JP2015088451A - 電池用包装材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐薬品性、成形性、及びバリア層とコーティング層の層間密着性を備えつつ、リードタイムの短縮化を図れる電池用包装材料の提供。
【解決手段】コーティング層1、バリア層2、及びシーラント層3をこの順に有する積層体をこの順に有する積層体からなる電池用包装材料において、当該コーティング層が、第1コーティング層1a、第2コーティング層1b、及び第3コーティング層1cの3つの層を有し、第1コーティング層が最表層に位置し、第3コーティング層がバリア層側に位置するように配置し、第1コーティング層、第2コーティング層、及び第3コーティング層を各々、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物で形成し、且つ特定の硬度を充足させる電池用包装材料。第1コーティング層が3000〜6000MPaの弾性率であり、第2コーティング層及び第3コーティング層が1500〜6000MPaの弾性率である電池用包装材料。
【選択図】図2
【解決手段】コーティング層1、バリア層2、及びシーラント層3をこの順に有する積層体をこの順に有する積層体からなる電池用包装材料において、当該コーティング層が、第1コーティング層1a、第2コーティング層1b、及び第3コーティング層1cの3つの層を有し、第1コーティング層が最表層に位置し、第3コーティング層がバリア層側に位置するように配置し、第1コーティング層、第2コーティング層、及び第3コーティング層を各々、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物で形成し、且つ特定の硬度を充足させる電池用包装材料。第1コーティング層が3000〜6000MPaの弾性率であり、第2コーティング層及び第3コーティング層が1500〜6000MPaの弾性率である電池用包装材料。
【選択図】図2
Description
本発明は、バリア層上にコーティング層を最表層として設けることによって薄膜化されたフィルム状の電池用包装材料であって、リードタイムを短縮化できる電池用包装材料に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において、電極や電解質等の電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されていた。
一方、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の電池用包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材層/接着層/バリア層/シーラント層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなフィルム状の電池用包装材料では、シーラント層同士を対向させて周縁部をヒートシールにて熱溶着させることにより電池素子を封止できるように形成されている。
一方、近年、電池の小型化や薄型化に対する要望が益々高まっており、その要望に追従するようにフィルム状の電池用包装材料でも更なる薄膜化が要求されている。フィルム状の電池用包装材料全体を薄膜化する手法として、厚み10〜20μm程度の樹脂フィルムが使用されている基材層を薄膜化する方法が挙げられる。しかしながら、樹脂フィルムの薄膜化には、製造上の限界があり、しかも樹脂フィルムの薄膜化に要する加工コストによって電池用包装材料の製造コストも上昇するという問題点がある。
また、樹脂フィルムと比較して、熱硬化性樹脂をコートすることにより形成したコーティング層は膜厚を大幅に小さくできるので、フィルム状の電池用包装材料全体を薄膜化する上で、バリア層上に積層される接着層と基材層を、熱硬化性樹脂で形成したコーティング層に置換することも有効になる。このように接着層と基材層に代えてコーティング層を設ける場合、当該コーティング層は、その基本性能を担保するために、絶縁性を付与できる程度の厚膜であることが求められる。そのため、従来技術を利用してバリア層上に絶縁性を付与できるコーティング層を設ける方法としては、バリア層上に熱硬化性樹脂を厚膜コートする方法、又はバリア層上に熱硬化性樹脂の薄膜コートを複数回繰り返して複数のコーティング層を積層させる方法が挙げられる。しかしながら、前者の方法では、厚膜コートによってコーティング層中に気泡が発生し易くなり、ピンホールが無いコーティング層を形成することが困難という欠点がある。また、前者及び後者の方法の双方とも、従来技術を利用して熱硬化性樹脂を用いてコーティング層を形成すると、硬化工程に高温条件でのエージングを数日〜数週間行うことが必要とされるため、リードタイムの長期化を招き、高温条件や温度変化に長期間晒されることによる製品不良が生じるという問題点もある。特に、後者の方法では、複数のコーティング層を形成するために、硬化工程を複数回実施する必要があり、非常に長いリードタイムが必要となるため、現実的ではない。
更に、フィルム状の電池用包装材料において、接着層と基材層に代えてコーティング層を最表層として設ける場合には、当該コーティング層には、絶縁性の他に、基本性能として、電解液、酸、アルカリ、有機溶剤等の薬品の付着に対する耐性(耐薬品性)を備えさせることも重要になる。また、フィルム状の電池用包装材料には、プレス成型やエンボス加工における成形・加工性や操作性を良好にするために、成形性に優れ、表面にスリップ性を備えさせることも重要になる。
このような従来技術を背景として、バリア層上にコーティング層を最表層として設けることによって薄膜化されたフィルム状の電池用包装材料であって、リードタイムを短縮化でき、更に、成形性、耐薬品性、スリップ性等の機能性の付与も可能になっている電池用包装材料の開発が切望されている。
本発明は、従来のフィルム状の電池用包装材料における接着層と基材層に代えてコーティング層を最表層として設けることによって薄膜化を実現できるフィルム状の電池用包装材料であって、リードタイムの短縮化を図ることができるフィルム状の電池用包装材料を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、少なくとも、コーティング層、バリア層、及びシーラント層をこの順に有する積層体をこの順に有する積層体からなる電池用包装材料において、当該コーティング層が、2層以上の複層構造を有し、且つ当該コーティング層を構成する各層が、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物で形成することによって、薄膜化可能で、しかもリードタイムを短縮化して効率的な製造が可能になることを見出した。
また、前記電池用包装材料において、前記コーティング層を構成する各層の弾性率が1500〜6000MPaを充足することによって、優れた成形性を備え得ることも見出した。更に、前記コーティング層の内、少なくとも1つの層の弾性率が2500〜6000MPaを充足することによって、優れた耐薬品性も備え得ることを見出した。また、前記コーティング層の内、最表層に位置する層に、スリップ剤、特に反応性スリップ剤を含有させることによって、優れたスリップ性を付与できることも見出した。
更に、前記構成を有する電池用包装材料において、前記コーティング層の少なくとも1つの層に顔料及び/又は染料を含有させることにより、電池用包装材料に識別性を付与できると共に、熱伝導率を高めて放熱性を向上させ得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、コーティング層、バリア層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなり、
前記コーティング層が、2層以上の複層構造を有し、
前記コーティング層を構成する各層が、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物からなる、
ことを特徴とする、電池用包装材料。
項2. 前記コーティング層を構成する各層の弾性率が1500〜6000MPaである、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記コーティング層を構成する層の内、少なくとも1つの層の弾性率が2500〜6000MPaである、項1又は2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記コーティング層が2層構造であり、
前記コーティング層を構成する層の内、バリア層と接面する層の弾性率が1500〜6000Mpaであり、最表層の弾性率が3000〜6000Mpaである、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記コーティング層が3層構造であり、
前記コーティング層を構成する層の内、バリア層と接面する層の弾性率が1500〜6000Mpaであり、バリア層と接面する層と最表層の中間に位置する層の弾性率が1500〜6000Mpaであり、最表層の弾性率が3000〜6000Mpaである、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記コーティング層の内、最表層が、硬化性樹脂と硬化促進剤と反応性スリップ剤とを含有する樹脂組成物の硬化物からなる、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 前記コーティング層の少なくとも1つの層の形成に使用される前記樹脂組成物に顔料及び/又は染料が含まれる、項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 前記コーティング層の少なくとも1つの層の形成に使用される前記樹脂組成物に無機顔料が含まれる、項7に記載の電池用包装材料。
項9. 前記コーティング層を構成する各層の厚さが1〜5μmである、項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
項10. 電池用包装材料の全体の厚さが40〜120μmである、項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料。
項11. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びアルキド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1〜10のいずれかに記載の電池用包装材料。
項12. 前記硬化促進剤が、アミジン化合物、カルボジイミド化合物、ケチミン化合物、ヒドラジン化合物、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、及び第3級アミン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1〜11のいずれかに記載の電池用包装材料。
項13. バリア層に対して、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の塗布及び加熱による硬化を2回以上繰り返し行い、バリア層上に2層以上の複層構造を有するコーティング層を形成するコーティング層形成工程を含み、
前記コーティング層形成工程の前、途中、又は後に、バリア層においてコーティング層を積層させる面とは反対側の面にシーラント層を積層させる、
ことを特徴とする、電池用包装材料の製造方法。
項14. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜12のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
前記コーティング層が、2層以上の複層構造を有し、
前記コーティング層を構成する各層が、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物からなる、
ことを特徴とする、電池用包装材料。
項2. 前記コーティング層を構成する各層の弾性率が1500〜6000MPaである、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記コーティング層を構成する層の内、少なくとも1つの層の弾性率が2500〜6000MPaである、項1又は2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記コーティング層が2層構造であり、
前記コーティング層を構成する層の内、バリア層と接面する層の弾性率が1500〜6000Mpaであり、最表層の弾性率が3000〜6000Mpaである、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記コーティング層が3層構造であり、
前記コーティング層を構成する層の内、バリア層と接面する層の弾性率が1500〜6000Mpaであり、バリア層と接面する層と最表層の中間に位置する層の弾性率が1500〜6000Mpaであり、最表層の弾性率が3000〜6000Mpaである、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記コーティング層の内、最表層が、硬化性樹脂と硬化促進剤と反応性スリップ剤とを含有する樹脂組成物の硬化物からなる、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 前記コーティング層の少なくとも1つの層の形成に使用される前記樹脂組成物に顔料及び/又は染料が含まれる、項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 前記コーティング層の少なくとも1つの層の形成に使用される前記樹脂組成物に無機顔料が含まれる、項7に記載の電池用包装材料。
項9. 前記コーティング層を構成する各層の厚さが1〜5μmである、項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
項10. 電池用包装材料の全体の厚さが40〜120μmである、項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料。
項11. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びアルキド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1〜10のいずれかに記載の電池用包装材料。
項12. 前記硬化促進剤が、アミジン化合物、カルボジイミド化合物、ケチミン化合物、ヒドラジン化合物、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、及び第3級アミン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1〜11のいずれかに記載の電池用包装材料。
項13. バリア層に対して、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の塗布及び加熱による硬化を2回以上繰り返し行い、バリア層上に2層以上の複層構造を有するコーティング層を形成するコーティング層形成工程を含み、
前記コーティング層形成工程の前、途中、又は後に、バリア層においてコーティング層を積層させる面とは反対側の面にシーラント層を積層させる、
ことを特徴とする、電池用包装材料の製造方法。
項14. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜12のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、コーティング層、バリア層、及びシーラント層をこの順に有する積層体によって構成されており、従来のフィルム状の電池用包装材料のようにバリア層上に接着層と基材層が設けられていないので、薄膜化を実現できており、電池の小型化や薄膜化に貢献することができる。
また、本発明の電池用包装材料は、バリア層上に設けられるコーティング層を構成する各層が、熱硬化性樹脂と硬化促進剤を含有する樹脂組成物の硬化物によって形成されているので、各コーティング層の硬化工程において、高温条件でのエージングを要することなく短時間で硬化でき、リードタイムの短縮化が図られ、更には高温条件に長期間晒されることによる製品不良の発生を防止することもできる。
また、本発明の電池用包装材料は、バリア層上に設けられるコーティング層が2層以上の複層を有しており、コーティング層を構成する各層に種々の機能性を備えさせることもできる。例えば、コーティング層を構成する各層の弾性率を所定範囲にすることによって、優れた成形性や耐薬品性を備えさせることができる。また、コーティング層を構成する最表層にスリップ剤を含有させることにより、優れたスリップ性を備えさせることもできる。
また、本発明の電池用包装材料は、同一又は異なる機能性を備えた層を複数積層させることによってコーティング層を形成することもできるので、多様な機能性を備えた電池用包装材料を簡易に提供することが可能になる。
また、従来のフィルム状の電池用包装材料において、電池の種別毎に色調による識別性を付与する場合には、接着層又は基材層のいずれか一方に顔料及び/又は染料を配合する必要があるが、接着層に顔料及び/又は染料を配合する場合には接着層の接着強度の低下を招き、基材層に顔料及び/又は染料を配合する場合には基材層の製造コストの上昇を招くという欠点があった。これに対して、本発明の電池用包装材料では、コーティング層を構成する少なくとも1つの層に顔料及び/又は染料を含有させることにより電池用包装材料に識別性を付与できるので、従来のフィルム状の電池用包装材料に識別性を付与する際の欠点を克服することもできる。更に、コーティング層を構成する少なくとも1つの層に顔料及び/又は染料(特に、無機顔料)を含有させると、電池用包装材料の熱伝導率を高めて放熱性を向上させることができるため、電池の安全性の向上にも資することができる。
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、コーティング層、バリア層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなり、当該コーティング層が、2層以上の複層構造を有し、当該コーティング層を構成する各層が、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物で形成されていることを特徴とする。以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
1.電池用包装材料の積層構造
本発明の電池用包装材料は、図1及び2に示すように、少なくとも、コーティング層1、バリア層2、及びシーラント層3をこの順に有する積層体からなる積層構造を有する。
また、本発明の電池用包装材料において、前記コーティング層1は、2層以上の複層構造を有している。コーティング層1を構成する層の数は、付与すべき機能性等に応じて適宜設定すればよいが、例えば2〜8層、好ましくは2〜5、更に好ましくは2又は3層である。図1に、コーティング層1が2層構造(第1コーティング層1aと第2コーティング層1b)である本発明の電池用包装材料の断面構造を示し、図2に、コーティング層1が3層構造(第1コーティング層1aと第2コーティング層1bと第3コーティング層1c)である本発明の電池用包装材料の断面構造を示す。
本発明の電池用包装材料は、図1及び2に示すように、少なくとも、コーティング層1、バリア層2、及びシーラント層3をこの順に有する積層体からなる積層構造を有する。
また、本発明の電池用包装材料において、前記コーティング層1は、2層以上の複層構造を有している。コーティング層1を構成する層の数は、付与すべき機能性等に応じて適宜設定すればよいが、例えば2〜8層、好ましくは2〜5、更に好ましくは2又は3層である。図1に、コーティング層1が2層構造(第1コーティング層1aと第2コーティング層1b)である本発明の電池用包装材料の断面構造を示し、図2に、コーティング層1が3層構造(第1コーティング層1aと第2コーティング層1bと第3コーティング層1c)である本発明の電池用包装材料の断面構造を示す。
本発明の電池用包装材料において、コーティング層1が最外層になり、シーラント層3は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置するシーラント層3同士が熱溶着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
また、本発明の電池用包装材料には、バリア層2とシーラント層3との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層4が設けられていてもよい。
2.電池用包装材料を形成する各層の組成及び物性
[コーティング層1]
本発明の電池用包装材料において、コーティング層1はバリア層2の上に設けられ、電池用包装材料の最表層を形成する層である。コーティング層1は、2層以上の複層構造を有し、当該コーティング層を構成する各層が、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物で形成される。このように、コーティング層1を2層以上の積層構造にし、且つコーティング層1を構成する各層を熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物で形成することによって、短時間で硬化させることが可能になり、その結果、リードタイムの短縮化が図られ、更には高温条件に長期間晒されることによる製品不良の発生を防止することもできる。
[コーティング層1]
本発明の電池用包装材料において、コーティング層1はバリア層2の上に設けられ、電池用包装材料の最表層を形成する層である。コーティング層1は、2層以上の複層構造を有し、当該コーティング層を構成する各層が、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物で形成される。このように、コーティング層1を2層以上の積層構造にし、且つコーティング層1を構成する各層を熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物で形成することによって、短時間で硬化させることが可能になり、その結果、リードタイムの短縮化が図られ、更には高温条件に長期間晒されることによる製品不良の発生を防止することもできる。
<コーティング層1を構成する各層の組成>
(熱硬化性樹脂)
コーティング層1を構成する各層の形成に使用される樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂は、加熱すると重合を起こして高分子の網目構造を形成して硬化するものであればよい。熱硬化性樹脂としては、具体的には、エポキシ樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。
(熱硬化性樹脂)
コーティング層1を構成する各層の形成に使用される樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂は、加熱すると重合を起こして高分子の網目構造を形成して硬化するものであればよい。熱硬化性樹脂としては、具体的には、エポキシ樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂の中でも、硬化時間のより一層の短縮化、成形性や耐薬品性の向上等の観点から、好ましくはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、更に好ましく2液硬化性ウレタン樹脂、2液硬化性エポキシ樹脂、特に好ましくは2液硬化性ウレタン樹脂が挙げられる。
2液硬化性ウレタン樹脂として、具体的にはポリオール化合物(主剤)と、イソシアネート系化合物(硬化剤)の組み合わせが挙げられ、2液硬化性エポキシ樹脂として、具体的にはエポキシ樹脂(主剤)と、酸無水物、アミン化合物、又はアミノ樹脂(硬化剤)の組み合わせが挙げられる。
前記2液硬化性ウレタン樹脂において、主剤として使用されるポリオール化合物については、特に制限されないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール等が挙げられる。これらのポリオール化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、前記2液硬化性ウレタン樹脂において、硬化剤として使用されるイソシアネート系化合物については、特に制限されないが、例えば、ポリイソシアネート、そのアダクト体、そのイソシアヌレート変性体、そのカルボジイミド変性体、そのアロハネート変性体、そのビュレット変性体等が挙げられる。前記ポリイソシアネートとしては、具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリフェニルメタンジイソシアネート(ポリメリックMDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(1,5−NDI)、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニレンジイソシアネート(TODI)、キシレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族ジイソシアネート;トラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;1,5−ナフタレンジイソシアネート(1,5−NDI)等の多環芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。前記アダクト体としては、具体的には、前記ポリイソシアネートに、トリメチロールプロパン、グリコール等を付加したものが挙げられる。これらのイソシアネート系化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの熱硬化性樹脂は、架橋性エラストマーであってもよい。架橋性エラストマーとは、硬化物にソフトセグメントを付与できる熱硬化性樹脂である。例えば、架橋性エラストマーの内、2液硬化性ウレタン樹脂又は2液硬化性エポキシ樹脂の場合であれば、前述する主剤がソフトセグメントを付与可能な構造を有していればよい。架橋性エラストマーは、コーティング層1を構成する層に所望の弾性率を備えさせるために、コーティング層1を構成する層の形成に使用される熱硬化性樹脂の一部として使用することができる。
これらの熱硬化性樹脂は、コーティング層1を構成する1つの層において、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、コーティング層1を構成する各層同士で、使用される熱硬化性樹脂は、同一であっても異なってもよく、熱硬化性樹脂の種類は、各層に備えさせるべき機能や物性等に応じて適宜選択すればよい。例えば、コーティング層1を構成する層の内、最表層を形成する層(バリア層とは反対側に位置する最表層)には、優れた耐薬品性を備えるという観点から、多環芳香族骨格及び/又は複素環骨格を有している熱硬化性樹脂が好適に使用される。多環芳香族骨格を有する熱硬化性樹脂として、具体的には、多環芳香族骨格を有するエポキシ樹脂、多環芳香族骨格を有するウレタン樹脂が挙げられる。また、複素環骨格を有する熱硬化性樹脂として、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂が挙げられる。これらの多環芳香族骨格及び/又は複素環骨格を有する熱硬化性樹脂は、1液硬化型又は2液型硬化型のいずれであってもよい。
多環芳香族骨格を有するエポキシ樹脂としては、より具体的には、ジヒドロキシナフタレンと、エピハロヒドリンとの反応物;ナフトールとアルデヒド類との縮合物(ナフトールノボラック樹脂)と、エピハロヒドリンとの反応物;ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物と、エピハロヒドリンの反応物;モノ又はジヒドロキシナフタレンとキシリレングリコール類との縮合物と、エピハロヒドリンとの反応物;モノ又はジヒドロキシナフタレンとジエン化合物との付加物と、エピハロヒドリンとの反応物;ナフトール同士が直接カップリングしたポリナフトール類とエピハロヒドリンとの反応物等が挙げられる。
多環芳香族骨格を有するウレタン樹脂としては、より具体的には、ポリオール化合物と、多環芳香族骨格を有するイソシアネート系化合物との反応物が挙げられる。
(硬化促進剤)
コーティング層1を構成する各層の形成に使用される樹脂組成物は、硬化促進剤を含有する。このように、熱硬化性樹脂と共に、硬化促進剤を共存させることにより、製造時に高温条件でのエージングを要することなく短時間でコーティング層1を構成する各層を硬化させて、リードタイムを短縮することが可能になる。
コーティング層1を構成する各層の形成に使用される樹脂組成物は、硬化促進剤を含有する。このように、熱硬化性樹脂と共に、硬化促進剤を共存させることにより、製造時に高温条件でのエージングを要することなく短時間でコーティング層1を構成する各層を硬化させて、リードタイムを短縮することが可能になる。
ここで、「硬化促進剤」とは、自らは架橋構造を形成しないが、熱硬化性樹脂の架橋反応を促進する物質であり、熱硬化性樹の架橋反応を促進する作用を有し、自らも架橋構造を形成する場合もある物質である。
硬化促進剤の種類については、使用する熱硬化性樹脂に応じて、前述する硬度を充足できるように適宜選定されるが、例えば、アミジン化合物、カルボジイミド化合物、ケチミン化合物、ヒドラジン化合物、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、第3級アミン化合物等が挙げられる。
前記アミジン化合物としては、特に制限されないが、例えば、イミダゾール化合物、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン(DBN)、グアニジン化合物等が挙げられる。前記イミダゾール化合物としては、具体的には、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル−(1)']−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−エチル−4'−メチルイミダゾリル−(1)']−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−ウンデシルイミダゾリル]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル−(1)']−エチル−S−トリアジンイソシアヌール酸化付加物、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−アリール−4,5−ジフェニルイミダゾール等が挙げられる。これらのアミジン化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記カルボジイミド化合物としては、特に制限されないが、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N'−エチルカルボジイミドメチオジド、N−tert−ブチル−N’−エチルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメソ−p−トルエンスルホネート、N,N’−ジ−tert−ブチルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トリルカルボジイミド等が挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記ケチミン化合物としては、ケチミン結合(N=C)を有することを限度として特に制限されないが、例えばケトンとアミンとを反応させて得られるケチミン化合物が挙げられる。前記ケトンとしては、具体的には、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル第3ブチルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン等が挙げられる。また、前記アミンとしては、具体的には、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジエチルジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の脂肪族ポリアミン;N−アミノエチルピペラジン、3−ブトキシイソプロピルアミン等の主鎖にエーテル結合を有するモノアミンやポリエーテル骨格のジアミン;イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミン等の脂環式ポリアミン:ノルボルナン骨格のジアミン;ポリアミドの分子末端にアミノ基を有するポリアミドアミン;2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等が、具体例として挙げられる。これらのケチミン化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記ヒドラジン化合物としては、特に制限されないが、例えば、ジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等が挙げられる。これらのヒドラジン化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記スルホニウム塩としては、特に制限されないが、例えば、4−アセトフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−4−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート等のアルキルスルホニウム塩;ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のベンジルスルホニウム塩;ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェー、ジベンジル−4−メトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のジベンジルスルホニウム塩;p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−ニトロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3,5−ジクロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、o−クロロベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等の置換ベンジルスルホニウム塩等が挙げられる。これらのスルホニウム塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記ベンゾチアゾリウム塩としては、特に制限されないが、例えば、3−ベンジルベンゾチアゾリウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、3−ベンジルベンゾチアゾリウム テトラフルオロボレート、3−(p−メトキシベンジル)ベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−2−メチルチオベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−5−クロロベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート等のベンジルベンゾチアゾリウム塩が挙げられる。これらのベンゾチアゾリウム塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記第3級アミン化合物としては、特に制限されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、キヌクリジン、3−キヌクリジノール等の脂肪族第3級アミン;ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン;イソキノリン、ピリジン、コリジン、ベータピコリン等の複素環第3級アミン等が挙げられる。これらの第3級アミン化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記硬化促進剤の好適な一例としては、熱酸発生剤として機能するものが挙げられる。熱酸発生剤とは、加熱により酸を発生し、硬化促進剤として機能する物質である。前述する硬化促進剤の内、熱酸発生剤として機能し得るものとしては、具体的には、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩等が挙げられる。
また、前記硬化促進剤の他の好適な一例としては、所定の加熱条件下(例えば80〜2000℃、好ましくは100〜160℃)で活性化して熱硬化性樹脂の架橋反応を促進する熱潜在性を備えるものが挙げられる。前述する硬化促進剤の内、熱潜在性である物質としては、具体的には、アミジン化合物、ヒドラジン化合物、第3級アミン化合物等にエポキシ化合物が付加したエポキシアダクトが挙げられる。
更に、前記硬化促進剤の他の好適な一例としては、密閉状態、すなわち湿気遮断状態では硬化剤として機能しないが、密閉状態を開封し、湿気の存在する条件下で加水分解して硬化剤として機能する加水分解型潜在性を備えるものが挙げられる。前述する硬化促進剤の内、加水分解型潜在性である物質としては、具体的には、アミジン化合物、ヒドラジン化合物、第3級アミン化合物等にエポキシ化合物が付加したエポキシアダクトが挙げられる。
これらの硬化促進剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの硬化促進剤の中でも、好ましくはアミジン化合物、スルホニウム塩、更に好ましくはアミジン化合物が挙げられる。
これらの硬化促進剤は、コーティング層1を構成する1つの層において、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、コーティング層1を構成する各層同士で、使用される硬化促進剤は、同一であっても異なってもよく、硬化促進剤の種類は、各層に備えさせるべき機能や物性等に応じて適宜選択すればよい。
コーティング層1の形成に使用される樹脂組成物における硬化促進剤の含有量については、使用する熱硬化性樹脂の種類、硬化促進剤の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、熱硬化性樹脂100質量部に対して、硬化促進剤が総量で0.01〜6質量部、好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜2質量部が挙げられる。
(顔料及び/又は染料)
コーティング層1を構成する少なくとも1つの層には、必要に応じて顔料及び/又は染料が含まれてもよい。コーティング層1を構成する少なくとも1つの層において、顔料及び/又は染料を含有させることにより、電池用包装材料に識別性を付与(顔料及び/又は染料によって呈色)でき、更には電池用包装材料の熱伝導率を高めて放熱性を向上させることが可能になる。
コーティング層1を構成する少なくとも1つの層には、必要に応じて顔料及び/又は染料が含まれてもよい。コーティング層1を構成する少なくとも1つの層において、顔料及び/又は染料を含有させることにより、電池用包装材料に識別性を付与(顔料及び/又は染料によって呈色)でき、更には電池用包装材料の熱伝導率を高めて放熱性を向上させることが可能になる。
顔料の材質については、特に制限されず、無機顔料又は有機顔料のいずれであってもよい。無機顔料としては、具体的には、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、タルク、シリカ、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。有機顔料としては、具体的には、アゾ顔料、多環顔料、レーキ顔料、蛍光顔料等が挙げられる。これらの顔料は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
顔料の形状についても、特に制限されず、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。また、顔料の平均粒径については、特に制限されないが、例えば0.01〜3μm、好ましくは0.05〜1μmが挙げられる。なお、顔料の平均粒径は、島津レーザ回折式粒度分布測定装置SALD-2100-WJA1を使用し、圧縮空気を利用してノズルから測定対象となる粉体を噴射し、空気中に分散させて測定する噴射型乾式測定方式により測定される値である。
顔料には、必要に応じて、表面に絶縁処理、高分散性処理(樹脂被覆処理)等の各種表面処理を施しておいてもよい。
また、染料の種類については、コーティング層1の形成に使用される樹脂組成物に溶解・分散できることを限度として特に制限さないが、例えば、ニトロ染料、アゾ系染料、スチルベン染料、カルポニウム染料、キノリン染料、メチン染料、チアゾール染料、キインイミン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、及びフタロシアニン染料などを挙げることができ、好ましくはアゾ染料、カルポニウム染料、アントラキノン染料などが挙げられる。これらの染料は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの顔料と染料の中でも、電池用包装材料の放熱性をより一層向上させるという観点から、好ましくは顔料、より好ましくは無機顔料、更に好ましくはカーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料、特に好ましくはカーボンブラックが挙げられる。
コーティング層1を2つ以上の層で構成された複層構造にする場合に顔料を含有させるには、顔料及び/又は染料は、これらの2つ以上の層の内、いずれか1つの層に含まれていてもよく、また2つ以上の層に含まれていてもよい。電池用包装材料の成形後に、成形された部分と成型されていない部分の色調の差を小さくするという観点から、コーティング層1を2つ以上の層で構成された複層構造にして2つ以上の層に顔料及び/又は染料を含有させることが好ましく、コーティング層1を3つの層で構成された3層構造にして3つの層全てに顔料及び/又は染料を含有させることが更に好ましい。
コーティング層1を構成する少なくとも1つの層において、顔料及び/又は染料を含有させる場合、その含有量については、使用する顔料及び/又は染料の種類、電池用包装材料に付与すべき識別性や放熱性等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、顔料及び/又は染料を含有させる層に含まれる熱硬化性樹脂100質量部に対して、顔料及び/又は染料が総量で1〜30質量部が挙げられる。より一層優れた識別性を付与するという観点から、顔料及び/又は染料を含有させる層に含まれる熱硬化性樹脂100質量部に対して、顔料及び/又は染料が総量で3〜20質量部が挙げられる。また、より一層優れた識別性と共に、顔料及び/又は染料に起因する成形性の低下を抑制するという観点から、顔料及び/又は染料を含有させる層に含まれる熱硬化性樹脂100質量部に対して、顔料及び/又は染料が総量で5〜15質量部が挙げられる。
(他の添加剤)
コーティング層1を構成する各層の形成に使用される樹脂組成物には、各層に備えさせるべき機能性等に応じて、前述する成分の他に、必要に応じて、有機フィラー、スリップ剤、溶剤、エラストマー樹脂等の他の添加剤が含まれてもよい。
コーティング層1を構成する各層の形成に使用される樹脂組成物には、各層に備えさせるべき機能性等に応じて、前述する成分の他に、必要に応じて、有機フィラー、スリップ剤、溶剤、エラストマー樹脂等の他の添加剤が含まれてもよい。
コーティング層1を構成する層の内、最表層を形成する層(バリア層とは反対側に位置する最表層)に、有機フィラーやスリップ剤を含有させると、本発明の電池用包装材料の表面にスリップ効果を付与し、プレス成成形やエンボス加工における成形・加工性を向上させたり、操作性を良好にすることができる。
有機フィラーの種類については、特に制限されないが、例えば、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン等が挙げられる。また、有機フィラーの形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。
また、スリップ剤としては、特に制限されず、非反応性スリップ剤であってもよく、また反応性スリップ剤であってもよい。特に、反応性スリップ剤は、コーティング層1を構成する最表層からスリップ剤がブリード喪失し難く、使用時に粉吹きや裏移りが生じたり、スリップ効果が経時的に低下したりするのを抑制できるという利点があるので、スリップ剤の中でも、好ましくは反応性スリップ剤が挙げられる。
ここで、非反応性スリップ剤とは、熱硬化性樹脂と反応して化学的に結合する官能基を有さず、スリップ性(滑り性)を付与できる化合物である。また、反応性スリップ剤とは、前記熱硬化性樹脂と反応して化学的に結合する官能基を有し、且つスリップ性(滑り性)を付与できる化合物である。
非反応性スリップ剤としては、具体的には、例えば、脂肪酸アマイド、金属石鹸、親水性シリコーン、シリコーンをグラフトしたアクリル、シリコーンをグラフトしたエポキシ、シリコーンをグラフトしたポリエーテル、シリコーンをグラフトしたポリエステル、ブロック型シリコーンアクリル共重合体、ポリグリセロール変性シリコーン、パラフィン等が挙げられる。これらの非反応性スリップ剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、反応性スリップ剤において、官能基の種類については、使用する熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜設定されるが、例えば、水酸基、メルカプト基、加水分解性シリル基、イソシアネート基、エポキシ基、重合性ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。反応性スリップ剤において、1分子当たりの官能基数については、特に制限されないが、例えば、1〜3個、好ましくは1又は2個が挙げられる。
反応性スリップ剤として、具体的には、前記官能基を有する変性シリコーン;前記官能基を有する変性フッ素樹脂;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸アミドに対して前記官能基が導入された化合物;前記官能基が導入された金属石鹸;前記官能基が導入されたパラフィン等が挙げられる。これらの反応性スリップ剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの反応性スリップ剤の中でも、好ましくは前記官能基を有する変性シリコーン、前記官能基を有するフッ素樹脂、前記官能基を有するシリコーン変性樹脂が挙げられる。前記変性シリコーンとして、具体的には、アクリル樹脂がブロック重合した変性シリコーン等のように、前記官能基を有する重合体がブロック重合した変性シリコーン;アクリレートがグラフト重合した変性シリコーン等のように、前記官能基を有する単量体がグラフト重合した変性シリコーン等が挙げられる。また、前記変性フッ素樹脂としては、具体的には、アクリレートがグラフト重合したフッ素樹脂等のように、前記官能基を有する単量体がグラフト重合した変性フッ素樹脂;アクリル樹脂がブロック重合した変性フッ素樹脂等のように、前記官能基を有する重合体がブロック重合したフッ素樹脂等が挙げられる。また、前記シリコーン変性樹脂としては、具体的には、前記官能基を有するアクリル樹脂にシリコーンがグラフト重合しているシリコーン変性アクリル樹脂等のように、前記官能基を有し且つシリコーンがグラフト重合したシリコーン変性樹脂等が挙げられる。また、前記変性フッ素樹脂としては、具体的には、アクリレートがグラフト重合したフッ素樹脂等のように、前記官能基を有する単量体がグラフト重合した変性フッ素樹脂;アクリル樹脂がブロック重合した変性フッ素樹脂等のように、前記官能基を有する重合体がブロック重合したフッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に好ましい反応性スリップ剤として、前記官能基を有する単量体又は重合体がシリコーンの一方の末端に重合している変性シリコーン;前記官能基を有する単量体又は重合体がフッ素樹脂の一方の末端に重合している変性フッ素樹脂が挙げられる。このような変性シリコーン及び変性フッ素樹脂としては、例えば「モディパー(登録商標)F・FSシリーズ」(日油株式会社製)、「サイマック(登録商標)シリーズ」(東亞合成株式会社製)等が市販されており、これらの市販品を使用することもできる。
コーティング層1中の最表層を形成する層の形成に使用される樹脂組成物にスリップ剤を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、熱硬化性樹脂100質量部に対して、スリップ剤が総量で1〜12質量部、好ましくは3〜10質量部、更に好ましくは5〜8質量部が挙げられる。
<コーティング層1を構成する各層の物性>
コーティング層1を構成する各層の物性については、特に制限されず、付与すべき機能性等に応じて適宜設定すればよいが、本発明の電池用包装材料に優れた成形性を備えさせるという観点から、コーティング層を構成する層の全てにおいて、弾性率が1500〜6000MPaを充足していることが好ましい。成形性をより一層向上させるという観点から、コーティング層を構成する全ての層の弾性率が、2000〜5500MPaであることが更に好ましい。
コーティング層1を構成する各層の物性については、特に制限されず、付与すべき機能性等に応じて適宜設定すればよいが、本発明の電池用包装材料に優れた成形性を備えさせるという観点から、コーティング層を構成する層の全てにおいて、弾性率が1500〜6000MPaを充足していることが好ましい。成形性をより一層向上させるという観点から、コーティング層を構成する全ての層の弾性率が、2000〜5500MPaであることが更に好ましい。
また、コーティング層1を構成する層の内、少なくとも1つが、弾性率が2500〜6000MPaである層(以下、「高弾性率層」と表記することもある)であることが好ましい。コーティング層1を構成する層の中に、このような高弾性率層を少なくとも1つ有することによって、電解液、酸、アルカリ、有機溶剤等の薬品に対して優れた耐性を備えさせることができる。より一層優れた耐薬品性を備えさせるという観点から、高弾性率層の弾性率として、更に好ましくは3000〜6000Mpaが挙げられる。耐薬品性の観点からは、当該高弾性率層は、コーティング層1を構成する少なくとも1つの層において備えていればよいが、コーティング層1を構成する2つ以上又は全ての層が高弾性率層であってもよい。また、当該高弾性率層は、コーティング層1中で配置される部位については特に制限されず、最表層(バリア層とは反対側に位置する最表面)、バリア層と接面する層、コーティング層1が3層以上の複層構造である場合は、最表層と、バリア層と接面する層との間のいずれに配置されてもよいが、耐薬品性を効果的に備えさせるという観点から、好ましくは最表層が挙げられる。
また、本発明の電池用包装材料において、優れた成形性及び耐薬品性を備えさせるという観点から、コーティング層1の好適な例として、以下の態様が例示される:
コーティング層1が2層構造である場合:バリア層と接面する層の弾性率が1500〜6000Mpa、好ましくは2000〜3500Mpa;最表層の弾性率が3000〜6000MPMpa、好ましくは3000〜5500Mpa。
コーティング層1が3層構造である場合:バリア層と接面する層の弾性率が1500〜6000Mpa、好ましくは2000〜3500Mpa;最表層と、バリア層と接面する層との間の層の弾性率が1500〜6000Mpa、好ましくは2200〜4500Mpa;最表層の弾性率が3000〜6000Mpa、好ましくは3000〜5500Mpa、更に好ましくは3000〜5500。
コーティング層1が2層構造である場合:バリア層と接面する層の弾性率が1500〜6000Mpa、好ましくは2000〜3500Mpa;最表層の弾性率が3000〜6000MPMpa、好ましくは3000〜5500Mpa。
コーティング層1が3層構造である場合:バリア層と接面する層の弾性率が1500〜6000Mpa、好ましくは2000〜3500Mpa;最表層と、バリア層と接面する層との間の層の弾性率が1500〜6000Mpa、好ましくは2200〜4500Mpa;最表層の弾性率が3000〜6000Mpa、好ましくは3000〜5500Mpa、更に好ましくは3000〜5500。
コーティング層1を構成する各層の弾性率を前述する範囲に設定するには、各層の形成に使用される熱硬化性樹脂の種類、硬化促進剤の種類や量等を適宜調整することによって行うことができる。具体的には、各層の形成に使用される熱硬化性樹脂中の架橋性エラストマーの量と種類を適宜調整することによって、所望の弾性率に設定することができる。
なお、本明細書において、弾性率とは、ナノインデンテーション法によって測定される値であり、具体的には、ナノインデンターを用いて、先端形状がダイアモンドチップから成る正三角錐(バーコビッチ型)の圧子を測定対象となる層に押し込み、負荷及び除荷時の押し込み深さを連続的に測定することにより、得られた荷重−押し込み深さ曲線を利用することによって求められる。
<コーティング層1の厚さ>
コーティング層1を構成する各層の厚さとしては、例えば、1〜5μm、好ましくは2〜4μmが挙げられる。
コーティング層1を構成する各層の厚さとしては、例えば、1〜5μm、好ましくは2〜4μmが挙げられる。
また、コーティング層1全体の厚さについては、コーティング層1を構成する層の数に応じて異なり、一律に規定することはできないが、通常2〜25μm、好ましくは4〜20μmが挙げられる。
[バリア層2]
本発明の電池用包装材料において、バリア層2は、包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光等が侵入するのを防止するためのバリア層として機能する層である。バリア層2の材質としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属箔;酸化珪素、アルミナ等の無機化合物を蒸着したフィルム等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは金属箔、更に好ましくはアルミニウム箔が挙げられる。電池用包装材料の製造時にしわやピンホールを防止するために、本発明においてバリア層2として、軟質アルミニウム箔、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)又は(JIS A8079P−O)箔等を用いることが好ましい。
本発明の電池用包装材料において、バリア層2は、包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光等が侵入するのを防止するためのバリア層として機能する層である。バリア層2の材質としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属箔;酸化珪素、アルミナ等の無機化合物を蒸着したフィルム等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは金属箔、更に好ましくはアルミニウム箔が挙げられる。電池用包装材料の製造時にしわやピンホールを防止するために、本発明においてバリア層2として、軟質アルミニウム箔、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)又は(JIS A8079P−O)箔等を用いることが好ましい。
バリア層2の厚さについては、特に制限されないが、例えば、金属箔を使用する場合であれば、通常10〜200μm、好ましくは20〜100μmが挙げられる。
また、バリア層2として金属箔を使用する場合、接着の安定化、溶解や腐食の防止等のために、少なくとも一方の面、好ましくは少なくともシーラント層側の面、更に好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、バリア層2の表面に耐酸性皮膜を形成する処理である。化成処理は、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等のクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸等のリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理等が挙げられる。
一般式(1)〜(4)中、Xは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基又はベンジル基を示す。また、R1及びR2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)〜(4)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。ことができる。一般式(1)〜(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、及び、ドロキシアルキル基のいずれかであることが好ましい。一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、約500〜約100万、好ましくは約1000〜約2万が挙げられる。
また、金属箔に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズ等の金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、金属箔の表面に耐食処理層を形成する方法が挙げられる。また、前記耐食処理層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層を形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノール等が挙げられる。これらのカチオン性ポリマーは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの化成処理は、1種の化成処理を単独で行ってもよく、2種以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。更に、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。これらの中でも、好ましくはクロム酸クロメート処理、更に好ましくはクロム酸化合物、リン酸化合物、及び前記アミノ化フェノール重合体を組み合わせたクロメート処理が挙げられる。
化成処理において金属箔の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えばクロム酸化合物、リン酸化合物、及び前記アミノ化フェノール重合体を組み合わせてクロメート処理を行う場合であれば、金属箔の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、及び前記アミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、好ましくは約5.0〜150mgの割合で含有されていることが望ましい。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等によって、金属箔の表面に塗布した後に、金属箔の温度が70〜200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、バリア層2に化成処理を施す前に、予め金属箔を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法等による脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、金属箔の表面の化成処理を一層効率的に行うことが可能になる。
[シーラント層3]
本発明の電池用包装材料において、シーラント層3は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
本発明の電池用包装材料において、シーラント層3は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
シーラント層3に使用される樹脂成分については、熱溶着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー;等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、更に好ましくはノルボルネンが挙げられる。
前記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、前記ポリオレフィンをカルボン酸で変性したポリマーである。変性に使用されるカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
前記カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β―不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記酸変性シクロオレフィンコポリマーの変性に使用されるものと同様である。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくは結晶性又は非晶性のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、及びこれらのブレンドポリマー;更に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとノルボルネンの共重合体、及びこれらの中の2種以上のブレンドポリマーが挙げられる。
シーラント層3は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。更に、シーラント層は、1層のみで形成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上形成されていてもよい。
また、シーラント層3の厚みとしては、特に制限されないが、2〜2000μm、好ましくは5〜1000μm、さらに好ましくは10〜500μmが挙げられる。
[接着層4]
本発明の電池用包装材料において、接着層4は、バリア層2とシーラント層3を強固に接着させために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
本発明の電池用包装材料において、接着層4は、バリア層2とシーラント層3を強固に接着させために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
接着層4は、バリア層2とシーラント層3とを接着可能である接着用樹脂組成物によって形成される。接着層4の形成に使用される接着剤成分は、バリア層2とシーラント層3を接着可能であることを限度として特に制限されず、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着層4の形成に使用される接着剤成分の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂等が挙げられる。
製造時に高温条件でのエージングを要することなく短時間で硬化させてリードタイムの短縮化を図り、更には成形性を向上させる等の観点から、接着層4の形成に使用される接着用樹脂組成物として、好ましくは、熱硬化性樹脂と、硬化促進剤を含有する接着層用樹脂組成物が挙げられる。熱硬化性樹脂と、硬化促進剤とを併用することにより、高温条件でのエージングを要することなく短時間で硬化させて、リードタイムを短縮することが可能になる。また、更にエラストマー樹脂を含有させることにより、接着層4が硬化時に収縮するのを抑制しつつ、接着層4に適度な柔軟性を付与し、電池用包装材料に優れた成形性を備えさせることが可能になる。
前記接着層用樹脂組成物に使用される熱硬化性樹脂及び硬化促進剤の種類や好ましいもの、これらの含有量等については、前記コーティング層1の場合と同様である。
接着層4の厚さについては、例えば、2〜50μm、好ましくは3〜25μmが挙げられる。
3.電池用包装材料の厚み
本発明の電池用包装材料はバリア層3上に、接着層と樹脂フィルムによる基材層を設けていないため、従来のフィルム状の電池用包装材料に比べて薄膜化することができる。本発明の電池用包装材料全体の厚みについては、例えば40〜120μm、好ましくは50〜100μmが挙げられる。
本発明の電池用包装材料はバリア層3上に、接着層と樹脂フィルムによる基材層を設けていないため、従来のフィルム状の電池用包装材料に比べて薄膜化することができる。本発明の電池用包装材料全体の厚みについては、例えば40〜120μm、好ましくは50〜100μmが挙げられる。
4.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される:
バリア層2に対して、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の塗布及び加熱による硬化を2回以上繰り返し行い、バリア層2上に2層以上の複層構造を有するコーティング層1を形成するコーティング層形成工程を含み、
前記コーティング層形成工程の前、途中、又は後に、バリア層2においてコーティング層1を積層させる面とは反対側の面にシーラント層3を積層させる。
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される:
バリア層2に対して、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の塗布及び加熱による硬化を2回以上繰り返し行い、バリア層2上に2層以上の複層構造を有するコーティング層1を形成するコーティング層形成工程を含み、
前記コーティング層形成工程の前、途中、又は後に、バリア層2においてコーティング層1を積層させる面とは反対側の面にシーラント層3を積層させる。
前記コーティング層工程におけるバリア層2への樹脂組成物の塗布は、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法で行うことができる。また、バリア層2上に塗布した樹脂組成物を硬化させる際の加熱条件としては、例えば、90〜200℃、好ましくは100〜190℃で、0.1〜60秒間、好ましくは1〜30秒間が挙げられる。
このように、本発明では、コーティング層形成工程において高温条件でのエージングを要せず、前記加熱条件のみで十分に硬化させることができるので、大幅にリードタイムを短縮することができる。
バリア層2上へのシーラント層3の積層は、コーティング層形成工程の前、途中、又は後のいずれのタイミングで行ってもよいが、コーティング層形成工程の後に行うことが好ましい。バリア層2上にシーラント層3を直接積層させる場合には、バリア層2上に、シーラント層3を構成する樹脂成分をグラビアコート法、ロールコート法等の方法により塗布すればよい。また、バリア層2とシーラント層3の間に接着層4を設ける場合には、例えば、(1)バリア層2上に、接着層4及びシーラント層3を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネーション法)、(2)別途、接着層4とシーラント層3が積層した積層体を形成し、これをバリア層2上に熱ラミネーション法により積層する方法、(3)バリア層2上に、接着層4を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングした高温で乾燥さらには焼き付ける方法等により積層させ、この接着層4上に予めシート状に製膜したシーラント層3をサーマルラミネーション法により積層する方法、(4)バリア層2と、予めシート状に製膜したシーラント層3との間に、溶融させた接着層4を流し込みながら、接着層4を介して積層体Aとシーラント層3を貼り合せる方法(サンドラミネーション法)等が挙げられる。
上記のようにして、コーティング層1(2層以上の複層)/必要に応じて表面が化成処理されたバリア層2/必要に応じて設けられる接着層4/シーラント層3からなる積層体が形成される。
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層には、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性等を向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施していてもよい。
5.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として、所望の形状に成形して使用される。
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として、所望の形状に成形して使用される。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(シーラント層3同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部のシーラント層3同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料のシーラント部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1−87及び比較例1−15
[電池用包装材料の製造]
両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚さ40μm)からなるバリア層に、2又は3層構造のコーティング層を形成した。具体的には、バリア層に、表3〜8に示す態様で、コーティング層のバリア層側の層を形成する樹脂組成物の塗布及び硬化、中間層を形成する樹脂組成物の塗布及び硬化、最表層を形成する樹脂組成物の塗布及び硬化を順次行うことによって、バリア層に2又は3層構造のコーティング層を積層させた。なお、コーティング層を構成する各層の形成に使用した樹脂組成物の組成、硬化条件については、表1及び2に示す通りである。また、コーティング層を構成する各層について、ナノインデンターを用いて、先端形状がダイアモンドチップから成る正三角錐(バーコビッチ型)の圧子を測定対象となる層に押し込み、負荷及び除荷時の押し込み深さを連続的に測定することにより求めた弾性率を表1及び2に示す。
[電池用包装材料の製造]
両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚さ40μm)からなるバリア層に、2又は3層構造のコーティング層を形成した。具体的には、バリア層に、表3〜8に示す態様で、コーティング層のバリア層側の層を形成する樹脂組成物の塗布及び硬化、中間層を形成する樹脂組成物の塗布及び硬化、最表層を形成する樹脂組成物の塗布及び硬化を順次行うことによって、バリア層に2又は3層構造のコーティング層を積層させた。なお、コーティング層を構成する各層の形成に使用した樹脂組成物の組成、硬化条件については、表1及び2に示す通りである。また、コーティング層を構成する各層について、ナノインデンターを用いて、先端形状がダイアモンドチップから成る正三角錐(バーコビッチ型)の圧子を測定対象となる層に押し込み、負荷及び除荷時の押し込み深さを連続的に測定することにより求めた弾性率を表1及び2に示す。
なお、バリア層として使用したアルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥重量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。
その後、バリア層のコーティング層が積層されていない側に、カルボン酸変性ポリプロピレン(バリア層側に配置、厚さ23μm)とホモポリプロピレン(最内層、厚さ23μm)を、共押し出しすることにより、バリア層上に2層からなるシーラント層を積層させた。斯して、2又は3層構造のコーティング層/バリア層4/シーラント層が順に積層された積層体からなる電池用包装材料を得た。
なお、比較例1〜15の電池用包装材料は、コーティング層を構成する少なくとも1つの層が、硬化促進剤を含有させず熱硬化性樹脂のみで硬化させた層になっている。
また、実施例1〜87の電池用包装材料は、コーティング層の構造と物性は下記の通りである。
実施例1〜3:2層構造であり、且つバリア層側の層と最表層の双方の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例4〜7:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が1500〜2499MPa、最表層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例5〜7:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が1500〜2499MPa、最表層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例8及び9:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が1500〜2499MPa、最表層の弾性率が6000MPa以上である。
実施例10〜13:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が2500〜5999MPa、最表層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例14及び15:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が6000MPa以上、最表層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例16〜23:2層構造であり、且つバリア層側の層と最表層の双方が弾性率2500〜5999MPaである。
実施例24〜26:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が2500〜5999MPa、最表層の弾性率が6000MPa以上である。
実施例27:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が6000MPa以上、最表層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例28及び29:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が6000MPa以上、最表層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例30:2層構造であり、且つバリア層側の層と最表層の双方の弾性率が6000MPa以上である。
実施例31〜33:3層構造であり、且つバリア層側の層、中間層、最表層の全ての弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例34〜36:3層構造であり、且つバリア層側の層と中間層の弾性率が1500〜2499MPaであり、最表層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例37〜39:3層構造であり、且つバリア層側の層と最表層の弾性率が1500〜2499MPaであり、中間層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例40〜44:3層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が1500〜2499MPaであり、中間層と最表層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例45〜49:3層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が2500〜5999MPaであり、中間層と最表層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例50〜54:3層構造であり、且つバリア層側の層と最表層の弾性率が2500〜5999MPaであり、中間層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例55〜59:3層構造であり、且つバリア層側の層と中間層の弾性率が2500〜5999MPaであり、最表層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例60〜63:3層構造であり、且つバリア層側の層、中間層、最表層の全ての弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例64〜87:3層構造であり、バリア層側の層の弾性率が1500〜2499MPaであり、中間層と最表層の弾性率が2500〜5999MPaであり、且つ最表層にスリップ剤が含まれる。
また、実施例1〜87の電池用包装材料は、コーティング層の構造と物性は下記の通りである。
実施例1〜3:2層構造であり、且つバリア層側の層と最表層の双方の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例4〜7:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が1500〜2499MPa、最表層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例5〜7:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が1500〜2499MPa、最表層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例8及び9:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が1500〜2499MPa、最表層の弾性率が6000MPa以上である。
実施例10〜13:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が2500〜5999MPa、最表層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例14及び15:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が6000MPa以上、最表層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例16〜23:2層構造であり、且つバリア層側の層と最表層の双方が弾性率2500〜5999MPaである。
実施例24〜26:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が2500〜5999MPa、最表層の弾性率が6000MPa以上である。
実施例27:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が6000MPa以上、最表層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例28及び29:2層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が6000MPa以上、最表層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例30:2層構造であり、且つバリア層側の層と最表層の双方の弾性率が6000MPa以上である。
実施例31〜33:3層構造であり、且つバリア層側の層、中間層、最表層の全ての弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例34〜36:3層構造であり、且つバリア層側の層と中間層の弾性率が1500〜2499MPaであり、最表層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例37〜39:3層構造であり、且つバリア層側の層と最表層の弾性率が1500〜2499MPaであり、中間層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例40〜44:3層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が1500〜2499MPaであり、中間層と最表層の弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例45〜49:3層構造であり、且つバリア層側の層の弾性率が2500〜5999MPaであり、中間層と最表層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例50〜54:3層構造であり、且つバリア層側の層と最表層の弾性率が2500〜5999MPaであり、中間層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例55〜59:3層構造であり、且つバリア層側の層と中間層の弾性率が2500〜5999MPaであり、最表層の弾性率が1500〜2499MPaである。
実施例60〜63:3層構造であり、且つバリア層側の層、中間層、最表層の全ての弾性率が2500〜5999MPaである。
実施例64〜87:3層構造であり、バリア層側の層の弾性率が1500〜2499MPaであり、中間層と最表層の弾性率が2500〜5999MPaであり、且つ最表層にスリップ剤が含まれる。
なお、表1及び2に示すコーティング層を構成する層の形成に使用した成分は以下の通りである。
ポリオール化合物A:分子量8000〜50000、水酸基価40未満のウレタンポリオール
ポリオール化合物B:分子量500〜3000、水酸基価70以上の脂肪族ポリオール
エポキシ樹脂A:分子量200〜1000、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
エポキシ樹脂B:分子量200〜1000、フェノールノボラック型エポキシ樹脂
芳香族イソシアネート:MDI(ジフェニルメタンジイソシアネートアダクト)
脂肪族イソシアネート:IPDI(イソホロンジイソシアネート)
イミダゾール化合物:80〜150℃で熱硬化性樹脂の架橋反応を促進するイミダゾール化合物
DBU塩:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7エンのオクチル酸塩
酸無水物:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸
アミノ樹脂:ベンゾグアナミン樹脂
スリップ剤A:エルカ酸アミド
スリップ剤B:エチレンビスオレイン酸アミド
スリップ剤C:ベヘン酸アミド
スリップ剤D:末端シリコンブロックコポリマー、商品名「モディパーFS710」(日油株式会社製)、シリコンセグメントの末端に相溶性セグメント(官能基含有)が連結したブロックコポリマー
スリップ剤E:末端フッ素ブロックポリマー、商品名「モディパーF206」(日油株式会社製)、フッ素セグメントの末端に相溶性セグメント(官能基含有)が連結したブロックコポリマー
スリップ剤F:シリコーン変性アクリル樹脂、商品名「サイマックUS270」(日油株式会社製)、官能基含むアクリル樹脂にシリコーンがグラフト重合しているシリコーン変性アクリル樹脂
ポリオール化合物A:分子量8000〜50000、水酸基価40未満のウレタンポリオール
ポリオール化合物B:分子量500〜3000、水酸基価70以上の脂肪族ポリオール
エポキシ樹脂A:分子量200〜1000、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
エポキシ樹脂B:分子量200〜1000、フェノールノボラック型エポキシ樹脂
芳香族イソシアネート:MDI(ジフェニルメタンジイソシアネートアダクト)
脂肪族イソシアネート:IPDI(イソホロンジイソシアネート)
イミダゾール化合物:80〜150℃で熱硬化性樹脂の架橋反応を促進するイミダゾール化合物
DBU塩:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7エンのオクチル酸塩
酸無水物:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸
アミノ樹脂:ベンゾグアナミン樹脂
スリップ剤A:エルカ酸アミド
スリップ剤B:エチレンビスオレイン酸アミド
スリップ剤C:ベヘン酸アミド
スリップ剤D:末端シリコンブロックコポリマー、商品名「モディパーFS710」(日油株式会社製)、シリコンセグメントの末端に相溶性セグメント(官能基含有)が連結したブロックコポリマー
スリップ剤E:末端フッ素ブロックポリマー、商品名「モディパーF206」(日油株式会社製)、フッ素セグメントの末端に相溶性セグメント(官能基含有)が連結したブロックコポリマー
スリップ剤F:シリコーン変性アクリル樹脂、商品名「サイマックUS270」(日油株式会社製)、官能基含むアクリル樹脂にシリコーンがグラフト重合しているシリコーン変性アクリル樹脂
[シワ発生の評価]
上記で得られた各電池用包装材料について、目視にてシワの発生の有無を確認し、電池用包装材料50枚当たり、シワが発生していた枚数の割合(熱ジワ不良率:%)を算出した。
上記で得られた各電池用包装材料について、目視にてシワの発生の有無を確認し、電池用包装材料50枚当たり、シワが発生していた枚数の割合(熱ジワ不良率:%)を算出した。
[成形性の評価]
上記で得られた各電池用包装材料を裁断して、120×80mmの短冊片を作製し、これを試験サンプルとした。30×50mmの矩形状の雄型とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型からなるストレート金型を用い、雄型側に熱接着性樹脂層側が位置するように雌型上に上記試験サンプルを載置し、成形深さを3.5〜5.5mmに設定して上記試験サンプルを0.1MPaの押え圧(面圧)で押えて、冷間成形(引き込み1段成形)した。成形された各試験サンプルにおける金属層のピンホール及びクラックの発生の有無を確認し、ピンホール及びクラックの発生率(%)を算出した。ピンホール及びクラックの発生率は、上記成形を行った後に1カ所でもピンホール又はクラックが認められるものを成形不良品として判別し、100個の試験サンプルを上記条件で成形した際に発生した成形不良品の割合を求め、成形不良品の割合が5%未満である場合を合格、成形不良品の割合が5%以上である場合を不合格として判定した。得られた判定結果を下記の基準に従って分類することにより、成形性の評価を行った。なお、下記基準でD以上であれば、実用的な観点から問題ない品質である。
(成形性の評価基準)
A:成形深さ5.5mmで合格
B:成形深さ5.5mmで不合格、成形深さ5.0mmで合格
C:成形深さ5.0mmで不合格、成形深さ4.5mmで合格
D:成形深さ4.5mmで不合格、成形深さ4.0mmで合格
E:成形深さ4.0mmで不合格、成形深さ3.5mmで合格
F:成形深さ3.5mmで不合格
上記で得られた各電池用包装材料を裁断して、120×80mmの短冊片を作製し、これを試験サンプルとした。30×50mmの矩形状の雄型とこの雄型とのクリアランスが0.5mmの雌型からなるストレート金型を用い、雄型側に熱接着性樹脂層側が位置するように雌型上に上記試験サンプルを載置し、成形深さを3.5〜5.5mmに設定して上記試験サンプルを0.1MPaの押え圧(面圧)で押えて、冷間成形(引き込み1段成形)した。成形された各試験サンプルにおける金属層のピンホール及びクラックの発生の有無を確認し、ピンホール及びクラックの発生率(%)を算出した。ピンホール及びクラックの発生率は、上記成形を行った後に1カ所でもピンホール又はクラックが認められるものを成形不良品として判別し、100個の試験サンプルを上記条件で成形した際に発生した成形不良品の割合を求め、成形不良品の割合が5%未満である場合を合格、成形不良品の割合が5%以上である場合を不合格として判定した。得られた判定結果を下記の基準に従って分類することにより、成形性の評価を行った。なお、下記基準でD以上であれば、実用的な観点から問題ない品質である。
(成形性の評価基準)
A:成形深さ5.5mmで合格
B:成形深さ5.5mmで不合格、成形深さ5.0mmで合格
C:成形深さ5.0mmで不合格、成形深さ4.5mmで合格
D:成形深さ4.5mmで不合格、成形深さ4.0mmで合格
E:成形深さ4.0mmで不合格、成形深さ3.5mmで合格
F:成形深さ3.5mmで不合格
[耐薬品性の評価]
上記で得られた各電池用包装材料の耐薬品性コーティング層上に、薬品(電解液、エタノール、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、又はトルエン)を0.5ml滴下し、時計皿で被覆した。室温で3時間放置した後、薬品性コーティング層上の各薬品をガーゼで拭き取り、電池用包装材料の耐薬品性コーティング層表面の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
(耐薬品性の評価基準)
○:全ての薬品において、表面に痕跡が全く確認できなかった。
△:少なくとも1つの薬品において、表面に白化、膨潤、剥離等の異常が確認されたが、表面に痕跡が全く確認できない薬品もあった。
×:全ての薬品において、表面に白化、膨潤、剥離等の異常が確認された。
上記で得られた各電池用包装材料の耐薬品性コーティング層上に、薬品(電解液、エタノール、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、又はトルエン)を0.5ml滴下し、時計皿で被覆した。室温で3時間放置した後、薬品性コーティング層上の各薬品をガーゼで拭き取り、電池用包装材料の耐薬品性コーティング層表面の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
(耐薬品性の評価基準)
○:全ての薬品において、表面に痕跡が全く確認できなかった。
△:少なくとも1つの薬品において、表面に白化、膨潤、剥離等の異常が確認されたが、表面に痕跡が全く確認できない薬品もあった。
×:全ての薬品において、表面に白化、膨潤、剥離等の異常が確認された。
[評価結果]
得られた結果を表3〜8に示す。この結果から、コーティング層を構成する少なくとも1層において、硬化促進剤を含有させず熱硬化性樹脂のみで硬化させた場合には、硬化するのに長時間のエージングを要し、しかも熱によるシワの発生によって製品の不良率が高くなっていた(比較例1〜15)。これに対して、コーティング層を構成する層の全てを熱硬化性樹脂と硬化促進剤を用いて硬化させた場合には、短時間で硬化させることができ、更には、熱によるシワの発生を抑制できていた(実施例1〜87)。
得られた結果を表3〜8に示す。この結果から、コーティング層を構成する少なくとも1層において、硬化促進剤を含有させず熱硬化性樹脂のみで硬化させた場合には、硬化するのに長時間のエージングを要し、しかも熱によるシワの発生によって製品の不良率が高くなっていた(比較例1〜15)。これに対して、コーティング層を構成する層の全てを熱硬化性樹脂と硬化促進剤を用いて硬化させた場合には、短時間で硬化させることができ、更には、熱によるシワの発生を抑制できていた(実施例1〜87)。
また、本結果から、コーティング層を構成する層の全てにおいて、弾性率が1500〜6000Mpaを充足している場合には成形性が良好になり、更に最表層にスリップ剤を含有させた場合には卓越した成形性を備え得ることが明らかになった。更に、コーティング層の最表層の弾性率が3000Mpa以上の場合には、優れた耐薬品性を備えることも確認された。
実施例88−157
[電池用包装材料の製造]
実施例88〜105では、コーティング層を形成する樹脂組成物として、以下のものを使用したこと以外は、前記と同条件で、2層構造のコーティング層/バリア層/シーラント層が順に積層された積層体からなる電池用包装材料を製造した。
コーティング層のバリア層側の層の形成に使用する樹脂組成物:層13bの形成に使用した樹脂組成物に対して、カーボンブラック(平均粒径0.2μm)を表9に示す割合で添加した樹脂組成物
コーティング層の最表層の形成に使用する樹脂組成物:層12bの形成に使用した樹脂組成物に対して、カーボンブラック(平均粒径0.2μm)を表9に示す割合で添加した樹脂組成物
[電池用包装材料の製造]
実施例88〜105では、コーティング層を形成する樹脂組成物として、以下のものを使用したこと以外は、前記と同条件で、2層構造のコーティング層/バリア層/シーラント層が順に積層された積層体からなる電池用包装材料を製造した。
コーティング層のバリア層側の層の形成に使用する樹脂組成物:層13bの形成に使用した樹脂組成物に対して、カーボンブラック(平均粒径0.2μm)を表9に示す割合で添加した樹脂組成物
コーティング層の最表層の形成に使用する樹脂組成物:層12bの形成に使用した樹脂組成物に対して、カーボンブラック(平均粒径0.2μm)を表9に示す割合で添加した樹脂組成物
また、実施例106〜147では、コーティング層を形成する樹脂組成物として、以下のものを使用したこと以外は、前記と同条件で、3層構造のコーティング層/バリア層/シーラント層が順に積層された積層体からなる電池用包装材料を製造した。
コーティング層のバリア層側の層の形成に使用する樹脂組成物:層1bの形成に使用した樹脂組成物に対して、カーボンブラック(平均粒径0.2μm)を表10及び11に示す割合で添加した樹脂組成物
コーティング層の中間層の形成に使用する樹脂組成物:層10bの形成に使用した樹脂組成物に対して、カーボンブラック(平均粒径0.2μm)を表10及び11に示す割合で添加した樹脂組成物
コーティング層の最表層の形成に使用する樹脂組成物:層13bの形成に使用した樹脂組成物に対して、カーボンブラック(平均粒径0.2μm)を表10及び11に示す割合で添加した樹脂組成物
コーティング層のバリア層側の層の形成に使用する樹脂組成物:層1bの形成に使用した樹脂組成物に対して、カーボンブラック(平均粒径0.2μm)を表10及び11に示す割合で添加した樹脂組成物
コーティング層の中間層の形成に使用する樹脂組成物:層10bの形成に使用した樹脂組成物に対して、カーボンブラック(平均粒径0.2μm)を表10及び11に示す割合で添加した樹脂組成物
コーティング層の最表層の形成に使用する樹脂組成物:層13bの形成に使用した樹脂組成物に対して、カーボンブラック(平均粒径0.2μm)を表10及び11に示す割合で添加した樹脂組成物
[識別性の評価]
得られた各電池用包装材料と実施例23と41の電池用包装材料について、目視にてコーティング層側の色調を観察し、コーティング層に配合したカーボンブラックによる呈色(黒色)の視認性を確認し、以下の基準で評価した。
得られた各電池用包装材料と実施例23と41の電池用包装材料について、目視にてコーティング層側の色調を観察し、コーティング層に配合したカーボンブラックによる呈色(黒色)の視認性を確認し、以下の基準で評価した。
(識別性の評価基準)
A:黒色であることを明瞭に視認できる。
B:黒色であることを僅かに視認できる。
C:黒色であることを視認できない。
A:黒色であることを明瞭に視認できる。
B:黒色であることを僅かに視認できる。
C:黒色であることを視認できない。
[成形適性の評価]
得られた各電池用包装材料と実施例23と41の電池用包装材料について、前記と同条件で成形を行い、成形性と成形による延伸部分の色調を、以下の基準で評価した。
得られた各電池用包装材料と実施例23と41の電池用包装材料について、前記と同条件で成形を行い、成形性と成形による延伸部分の色調を、以下の基準で評価した。
(成形性)
A:合格に達する成形深さが、対照用電池用包装材料と同じである。
B:合格に達する成形深さが、対照用電池用包装材料に比べて、0.5mm以下の低下が認められる。
C:合格に達する成形深さが、対照用電池用包装材料に比べて、0.5mm超、1.0mm以下の低下が認められる。
D:合格に達する成形深さが、対照用電池用包装材料に比べて、1.0mm超の低下が認められる。
A:合格に達する成形深さが、対照用電池用包装材料と同じである。
B:合格に達する成形深さが、対照用電池用包装材料に比べて、0.5mm以下の低下が認められる。
C:合格に達する成形深さが、対照用電池用包装材料に比べて、0.5mm超、1.0mm以下の低下が認められる。
D:合格に達する成形深さが、対照用電池用包装材料に比べて、1.0mm超の低下が認められる。
なお、実施例88〜109の電池用包装材料では、実施例23の電池用包装材料を対照用電池用包装材料として用いた。また、実施例110〜158の電池用包装材料では、実施例41の電池用包装材料を対照用電池用包装材料として用いた。実施例88〜109の電池用包装材料と実施例110〜158の電池用包装材料は、カーボンブラックが含まれていること以外は、それぞれ、実施例23の電池用包装材料と実施例41の電池用包装材料同構成である。
(成形による延伸部分の色調)
A:延伸部分と非延伸部分の間で色調に違いは全く認められない。
B:延伸部分と非延伸部分で、僅かな色調の違いが認められる。
C:延伸部分と非延伸部分で、明らかな色調の違いが認められる。
A:延伸部分と非延伸部分の間で色調に違いは全く認められない。
B:延伸部分と非延伸部分で、僅かな色調の違いが認められる。
C:延伸部分と非延伸部分で、明らかな色調の違いが認められる。
[評価結果]
得られた結果を表9〜11に示す。この結果から、コーティング層を構成する少なくとも1層に無機顔料(カーボンブラック)を添加することによって、電池用包装材料に色調を付与して識別性を備えさせ得ることが確認された。また、添加する無機顔料の量を熱硬化性樹脂100質量部当たり30質量部以下、特に15質量部以下にすることによって、成形性の低下を効果的に抑制できることも確認された。更に、コーティング層を構成する層の内、少なくとも2つの層、特に3つの層に無機顔料を添加することによって、成形後に、成形部分と非成形部分の間に色調の差が生じるのを効果的に抑制できることも明らかとなった。また、コーティング層にカーボンブラックを添加した電池用包装材料の熱伝導率について測定したところ、熱伝導率60W/m・K程度以上を備えており、優れた放熱性を備えていることも確認された。
得られた結果を表9〜11に示す。この結果から、コーティング層を構成する少なくとも1層に無機顔料(カーボンブラック)を添加することによって、電池用包装材料に色調を付与して識別性を備えさせ得ることが確認された。また、添加する無機顔料の量を熱硬化性樹脂100質量部当たり30質量部以下、特に15質量部以下にすることによって、成形性の低下を効果的に抑制できることも確認された。更に、コーティング層を構成する層の内、少なくとも2つの層、特に3つの層に無機顔料を添加することによって、成形後に、成形部分と非成形部分の間に色調の差が生じるのを効果的に抑制できることも明らかとなった。また、コーティング層にカーボンブラックを添加した電池用包装材料の熱伝導率について測定したところ、熱伝導率60W/m・K程度以上を備えており、優れた放熱性を備えていることも確認された。
1 コーティング層
1a 第1コーティング層
1b 第2コーティング層
1c 第3コーティング層
2 バリア層
3 シーラント層
1a 第1コーティング層
1b 第2コーティング層
1c 第3コーティング層
2 バリア層
3 シーラント層
Claims (14)
- 少なくとも、コーティング層、バリア層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなり、
前記コーティング層が、2層以上の複層構造を有し、
前記コーティング層を構成する各層が、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の硬化物からなる、
ことを特徴とする、電池用包装材料。 - 前記コーティング層を構成する各層の弾性率が1500〜6000MPaである、請求項1に記載の電池用包装材料。
- 前記コーティング層を構成する層の内、少なくとも1つの層の弾性率が2500〜6000MPaである、請求項1又は2に記載の電池用包装材料。
- 前記コーティング層が2層構造であり、
前記コーティング層を構成する層の内、バリア層と接面する層の弾性率が1500〜6000Mpaであり、最表層の弾性率が3000〜6000Mpaである、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。 - 前記コーティング層が3層構造であり、
前記コーティング層を構成する層の内、バリア層と接面する層の弾性率が1500〜6000Mpaであり、バリア層と接面する層と最表層の中間に位置する層の弾性率が1500〜6000Mpaであり、最表層の弾性率が3000〜6000Mpaである、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。 - 前記コーティング層の内、最表層が、硬化性樹脂と硬化促進剤と反応性スリップ剤とを含有する樹脂組成物の硬化物からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 前記コーティング層の少なくとも1つの層の形成に使用される前記樹脂組成物に顔料及び/又は染料が含まれる、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 前記コーティング層の少なくとも1つの層の形成に使用される前記樹脂組成物に無機顔料が含まれる、請求項7に記載の電池用包装材料。
- 前記コーティング層を構成する各層の厚さが1〜5μmである、請求項1〜8のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 電池用包装材料の全体の厚さが40〜120μmである、請求項1〜9のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びアルキド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜10のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 前記硬化促進剤が、アミジン化合物、カルボジイミド化合物、ケチミン化合物、ヒドラジン化合物、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、及び第3級アミン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜11のいずれかに記載の電池用包装材料。
- バリア層に対して、熱硬化性樹脂と硬化促進剤とを含有する樹脂組成物の塗布及び加熱による硬化を2回以上繰り返し行い、バリア層上に2層以上の複層構造を有するコーティング層を形成するコーティング層形成工程を含み、
前記コーティング層形成工程の前、途中、又は後に、バリア層においてコーティング層を積層させる面とは反対側の面にシーラント層を積層させる、
ことを特徴とする、電池用包装材料の製造方法。 - 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜12のいずれかに記載の電池用包装材料内に収容されている、電池。
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