JP2015095289A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたサイクル耐久性を有するリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】本発明のリチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備え、該正極活物質はジルコニウムを0.25mol%以上含み、該非水電解質にリチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェートが0.25質量%以上1.00質量%以下の範囲で添加されている。【選択図】図3

Description

本発明はリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、充放電サイクルや長期保管に伴って、内部抵抗が増加することが知られている。そして、これにより電池の容量低下や出力低下が引き起こされる。従来、電池の内部抵抗の増加を抑制し耐久性を向上させるため、様々な試みがなされている。たとえば、特開2012−253010号公報(特許文献1)には、非水電解質溶液がリチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェートを含む蓄電素子が開示されている。
特開2012−253010号公報
リチウムイオン二次電池において充放電サイクルに伴う内部抵抗増加を抑制するためには、負極表面上にリチウムイオン(Li+)を透過し、かつ電子伝導性を有さない被膜を形成することが有効である。このような被膜はSEI(Solid Electrolyte Interface)とも呼ばれ、主に非水電解質の分解生成物であるアルキル炭酸リチウム(ROCOLi(Rはアルキル基))やフッ化リチウム(LiF)等から構成されている。SEIが形成された負極表面は非水電解質の還元に対して不活性であるため、充放電サイクルに伴う非水電解質の分解が抑制され、その結果サイクル耐久性が向上する。
特許文献1に開示されているリチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェート(以下「LiFOP」と略記することもある)はLiPF2(C242の組成式で表わされる化合物であり、金属リチウムに対して2.0V程度の電位で還元分解する。したがって、LiFOPをリチウムイオン二次電池の非水電解質に添加した場合、初回の充電時に還元分解され、その分解生成物が負極表面に付着してSEIの一部となると考えられる。従来、LiFOPによるサイクル耐久性の向上は、このような機序によりなされると考えられており、たとえば特許文献1に開示されるように、還元分解時のガス発生量との兼ね合いからその添加量の最適化等が図られてきた。
しかしながら、リチウムイオン二次電池にはサイクル耐久性のさらなる向上が望まれている。前述のようにLiFOPを非水電解質に添加することはサイクル耐久性の向上に有効であるものの、現状においてその効果は十分ではない。
本発明は上記のような現状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは優れたサイクル耐久性を有するリチウムイオン二次電池を提供することにある。
(1)本発明のリチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備え、該正極活物質はジルコニウム(Zr)を0.25mol%以上含み、該非水電解質にリチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェートが0.25質量%以上1.00質量%以下の範囲で添加されている。
上記のように本発明のリチウムイオン二次電池は、正極活物質が特定範囲でZrを含み、かつ非水電解質に特定範囲でLiPOFが添加されている。このようにZrとLiFOPとを併用することにより、従来のLiPOF添加効果から予想される範囲を超えて、サイクル耐久性が顕著に向上する。その理由は次のように考えることができる。
LiPOFは負極表面にSEIを形成するだけではなく、LiPOF自体あるいはLi+の脱溶媒和によって生じたPOF-イオンが正極表面に付着し正極表面上にも被膜を形成する。
他方、Zrは従前より正極活物質への添加剤として使用されている。正極活物質がZrを含むことにより、正極における非水電解質の分解反応が抑制され、サイクル耐久性の向上が期待される。しかしながら、Zrは充放電サイクルを繰り返すと正極から溶出することが知られており、その効果は長期に亘って持続するものではなかった。
上記のように本発明はLiPOFとZrとを特定範囲で併用するものである。これにより正極からのZrの溶出が抑制され、長期に亘って反応抵抗の増加を抑制し続けることができる。すなわち、LiPOF等が正極に付着して形成された被膜が保護被膜として作用し、正極からのZrの溶出を抑制する。そして、正極活物質におけるZrの含有量が0.25mol%以上であり、非水電解質へのLiPOFの添加量が0.25質量%以上1.00質量%以下であることにより、その効果を顕著に高めることができる。
(2)上記LiPOFの添加量は0.25質量%以上0.75質量%以下であることが好ましく、0.38質量%以上0.75質量%以下であることがより好ましい。LiFOPの添加量が該範囲を占めることにより、サイクル耐久性をさらに向上させることができる。
(3)本発明の別の局面に従うリチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備え、該正極活物質はジルコニウムを0.25mol%以上含み、該正極および該負極はその表面にリチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェートに由来する物質を含む被膜を有する。
上記のように、正負両極にLiPOFに由来する被膜が形成されることにより、負極ではSEIによる非水電解質の分解抑制効果が得られ、正極ではZrによる非水電解質の分解抑制効果が長期に亘って持続し、これらが相俟ってサイクル耐久性を顕著に向上させることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は優れたサイクル耐久性を有する。
本発明の一実施形態に係わるリチウムイオン二次電池における正極活物質のZr含有量とサイクル耐久試験後の容量維持率との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係わるリチウムイオン二次電池における正極活物質のZr含有量および非水電解質へのリチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェートの添加量と、サイクル耐久試験後の容量維持率との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係わるリチウムイオン二次電池における正極活物質のZr含有量および非水電解質へのリチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェートの添加量と、サイクル耐久試験後の抵抗増加率との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係わるリチウムイオン二次電池における正極活物質と非水電解質への添加剤種との組み合わせと、サイクル耐久試験後の容量維持率との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係わるリチウムイオン二次電池における負極から検出されるZr量と充放電サイクル数との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態(以下「本実施形態」と記す)についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<リチウムイオン二次電池>
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行なったところ、LiPOFは負極表面にSEIを形成するだけではなく、正極表面にも被膜を形成して正極に含まれる添加元素の溶出を抑制しているとの知見を得、該知見に基づきさらに研究を重ねることにより本発明を完成させるに至った。
すなわち、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備え、該正極活物質はジルコニウムを0.25mol%以上含み、該非水電解質にリチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェートが0.25質量%以上1.00質量%以下の範囲で添加されている。
<電池構造>
本実施形態において電池構造は特に制限されない。たとえば、いずれもシート状である正極および負極に集電タブを溶接し、シート状であるセパレータを挟んで該正極と該負極とが対向するように巻き取ることにより、巻回式の電極体を構成し、該電極体を所定の形状を有する外装缶に挿入し、一方の集電タブと外装缶とを溶接するとともに、他方の集電タブとキャップとを溶接した後、液体状の非水電解質を注入し、次いで該外装缶と該キャップとをガスケットを介して所定の手段で封止した構造を採用することができる。
電池外装体の形状としては、たとえば円筒形、角形等があり、電池外装体は、通常、外装缶とキャップとからなる。キャップには、正極または負極の端子部が備えられており、該端子部は、たとえば樹脂材料によって対極と絶縁されている。電池外装体の材質は、耐電圧や強度を考慮して、各種金属または合金材料等から適宜選択すればよい。たとえば、アルミニウムおよびその合金、鉄(Fe)、ステンレス材等を用いることができる。
以下、本実施形態のリチウムイオン二次電池を構成する各部について説明する。
<正極>
本実施形態の正極は正極活物質を含むものであり、典型的には正極と導電助材と結着材とを含む正極合材が、集電芯材上に固着されてなるシート状の部材である。かかる正極は、たとえば、正極活物質と導電助材と結着材と有機溶媒(たとえばN−メチル−2−ピロリドン(NMP:N-methylpyrrolidone))とを混練することにより得た正極合材スラリーを集電芯材上に塗工、乾燥して正極合材層を該集電芯材上に形成した後、該正極合材層を所定の厚さに圧縮することにより作製することができる。なお、正極合材層を圧縮する際は、正極合材の脱落を防止するため、正極合材層の厚さを正極合材層の密度(正極合材層の質量÷正極合材層の体積)が、2.0〜4.0g/cm3程度となるように調整することが好ましい。
本実施形態の正極活物質としては、Li+を電気化学的に吸蔵および放出可能であるリチウム含有遷移金属酸化物を用いることができる。このようなリチウム含有遷移金属酸化物としては、たとえば、LiCoO2、LiNiO2、LiNiaCob2(a+b=1、0<a<1、0<b<1)、LiMnO2、LiMn24、LiNiaCobMnc2(a+b+c=1、0<a<1、0<b<1、0<c<1)、LiFePO4等を挙げることができる。これらのうち、本実施形態の正極活物質としては、LiNiaCobMnc2が好ましく、出力特性等の観点からLiNi1/3Co1/3Mn1/32がより好ましい。なお、本実施形態の正極は2種以上の正極活物質を含んでいてもよい。
上記のような正極活物質は、粒子径の小さな一次粒子が凝集した二次粒子とすることもできる。このような場合、正極活物質の一次粒子の平均粒子径は、たとえば1μm〜10μm程度とすることができ、二次粒子の平均粒子径は、たとえば5〜20μm程度とすることができる。なお、ここで平均粒子径とはレーザー回折・散乱法による50%体積平均粒子径(すなわちd50)を意味する。正極活物質の比表面積(BET法によるもの)は0.5m2/g〜3.0m2/g程度とすることができ、非水電解質と正極との反応性の観点から、2.0m2/g以下であることが好ましい。正極合材中における正極活物質の含有率は、たとえば80〜99質量%程度であり、電池のエネルギー密度の観点から好ましくは90〜99質量%程度である。
LiNi1/3Co1/3Mn1/32をはじめとする正極活物質の製造方法は特に制限されない。たとえば、LiNi1/3Co1/3Mn1/32は、Ni1/3Co1/3Mn1/3(OH)2の組成式で表わされる共沈水酸化物(前駆体)と、Li源(LiOH、Li2CO3等)とを混合した後、500℃〜1000℃程度の温度で焼成することにより製造することができる。
本実施形態の正極活物質はZrを0.25mol%以上含む。正極活物質におけるZrの含有量が0.25mol%未満であると、非水電解質の分解抑制効果が十分に得られない場合があるからである。なお、Zrの含有量はより好ましくは0.4mol%以上である。Zrの含有量が該範囲を占めることによりサイクル耐久性がさらに向上する傾向にあるからである。また、Zrの含有量の上限値は特に制限されないが、Zrの含有量が1.0mol%を超えても特に大幅な性能向上が望めないことから経済的に有利ではない。したがって、Zrの含有量は好ましくは1.0mol%以下である。
正極活物質におけるZrの存在形態は特に限定されない。たとえば、二次粒子の表面や一次粒子の粒界に酸化物として存在していてもよいし、一部あるいは全部が正極活物質に固溶していてもよい。
なお、本実施形態の正極活物質は上記範囲でZrを含む限り、その他の元素を含んでいてもよく、その他の元素を含んでいても本発明の範囲を逸脱するものではない。ここで、その他の元素としては、たとえば、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等を挙げることができる。
正極活物質におけるZrの含有量は、たとえば、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP−AES:Inductively coupled plasma - Atomic Emission Spectrometry)、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS:ICP - Mass Spectrometry)等を用いて測定することができる。
正極活物質にZrを含有させる方法は特に限定されない。たとえば、共沈法によって正極活物質の前駆体を得る際に、Zr化合物を溶液に添加し、Zrを前駆体とともに晶析させて、Zrを含む前駆体を得、該前駆体をLi源(たとえば、LiOH、Li2CO3等)とともに焼成することによって、Zrを含有する正極活物質を得ることができる。また、Zrを酸化物(ZrO2)やLi複合酸化物(たとえば、Li2ZrO3)の形態として、乾式や湿式の粉体混合機によって、正極活物質と混合した後、焼成してもよい。
正極に含まれる導電助材は、正極活物質同士および正極活物質と集電芯材との電気伝導を補助するためのものであり、導電性の高い炭素材料が好ましい。炭素材料としては、たとえば、アセチレンブラック(AB:Acetylene Black)、ケッチェンブラック(KB:Ketjen Black)、グラファイト、気相成長炭素繊維(VGCF:Vapor Growth Carbon Fiber)等を用いることができる。正極合材中における導電助材の含有率は、たとえば1〜10質量%程度であり、電池のエネルギー密度の観点から好ましくは1〜5質量%程度である。
正極に含まれる結着材は、正極活物質同士を固着するとともに、正極活物質と集電芯材とを固着するためのものであり、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF:Polyvinylidene Fluoride)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC:Polyvinylidene Chloride)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetrafluoroethylene)、ポリエチレンオキサイド(PEO:Polyethylene Oxide)等を挙げることができる。これらのうち、塗工性の観点から、PVdFが好ましい。正極合材中における結着材の含有率は、たとえば1〜10質量%程度であり、電池のエネルギー密度の観点から好ましくは1〜5質量%程度である。
正極用の集電芯材としては、導電性が高く、耐食性の高い金属箔を用いることができる。そのような金属箔としては、たとえばアルミニウム箔やアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム箔を用いる場合、強度と導電性の観点から、箔の厚さは10μm〜30μm程度であることが好ましい。
<負極>
本実施形態の負極は、負極活物質を含むものであり、典型的には負極活物質と結着材とを含む負極合材が負極集電芯材に固着されてなるシート状の部材である。このような負極は、たとえば、負極活物質と結着材と溶媒(たとえば水)とを混練することにより得た負極合材スラリーを集電芯材上に塗工、乾燥して負極合材層を該集電芯材上に形成した後、該負極合材層を所定の厚さに圧縮することによって作製することができる。なお、負極合材層を圧縮する際は、負極合材の脱落を防止するため、負極合材層の厚さを、負極合材層の密度(負極合材層の質量÷負極合材層の体積)が、0.5〜2.5g/cm3程度となるように調整することが好ましい。
本実施形態の負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な材料(たとえば、黒鉛、コークス等の炭素材料)、金属リチウム、リチウムと合金化し得る材料(たとえば、珪素、酸化錫等)を用いることができる。これらのうち放電特性および耐久性の観点から黒鉛材料が好ましい。さらに製造コストの観点から天然黒鉛(NG:Natural Graphite)がより好ましい。負極合材中における負極活物質の含有率は、たとえば90〜99質量%程度であり、電池のエネルギー密度の観点から好ましくは95〜99質量%程度である。
負極に含まれる結着材は、負極活物質同士を固着するとともに、負極活物質と集電芯材とを固着するためのものであり、たとえば、カルボキシメチルセルロース(CMC:Carboxymethylcellulose)、PVdF、PTFE、スチレンブタジエンゴム(SBR:Styrene-Butadiene Rubber)等を用いることができる。これらのうち塗工性の観点から、CMCとSBRとを併用することが特に好ましい。負極合材中における結着材の含有率は、たとえば1〜10質量%程度であり、電池のエネルギー密度の観点から好ましくは1〜5質量%程度である。
負極用の集電芯材としては、導電性が高く、化学的および電気化学的な安定性が高い金属箔を用いることができる。そのような金属箔としては、たとえば銅(Cu)箔や銅合金箔が好ましい。銅箔を用いる場合、強度と導電性の観点から、箔の厚さは5〜20μm程度であることが好ましい。
<非水電解質>
本実施形態の非水電解質は、典型的には非プロトン性溶媒に溶質(リチウム塩)が溶解されてなる液体状の電解質である。ここで、非プロトン性溶媒としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC:Ethylene Carbonate)、プロピレンカーボネート(PC:Propylene Carbonate)、ブチレンカーボネート(BC:Buthylene Carbonate)、γ−ブチロラクトン(GBL:Gamma-Butyrolactone)およびビニレンカーボネート(VC:Vinylene Carbonate)等の環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート(DMC:Dimethyl Carbonate)、エチルメチルカーボネート(EMC:Ethyl Methyl Carbonate)およびジエチルカーボネート(DEC:Diethyl Carbonate)等の鎖状カーボネート類等を用いることができる。これらの非プロトン性溶媒は電気伝導率や電気化学的な安定性の観点から、2種以上を適宜併用して用いることができる。特に、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを混合して用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの体積比は、1:9〜5:5程度が好ましい。具体例を挙げれば、たとえば、EC、DMCおよびEMCの3種を混合して用いることができる。なお、本実施形態の非水電解質は、ゲル状、固体状であってもよい。
また、溶質であるリチウム塩としては、たとえば、ヘキサフルオロ燐酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロ硼酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフロオロ砒酸リチウム(LiAsF6)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CF3SO22N)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(Li(CF3SO3))等を用いることができる。また、これらの溶質についても2種以上を併用してもよい。非水電解質中における溶質の濃度は、特に限定されないが、放電特性および保存特性の観点から0.5〜2.0mol/L程度であることが好ましい。
本実施形態の非水電解質にはLiFOPが0.25質量%以上1.00質量%以下の範囲で添加されている。これにより負極表面に良質なSEIが形成されるとともに、正極表面にも保護被膜が形成され正極からのZrの溶出を抑制することができる。LiFOPの添加量が0.25質量%未満であるとZrの溶出を十分抑制できない場合があり、LiFOPの添加量が1.00質量%を超えると負極のSEIおよび正極の保護被膜が過度に厚く形成され、充放電サイクルに伴い内部抵抗が増加する場合もある。
なお、前述のように非水電解質に添加されたLiPOFは負極側で還元分解して負極表面にSEIを形成するとともに、正極表面にも保護被膜を形成するものである。したがって、非水電解質への添加量が0.25質量%以上1.00質量%以下の範囲であったとしても、電池を解体して非水電解質を抽出した場合、抽出された非水電解質に含まれるLiPOFの量は0.25質量%未満であることもあり得る。そのような場合であっても本発明の範囲を逸脱するものではない。
また、本実施形態の非水電解質は上記の範囲でLiFOPが添加されている限り、この他に負極にSEIを、あるいは正極に保護被膜を形成し得る物質が添加されていてもよい。たとえば、1,3−プロパンスルトン(PS:1,3-Propanesultone)、1,3−プロペンスルトン、1,3−ブタンスルトン(BS:1,3-Butane sultone)、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン等のスルトン系の化合物や、リチウムテトラフルオロオキサレートフォスフェート(LiPF4(C24))、リチウムビスオキサレートボレート(LiB(C242、以下「LiBOB」と略記することがある)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiBF2(C24))等のオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩等を含んでいてもよい。
<セパレータ>
本実施形態におけるセパレータは、Li+を透過させるとともに、正極と負極との電気的な接触を防止するためものである。このようなセパレータとしては、機械的な強度と化学的な安定性の観点から、ポリオレフィン系材料からなる微多孔膜が好ましい。ここで、ポリオレフィン系材料としては、ポリエチレン(PE:Polyethylene)、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)等を用いることができ、これらを組み合わせて用いることもできる。さらに、複数の微多孔膜を積層して用いてもよい。セパレータの厚さは、たとえば5〜40μm程度とすることができる。セパレータの孔径および空孔率は、セパレータの透気度が所望の値となるように適宜調整すればよい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<リチウムイオン二次電池の作製>
(正極の作製)
反応容器に、硫酸ニッケル水溶液と、硫酸コバルト水溶液と、硫酸マンガン水溶液とを、Ni:Co:Mn=1:1:1となるように調整しながら投入して混合溶液を得た。次いで、この混合溶液に水酸化ナトリウム水溶液を滴下することにより、Ni1/3Co1/3Mn1/3(OH)2の組成式で表わされる共沈水酸化物を得た。この共沈水酸化物と、ZrO2と、LiOHとを混合し、空気中において1000℃で24時間焼成することにより、LiNi1/3Co1/3Mn1/32の組成式で表わされる正極活物質を得た。さらに、この正極活物質を粉砕することにより正極活物質の粉末を得た。この正極活物質におけるZrの含有量をICP−AES(製品名「iCAP6300」、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて測定したところ、0.25mol%であった。
正極活物質と、導電助材としてのABと、NMPに結着材としてPVdFを溶解させた溶液とを、質量比で正極活物質:AB:PVdF=90:5:5となるように混合し、さらに混練することにより正極合材スラリーを得た。
次いで、正極合材スラリーを集電芯材としてのAl箔(厚さ15μm)の両面に塗工し、乾燥して該Al箔上に正極合材層を形成した。続いてロール圧延機を用いて正極合材層およびAl箔を圧延した。以上のようにして正極活物質を7.84g含むシート状の正極を得た。
(負極の作製)
まず負極活物質として天然黒鉛を準備した。次いで負極活物質と、結着材(増粘材)としてのCMCと、結着材としてのSBRとを質量比で負極活物質:CMC:SBR=98:1:1となるように混合し、水中で混練することにより負極合材スラリーを得た。
次いで、負極合材スラリーを、集電芯材としてのCu箔(厚さ10μm)の両面に塗工し、乾燥して該Cu箔上に負極合材層を形成した。続いてロール圧延機を用いて負極活物質層およびCu箔を圧延した。以上のようにして負極活物質を5.32g含む負極を得た。
(非水電解質の調整)
ECとDMCとEMCとを、体積比でEC:DMC:EMC=3:4:3となるように混合して非プロトン性溶媒を得た。次いで該非プロトン性溶媒に溶質としてLiPF6(1.1mol/L)を溶解させることより液体状の非水電解質を得た。
(組み立て)
上記のようにして得た正極に正極集電タブを、負極に負極集電タブをそれぞれ溶接した。次いで、ポリプロピレン製のセパレータを挟んで正極と負極とが対向するように巻き取ることにより電極体を得た。
次いで、この電極体を有底外装缶に挿入し、負極集電タブを外装缶の底部の所定位置に溶接し、正極集電タブをキャップの端子部に溶接した。続いて、非水電解質8gを外装缶の開口部から注入した。さらに、キャップと外装缶との間にガスケットを配置し、外装缶の開口部を、ガスケットを圧縮するようにしてキャップに向かって曲げ加工(すなわち、かしめ加工)して開口部を封止した。
以上のようにして円筒形リチウムイオン二次電池(規格サイズ:18650(直径18mm、高さ65mm)、定格容量:1000mAh)を得た。
<実験1:正極活物質におけるZrの含有量に関する評価>
実験1では正極活物質におけるZrの含有量のサイクル耐久性への影響を調査した。まず上記した「正極の作製」において、Zrの含有量が異なる正極活物質を7種作製した。そして、それらの正極活物質を用いる以外は上記と同様にして7種の試験電池を得た。
(サイクル耐久試験)
次に各試験電池のサイクル耐久試験を行なった。すなわち、60℃に設定した恒温槽内で、以下の条件の充電および放電を1サイクル(cyc)とする充放電サイクルを1000cyc実行した。
(1)充電条件
CC充電(電流値:2It)、カットオフ電圧:4.1V。
(2)放電条件
CC放電(電流値:2It)、カットオフ電圧:3.0V。
なおここで、「CC(Constant Current)」とは「定電流」を示し、「CV(Constant Voltage)」とは「定電圧」を示す。また電流値の単位「It」とは電池の定格容量を1時間で放電する電流値を示す。
(電池容量測定条件)
サイクル耐久試験の前後における電池容量は以下の条件で測定した。そして、サイクル耐久試験後(1000cyc後)の電池容量をサイクル耐久試験前の電池容量(初期容量)で除すことにより容量維持率(%)を算出した。なお容量測定時の周囲環境温度は25℃(室温)とした。
(1)充電条件
CC−CV充電により電池を充電した。すなわち、1Itの一定電流で電池電圧が4.1Vに到達するまで充電し(CC充電)、4.1Vに到達後は電流を減衰させながら4.1Vの電圧を維持して充電を行なった(CV充電)。そして、総充電時間(CC充電時間+CV充電時間)が3時間に達した時点で充電を終了した。
(2)放電条件
充電終了後に電池を10分間静置した後、放電を行なった。放電は次のように2段階放電を行なった。まず、第1段の放電として0.33Itの電流値で電池電圧が3.0Vに到達するまで放電を行なった(CC放電)。その後、電池を10分間静置した後、さらに第2段の放電として、0.33Itの電流値で電池電圧が3.0Vに到達するまで放電を行なった(CC放電)。そして、第1段の放電容量と第2段の放電容量の総和を電池容量とした。
(結果の考察)
以上のようにして得られた正極活物質のZrの含有量と電池の容量維持率との関係を図1に示す。図1は正極活物質におけるZrの含有量と容量維持率との関係を示すグラフである。図1の横軸は各電池に用いられた正極活物質におけるZrの含有量を示し、縦軸はサイクル耐久試験後の電池の容量維持率を示している。図1に示すように、Zrの含有量が0〜0.25mol%の間では、Zrの含有量が増加するに従って電池の容量維持率が向上する傾向が確認された。そして、Zrの含有量が0.25mol%以上となると、その効果は飽和し容量維持率はほぼ一定のまま推移する傾向が確認された。したがって、この結果から、正極活物質のZrの含有量は0.25mol%以上必要であると考えられる。
<実験2:非水電解質におけるLiPOFの添加量に関する評価>
実験2では、非水電解質におけるLiPOFの添加量のサイクル耐久性への影響を評価した。まず上記した「正極の作製」において、表1に示すZrの含有量を有する正極活物質を各種作製した。次に上記した「非水電解質の調整」において、表1に示す量でLiPOFが添加された非水電解質を各種調整した。そして、これらを表1に示すように組み合わせて、試験電池No.1〜12を作製した。なおこれらのうちNo.5〜10が実施例のリチウムイオン二次電池に相当し、それ以外が比較例のリチウムイオン二次電池に相当する。
Figure 2015095289
(サイクル耐久性試験)
上記と同様にして各試験電池のサイクル耐久試験を行なった。そして1000cyc後の容量維持率を算出した。結果を表1および図2Aに示す。
(抵抗増加率の測定)
実験2では容量維持率と合わせて反応抵抗の増加率も評価した。すなわち、サイクル耐久試験の前後で反応抵抗を測定し、サイクル耐久試験後の反応抵抗をサイクル耐久試験前の反応抵抗で除すことにより抵抗増加率を算出した。
(反応抵抗の測定条件)
電池の反応抵抗は次のようにして測定した。すなわち、各試験電池の充電量を40%に調整した後、−30℃に設定した恒温槽に投入し、交流インピーダンス測定を行なった。この測定には、東陽テクニカ(株)により販売されているSolatron社製の周波数応答アナライザ(FRA:Frequency Response Analyzer)(型式「1255B」)と、ポテンショ/ガルバノスタット(型式「1287A」)とを組み合わせて用いた。また、測定は高周波数側から始め、測定周波数の範囲は100000〜0.001Hzとした。
このようにして得られた交流インピーダンスの測定結果を、周波数応答の実数部を横軸に、虚数部を縦軸とする座標にプロットし、ナイキスト線図を作成した。そして、該座標に描かれた半円の直径をなすインピーダンスの実数部を試験電池の反応抵抗とみなした。なお、このような反応抵抗の算出は、FRA(型式「1255B」)に付帯する測定・解析ソフトウエア(たとえば「ZPlot」)によって行なうこともできる。
以上のようにして得られた抵抗増加率を表1および図2Bに示す。表1および図2Bにおいて、たとえば抵抗増加率が1.11であるとはサイクル耐久試験後の反応抵抗が初期の反応抵抗に比べて1.11倍になったことを示している。
(結果の考察)
図2AはLiPOFの添加量と電池の容量維持率との関係を示すグラフである。図2Aの横軸は各電池に用いられた非水電解質へのLiPOFの添加量を示し、縦軸は電池の容量維持率を示している。図2Aには比較としてZrを単独で用いた場合およびLiPOFを単独で用いた場合の結果も併せて表示している。
図2Aに示すように、ZrとLiPOFを併用した場合は、Zrを単独で用いた場合およびLiPOFを単独で用いた場合から予想される範囲を超えて容量維持率が向上していた。とりわけ、正極活物質のZrの含有量が0.25mol%以上であり、かつ非水電解質へのLiPOF添加量が0.25質量%以上1.00質量%以下の範囲においてその効果は顕著であった。また非水電解質へのLiPOF添加量が0.38質量%以上0.75質量%以下の範囲においてはさらに高い効果が得られ、容量維持率は8.3%程度向上することが明らかとなった。このような結果が得られた理由は、ZrとLiPOFと併用した場合はそれらが電池の容量維持率に対して相乗的に作用するためであると考えられる。すなわち、LiPOFは負極表面にSEIを形成して容量維持率を向上させるだけではなく、正極表面に保護被膜を形成して正極からのZrの溶出を抑制する。そして、負極におけるSEIによる非水電解質の分解抑制効果と、正極におけるZrによる非水電解質の分解抑制効果とが相俟ってサイクル耐久性を顕著に向上させるものであると考えられる。
他方、図2Bはサイクル耐久試験後の抵抗増加率とLiPOFの添加量との関係を示すグラフである。図2Bの横軸は各電池に用いられた非水電解質へのLiPOFの添加量を示し、縦軸はサイクル耐久試験後の抵抗増加率を示している。表1、図2Aおよび図2Bから分かるように、図2Bに示す抵抗増加率と図2Aに示す容量維持率との間には高い相関性が確認できる。すなわち、正極活物質のZrの含有量が0.25mol%以上であり、かつ非水電解質へのLiPOF添加量が0.25質量%以上1.00質量%以下の範囲において顕著に抵抗増加率が低減され、また非水電解質へのLiPOF添加量が0.38質量%以上0.75質量%以下の範囲においてはさらに抵抗増加率が低減されている。このような結果が得られた理由は、LiPOFの添加量に対応して正極からのZrの溶出量が低減され、Zrによる反応抵抗の増加抑制効果が長期に亘って持続したためであると考えられる。
<実験3:非水電解質への添加剤種の評価>
実験3では、LiPOF以外の添加剤と正極活物質へのZr添加を併用した場合のサイクル耐久性を評価した。実験3ではLiPOFと同様に正極に作用すると考えられる添加剤として、LiBOB、LiBF4およびPSを採用した。そして上記「非水電解質の調整」において、各種添加剤を非水電解質にそれぞれ0.5質量%添加する以外はこれと同様にして各種非水電解質を調整した。次いで図3に示すように、Zrを添加しない正極活物質およびZrを0.25mol%含有する正極活物質を作製し、これらを用いて各種正極を得た。
そして図3に示すように、各種非水電解質と各種正極とを組み合わせて各種試験電池を作製した。このようにして得た各種試験電池のサイクル耐久試験を上記と同様にして行ない容量維持率を算出した。結果を図3に示す。
(結果の考察)
図3はZrを0.25mol%含有する正極活物質と、各種添加剤を含む非水電解質との組み合わせた場合におけるサイクル耐久試験後の容量維持率を示すグラフである。図3に示す組み合わせのうち「Zr:0.25mol%+LiPF2(C242:0.5質量%」が実施例のリチウムイオン二次電池に相当する。また図3には比較としてZrを単独で用いた場合、およびLiPOFを単独で用いた場合の結果も表示している。
図3から明らかなように、正極活物質へのZr添加と非水電解質へのLiPOF添加とを併用した場合に顕著に高い容量維持率が確認された。他方、LiBOB、LiBF4およびPSを添加した試験電池はいずれも、LiPOFを添加した試験電池の容量維持率に及ばず、この3種の容量維持率はほぼ同等であった。このような結果から、LiPOFによって正極に形成される保護被膜は特にZrに対して溶出抑制効果が高い被膜であると推察される。
<実験4:Zrの溶出量の評価>
実験4では、LiPOFによるZr溶出抑制効果を検証した。まず上記と同様にしてZrを0.25mol%含有する正極活物質とLiPOFを0.50質量%含有する非水電解質とを用いた実施例に係る試験電池を複数作製した。また、Zrを0.25mol%含有する正極活物質とLiPOFを含有しない非水電解質を用いた比較例に係る試験電池を複数作製した。
これらの電池について上記と同様にしてサイクル耐久試験を行ない、0cyc、300cyc、500cycおよび1000cyc経過後にそれぞれ電池を解体して負極を回収した。そして回収した負極から負極合材を掻き取って、負極合材に含まれるZrの量を上記のICP−AESによって測定した。その結果を図4に示す。
(結果の考察)
図4は、試験電池に対して行なわれた充放電サイクルの数と負極合材中のZrの量との関係を示すグラフである。正極活物質からZrが溶出すると、溶出したZrは電気泳動によって負極側へ移動し負極表面上に析出すると考えられる。したがって、実験4における負極合材中のZrの量は、正極活物質から非水電解質へ溶出したZrの量とみなすことができる。
図4から明らかなように、LiPOFを含有しない比較例の試験電池ではサイクル数に従って負極から検出されるZrの量が増加している。これに対してLiPOFを0.50質量%含有する実施例の試験電池では、初期(0cyc)に比べて300cyc経過後に若干Zrの量が増加したが、その後はほぼ横ばいにZrの量が推移した。1000cyc経過後の実施例と比較例とを比較すると、実施例ではZrの量が1/4以下に抑制されていることが分かる。この結果から、LiPOFが正極活物質からのZrの溶出を抑制していることは明らかである。
以上の実験1〜実験4の結果から、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備え、該正極活物質はジルコニウム(Zr)を0.25mol%以上含み、該非水電解質にリチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェート(LiPF2(C242)が0.25質量%以上1.00質量%以下の範囲で添加されているリチウムイオン二次電池は、従来に比し優れたサイクル耐久性を示すものであることが確かめられた。
そしてこのリチウムイオン二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備え、該正極活物質はジルコニウムを0.25mol%以上含み、該正極および該負極はその表面にリチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェートに由来する物質を含む被膜を有するものである。
以上のように本発明の実施形態および実施例について説明を行なったが、上記した実施形態および各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (1)

  1. 正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備え、
    前記正極活物質はジルコニウムを0.25mol%以上含み、
    前記非水電解質にリチウムジフルオロビスオキサレートフォスフェートが0.25質量%以上1.00質量%以下の範囲で添加されている、リチウムイオン二次電池。
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