JPH10130990A - 耐光性に優れた強化織物および織物製品 - Google Patents
耐光性に優れた強化織物および織物製品Info
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- JPH10130990A JPH10130990A JP8280948A JP28094896A JPH10130990A JP H10130990 A JPH10130990 A JP H10130990A JP 8280948 A JP8280948 A JP 8280948A JP 28094896 A JP28094896 A JP 28094896A JP H10130990 A JPH10130990 A JP H10130990A
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Abstract
活かし、且つその欠点として指摘される耐光堅牢度を耐
光性繊維との複合により改善すると共に、染色加工によ
るアラミド繊維の劣化を無くし、高強度でしかも耐光堅
牢度に優れた強化織物を提供すること。 【解決手段】 全芳香族アラミド繊維を芯部、耐光性繊
維よりなる長繊維マルチフィラメントもしくは短繊維を
鞘部とするコアヤーンを緯糸の少なくとも一部とし、先
染め糸もしくは生成り糸を経糸とする綾組織もしくは経
朱子組織を有し、後染めされない耐光性強化織物を開示
する。
Description
化織物および強化織物製品に関するものであり、より詳
細には、極めて高強度である全芳香族アラミド繊維(以
下、単にアラミド繊維という)の特徴を活かし、且つそ
の欠点として指摘される耐光堅牢度を耐光性繊維との複
合により改善すると共に、染色加工によるアラミド繊維
の劣化を無くし、高強度でしかも耐光性に優れた強化織
物、例えばジーンズ調の強化織物および強化織物製品を
提供するものである。この強化織物は、アラミド繊維の
有する優れた強度特性を利用して、自動車、オートバ
イ、自転車等のレース用防護被服、登山や磯釣り等の怪
我をすることの多い職業やレジャーに用いるジーンズ調
の防護被服などとして有効に活用することができる。
靭で同重量の鋼鉄をしのぐ驚異的な引張強度を有してお
り、自動車タイヤやタイミングベルトの芯材、光ファイ
バーケーブルのテンションメンバー、鋭利な鉄板等によ
る怪我を防止するための作業用手袋、防弾チョッキ等の
防護被服用素材を始めとして航空・宇宙分野などにも広
く活用されている。またアラミド繊維は、通常の合成繊
維に見られない特殊な性質として、熱融着性がなく高熱
に曝されると溶融せずに炭化する性質を有しており、人
体への溶融付着や火傷が抑えられるという特徴も有して
いるところから、消防服用などの素材としても注目され
ている。
変色する。即ち紫外線は日光中に含まれており、アラミ
ド繊維を直射日光に数時間暴露すると顕著な変色(褐色
化)を起こす。更に継続して直射日光に暴露し続ける
と、数週間で引張強度等の物性が著しく低下してくる。
紫外線は、日陰や自然光、白熱電球や蛍光灯などの人工
光の中にも微量含まれており、その場合、物性の低下は
見られないが、アラミド繊維を変色させる。この様にア
ラミド繊維は、光による変色や日光による強度劣化な
ど、耐光堅牢度に問題を有している。
としてアラミド繊維織物を使用する場合は、耐光堅牢度
不足の欠点を可及的に抑えるため、該アラミド繊維織物
が直射日光等に直接曝されることのない様、被服の内側
素材として利用されている。またアラミド繊維は、高温
のアルカリ性や酸によって劣化するので、助剤として酸
やアルカリを用いる染色加工によって物性が劣化し易い
という欠点があるため、流行にマッチした自由な色彩に
染色し難いという事情があり、その汎用性は他繊維ほど
大きくない。
が加えられ、しかもその応用分野が拡大してくるにつれ
て、大量生産による低コスト化も進み、アラミド繊維の
優れた強度特性を一般の防護被服として有効に活用しよ
うとする動きも見受けられる。しかしながらアラミド繊
維は、前述の如く耐光堅牢度の点などから、これを直射
日光に曝される外装被服の素材として利用するにはいま
だ不十分な点があり、染色加工による物性劣化ともあい
まって用途拡大の隘路となっている。
情に着目してなされたものであって、その目的は、アラ
ミド繊維の優れた強度特性を有効に活かすと共に、更に
は耐光堅牢度を改善し、直射日光や紫外線に直接曝され
る外装被服などの素材として利用したときでも優れた耐
久性を発揮し、しかも任意の色彩に染色された強化織物
および強化織物製品を提供しようとするものである。
のできた本発明にかかる耐光性に優れた強化織物とは、
染色されていないアラミド繊維を芯部、光すなわち紫外
線を遮蔽するための耐光性繊維よりなる、マルチフィラ
メントもしくは短繊維を鞘部とするコアヤーンを緯糸の
少なくとも一部とし、先染め糸もしくは生成り糸を経糸
とする経朱子組織もしくは綾組織からなるところにその
特徴が存在する。
しいのは、ポリパラフェニレンテレフタルアミドや、ポ
リパラフェニレンテレフタルアミドに3,4’−ジアミ
ノジフェニルエーテル等を共重合したパラ系の全芳香族
ポリアミド繊維などである。
織で3〜6枚の経浮きの朱子もしくは綾組織であるもの
が好ましく、またこの発明を実施するに当たっては、コ
アヤーンの鞘部を構成する耐光性繊維として未染色の繊
維を使用することも勿論可能であるが、綿染めされた耐
光性繊維を鞘部として使用すれば、緯糸にも着色を付す
ことが可能となる。
るアラミド繊維の配合比率は、得られる強化織物に求め
られる強度特性や耐光堅牢度の程度に応じて決めればよ
く特に制限されないが、芯部を構成するアラミド繊維の
優れた強度特性を活かすと共に、直射日光等による劣化
を抑える為その外周側に鞘部として被包される耐光性繊
維による劣化防止効果をより有効に活用する意味から、
好ましくは重量比で3〜70%、より好ましくは5〜5
0%、更に好ましくは10〜45%の範囲に設定するの
がよい。
あるから、芯部としての使用比率が3重量%未満(コア
ヤーン中)であっても通常の織物に比べると優れた強度
特性の織物を与えるが、その優れた強度特性をより有効
に活かす意味で好ましい配合比率は3重量%程度以上と
いえる。一方、アラミド繊維の使用比率が70重量%を
超えて過度に多くなると、その外周側を被包する耐光性
繊維による表面被覆効果が不足気味となり、耐光堅牢度
改善効果が十分に発揮できなくなる傾向が生じてくる。
長繊維のモノフィラメント若しくはマルチフィラメント
糸、或は短繊維の紡績糸のいずれであっても構わない
が、防護被服等の素材として柔軟性に富んだ織物を得る
には、マルチフィラメント糸或は短繊維の紡績糸を使用
することが望ましい。
耐光性繊維は、表面被包効果を高めるためマルチフィラ
メント糸もしくは短繊維を使用すべきであり、モノフィ
ラメントでは満足のいく表面被包性が発揮されず、本発
明で意図する様な耐光堅牢度改善効果が得られなくな
る。耐光性繊維として特に好ましいのは綿の短繊維であ
り、これはそれ自身が物性面で非常に優れた耐光堅牢度
を有しているので、耐光堅牢度改善の為の表面被包材と
して極めて好ましく、しかも綿は、アラミド繊維と同様
に熱融着性がなく、高温に曝されると溶融しないで炭化
するので、防護被服などの強化織物製品として用いた時
の熱融着による火傷を抑える意味でも、好ましい耐光性
繊維として推奨される。
構成する耐光性繊維として未染色の綿繊維を使用し、経
糸として先染めによりインジゴ染めされた綿紡績糸を用
いたジーンズ織物の形態で広く一般に汎用化することが
可能となる。
染色されていないアラミド繊維を芯部とし、その周り
を、例えば綿などの耐光性繊維よりなる短繊維若しくは
マルチフィラメントからなる鞘部で被包されたコアヤー
ンを緯糸の全部もしくは少なくとも一部として使用し、
先染め糸もしくは生成り糸を経糸として製織したもので
あり、その織り組織は経朱組織もしくは綾組織とする。
維で被包したコアヤーンの形態で緯糸として使用し、且
つこれを先染め糸もしくは生成り糸からなる経糸と組み
合わせて経朱子組織もしくは綾組織とし、上記コアヤー
ンが織物の裏面側に隠れる様にすることにより、アラミ
ド繊維が直射日光等に直接曝されるのを2重に防止し、
アラミド繊維の強度特性を活かしつつその耐光堅牢度不
足の問題を解消し、外装用の防護被服等の素材や織物製
品としても有効に利用できる様にしたものである。
ンは、例えば図1に示す様な方法によって製造される。
即ち図1において、篠巻1aから繰り出されガイドロー
ラ2a,2bを経て供給される耐光性繊維Aの短繊維
を、フロントローラ3で偏平に広げると共に、ボビン1
bからガイドローラ4を経て繰り出されてくるアラミド
繊維Bを、偏平に広げた上記耐光性繊維Aの中央部に合
流させる。そして、その下流側で適度の撚りを加える
と、偏平に広げられた耐光性繊維Aがアラミド繊維Bを
取り囲む様に被包され、これをガイド5を通してボビン
6に巻取ると、コアヤーンCが得られる。
概略説明図であり、ボビン1bから繰り出されてくるア
ラミド繊維Bを、駆動ベルトVによって回転する中空ス
ピンドルSの中心を貫通して設けたガイド穴を通して上
方へ誘導し、ボトムローラ7を経てボビン8に巻取る。
このとき、スピンドルSに巻かれた耐光性繊維Aを、上
記アラミド繊維Bの外周に巻つけることによって、コア
ヤーンCを得る。
繊維Aとアラミド繊維Bの複合比率は、最終的に得られ
る強化織物に求められる強度特性や耐光堅牢度の程度に
応じて任意に選択して決めればよく、アラミド繊維Bの
複合比率を多くするにつれて得られるコアヤーンの強度
は高くなるが、アラミド繊維Bの配合比率を多くし過ぎ
ると耐光性繊維Aの量が少なくなって表面保護効果が低
下し、耐光堅牢度は低下してくる。従って、芯部を構成
するアラミド繊維Bの優れた強度特性を活かすと共に、
耐光性繊維Aによって直射日光等による劣化を効果的に
抑制して耐光堅牢度を高めるには、アラミド繊維Bの複
合比率を好ましくは3〜70重量%、より好ましくは5
〜50重量%、更に好ましくは10〜45重量%の範囲
に設定するのがよい。
強度であるから、芯部としての使用比率が5重量%未満
であっても通常の織物に比べると優れた強度特性の織物
を与えるので、得られる強化織物の要求強度によって
は、その複合比率を5重量%程度未満に設定することも
可能であり、その場合は、耐光性繊維Aの複合比率が増
大して表面保護効果が高められるので、耐光堅牢度は一
層優れたものとなる。
代表的なのは、例えばデュポン社製の”ケブラー(商
標)”繊維であり、その形態としては、長繊維のモノフ
ィラメント若しくはマルチフィラメント、或は短繊維の
紡績糸のいずれであっても構わない。しかし、防護被服
等の素材として柔軟性に富んだ織物を得るには、マルチ
フィラメント或は短繊維の紡績糸を使用することが望ま
しい。
る耐光性繊維Aは、アラミド繊維Bが直射日光や紫外線
に直接曝されて劣化するのを防止する為の表面被覆成分
として複合されるものであり、耐光性に優れると共に直
射日光や紫外線を遮蔽する作用を有する繊維であればど
の様な繊維であっても構わないが、熱溶融し難いという
観点から特に好ましいのは綿(コットン)繊維である。
果を有している他、アラミド繊維Bと同様に熱によって
溶融することなく炭化する性質を有しており、防護被服
として使用した場合でも、該強化織物が熱溶融するとい
う現象が抑えられるからである。こうした綿と同様の特
性を備えた短繊維の耐光性繊維Aとしては、麻、羊毛な
どの天然繊維や、レーヨン、キュプラなどの再生繊維が
あり、これらも好ましい耐光性繊維Aとして推奨され
る。また、ポリエステル系繊維やポリアミド系繊維など
の合成繊維を併用し、綿混紡糸として使用することも可
能である。またマルチフィラメントの耐光性繊維として
は、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、ポリエステルや
ポリアミド等の合成繊維を用いることができる。
する表面保護効果を高めることの必要上、マルチフィラ
メント糸もしくは短繊維を使用することが必要であり、
モノフィラメント糸では、アラミド繊維に対する光線遮
蔽効果が有効に発揮されず、本発明で意図する様な耐光
堅牢度が得られなくなる。これに対しマルチフィラメン
ト糸或は短繊維であれば、微細な繊維の絡み合いによっ
てアラミド繊維の表面を均一に被包し、直射日光や紫外
線に対する遮蔽効果が有効に発揮され、アラミド繊維の
光線による劣化を有効に阻止することができるからであ
る。
得られる織物の要求強度や柔軟性等に応じて任意に変え
ればよいが、防護被服等としての用途を考えた場合、通
常は番手で4〜80S、より一般的には6〜30S、更
に一般的なのは5〜25Sの範囲である。
にアラミド繊維よりなる強力な芯糸の外周側が、光線遮
蔽効果を有する耐光性繊維で被包された芯鞘構造の複合
糸であり、これを緯糸の少なくとも一部として使用し、
経糸として先染め糸を用いて綾織り或は朱子織りする
と、本発明の強化織物が得られる。
れないが、上記コアヤーンと組み合わせて使用するうえ
で特に好ましいのは綿の紡績糸である。しかして綿は、
前述の如く優れた耐光性を有していると共に物性や先染
め性においても優れており、且つ、アラミド繊維Bと同
様に熱によって溶融することなく炭化する性質を有して
いるので、防護被服として用いたときでも、該強化織物
が熱溶融する現象が抑えられるからである。従って、こ
うした綿と同様の特性を備えた、麻、羊毛などの天然繊
維や、レーヨン、キュプラなどの再生繊維も、同様に好
ましい経糸構成繊維として推奨される。また、ポリエス
テル系繊維やポリアミド系繊維などの合成繊維を併用
し、綿混紡糸として使用することも可能である。
糸を用いた製織に当たっては、経朱子織り組織もしくは
綾織りとし、織物の表面側に経糸を構成する先染め糸も
しくは生成り糸が露出し、コアヤーンからなる緯糸は織
物の裏面側に隠蔽される様な織り組織とすることによ
り、コアヤーンの芯糸を構成するアラミド繊維が直射日
光や紫外線に曝されるのを2重に防止し、その劣化をよ
り確実に抑制することが可能となる。尚、織物の一完全
組織が6枚を超える経浮き組織、例えば6/1綾組織で
は、耐光堅牢度改善効果は向上するものの地厚になるこ
と、更には摩耗強力、引張強力、切創性等は強くなるが
引っ掛け等に対する強力が弱くなって強化織物とは言い
難くなる。また地厚になるのを防ぐため細い糸を使用す
ると、全体としての強力が弱くなってやはり強化織物と
は言い難くなる。この様なところから、織物組織は一完
全組織で3〜6枚の朱子もしくは綾組織、例えば4枚経
朱子、5枚経朱子、6枚経朱子、2/1綾、3/1綾、
4/1綾、5/1綾、4/2綾などとすることが望まれ
る。
時のアルカリや酸に対する耐薬品性に欠けるため、織物
とした状態で後染めを行なうと、助剤にアルカリや酸を
使用する該染色工程で物性劣化を起こし、アラミド繊維
を複合したことによる物性改善効果を有効に活かすこと
ができなくなる。そこで本発明では、原料として用いら
れるアラミド繊維は染色されていないものを使用し、且
つ織物とした後の状態でも実質的に後染めを行なわない
こととし、織物としての色調を与えたい場合は、コアヤ
ーンと組み合わせて用いられる経糸として先染め糸を使
用し、上記織り組織とも相まって該先染め糸を織物の表
面側に露出させることによって確保する。その結果、未
染色のコアヤーンを緯糸として使用しても、先染めされ
た経糸の色彩が織物表面に露出することになり、需要者
の要求に応じた色調の強化織物を得ることが可能とな
る。また経糸として生成り糸を使用すれば、未染色状態
の生成りの強化織物を得ることができる。このとき、コ
アヤーンを構成する鞘部として綿染めされた繊維を使用
すれば、芯糸を構成するアラミド繊維を劣化させること
なくコアヤーンにも色彩を与えることが可能となる。
する優れた特性を有効に活用し、その欠点である耐光性
を、耐光性繊維と複合したコアヤーンとし且つ前記の様
な織り組織を改善することによって2重に保護し、また
製織に当たってはこれを緯糸とし、経糸として先染め糸
もしくは生成り糸を使用することにより製織後の後染め
を省略し、後染めによるアラミド繊維の劣化を回避する
ことができ、それにより任意の色に着色され、あるいは
生成り色調を有する、高耐光性で優れた物性を示す強化
織物を得ることが可能となる。
ることによって最も高い強度特性を得ることができる
が、強化織物に求められる強度の程度によっては、緯糸
の一部(例えば2本中1本、3本中1本、3本中2本な
ど)として上記コアヤーンを使用し、残部をその他の繊
維で製織し、低コスト化を図ることも可能である。また
上記コアヤーンの優れた強度特性は、織密度を高めてア
ラミド繊維としての配設密度を多くするほど向上し、ま
た織密度を高めると、コアヤーンの鞘部を構成する耐光
性繊維も締めつけられてアラミド繊維に対する保護効果
も高められるので、強度および耐光堅牢度のいずれの観
点からしても、織密度は高い方が望ましい。但し、織密
度が高くなり過ぎると織物としての柔軟性が低下し、防
護被服等として実用化する時の着用感が悪くなるので、
そうした用途上の要求特性も考慮して織密度などを適性
に調整することが望まれる。
ヤーンを緯糸とし、経糸として先染めによりインジゴ染
めされた綿紡績糸を使用するとジーンズ織物として様々
の用途に有効に活用することができ、また生成りの綿紡
績糸を使用すると生成り調のジーンズ織物を得ることが
できる。即ちジーンズ織物は後述する様な様々のレジャ
ー用被服として広く普及しており、それ自身強度的に優
れたものであるが、該ジーンズ織物の緯糸構成繊維とし
て上記コアヤーンを使用すると、その強度特性が一段と
高められ、防護被服等としての機能性を著しく高めるこ
とができるからである。もっとも本発明の織物はジーン
ズ織物やジーンズ織物製品に制限される訳ではなく、ジ
ーンズ調織物以外にも広く利用することができる。
織物製品は、アラミド繊維の優れた強度特性を維持しつ
つ、耐光堅牢度不足を耐光性繊維との複合および特定織
り組織の採用によって改善し、また少なくともアラミド
繊維は染色工程を経ない様にしたので染色による強度劣
化を起こすこともなく、摩擦強力、引張強力、引裂強
力、切創性等において驚異的な特長を長期的に発揮し、
直射日光や紫外線に直接曝される外装被服等としても支
障なく活用することができ、例えばオートバイ等に乗車
するときの防護服、登山、磯釣り等のレジャー用防護服
などの素材として使用することにより、着用者の保護に
有効に活用することができる。特に本発明を活用したジ
ーンズ織物では、一般的なカジュアル衣料としての外観
を保ちつつ、防護衣料としての特長を兼ね備えた衣料を
得ることが可能となる。
コアヤーンを緯糸とし、且つ経糸として綿紡績糸を使用
すると、防融性(熱によって溶融せず炭化する性質)に
優れた織物を得ることができ、その優れた耐熱性とも相
まって、消防隊員の防災被服等としても極めて優れた特
性を発揮する。
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。尚、
下記実施例で採用した織物の物性試験法は下記の通りと
した。
される摩耗強さA−1法(平面)を採用。 [切創性]枠体に試料織物を把持し、この織物に両刃カ
ッターを垂直に立てて当て、この刃先に500mm/m
inの速度で荷重を掛けていったときの該織物が切創さ
れる最大荷重を測定する。
(直径0.6cm)の先端に、試料織物を5秒間接触さ
せた時の穴開きの程度を、5級(穴開きなし)〜1級
(完全に穴が開く)の5段階で判定する。 [瞬間摩擦熱溶融性]大栄化学精器製作所製の瞬間摩擦
熱溶融試験機を使用し、円筒状にセットした試料織物を
回転摩擦体(直径5cmの桜材)に1kgの押付け圧で
点接触させ、摩擦体を2800rpmで回転させて試料
に穴が開くまでの時間(秒)によって評価する。(MA
×60秒) [引裂強力]JIS L 1096に規定される引裂き
強さD法(ペンジュラム法)を採用。 [耐光堅牢度]JIS L 0842に準拠。 [フロスティング]ART試験機に試料織物を上下にセ
ットし、上部試料から750g/12.5cm2 の押付
け圧をかけながら10分間摩擦し、摩擦後の下部試料か
ら変退色の程度をグレースケールで5段階評価する。更
に、摩耗部分の単繊維のフィブリル化状況を20倍以上
の倍率で拡大鏡を用いて観察し、フィブリル化の有無を
判定した。
作製したコアヤーン、あるいは、同じアラミド繊維を芯
部とし、綿短繊維を鞘部としてジェットスピナーを用い
て作製したコアヤーン、および綿普通糸を用いて表1に
示す諸元のコアヤーンを製造し、夫々のコアヤーンもし
くは紡績糸を緯糸とし、経糸として先染めによりインジ
ゴ染めされた市販の綿紡績糸を用いて、表2に示す組合
せで3/1綾組織の織物を作製し、夫々の物性を調べ
た。結果を表2に一括して示す。
る。実験No.1イ〜4ロおよびNo.8イ,8ロは、
本発明の規定要件を満足する実施例であり、摩擦強力、
切創性、防融性、瞬間摩擦熱融解性、引裂強力、耐光堅
牢度、フロスティング性のいずれにおいても非常に優れ
た結果が得られている。これらに対し、実験No.5
イ,5ロ,6イ,6ロは、コアヤーンの芯部として通常
の綿紡績糸を用いた比較例、実験No.7は、緯糸とし
て通常の綿紡績糸を用いた比較例であり、いずれも摩擦
強力が低く、切創性や引裂強力も非常に低い。また実験
No.9は、緯糸としてアラミド繊維単独の紡績糸を用
いた比較例であり、摩擦強力、切創性、防融性、引裂強
力等は非常に良好であるが、耐光堅牢度が低く、特に緯
糸が表面に露出する裏面側の耐光堅牢度が著しく劣って
いることが分かる。
部として作製したコアヤーン、あるいは、同じアラミド
繊維を芯糸とし、綿短繊維を鞘部としてジェットスピナ
ーを用いて作製した市販のコアヤーン、および綿普通糸
を用いて表3に示す諸元のコアヤーンを製造し、夫々の
コアヤーンもしくは紡績糸を緯糸とし、経糸として先染
めによりインジゴ染めされた市販の綿紡績糸を用いて、
表4に示す組合せで3/1綾組織の織物を作製し、夫々
の綾織物についてその物性を調べた。また比較品とし
て、緯糸、経糸共に綿紡績糸を用いた綾織物についても
同様の実験を行なった。結果を表4に示す。
物は比較例の織物に比べて優れた物性を有していること
が分かる。
びその縫製品)を使用し、下記の条件で太陽暴露試験を
行なった後の物性を調べた。結果を表6に示す。 [太陽暴露試験]屋外に南向き60℃の角度で固定した
傾斜板に供試織物を1〜3月間(1月:4月23日から
5月23日まで、2月:4月23日から6月23日ま
で、3月:4月23日から7月23日まで)放置し、太
陽光および風雨に直接曝した後、各織物の平面摩耗強
力、引裂強力、明度および分解糸の強伸度を調べた。
められるが、本発明の織物は、洗い処理の有無に拘らず
比較品である通常ジーンズに比べて優れた耐久性を有し
ており、特にアラミド繊維を含むコアヤーンが配置され
た緯方向の物性は格段に優れていることが分かる。
ラミド繊維の優れた強度特性を維持しつつ、その欠点と
されていた耐光堅牢度不足を耐光性繊維との複合および
特定織り組織の採用によって改善し、また少なくともア
ラミド繊維は染色工程を経ない様にしたので染色による
強度劣化を起こすこともなく、摩擦強力、引張強力、引
裂強力、切創性等において驚異的な特長を長期的に発揮
し、直射日光や紫外線に直接曝される外装被服等として
も支障なく活用することのできる着色強化織物を提供し
得ることになった。
コアヤーンを緯糸とし、且つ経糸として綿紡績糸を使用
すると、防融性(熱によって溶融せず炭化する性質)に
優れた織物を得ることができ。
するコアヤーンの製法を例示する説明図である。
る。
Claims (8)
- 【請求項1】 染色されていない全芳香族アラミド繊維
を芯部、耐光性繊維よりなるマルチフィラメント糸もし
くは短繊維を鞘部とするコアヤーンを緯糸の少なくとも
一部とし、先染め糸もしくは生成り糸を経糸とする経朱
子組織もしくは綾組織からなることを特徴とする耐光性
に優れた強化織物。 - 【請求項2】 織物組織が一完全組織で3〜6枚の経浮
きの朱子もしくは綾組織である請求項1に記載の耐光性
に優れた強化織物。 - 【請求項3】 コアヤーン中の芯部比が3〜70重量%
である請求項1または2のいずれかに記載の耐光性に優
れた強化織物。 - 【請求項4】 鞘部が綿繊維もしくは綿混紡繊維である
請求項1〜3のいずれかに記載の耐光性に優れた強化織
物。 - 【請求項5】 経糸が綿紡績糸もしくは綿混紡糸である
請求項1〜4のいずれかに記載の耐光性に優れた強化織
物。 - 【請求項6】 鞘部が未染色の綿繊維からなり、経糸が
先染めによりインジゴ染めされた綿紡績糸からなるジー
ンズ織物である請求項1〜5のいずれかに記載の耐光性
に優れた強化織物。 - 【請求項7】 鞘部の構成繊維が綿染めされたものであ
る請求項1〜6のいずれかに記載の耐光性に優れた強化
織物。 - 【請求項8】 染色されていない全芳香族アラミド繊維
を芯部、耐光性繊維よりなるマルチフィラメント糸もし
くは短繊維を鞘部とするコアヤーンを緯糸の少なくとも
一部とし、先染め糸もしくは生成り糸を経糸とする経朱
子組織もしくは綾組織よりなる織物からなり、後染めさ
れないものであることを特徴とする耐光性に優れた強化
織物製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28094896A JP3728030B2 (ja) | 1996-10-23 | 1996-10-23 | 耐光性に優れた強化織物および織物製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28094896A JP3728030B2 (ja) | 1996-10-23 | 1996-10-23 | 耐光性に優れた強化織物および織物製品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10130990A true JPH10130990A (ja) | 1998-05-19 |
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