JP2015095512A - 積層コイル部品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Cu−CuO平衡分圧以下での脱脂および焼成を行った場合にも、磁性体部が十分な大きさの比抵抗を確保できる、銅を内部導体とした積層コイル部品を提供すること。
【解決手段】少なくともFe、Ni、Zn、CuおよびMnを含む磁性体部と、磁性体部に内蔵される銅を主成分とする導体部とを含む積層コイル部品において、磁性体部の結晶粒内に含まれる銅含有量(CuO換算)を、結晶粒界に含まれる銅含有量(CuO換算)以上とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層コイル部品に関し、より詳細には、少なくともFe、Ni、Zn、CuおよびMnを含む磁性体部と、銅を主成分としたコイル状の導体部とを有する積層コイル部品に関する。
積層コイル部品の内部導体として銅を用いる場合、銅が酸化しないような還元雰囲気で銅導体とフェライト材料とを同時焼成する必要があるが、このような条件下で焼成すると、フェライト材料のFeが3価から2価に還元され、積層コイル部品の比抵抗が低下する等の問題がある。したがって、一般的に、銀を主成分とする導体が用いられてきた。しかしながら、低抵抗であることや導通性に優れていること、かつ銀よりも安価であることを考慮すると、銅を主成分とする導体を用いることが好ましい。
特許文献1は、フェライト材料からなる磁性体部と、銅を主成分とする導体部とを有し、前記磁性体部が、3価のFeと少なくとも2価のNiを含む2価元素とを含有すると共に、前記Feの含有量が、Feに換算してモル比で20〜48%であり、かつ、FeおよびMnの総計に対するMnの比率が、MnおよびFeに換算してモル比で50%未満(0%を含む)となるように、前記磁性体部が前記Mnを含有していることを特徴としたセラミック電子部品を開示している。このような組成とすることにより、3価のFeが2価に還元されることを抑制することができ、銅とフェライト材料を同時焼成しても、フェライト材料の比抵抗の低下を抑制して、所望の絶縁性を確保することができるとしている。
国際公開第2011/108701号
特許文献1に記載のセラミック電子部品(積層コイル部品)は、有機バインダーを含む銅ペーストを磁性体シートに塗布して導体パターンを形成し、この導体パターンを形成した磁性体シートおよび導体パターンを形成していない磁性体シートを適宜積層して、得られた積層体を脱脂した後、焼成して作製される。
上記の脱脂の際には、内部導体の銅が酸化しないように、酸素濃度をCu−CuO平衡分圧以下に制御する必要があるが、このように銅が酸化しないような酸素濃度の雰囲気下で脱脂を行うと、ペーストに含まれるバインダー等が完全に脱脂されず、積層体中にペーストに起因する炭素が残存する傾向がある。このように炭素が残存した状態で積層体を焼成すると、磁性体部の比抵抗が低下する虞がある。
このような比抵抗の低下は、特許文献1に記載のような一般的なコイル部品として用いる場合は大きな問題とならないが、コモンモードチョークコイルなどの電極間に電位差が発生する用途に用いる場合は、必ずしも信頼性が十分でないという問題があった。
本発明の目的は、Cu−CuO平衡分圧以下での脱脂および焼成を行った場合にも、磁性体部が十分な絶縁性、即ち十分な大きさの比抵抗を確保できる、銅を内部導体とした積層コイル部品を提供することにある。
本発明者は、上記問題を解消すべく鋭意検討した結果、積層コイル部品において、磁性体部の結晶粒内に含まれる銅含有量(CuO換算)を、結晶粒界に含まれる銅含有量(CuO換算)以上とするとすることにより、内部導体として銅を用いて、Cu−CuO平衡分圧以下の雰囲気で脱脂、焼成を行った場合にも高い比抵抗を達成できることを見出し、本発明に至った。
本発明の1つの要旨によれば、少なくともFe、Ni、Zn、CuおよびMnを含む磁性体部と、磁性体部に内蔵される銅を主成分とする導体部とを含む積層コイル部品であって、磁性体部の結晶粒内に含まれる銅含有量(CuO換算)が、結晶粒界に含まれる銅含有量(CuO換算)以上であることを特徴とする、積層コイル部品が提供される。
本発明によれば、磁性体部の結晶粒内に含まれる銅含有量(CuO換算)を、結晶粒界に含まれる銅含有量(CuO換算)以上とするとすることにより、Cu−CuO平衡分圧以下の雰囲気で、銅導体と磁性体部を同時焼成したとしても、磁性体部が高い比抵抗を有する積層コイル部品が提供される。
本発明の1つの実施形態における積層コイル部品の概略斜視図である。 図1の実施形態における積層コイル部品の概略断面図であって、図1のA−A線に沿って見たものである。 図1の実施形態における積層コイル部品の概略分解斜視図であって、外部電極を省略した図である。 フェライト材料の素原料におけるFe含有量(mol%)およびMn含有量(mol%)の組成範囲を示す図である。 比抵抗測定用試料の作製に用いる電極パターンを示す図である。 比抵抗測定用試料の概略分解斜視図であって、外部電極を省略した図である。 比抵抗測定用試料の概略斜視図である。 磁性体部の結晶粒子内および結晶粒界におけるCu含有量の測定箇所を例示的に示す図である。
本発明の積層コイル部品、具体的にはコモンモードチョークコイルおよびその製造方法について、以下、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明の積層コイル部品の構成、形状、巻回数および配置等は、図示する例に限定されないことに留意されたい。
図1〜3に示すように、本実施形態の積層コイル部品(コモンモードチョークコイル)10は、積層体1(以下、「磁性体部」ともいう)の周囲に外部電極2a〜2dが設けられ、積層体1の内部には、2つのコイル導体3、4が対向するように埋設されている。コイル導体3の両端は外部電極2a、2bに、コイル導体4の両端は外部電極2c、2dにそれぞれ接続される。
図3に示されるように、積層体1は、積層された磁性体層5a〜5jより構成される。コイル導体3は、ビアホール6aにより接続された内部導体3aおよび3b、ならびに引き出し部7a、7bから構成されており、この引き出し部は、それぞれ、外部電極2a、2bに接続される。コイル導体4は、ビアホール6bにより接続された内部導体4aおよび4b、ならびに、引き出し部7c、7dから構成されており、この引き出し部は、それぞれ、外部電極2c、2dに接続される。内部導体3aおよび4aは、渦巻状の形状を有し、磁性体層5eを挟んで対向して配置されている。
積層体(磁性体部)は、少なくともFe、Ni、Zn、CuおよびMnを含む焼結フェライトから構成され得る。コイル導体6は、銅を主成分として含む導体、好ましくは実質的に銅から成る導体、例えば銅の含有量が98.0〜99.5質量%である導体から構成される。外部電極は、上記導体コイルと同様の導体から構成され得る。
本実施形態において、積層コイル部品10は、以下のようにして製造される。本実施形態の製造方法は、概略的には、磁性体層5a〜5jに対応する磁性体シートを作製し、磁性体層5d〜5gに対応するシート上に導体パターンを形成し、ついで、導体パターンを形成した磁性体シート(5d〜5g)および導体パターンを形成していない磁性体シート(5a〜5cおよび5h〜5j)を図3に示すように積層して得られた積層体1を焼成することにより作製される。
以下に、積層コイル部品10の製造方法について、さらに詳しく説明する。
まず、Fe、Ni、Zn、CuおよびMnを含むフェライト材料を準備する。
フェライト材料は、Fe、Ni、Zn、CuおよびMnを含み、必要に応じて添加成分を更に含んでいてもよい。通常、フェライト材料は、これらの主成分の素原料として、Fe、NiO、ZnO、CuOおよびMnの粉末を所望の割合で混合および仮焼して調製され得るが、これに限定されるものではない。
このフェライト材料におけるFe含有量(Fe換算)およびMn含有量(Mn換算)(主成分合計基準)は、図4に示す領域Xの範囲以内とする。図4は、Fe含有量(Fe換算)をx軸にとり、Mn含有量(Mn換算)をy軸にとったグラフであり、図中の各点(x,y)は、A(30,1)、B(47,1)、C(47,7.5)、D(45,7.5)、E(45,10)、F(35,10)、G(35,7.5)、H(30,7.5)である。即ち、これら点A〜Hで囲まれた領域Xの範囲は、Fe含有量(Fe換算)が30mol%以上47mol%以下で、かつMn含有量(Mn換算)が1mol%以上7.5mol%未満である領域と、Fe含有量(Fe換算)が35mol%以上45mol%以下で、かつMn含有量(Mn換算)含有量が7.5mol%以上10mol%以下である領域を合わせたものに一致する。Fe含有量(Fe換算)およびMn含有量(Mn換算)を図4に示す領域Xの範囲以内とすることにより、Cu−CuO平衡分圧以下の雰囲気で、脱脂、焼成しても、3価のFeの還元を抑制することができ、磁性体層において高い比抵抗を確保することが可能になる。
フェライト材料におけるZn(ZnO換算)含有量は、33mol%以下(主成分合計基準)とすることが好ましく、6〜33mol%とすることがより好ましい。Zn(ZnO換算)含有量を6mol%以上とすることによって、高い透磁率を得ることができる。また、Zn(ZnO換算)含有量を33mol%以下とすることによって、キュリー点の低下を回避でき、積層コイル部品の動作温度の低下を回避できる。
フェライト材料におけるCu(CuO換算)含有量は、0〜5.0mol%(主成分合計基準)、好ましくは1.0〜5.0mol%とする。Cu(CuO換算)含有量を0〜5.0mol%として積層体を焼成することによって、焼結性を高めることができ、またさらに比抵抗を高めることができる。
フェライト材料におけるNi(NiO換算)含有量は、特に限定されず、上述した他の主成分であるFe、Mn、ZnおよびCuの残部とし得る。
次に、少なくともSi、Bおよびアルカリ土類金属を含むガラス成分を準備する。
上記アルカリ土類金属は、Ba、Sr、CaおよびMgからなる群から選択される。アルカリ土類金属は、1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ガラス成分は、Si、Bおよびアルカリ土類金属以外の成分、例えばアルカリ金属(例えば、リチウム)、アルミニウムなどを含んでいてもよい。
上記ガラス成分は、上記フェライト材料の合計100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは1〜5質量部用いられる。本実施形態においては、上記ガラス成分は、フェライト材料の主成分(Fe(Fe換算)、Ni(NiO換算)、Zn(ZnO換算)、Cu(CuO換算)およびMn(Mn換算))の合計100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは1〜5質量部用いられる。ガラス成分の含有量をフェライト材料の主成分100質量部に対して1質量部以上とすることによって、磁性体部の結晶粒界にガラス相が形成されることにより、磁性体部の表面、表面近傍のみならず、内部の比抵抗を高く維持することができ、所望の絶縁性を確保することができる。また、ガラス成分の含有量を5質量部以下とすることによって、良好な透磁率を確保することができる。
本発明の積層コイル部品の磁性体部において、上記ガラス成分に含有されるSi、Bおよびアルカリ土類金属(M)の含有量が、それぞれ、20〜55質量%(SiO換算)、10〜20質量%(B換算)および25〜60質量%(MO換算)であることが好ましい。このような範囲とすることにより、結晶粒界にガラス相を十分に形成することができ、比抵抗がより向上する。
次に上記フェライト材料およびガラス成分を用いて磁性体シートを準備する。例えば、フェライト材料およびガラス成分を、バインダー樹脂および有機溶剤を含む有機ビヒクルと混合/混練し、シート状に成形することにより磁性体シートを得てよいが、これに限定されるものではない。
別途、銅を含む導体ペーストを準備する。市販で入手可能な、銅を粉末の形態で含む一般的な銅ペーストを使用できるが、これに限定されない。
次いで、積層体を形成する。積層体の形成方法は、特に限定されず、シート積層法および印刷積層法などを利用して積層体を形成してよい。シート積層法による場合、磁性体シートに、適宜ビアホールを設けて、導体ペーストを所定のパターンで(ビアホールが設けられている場合には、ビアホールに充填しつつ)印刷して導体パターンを形成し、導体パターンが形成された磁性体シートおよび導体パターンが形成されていない磁性体シートを適宜積層および圧着し、所定の寸法に切断して、積層体を得ることができる。印刷積層法による場合、磁性体シートに、導体ペーストを所定のパターンで印刷して導体ペースト層を形成し、その上に、必要に応じてビアホールを設けた別の磁性体シートを載せ、導体ペーストを所定のパターンで(ビアホールがある場合には充填しつつ)印刷し、このような操作を適宜繰り返して所定のコイル導体を形成した後、最後に磁性体シートを載せて圧着し、所定の寸法に切断して、積層体を得ることができる。導体パターンの形成には、その他、めっき法、転写法、スパッタ等の薄膜形成法を用いてもよい。このように得られた積層体は、複数個をマトリクス状に一度に作製した後に、ダイシング等により個々に切断して(素子分離して)個片化したものであってよいが、予め個々に作製したものであってもよい。
次に、上記で得られた未焼成積層体を、Cu−CuO平衡酸素分圧以下の雰囲気で、約500〜700℃で約8〜12時間熱処理して脱脂し、ついで、Cu−CuO平衡酸素分圧以下の雰囲気で、約900〜1050℃で約2時間焼成し、コイル導体3および4を含む焼結積層体1を作製する。
Cu−CuO平衡酸素分圧以下の雰囲気で未焼成積層体を熱処理することにより、導体部のCuが酸化するのを回避することができる。また、空気中で熱処理する場合よりも低温で未焼成積層体を焼結できる。本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、低酸素濃度雰囲気で焼成した場合、結晶構造中に酸素欠陥が形成され、かかる酸素欠陥を介してFe、Mn、Ni、Cu、Znの相互拡散が促進され、低温焼結性を高めることができるものと考えられる。また、この焼成により、結晶粒界にはガラス相が形成され、結晶粒界の銅成分の含有量が少なくなるので、比抵抗の低下を防止することができる。
次に、上記で得られた積層体1の側面に、外部電極2a〜2dを形成する。外部電極2a〜2dの形成は、例えば、積層体の側面に銅ペーストを塗布し、乾燥した後、約900℃で焼き付けることにより実施し得る。
以上のようにして、本実施形態の積層コイル部品10(コモンモードチョークコイル)が製造される。なお、磁性体部におけるFe含有量(Fe換算)、Mn含有量(Mn換算)、Cu含有量(CuO換算)、Zn含有量(ZnO換算)およびNi含有量(NiO換算)ならびにガラス成分のSi(SiO換算)、B(B換算)、Al(Al換算)、Li(LiO換算)、Ba(BaO換算)、Sr(SrO換算)、Ca(CaO換算)、Mg(MgO換算)などは、それぞれ、焼成前のフェライト材料におけるFe含有量(Fe換算)、Mn含有量(Mn換算)、Cu含有量(CuO換算)、Zn含有量(ZnO換算)およびNi含有量(NiO換算)ならびにガラス成分のSi(SiO換算)、B(B換算)、Al(Al換算)、Li(LiO換算)、Ba(BaO換算)、Sr(SrO換算)、Ca(CaO換算)、Mg(MgO換算)と実質的に相違ないと考えて差し支えない。
このようにして得られた積層コイル部品は、磁性体部の結晶粒内に含まれる銅含有量(CuO換算)が、結晶粒界に含まれる銅含有量(CuO換算)以上となる。磁性体部の結晶粒内に含まれる銅含有量(CuO換算)を、結晶粒界に含まれる銅含有量(CuO換算)以上とすることにより、磁性体部の比抵抗を大きくすること、具体的には1×10Ω・cm以上とすることが可能になる。
本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、フェライト材料およびガラス成分を用いて磁性体層を形成することにより、焼成時にガラス成分が優先的に結晶粒界に存在するので、粒界へ銅成分が吐き出されるのが抑制される。従って銅成分は、結晶粒内に多量に存在するようになると考えられる。結晶粒界に存在する銅成分(二価)が還元されてCuまたはCuとなると磁性体部の比抵抗が低下するが、本願発明の積層コイル部品では、上記のように銅成分がガラス成分により粒界へ吐き出されるのが抑制されるので、比抵抗の低下が抑制される。なお、銅成分は異相として偏在する場合もあるが、異相は磁性体部において部分的(非連続的)に存在するので、磁性体部の比抵抗に大きな影響を与えないと考えられる。さらに、結晶粒界は、磁性体部において連続的に存在するので、ここに存在するガラス相により、比抵抗が増加すると考えられる。
結晶粒内の銅含有量(CuO換算)および結晶粒界の銅含有量(CuO換算)は、積層コイル部品を研磨し、透過型電子顕微鏡(TEM)のエネルギー分散型X線分光法(EDX)により、それぞれ、図8に記載の箇所、即ち、素子の断面における結晶粒子21の略中心部および結晶粒子の結晶境界22のスポット(直径2nm)(結晶粒子内の測定箇所23および結晶粒界の測定箇所24)における銅含有量を測定し、これをCuOに換算し、複数個、例えば5箇所の平均として定義される。
以上、本発明の1つの実施形態について説明したが、本発明は当該実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
(1)グリーンシートの作製
Fe、Mn、CuO、NiOおよびZnO粉末を準備し、それぞれ表1の材料1〜6に示される割合になるように秤量した。これら秤量物を純水およびPSZ(Partial Stabilized Zirconia;部分安定化ジルコニア)ボールと共に、ボールミルに入れ、48時間混合粉砕した。粉砕処理物を蒸発乾燥した後、焼成炉にて750℃で2時間仮焼処理を行った。
Figure 2015095512
次に、表2に示した組成からなるガラス粉末を準備し、上記で得られた材料1〜6の仮焼物100質量部に対し、表3の試料1〜9に示される添加量になるようにガラス粉末を添加した。この秤量物をPSZボールと一緒にボールミルに入れ、純水を加え、湿式で24時間混合粉砕した。さらにアクリル系バインダー(有機バインダ)を仮焼物とガラス粉末の合計に対して8質量%加えて十分に混合し、ドクターブレード法により厚さ25μmのグリーンシートを作製し、これを50mm角の大きさに打ち抜き、試料1〜9の磁性体シートを作製した。
Figure 2015095512
(2)評価用試料の作製
(2−i)比抵抗測定用試料の作製
上記(1)で作製した試料1〜9の磁性体シートの各々について、図5に示すように磁性体シート10の表面に、別途調製した、銅粉末、ワニスおよび有機溶剤を含むCuペースト(内部導体形成用のCuペースト)を、スクリーン印刷し、絶縁抵抗測定用試料(即ち、積層コンデンサの形状の試料)の電極パターン11を形成した。
次に、図6に示すように、電極パターン11を形成したシートを、所定枚数の電極パターンを形成していないシートで挟み、60℃の温度で100MPaの圧力で圧着し圧着ブロックを作製した。そして、この圧着ブロックを所定のサイズに切断して絶縁抵抗測定用積層体を作製した。
得られた積層体を焼成炉に入れ、N−H−HO混合ガスを焼成炉に供給し、600℃の温度で10時間保持して脱脂した。酸素分圧は銅が酸化しないように、600℃でのCu−CuOの平衡酸素分圧(2.8×10−14MPa)の1〜1/100倍の雰囲気に調整しながら脱脂を行った。さらに、950℃の温度に昇温し、950℃のCu−CuO平衡酸素分圧(7.3×10−13MPa)の雰囲気に調整しながら、2時間保持して焼成を行い、焼結積層体13を作製した。
この焼結積層体を水と共に、遠心バレル機のバレルポットに入れて遠心バレル処理を行い、焼結積層体13から内部電極を露出させた。
その後、銅粉末、ガラスフリットおよびビヒクルからなるCuペースト(外部電極形成用のCuペースト)を用意し、この外部電極用Cuペーストを、バレル処理した焼結積層体の両端部に塗布した後、温度900℃、Cu−CuO平衡酸素分圧以下の雰囲気で10分焼き付けて、外部電極14を形成した。これにより、比抵抗測定用の図7に示すような形状の積層型のコンデンサを作製した。作製した試料(積層型のコンデンサ)の形状は、長さ(L)1.2mm、幅(W)1.0mm、高さ(T)0.5mmであり、内部電極間のフェライト層の厚みは約20μmである。
(2−ii)初透磁率測定用の試料の作製
上記(1)で作製した試料1〜9の磁性体シート(電極パターンを印刷していないシート)を、それぞれ、厚さが総計で1.0mmとなるように複数枚積層した後、60℃の温度で100MPaの圧力で60秒間圧着し、圧着ブロックを作製した。そして、この圧着ブロックを、外径20mm、内径12mmのリング状に切断した。得られたリング状成型体を比抵抗測定用試料と同じ条件で焼成し、初透磁率測定用のリング状試料を作製した。
(2−iii)コモンモードチョークコイルの作製
図1〜3に示されるようなコモンモードチョークコイルを次のようにして作製した。
上記(1)で作製した試料1〜9の磁性体シートの所定箇所にレーザ加工機を使用し、ビアホールを形成した。
次に、上記(2−ii)の内部導体形成用のCuペーストを使用して、磁性体シート上にスクリーン印刷し、2つのコイルパターンおよび引出電極を形成し、かつ、ビアホールを上記銅ペーストで充填しビア導体を作製した。
次いで、これら磁性体シートを図3に示すように積層し、上下両主面に外装用磁性体シートを配し、これらを60℃に加熱し100MPaの圧力で60秒間加圧して圧着し、所定寸法に切断し、積層成形体を作製した。
次に、N−H−HOの混合ガスで600℃でのCu−CuOの平衡酸素分圧(2.8×10−14MPa)の1〜1/100倍の雰囲気に調整しながら、この温度で脱脂を行った。次いで、N−H−HOの混合ガスで950℃でのCu−CuO平衡酸素分圧(7.3×10−13MPa)に雰囲気調整された焼成炉に供給し、925〜1000℃で2時間焼成し、部品素体を得た。
この部品素体を水と共に、遠心バレル機のバレルポットに入れて遠心バレル処理を行った。
次に、部品素体の側面4箇所に、上記の外部電極形成用の銅ペーストを塗布した後、温度900℃、Cu−CuO平衡酸素分圧下で10分焼き付け、その後電解めっきを行い、表面にNi皮膜及びSn皮膜が順次形成された外部電極を形成し、これにより図1に記載のようなコモンモードチョークコイルを作製した。作製した試料の形状は、長さ(L)1.2mm、幅(W)1.0mm、高さ(T)0.5mmである。
(3)試料の評価
(3−i)比抵抗の測定
上記(2−i)で作製した積層型のコンデンサの各々について、外部電極間に50Vの電圧を30秒印加し、流れる電流を測定し抵抗値を求め、試料形状から比抵抗ρ(Ω・cm)をlog ρで算出した。結果を表3に示す。
(3−ii)初透磁率の測定
上記(2−ii)で作製したリング状試料の各々について、透磁率測定冶具(アジレント・テクノロジー社製、16454A−s)に収容し、インピーダンスアナライザ(アジレント・テクノロジー社製、E4991A)を使用し、測定周波数1MHzで初透磁率μを測定した。結果を表3に示す。
(3−iii)銅含有量の測定
上記(2−iii)で作製したコモンモードチョークコイルの各々について、試料を研磨し、薄片加工した後、透過型電子顕微鏡TEM(日立ハイテクノロジー社製HD−2300A)を用いて、結晶粒子内、および結晶粒界部の所定箇所において、2nmのプローブを用いてEDX(エネルギー分散型X線分光法)分析することにより、Cuの含有量を定量した。具体的には、図8に示すように、結晶粒子内については、結晶粒子の略中央部をEDXにて分析し、Cu成分をCuOに換算してその含有量を求め、これを任意に選んだ結晶粒子5個について行い、平均を求め、結晶粒子内のCu成分含有量とした。また、結晶粒界部については、結晶粒界部をEDXにて分析し、Cu成分をCuOに換算してその含有量を求め、これを任意に選んだ結晶粒界部5箇所について行い、平均を求め、結晶粒界部のCu成分含有量とした。結果を表3に示す。
上記(2−iii)で作製したコモンモードチョークコイルの各々について、試料のコイル導体間(コイル導体3およびコイル導体4)に直流電圧を徐々に昇圧しながら印加し、漏れ電流が0.1mAになった時の電圧を測定し、試料10個の測定値の平均を求め、リーク電流とした。結果を表3に示す。
なお、表3において、*を付した試料番号1、8および9は比較例であり、試料番号2〜7は実施例である。
Figure 2015095512
表3に示されるように、試料1のようにガラス成分を含まない場合は、Fe、Mn、NiO、ZnOに比べて比較的融点が低いCu成分が結晶粒界部に多く存在することが確認された。この結果、ガラス成分を1〜5質量部含む試料2〜7(log ρ>7)と比較して、比抵抗が小さくなる(log ρ=6.2)ことが確認された。これは、Cu−CuOの平衡酸素分圧で焼成すると結晶粒界に局在するCu成分は還元されて、CuまたはCuなどが生成されることが原因であると考えられる。
試料番号2〜7のように、ガラス成分を1〜5質量部含む場合は、CuOよりもさらに融点の低いガラス成分が結晶粒界に多く存在し、Cu成分は結晶粒界からはき出され、結晶粒子内に存在するCu成分量の同等以下になることが確認された。この結果、結晶粒界部の比抵抗の低下が抑制され、高い比抵抗(log ρ>7)になったと考えられる。
試料8および9のように、ガラス成分を含むが、磁性体層を形成するフェライト材料のCu含有量が5.0mol%を超えている場合は、Cu成分が、ガラス成分により結晶粒界部から十分にはき出されず、結晶粒界部に残っていることが確認された。この結果、結晶粒界部の抵抗が低下し、比抵抗が低下すると考えられる。
本発明によって得られる積層コイル部品は、高い磁性体部の絶縁性が求められるコモンモードチョークコイルなどとして、幅広く様々な用途に使用され得る。
1…積層体
2a〜2d…外部電極
3…コイル導体
4…コイル導体
5a〜5j…磁性体層
6a,6b…磁ビアホール
7a〜7d…引き出し部
10…磁性体シート
11…電極パターン
12…内部電極
13…焼結積層体
14…外部電極
21…結晶粒子
22…結晶粒界
23…結晶粒子内の測定箇所
24…結晶粒界の測定箇所

Claims (4)

  1. 少なくともFe、Ni、Zn、CuおよびMnを含む磁性体部と、磁性体部に内蔵される銅を主成分とする導体部とを含む積層コイル部品であって、
    磁性体部の結晶粒内に含まれる銅含有量(CuO換算)が、結晶粒界に含まれる銅含有量(CuO換算)以上であることを特徴とする、積層コイル部品。
  2. 磁性体部が、Fe、Mn、Ni、ZnおよびCuを含むフェライト材料、およびガラス成分から形成され、フェライト材料における銅含有量(CuO換算)が1.0〜5.0mol%であり、ガラス成分の含有量が、フェライト材料100質量部に対して、1〜5質量部であることを特徴とする、請求項1に記載の積層コイル部品。
  3. ガラス成分が、少なくともSi、B、ならびにBa、Sr、CaおよびMgからなる群から選択される少なくとも一種のアルカリ土類金属を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のコイル部品。
  4. 積層コイル部品が、コモンモードチョークコイルであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層コイル部品。
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