JP2015097989A - ウイルス除去剤及びウイルス除去方法 - Google Patents

ウイルス除去剤及びウイルス除去方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015097989A
JP2015097989A JP2013239027A JP2013239027A JP2015097989A JP 2015097989 A JP2015097989 A JP 2015097989A JP 2013239027 A JP2013239027 A JP 2013239027A JP 2013239027 A JP2013239027 A JP 2013239027A JP 2015097989 A JP2015097989 A JP 2015097989A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
virus
photocatalyst
compound
titanium dioxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP2013239027A
Other languages
English (en)
Inventor
壮 宮石
So Miyaishi
壮 宮石
靖 黒田
Yasushi Kuroda
黒田  靖
光彦 秋谷
Mitsuhiko Akitani
光彦 秋谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2013239027A priority Critical patent/JP2015097989A/ja
Publication of JP2015097989A publication Critical patent/JP2015097989A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】光触媒及び酸化剤を組み合わせてなる、暗所におけるウイルス除去性能に優れるウイルス除去剤等を提供する。
【解決手段】光触媒化合物及び2価銅化合物を含む2価銅含有光触媒、並びに酸化剤を含み、前記光触媒化合物が、ルチル化率が5モル%以上の二酸化チタン、ブルッカイト化率5モル%以上の二酸化チタン、アナターゼ化率5モル%以上でありNドープ型を除く二酸化チタン、並びにバナジン酸ビスマスから選ばれる少なくとも1種以上を含む光触媒化合物であるウイルス除去剤等。
【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒を含むウイルス除去剤、及び光触媒を利用したウイルス除去方法に関する。
酸化チタンは古くから光触媒として知られており、光照射下では、電子移動に伴い、活性酸素を生じて、有機化合物、抗菌作用、及び抗ウイルス作用を奏することが知られている。酸化チタンを用いた光触媒は、安価で化学的安定性に優れ、高い光触媒活性(有機化合物分解性、抗菌性、抗ウイルス性等)を有し、人体に無害であること等により、光触媒として広く用いられている。
例えば、特許文献1には、光触媒を用いたウイルス不活性化システムが記載されており、光触媒として、酸化チタンなどの金属酸化物、金属硫化物が列挙されている。
また、近年では、酸化チタンに他の物質をドープ又は担持させることにより、酸化チタンの単体よりも長波長側の光を吸収可能な可視光応答型光触媒を製造することも行われている。
特許文献2には、CuO/TiO(質量%比)が1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタンからなるファージ・ウイルスの不活性化剤が記載されている。しかし、特許文献2は、紫外光に応答する抗ウイルス光触媒であり、可視光には活性がないと記載されている。
特許文献3には、明所及び暗所における抗ウイルス性等に優れる組成物を提供することを目的として、ルチル型酸化チタンの含有量が15モル%以上である酸化チタンと、特定の2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物が記載されている。
非特許文献1には、可視光照射下での有機化合物分解性能は、銅/酸化チタンよりも鉄/酸化チタンの方が高性能であるのに対して、光照射下及び非照射下における抗ウイルス性能は、鉄/酸化チタンよりも銅/酸化チタンの方が高性能であることが開示されている。
更に、過酸化水素を他の物質と組み合わせて使用することにより、有害物質の分解等を行うことも行われている。
例えば、特許文献4には、光触媒材料と希薄な過酸化水素溶液の共存下で処理することを特徴とする光触媒材料による有害物質の分解方法が記載されている。また、光触媒材料として、金属チタン又はチタン合金の表面にチタン窒化物を形成させた後、陽極酸化処理することにより得られた結晶性酸化チタン皮膜を有するものが開示されている。
特許文献5には、銀−アミノ酸錯体と、過酸化水素等とを含有する抗菌、殺菌又は抗ウイルス性組成物が記載されている。
特許文献6には、過酸化水素、ベンジルアルコール及び銀成分を有効成分として含有することを特徴とする除菌、除ウイルス剤が記載されている。
非特許文献2には、銅イオン又は鉄イオンの存在下、過酸化水素が100mg/Lと高濃度の下でウイルスが死滅するデータが記載されている。
また、バナジン酸ビスマスは、可視光応答光触媒として広く知られている(例えば、特許文献7、非特許文献3、非特許文献4)。
前述のとおり、特許文献4〜6及び非特許文献2には、酸化チタン等の物質と共に過酸化水素を含有させることにより、有害物質の分解等を行うことが開示されている。しかしながら、特許文献4〜6及び非特許文献2には、光触媒と酸化剤とを併用した場合の抗ウイルス性能について検討されておらず、特に銅化合物含有光触媒と酸化剤とを併用した場合の抗ウイルス性能については一切検討されていない。
すなわち、特許文献4には、前述のとおり、光触媒材料と希薄な過酸化水素溶液の共存下で処理することを特徴とする光触媒材料による有害物質の分解方法が記載されている。しかしながら、特許文献4は、有害物質の分解方法、例えば、トルエン等の有機物及び硫黄酸化物等の無機物の分解方法が記載されているが、ウイルス除去方法については検討されていない。また、特許文献4には、アナターゼ型酸化チタンの光触媒活性がルチル型よりも高いことが記載されているが、実施例において、金属チタンの表面に形成された皮膜の結晶型等の詳細は記載されていない。更に、特許文献4では、銅化合物含有光触媒の抗ウイルス性能について検討されていない。
また、特許文献5,6には、銀成分と過酸化水素とを併用してなる抗ウイルス剤等が記載されている。しかしながら、特許文献5,6にも、銅化合物含有光触媒を酸化剤と併用した場合の抗ウイルス性能について検討されていない。また、特許文献5,6では、銀という高価な材料を用いているため、工業的に不利である。
更に、非特許文献2には、銅イオン又は鉄イオンの存在下、過酸化水素が100mg/Lと高濃度の下でウイルスが死滅するデータが記載されているが、金属担持型の光触媒を用いた場合の抗ウイルス性能について検討されていない。また、過酸化水素が100mg/Lという高濃度では、過酸化水素単独でも十分な抗ウイルス性を発現する。非特許文献2では、過酸化水素単独では十分な抗ウイルス性を発現し得ない低濃度の過酸化水素を銅イオン又は鉄イオンと併用したときの抗ウイルス性について検討されていない。
また、特許文献1〜3、7、非特許文献1、3、4では、過酸化水素を用いておらず、従って、過酸化水素を他の物質と併用した場合の抗ウイルス性能に関する検討がされていない。
特開2000−41667号公報 特許第4646210号公報 WO2013/094572 特開2012−11372号公報 特開2011−195582号公報 特許第5083606号公報 特開2004−330047号公報
光機能材料研究会、会報光触媒 vol.37、p.31−32 APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY DEC.1993、p.4374−4376 J. Phys. Chem. B2006,110,11352−11360 J. Am. Chem. Soc. 1999,121,11459−11467
本発明は、光触媒及び酸化剤を組み合わせてなる、暗所においてもウイルス除去性能に優れるウイルス除去剤と、光触媒及び酸化剤の組み合わせを利用した、ウイルス除去性能に優れるウイルス除去方法を提供することを課題とする。
本発明者等は鋭意研究の結果、種々の光触媒のうち、特定の金属酸化物及び2価の銅化合物を含む特定の2価銅含有光触媒を用い、かつ当該2価銅含有光触媒と酸化剤とを併用することにより、暗所においても優れたウイルス除去性能が発現することを見出した。本発明は、当該知見に基づくものである。
すなわち、本発明は次の[1]〜[13]を提供するものである。
[1]光触媒化合物及び2価銅化合物を含む2価銅含有光触媒、並びに酸化剤を含み、前記光触媒化合物が、ルチル化率5モル%以上の二酸化チタン、ブルッカイト化率5モル%以上の二酸化チタン、アナターゼ化率5モル%以上でありNドープ型を除く二酸化チタン、並びにバナジン酸ビスマスから選ばれる少なくとも1種以上を含む光触媒化合物であるウイルス除去剤。
[2]前記光触媒化合物が、ルチル化率5モル%以上の二酸化チタン及びバナジン酸ビスマスから選ばれる少なくとも1種以上を含む光触媒化合物である、前記[1]に記載のウイルス除去剤。
[3]暗所でのファージ相対濃度(−LOG(N/N))が1.0以上である、前記[1]又は[2]に記載のウイルス除去剤。
[4]前記二酸化チタンは、気相法により製造されたものである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のウイルス除去剤。
[5]前記2価銅含有光触媒が、前記光触媒化合物に担持された前記2価銅化合物である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のウイルス除去剤。
[6]前記2価銅化合物が、下記一般式(1)で表される2価銅化合物の少なくとも1種を含む、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のウイルス除去剤。
Cu(OH)X (1)
(式中、Xは1価の陰イオンを示す。)
[7]酸化剤の濃度が、0.001mg/L〜5000mg/Lである、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のウイルス除去剤。
[8]前記2価銅化合物中の銅元素質量が、光触媒化合物100質量部に対して0.01〜10質量部である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のウイルス除去剤。
[9]前記2価銅含有光触媒を含む第1の組成物を含む第1のパックと、前記酸化剤を含む第2の組成物を含む第1のパックからなる2パック型である、前記[1]〜[8]のいずれかに記載のウイルス除去剤。
[10]前記第2の組成物が、酸化剤及び溶媒を含み、前記溶媒が、水、エチルアルコール及びイソプロピルアルコールの少なくとも1種を含む、前記[9]に記載のウイルス除去剤。
[11]前記第2の組成物が、0.001mg/L〜5000mg/Lの過酸化水素溶液である、前記[9]に記載のウイルス除去剤。
[12]前記[1]〜[11]のいずれかに記載のウイルス除去剤を物品に接触させる、ウイルス除去方法。
[13]物品からウイルスを除去するウイルス除去方法であって、前記物品は、ルチル化率が5モル%以上である二酸化チタン、ブルッカイト化率が5モル%以上である二酸化チタン、アナターゼ化率5モル%以上でありNドープ型を除く二酸化チタン、及びバナジン酸ビスマスの少なくとも1種である光触媒化合物並びに2価銅化合物を含む2価銅含有光触媒を、少なくとも表面に有する光触媒含有物品であり、前記光触媒含有物品に酸化剤を接触させることを特徴とする、ウイルス除去方法。
本発明によれば、光触媒及び酸化剤を組み合わせてなる、ウイルス除去性能に優れるウイルスを除去剤と、光触媒及び酸化剤の組み合わせを利用した、暗所においてもウイルス除去性能に優れるウイルス除去方法を得ることができる。
[ウイルス除去剤]
本発明のウイルス除去剤は、光触媒化合物及び2価銅化合物を含む2価銅含有光触媒、並びに酸化剤を含み、前記光触媒化合物が、ルチル化率が5モル%以上である二酸化チタン、ブルッカイト化率が5モル%以上である二酸化チタン、アナターゼ化率5モル%以上でありNドープ型を除く二酸化チタン、及びバナジン酸ビスマスの少なくとも1種であるものである。
このように、特定の金属酸化物及び2価の銅化合物を含む特定の2価銅含有光触媒を用い、かつ当該2価銅含有光触媒と酸化剤とを併用してなるウイルス除去剤は、暗所におけるウイルス除去性能に優れる。なお、暗所におけるウイルス除去性能を有する場合、明所におけるウイルス除去性能も有する。特に、このように特定の2価銅含有光触媒と酸化剤とを併用することにより、酸化剤の濃度が低くても、十分なウイルス除去性能を発現することが可能である。
本発明のウイルス除去剤のファージ相対濃度(−LOG(N/N))は、+1.0以上であり、好ましくは、+1.5以上、より好ましくは、+2.0以上、さらに好ましくは+3.0以上、さらにより好ましくは、+4.0以上、最も好ましくは+5.0以上である。+1.0以上であることで、ウイルス除去性能が現れる。値が大きいほど、ウイルス除去性能は強く、より短時間で効果が現れるので優れている。
<2価銅含有光触媒>
本発明に用いられる2価銅含有光触媒は、特定の光触媒化合物及び2価銅化合物を含む。この2価銅含有光触媒は、光触媒化合物に担持された前記2価銅化合物を含む2価銅担持光触媒であってもよく、光触媒化合物及び2価銅化合物の混合物であってもよいが、前者が好ましく、光触媒化合物に担持された前記2価銅化合物であることがより好ましい。
2価銅含有光触媒は、光触媒化合物及び2価銅化合物の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の成分を含んでいてもよいが、含んでいないことが好ましい。2価銅含有光触媒中における、これら光触媒化合物及び2価銅化合物の合計量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは99質量%以上である。
(光触媒化合物)
本発明で用いられる光触媒化合物は、ルチル化率が5モル%以上である二酸化チタン、ブルッカイト化率が5モル%以上である二酸化チタン、アナターゼ化率5モル%以上でありNドープ型を除く二酸化チタン、及びバナジン酸ビスマスの少なくとも1種である。これらの中でも、ルチル化率が5モル%以上である二酸化チタン及びバナジン酸ビスマスの少なくとも1種が好ましい。
≪二酸化チタン≫
本発明で用いられる二酸化チタンは、ルチル化率が5モル%以上である二酸化チタン、ブルッカイト化率が5モル%以上である二酸化チタン、アナターゼ化率5モル%以上でありNドープ型を除く二酸化チタン、から選択される少なくとも1種である。二酸化チタンのルチル化率、ブルッカイト化率、またはアナターゼ化率が5モル%未満であると、得られるウイルス除去剤の暗所におけるウイルス除去性能が不十分になる。
二酸化チタン全量中におけるルチル型二酸化チタン、ブルッカイト型二酸化チタン、またはアナターゼ型二酸化チタンの含有量(ルチル化率、ブルッカイト化率またはアナターゼ化率)は、上記観点から、好ましくは7モル%以上であり、より好ましくは9モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、最も好ましくは50モル%以上であり、さらに最も好ましくは90モル%以上である。ここで、このルチル型二酸化チタン、ブルッカイト型二酸化チタンまたはアナターゼ型二酸化チタンの含有量(ルチル化率、ブルッカイト化率またはアナターゼ化率)は、後述するとおり、XRDによって測定した値である。二酸化チタン中の二酸化チタンの結晶型は、ルチル型、ブルッカイト型の他、アナターゼ型であっても構わないが、このアナターゼ型の二酸化チタンには、Nドープ型のアナターゼ型二酸化チタンを含まない。
二酸化チタンの比表面積は、好ましくは1〜200m/gである。1m/g以上であると、比表面積が大きいため光触媒活性が向上し、得られるウイルス除去剤の暗所におけるウイルス除去性能が優れる。200m/g以下であると、取扱性に優れる。これらの観点から、二酸化チタンの比表面積は、より好ましくは3〜100m/gであり、更に好ましくは4〜70m/gであり、特に好ましくは8〜50m/gである。ここで比表面積とは、窒素吸着によるBET1点法にて測定した値である。
二酸化チタンは、四塩化チタンを原料として、気相法(四塩化チタンと酸素との気相反応により二酸化チタンを得る方法)によって得られたものが好ましい。気相法で得られた二酸化チタンは、粒子径が均一であると同時に、製造時に高温プロセスを経由しているため、結晶性が高いものとなり、その結果、得られるウイルス除去剤の暗所におけるウイルス除去性能が良好なものとなる。
二酸化チタンとしては、市販されている二酸化チタンをそのまま使用することができる。市販されている二酸化チタンには、液相法で製造されたものと気相法で製造されたものがあるが、液相法で製造されたものは、比表面積が大きく結晶性が低いため、焼成等を行って最適な比表面積及び結晶性を有する二酸化チタンにしなければならない。このような焼成する工程を経ると、その分、余計な手間がかかり、コスト高の原因となる。また、焼成時に着色してしまうというトラブルも発生しかねない。このような観点からも、適度な結晶性と比表面積を有する、気相法で得られた二酸化チタンの市販品(例えば、昭和タイタニウム株式会社製二酸化チタン)を、そのまま使用することが好ましい。
≪バナジン酸ビスマス≫
バナジン酸ビスマスの比表面積は、好ましくは0.1〜200m/gである。0.1m/g以上であると、比表面積が大きいためウイルスとの接触頻度が大きくなり、得られるウイルス除去剤の暗所におけるウイルス除去性能が優れる。200m/g以下であると、取扱性に優れる。これらの観点から、バナジン酸ビスマスの比表面積は、より好ましくは0.3〜100m/gであり、更に好ましくは0.4〜70m/gであり、より更に好ましくは0.8〜50m/gである。ここで比表面積とは、窒素吸着によるBET1点法にて測定した値である。
バナジン酸ビスマスには、固相法で製造されたものと液相法で製造されたものがあり、そのいずれを用いることもできる。製造方法は、特開2001−2419号公報、特開2004−24936号公報等に記載されたものを参考にできる。
(2価銅化合物)
本発明で用いられる2価銅化合物には特に制限はないが、2価銅無機化合物及び2価銅有機化合物の1種又は2種が挙げられる。
2価銅無機化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、沃素酸銅、過塩素酸銅、シュウ酸銅、四ホウ酸銅、硫酸アンモニウム銅、アミド硫酸銅及び塩化アンモニウム銅、ピロリン酸銅、炭酸銅からなる2価銅の無機酸塩、塩化銅、フッ化銅及び臭化銅からなる2価銅のハロゲン化物、並びに酸化銅、硫化銅、アズライト、マラカイト及びアジ化銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
2価銅有機化合物としては、2価銅のカルボン酸塩が挙げられる。この2価銅のカルボン酸塩としては、蟻酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、吉草酸銅、カプロン酸銅、エナント酸銅、カプリル酸銅、ペラルゴン酸銅、カプリン酸銅、ミスチン酸銅、パルミチン酸銅、マルガリン酸銅、ステアリン酸銅、オレイン酸銅、乳酸銅、リンゴ酸銅、クエン酸銅、安息香酸銅、フタル酸銅、イソフタル酸銅、テレフタル酸銅、サリチル酸銅、メリト酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、コハク酸銅、グルタル酸銅、アジピン酸銅、フマル酸銅、グリコール酸銅、グリセリン酸銅、グルコン酸銅、酒石酸銅、アセチルアセトン銅、エチルアセト酢酸銅、イソ吉草酸銅、β‐レゾルシル酸銅、ジアセト酢酸銅、ホルミルコハク酸銅、サリチルアミン酸銅、ビス(2-エチルヘキサン酸)銅、セバシン酸銅及びナフテン酸銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。その他の2価銅有機化合物としては、オキシン銅、アセチルアセトン銅、エチルアセト酢酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、フタロシアニン銅、銅エトキシド、銅イソプロポキシド、銅メトキシド、及びジメチルジチオカルバミン酸銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
上記2価銅化合物のうち、好ましくは酸化銅、2価銅のハロゲン化物、2価銅の無機酸塩及び2価銅のカルボン酸塩の1種又は2種以上であり、例えば2価銅のハロゲン化物、2価銅の無機酸塩及び2価銅のカルボン酸塩の1種又は2種以上である。
さらに、本発明で用いられる2価銅化合物は、下記一般式(1)で表される2価銅化合物であることが好ましい。
Cu(OH)X (1)
(式中、Xは1価の陰イオンを示す。)
一般式(1)において、Xは1価の陰イオンであり、好ましくはCl、Br,I、等のハロゲンに基づく1価の陰イオン、CHCOO、NO、(SO1/2等の酸の共役塩基に基づく1価の陰イオン、又はOHに基づく1価の陰イオンであり、より好ましくはCl又はCHCOOに基づく1価の陰イオンである。
一般式(1)で表される2価銅化合物は、1種類の2価銅化合物(すなわち、Xが特定の1種類である2価銅化合物の単体)であってもよい。また、例えばCu(OH)(NO)とCu(OH)の混合物のように、2種類以上の2価銅化合物の混合物であってもよい。
この一般式(1)で表わされる2価銅化合物は、無水物であっても水和物であってもよい。
また、本発明で用いられる2価銅化合物は、一般式(1)で表わされる2価銅化合物を焼成してなる、例えば、2価銅酸化物であってもよい。この2価銅酸化物は、安定性に優れる。
2価銅化合物中の銅元素質量は、前記光触媒化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部である。0.01質量部以上であると、得られるウイルス除去剤のの暗所におけるウイルス除去性能及び有機化合物分解性が良好なものとなる。10質量部以下であると、経済的であり、また、2価銅化合物を光触媒化合物に担持する場合に、光触媒化合物が被覆されてしまうことが防止され、光触媒としての機能(有機化合物分解性、抗菌性等)が良好に発現すると共に、少量でウイルス除去性能を向上することができる。この観点から、2価銅化合物中の銅元素質量は、光触媒化合物100質量部に対して、より好ましくは0.1〜5質量部であり、更に好ましくは0.3〜3質量部である。
ここで、この光触媒化合物100質量部に対する2価銅化合物中の銅元素質量は、2価銅化合物の原料と光触媒化合物の原料との仕込み量から算出することができる。また、この2価銅化合物中の銅元素質量は、後述するICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析により2価銅含有光触媒中における、銅元素及び光触媒化合物を構成する金属元素を測定することで特定することもできる。
<2価銅含有光触媒の製造方法>
前記の2価銅含有光触媒の製造方法には特に制限はないが、好適な製造方法を次に例示する。
(第1の製造例)
第1の製造例では、光触媒化合物と、下記一般式(2)で表される少なくとも1種の2価銅化合物原料と、水等の溶媒と、アルカリ性物質とを含む混合物を撹拌して析出させる。
CuX (2)
(式中、Xは1価の陰イオンを示す。)
これにより、2価銅化合物原料が加水分解されて2価銅化合物となり、光触媒化合物の表面に担持される。このようにして、前記の2価銅含有光触媒(2価銅担持光触媒)が得られる。
なお、光触媒化合物がルチル化率が5モル%以上である二酸化チタン、ブルッカイト化率が5モル%以上である二酸化チタン、又はアナターゼ化率5モル%以上でありNドープ型を除く二酸化チタンである場合、次の反応式に従って、前記一般式(1)で表わされる2価銅含有光触媒(2価銅担持光触媒)が得られる。
2CuX+TiO+3HO→Cu(OH)X/TiO+3HX
ここで、「Cu(OH)X/TiO」とは、Cu(OH)XがTiOに担持されていることを意味する。
また、光触媒化合物がバナジン酸ビスマスである場合、次の反応式に従って、前記一般式(1)で表わされる2価銅含有光触媒(2価銅担持光触媒)が得られる。
2CuX+BiOV+3HO→Cu(OH)X/BiOV+3HX
ここで、「Cu(OH)X/BiOV」とは、Cu(OH)XがBiOVに担持されていることを意味する。
≪光触媒化合物≫
光触媒化合物としては、前述したものを用いることができる。上記反応において、上記水100質量部に対する光触媒化合物の配合量は、3〜25質量部とすることが望ましい。3質量部以上であると生産性に優れ、25質量部以下であると、分散した液の粘度が低くなり、取扱性が容易になるので好ましい。当該観点から、上記水100質量部に対する光触媒化合物の配合量は、より好ましくは3〜20質量部、更に好ましくは4〜15質量部、より更に好ましくは5〜10質量部である。
≪一般式(2)で表わされる2価銅化合物原料≫
一般式(2)中のXは、前述の一般式(1)中のXと同一の1価の陰イオンであり、好ましくはCl、Br,I等のハロゲンに基づく1価の陰イオン、CHCOO、NO 、(SO2− 1/2等の酸の共役塩基に基づく1価の陰イオン、又はOHに基づく1価の陰イオンであり、より好ましくはCl又はCHCOOに基づく1価の陰イオンである。
一般式(2)で表される2価銅化合物原料は、1種類の2価銅化合物原料(すなわち、Xが特定の1種類である2価銅化合物原料の単体)であってもよい。また、例えばCu(NOとCu(OH)の混合物のように、Xの異なる2種類以上の2価銅化合物原料の混合物であってもよい。また、一般式(2)で表される2価銅化合物原料は、CuX(ただし、X及びXは互いに異なる1価の陰イオン)であってもよい。
この一般式(2)で表わされる2価銅化合物原料は、無水物であっても水和物であってもよい。
≪アルカリ性物質≫
アルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアミン、トリメチルアミン、アンモニア、塩基性界面活性剤(例えば、ビッグケミー・ジャパン社製BYK−9077など)等が挙げられるが、好ましくは水酸化ナトリウムである。
添加するアルカリ溶液の濃度は、好ましくは0.1〜5mol/L、より好ましくは
0.3〜4mol/L、更に好ましくは0.5〜3mol/Lである。5mol/L以下であると、添加したときに析出が均一になり好ましい。0.1mol/L以上であると、2価銅化合物を十分に光触媒化合物に担持させることができる。
≪溶媒≫
溶媒としては、水が用いられるが、更に水以外の極性溶媒を含んでもよい。原料のCuX、水、アルカリ性物質が溶解すればよい。極性溶媒としては、アルコール類、ケトン類、又はそれらの混合液が例示できる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、その他、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、あるいはこれらの混合液が例示できる。
≪混合及び撹拌≫
光触媒化合物、2価銅化合物原料、水等の溶媒、及びアルカリ性物質を混合及び撹拌する順序には特に制限はない。例えば、先ず水等の溶媒に光触媒化合物を混合すると共に必要に応じて撹拌し、次いで、2価銅化合物原料を混合し、これらを撹拌することが好ましい。ただし、先ず水等の溶媒に2価銅化合物原料を混合すると共に必要に応じて撹拌し、次いで、光触媒化合物を混合し、これらを撹拌してもよい。また、水等の溶媒に2価銅化合物原料及び光触媒化合物を同時に混合し、撹拌してもよい。
アルカリ性物質は、水等の溶媒に光触媒化合物及び/又は銅化合物原料を混合する前、途中、及び後の3つのタイミングのうち少なくとも1つのタイミングで添加すればよいが、水等の溶媒に光触媒化合物及び2価銅化合物原料を混合して十分に撹拌した後に添加するのが好ましい。
撹拌時間には特に制限はなく、例えば5〜120分間、好ましくは10〜60分、更に好ましくは15〜45分である。また、撹拌温度には特に制限はないが、例えば室温(20℃)〜70℃、より好ましくは室温〜50℃、更に好ましくは室温〜40℃である。
これら光触媒化合物、2価銅化合物原料、及び水の混合物を撹拌する際のpHは、反応温度において好ましくは8〜11である。pHが8〜11であると、2価銅化合物原料が良好に加水分解されて光触媒化合物表面に担持されると共にアルカリ性物質の使用量が低減され、廃液処理が容易となる。この観点から、pHは、より好ましくは9〜11であり、更に好ましくは9.5〜10.5である。測定は、pHメーターで行う。
≪得られた2価銅含有光触媒の分離≫
上記のようにして得られた2価銅含有光触媒(2価銅担持光触媒)は、混合液から固形分として分離することができる。この分離方法には特に限定はなく、ろ過、沈降分離、遠心分離、蒸発乾固等が挙げられるが、ろ過による分離が好適である。
分離した2価銅含有光触媒は、必要に応じて水洗、乾燥、粉砕、分級等が行われる。
(第2の製造例)
第2の製造例では、光触媒化合物と、前記一般式(1)で表される2価銅化合物の少なくとも1種と、を含む原料を混合することにより、前記の2価銅含有光触媒を得る。
混合は乾式混合でも湿式混合でもよい。湿式混合の場合、溶媒としては、水、アルコール類、ケトン類、又はそれらの混合液が例示できる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、あるいはこれらの混合液が例示できる。ケトン類としては、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、あるいはこれらの混合液が例示できる。
混合して得られた2価銅含有光触媒は、必要に応じて水洗、乾燥、粉砕、分級等が行われる。
<酸化剤>
前述のとおり、本発明のウイルス除去剤は、前述の2価銅含有光触媒に加え、酸化剤を含む。
酸化剤としては、過酸化水素、塩素酸、次亜塩素酸、過塩素酸、金属酸化物、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、過オキシ酸、アルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、パーオキシエステル、過酸化尿素、過ホウ酸塩、パーオキシカルボン酸又はその塩などの酸化物が挙げられるがこれらに限定されない。一般に市販されている過酸化水素水溶液をそのまま使ったり、希釈して使用したりすることが、取り扱い上便利である。
<2パック型のウイルス除去剤>
本発明のウイルス除去剤は、前記2価銅含有光触媒を含む第1の組成物を含む第1のパックと、前記酸化剤を含む第2の組成物を含む第2のパックからなる2パック型(2剤型)のウイルス除去剤であってもよい。
上記のとおり、2パック型のウイルス除去剤とは、第1の組成物及び第2の組成物のセットのことをいう。また、本明細書において、第1の組成物、第1の組成物が収容された第1のパック、第2の組成物及び第2の組成物が収容された第2のパックの集合体のことを、2パック型のウイルス除去剤セットという。
(第1の組成物)
第1の組成物は、前述の2価銅含有光触媒を含む。
この第1の組成物は、2価銅含有光触媒のみからなる粉末状であってもよいが、取扱性及び対象物体への接触作業の行い易さの観点から、溶媒に分散させた分散液であることが好ましい。
溶媒としては、例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類が挙げられる。
第1の組成物中における2価銅含有光触媒の銅元素濃度は、好ましくは0.001mg/L〜5000mg/L、より好ましくは0.01〜3000mg/L、更に好ましくは、0.01〜1000mg/L、より更に好ましくは0.1〜500mg/L、より更に好ましくは0.1〜250mg/L、より更に好ましくは0.1mg/L〜100mg/Lである。0.001mg/L以上であると、ウイルス除去性能が十分に得られる。5000mg/L以下であると、取扱性に優れる。
また、この第1の組成物は、2価銅含有光触媒及びバインダーを含むものであってもよく、2価銅含有光触媒及びバインダーのみからなるものであってもよい。
バインダーとしては、有機系バインダー又は無機系バインダーのいずれを用いてもよいが、2価銅含有光触媒によるバインダーの分解を避けるために無機系バインダーを用いることが好ましい。バインダーの種類は特に限定されず、例えば、2価銅含有光触媒を物体の表面に固定化するために通常用いられるシリカ系などの無機系バインダーのほか、重合や溶媒揮発により薄膜を形成可能な高分子バインダーなど任意のバインダーを用いることができる。
(第2の組成物)
第2の組成物は、前述の酸化剤を含む。
この第2の組成物は、酸化剤のみであってもよいが、酸化剤を溶媒により希釈した希釈液であることが好ましい。
溶媒としては、例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類が挙げられる。
第2の組成物中における過酸化水素等の酸化剤の濃度は、好ましくは0.001mg/L〜5000mg/L、より好ましくは0.01〜1000mg/L、更に好ましくは、0.01〜100mg/L、より更に好ましくは0.1〜10mg/L、より更に好ましくは0.1〜5mg/L、より更に好ましくは0.1mg/L〜3mg/Lである。0.001mg/L以上であると、ウイルス除去性能が十分に得られる。5000mg/L以下であると、十分なウイルス除去性能が得られる上に、第2の組成物中における酸化剤の濃度が低いため、取扱性に優れる。
<1パック型のウイルス除去剤>
本発明のウイルス除去剤は、2価銅含有光触媒及び前記酸化剤を含む1パック型(1剤型)であってもよい。
この場合、ウイルス除去剤は、溶媒を含むことが好ましい。
溶媒の種類は、2パック型のウイルス除去剤の場合と同様である。
1パック型のウイルス除去剤におけるウイルス除去性能は、2パック型のウイルス除去剤中の2価銅含有光触媒、酸化剤の濃度であれば、ウイルス除去性能が十分に得られる。
ウイルス除去剤中における2価銅含有光触媒の銅元素濃度は、好ましくは0.001mg/L〜5000mg/L、より好ましくは0.01〜3000mg/L、更に好ましくは、0.01〜1000mg/L、より更に好ましくは0.1〜500mg/L、より更に好ましくは0.1〜250mg/L、より更に好ましくは0.1mg/L〜100mg/Lである。0.001mg/L以上であると、ウイルス除去性能が十分に得られる。5000mg/L以下であると、十分なウイルス除去性能が得られる上に、取扱性に優れる。
ウイルス除去剤中における過酸化水素等の酸化剤の濃度は、好ましくは0.001mg/L〜5000mg/L、より好ましくは0.01〜1000mg/L、更に好ましくは、0.01〜100mg/L、より更に好ましくは0.1〜10mg/L、より更に好ましくは0.1〜5mg/L、より更に好ましくは0.1mg/L〜3mg/Lである。0.001mg/L以上であると、ウイルス除去性能が十分に得られる。5000mg/L以下であると、十分なウイルス除去性能が得られる上に、第2の組成物中における酸化剤の濃度が低いため、取扱性に優れる。
[第1のウイルス除去方法]
第1のウイルス除去方法は、前述のウイルス除去剤を物品に接触させる方法である。
具体的には、ウイルス除去剤を物品に、塗布、噴霧、流下、滴下させたりして、接触させることができる。また、ウイルス除去剤を含浸させた含浸体を、物品に接触させてもよい。例えば、ウイルス除去剤をタオルや不織布などに染みこませ、物体を拭いてもよい。
当該ウイルス除去方法において、ウイルス除去剤を物体に、1回だけ接触させてもよいが、2回以上接触させてもよい。2回以上接触させる場合、連続的、断続的、定期的又は自動的に接触させてもよい。
ウイルス除去剤を接触させる物品としては、金属、セラミック、ガラス、樹脂などの一般的な単一部材からなる基材や2種以上の部材からなる複合基材を挙げることができる。
<2パック型のウイルス除去剤を用いたウイルス除去方法>
前述の2パック型のウイルス除去剤を用いる場合、第1の組成物及び第2の組成物を物品に同時に接触させてもよいが、異なるタイミングで接触させてもよく、第1の組成物を物品に接触させた後、第2の組成物を物品に接触させることが好ましい。
また、第1の組成物を物品に接触させ、2価銅含有光触媒を物品に付着(固定化)させた後に、第2の組成物を物品に1回又は2回以上接触させてもよい。例えば、2価銅含有光触媒を物品に付着(固定化)させた後、時間が経過してウイルスが付着した物品に、第2の組成物を接触させて、ウイルスを除去しもよい。その後、時間の経過により再度ウイルスが付着した物品に、第2の組成物を接触させてウイルスを除去する工程を実施してもよい。このような、時間の経過後に第2の組成物を接触させてウイルスを除去する工程を、複数回実施してもよい。これにより、反応等により消失した酸化剤を補給することができ、ウイルス除去性能が向上する。
第1の組成物又は第2の組成物を物品に、塗布、噴霧、流下、滴下させたりして、接触させることができる。また、第1の組成物又は第2の組成物を含浸させた含浸体を、物品に接触させてもよい。例えば、第1の組成物又は第2の組成物をタオルや不織布などに染みこませ、物品を拭いてもよい。
<1パック型のウイルス除去剤を用いたウイルス除去方法>
前述の1パック型のウイルス除去剤を用いる場合、ウイルス除去剤を物品に1回接触させてもよく、時間をあけて2回以上接触させてもよい。これにより、ウイルス除去効果が継続する。
第1の組成物又は第2の組成物を物品に、塗布、噴霧、流下、滴下させたりして、接触させることができる。また、ウイルス除去剤を含浸させた含浸体を、物品に接触させてもよい。例えば、ウイルス除去剤をタオルや不織布などに染みこませ、物品を拭いてもよい。
[第2のウイルス除去方法]
第2のウイルス除去方法は、ルチル化率が5モル%以上である二酸化チタン、ブルッカイト化率が5モル%以上である二酸化チタン、アナターゼ化率5モル%以上でありNドープ型を除く二酸化チタン、及びバナジン酸ビスマスの少なくとも1種である光触媒化合物並びに2価銅化合物を含む2価銅含有光触媒が、物品の少なくとも表面に有する光触媒含有物品の表面に、酸化剤を接触させるウイルス除去方法である。
用いられる2価銅含有光触媒については、前述したとおりである。
(表面に2価銅含有光触媒を有する光触媒含有物品の製造方法)
2価銅含有光触媒を物品の表面に有する光触媒含有物品を製造する方法には特に制限はない。
例えば、2価銅含有光触媒をバインダーなどの固定化手段を用いて物品の表面に固定化することにより、光触媒含有物品を製造してもよい。バインダーとしては有機系バインダー又は無機系バインダーのいずれを用いてもよいが、2価銅含有光触媒によるバインダーの分解を避けるために無機系バインダーを用いることが好ましい。バインダーの種類は特に限定されず、例えば、光触媒を物品の表面に固定化するために通常用いられるシリカ系などの無機系バインダーのほか、重合や溶媒揮発により薄膜を形成可能な高分子バインダーなど任意のバインダーを用いることができる。
また、フロアーポリッシュのような適宜の手段により剥離可能なコーティング剤に2価銅含有光触媒を添加し、当該コーティング剤を物品に塗布してもよい。また、2価銅含有光触媒を膜に固定化して、連続膜の表面に2価銅含有光触媒を露出させることもできる。更に、ガラスにスパッターした薄膜状の二酸化チタンの表面に、2価銅化合物担持光触媒化合物の薄膜をスパッターし、膜状体よりなる光触媒含有物品を製造してもよい。
(表面及び内部に2価銅含有光触媒を有する光触媒含有物品の製造方法)
表面及び内部に2価銅含有光触媒を有する光触媒含有物品の製造方法には、特に制限はない。
例えば、樹脂中に2価銅含有光触媒を分散させた分散物を硬化させることにより、光触媒含有物品を得ることができる。樹脂としては天然樹脂又は合成樹脂のいずれを用いてもよい。例えは、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができるが、これらの特定の樹脂に眼定されない。
次に、光触媒含有物品の表面に、酸化剤を接触させる。
この酸化剤は、酸化剤単体であってもよいが、前述の酸化剤含有組成物であることが好ましい。
この酸化剤又は酸化剤含有組成物を当該表面に接触させる詳細は、前述したとおりである。
[ウイルス除去剤及びウイルス除去方法の適用条件等]
本発明のウイルス除去剤及びウイルス除去方法を適用する条件等は特に限定されず、任意の光線の存在下の他、暗所においても使用することができる。また、本発明のウイルス除去剤及びウイルス除去方法は、水の存在下(例えば水回り周辺など)、乾燥状態(例えば冬季などにおける低湿度の状態など)、高湿度の状態、あるいは有機物の共存下においても適用でき、これにより高いウイルス除去性能を有し、持続的にウイルスを不活化することができる。例えは壁、床、天井などのほか、病院や工場などの建築物、工作機械や測定装置類、電化製品の内部や部品(冷蔵庫、洗濯機内、食器洗浄機などの内部や空気洗浄機のフィルターなど)など、任意の対象物に適用可能である。
暗所の例として、機械内部や冷蔵庫の収納室、夜間又は不使用時に暗所となる病院施設(待合室や手術室など)への適用が好適な例として挙げられるが、これらに限定されることはない。例えば、公共の施設や病院などの、自動ドア、窓、スロープ、サッシ、ドア、手すり、テーブル、植木鉢、記入台、マガジンラックなど、人が接触する場所、ペットが接触する場所などあらゆる場所で、ウイルス除去のために定期的にウイルス除去作業が想定されるような場所で用いることが有用である。
2価銅含有光触媒を予め物品に付着させておき、明所あるいは暗所状況下で、前記のウイルス除去方法により、ウイルス除去を行ってしまうことにより、その後、明所あるいは暗所となった後にも発現するウイルス除去性能により、ウイルスが除去された状態を維持できる。
なお、当該ウイルス除去方法において、そのウイルス除去性能を発現する上で、光照射は必須ではないが、光照射の存在下であれば、更に光触媒の作用も利用可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、光触媒化合物について、下記のとおり性状を測定した。
<光触媒化合物の性状>
(BET比表面積)
光触媒化合物のBET比表面積は、株式会社マウンテック製の全自動BET比表面積測定装置「Macsorb,HM model−1208」を用いて測定した。
(二酸化チタン原料中のルチル化率、アナターゼ化率、ブルッカイト化率)
二酸化チタン原料中における各結晶化率は、粉末X線回折法により測定した。
すなわち、乾燥させた二酸化チタン原料について、測定装置としてPANalytical社製「X’pertPRO」を用い、銅ターゲットを用い、Cu−Kα1線を用いて、管電圧45kV、管電流40mA、測定範囲2θ=20〜100deg、サンプリング幅0.0167deg、走査速度1.1deg/minの条件でX線回折測定を行った。
ルチル型結晶に対応する最大ピークのピーク高さ(Hr)、ブルッカイト型結晶に対応する最大ピークのピーク高さ(Hb)、及びアナターゼ型結晶に対応する最大ピークのピーク高さ(Ha)を求め、以下の計算式により、二酸化チタン中におけるルチル型二酸化チタンの含有量(ルチル化率)、アナターゼ型二酸化チタンの含有量(アナターゼ化率)及びブルッカイトの含有量(ブルッカイト化率)を求めた。
ルチル化率(モル%)={Hr/(Ha+Hb+Hr))}×100
アナターゼ化率(モル%)={Ha/(Ha+Hb+Hr))}×100
ブルッカイト化率(モル%)={Hb/(Ha+Hb+Hr))}×100
測定結果を表1に示す。
Figure 2015097989
また、各試料の暗所におけるウイルス除去性能は、下記のとおり評価した。
(暗所における各試料のウイルス除去性能の評価:−LOG(N/N)の測定)
ウイルス除去性能は、バクテリオファージを用いたモデル実験により以下の方法で確認した。なお、バクテリオファージに対する不活化能をウイルス除去性能のモデルとして利用する方法は、例えばAppl. Microbiol Biotechnol., 79, pp.127-133, 2008に記載されており、信頼性のある結果が得られることが知られている。
後述する製造例、実施例及び比較例で得られる各種ファージ液をぺプトン入り生理食塩水を用い適宣希釈した。別に培養しておいた5.0×10〜2.0×10個/mlの大腸菌(NBRC106373)培養液とカルシウム添加LB軟寒天培地とを混合した液に、先ほど希釈した液を1ml加え混合した後、この液をカルシウム添加LB寒天培地にまき、暗所にて37℃で15時間培養した後に、ファージのプラーク数を目視で計測した。得られたプラーク数にファージ回収液の希釈倍率を乗じることによってファージ濃度Nを求めた。
初期ファージ濃度Nと、所定時間後のファージ濃度Nとから、ファージ相対濃度(−LOG(N/N))を求めた。このファージ相対濃度(−LOG(N/N))の値が大きいほど、ウイルス除去性能が優れる。
<製造例1>
蒸留水100mLに6g(100質量部)の二酸化チタンA(昭和タイタニウム株式会社製 ルチル化率95.9モル%)を懸濁させ、0.0818g(銅元素質量で0.5質量部)のCuCl・2HO(関東化学株式会社製)を添加して、10分撹拌した。pHが10になるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)水溶液を添加し、30分間撹拌混合を行ってスラリーを得た。このスラリーをろ過し、得られた粉体を純水で洗浄し、80℃で乾燥し、ミキサーで解砕し、試料を得た。
得られた試料の一部をフッ酸溶液中で加熱して全溶解し、抽出液を得た。当該抽出液中における、銅元素及び光触媒を構成する金属元素(製造例1ではチタン元素)を、ICP発光分光分析により定量した。その結果、二酸化チタン100質量部に対して、銅イオンが0.5質量部であった。すなわち、仕込みの銅イオン(CuCl・2HO由来)の全量が二酸化チタン表面に担持されていた。
<製造例2>
二酸化チタンA(昭和タイタニウム株式会社製)に代えて二酸化チタンB(昭和タイタニウム株式会社製 アナターゼ化率90.3モル%、ルチル化率9.7モル%、平均一次粒子径15nm)を用いたこと以外は製造例1と同様の操作を行い、試料を得た。
製造例1と同様にICP発光分光分析を行った結果、二酸化チタン100質量部に対して、銅イオンが0.5質量部であり、仕込みの銅イオンの全量が二酸化チタン表面に担持されていた。
<製造例3>
二酸化チタンA(昭和タイタニウム株式会社製)に代えて二酸化チタンC(昭和タイタニウム株式会社製 ブルッカイト化率64.0モル%、アナターゼ率36.0モル%)を用いたこと以外は製造例1と同様の操作を行い、試料を得た。
製造例1と同様にICP発光分光分析を行った結果、二酸化チタン100質量部に対して、銅イオンが0.5質量部であり、仕込みの銅イオンの全量が二酸化チタン表面に担持されていた。
<製造例4>
二酸化チタンA(昭和タイタニウム株式会社製)に代えてNドープ型二酸化チタンD(アナターゼ化率100モル%)を用いたこと以外は製造例1と同様の操作を行い、試料を得た。
製造例1と同様にICP発光分光分析を行った結果、二酸化チタン100質量部に対して、銅イオンが0.5質量部であり、仕込みの銅イオンの全量が二酸化チタン表面に担持されていた。
<製造例5>
二酸化チタンA(昭和タイタニウム株式会社製)に代えて酸化鉄(関東化学株式会社製)を用いたこと、さらに、銅元素質量で0.5質量部となるように、CuCl・2HO(関東化学株式会社製)を添加したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、試料を得た。なお、酸化鉄の性状を表1に示す。
製造例1と同様にICP発光分光分析を行った結果、酸化鉄100質量部に対して、銅イオンが0.5質量部であり、仕込みの銅イオンの全量が酸化鉄表面に担持されていた。
<製造例6>
二酸化チタンA(昭和タイタニウム株式会社製)に代えて、後述の手順で製造したバナジン酸ビスマス(特開2004−24936の実施例1に従い、90℃での熟成時間を18時間として合成したバナジン酸ビスマス)を用いたこと、さらに、銅元素質量で0.5質量部となるように、CuCl・2HO(関東化学株式会社製)を添加したこと以外は製造例1と同様の操作を行い、試料を得た。なお、バナジン酸ビスマスの性状を表1に示す。
製造例1と同様にICP発光分光分析を行った結果、バナジン酸ビスマス100質量部に対して、銅イオンが0.5質量部であり、仕込みの銅イオンの全量がバナジン酸ビスマス表面に担持されていた。
(バナジン酸ビスマスの製造方法)
2mol/Lの硝酸にNHVO(99.0質量%)とBi(NO・5HO(関東化学99.9質量%)を0.12モル/L溶解させた水溶液をそれぞれ調製した。これらの水溶液(100mL)を混合した後,尿素を溶解させ、ホットスターラー上で90℃(363K)に加熱し、熟成させた。尿素量は0.5モル/Lとし、熟成時間は18時間とした。得られたBiVO沈殿を濾過洗浄乾燥して、バナジン酸ビスマス(BiVO)を得た。
<製造例7>
蒸留水100mLに3gのCuCl・2HO(関東化学株式会社製)を懸濁させて、10分撹拌した。pHが10になるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)水溶液を添加し、30分間撹拌混合を行った。スラリーをろ過して、得られた粉体を純水で洗浄し、80℃で乾燥し、ミキサーで解砕してCu(OH)Cl単相としたものを試料とした。
<過酸化水素水溶液の調製>
過酸化水素の濃度が0.1mg/L、1mg/L、10mg/L、100mg/Lの4種類の濃度の異なる過酸化水素水溶液を準備した。
これら過酸化水素水溶液9.9mlを角型ケース中に加えた。次に、濃度が明らかとなっているQβファージ(NBRC20012)懸濁液(Qβファージ約6.7×106〜約2.6×107pfu/mL)を100μL滴下した。その後、この角型ケースを振とう機で緩やかに撹拌しながら、暗所で10分間保管し、ファージ液を得た。このファージ液を用い、前述の方法にて暗所におけるウイルス除去性能を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2015097989
表2に示すとおり、過酸化水素水溶液の濃度が1mg/L以下であると、過酸化水素によるファージの不活化効果(ウイルス除去性能)はほとんど認められなかった。
<実施例1〜4>
製造例1,2,6,3の2価銅担持光触媒を水に添加して、銅元素濃度が10mg/Lの2価銅担持光触媒分散液を得た。この銅元素濃度が10mg/Lの2価銅担持光触媒分散液100μLを、角型ケースに入った1.0mg/L過酸化水溶液9.9ml中に加えてウイルス除去剤を得た(2価銅担持光触媒の銅元素濃度0.1mg/L、過酸化水素の濃度約1.0mg/L)。次に、濃度が明らかとなっているQβファージ(NBRC20012)懸濁液(Qβファージ約6.7×106〜約2.6×107pfu/mL)を100μL滴下した。その後、この角型ケースを振とう機で緩やかに撹拌しながら、暗所で10分間保管し、ファージ液を得た。このファージ液を用い、前述の方法にて暗所におけるウイルス除去性能を評価した。その結果を表3に示す。
<比較例1,2>
製造例1の2価銅担持光触媒に代えて、製造例4〜5の2価銅担持光触媒を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2015097989
表3に示すとおり、実施例1〜4のウイルス除去剤によると、過酸化水素濃度が1mg/Lという低濃度であっても、高いウイルス除去性能が得られた。
一方、比較例1のウイルス除去剤は、二酸化チタンのアナターゼ化率が5モル%以上でありNドープ型の二酸化チタンであるが、ウイルス除去効果が低かった。Nドープすることが、どのようなメカニズムでウイルス除去効果を下げるのかは判らないが、実施例1,2の通り、ルチル型5モル%以上の二酸化チタン、アナターゼ型5モル%以上の二酸化チタンには、優れたウイルス除去性能があることは明らかである。本発明は、ウイルス除去性能が+1.0以上のものが含まれる。
比較例2のウイルス除去剤は、二酸化チタンに代えて酸化鉄が用いられているため、ウイルス除去効果が低かった。
<比較例3>
製造例1の2価銅担持光触媒に代えて、製造例7のCu(OH)Clを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表4に示す。
<参考例1>
製造例1の2価銅担持光触媒分散液に代えて、銅元素濃度が10mg/Lの塩化銅水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2015097989
表4に示すとおり、比較例3のウイルス除去剤は、本発明のルチル化率5モル%以上の二酸化チタンやブルッカイト化率5モル%以上の二酸化チタン、アナターゼ化率5モル%以上でNドープ型を除く酸化チタン、バナジン酸ビスマスを含有しないため、ウイルス除去性能が低かった。
また、参考例1のウイルス除去剤は、ウイルス除去性能が実施例1〜4と同程度であった。すなわち、実施例1〜4のウイルス除去剤は、固体の銅担持光触媒を用いているにもかかわらず、参考例1のような銅及び過酸化水素を溶解してなる水溶液と同程度の高いウイルス除去性能を発現することがわかった。
<比較例4>
製造例1の2価銅担持光触媒を水に添加して、銅元素濃度が0.1mg/Lの2価銅担持光触媒分散液を得た。当該分散液について、前述の評価方法に従い、暗所におけるウイルス除去性能を評価した。その結果を表5に示す。
<比較例5>
製造例7のCu(OH)Clを水に添加して、銅元素濃度が0.1mg/Lの分散液を得た。当該分散液について、前述の評価方法に従い、暗所におけるウイルス除去性能を評価した。その結果を表5に示す。
<比較例6>
銅元素濃度が0.1mg/Lの塩化銅水溶液について、前述の評価方法に従い、暗所におけるウイルス除去性能を評価した。その結果を表5に示す。
Figure 2015097989
表5に示すとおり、比較例4〜6のウイルス除去剤は、過酸化水素を含有しないため、ウイルス除去性能が低かった。
比較例4で用いられた2価銅担持光触媒は、特許文献3の銅及びチタン含有組成物に相当し、特許文献3では当該銅及びチタン含有組成物が暗所におけるウイルス除去性能を有すると記載されている。しかしながら、比較例5のように、銅元素濃度が0.1mg/Lという低濃度では、十分なウイルス除去性能が得られなかった。同様に、表2に示すとおり、濃度1.0mg/Lの過酸化水素水溶液もウイルス除去性能が低かった。これに対して、これら2種の液を混合してなる実施例1のウイルス除去剤は、これら2種の液各々における結果からは予測し得ない顕著なウイルス除去性能を有することがわかった。

Claims (13)

  1. 光触媒化合物及び2価銅化合物を含む2価銅含有光触媒、並びに酸化剤を含み、
    前記光触媒化合物が、ルチル化率5モル%以上の二酸化チタン、ブルッカイト化率5モル%以上の二酸化チタン、アナターゼ化率5モル%以上でありNドープ型を除く二酸化チタン、並びにバナジン酸ビスマスから選ばれる少なくとも1種以上を含む光触媒化合物であるウイルス除去剤。
  2. 前記光触媒化合物が、ルチル化率5モル%以上の二酸化チタン及びバナジン酸ビスマスから選ばれる少なくとも1種以上を含む光触媒化合物である、請求項1に記載のウイルス除去剤。
  3. 暗所でのファージ相対濃度(−LOG(N/N))が1.0以上である、請求項1又は2に記載のウイルス除去剤。
  4. 前記二酸化チタンは、気相法により製造されたものである、請求項1〜3のいずれかに記載のウイルス除去剤。
  5. 前記2価銅含有光触媒が、前記光触媒化合物に担持された前記2価銅化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載のウイルス除去剤。
  6. 前記2価銅化合物が、下記一般式(1)で表される2価銅化合物の少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のウイルス除去剤。
    Cu(OH)X (1)
    (式中、Xは1価の陰イオンを示す。)
  7. 酸化剤の濃度が、0.001mg/L〜5000mg/Lである、請求項1〜6のいずれかに記載のウイルス除去剤。
  8. 前記2価銅化合物中の銅元素質量が、光触媒化合物100質量部に対して0.01〜10質量部である、請求項1〜7のいずれかに記載のウイルス除去剤。
  9. 前記2価銅含有光触媒を含む第1の組成物を含む第1のパックと、前記酸化剤を含む第2の組成物を含む第2のパックからなる2パック型である、請求項1〜8のいずれかに記載のウイルス除去剤。
  10. 前記第2の組成物が、酸化剤及び溶媒を含み、前記溶媒が、水、エチルアルコール及びイソプロピルアルコールの少なくとも1種を含む、請求項9に記載のウイルス除去剤。
  11. 前記第2の組成物が、0.001mg/L〜5000mg/Lの過酸化水素溶液である、請求項9に記載のウイルス除去剤。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のウイルス除去剤を物品に接触させる、ウイルス除去方法。
  13. 物品からウイルスを除去するウイルス除去方法であって、
    前記物品は、ルチル化率が5モル%以上である二酸化チタン、ブルッカイト化率が5モル%以上である二酸化チタン、アナターゼ化率5モル%以上でありNドープ型を除く二酸化チタン、及びバナジン酸ビスマスの少なくとも1種である光触媒化合物並びに2価銅化合物を含む2価銅含有光触媒を、少なくとも表面に有する光触媒含有物品であり、
    前記光触媒含有物品に酸化剤を接触させることを特徴とする、ウイルス除去方法。
JP2013239027A 2013-11-19 2013-11-19 ウイルス除去剤及びウイルス除去方法 Ceased JP2015097989A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013239027A JP2015097989A (ja) 2013-11-19 2013-11-19 ウイルス除去剤及びウイルス除去方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013239027A JP2015097989A (ja) 2013-11-19 2013-11-19 ウイルス除去剤及びウイルス除去方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015097989A true JP2015097989A (ja) 2015-05-28

Family

ID=53374998

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013239027A Ceased JP2015097989A (ja) 2013-11-19 2013-11-19 ウイルス除去剤及びウイルス除去方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015097989A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190019349A (ko) * 2017-08-17 2019-02-27 한국과학기술연구원 수처리용 흡착제 및 이의 제조방법
CN111820239A (zh) * 2020-06-30 2020-10-27 东莞东阳光科研发有限公司 一种液体组合物及其制备方法与应用
WO2022091547A1 (ja) * 2020-10-29 2022-05-05 Dic株式会社 手袋
JPWO2023032686A1 (ja) * 2021-09-01 2023-03-09

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006232729A (ja) * 2005-02-24 2006-09-07 Taki Chem Co Ltd ファージ・ウイルスの不活性化剤及び水溶性塗料
JP2009040760A (ja) * 2007-08-10 2009-02-26 K I Chemical Industry Co Ltd 除菌、除ウイルス剤及び除菌、除ウイルス方法
WO2013094572A1 (ja) * 2011-12-22 2013-06-27 昭和電工株式会社 銅及びチタン含有組成物並びにその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006232729A (ja) * 2005-02-24 2006-09-07 Taki Chem Co Ltd ファージ・ウイルスの不活性化剤及び水溶性塗料
JP2009040760A (ja) * 2007-08-10 2009-02-26 K I Chemical Industry Co Ltd 除菌、除ウイルス剤及び除菌、除ウイルス方法
WO2013094572A1 (ja) * 2011-12-22 2013-06-27 昭和電工株式会社 銅及びチタン含有組成物並びにその製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190019349A (ko) * 2017-08-17 2019-02-27 한국과학기술연구원 수처리용 흡착제 및 이의 제조방법
KR102010135B1 (ko) * 2017-08-17 2019-08-12 한국과학기술연구원 수처리용 흡착제 및 이의 제조방법
CN111820239A (zh) * 2020-06-30 2020-10-27 东莞东阳光科研发有限公司 一种液体组合物及其制备方法与应用
CN111820239B (zh) * 2020-06-30 2023-06-30 东莞东阳光科研发有限公司 一种液体组合物及其制备方法与应用
WO2022091547A1 (ja) * 2020-10-29 2022-05-05 Dic株式会社 手袋
JPWO2022091547A1 (ja) * 2020-10-29 2022-05-05
JPWO2023032686A1 (ja) * 2021-09-01 2023-03-09
JP7477053B2 (ja) 2021-09-01 2024-05-01 Dic株式会社 水耕栽培用培地、水耕栽培用培地の製造方法、水耕栽培用培地を用いた水耕栽培方法、及び藻の発生抑制用の分散液

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5343176B1 (ja) 銅及びチタン含有組成物並びにその製造方法
TWI534217B (zh) 抗菌抗病毒性組成物及其製造方法
JP6342225B2 (ja) 光触媒複合体材料及びその製造方法
JP2015059089A (ja) 抗ウイルス性組成物、その製造方法およびウイルス不活性化方法
JPWO2006064799A1 (ja) 可視光応答性を有する複合金属酸化物光触媒
WO2015125367A1 (ja) 抗ウイルス性組成物、抗ウイルス剤、光触媒およびウイルス不活性化方法
JP2015097989A (ja) ウイルス除去剤及びウイルス除去方法
AU2009202340A1 (en) Zirconium oxalate sol
KR101767528B1 (ko) BiVO₄가 담지된 산화티탄, 그 제조 방법 및 항바이러스성 조성물
WO2015025715A1 (ja) 光触媒材料
JP5946096B2 (ja) 環境耐性のある新規な可視光応答性光触媒
JP2012096133A (ja) 消臭性ルチル型酸化チタン微粒子および該微粒子を含む消臭性塗膜形成用塗布液、消臭性塗膜付基材
US11590479B2 (en) Interior material having surface layer having visible light-responsive photocatalytic activity, and method for manufacturing same
TW201632071A (zh) 抗病毒性組成物、抗病毒劑、光觸媒及病毒惰性化方法
JP2013123591A (ja) 酸化チタン系抗菌・消臭剤、該酸化チタン系抗菌・消臭剤分散液、および酸化チタン系抗菌・消臭剤付繊維または布
KR20050103602A (ko) 실내용 광촉매 코팅제 및 그의 제조 방법
JP2020182918A (ja) 酸化チタン組成物の製造方法
JP2006089380A (ja) 抗菌・消臭性酸化チタンコロイド溶液の製造方法
JP5331193B2 (ja) 混合原子価銅化合物担持酸化タングステンおよびその製造方法
JP2015134726A (ja) 抗ウイルス性組成物、その製造方法及びウイルス不活化方法
JP2002194296A (ja) 塗料組成物
JP5688631B2 (ja) 触媒体担持方法、触媒体担持基材及び触媒体担持液調製用キット
JP2004210646A (ja) 抗菌剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160804

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170425

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170614

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171024

A045 Written measure of dismissal of application [lapsed due to lack of payment]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045

Effective date: 20180227