JP2015098656A - 機能性織物 - Google Patents

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Abstract

【課題】経糸に合成繊維フィラメント糸、緯糸に綿紡績糸を用いてなる、既存織物の特長を維持しつつ、耐摩耗性、引き裂き強さ、耐熱性などの機能性が改善された機能性織物を提供する。【解決手段】合成繊維フィラメントを経糸に用い、綿と高強度、高弾性率の機能性繊維とで構成される混紡糸であって、機能性繊維の混紡率が5〜50重量%である混紡糸を緯糸に用いてなることを特徴とする機能性織物であり、アウトドア衣料、スポーツ衣料、靴、バッグ、カバンなどの素材として有用である。【選択図】なし

Description

本発明は機能性が改善された機能性織物に関するものであり、より詳細には、緯糸に高強度、高弾性率の機能性繊維を含む混紡糸が用いられ、耐摩耗性、引き裂き強さ、焦げ跡の耐摩耗性などが改善された機能性織物に関する。この機能性織物は、機能性繊維が有する強度特性が活かされており、過酷な環境下で着用するアウトドア衣料、スポーツ衣料、作業衣などの衣料や、靴、バッグ、カバンなどの製品に有用なものである。
登山やフィッシング、モーターサイクル、バーベキュー等のアウトドアスポーツや、一般スポーツ、作業現場等においては、予期せぬ事態が起こることから従来の衣料素材では満足されず、耐摩耗性、引き裂き強さなどより高い機能性が求められている。靴、バッグ、カバンなど安全性や耐久性が求められる製品においても同様である。
これに対して、種々の機能性繊維が上市され、衣料への応用が試みられている。例えば、パラ系アラミド繊維、PBO繊維、ポリアリレート繊維などこれらの機能性繊維は、ナイロンやポリエステル繊維、アクリル繊維などの汎用繊維とは異なり、14cN/dtex以上の高い引張強さと、350cN/dtex以上の高い引張弾性率を持っている。これらの高機能繊維と汎用繊維を組合せて用いると、汎用繊維の持つ風合いや着心地などを維持しながら、引張強さや引き裂き強さ、耐摩耗性などの改善が期待される。
例えば、引用文献1には、ポリエステルステープルとパラ系アラミドステープルからなる紡績糸を、経糸、緯糸又は双方に用いることが提案されている。この方法により織物の耐切創性、耐摩耗性、耐熱性の改善が得られるとしている。しかし、これらの機能性繊維は、繊維分子の主鎖にベンゼン環を持つことから、ポリエステルやナイロンなどの汎用繊維に比べて、繊維が切断するまでの伸び(破断伸度)が劣っている。そのため、パラ系アラミドステープルと汎用繊維ステープルを混紡しても、得られた紡績糸の引張強さや織物の引き裂き強さは、殆んど改善されないばかりか、パラ系アラミドステープルの混紡率を20%まで上げると逆に低下してしまい、パラ系アラミド繊維の特徴が活かされない(図2参照)、問題点がある。また、これらの織物は、経糸および緯糸に紡績糸を用いているため、フィラメント織物が持つ滑らかさが無い。
一方で、合成繊維フィラメントを経糸とし、綿紡績糸を緯糸として用いてなる織物は、合成繊維の引張強さと滑らかさ、綿による独特の柔らかさと手触り感、短繊維織物と長繊維織物の中間的な風合いを持ち、高密度織物ゆえの防風効果と、ある程度の防水効果(雨水の侵入を防ぐ効果)、水に濡れたときの綿の吸湿膨潤作用による防水効果、シャープなよこ畝表現ができるなどの特長がある。しかし、アウトドアスポーツなどの衣料用素材としては、耐摩耗性、引き裂き強さ、耐熱性等においてより高い機能が求められている。
特開平6−220730号公報(特許請求の範囲、[0014]、[表1]〜[表3])
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、経糸に合成繊維フィラメント、緯糸に綿紡績糸を用いてなる、既存織物の特長を維持しつつ、耐摩耗性、引き裂き強さ、耐熱性などの機能性が改善された機能性織物を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)経糸に合成繊維フィラメントを用い、緯糸に綿と高強度、高弾性率の機能性繊維とで構成される混紡糸であって、機能性繊維の混紡率が5〜50重量%である混紡糸を用いてなることを特徴とする機能性織物。
(2)織物の目付が50〜300g/mである前記(1)に記載の機能性織物。
(3)機能性繊維がパラ系アラミド繊維である前記(1)又は(2)に記載の機能性織物。
(4)合成繊維フィラメントがナイロンフィラメントである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の機能性織物。
(5)緯糸の紡績糸が、綿より少ない重量%のポリエステル繊維及び/又はナイロン繊維を含む混紡糸である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の機能性織物。
(6)アウトドア衣料用、スポーツ衣料用、靴、バッグ又はカバン用である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の機能性織物。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の機能性織物を用いてなることを特徴とするアウトドア衣料、スポーツ衣料、靴、バッグ又はカバン。
本発明の機能性織物は、経糸には合成繊維フィラメントを用い、緯糸には機能性繊維の高い強度と耐摩耗性などを活かすべく、該繊維と似通った破断伸度を持つ綿と機能性繊維の混紡糸を用いているので、経糸が合成繊維フィラメントで緯糸が紡績糸の織物の特長を維持しつつ、耐摩耗性、引き裂き強さ、焦げ跡の耐摩耗性などの機能性が驚異的に改善される。したがって、アウトドアスポーツを含むスポーツ衣料など屋外で使用する衣料用や、靴、バッグ、カバン等の耐久性を必要とする製品の素材として好適な織物を提供できる。
綿/パラ系アラミド繊維ステープル混紡糸の物性を示した図。 ポリエステル/パラ系アラミド繊維ステープル混紡糸の物性を示した図。
以下、本発明の機能性織物について詳細を説明する。
本発明の機能性織物において、経糸として用いる合成繊維フィラメントとしては、単繊維が2本以上で構成されるマルチフィラメントであれば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維から選ばれる1種、又は複数の繊維の組み合わせを用いることができる。工業的に所望の染色設備や技術が普及していることから、ナイロン繊維、ポリエステル繊維が好ましい。中でも柔軟性と風合いの観点からナイロン繊維が最適である。
複数の繊維の組み合わせ方法は、織物の経糸配列による2種類以上の繊維の組み合わせ、2種類以上の繊維の撚り合わせ、2種類以上の繊維のエヤー混繊などがあげられる。
合成繊維フィラメントを経糸に用いることにより、機能性織物に引張強さと滑らかさを付与するだけでなく、緯糸の紡績糸と組合せることでシャープなよこ畝感を表現でき、帯地のような趣のある模様の衣料を提供できる。また、経糸同士が近接して高密度の織物となり、防風効果や雨水の侵入を防ぐ防水効果がある機能性衣料を提供できる。
マルチフィラメントの太さは、最終的に得られる織物の要求強度や柔軟性に応じて任意に選定すればよいが、アウトドアスポーツを含むスポーツ衣、靴、バッグ、カバン等としての用途を考慮すると、通常の繊度は、所定の目付けの織物を得るうえで、30dtex〜300dtexが望ましく、さらに望ましくは50dtex〜150dtexである。
本発明の機能性織物において、緯糸には、綿(コットン)と機能性繊維とで構成される混紡糸であって、機能性繊維の混紡率が5〜50重量%の混紡糸を用いる。機能性繊維としては、引張強度が14cN/dtex以上でかつ引張弾性率が350cN/dtex以上の1種又は複数種の繊維が用いられる。
機能性繊維の具体例としては、パラ系アラミド繊維(ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン社製、商品名Kevlar(登録商標))、コポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商品名テクノーラ))、ポリアリレート繊維(クラレ社製、商品名ベクトラン)、PBO繊維(東洋紡社製、商品名ザイロン)、超高分子量ポリエチレン繊維(東洋紡社製、商品名ダイニーマ)などがあげられる。中でも、熱分解開始温度が400℃以上、かつ限界酸素指数(LOI)が25以上であり、衣料用途としての観点から色相が淡色系であるパラ系アラミド繊維が望ましい。さらに好ましくは、加熱による熱分解に至る過程で収縮の少ないポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が望ましい。
綿は、引張強さ(標準時)が2.6〜4.3cN/dtex、破断伸度が3〜7%の物性を有するものである。また、標準的なパラ系アラミド繊維は、引張強さが20〜25cN/dtex、破断伸度が2〜5%の物性を有するものである。
したがって、パラ系アラミド繊維の混紡率が高くなるほど、織物の耐摩耗性や引き裂き強さ、耐熱性などの機能性が改善されるが、該織物を直射日光や紫外線に直接曝されるアウトドア衣料などの素材として利用したときの耐光堅牢度が低下する現象がある。綿は、優れた耐光堅牢度と光線遮蔽効果を有しているので、パラ系アラミド繊維に混紡することで耐光堅牢度が改善される。また綿には、パラ系アラミド短繊維と同様に熱によって溶融することなく炭化する性質を有しており、アウトドア用、スポーツ用、作業用の衣料として使用した場合でも、機能性織物が熱溶融する現象を抑えることができる。
混紡糸にした場合、機能性繊維の混紡率が5重量%以上あれば、該繊維の優れた特徴を活かすことで、織物の耐摩耗性、引き裂き強さ、耐熱性などの機能性が改善される。また、機能性繊維の混紡率が50重量%以下であれば、耐光堅牢度に優れると共に、綿の吸湿膨潤効果を阻害しないので防水性のある織物が得られる。機能性繊維の混紡率が50重量%を超えると、黄色や茶褐色などの独特の素材色を呈したり紫外線によって変色したりする性質を持つことが多い機能性繊維の織物表面への露出割合が多くなり、色相によっては染色した織物の色合いと適合しなかったり、染色耐光堅牢度の低下をきたす。混紡率は、パラ系アラミド繊維の強度や摩耗特性を活かすと共に、耐光堅牢度の低下を抑え、綿が持つ柔らかさと独特の触感を有効に活用する意味から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは17〜50重量%の範囲に設定するのがよい。
機能性繊維の単繊維繊度は、用途に応じて任意に選択するが、0.3〜4.5dtexが好ましい。単繊維繊度が0.3dtex未満では、紡績工程でのドラフトの不具合やローラ巻き付きなどの問題があり、4.5dtexを超えると織物表面に太い単繊維毛羽が突き出すなどの問題がある。綿番手で40〜20の太さの紡績糸を得るうえで、0.7〜2.5dtexがより望ましい。機能性繊維の単繊維繊度が太く、紡績糸番手が細い場合は紡績糸を構成する繊維本数が少なくなり、当該繊維は剛性が高いため、太さ均一性などの紡績糸の品質の低下、生産性の低下などの支障をきたすとともに、風合いのよい織物の生産も難しくなる。
機能性繊維の平均繊維長は、特に限定されない。綿混紡糸の引張強さや伸び、生産性等を考慮すると、20〜55mm、特に30〜40mmのステープルが望ましい。
緯糸としては、機能性繊維の混紡率が5〜50重量%の混紡糸であれば、機能性織物に求められる物性によっては、緯糸の一部(例えば2本中1本、3本中1本、3本中2本など)として綿紡績糸を使用し、残部を綿と機能性繊維との混紡糸で製織し、織物全重量に対する機能性繊維の割合が3%以上好ましくは5%以上となるように機能性繊維の混紡率を前記の範囲に調整してもよい。また、混紡糸には、風合い調整などのために、機能性繊維以外のポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、麻、羊毛などから選ばれる単一又は複数種類の繊維を、合計で綿より少ない重量%であれば混紡してもよい。なかでも、染色技術や設備が普及しているナイロン繊維やポリエステル繊維が望ましい。
本発明における混紡糸の好ましい実施態様では、綿と、所定の機能性繊維ステープルとを、混打綿工程で所定の比率で混ぜ合せた後、常法により紡績工程の梳綿、練条、粗紡、精紡の各工程を通して紡績糸を得る。ここで紡績糸の撚りは、単位長さ当たりの撚り回数のほかに、次の式で決定される撚り係数Kで表わす。
撚り係数K=t/s1/2
t; 撚り数(回/2.54cm)
s; 綿番手
撚り係数は、紡績糸の太さや用途によって通常2.5〜4.0の範囲で設定される。本発明の綿と機能性繊維の混紡糸では、織物の緯糸に使用するので、K=3.0〜3.5の範囲で設定されることがより望ましい。混紡糸の太さは、所定の織物目付けを得るために50〜10が望ましく、より望ましくは40〜20である。本発明の織物に使用する綿混紡糸の形態は、紡績後の単糸でもよいし、単糸を2本引きそろえて単糸と逆方向に撚糸した双糸でもよく、双糸の番手は50/2〜20/2が望ましい。
本発明の機能性織物の製織に当たっては、織物組織を平織り、綾織り、繻子織りなど所望の風合いやデザインに合わせて選択すればよい。特に平織りにおいては、フィラメント糸の経糸密度を高密度にすることにより、緯糸が経糸によって覆われたデザイン的にシャープなよこ畝感が表現される。繻子織や、一部の綾織りでは、織物の表面側に綿と機能性繊維との混紡糸からなる緯糸が連続的に露出し、マルチフィラメントからなる経糸が織物の裏面側に隠蔽される織物、あるいは逆にマルチフィラメントからなる経糸が織物の表面側に、綿と機能性繊維との混紡糸からなる緯糸が裏面側に配置される織物が得られそれぞれ所望のデザインや用途によって選べばよい。
また、機能性織物の織密度を高めると、機能性繊維の比率が高まり機能性織物の引張強さや耐摩耗性、耐熱性が高められるので、織物の目付は50〜300g/mが好ましい。50g/m未満ではアウトドアスポーツを含むスポーツ用衣料、靴、バッグ、カバンとしての引張強さ、引き裂き強さが不十分である。300g/mを超えると、前記スポーツ用衣料、靴、バッグ、カバンとしての生地が重過ぎて動きにくい。より好ましくは100〜200g/mである。
織物の織り密度の程度は、織物のカバーファクターで表わされる。
C=Cw+Cf
Cw=Wf1/2×Wd
Cf=Ff1/2×Fd
上記の式中、 C;織物のカバーファクター
Cw;経糸のカバーファクター
Cf;緯糸のカバーファクター
Wf;経糸の繊度(dtex)
Wd;経糸の密度(本/25.4mm)
Ff;緯糸の繊度(dtex)
Fd;緯糸の密度(本/25.4mm)
本発明の機能性織物の、織物のカバーファクターは、平織りの場合は、2400〜3000が望ましい。2400未満では、防風効果と、ある程度の防水効果(雨水の侵入を防ぐ効果)、水に濡れたときの綿の吸湿膨潤作用による防水効果が得られない。3000以上では、単位幅あたりの糸密度が高く柔軟性が損なわれ、またさらに密度をあげると製織性が低下しやがて製織が困難となる。
緯糸が経糸によって覆われたデザイン的にシャープなよこ畝感を持つ織物を製織する場合は、緯糸に対して1/3以下の太さの経糸を使用し、一方で経糸を高密度として経糸のカバーファクターを緯糸のカバーファクターより大きくすることが望ましい。このような織物構造により、経糸(フィラメント)が緯糸よりも織物表面に多く現われ、また経糸が緯糸を覆う効果により、シャープなよこ畝感が表現される。また黄色や茶褐色などの独特の素材色を呈したり紫外線によって変色したりする性質を持つことが多い機能性繊維の、織物表面への露出を抑えることができる。また、織物表面に多く現われたフィラメントによる滑らかな表面効果が得られる。なお、織物組織によって可能な最大密度は異なり、例えば経糸緯糸の浮き沈みの少ない5枚繻子では平織りの1.4倍程度のカバーファクターが可能である。
このようにして得た混紡糸を緯糸に使用し、経糸に合成繊維フィラメントを使用し、エヤージェット織機、ウォータージェット織機、レピア織機、プロジェクタイル織機、シャトル織機などを使用して製織する。経糸の準備工程において、経糸糊付けを行ってもよいし、糊付け無しでもよい、風合いを損なわない程度に撚りを入れても良く、製織の効率性と、所定の織物の風合いにあわせて選択すればよい。
このようにして得られる本発明の機能性織物および衣服は、機能性繊維の優れた強度特性や耐熱性を維持しつつ、風合いや防風・防水効果を綿や合成繊維マルチフィラメントによって改善したので、摩擦や引き裂きに強く、耐熱性、耐切創性等において、驚異的な特長を長期間に亘り発揮する。例えば、アウトドアスポーツ衣、一般スポーツ衣、作業衣などの素材として、或いは、靴、バッグ、カバンなどの製品の素材として使用することにより、着用者の保護に活用することができる。
特に織組織や織密度を改善することで、よこ畝感が表現された織物を得ることができ、意匠性においても優れたものとなる。
以下実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
各物性等の評価方法は、次の方法に依拠した。
[耐切創性(切れ難さCut resistance )]
JIS T 8052:2005 防護服−機械的特性−鋭利物に対する切創抵抗性試験方法に準拠し、切創力(N)を測定した。切創力の値が大きいほど切れ難いものである。
[摩耗強さ]
JIS L 1096:2010 織物及び編物の生地試験方法、A−1法(平面法)に準拠し、試験片を研磨紙P−1000で多方向に摩擦し、試験片に孔があくまでの摩擦回数を測定した(荷重:4.45N)。
[引き裂き強さ]
JIS L 1096:2010 織物及び編物の生地試験方法8.17.4D法(ベンジュラム法)に準拠した(試験機:MAX 125.4N)。
[炭化部摩耗強さ]
炭化試料の作成;垂直に設置され表面温度360℃に加熱した直径0.6cmの金属棒の先端に、6cm×6cmの織物試験片を水平に置いて自重で30秒間接触させた。試験片が金属棒に接触した部分は、炭化した綿に溶融したナイロンが付着して皮膜状物を形成したが、穴あきには至らなかった。このようにしてこげ跡のある試験片を作成した。パラ系アラミド繊維(以下PPTAと記す)を含む混紡糸を用いた織物は、耐熱性のあるPPTAが皮膜を補強した状態となった。ついで、炭化部分の皮膜の摩耗強さを、JIS L 1096:2010 織物及び編物の生地試験方法、A−1法(平面法)により、研磨紙#1000、押圧荷重4.45Nの条件で、織物試験片に孔があくまでの摩擦回数を測定した。
[耐光堅牢度]
JIS L 0842:2004 紫外線カーボンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法に準拠した。
(実施例1〜7、比較例1〜2)
機能性繊維として、東レ・デュポン社製パラ系アラミド繊維ステープル(商品名Kevlar(R)、引張強度20.3cN/dtex、引張弾性率490cN/dtex、限界酸素指数29、単繊維繊度1.65dtex、繊維長38mm)を使用した。綿ステープルは市販品を使用した。ポリエステルステープルは、単繊維繊度1.1dtex、繊維長38mmの市販品を使用した。これらのステープルを、打綿工程で所定の比率で混ぜ合わせた後、常法により紡績工程の梳綿、練条、粗紡、リング精紡の各工程を通し、撚り数17.7(回/2.54cm)、撚り方向Zの紡績糸30(綿番手・単糸)を作成した。ここで、より係数K=3.23である。
得られた紡績糸(単糸)を2本引き揃え、撚り数12.5(回/2.54cm)で単糸と逆方向のS方向に撚糸して、双糸30/2を得た。実際の太さは綿番手15であるから前記式により、撚り係数K=3.23である。
得られた紡績糸の性状を表1に示す。
つぎに、経糸に表1に示す性状のナイロンフィラメントを使用し、緯糸に、綿と機能性繊維の混紡糸(表1の記号b〜d)もしくは該混紡糸と綿紡績糸(表1の記号a)を使用し、平織組織でエヤージェット織機によって表2に示す経糸・緯糸密度、カバーファクターの織物を製織した。実施例6は、綿と機能性繊維の他にポリエステル繊維の混紡された緯糸(表1の記号e)を使用した。ついで、常法により精練・染色をしてダークグレーの織物に仕上げた。経糸が高密度に配列され、緯糸は経糸によって覆われる織物構造のため、緯糸の紡績糸が織物表面に露出する割合は少ない。実施例1〜7の織物において、素材そのものが黄色を呈するパラ系アラミド繊維は通常の染色方法では染色しにくいので染色されていないが、低混率であるパラ系アラミド繊維の織物表面への露出は少なく、衣料用織物として問題はなかった。
Figure 2015098656
Figure 2015098656
製織した織物を前記試験法により評価した結果を表3に示す。
表3の結果より、実施例1〜7は、緯糸にPPTAを混紡することにより、PPTAを用いない比較例1に比べて、耐切創性、摩耗強さ、引き裂き強さ、熱による炭化部の摩耗強さが向上している。
実施例1〜6は、経糸1本の繊度が緯糸1本の約20%であるが経糸密度が高いので、染色後の経糸のカバーファクターが緯糸のカバーファクターより17%高く、緯糸が経糸によって適度に覆われ、またシャープなよこ畝感が表現された。実施例7は、経糸のカバーファクターが緯糸のカバーファクターとほぼ同等であるが、緯糸が経糸によって適度に覆われ、実施例1よりややシャープ感のない細かなよこ畝感ではあったが、スポーツ衣料や、靴、バッグ、カバンなどの製品として利用できる。
比較例2は、耐光堅牢度2級で衣料用織物としては低い結果であった。混紡糸のPPTA混紡率が高く、剛性の高いPPTA単繊維が織物表面に突き出して紫外線により変色したと考えられる。
Figure 2015098656
図1には、実施例で作成した、綿/Kevlar(R)混紡糸(30)の物性を示す。図2に示す特許文献1記載のポリエステル/Kevlar(R)混紡糸(30、撚り係数=3.35)では、糸の引張強さはKevlar(R)混率と比例関係にならず、また糸の伸度はKevlar(R)混率を高めることで低下する。これに対し、本発明の混紡糸は、糸の引張強さはKevlar(R)混率に比例して高まり、また糸の伸度はKevlar(R)混率を高めても殆んど低下しないことがわかる。
本発明の機能性織物は、アウトドアスポーツを含むスポーツ衣料用、靴、バッグ、カバン用の素材として好適に用いられる他、一般の衣服や作業衣などとしても有用である。

Claims (7)

  1. 経糸に合成繊維フィラメントを用い、緯糸に綿と高強度、高弾性率の機能性繊維とで構成される混紡糸であって、機能性繊維の混紡率が5〜50重量%である混紡糸を用いてなることを特徴とする機能性織物。
  2. 織物の目付が50〜300g/mである請求項1に記載の機能性織物。
  3. 機能性繊維がパラ系アラミド繊維である請求項1又は2に記載の機能性織物。
  4. 合成繊維フィラメントがナイロンフィラメントである請求項1〜3のいずれかに記載の機能性織物。
  5. 緯糸の混紡糸が、綿より少ない重量%のポリエステル繊維及び/又はナイロン繊維を含む混紡糸である請求項1〜4のいずれかに記載の機能性織物。
  6. アウトドア衣料、スポーツ衣料、靴、バッグ又はカバン用である請求項1〜5のいずれかに記載の機能性織物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の機能性織物を用いてなることを特徴とするアウトドア衣料、スポーツ衣料、靴、バッグ又はカバン。
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