JP2015098107A - 発泡積層体の製造方法及びその発泡積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた経済性、断熱性を示す発泡積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも(A)層/紙基材/(B)層/(C)層の順に積層されてなる発泡積層体の製造方法であって、少なくとも下記に示す(i)〜(iii)の工程を経ることを特徴とする発泡積層体の製造方法。
(i)紙基材の片面、若しくは両面に水を塗布する工程。
(ii)(A)層を構成する密度が935kg/m3以上970kg/m3以下であるポリエチレン系樹脂(a)、(B)層を構成する密度が910kg/m3以上930kg/m3以下である高圧法低密度ポリエチレン(b)及び(C)層を構成する(iv)の要件を満たすポリエチレン系樹脂(b)を(v)の要件を満たすように紙基材に積層する工程
(iii)ポリエチレン系樹脂(a)/紙基材/高圧法低密度ポリエチレン(b)/ポリエチレン系樹脂(c)からなる積層体に加熱処理を施し、高圧法低密度ポリエチレン(b)を発泡する工程
(iv)ポリエチレン系樹脂(C)の溶融温度が高圧法低密度ポリエチレン(B)よりも高い
(v)(C)層の厚みが4〜12μm
【選択図】 なし
Description
(i)紙基材の片面、若しくは両面に水を塗布する工程
(ii)(A)層としてJIS K6922−1(2011年)により測定された密度が935kg/m3以上970kg/m3以下であるポリエチレン系樹脂(a)、(B)層としてJIS K6922−1(2011年)により測定された密度が910kg/m3以上930kg/m3以下である高圧法低密度ポリエチレン(b)及び(C)層として(iv)の要件を満たすポリエチレン系樹脂(c)を(v)の要件を満たすように紙基材に積層する工程
(iii)ポリエチレン系樹脂(a)/紙基材/高圧法低密度ポリエチレン(b)/ポリエチレン系樹脂(c)からなる積層体に加熱処理を施し、高圧法低密度ポリエチレン(b)を発泡する工程
(iv)ポリエチレン系樹脂(c)のJIS K6922−2(2010年)により測定された溶融温度が高圧法低密度ポリエチレン(b)よりも高い
(v)(C)層の厚みが4〜12μm
以下、本発明について詳細に説明する。
さらに、本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂(c)の190℃において、円錐−円板レオメーターを用いて動的粘弾性を測定することで求められる損失弾性率G”(Pa)が500Paである角速度ω(秒−1)における貯蔵弾性率G’c(500)が、同様の方法により求めた(B)層に用いられる高圧法低密度ポリエチレン(b)のG’b(500)よりも小さいことが、(C)層の厚みを安定化させ優れた発泡外観が得られるため好ましい。また、G’b(500)が95Pa以下であると優れた発泡外観が得られるため好ましい。
(i)紙基材の片面、若しくは両面に水を塗布する工程
(ii)(A)層としてポリエチレン系樹脂(a)、(B)層として高圧法低密度ポリエチレン(b)及び(C)層としてポリエチレン系樹脂(c)を紙基材に積層する工程
(iii)ポリエチレン系樹脂(a)/紙基材/高圧法低密度ポリエチレン(b)/ポリエチレン系樹脂(c)からなる積層体に加熱処理を施し、高圧法低密度ポリエチレン(b)を発泡する工程
水分を塗布する手法は、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、ロールコート装置、リップコート装置、スプレー装置、ダイコート装置、グラビア装置、ダンプニング装置などを用いた手法が例示することができる。水の塗布量が均一になるため、ダンプニング装置を用いた手法が好ましい。
この水の減少速度定数k(分−1)は、具体的には、紙基材/ポリエチレン系樹脂の順に積層され、ポリエチレン系樹脂の密度が940kg/m3、ポリエチレン系樹脂の厚みが40μmである積層体の加熱時の重量変化を用いて求めることができる。紙基材/ポリエチレン系樹脂からなる積層体を加熱処理した時に得られるある時間t(分)における加熱後の単位面積当たりの重量減少量ΔWt(g/m2)と式(1)から導出される下式(2)を計算して得られるある時間t(分)における単位面積当たりの重量減少量ΔWt,cal(g/m2)を各々0.5分毎に0.5分から6分まで算出した時に、下式(3)で表されるある時間t(分)における誤差εtの0.5分から6分までの合計値が最少となるように水の減少速度定数k(分−1)を求める。
εt=[(ΔWt−ΔWt,cal)/ΔWt]2 (3)
ここで、W0は紙基材/ポリエチレン系樹脂における加熱前の単位面積あたりの水分量(g/m2)である。 本発明の積層体を構成する紙基材については特に限定はないが、高圧法低密度ポリエチレン(b)の発泡倍率を向上させることができるため、紙基材の坪量は150〜400g/m2が好ましく、更に好ましくは、250〜350g/m2である。
(1)密度
密度は、JIS K6922−1(2011年)に準拠して測定した。
(2)メルトマスフローレート(MFR)
MFRは、JIS K6922−1(2011年)に準拠して測定した。
(3)溶融温度
溶融温度は、JIS K6922−2(2010年)に準拠して測定した。
(4)G’(500)
円錐−円板レオメーター(レオメトリックス社製、商品名:SR2000)を用い、190℃において、損失弾性率G”(Pa)が500Paである角速度ω(s−1)における貯蔵弾性率G’(Pa)を求めた。
(5)加熱発泡
実施例により得られた積層体を10cm×20cmに切り出し円筒状に成形したサンプルを、所定の温度に加熱したギア式老化試験機(安田精機製作所製 No.102−SHF−77)中で熱風をあてながら所定の時間静置した後、取り出して空気中で室温まで冷却した。また、加熱時の風量について「AGING」ボタンの「HIGH」と「LOW」で調節した。
(6)紙基材の水分量
ポリエチレン系樹脂の積層前後の紙基材について、カールフィッシャー法水分測定装置(三菱化学(株)製、商品名CA−05)を使用し測定した。測定温度は165℃である。
(7)水の減少速度定数 k
水分量が24g/m2であり、坪量320g/m2である紙基材に、MFRが7g/10分、密度が940kg/m3である高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン LW04−1)を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出ラミネーター(ムサシノキカイ(株)製)へ供給し、320℃の温度でTダイより押し出し、紙基材上に引き取り速度が60m/分、エアギャップ長さが130mmで40μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行った後、恒温恒湿槽(日立アプライアンス(株)製、EC−25MHHP)を使用して実施例及び比較例に記載の水分量に調湿した積層体を用いた。これらの積層体を(5)加熱発泡と同様の手法で0.5分毎に6分まで加熱処理を行い、小数点第4桁まで測定できる電子天秤(ザルトリウス(株)製、BP210S)を用いて、加熱処理前後の重量変化を測定し、重量減少量ΔWt(g/m2)を算出した。この重量減少量ΔWtを用いて、水の減少速度定数k(分−1)を明細書中に例示した方法を用いて算出した。
(8)発泡層厚み
実施例により得られた発泡体、及びブランクとして発泡させる前のラミネート積層体をサンプル取りし、光学顕微鏡により断面写真を撮影した。断面写真から発泡層の厚みを測定し、5箇所で測定した。
(9)発泡表面の状態
得られた発泡体の表面の平滑性を目視で観測した。表面の平滑性が良好である場合を○、良好であるもののやや劣る場合を△、不良の場合を×とした。
ポリエチレン系樹脂(a)として、MFRが7g/10分、密度が940kg/m3である高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン LW04−1)(A1)を、高圧法低密度ポリエチレン(b)として、MFRが13g/10分、密度が919kg/m3、溶融温度が103℃、G’(500)が92Paである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン 212)(B1)を、ポリエチレン系樹脂(c)として、MFRが20g/10分、密度が920kg/m3、溶融温度が122℃、G’(500)が18Paであるエチレン・1−ブテン共重合体(東ソー(株)製 商品名ニポロン−L M65)を使用した。
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、紙基材の(B1)を積層する面に3g/m2の水を塗布した以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、平滑性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、紙基材の(A1)を積層する面に6g/m2の水を塗布し、(B1)を積層する面に6g/m2の水を塗布した以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚みを評価した。結果を表1に示す。
実施例3に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(B1)の厚みを60μm、(C1)の厚みを10μmとして以外は、実施例3と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚みを評価した。結果を表1に示す。
(C)層の樹脂として、MFRが3g/10分、密度が924kg/m3、溶融温度が113℃、G’(500)が102Paである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン 205)(C2)を使用した以外は、実施例4と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、平滑性を評価した。結果を表1に示す。
(C)層の樹脂として、MFRが8g/10分、密度が961kg/m3、溶融温度が134℃、G’(500)が46Paである高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ニポロンハード 2500)(C3)を使用した以外は、実施例4と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、平滑性を評価した。結果を表1に示す。
実施例3に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、発泡する際の風量をLOWとした以外は、実施例3と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、平滑性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(B1)の厚みを67μm、(C1)の厚みを3μmとした以外は、実施例1と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、平滑性を評価した。結果を表2に示す。発泡層表面の平滑性が不良であった。
実施例3に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(B1)の厚みを60μm、(C1)の厚みを20μmとした以外は、実施例3と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、平滑性を評価した。結果を表2に示す。発泡後の発泡層の厚みが不良であった。
(C)層の樹脂として、MFRが8g/10分、密度が918kg/m3、溶融温度が102℃、G’(500)が108Paである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン 213)(C4)を使用した以外は、実施例4と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、平滑性を評価した。結果を表2に示す。発泡層表面の平滑性が不良であった。
(C)層の樹脂を積層せず、(B1)の厚みを70μmとした以外は、実施例4と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、平滑性を評価した。結果を表2に示す。発泡層表面の平滑性が不良であった。
紙基材の(A1)を積層する面と(B1)を積層する面に水を塗布しなかったこと以外は、実施例4と同様の手法により発泡前後の積層体を得た。得られた積層体について、発泡層の厚み、平滑性を評価した。結果を表2に示す。発泡後の発泡層の厚みが不良であった。
Claims (11)
- 少なくとも(A)層/紙基材/(B)層/(C)層の順に積層されてなる発泡積層体の製造方法であって、少なくとも下記に示す(i)〜(iii)の工程を経ることを特徴とする発泡積層体の製造方法。
(i)紙基材の片面、若しくは両面に水を塗布する工程
(ii)(A)層としてJIS K6922−1(2011年)により測定された密度が935kg/m3以上970kg/m3以下であるポリエチレン系樹脂(a)、(B)層としてJIS K6922−1(2011年)により測定された密度が910kg/m3以上930kg/m3以下である高圧法低密度ポリエチレン(b)及び(C)層として(iv)の要件を満たすポリエチレン系樹脂(c)を(v)の要件を満たすように紙基材に積層する工程
(iii)ポリエチレン系樹脂(a)/紙基材/高圧法低密度ポリエチレン(b)/ポリエチレン系樹脂(c)からなる積層体に加熱処理を施し、高圧法低密度ポリエチレン(b)を発泡する工程(iv)ポリエチレン系樹脂(c)のJIS K6922−2(2010年)により測定された溶融温度が高圧法低密度ポリエチレン(B)よりも高い
(v)(C)層の厚みが4μm以上12μm以下 - 紙基材に塗布する水分量が2g/m2以上30g/m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の発泡積層体の製造方法。
- ダンプニング装置を用いて、紙基材に水を塗布することを特徴とする請求1又は2に記載の発泡積層体の製造方法。
- 紙基材の坪量が150g/m2以上400g/m2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡積層体の製造方法。
- 高圧法低密度ポリエチレン(b)を発泡する工程(iii)において、水の減少速度定数k(分−1)が0.60以上1.30以下の条件を満たす加熱条件を施すことを特徴とする請求項1〜4のいずかにに記載の発泡積層体の製造方法。
ここで、水の減少速度定数k(分−1)とは、高圧法低密度ポリエチレン(b)を発泡させる工程において、ある加熱時間t(分)における単位時間あたりの水分変化量dW/dtと、ある加熱時間t(分)における紙基材中の水分濃度Wとの関係式である、下式(1)で表される一次速度式における比例定数である。
dW/dt=−kW (1) - 高圧法低密度ポリエチレン(b)を発泡する工程(iii)において、水の減少速度定数k(分−1)が0.65以上1.30以下の条件を満たす加熱条件を施すことを特徴とする請求項5に記載の発泡積層体の製造方法。
- 高圧法低密度ポリエチレン(b)を発泡する工程(iii)において、水の減少速度定数k(分−1)が0.80以上1.10以下の条件を満たす加熱条件を施すことを特徴とする請求項6に記載の発泡積層体の製造方法。
- (C)層を構成するポリエチレン系樹脂(c)がエチレン・α−オレフィン共重合体(d)であることを特徴とする請求項1〜7のいずかに記載の発泡積層体。
- (C)層を構成するポリエチレン系樹脂(c)が低圧法エチレン単独共重合体(e)であることを特徴とする請求項1〜7のいずかにに記載の発泡積層体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の方法により製造される発泡積層体。
- 請求項10に記載の発泡積層体からなる容器。
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