JP2015092473A - マグネシウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法、マグネシウムイオン二次電池、マグネシウムイオン拡散速度の改善方法 - Google Patents
マグネシウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法、マグネシウムイオン二次電池、マグネシウムイオン拡散速度の改善方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】レート特性に優れるマグネシウムイオン二次電池を製造可能とするマグネシウムイオン二次電池用の正極活物質およびその製造方法を提供する。【解決手段】下記(式1)で示される組成であることを特徴とするマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。MgxAyMO2・・・(式1)(式1)において、Mgはマグネシウムであり、Aはマグネシウムよりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素であり、Aが複数の金属元素である場合yはそれら金属元素の合計値であり、MはAと異なる金属元素であって、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≰x<1、yは0<y<0.5であり、かつ0<x+y≰1の範囲の数である。【選択図】図1
Description
本発明は、マグネシウムイオン二次電池用正極活物質およびその製造方法、マグネシウムイオン二次電池、マグネシウムイオン拡散速度の改善方法に関する。
近年、携帯電話やノート型パソコン等のポータブル電子機器が多く登場し、急速に需要が拡大している。また、これらの電子機器や電気自動車等の電源として使用される二次電池に対する研究が活発に行われている。二次電池の中でもリチウムイオン二次電池は、近年大きな発展を遂げており、高容量の二次電池としてポータブル機器などに賞用されている。
リチウムイオン二次電池用の正極材料としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニッケル酸リチウム(LiNiO2)、これらのリチウム遷移金属複合酸化物に金属元素を一部置換した複合酸化物などが用いられている。また、スピネル構造を有するマンガン酸リチウム(LiMn2O4)は、高エネルギー密度、高電圧を有する安価なリチウムイオン二次電池用の正極材料として、開発が進められている。
コバルト酸リチウム(LiCoO2)は、CoO6八面体からなる層と、CoO6八面体からなる層間のLiが挿入された層との、c軸方向に積層した層状構造を有する。Liは、CoO6八面体からなる層間の二次元平面内を拡散し、電極/電解液界面で充放電反応に対応する挿入離脱が進行する。このように、コバルト酸リチウム中では、Liの拡散経路が二次元的である。したがって、三次元トンネル構造を有するスピネル構造などと比較して、LiCoO2中のLiは容易に拡散する。
しかしながら、リチウムは一般に高価な原材料であるため、大容量リチウムイオン二次電池の価格低減を阻害する要因の一つとなっている。しかも、リチウム資源は、塩湖かん水が占める割合が高く、地域的偏在性を有しているため、供給の安定性に難点が有る。
そのため、リチウム以外の元素をキャリアイオンとしたポストリチウムイオン二次電池の実現に大きな期待が集まりつつある。
そのため、リチウム以外の元素をキャリアイオンとしたポストリチウムイオン二次電池の実現に大きな期待が集まりつつある。
マグネシウムイオン二次電池は、1993年にP.Novakらによりポストリチウムイオン二次電池となる可能性が示された(非特許文献1参照)。マグネシウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池と比較して安全性が高い。また、マグネシウムは、リチウムと比較して低価格であり、供給不安もなく好ましい。
非特許文献1には、マグネシウムイオン二次電池の正極として、TiS2,ZrS2,RuO2,Co3O4,V2O5からなるものが記載されている。
非特許文献1には、マグネシウムイオン二次電池の正極として、TiS2,ZrS2,RuO2,Co3O4,V2O5からなるものが記載されている。
また、E.Leviらは、マグネシウムイオン二次電池の技術課題を総括し、正極内のキャリアイオンの移動度向上によるレート特性の改善が重要であることを示した(非特許文献2参照)。
また、マグネシウムイオン二次電池用の正極活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO2)と類似した層状構造を有する化合物を使用することが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
また、マグネシウムイオン二次電池用の正極活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO2)と類似した層状構造を有する化合物を使用することが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
また、コバルト酸リチウム(LiCoO2)と類似した層状構造を有する化合物の構造としては、c軸方向に、ABBAABBAの周期で積層されたP2型構造、ABCABCABCの周期で積層されたO3型構造、ABBCCAABBCCAの周期で積層されたP3型構造などが知られている(非特許文献3参照)。
非特許文献4には、六配位のイオン半径について記載されている。
非特許文献5には、液相を介して材料を混合する方法の1つとして、ゲル化法が記載されている。
非特許文献4には、六配位のイオン半径について記載されている。
非特許文献5には、液相を介して材料を混合する方法の1つとして、ゲル化法が記載されている。
P.Novak,et al.,J.Electrochem.Soc.,140(1993)140−144.
E.Levi,et al.,Chem.Mater.,22(2010)860−868.
L.Brian,et al.,J.Solid State Chem.,141(1998)385−391.
R.D.Shannon, Acta Crystallogr., Sect. A, 32(1976)751.
T.Motohashi,et al.,Mater.Res.Bull.,44(2009)1899−1905.
しかしながら、従来のマグネシウムイオン二次電池用の正極活物質は、LiCoO2のような層状構造を有するものであっても、これを用いた正極を備えるマグネシウムイオン二次電池を製造した場合に、十分なレート特性が得られるものではなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、優れたレート特性を有するマグネシウムイオン二次電池の得られる正極を提供できる正極活物質およびその製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記の正極活物質を含む正極を備えたレート特性に優れるマグネシウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記の正極活物質を含む正極を備えたレート特性に優れるマグネシウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、正極活物質として、遷移金属元素と遷移金属元素に六配位した酸素原子とからなる三角柱および/または八面体が結合されてなる複数の配位多面体層と、配位多面体層間に配置され、マグネシウム原子を吸蔵・脱離するサイトを含むマグネシウム拡散層とを有する積層構造の正極活物質を用いた場合の、マグネシウム拡散層におけるマグネシウムイオンの移動に着目して、以下に示すように、鋭意研究を重ねた。
正極活物質中を移動するマグネシウムイオンは、価数が二価であるため、価数が一価のリチウムイオンを移動させる場合と比較して、二倍の静電気的拘束力を受ける。そのため、正極活物質中をマグネシウムイオンが移動するためには、大きな活性化エネルギーが必要である。このことは、Mg二次電池のレート特性を向上させる妨げとなっている。
また、荷電粒子間に働くクーロン相互作用は、粒子間距離の二乗に反比例する。したがって、上記積層構造のマグネシウム拡散層に存在するマグネシウムイオンと、隣接する酸素イオンとの間の距離を長くすると、正極活物質中を移動するマグネシウムイオンが受ける静電気的拘束力は、結合距離の二乗に反比例して小さくなる。
また、荷電粒子間に働くクーロン相互作用は、粒子間距離の二乗に反比例する。したがって、上記積層構造のマグネシウム拡散層に存在するマグネシウムイオンと、隣接する酸素イオンとの間の距離を長くすると、正極活物質中を移動するマグネシウムイオンが受ける静電気的拘束力は、結合距離の二乗に反比例して小さくなる。
上記積層構造において、マグネシウムイオンと酸素イオンとの間の距離を長くするには、配位多面体層が有する酸素原子と、マグネシウム拡散層を介して対向する他の配位多面体層の酸素原子との間の距離を長くすればよい。マグネシウム拡散層を介して対向する配位多面体層間の距離を長くできれば、正極活物質中を移動するマグネシウムイオンが受ける静電気的拘束力が小さくなり、マグネシウム拡散層におけるマグネシウムイオンの拡散速度が速くなる。
本発明者らは、マグネシウム拡散層を介して対向する配位多面体層間の距離を長くするべく、鋭意検討した。その結果、マグネシウム拡散層に、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素を配置することにより、マグネシウム拡散層のc軸方向の厚みを拡張すればよいことを見出し、本発明を想到した。
本発明は以下の構成を採用する。
(1) 下記(式1)で示される組成であることを特徴とするマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
MgxAyMO2・・・(式1)
(式1)において、Mgはマグネシウムであり、Aはマグネシウムよりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素であり、Aが複数の金属元素である場合yはそれら金属元素の合計値であり、MはAと異なる金属元素であって、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1、yは0<y<0.5であり、かつ0<x+y≦1の範囲の数である。
(1) 下記(式1)で示される組成であることを特徴とするマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
MgxAyMO2・・・(式1)
(式1)において、Mgはマグネシウムであり、Aはマグネシウムよりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素であり、Aが複数の金属元素である場合yはそれら金属元素の合計値であり、MはAと異なる金属元素であって、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1、yは0<y<0.5であり、かつ0<x+y≦1の範囲の数である。
(2) 前記(式1)において、AはCa,Sr,Ba,La,Y,Gdから選ばれる一種以上の元素である(1)に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
(3) 前記(式1)において、AはCa,Srから選ばれる一種以上のアルカリ土類金属元素である(1)に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
(4) P2型構造の積層構造を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
(3) 前記(式1)において、AはCa,Srから選ばれる一種以上のアルカリ土類金属元素である(1)に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
(4) P2型構造の積層構造を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
(5) MgxMO2(Mgはマグネシウムであり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1である。)からなり、前記遷移金属元素と前記遷移金属元素に六配位した酸素原子とからなる三角柱および/または八面体が結合されてなる複数の配位多面体層と、前記配位多面体層間に配置され、マグネシウム原子を吸蔵・脱離するサイトを含むマグネシウム拡散層とを有するマグネシウムイオン二次電池用正極活物質において、前記マグネシウム拡散層に、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素が配置されたことを特徴とするマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
(6) 前記マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素がCa,Sr,Ba,La,Y,Gdから選ばれる一種以上の元素である(5)に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
(7) 組成が下記(式1)で示される組成であることを特徴とする(5)または(6)に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
MgxAyMO2・・・(式1)
(式1)において、Mgはマグネシウムであり、Aはマグネシウムよりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素であり、Aが複数の金属元素である場合yはそれら金属元素の合計値であり、MはAと異なる金属元素であって、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1、yは0<y<0.5であり、かつ0<x+y≦1の範囲の数である。
(7) 組成が下記(式1)で示される組成であることを特徴とする(5)または(6)に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
MgxAyMO2・・・(式1)
(式1)において、Mgはマグネシウムであり、Aはマグネシウムよりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素であり、Aが複数の金属元素である場合yはそれら金属元素の合計値であり、MはAと異なる金属元素であって、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1、yは0<y<0.5であり、かつ0<x+y≦1の範囲の数である。
(8) (1)〜(7)のいずれか一項に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質を製造する方法であって、Na又はKの酸化物もしくは加熱によりNa又はKの酸化物を生成するNa又はKの化合物と、M元素(MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素である。)の酸化物もしくは、加熱により前記M元素の酸化物を生成するM化合物とを混合して加熱し、Na又はKと前記M元素とを含有する複酸化物からなる中間化合物を生成する工程と、前記中間化合物のNa又はKとA元素(Aはマグネシウムよりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素であって、Mと異なる金属元素である。)あるいは、Na又はKと前記A元素およびMgとをイオン交換する工程とを含むことを特徴とするマグネシウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
(9) (1)〜(7)のいずれか一項に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質を含有する正極を備えることを特徴とするマグネシウムイオン二次電池。
(9) (1)〜(7)のいずれか一項に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質を含有する正極を備えることを特徴とするマグネシウムイオン二次電池。
(10) MgxMO2(Mgはマグネシウムであり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1である。)からなり、前記遷移金属元素と前記遷移金属元素に六配位した酸素原子とからなる三角柱および/または八面体が結合されてなる複数の配位多面体層と、前記配位多面体層間に配置され、マグネシウム原子を吸蔵・脱離するサイトを含むマグネシウム拡散層とを有するマグネシウムイオン二次電池用正極活物質において、前記マグネシウム拡散層に、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素を配置することを特徴とするマグネシウムイオン拡散速度の改善方法。
(11) MgxMO2(Mgはマグネシウムであり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1である。)からなり、前記遷移金属元素と前記遷移金属元素に六配位した酸素原子とからなる三角柱および/または八面体が結合されてなる複数の配位多面体層と、前記配位多面体層間に配置され、マグネシウム原子を吸蔵・脱離するサイトを含むマグネシウム拡散層とを有するマグネシウムイオン二次電池用正極活物質において、前記マグネシウム拡散層に、Ca,Sr,Ba,La,Y,Gdから選ばれる一種以上の元素を配置することを特徴とするマグネシウムイオン拡散速度の改善方法。
(12) MgxMO2(Mgはマグネシウムであり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1である。)からなり、前記遷移金属元素と前記遷移金属元素に六配位した酸素原子とからなる三角柱および/または八面体が結合されてなる複数の配位多面体層と、前記配位多面体層間に配置され、マグネシウム原子を吸蔵・脱離するサイトを含むマグネシウム拡散層とを有するマグネシウムイオン二次電池用正極活物質において、前記MgxMO2のマグネシウム元素の一部または全部を、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素で置換することによって、前記マグネシウム拡散層の厚みを拡張することを特徴とするマグネシウムイオン拡散速度の改善方法。
本発明のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質は、上記(式1)で示される組成であるため、複数の配位多面体層と、配位多面体層間に配置され、マグネシウム原子を吸蔵・脱離するサイトを含むマグネシウム拡散層とを有する積層構造のものとなり、マグネシウム拡散層が、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素を含むものとなる。このため、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素を含まない場合と比較して、マグネシウム拡散層のc軸方向の厚みが厚くなり、正極活物質中を移動するマグネシウムイオンが受ける静電気的拘束力が抑制されたものとなる。したがって、本発明のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質によれば、マグネシウム拡散層におけるマグネシウムイオンの拡散速度が速く、レート特性に優れるマグネシウムイオン二次電池が得られる正極を提供できる。よって、本発明のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質を含有する正極を備えるマグネシウムイオン二次電池は、レート特性に優れる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態のみに限定されるものではない。
「正極活物質」
本実施形態のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質(以下「正極活物質」と略記する。)は、下記(式1)で示される組成を有するものである。
MgxAyMO2・・・(式1)
(式1)において、Mgはマグネシウムであり、Aはマグネシウムよりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素であり、Aが複数の金属元素である場合、yはそれら金属元素の合計値であり、MはAと異なる金属元素であって、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1、yは0<y<0.5であり、かつ0<x+y≦1の範囲の数である。
「正極活物質」
本実施形態のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質(以下「正極活物質」と略記する。)は、下記(式1)で示される組成を有するものである。
MgxAyMO2・・・(式1)
(式1)において、Mgはマグネシウムであり、Aはマグネシウムよりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素であり、Aが複数の金属元素である場合、yはそれら金属元素の合計値であり、MはAと異なる金属元素であって、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1、yは0<y<0.5であり、かつ0<x+y≦1の範囲の数である。
上記(式1)に示される組成を有する正極活物質は、複数の配位多面体層と、配位多面体層間に配置されたマグネシウム拡散層とを有する積層構造のものである。
上記(式1)に示される組成を有する正極活物質は、MgxMO2(MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1である。)のマグネシウム元素の一部または全部を、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素で置換することによって、マグネシウム拡散層の厚みを拡張したものである。
上記(式1)に示される組成を有する正極活物質は、MgxMO2(MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1である。)のマグネシウム元素の一部または全部を、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素で置換することによって、マグネシウム拡散層の厚みを拡張したものである。
配位多面体層は、M元素と、M元素に六配位した酸素原子とからなる三角柱および/または八面体が結合されてなる層状構造のものである。M元素は、三角柱または八面体の中心部に位置する。当該層状構造は、八面体が結合されてなる場合が多い。
マグネシウム拡散層は、マグネシウム原子が吸蔵・脱離するサイトを含むものである。本実施形態の正極活物質では、マグネシウム拡散層に、上記(式1)におけるA元素が配置されている。
マグネシウム拡散層は、マグネシウム原子が吸蔵・脱離するサイトを含むものである。本実施形態の正極活物質では、マグネシウム拡散層に、上記(式1)におけるA元素が配置されている。
上記(式1)において、Mgは、本実施形態の正極活物質を含む正極を備えるマグネシウムイオン二次電池(以下「Mg二次電池」と略記する。)を製造した場合に、キャリアイオンとなる元素である。
また、上記(式1)において、Aは、マグネシウム(イオン半径72pm)よりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素である。A元素は、Ca(イオン半径100pm),Sr(イオン半径118pm),Ba(イオン半径135pm)、La(イオン半径103pm)、Y(イオン半径90pm)、Gd(イオン半径94pm)から選ばれる一種以上の金属元素であることが好ましい。特に、A元素は、Ca,Sr,Baから選ばれる一種以上のアルカリ土類金属元素であることが好ましく、CaまたはSrであることがさらに好ましい。なお、ここでいうイオン半径とは、非特許文献4に記載のイオン半径のうち、六配位のものをいう。
また、上記(式1)において、Aは、マグネシウム(イオン半径72pm)よりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素である。A元素は、Ca(イオン半径100pm),Sr(イオン半径118pm),Ba(イオン半径135pm)、La(イオン半径103pm)、Y(イオン半径90pm)、Gd(イオン半径94pm)から選ばれる一種以上の金属元素であることが好ましい。特に、A元素は、Ca,Sr,Baから選ばれる一種以上のアルカリ土類金属元素であることが好ましく、CaまたはSrであることがさらに好ましい。なお、ここでいうイオン半径とは、非特許文献4に記載のイオン半径のうち、六配位のものをいう。
また、上記(式1)において、Mは4族元素であるTi,Zr,Hf,5族元素であるV,Nb,Ta,6族元素であるCr,Mo,W,7族元素であるMn,8族元素であるFe,9属元素であるCo,10属元素であるNi,11族元素であるCuから選ばれる一種以上の遷移金属元素である。M元素が、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の元素である場合、M元素と、M元素に結合した酸素原子とからなる三角柱および/または八面体が結合されてなる配位多面体層が容易に形成され、配位多面体層間にA元素を含むマグネシウム拡散層が配置された構造が容易に形成される。
M元素は、Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる1種以上の元素であることが好ましい。これらの元素は、有効核電荷の大きな元素である。このため、M元素が、Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる1種以上の元素である場合、本実施形態の正極活物質を含む正極を備えたMg二次電池において、高いレート特性に加え、高い起電力が得られる。
また、M元素は、鉄族元素であるFe、Co、Niであることがより好ましく、Coであることがさらに好ましい。
また、M元素は、鉄族元素であるFe、Co、Niであることがより好ましく、Coであることがさらに好ましい。
また、上記(式1)で示されるM元素が、4族元素であるTi,Zr,Hfから選ばれる1種以上の元素を含む場合、これらの元素とV,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる1種以上の元素とを組み合わせて用いることが好ましい。このことにより、配位多面体層の層状構造を安定化させることができ、配位多面体層間に、A元素を含むマグネシウム拡散層が配置された構造が容易に形成されるものとなる。
また、上記(式1)で示されるM元素の価数(v)は、以下に示す(式2)を満たすものであることが好ましい。
v=4−2x−v(A)y・・・(式2)
(式2)において、x,yは上記(式1)と同じであり、v(A)はA元素の価数である。
なお、M元素が価数の異なる2種以上の元素である場合、M元素の価数(v)とは、各M元素において価数に原子比を乗じた値を算出し、それらを合計した値である。
v=4−2x−v(A)y・・・(式2)
(式2)において、x,yは上記(式1)と同じであり、v(A)はA元素の価数である。
なお、M元素が価数の異なる2種以上の元素である場合、M元素の価数(v)とは、各M元素において価数に原子比を乗じた値を算出し、それらを合計した値である。
M元素の価数(v)が(式2)を満たすものである場合、正極活物質の化学的安定性が向上するため好ましい。
また、M元素が価数の異なる2種以上の元素である場合、価数の異なる2種以上の元素の原子比を調整して(式2)を満たすようにすることで、層状構造の配位多面体層を容易に形成でき、不純物相が少なく、より高起電力でレート特性に優れたMg二次電池が得られる正極活物質となる。
また、M元素が価数の異なる2種以上の元素である場合、価数の異なる2種以上の元素の原子比を調整して(式2)を満たすようにすることで、層状構造の配位多面体層を容易に形成でき、不純物相が少なく、より高起電力でレート特性に優れたMg二次電池が得られる正極活物質となる。
また、上記(式1)において、xは0≦x<1、yは0<y<0.5であり、かつ0<x+y≦1の範囲の数である。
上記(式1)において、xは、満充電した状態が0であり、充放電反応により0から1の範囲で変動する。したがって、x=0である正極活物質を含む正極を備えたMg二次電池では、放電(正極活物質中にMgを挿入)することにより、二次電池として機能させることができる。
上記(式1)において、xは、満充電した状態が0であり、充放電反応により0から1の範囲で変動する。したがって、x=0である正極活物質を含む正極を備えたMg二次電池では、放電(正極活物質中にMgを挿入)することにより、二次電池として機能させることができる。
yが0.5以上であると、A元素が多くなり、正極活物質が、配位多面体層間にA元素を含むマグネシウム拡散層が配置された構造とは異なる構造となる。したがって、この正極活物質を用いてもMg二次電池のレート特性を向上させる効果は得られないし、マグネシウム量が少ないものとなるため充分な容量が得られない。また、yが0であると、正極活物質が、配位多面体層間にA元素を含まないマグネシウム拡散層が配置された構造となり、正極活物質中を移動するマグネシウムイオンが受ける静電気的拘束力を抑制する効果が得られない。
上記(式1)で示されるxおよびyの好ましい範囲は、0≦x<0.9、0.1≦y<0.5であり、かつ0<x+y≦1の範囲の数である。xおよびyをこの範囲とすることで、マグネシウム拡散層に配置されるマグネシウムよりもイオン半径の大きいA元素の数を十分に確保でき、A元素によってマグネシウム拡散層のc軸方向の厚みを効果的に拡張できる。その結果、マグネシウム拡散層におけるマグネシウムイオンの拡散速度をより一層速くできるとともに、高い容量を有するMg二次電池を製造できるものとなる。A元素によるマグネシウム拡散層のc軸方向の厚みを拡張する効果を得るためには、xおよびyは、0≦x<0.7、0.1≦y<0.4であり、かつ0<x+y≦1の範囲の数であることがより好ましい。
正極活物質の積層構造は、配位多面体層の酸素原子の位置によりc軸方向への積み重なり方が異なる。正極活物質の積層構造は、酸素原子からなる層がc軸方向に、ABBAABBAの周期で積層されたP2型構造、ABCABCABCの周期で積層されたO3型構造、ABBCCAABBCCAの周期で積層されたP3型構造(非特許文献3参照)のいずれかであることが好ましい。正極活物質の積層構造は、配位多面体層の積層不整などにより、これらの積層構造の中間的な構造となる場合もある。
正極活物質の積層構造は、上記の積層構造の中でもP2型構造であることが好ましい。好ましい空間群としては、P63/mmc(No.194)を例示できる。P2型構造の積層構造を有する正極活物質は、これを含む正極を備えるMg二次電池とした場合に、より高容量のMg二次電池が得られる。
正極活物質の配位多面体層の酸素原子の位置は、上記(式1)におけるxおよびyの値によって決定される。したがって、上記(式1)におけるxおよびyの値を適切に選択することで、適切な積層構造を有する正極活物質が得られる。
正極活物質の配位多面体層の酸素原子の位置は、上記(式1)におけるxおよびyの値によって決定される。したがって、上記(式1)におけるxおよびyの値を適切に選択することで、適切な積層構造を有する正極活物質が得られる。
P2型構造の積層構造を有する空間群P63/mmc(No.194)の正極活物質のマグネシウム拡散層において、マグネシウム原子が吸蔵・脱離するとともにA元素が入るサイトは、分率座標として(0,0,1/4)と(1/3,2/3,3/4)の2カ所がある。分率座標(0,0,1/4)のサイトは、c軸方向に隣接する原子との原子間距離が短く、しかも隣接する原子がA元素と同じく正の電荷を有するM元素である。分率座標(1/3,2/3,3/4)のサイトは、c軸方向に隣接する原子との原子間距離が長く、しかも隣接する原子が負の電荷を有する酸素原子である。
P2型構造の積層構造を有する正極活物質のマグネシウム拡散層において、各サイトのA元素の占有率g(0,0,1/4)およびg(1/3,2/3,3/4)は、下記(式3)を満たすことが望ましい。
g(0,0,1/4)<g(1/3,2/3,3/4)・・・(式3)
g(0,0,1/4)<g(1/3,2/3,3/4)・・・(式3)
(1/3,2/3,3/4)のサイトは、(0,0,1/4)のサイトと比較して、c軸方向に隣接する原子との原子間距離が大きく、しかも隣接する原子はA元素とは異なる負の電荷を持つ酸素原子である。このため、A元素の中でもイオン半径の大きい原子ほど(1/3,2/3,3/4)のサイトに収容されやすい。また、イオン半径の大きな原子であるA元素が、(0,0,1/4)のサイトよりも(1/3,2/3,3/4)のサイトに多く収容されている方が、エネルギー的に安定となり、好ましい。
マグネシウム拡散層を介して対向配置された配位多面体層間の間隔(マグネシウム拡散層のc軸方向の厚み)は、粉末X線回折による002反射のピーク位置(2θ)の角度を用いて評価できる。具体的には、002反射のピーク位置(2θ)の角度が小さいほど、配位多面体層間の間隔が広いことを示している。
したがって、002反射のピーク位置(2θ)の角度が小さいほど、正極活物質中を移動するマグネシウムイオンが受ける静電気的拘束力が小さいものとなり、これを用いた正極を備えるMg二次電池のレート特性が向上する。本実施形態の正極活物質では、粉末X線回折による002反射のピーク位置(2θ)の角度は、18.0°以下であることが好ましく、17.0°以下であることがより好ましい。
本実施形態の正極活物質は、上記(式1)で示される組成であるため、複数の配位多面体層と、配位多面体層間に配置され、マグネシウム原子を吸蔵・脱離するサイトを含むマグネシウム拡散層とを有する積層構造のものとなり、マグネシウム拡散層が、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素を含むものとなる。このため、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素を含まない場合と比較して、マグネシウム拡散層のc軸方向の厚みが厚くなり、正極活物質中を移動するマグネシウムイオンが受ける静電気的拘束力が抑制されたものとなる。
したがって、本実施形態の正極活物質によれば、マグネシウム拡散層におけるマグネシウムイオンの拡散速度が速く、レート特性に優れるMg二次電池が得られる正極を提供できる。
したがって、本実施形態の正極活物質によれば、マグネシウム拡散層におけるマグネシウムイオンの拡散速度が速く、レート特性に優れるMg二次電池が得られる正極を提供できる。
「正極活物質の製造方法」
次に、本発明の正極活物質の製造方法の一例として、本実施形態の正極活物質の製造方法について説明する。
本実施形態の正極活物質の製造方法は、Na又はKと上述したM元素とを含有する複酸化物からなる中間化合物を生成する工程と、中間化合物のNa又はKとA元素あるいは、Na又はKとA元素およびMgとをイオン交換する工程とを含む。
次に、本発明の正極活物質の製造方法の一例として、本実施形態の正極活物質の製造方法について説明する。
本実施形態の正極活物質の製造方法は、Na又はKと上述したM元素とを含有する複酸化物からなる中間化合物を生成する工程と、中間化合物のNa又はKとA元素あるいは、Na又はKとA元素およびMgとをイオン交換する工程とを含む。
(中間化合物を生成する工程)
中間化合物を生成する工程では、まず、Na又はKの酸化物もしくは加熱によりNa又はKの酸化物を生成するNa又はKの化合物と、M元素の酸化物もしくは加熱によりM元素の酸化物を生成するM化合物とを、所望の比率で混合して原料混合物を作製する。
中間化合物を生成する工程では、まず、Na又はKの酸化物もしくは加熱によりNa又はKの酸化物を生成するNa又はKの化合物と、M元素の酸化物もしくは加熱によりM元素の酸化物を生成するM化合物とを、所望の比率で混合して原料混合物を作製する。
加熱により酸化物を生成するNa又はKの化合物としては、例えば、Na又はKの水酸化物、シュウ酸塩、酢酸塩、炭酸塩、塩基性炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルコキシドなどが挙げられる。これらのうち、炭酸塩を用いることが好ましい。
加熱によりM元素の酸化物を生成するM化合物としては、例えば、M元素の水酸化物、シュウ酸塩、酢酸塩、炭酸塩、塩基性炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルコキシドなどが挙げられる。
加熱によりM元素の酸化物を生成するM化合物としては、例えば、M元素の水酸化物、シュウ酸塩、酢酸塩、炭酸塩、塩基性炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルコキシドなどが挙げられる。
上記の原料混合物は、原料混合物となる材料を機械的に混合することにより得られた混合粉末であってもよいし、液相を介して原料混合物となる材料を混合する方法により得られたものであってもよい。
まず、原料混合物となる材料を機械的に混合して、原料混合物である混合粉末を得る方法について説明する。
原料混合物となる材料を機械的に混合する方法としては、溶媒を用いない乾式ミル法を用いてもよいし、溶媒を用いる湿式ミル法を用いてもよい。
原料混合物となる材料を機械的に混合する場合に使用するミルの種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、ボールミル、振動ミル、アトリッションミル等を用いることができる。これらの中でも特に、設備費用の観点から、ボールミルを用いることが好ましい。
原料混合物となる材料を機械的に混合する方法としては、溶媒を用いない乾式ミル法を用いてもよいし、溶媒を用いる湿式ミル法を用いてもよい。
原料混合物となる材料を機械的に混合する場合に使用するミルの種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、ボールミル、振動ミル、アトリッションミル等を用いることができる。これらの中でも特に、設備費用の観点から、ボールミルを用いることが好ましい。
原料混合物となる材料を機械的に混合する場合、原料混合物となる材料を湿式ミル法により溶媒とともに混合して混合スラリーを作製することが好ましい。この場合、得られた混合スラリーを蒸発乾固することにより、短時間で微視的に均一な混合粉末が得られる。
湿式ミル法を用いる場合に使用される溶媒としては、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ヘキサン、アセトン、水等が挙げられる。安全性および製造コストを勘案すると、これらの溶媒の中でも、アセトン、エタノール、ヘキサン、水の何れかを用いることが好ましい。
湿式ミル法を用いる場合に使用される溶媒としては、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ヘキサン、アセトン、水等が挙げられる。安全性および製造コストを勘案すると、これらの溶媒の中でも、アセトン、エタノール、ヘキサン、水の何れかを用いることが好ましい。
湿式ミル法を用いる場合における原料混合物となる材料と溶媒との比率は、混合することにより得られる混合スラリーの粘度によって決定できる。好ましい混合スラリーの粘度は、50〜500mPa・Sである。混合スラリーの粘度が50mPa・S以上であると、混合スラリーの乾燥に要するエネルギー量の増大を抑制でき、好ましい。また、混合スラリーの粘度が500mPa・S以下であると、効率よく均一な混合粉末を得ることができ、好ましい。
湿式ミル法により得られた混合スラリーを蒸発乾固する方法としては、乾燥機等に静置して溶媒を蒸発させる方法や、スプレードライヤーを用いて溶媒を蒸発させる方法が挙げられる。スプレードライヤーを用いて混合スラリーから溶媒を蒸発させる場合、原料混合物となる材料が再分離することなく、短時間で溶媒を除去でき、容易に原料混合物として用いる混合粉末が得られる。また、スプレードライヤーを用いて混合スラリーから溶媒を蒸発させて得られた混合粉末は、粒径が数十〜数百μmの顆粒状を呈しているため、流動性に優れ、取り扱いが容易である。
次に、液相を介して原料混合物となる材料を混合し、原料混合物として用いる混合粉末を得る方法について説明する。
液相を介して原料混合物となる材料を混合する方法としては、共沈法、金属アルコキシド法、ゲル化法(非特許文献5参照)等の方法を用いることができる。
液相を介して原料混合物となる材料を混合する方法としては、共沈法、金属アルコキシド法、ゲル化法(非特許文献5参照)等の方法を用いることができる。
液相を介して原料混合物となる材料を混合した場合、原料混合物となる材料を機械的に混合した場合よりも、Na又はKの化合物とM化合物とが均一に混ざり合った原料混合物が得られる。このため、液相を介して原料混合物となる材料を混合した場合、原料混合物となる材料を機械的に混合した場合よりも、後述する原料混合物の仮焼成および/または中間化合物の焼成を短時間とすることができ、好ましい。
Na又はKの水溶液は、強アルカリで安定である。このため、共沈法により原料混合物を得る場合には、M化合物を共沈法により得た後に、Na又はKの化合物を機械的に混合する方法を用いても良い。
Na又はKの水溶液は、強アルカリで安定である。このため、共沈法により原料混合物を得る場合には、M化合物を共沈法により得た後に、Na又はKの化合物を機械的に混合する方法を用いても良い。
次に、このようにして得られた原料混合物を加熱(仮焼成)して、Na又はKとM元素とを含有する複酸化物からなる中間化合物を生成する。
中間化合物を合成する仮焼成における加熱温度(仮焼成温度)は、500〜1200℃であることが好ましく、600〜1000℃であることがより好ましく、700〜950℃であることがさらに好ましい。仮焼成温度が1200℃以下であると、生成した中間化合物の粒径が大きくなって、後述する中間化合物のNa又はKとA元素あるいは、Na又はKとA元素およびMgとをイオン交換する工程での反応性が低下することを防止できる。また、仮焼成温度が500℃以上であると、中間化合物である複酸化物を効率よく合成できる。
仮焼成加熱時間は、1時間〜20時間が好ましく、1〜15時間がより好ましく、1〜10時間がさらに好ましい。
中間化合物を合成する仮焼成における加熱温度(仮焼成温度)は、500〜1200℃であることが好ましく、600〜1000℃であることがより好ましく、700〜950℃であることがさらに好ましい。仮焼成温度が1200℃以下であると、生成した中間化合物の粒径が大きくなって、後述する中間化合物のNa又はKとA元素あるいは、Na又はKとA元素およびMgとをイオン交換する工程での反応性が低下することを防止できる。また、仮焼成温度が500℃以上であると、中間化合物である複酸化物を効率よく合成できる。
仮焼成加熱時間は、1時間〜20時間が好ましく、1〜15時間がより好ましく、1〜10時間がさらに好ましい。
仮焼成は、空気中若しくは酸素気流中で行うことが好ましい。仮焼成は、粉末の状態の原料混合物を磁製るつぼなどの焼成容器に収容して行っても良いし、加圧成形した原料混合物の成形体を用いて行っても良い。また、仮焼成は、複数回繰り返し行っても良い。
(イオン交換する工程)
次に、このようにして得られた中間化合物のNa又はKと上述したA元素あるいは、Na又はKとA元素およびMgとをイオン交換する工程を行うことにより正極活物質を生成する。
イオン交換する工程では、まず、中間化合物とA元素の硝酸塩又は、中間化合物とA元素の硝酸塩とMgの硝酸塩とを、所望の比率で混合して混合物とし、加熱(焼成)する。そして得られた生成物を十分に洗浄する。
次に、このようにして得られた中間化合物のNa又はKと上述したA元素あるいは、Na又はKとA元素およびMgとをイオン交換する工程を行うことにより正極活物質を生成する。
イオン交換する工程では、まず、中間化合物とA元素の硝酸塩又は、中間化合物とA元素の硝酸塩とMgの硝酸塩とを、所望の比率で混合して混合物とし、加熱(焼成)する。そして得られた生成物を十分に洗浄する。
上記の混合物の加熱は、粉末の状態で磁製るつぼなどの容器に収容して行っても良いし、加圧成形した成形体を用いて行っても良い。上記の混合物の焼成雰囲気は、空気中若しくは酸素雰囲気が良い。
中間化合物とA元素の硝酸塩とを含む混合物又は、中間化合物とA元素の硝酸塩とMgの硝酸塩とを含む混合物は、焼成炉等の中に雰囲気ガスが充填された状態で焼成してもよいし、雰囲気ガスの気流中で焼成してもよい。上記の混合物と雰囲気ガスとの反応を促進するためには、雰囲気ガスの気流中で混合物を焼成することが好ましい。雰囲気ガスの気流中で上記の混合物を加熱する場合、雰囲気ガスの流量は、10mL/分以上であることが好ましい。
上記の混合物の焼成加熱温度は、100〜700℃であることが好ましく、300〜500℃がより好ましく、300〜400℃がさらに好ましい。
焼成加熱時間は、1時間〜96時間であることが好ましく、1〜50時間がより好ましく、1〜20時間がさらに好ましい。焼成時間が1時間以上であれば、十分にイオン交換反応が進行するため、所望の正極活物質が得られる。焼成加熱時間が96時間を越えても、焼成後に得られる正極活物質に違いは生じないため、必要以上の長時間加熱は不経済である。
焼成加熱時間は、1時間〜96時間であることが好ましく、1〜50時間がより好ましく、1〜20時間がさらに好ましい。焼成時間が1時間以上であれば、十分にイオン交換反応が進行するため、所望の正極活物質が得られる。焼成加熱時間が96時間を越えても、焼成後に得られる正極活物質に違いは生じないため、必要以上の長時間加熱は不経済である。
本実施形態においては、必要に応じて、中間化合物とA元素の硝酸塩とを含む混合物又は、中間化合物とA元素の硝酸塩とMgの硝酸塩とを含む混合物を焼成加熱して得られた生成物を、さらに1回以上加熱してもよい。この場合の加熱条件は、上記の焼成加熱と同じであってもよいし、異なっていてもよい。焼成加熱して得られた生成物を、さらに1回以上加熱することで、より均一な正極活物質が得られる。また、焼成加熱して得られた生成物を、さらに1回以上加熱する場合には、より均一な正極活物質を得るために、加熱する生成物を解砕混合してから加熱することが好ましい。
以上の工程により、本実施形態の正極活物質が得られる。
以上の工程により、本実施形態の正極活物質が得られる。
本実施形態の正極活物質の製造方法は、Na又はKとM元素とを含有する複酸化物からなる中間化合物を生成する工程と、前記中間化合物のNa又はKとA元素あるいは、Na又はKと前記A元素およびMgとをイオン交換する工程とを含む方法であるので、上記(式1)で示される組成を有する本実施形態の正極活物質を製造できる。
「Mg二次電池」
次に、本発明のMg二次電池について例を挙げて説明する。図1は、本発明のMg二次電池の一例を示した断面図である。
本実施形態のMg二次電池1は、図1に示すように、正極2と、負極3と、正極2と負極3との間に介在する電解液6と、セパレータ7とを含むものである。正極2と負極3の外面側には、それぞれ集電体4、5が配置されている。
次に、本発明のMg二次電池について例を挙げて説明する。図1は、本発明のMg二次電池の一例を示した断面図である。
本実施形態のMg二次電池1は、図1に示すように、正極2と、負極3と、正極2と負極3との間に介在する電解液6と、セパレータ7とを含むものである。正極2と負極3の外面側には、それぞれ集電体4、5が配置されている。
本実施形態のMg二次電池1の正極2は、上述した実施形態の正極活物質を含むものであり、結合剤により正極活物質が固定された正極活物質層からなるものである。
結合剤としては、例えば、従来の二次電池の正極活物質層の結合剤として通常用いられている公知の樹脂材料等を用いることができる。具体的には、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有樹脂や、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース等の樹脂材料を例示できる。
結合剤としては、例えば、従来の二次電池の正極活物質層の結合剤として通常用いられている公知の樹脂材料等を用いることができる。具体的には、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有樹脂や、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース等の樹脂材料を例示できる。
また、正極2は、導電助剤を含むものであっても良い。導電助剤としては、公知の導電助剤等を用いることができる。具体的には、例えば導電助剤として、無定型炭素、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラックなどの炭素質物質を例示できる。
導電助剤は、正極活物質に、炭素質物質の前駆体である石油ピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂、炭水化物等を添加した後、非酸化性雰囲気中で加熱することにより、正極活物質に担持させたものであっても良い。このような導電助剤は、正極活物質の表面において、正極活物質と化学的に結合されていることが好ましい。
なお、正極活物質に炭素質物質の前駆体を添加する方法としては、例えば、液相を介して炭素質物質の前駆体を正極活物質に均一に付着させる方法などが挙げられる。
なお、正極活物質に炭素質物質の前駆体を添加する方法としては、例えば、液相を介して炭素質物質の前駆体を正極活物質に均一に付着させる方法などが挙げられる。
なお、導電助剤は、上記の炭素質物質に限定されるものではなく、導電性を有する材料であれば、金属材料や導電性高分子などであってもよいし、これらを上記の炭素質物質と組み合わせて使用しても良い。
正極2は、例えば、ペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を、集電体4上に塗布し、乾燥させて正極活物質層を形成する方法などによって得られる。正極合剤含有組成物は、正極活物質、結合剤および導電助剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド等などの公知の溶剤に分散させて混練することによって得られる。
電解液6は、電解質と電解質溶媒とからなるものである。
電解質としては、公知の電解質を用いることができる。例えば、電解質として、Mg(ClO4)2、MgBr2等のハロゲン化マグネシウム、Mg(SO2CF3)2等を使用できる。また、電解質として、ホウフッ化マグネシウム(Mg(BF4)2)、トリフルオロメチルスルホン酸マグネシウム(Mg(CF3SO3)2)、ヘキサフルオロ燐酸マグネシウム(Mg(PF6)2)、臭化エチルマグネシウム(EtMgBr)などのアルキルマグネシウム錯体、マグネシウムーホウ素錯体、Mg(AlCl2BuEt)2などの有機アルミン酸マグネシウム塩などを使用してもよい。
電解質としては、公知の電解質を用いることができる。例えば、電解質として、Mg(ClO4)2、MgBr2等のハロゲン化マグネシウム、Mg(SO2CF3)2等を使用できる。また、電解質として、ホウフッ化マグネシウム(Mg(BF4)2)、トリフルオロメチルスルホン酸マグネシウム(Mg(CF3SO3)2)、ヘキサフルオロ燐酸マグネシウム(Mg(PF6)2)、臭化エチルマグネシウム(EtMgBr)などのアルキルマグネシウム錯体、マグネシウムーホウ素錯体、Mg(AlCl2BuEt)2などの有機アルミン酸マグネシウム塩などを使用してもよい。
電解質溶媒としては、公知の非水電解質溶媒を用いることができる。非水電解質溶媒としては、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル1,3−ジオキソラン、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等を使用することができる。
特に、電圧安定性の点から、非水電解質溶媒として、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート類を使用することが好ましい。また、このような非水電解質溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、電解質として固体電解質を用いても良い。固体電解質は、正極と負極の間に配置され、両極を電気的に絶縁すると共に、マグネシウムイオンが固体電解質中を移動する。固体電解質を用いた全固体電池は、可燃性の非水電解質溶媒を用いる必要がないことから、電池の安全性を飛躍的に向上させることができる。
負極3としては、例えば、集電体5の表面に、負極活物質を含む負極活物質層が形成されたものを用いることができる。負極活物質層は、負極活物質と結合剤とを含むものとすることができる。負極活物質層は、負極活物質が金属からなるものである場合、金属箔とすることができる。
負極活物質としては、マグネシウムの溶解・析出可能なものが用いられる。具体的には、負極活物質として、金属マグネシウム、金属マグネシウムとアルカリ金属との合金等の他、マグネシウムと合金化可能な金属や、これらの金属を含む合金などが挙げられる。さらに、例えばPtなどのように、マグネシウムを含まない金属を負極活物質として用いることもできる。
また、負極活物質として、黒鉛(天然黒鉛;熱分解炭素類、MCMB(メソカーボンマイクロビーズ)、炭素繊維などの易黒鉛化炭素を2800℃以上で黒鉛化処理した人造黒鉛;など)や、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素材料を使用してもよい。
セパレータ7としては、公知のセパレータを用いることができる。セパレータとして、例えば、通常リチウムイオン電池に使用されるポリプロピレンなどの高分子フィルム材料からなるものなどを用いることができる。なお、セパレータの厚みはできるだけ薄いことが好ましい。具体的には、セパレータの厚みは、例えば50μm以下であることが好ましい。
集電体4、5としては、特に限定されるものではないが、アルミニウム箔や銅箔などの導体箔や導体薄板などを用いることができる。
本実施形態のMg二次電池1は、正極活物質として上述した実施形態の正極活物質を用いて、公知の従来方法により製造できる。
本実施形態のMg二次電池1は、正極2と、負極3と、正極2と負極3との間に介在する電解液6とを含むものであり、正極2が、上述した実施形態の正極活物質を含むものであるので、高起電力でレート特性に優れたものとなる。
本実施形態のMg二次電池1は、正極2と、負極3と、正極2と負極3との間に介在する電解液6とを含むものであり、正極2が、上述した実施形態の正極活物質を含むものであるので、高起電力でレート特性に優れたものとなる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、以下に示す実施例では、具体的な数値を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
<実施例1>
(正極活物質の製造)
まず、炭酸ナトリウムと酸化コバルト粉末とを混合して、原料混合物を作製した。
具体的には、NaとCo(M元素)が、原子比として2/3:1となるように炭酸ナトリウムと酸化コバルト粉末とを秤取し、溶媒としてアセトンを用いた湿式ボールミルにより均一に混合し、混合スラリーとした。次に、得られた混合スラリーを、蒸発乾固し、混合粉末(原料混合物)とした。
(正極活物質の製造)
まず、炭酸ナトリウムと酸化コバルト粉末とを混合して、原料混合物を作製した。
具体的には、NaとCo(M元素)が、原子比として2/3:1となるように炭酸ナトリウムと酸化コバルト粉末とを秤取し、溶媒としてアセトンを用いた湿式ボールミルにより均一に混合し、混合スラリーとした。次に、得られた混合スラリーを、蒸発乾固し、混合粉末(原料混合物)とした。
その後、この混合粉末を解砕した粉末をアルミナ製容器内に配置し、空気に曝された状態で、800℃で6時間加熱する仮焼成を2回行い、中間化合物を合成した。尚、2回目の仮焼成前に、メノー乳鉢を用いて1回仮焼成を行った試料を十分に解砕した。
2回目の仮焼成後に得られた中間化合物をメノー乳鉢で解砕し、粉末X線回折装置により生成相を同定したところ、P2型構造を有するNa2/3CoO2であることが判った。
2回目の仮焼成後に得られた中間化合物をメノー乳鉢で解砕し、粉末X線回折装置により生成相を同定したところ、P2型構造を有するNa2/3CoO2であることが判った。
次に、得られた中間化合物と硝酸カルシウムを、NaとCa(A元素)の原子比が1:0.55となるように秤取し、メノー乳鉢で混合した。その後、磁製るつぼ中に配置し、空気中310℃で6時間加熱(焼成)して、実施例1の正極活物質を合成した。
実施例1の正極活物質をメノー乳鉢で解砕し、粉末X線回折装置により生成相を同定したところ、P2型構造を有するCayCoO2であることが判った。また、粉末X線回折装置により回折プロファイルを求め、リートベルト解析を行った。その結果、Ca(A元素)が入る2つのサイトのCaの占有率g(0,0,1/4)およびg(1/3,2/3,3/4)が、(式3)を満たしていることが判った。さらに、Caの占有率から、yの値はy=0.37と見積もられた。また、002反射のピーク位置は、2θ=16.3°だった。
(Mg二次電池の製造)
このようにして得られた正極活物質と、導電助剤(アセチレンブラック)と、結合剤(ポリフッ化ビニリデン)とを、N−メチル−2−ピロリドンを溶剤として用いて混練し、ペースト状の正極合剤含有組成物とした。次に、この正極合剤含有組成物を集電体上に塗布し、乾燥アルゴン気流中、100℃で1時間の乾燥を行って、正極を得た。
このようにして得られた正極活物質と、導電助剤(アセチレンブラック)と、結合剤(ポリフッ化ビニリデン)とを、N−メチル−2−ピロリドンを溶剤として用いて混練し、ペースト状の正極合剤含有組成物とした。次に、この正極合剤含有組成物を集電体上に塗布し、乾燥アルゴン気流中、100℃で1時間の乾燥を行って、正極を得た。
また、負極としては、金属マグネシウム板を用いた。
そして、負極と正極との間に、セパレータとしてポリプロピレン製多孔質膜を配置し、電解液として、電解質(Mg(ClO4)2)を1mol/Lの濃度で非水電解質溶媒(アセトニトリル)に溶解させたものを用いて、Mg二次電池を作製した。
そして、負極と正極との間に、セパレータとしてポリプロピレン製多孔質膜を配置し、電解液として、電解質(Mg(ClO4)2)を1mol/Lの濃度で非水電解質溶媒(アセトニトリル)に溶解させたものを用いて、Mg二次電池を作製した。
得られたMg二次電池について、ポテンシオガルバノスタットを用いてサイクリックボルタンメトリー法により起電力と、正極活物質単位質量あたりの電流値とを測定した。
なお、電圧の掃引は還元反応(正極活物質にMgを挿入する反応)から開始し、0.1mV/sで行った。起電力は、酸化波と還元波の変曲点に相当する電圧の値(V)とした。その結果、実施例1の起電力は2.1Vだった。
また、電流値として、酸化波と還元波の最大値を平均した値を測定した。なお、電流値は、後に示す実施例1の値を100として、以下に示す他の実施例および比較例の相対値を算出し、評価した。
なお、電圧の掃引は還元反応(正極活物質にMgを挿入する反応)から開始し、0.1mV/sで行った。起電力は、酸化波と還元波の変曲点に相当する電圧の値(V)とした。その結果、実施例1の起電力は2.1Vだった。
また、電流値として、酸化波と還元波の最大値を平均した値を測定した。なお、電流値は、後に示す実施例1の値を100として、以下に示す他の実施例および比較例の相対値を算出し、評価した。
<実施例2〜4>
実施例1と同様にして、中間化合物としてP2型構造を有するNa2/3CoO2を合成した。
次に、実施例2においては、硝酸カルシウムに代えて硝酸ストロンチウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の正極活物質を合成した。
また、実施例3においては、さらに硝酸マグネシウムを加え、原子比としてNa:Ca:Mg=1:0.4:0.15となるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の正極活物質を合成した。
また、実施例4においては、硝酸カルシウムに代えて硝酸ストロンチウムを用い、さらに硝酸マグネシウムを加え、原子比としてNa:Sr:Mg=1:0.4:0.15となるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の正極活物質を合成した。
実施例1と同様にして、中間化合物としてP2型構造を有するNa2/3CoO2を合成した。
次に、実施例2においては、硝酸カルシウムに代えて硝酸ストロンチウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の正極活物質を合成した。
また、実施例3においては、さらに硝酸マグネシウムを加え、原子比としてNa:Ca:Mg=1:0.4:0.15となるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の正極活物質を合成した。
また、実施例4においては、硝酸カルシウムに代えて硝酸ストロンチウムを用い、さらに硝酸マグネシウムを加え、原子比としてNa:Sr:Mg=1:0.4:0.15となるように配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の正極活物質を合成した。
得られた実施例2〜4の正極活物質を、実施例1の正極活物質と同様にして同定したところ、表2に記載の通り、それぞれP2型構造を有することが判った。
また、実施例2〜4の正極活物質について、実施例1と同様に、粉末X線回折装置により回折プロファイルを求め、リートベルト解析を行った。その結果、A元素が入る2つのサイトのA元素の占有率g(0,0,1/4)およびg(1/3,2/3,3/4)は、(式3)をそれぞれ満たしていることが判った。A元素の占有率から、yまたはx+yの値は、それぞれ表2に示す値であると見積もられた。また、実施例3、4におけるyは0以上であることが見積もられた。また、002反射のピーク位置についてもそれぞれ表2に併記した。
また、実施例2〜4の正極活物質について、実施例1と同様に、粉末X線回折装置により回折プロファイルを求め、リートベルト解析を行った。その結果、A元素が入る2つのサイトのA元素の占有率g(0,0,1/4)およびg(1/3,2/3,3/4)は、(式3)をそれぞれ満たしていることが判った。A元素の占有率から、yまたはx+yの値は、それぞれ表2に示す値であると見積もられた。また、実施例3、4におけるyは0以上であることが見積もられた。また、002反射のピーク位置についてもそれぞれ表2に併記した。
このようにして得られた実施例2〜4の正極活物質を用いて実施例1と同様にして、Mg二次電池を作製した。
得られたMg二次電池について、実施例1と同様にして起電力と電流値を測定した。その結果、起電力、電流値はそれぞれ表3に示す値となった。
得られたMg二次電池について、実施例1と同様にして起電力と電流値を測定した。その結果、起電力、電流値はそれぞれ表3に示す値となった。
<実施例5>
まず、硝酸ニッケルと塩化マンガンを、原子比で1:1となるよう秤取り、純水中に溶解した。次に、この水溶液を水酸化ナトリウム水溶液中に滴下し、NiとMnの水酸化物からなる沈殿物を得た。得られた沈殿物を、洗浄液が中性となるまで純水中で複数回洗浄し、濾別した後110℃で乾燥した。
次に、炭酸ナトリウムと乾燥した沈殿物とを混合して原料混合物を作製した。
具体的には、NaとMn(M元素)とNi(M元素)が、原子比として2/3:0.5:0.5となるように、炭酸ナトリウムと乾燥した沈殿物とを秤取し、実施例1と同様にして湿式ボールミルにより混合し、蒸発乾固し、混合粉末(原料混合物)とした。
まず、硝酸ニッケルと塩化マンガンを、原子比で1:1となるよう秤取り、純水中に溶解した。次に、この水溶液を水酸化ナトリウム水溶液中に滴下し、NiとMnの水酸化物からなる沈殿物を得た。得られた沈殿物を、洗浄液が中性となるまで純水中で複数回洗浄し、濾別した後110℃で乾燥した。
次に、炭酸ナトリウムと乾燥した沈殿物とを混合して原料混合物を作製した。
具体的には、NaとMn(M元素)とNi(M元素)が、原子比として2/3:0.5:0.5となるように、炭酸ナトリウムと乾燥した沈殿物とを秤取し、実施例1と同様にして湿式ボールミルにより混合し、蒸発乾固し、混合粉末(原料混合物)とした。
その後、この混合粉末を実施例1と同様にして仮焼成し、得られた中間化合物を実施例1と同様にして同定した。その結果、P2型構造を有するNa2/3Mn0.5Ni0.5O2であることが判った。
次に、得られた中間化合物と硝酸カルシウムを、NaとCaが、原子比として1:0.55となるよう秤取し、実施例1と同様に焼成して、実施例5の正極活物質を合成した。
次に、得られた中間化合物と硝酸カルシウムを、NaとCaが、原子比として1:0.55となるよう秤取し、実施例1と同様に焼成して、実施例5の正極活物質を合成した。
得られた実施例5の正極活物質を、実施例1の正極活物質と同様に評価したところ、表2に記載の通り、P2型構造を有し、(式3)を満たし、yの値、002反射のピーク位置は、表2に示す通りだった。
このようにして得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にMg二次電池を作製した。得られたMg二次電池について、実施例1と同様にして起電力と電流値を測定したところ、起電力、電流値は表3に示す通りになった。
<実施例6>
炭酸ナトリウムと酸化マンガンと酸化鉄粉末とを混合して原料混合物を作製した。
具体的には、NaとMnとFeが、原子比として2/3:0.5:0.5となるように、炭酸ナトリウムと酸化マンガンと酸化鉄粉末とを秤取し、実施例1と同様にして湿式ボールミルにより混合し、蒸発乾固し、混合粉末(原料混合物)とした。
炭酸ナトリウムと酸化マンガンと酸化鉄粉末とを混合して原料混合物を作製した。
具体的には、NaとMnとFeが、原子比として2/3:0.5:0.5となるように、炭酸ナトリウムと酸化マンガンと酸化鉄粉末とを秤取し、実施例1と同様にして湿式ボールミルにより混合し、蒸発乾固し、混合粉末(原料混合物)とした。
その後、この混合粉末を実施例1と同様にして仮焼成し、得られた中間化合物を実施例1と同様にして同定した。その結果、P2型構造を有するNa2/3Mn0.5Fe0.5O2であることが判った。
次に、得られた中間化合物と硝酸カルシウムを、NaとSrが、原子比として1:0.55となるよう秤取し、実施例1と同様に焼成して、実施例6の正極活物質を合成した。
次に、得られた中間化合物と硝酸カルシウムを、NaとSrが、原子比として1:0.55となるよう秤取し、実施例1と同様に焼成して、実施例6の正極活物質を合成した。
得られた実施例6の正極活物質を、実施例1の正極活物質と同様に評価したところ、表2に記載の通り、P2型構造を有し、(式3)を満たし、yの値、002反射のピーク位置は、表2に示す通りになった。
このようにして得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にMg二次電池を作製した。得られたMg二次電池について、実施例1と同様にして起電力と電流値を測定したところ、起電力、電流値は表3に示す通りになった。
このようにして得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にMg二次電池を作製した。得られたMg二次電池について、実施例1と同様にして起電力と電流値を測定したところ、起電力、電流値は表3に示す通りになった。
<実施例7>
(正極活物質の製造)
まず、炭酸カリウムと酸化コバルト粉末とを混合して原料混合物を作製した。
具体的には、KとCo(M元素)が、原子比として2/3:1となるように炭酸カリウムと酸化コバルト粉末とを秤取し、実施例1と同様にして湿式ボールミルにより混合し、蒸発乾固し、混合粉末(原料混合物)とした。
(正極活物質の製造)
まず、炭酸カリウムと酸化コバルト粉末とを混合して原料混合物を作製した。
具体的には、KとCo(M元素)が、原子比として2/3:1となるように炭酸カリウムと酸化コバルト粉末とを秤取し、実施例1と同様にして湿式ボールミルにより混合し、蒸発乾固し、混合粉末(原料混合物)とした。
その後、この混合粉末を解砕した粉末をアルミナ製容器内に配置し、空気に曝された状態で、920℃で6時間加熱する仮焼成を2回行い、中間化合物を合成した。尚、2回目の仮焼成前に、メノー乳鉢を用いて1回仮焼成を行った試料を十分に解砕した。
2回目の仮焼成後に得られた中間化合物をメノー乳鉢で解砕し、粉末X線回折装置により生成相を同定したところ、P2型構造を有するK2/3CoO2であることが判った。
2回目の仮焼成後に得られた中間化合物をメノー乳鉢で解砕し、粉末X線回折装置により生成相を同定したところ、P2型構造を有するK2/3CoO2であることが判った。
次に、得られた中間化合物と硝酸ストロンチウムを、KとSr(A元素)が、原子比として1:0.55となるように秤取し、実施例1と同様に焼成して、実施例7の正極活物質を合成した。
得られた実施例7の正極活物質を、実施例1の正極活物質と同様に評価したところ、表2に記載の通り、P2型構造を有し、(式3)を満たし、yの値、002反射のピーク位置は、表2に示す通りだった。
このようにして得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にMg二次電池を作製した。得られたMg二次電池について、実施例1と同様にして起電力と電流値を測定したところ、起電力、電流値は表3に示す通りになった。
<比較例1>
実施例1と同様にして、中間化合物としてP2型構造を有するNa2/3CoO2を合成した。
次に、硝酸カルシウムの替わりに硝酸マグネシウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の正極活物質を合成した。
実施例1と同様にして、中間化合物としてP2型構造を有するNa2/3CoO2を合成した。
次に、硝酸カルシウムの替わりに硝酸マグネシウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の正極活物質を合成した。
得られた比較例1の正極活物質を実施例1の正極活物質と同様に評価したところ、表2に記載の通り、P2型構造を有することがわかった。
また、比較例1の正極活物質について、実施例1と同様に、粉末X線回折装置により回折プロファイルを求め、リートベルト解析を行った。その結果、Mgが入る2つのサイトのMgの占有率g(0,0,1/4)およびg(1/3,2/3,3/4)は、g(0,0,1/4)<g(1/3,2/3,3/4)であった。Mgの占有率から、MgxCoO2におけるxの値はx=0.35と見積もられた。また、002反射のピーク位置は、2θ=18.3°だった。
また、比較例1の正極活物質について、実施例1と同様に、粉末X線回折装置により回折プロファイルを求め、リートベルト解析を行った。その結果、Mgが入る2つのサイトのMgの占有率g(0,0,1/4)およびg(1/3,2/3,3/4)は、g(0,0,1/4)<g(1/3,2/3,3/4)であった。Mgの占有率から、MgxCoO2におけるxの値はx=0.35と見積もられた。また、002反射のピーク位置は、2θ=18.3°だった。
このようにして得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にMg二次電池を作製した。得られたMg二次電池について、実施例1と同様にして起電力と電流値を測定したところ、起電力、電流値は表3に示す通りになった。
実施例1〜実施例7、比較例1の中間化合物の組成および積層構造の種類を表1に示す。
また、実施例1〜実施例7、比較例1の正極活物質の組成および積層構造の種類、正極活物質の組成式におけるx、y、x+yの数値、A元素とM元素、Mg元素の価数、(式3)を満足するか否か、粉末X線回折による002反射のピーク位置(2θ)を表2に示す。なお、M元素の価数は(式2)に基づいて算出した計算値である。(式2)はA元素がII価の典型元素である場合v=4−2(x+y)となる。
また、実施例1〜実施例7、比較例1のMg二次電池の起電力と電流値の測定結果を表3に示す。
また、実施例1〜実施例7、比較例1の正極活物質の組成および積層構造の種類、正極活物質の組成式におけるx、y、x+yの数値、A元素とM元素、Mg元素の価数、(式3)を満足するか否か、粉末X線回折による002反射のピーク位置(2θ)を表2に示す。なお、M元素の価数は(式2)に基づいて算出した計算値である。(式2)はA元素がII価の典型元素である場合v=4−2(x+y)となる。
また、実施例1〜実施例7、比較例1のMg二次電池の起電力と電流値の測定結果を表3に示す。
表2に示すように、上記(式1)で示される組成である実施例1〜実施例7の正極活物質では、粉末X線回折による002反射のピーク位置(2θ)の角度は、18.0°以下であり、A元素を含まない比較例1の正極活物質と比較して小さいものであった。このことから、実施例1〜実施例7の正極活物質では、比較例1の正極活物質と比較して配位多面体層間の間隔が広いことが分かった。
また、表2および表3に示すように、実施例1〜実施例7の正極活物質を含む正極を備えるMg二次電池では、比較例1の正極活物質を含む正極を備えるMg二次電池と比較して、電流値が高く、レート特性が優れていることが分かった。
また、表2および表3に示すように、実施例1〜実施例7の正極活物質を含む正極を備えるMg二次電池では、比較例1の正極活物質を含む正極を備えるMg二次電池と比較して、電流値が高く、レート特性が優れていることが分かった。
本発明の正極活物質を含む正極を用いることにより、レート特性に優れるMg二次電池を提供できる。
1…Mg二次電池、2…正極、3…負極、4、5…集電体、6…電解液、7…セパレータ。
Claims (12)
- 下記(式1)で示される組成であることを特徴とするマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
MgxAyMO2・・・(式1)
(式1)において、Mgはマグネシウムであり、Aはマグネシウムよりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素であり、Aが複数の金属元素である場合yはそれら金属元素の合計値であり、MはAと異なる金属元素であって、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1、yは0<y<0.5であり、かつ0<x+y≦1の範囲の数である。 - 前記(式1)において、AはCa,Sr,Ba,La,Y,Gdから選ばれる一種以上の元素である請求項1に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
- 前記(式1)において、AはCa,Srから選ばれる一種以上のアルカリ土類金属元素である請求項1に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
- P2型構造の積層構造を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
- MgxMO2(Mgはマグネシウムであり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1である。)からなり、前記遷移金属元素と前記遷移金属元素に六配位した酸素原子とからなる三角柱および/または八面体が結合されてなる複数の配位多面体層と、前記配位多面体層間に配置され、マグネシウム原子を吸蔵・脱離するサイトを含むマグネシウム拡散層とを有するマグネシウムイオン二次電池用正極活物質において、
前記マグネシウム拡散層に、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素が配置されたことを特徴とするマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。 - 前記マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素がCa,Sr,Ba,La,Y,Gdから選ばれる一種以上の元素である請求項5に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
- 組成が下記(式1)で示される組成であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質。
MgxAyMO2・・・(式1)
(式1)において、Mgはマグネシウムであり、Aはマグネシウムよりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素であり、Aが複数の金属元素である場合yはそれら金属元素の合計値であり、MはAと異なる金属元素であって、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1、yは0<y<0.5であり、かつ0<x+y≦1の範囲の数である。 - 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質を製造する方法であって、
Na又はKの酸化物もしくは加熱によりNa又はKの酸化物を生成するNa又はKの化合物と、M元素(MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素である。)の酸化物もしくは、加熱により前記M元素の酸化物を生成するM化合物とを混合して加熱し、Na又はKと前記M元素とを含有する複酸化物からなる中間化合物を生成する工程と、
前記中間化合物のNa又はKとA元素(Aはマグネシウムよりイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素であって、Mと異なる金属元素である。)あるいは、Na又はKと前記A元素およびMgとをイオン交換する工程とを含むことを特徴とするマグネシウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。 - 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のマグネシウムイオン二次電池用正極活物質を含有する正極を備えることを特徴とするマグネシウムイオン二次電池。
- MgxMO2(Mgはマグネシウムであり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1である。)からなり、前記遷移金属元素と前記遷移金属元素に六配位した酸素原子とからなる三角柱および/または八面体が結合されてなる複数の配位多面体層と、前記配位多面体層間に配置され、マグネシウム原子を吸蔵・脱離するサイトを含むマグネシウム拡散層とを有するマグネシウムイオン二次電池用正極活物質において、
前記マグネシウム拡散層に、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素を配置することを特徴とするマグネシウムイオン拡散速度の改善方法。 - MgxMO2(Mgはマグネシウムであり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1である。)からなり、前記遷移金属元素と前記遷移金属元素に六配位した酸素原子とからなる三角柱および/または八面体が結合されてなる複数の配位多面体層と、前記配位多面体層間に配置され、マグネシウム原子を吸蔵・脱離するサイトを含むマグネシウム拡散層とを有するマグネシウムイオン二次電池用正極活物質において、
前記マグネシウム拡散層に、Ca,Sr,Ba,La,Y,Gdから選ばれる一種以上の元素を配置することを特徴とするマグネシウムイオン拡散速度の改善方法。 - MgxMO2(Mgはマグネシウムであり、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cuから選ばれる一種以上の遷移金属元素であり、xは0≦x<1である。)からなり、前記遷移金属元素と前記遷移金属元素に六配位した酸素原子とからなる三角柱および/または八面体が結合されてなる複数の配位多面体層と、前記配位多面体層間に配置され、マグネシウム原子を吸蔵・脱離するサイトを含むマグネシウム拡散層とを有するマグネシウムイオン二次電池用正極活物質において、
前記MgxMO2のマグネシウム元素の一部または全部を、マグネシウムよりもイオン半径の大きい元素から選ばれる一種以上の金属元素で置換することによって、前記マグネシウム拡散層の厚みを拡張することを特徴とするマグネシウムイオン拡散速度の改善方法。
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