凸ローラ51の各凸部511の頂部表面の形状に特に制限はなく、例えば、円形、多角形、楕円形等が用いられ、各凸部511の頂部表面の面積は、不織布1の備える引裂部4(第1弧状引裂部41、第2弧状引裂部42及び円状引裂部43)の表面積に略対応しており、引裂部4を形成し易く、加工後の不織布の柔らかさ向上の観点から、1mm2以上20mm2以下であることが好ましく、2mm2以上 15mm2以下であることが更に好ましい。凹凸ローラ52の各凹部522は、凹凸ローラ51の各凸部511に対応する位置に配されている。凹凸ローラ51の各凸部511と凹凸ローラ52の各凸部521との噛み合いの深さd(各凸部511と各凸部521とが重なっている部分の長さ)(図9参照)は、3.5mm以上であり、3.7mm以上であることが好ましく、4mm以上であることが更に好ましく、そして5mm以下であり、具体的には、3.5mm以上5mm以下であり、3.7mm以上5mm以下であることが好ましく、4mm以上5mm以下であることが更に好ましい。
起毛加工部6は、図7及び図10に示すように、周面に凸部611が設けられた凸ローラ61を備え、凸ローラ61の上流側及び下流側に、部分延伸加工された不織布10’を搬送する搬送ローラ62,63を備えている。凸ローラ61は、その回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって回転する。
凸ローラ61の各凸部611は、凸ローラ61の周面から凸部611の頂点までの高さが、0.001mm以上3mm以下であることが好ましく、0.001mm以上0.1mm以下であることが更に好ましい。このような微小な高さの凸ローラも含むため、凸ローラ61には、所謂、サンドブラストローラも含まれる。回転軸方向に隣り合う凸部611同士の距離(ピッチ)は、0.1mm以上50mm以下であることが好ましく、0.1mm以上3mm以下であることが更に好ましく、周方向に隣り合う凸部611同士の距離(ピッチ)は、0.1mm以上50mm以下であることが好ましく、0.1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。凸ローラ61の各凸部611の頂部表面の形状に特に制限はなく、例えば、円形、多角形、楕円形等が用いられ、各凸部611の頂部表面の面積は、0.001mm2以上20mm2以下であることが好ましく、0.01mm2以上1mm2以下であることが更に好ましい。尚、凸ローラ61がサンドブラストローラである場合には、凸部611の密度は、1000個/cm2以上3000個/cm2以下であることが好ましく、1200個/cm2以上2500個/cm2以下であることが更に好ましい。
尚、製造装置200は、図7に示すように、起毛加工部6の下流側に製造された不織布1を巻き取る巻取ローラ(不図示)を備え、巻取ローラ(不図示)に巻き取る前の不織布1を搬送するアウトフィードローラ7を備えている。アウトフィードローラ7は、不織布1の搬送速度を測定することができるようになっている。
次に、本発明の不織布の製造方法の一実施態様を、上述した製造装置200を用いて、図7を参照しながら説明する。
本実施態様は、長繊維2を含むウェブを熱融着部3により固定した原料不織布10を、一対の凹凸ローラ51,52間に供給して、不織布10の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す不織布の製造方法である。本実施態様では、部分延伸加工にて、原料不織布10を、1×102-1以上の歪み速度で延伸して、長繊維を含むウェブが引き裂かれてなる引裂部4を複数有し、複数の引裂部4の内の一部は、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れて開口部40を形成している不織布1を製造する。以下、具体的に説明する。
本実施態様の不織布の製造方法は、開口させるために熱融着部周囲の繊維の切断のしやすさの観点から、原料不織布10の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す際、50℃以下の温度で加工を施すことが好ましい。尚、50℃以下の温度とは、ローラ51,52に積極的に温度を掛けず、原料不織布10に延伸加工を施す際、常温であることを意味する。言い換えれば、原料不織布10に部分延伸加工を施す際に、不織布の構成繊維間で熱融着を起こしてしまうことにより、原料不織布10が硬くなってしまわない観点から、如何なる種類の構成繊維樹脂の融点よりも低い温度であることを意味する。
本実施態様の不織布の製造方法は、先ず、帯状の原料不織布10を、原反ロール10Rから巻き出して、図7に示すように、搬送ローラ54,55を介して、原料不織布10をスチールマッチングエンボスローラ53の一対の凹凸ローラ51,52間に搬送し、原料不織布10に部分延伸加工を施す。更に詳述すると、搬送された原料不織布10を、図8及び図9に示す、一方の凹凸ローラ51の有する複数個の凸部511と、他方の凹凸ローラ52の有する複数個の凹部522との間で挟圧し、さらに他方の凹凸ローラ52の有する複数個の凸部521と、一方の凹凸ローラ51の有する複数個の凹部512との間で挟圧して、原料不織布10の複数箇所それぞれに搬送方向及び搬送方向に直交する方向に延伸加工を施す。
本実施態様では、部分延伸加工にて引裂部4を複数形成し、引裂部4の中でも開口部40を有する第1弧状引裂部41を形成するにあたり、繊維の切断を効率的に行うためには、破断伸度を下げることが重要である。破断伸度は歪み速度が大きい程低下し、原料不織布の粘弾性の観点より、例えばポリプロピレンを原料とした場合には、歪み速度が1×102-1以上で破断伸度が大きく低下する。よって、原料不織布10を1×102-1以上の歪み速度で延伸することが好ましく、原料不織布10を1×103-1以上の歪み速度で延伸することが更に好ましい。また、上限値としては、5×103-1以下であることが好ましい。ここで、歪み速度とは、図9に示すように、原料不織布10を一対の凹凸ローラ51,52間に搬送して部分延伸加工を施す直前から一方の凹凸ローラ51の凸部511と他方の凹凸ローラ52の凹部522とが最大に噛み合って部分延伸加工を施した直後迄の時間、言い換えれば、一方の凹凸ローラ51の凸部511と他方の凹凸ローラ52の凸部521とが最も近接する時から一方の凹凸ローラ51の凸部511及び他方の凹凸ローラ52の凸部521が互いに垂直に位置する迄の時間の間に、原料不織布10をどれ程変形させるかを意味する。歪み速度は、下記の式(2)で求められる。

歪み速度V[s-1]=押込速度Vx / 最初の原料不織布の長さL0・・・(2)

ここで、最初の原料不織布の長さL0とは、一方の凹凸ローラ51の凸部511と他方の凹凸ローラ52の凸部521とが最も近接した際に一対の凹凸ローラ51,52間に搬送された原料不織布10の搬送方向の長さを意味する(図9参照)。尚、凹凸ローラ51,52の凸部511,521の頂部のエッジ部にR形状が施されている場合は、例えば凸部511,521を側面視した際の側面に沿った側辺の延長線と凸部511,521の頂部を側面視した際の頂面に沿った天辺の延長線との交点を、凸部511,521の頂部の仮想エッジ部として判断する。
また、上記の式(2)に係る押込速度Vxは、下記の式(3)で求められる。

押込速度Vx=延伸量D/凹凸ローラが最大に噛み合うまでの時間tmax・・・(3)

ここで、延伸量Dとは、一方の凹凸ローラ51の凸部511及び他方の凹凸ローラ52の凸部521が互いに垂直に位置した際、即ち、一方の凹凸ローラ51の凸部511が他方の凹凸ローラ52の凹部522に最大に噛み合った際に一対の凹凸ローラ51,52間に搬送された原料不織布10の搬送方向の長さを意味する(図9参照)。また、最大に噛み合うまでの時間tmaxとは、一方の凹凸ローラ51の凸部511と他方の凹凸ローラ52の凸部521とが最も近接する時から一方の凹凸ローラ51の凸部511及び他方の凹凸ローラ52の凸部521が互いに垂直に位置する迄の時間を意味する。尚、凹凸ローラ51,52の凸部511,521の頂部のエッジ部にR形状が施されている場合は、上述したように仮想エッジ部を想定して判断する。
また、上記の式(3)に係る凹凸ローラが最大に噛み合うまでの時間tmaxは、下記の式(4)で求められる。

凹凸ローラが最大に噛み合うまでの時間tmax
=凹凸ローラが最大に噛み合うまでの距離Lmax/加工速度・・・(4)

ここで、凹凸ローラが最大に噛み合うまでの距離Lmaxとは、一方の凹凸ローラ51の凸部511と他方の凹凸ローラ52の凸部521とが最も近接する位置から一方の凹凸ローラ51の凸部511及び他方の凹凸ローラ52の凸部521が互いに垂直となる位置迄の距離を意味する。また、加工速度とは、不織布の搬送速度を意味する。
尚、凹凸ローラ51,52の凸部511,521の頂部のエッジ部にR形状が施されている場合は、上述したように仮想エッジ部を想定して判断する。
また、本実施態様では、部分延伸加工にて引裂部4を複数形成し、引裂部4の中でも開口部40を有する第1弧状引裂部41を効率よく形成する観点から、一方の凹凸ローラ51の凸部511の頂部での周速度(V1)に対する製造された不織布1の搬送速度(V2)のドロー比(V2/V1)が、1.2以上であることが好ましく、1.3以上であることが更に好ましい。ここで、不織布1の搬送速度(V2)は、製造装置200に備えられたアウトフィードローラ7により測定される速度である。アウトフィードローラ7により測定される搬送速度(V2)は、本実施態様では、起毛加工部6の下流側のみならず、部分延伸加工部5の下流側でも同じ速度である。
次に、本実施態様においては、部分延伸加工を施した後の原料不織布10’に、原料不織布10の構成繊維を起毛する起毛加工を施す。詳述すると、部分延伸加工が施され引裂部4の形成された原料不織布10’に、原料不織布10の構成繊維を起毛する起毛加工を施す。更に詳述すると、部分延伸加工が施され引裂部4の形成された原料不織布10’を、図7に示すように、搬送ローラ62,63を介して、凸ローラ61に搬送する。そして、起毛加工部6においては、周面に凸部611を有する凸ローラ61を用いて、原料不織布10を構成する長繊維2の一部を破断して、一端部20aのみが原料不織布10を構成する熱融着部3により固定されている起毛繊維20を有すると共に複数個の引裂部4を有する不織布1を連続的に製造する(図2及び図4参照)。長繊維2の一部を破断し、図4に示す起毛繊維20を効率よく形成する観点から、凸ローラ61の回転方向を、原料不織布10’の搬送方向に対して逆方向に回転させることが好ましく、原料不織布10’の搬送速度に対し、0.3倍以上10倍以下の速度で凸ローラ61を回転させることが好ましい。また周方向(搬送方向に対して順方向)に回転させる場合には1.5倍以上20倍以下の速度で凸ローラ61を回転させることが好ましい。ここで、凸ローラ61の速度は、凸ローラ61の周面での周速度のことを意味する。
尚、一端部20aのみが熱融着部3により固定されている起毛繊維20を、不織布1の両面に形成する場合には、凸ローラ61により加工した原料不織布10’の表面と異なる表面(裏面)を、更に、別の凸ローラ61により加工することにより得られる。
起毛加工において、起毛繊維20の内の自由端部20bが太くなっている繊維21は、スチールマッチングエンボスローラ43により原料不織布10が部分的に延伸され、原料不織布10の熱融着部3に弱化点が形成され、その後、凸ローラ61によって熱融着部3の原料不織布10’のごく表面部の弱化点から長繊維2が破断されて形成される。また、起毛繊維20の内の自由端部20bの太くなっていない繊維22は、凸ローラ61により表面を加工する際に、熱融着部3,3同士の間で長繊維2が破断されて形成される。また、凸ローラ61により、熱融着部3の弱化点から、長繊維2が剥離し、この熱融着部3から剥離した繊維が、熱融着部3,3同士の間でループ状に起立したものが、ループ状の繊維23になる。上述した不織布1の好適な製造方法により製造される不織布は、従来の起毛方法により製造される不織布に比べ、ループ状の繊維23や、太くなっていない繊維22の割合が少ないのが特徴である。上述した不織布1の好適な製造方法により製造される不織布は、太くなっていない繊維22の割合が少ないので、破断強度を保持することができる。
上述した本発明の実施形態の不織布1を使用した際の作用効果について説明する。
本実施形態の不織布1は、図1、図2及び図4に示すように、ウェブが引き裂かれてなる引裂部4を複数有しており、そして、複数の引裂部4の内の一部は、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部41の外周縁が捲れて開口部40を形成している。その為、高い通気性を確保することができ、また、開口部40が溶融により形成されておらず、引き裂かれて形成しているので、肌触りも良い。また、不織布1の有する開口部40は、弧状の引裂部41の外周縁が捲れた形状で形成されているので、ウエットバックし難く、特に軟便の液戻りの難さが期待でき、しかも貫通する穴を連想し難く不織布の品質が向上する。
また、本実施形態の不織布1の有する開口部40を形成する第1弧状引裂部41は、図2及び図4に示すように、熱融着部3の一部の周縁31に沿って引き裂かれ、該熱融着部3に隣り合う熱融着部3,3同士の間の長繊維2が引き裂かれ、更に該隣り合う熱融着部3の一部の周縁31に沿って引き裂かれることを繰り返し、それらが繋がって弧状に形成されている。また、本実施形態の不織布1の備える複数の引裂部4は、図1に示すように、開口部40を形成する第1弧状引裂部41以外に、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れていない第2弧状引裂部42と、円形状に引き裂かれた円状引裂部43とを有している。そのため、より軟便の液戻り性が向上するという効果を奏する。
また、本実施形態の不織布1は、図4に示すように、ウェブが引き裂かれてなる引裂部4を備えると共に、長繊維2の一部が破断されて、一端部20aのみが熱融着部3により固定され他端部側が自由端部20bとなっている起毛繊維20を更に備えている。その為、肌触りが更に向上している。
そして、上述した本実施態様の不織布の製造方法によれば、高い通気性を確保しつつ、肌触りが良く、ウエットバックし難く、特に軟便の液戻りのし難さが期待でき、更に、穴を連想し難く、品質が向上した不織布1を効率的に連続して製造することができる。
不織布1の利用範囲は、主として使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品における構成部材に好適に用いられる。構成部材としては、例えば、表面シート、裏面シート、使い捨ておむつの外包材を構成するシート等が挙げられ、特に、不織布1は、着用者の肌当接面に用いる吸収性物品の表面シートに好適に用いられる。不織布1の利用範囲は、その他、清掃用シートにも好適に用いられる。清掃用シートにも用いられた場合には、ゴミ捕集性に優れたシートとなる。
以下、不織布1を利用した使い捨ておむつを例に挙げ、具体的に説明する。
パンツ型使い捨ておむつ100は、図11及び図12に示すように、吸収体81を含む吸収性本体8と、吸収性本体8の非肌当接面側に位置して該吸収性本体8を固定している外包材9とを備えている。
吸収性本体8は、図12に示すように、液透過性の表面シート82、液不透過性(撥水性も含む)の裏面シート83及び両シート82,83間に介在された液保持性の吸収体81を有しており、図11に示すように、実質的に縦長である。
外包材9は、図11に示すように、着用者の背側に配される背側部A、腹側に配される腹側部B、それらの間に位置し股間部に配される股下部Cを有しており、背側部Aと腹側部Bの両側縁部9a,9b同士が接合されて、一対のサイドシール部(図示せず)、一対のレッグ開口部(図示せず)及びウエスト開口部(図示せず)が形成される。また、外包材9は、おむつの外面を形成する外層シート92、その肌当接面側に位置して部分的に該外層シート92と接合された内層シート91を有しており、ウエスト開口部及びレッグ開口部を形成するウエスト部及びレッグ部9dにおける両シート91,92間に、ギャザー形成用のウエスト部弾性部材93及びレッグ部弾性部材94が配されている。
吸収性本体8は、図11に示すように、外包材9の背側部Aから腹側部Bに跨って配設されており、吸収性本体8の長手方向の両端部は、外包材9の長手方向の両端部よりも長手方向の内方に後退した位置にある。吸収性本体8は、図12に示すように、吸収性本体8の裏面シート83の非肌当接面が、接着剤、ヒートシール、超音波シール等による接合法によって外包材9の内層シート91の肌当接面に接合されている。
吸収性本体8の長手方向に沿う両側部には、図12に示すように、液不透過性又は撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス84,84が設けられている。各側方カフス84の自由端部近傍には、側方カフス形成用の弾性部材85が伸長状態で配設固定されている。側方カフス84は、おむつの装着時に自由端部側が起立し、吸収性本体8の幅方向への排泄物の流出を阻止することができる。側方カフス84形成用シートは、図12に示すように、吸収性本体8の幅方向外方の所定幅の部分が、吸収体81の非肌当接面側に巻き込まれて、吸収体81と裏面シート83との間に固定されている。尚、所定幅の部分は、裏面シート30と外包材9との間に固定されていてもよい。
本実施形態の不織布1は、着用者の肌当接面に用いるパンツ型使い捨ておむつ100の外包材9の外層シート92及び内層シート91として好ましく用いられる。また、表面シート82、裏面シート83、並びに側方カフス84形成用シートとして用いることもできる。不織布1を使用しない場合の各部の部材には、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート82としては、液透過性の不織布や、開孔フィルム、これらの積層体等を用いることができ、裏面シート83としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。側方カフス84形成用シートとしては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。内層シート91及び外層シート92としては、撥水性の不織布等を用いることができる。
吸収体81としては、従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、吸収体81としては、パルプ等の繊維材料の繊維集合体又はこれに高吸収性ポリマーを担持させたものからを、ティッシュペーパーや透水性の不織布等の被覆材で包んでなるもの等を用いることができる。
側方カフス形成用の弾性部材85、ウエスト部弾性部材93及びレッグ部弾性部材94としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる伸縮性の材料等を用いることができる。
本発明の不織布は、上述の本実施形態の不織布1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
また、本発明の不織布の製造方法は、上述の実施態様の製造方法に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上述の本実施形態の不織布1は、図2及び図4に示すように、ウェブが引き裂かれてなる引裂部4を備えると共に起毛繊維20を備えているが、起毛繊維20を備えていなくてもよい。このような起毛繊維20を備えずに引裂部4を備える不織布を製造する場合は、上述の本実施態様の不織布1の製造方法において、起毛加工部6を有さず部分延伸加工部5を有する製造装置を用いることにより製造することができる。
また、上述の本実施態様の不織布1の製造方法においては、図7に示すように、部分延伸加工を施した後の不織布10’に、該不織布10’の構成繊維を起毛する起毛加工を施して不織布1を製造しているが、部分延伸加工を施す前の原料不織布10に、該不織布10の構成繊維を起毛する起毛加工を施し、その後部分延伸加工を施して不織布1を製造してもよい。
また、本実施形態の不織布1の有する開口部40を形成する第1弧状引裂部41は、図2及び図4に示すように、熱融着部3の一部の周縁31に沿って引き裂かれ、更に、隣り合う熱融着部3,3同士の間の長繊維2が引き裂かれて形成されているが、その形態に限らない。また、本実施形態の不織布1の有する引裂部4は、第1弧状引裂部41、第2弧状引裂部42及び円状引裂部43から形成されているが、第1弧状引裂部41のみ有していればよい。
また、原料不織布10を構成する繊維には、静電気防止特性剤、潤滑剤、親水剤など少量の添加物を付与してもよい。
また、原料不織布10は、ふっくら感を高め、タッチ感を高める観点から、原料不織布10を構成する繊維の融点未満の温度で熱処理されていることが好ましく、特に熱風処理されていることが好ましい。
上述した実施形態に関し、さらに以下の不織布及びその製造方法を開示する。
<1>
長繊維を含むウェブから形成された不織布であって、
前記ウェブが引き裂かれてなる引裂部を複数有し、
複数の前記引裂部の内の一部は、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れて開口部を形成している不織布。
<2>
前記不織布は、前記ウェブを熱融着部により固定して形成された不織布であり、
前記開口部を形成する第1弧状引裂部は、前記熱融着部の全周の内の一部の周縁に沿って引き裂かれ、更に、隣り合う前記熱融着部同士の間の長繊維が引き裂かれて形成されている前記<1>に記載の不織布。
<3>
前記複数の引裂部は、前記開口部を形成する第1弧状引裂部と、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れていない第2弧状引裂部と、円形状に引き裂かれた円状引裂部とからなる前記<1>又は<2>に記載の不織布。
<4>
前記第2弧状引裂部も前記円状引裂部も、前記第1弧状引裂部41と同様に、前記熱融着部の全周の内の一部の周縁に沿って引き裂かれ、更に、隣り合う前記熱融着部同士の間の長繊維が引き裂かれて形成されている前記<1>〜<3>の何れか1に記載の不織布。
<5>
前記引裂部における、前記第1弧状引裂部の割合が30%以上である前記<3>に記載の不織布。
<6>
前記引裂部における前記第1弧状引裂部の割合が、30%以上、好ましくは45%以上であり、好ましくは100%以下である前記<1>〜<5>の何れか1に記載の不織布。
<7>
前記引裂部の表面積が、好ましくは2mm2以上10mm2以下、更に好ましくは3mm2以上7mm2以下である前記<1>〜<6>の何れか1に記載の不織布。
<8>
前記引裂部の数は、5個/cm2以上300個/cm2以下、好ましくは10個/cm2以上150個/cm2以下である前記<1>〜<7>の何れか1に記載の不織布。
<9>
前記長繊維の一部が破断されて、一端部のみが前記熱融着部により固定され他端部側が自由端部となっている起毛繊維を備えている前記<1>〜<8>の何れか1に記載の不織布。
<10>
前記起毛繊維は、自由端部が太くなっている繊維及び自由端部が太くなっていない繊維からなる前記<1>〜<9>の何れか1に記載の不織布。
<11>
前記先端が太くなっている繊維は、その先端部における断面が扁平状(楕円や潰れた形状)である前記<1>〜<10>の何れか1に記載の不織布。
<12>
前記起毛繊維における、前記自由端部が太くなっている繊維の割合が、20%以上であることが好ましく、30%以上であることが更に好ましく、40%以上であることが特に好ましい前記<1>〜<11>の何れか1に記載の不織布。
<13>
前記不織布のバルクソフトネスは、10cN以下、好ましくは5.5cN以下であり、そして0.5cN以上である前記<1>〜<12>の何れか1に記載の不織布。
<14>
前記不織布は、その通気度が、750m/Pa・s以上であることが好ましく、1000m/Pa・s以上であることが更に好ましく、そして3000m/Pa・s以下である前記<1>〜<13>の何れか1に記載の不織布。
<15>
前記不織布は、その微小荷重時の圧縮特性値が18.0(gf/cm2)/mm以下、好ましくは15.0(gf/cm2)/mm以下であり、1.00(gf/cm2)/mm以上である前記<1>〜<14>の何れか1に記載の不織布。
<16>
前記<1>〜<15>の何れか1に記載の不織布を構成部材として用いた吸収性物品。
<17>
長繊維を含むウェブを熱融着部により固定した原料不織布を、一対の凹凸ローラ間に供給して、該不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す不織布の製造方法であって、
前記部分延伸加工にて、前記原料不織布を、1×102-1以上の歪み速度で延伸して、
長繊維を含むウェブが引き裂かれてなる引裂部を複数有し、
前記複数の引裂部の内の一部は、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れて開口部を形成している不織布を製造する不織布の製造方法。
<18>
前記部分延伸加工にて、前記原料不織布を1×102-1以上の歪み速度、好ましく、1×103-1以上の歪み速度で延伸し、5×103-1以下の歪み速度で延伸する前記<17>に記載の不織布の製造方法。
<19>
前記一対の凹凸ローラは、一方のローラが周面に複数個の凸部を有し、他方のローラが周面に一方の前記ローラの前記凸部に対応する位置に該凸部が入り込む凹部を有しており、
前記一方のローラの前記凸部の頂部での周速度(V1)に対する前記製造された不織布の搬送速度(V2)のドロー比(V2/V1)が、1.2以上である前記<7>又は<8>に記載の不織布の製造方法。
<20>
一方の前記ローラの前記凸部の頂部での周速度(V1)に対する製造された不織布の搬送速度(V2)のドロー比(V2/V1)が、1.2以上であることが好ましく、1.3以上であることが更に好ましい前記<17>〜<19>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<21>
一方の前記ローラの前記凸部は、一方の該ローラの底から該凸部の頂点までの高さhが、1mm以上10mm以下であることが好ましく、2mm以上7mm以下であることが更に好ましい前記<1>〜<20>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<22>
回転軸方向に隣り合う、一方の前記ローラの前記凸部同士の距離(ピッチ)は、0.01mm以上20mm以下であることが好ましく、1mm以上10mm以下であることが更に好ましく、周方向に隣り合う、一方の前記ローラの前記凸部同士の距離(ピッチ)P1は、0.01mm以上20mm以下であることが好ましく、1mm以上10mm以下であることが更に好ましい前記<17>〜<21>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<23>
一方の前記ローラの前記凸部と、他方の前記ローラの凸部との噛み合いの深さdは、3.5mm以上であり、3.7mm以上であることが好ましく、4mm以上であることが更に好ましく、そして5mm以下である前記<17>〜<22>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<24>
前記原料不織布として、1個の前記熱融着部における前記長繊維の配向方向に直交する方向の破断伸度が、45%以下である不織布を用いる前記<17>〜<23>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<25>
前記原料不織布として、1個の前記熱融着部における前記長繊維の配向方向に直交する方向(X方向)の破断伸度が、45%以下、好ましくは35%以下、更に好ましく30%以下であり、また、5%以上である不織布を用いる前記<17>〜<24>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<26>
前記部分延伸加工は、50℃以下の温度で行う前記<17>〜<25>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<27>
前記部分延伸加工を施す前の前記原料不織布、又は該部分延伸加工を施した後の不織布に、該不織布の構成繊維を起毛する起毛加工を施す前記<17>〜<26>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<28>
前記起毛加工は、周面に凸部が設けられた凸ローラを用いて施され、
前記凸ローラの前記凸部は、該凸ローラの周面から該凸部の頂点までの高さが、0.001mm以上3mm以下であることが好ましく、0.001mm以上0.1mm以下であることが更に好ましい前記<17>〜<27>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<29>
前記原料不織布の搬送速度に対し、0.3倍以上10倍以下の速度で前記凸ローラを回転させる前記<17>〜<28>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
原料不織布として、繊維径15μmのポリプロピレン樹脂からなる坪量17g/m2のスパンボンド不織布を使用した。尚、上述した原料不織布における1個の熱融着部3のX方向の破断伸度の測定法に基づいて測定した1個の熱融着部3のX方向の破断伸度は、27%であった。また、上述したバルクソフトネスの測定方法に基づいて測定した原料不織布のバルクソフトネスは5.4cNであった。次に、このスパンボンド不織布を、図7〜図9に示すスチールマッチングエンボスローラ53に通して部分延伸加工のみを施して実施例1の不織布を作製した。アウトフィードローラ7での不織布の搬送速度は1000m/minであり、凹凸ローラが最大に噛み合うまでの距離Lmaxは22mmであり、延伸量Dは4.0mmであり、最初の原料不織布の長さL0は1.0mmであった。これらの値から、上述した式(2),(3),(4)を用いて歪み速度を求め、表1に示した。また、凹凸ローラの凸部の頂部での周速度V1は728m/minであり、この値と上述した不織布の搬送速度の値からドロー比(V2/V1)を求め、表1に示した。また、用いたスチールマッチングエンボスローラ53におけるローラ51の各凸部511の高さが5mmであり、周方向に隣り合う凸部511同士の距離(ピッチP1)は8mmであり、回転軸方向に隣り合う凸部511同士の距離(ピッチP2)は8mmであった。スチールマッチングエンボスローラ53のローラ52における各凸部521も同じである。
〔実施例2〕
実施例1と同じ原料不織布を使用し、アウトフィードローラ7での不織布の搬送速度が200m/minである以外は、実施例1と同様の条件で実施例2の不織布を作製した。尚、実施例1と同様に、上述した式(2),(3),(4)を用いて歪み速度を求め、表1に示した。
〔実施例3〕
実施例1と同じ原料不織布を使用し、凹凸ローラが最大に噛み合うまでの距離Lmaxが22mmであり、凹凸ローラの凸部の頂部での周速度V1が744m/minである以外は、実施例1と同様の条件で部分延伸加工し、更に凸部611がランダムパターンで配された凸ローラ61により起毛加工して実施例3の不織布を作製した。尚、実施例1と同様に、上述した式(2),(3),(4)を用いて歪み速度を求め、表1に示した。また、実施例1と同様に、ドロー比(V2/V1)を求め、表1に示した。凸ローラ61の凸部611の密度は、2000個/cm2であった。
〔実施例4〕
原料不織布として、繊維径16μmのポリプロピレン樹脂からなる坪量20g/m2のスパンボンド不織布を使用した。尚、上述した原料不織布における1個の熱融着部3のX方向の破断伸度の測定法に基づいて測定した1個の熱融着部3のX方向の破断伸度は、27%であった。また、上述したバルクソフトネスの測定方法に基づいて測定した原料不織布のバルクソフトネスは7.4cNであった。アウトフィードローラ7での不織布の搬送速度が800m/min、凹凸ローラが最大に噛み合うまでの距離Lmaxが 22mmであり、凹凸ローラの凸部の頂部での周速度V1が612m/minである以外は、実施例1と同様の条件で実施例4の不織布を作製した。尚、実施例1と同様に、上述した式(2),(3),(4)を用いて歪み速度を求め、表1に示した。また、実施例1と同様に、ドロー比(V2/V1)を求め、表1に示した。
〔実施例5〕
原料不織布として、繊維径16μmのポリプロピレン樹脂からなる坪量18g/m2のスパンボンド不織布を使用した。尚、上述した原料不織布における1個の熱融着部3のX方向の破断伸度の測定法に基づいて測定した1個の熱融着部3のX方向の破断伸度は、43%であった。また、上述したバルクソフトネスの測定方法に基づいて測定した原料不織布のバルクソフトネスは3.2cNであった。アウトフィードローラ7での不織布の搬送速度が600m/minであり、凹凸ローラの凸部の頂部での周速度V1が439m/minである以外は、実施例1と同様の条件で部分延伸加工し、更に凸部611がランダムパターンで配された凸ローラ61により起毛加工して実施例5の不織布を作製した。尚、実施例1と同様に、上述した式(2),(3),(4)を用いて歪み速度を求め、表1に示した。また、実施例1と同様に、ドロー比(V2/V1)を求め、表1に示した。
〔実施例6〕
原料不織布として、繊維径15μmのポリプロピレン樹脂からなる坪量17g/m2のスパンボンド不織布を使用した。尚、上述した原料不織布における1個の熱融着部3のX方向の破断伸度の測定法に基づいて測定した1個の熱融着部3のX方向の破断伸度は、25%であった。また、上述したバルクソフトネスの測定方法に基づいて測定した原料不織布のバルクソフトネスは11.6cNであった。アウトフィードローラ7での不織布の搬送速度が400m/minであり、凹凸ローラの凸部の頂部での周速度V1が319m/minである以外は、実施例1と同様の条件で部分延伸加工し、更に凸部611がランダムパターンで配された凸ローラ61により起毛加工して実施例6の不織布を作製した。尚、実施例1と同様に、上述した式(2),(3),(4)を用いて歪み速度を求め、表1に示した。
〔比較例1〕
比較例1の不織布として原料不織布として、繊維径15μmのポリプロピレン樹脂からなる坪量17g/m2のスパンボンド不織布を使用した。このスパンボンド不織布に直径3mmの大きさの円形を針を用いて開口を形成した。
〔比較例2〕
実施例1と同じ原料不織布を使用し、アウトフィードローラ7での不織布の搬送速度が50m/minであり、凹凸ローラの凸部の頂部での周速度V1が34m/minである以外は、実施例1と同様の条件で比較例2の不織布を作製した。尚、実施例1と同様に、上述した式(2),(3),(4)を用いて歪み速度を求め、表1に示した。また、実施例1と同様に、ドロー比(V2/V1)を求め、表1に示した。
〔性能評価〕
実施例1〜6、比較例1〜2の不織布について、上述した方法に従って、バルクソフトネス、引裂部4の数、引裂部4(第1弧状引裂部41、第2弧状引裂部42及び円状引裂部43)における第1弧状引裂部41の割合、通気度を測定した。評価環境は室温20℃、湿度60%RHであった。それらの結果を下記表1に示す。
また、花王株式会社製の「メリーズ(登録商標) メリーズパンツ」の製品から表面シートを取り除き、実施例1〜6、比較例1〜2の不織布を代わりに用い、起毛している繊維を有する場合には、その面を着用者の肌側と当接する側になるようにして実施例1〜6、比較例1〜2の不織布を用いた使い捨ておむつを作製した。そして、該おむつについて、下記方法に従って、軟便の吸収性、液戻り性をそれぞれ評価した。評価環境は室温22℃、湿度65%RHであった。それらの結果を下記表1に示す。
〔軟便の液戻り性の評価]
実施例1〜6、比較例1〜2の不織布を用いた使い捨ておむつから胴回りギャザーとレッグギャザーを取り除き、展開状態で表面シート側を上にして水平に固定した。おむつの吸収性コアを覆っている被覆シートの長手方向腹側部側の端部の先端から125mmの位置に定量ポンプを用いて、仮想の軟便であるグリセリン/水=94/6の溶液を総量10g注入した。注入1分後に予め重量を測定したOHPシートを乗せ、その上から重さ1.9kg、幅60mmのローラを乗せてローラをおむつ長手方向に回転させた。その後OPHシートを取り除いて重量を測定し、初期重量との差を軟便液戻り量として算出した。各使い捨ておむつについて3回の平均値を、整数桁に四捨五入して、吸収時間を測定した。それらの結果を下記表1に示す。
Figure 2015101817
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜6の不織布は、比較例1〜2の不織布に比べて、高い通気性を確保しつつ、肌触りが良いことが判った。また、実施例1〜6の不織布を用いた使い捨ておむつは、比較例1〜2の不織布を用いた使い捨ておむつに比べて、軟便の吸収性が高く、液を逆戻りさせ難いことが判った。実施例1〜6の不織布の加工条件と、比較例2の不織布の加工条件とから、原料不織布を1×102-1以上の歪み速度で延伸すれば、引裂部を有する不織布が得られることが判った。また、実施例1の不織布の加工条件及び実施例2の不織布の加工条件、実施例5の不織布の加工条件及び実施例6の不織布の加工条件から、得られる不織布の有する引裂部の個数が、ドロー比よりも歪み速度に起因して増加する傾向にあることが判った。また、実施例3の不織布の加工条件と実施例4の不織布の加工条件とから、歪み速度が同一速度である場合、得られる不織布の有する引裂部の個数は、ドロー比が高くなるほど、増加する傾向にあることが判った。
1 不織布
2 長繊維
20 起毛繊維
20a 起毛繊維の一端部
20b 起毛繊維の自由端部
21 自由端部20bが太くなっている繊維
22 自由端部20bが太くなっていない繊維
23 ループ状の繊維
3 熱融着部
4 引裂部
40 開口部
41 第1弧状引裂部
42 第2弧状引裂部
43 円状引裂部
200 製造装置
10,10’ 原料不織布
10R 原反ロール
5 部分延伸加工部
51,52 一対の凹凸ローラ
511,521 凸部
512,522 凹部
53 スチールマッチングエンボスローラ
54,55 搬送ローラ
6 起毛加工部
61 凸ローラ
611 凸部
62,63 搬送ローラ
7 アウトフィードローラ
100 パンツ型使い捨ておむつ
8 吸収性本体
81 吸収体
82 表面シート
83 裏面シート
84 側方カフス
85 側方カフス形成用の弾性部材
9 外包材
91 内層シート
92 外層シート
93 ウエスト部弾性部材
94 レッグ部弾性部材
9a,9b 側縁部
9d レッグ部
A 背側部、B 腹側部、C 股下部

Claims (11)

  1. 長繊維を含むウェブから形成された不織布であって、
    前記ウェブが引き裂かれてなる引裂部を複数有し、
    複数の前記引裂部の内の一部は、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れて開口部を形成している不織布。
  2. 前記不織布は、前記ウェブを熱融着部により固定して形成された不織布であり、
    前記開口部を形成する第1弧状引裂部は、前記熱融着部の全周の内の一部の周縁に沿って引き裂かれ、更に、隣り合う前記熱融着部同士の間の長繊維が引き裂かれて形成されている請求項1に記載の不織布。
  3. 前記複数の引裂部は、前記開口部を形成する第1弧状引裂部と、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れていない第2弧状引裂部と、円形状に引き裂かれた円状引裂部とからなる請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 前記引裂部における、前記第1弧状引裂部の割合が30%以上である請求項3に記載の不織布。
  5. 前記長繊維の一部が破断されて、一端部のみが前記熱融着部により固定され他端部側が自由端部となっている起毛繊維を備えている請求項2〜4の何れか1項に記載の不織布。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の不織布を構成部材として用いた吸収性物品。
  7. 長繊維を含むウェブを熱融着部により固定した原料不織布を、一対の凹凸ローラ間に供給して、該不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す不織布の製造方法であって、
    前記部分延伸加工にて、前記原料不織布を、1×102-1以上の歪み速度で延伸して、
    長繊維を含むウェブが引き裂かれてなる引裂部を複数有し、
    前記複数の引裂部の内の一部は、弧状に引き裂かれ且つ該弧状の引裂部の外周縁が捲れて開口部を形成している不織布を製造する不織布の製造方法。
  8. 前記一対の凹凸ローラは、一方のローラが周面に複数個の凸部を有し、他方のローラが周面に一方の前記ローラの前記凸部に対応する位置に該凸部が入り込む凹部を有しており、
    前記一方のローラの前記凸部の頂部での周速度(V1)に対する前記製造された不織布の搬送速度(V2)のドロー比(V2/V1)が、1.2以上である請求項7に記載の不織布の製造方法。
  9. 前記原料不織布として、1個の前記熱融着部における前記長繊維の配向方向に直交する方向の破断伸度が、45%以下である不織布を用いる請求項7又は8に記載の不織布の製造方法。
  10. 前記部分延伸加工は、50℃以下の温度で行う請求項7〜9の何れか1項に記載の不織布の製造方法。
  11. 前記部分延伸加工を施す前の前記原料不織布、又は該部分延伸加工を施した後の不織布に、該不織布の構成繊維を起毛する起毛加工を施す請求項7〜10の何れか1項に記載の不織布の製造方法。
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