JP2015086275A - 漏油防止用シーリング材、漏油防止構造、および漏油の補修方法 - Google Patents

漏油防止用シーリング材、漏油防止構造、および漏油の補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】作業性を向上させると共に、長期間に亘って漏油を効果的に防止することができる漏油防止用シーリング材を提供する。
【解決手段】漏油防止用シーリング材は、主剤と硬化剤とを反応させて得られる硬化物により漏油を防止する漏油防止用シーリング材であって、主剤は、長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格の両端側にそれぞれビスフェノールA型骨格およびエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を含み、硬化剤は、ポリチオール系硬化剤および硬化促進剤を含む。
【選択図】なし

Description

この発明は、漏油を防止するために用いられる漏油防止用シーリング材(以下、単に「シーリング材」ということもある)、漏油防止構造、および漏油を補修する漏油の補修方法に関するものである。
変電所や発電所に設置されている変圧器の内部には、磁心コイルが収納されていると共に、絶縁油が封入されている。変圧器は、室外に配置され、風雨に曝される場合も多く、振動が発生する箇所に取り付けられる場合もある。また、高温の環境下で使用される場合もある。
このような変圧器は、多数の部材から構成されている。そして、変圧器に封入されている絶縁油の漏れ、すなわち、漏油を防止するために、変圧器を構成する部材の繋ぎ目には、例えば、ゴム製のパッキングが挿入されている。振動が発生する箇所に変圧器が取り付けられたとしても、このパッキングによる振動の吸収によって、変圧器の内部に封入された潤滑油の漏油を効率的に防止している。
長期間に亘る使用によりゴム製のパッキングが劣化してしまうと、パッキングを配置した箇所またはその近辺から、封入された絶縁油が漏れ出してくるおそれがある。この場合、パッキングの交換を行えば漏油の問題を解消することができる。しかし、パッキングの交換をするためには、変圧器の運転を停止して変圧器を分解しなければならない。変圧器の運転の停止は数日に亘ることもある。長期間に亘る変圧器の運転の停止は、長期間に亘る送電の停止という状況を引き起こすため、できるだけ避けることが好ましい。すなわち、変圧器の運転を停止する期間をできる限り短くすることが要求される。
変圧器を分解せずに漏油を防ぐ方法として、変圧器の漏油箇所にシーリング材を塗布して補修する工法が採用されている。このようなシーリング材を用いた補修工法によれば、変圧器を分解する場合に比べて、変圧器の運転を停止する期間を短くすることができる。シーリング材を用いた変圧器の漏油防止のための補修工法が、特開2009−292972号公報(特許文献1)、および特開2012−211652号公報(特許文献2)に開示されている。
特開2009−292972号公報 特開2012−211652号公報
特許文献1によると、漏油の補修工法として、変圧器の接合箇所に対して、α−シアノアクリレート樹脂系シーリング材を塗布後、硬化促進剤をスプレイすることで瞬時に硬化させる第一塗布工程、その上にα−シアノアクリレート樹脂系シーリング材を塗布し不織布で補強する第二塗布工程、さらに不織布の上にビニルエステル樹脂などを塗布する第三塗布工程からなる漏油補修工法が提案されている。このような漏油補修工法によれば、第一塗布工程において一次シールを行ってまず漏油を止め、その後の第二塗布工程、および第三塗布工程といった二次シールを施すことにより漏油箇所の強度を補強し、一次シールのみでは不十分となっている耐久性を確保することとしている。
また、特許文献2によると、防食用プライマーを塗布後、漏油箇所を囲むようにビニルエステル樹脂系充填剤を付着させ、さらに漏油箇所に速硬化性エポキシ樹脂系シーリング材により漏油止めを行い、その上に、ビニルエステル樹脂系充填剤を付着させ形を整え、さらにエポキシ樹脂系シーリング材とガラスウールで複数の被覆層を形成する工法が提案されている。このような工法によれば、まず一次シールとしてビニルエステル樹脂系充填剤および速硬化性エポキシ樹脂系シーリング材により漏油を止め、その後の複数の被覆層の形成といった二次シールを施すことにより強度を補強して、耐久性を向上することとしている。
このように従来においては、一次シール、二次シールといった特性の異なる複数のシールを積層することによって、早期に漏油を防止すると共に、強度を補強することとしていた。特許文献1〜2のいずれも、複数の工程が必要である。このような複数の工程を行う漏油の補修では、工程数の増加による作業性の低下のみならず、それぞれの工程での熱硬化性樹脂の硬化時間を確保しなければならない。その結果、漏油の補修作業の期間が全体として長くなり、変圧器を停止している期間が長くなる欠点がある。なお、α−シアノアクリレート樹脂系や、ビニルエステル樹脂系を用いた一次シールのみでは、上記したように、漏油を防止する耐久性の観点から問題がある。すなわち、特許文献1および特許文献2においては、一次シールのみでは、強度不足の観点から長期間に亘る漏油の防止に問題がある。そして、特許文献1および特許文献2におけるいわゆる二次シールは、必要不可欠なものであって、省略することはできない。
この発明の目的は、作業性を向上させると共に、長期間に亘って漏油を効果的に防止することができる漏油防止用シーリング材を提供することである。
この発明の他の目的は、作業性を向上させると共に、長期間に亘って漏油を効果的に防止することができる漏油防止構造を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、作業性を向上させると共に、長期間に亘って漏油を効果的に防止することができる漏油の補修方法を提供することである。
本願発明者らは、例えば、変圧器の漏油を防止するための漏油防止用シーリング材として、従来から求められる機能を備えることを前提とした上で、作業性を向上させることが必要であることを考えた。すなわち、変圧器の漏油を防止するための漏油防止用シーリング材として求められる機能、具体的には、例えば、長期間に亘る振動にも耐えることができ、耐候性、および耐熱性が良好であるといった耐久性を備えた上で、早期に漏油を防止する観点から速硬化性であると共に、漏油を防止するための作業として、複数回の塗布工程や補修工程を行わず、一度の補修工程で上記した種々の機能を備える漏油防止用シーリング材を得る必要があると考えた。そして、本願発明者らは鋭意検討し、本願発明を構成するに至った。
すなわち、この発明に係る漏油防止用シーリング材は、主剤と硬化剤とを反応させて得られる硬化物により漏油を防止する漏油防止用シーリング材であって、主剤は、長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格の両端側にそれぞれビスフェノールA型骨格およびエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を含み、硬化剤は、ポリチオール系硬化剤および硬化促進剤を含む。
このような漏油防止用シーリング材は、主剤として、長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格の両端側にそれぞれビスフェノールA型骨格およびエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を含み、硬化剤として、ポリチオール系硬化剤および硬化促進剤を含むため、得られた硬化物について、柔軟性および強靱性を発現させることができると共に、耐候性、および耐熱性を良好にすることができ、漏油防止用シーリング材として求められる耐久性を向上させることができる。また、後に強度を補強するためのさらなるシールを形成する作業を行わなくてよいため、作業工程を少なくすることができ、作業性を向上させることができる。すなわち、後に強度を付与するような二次シールを行う必要がなく、一度の作業で漏油防止用シーリング材として求められる機能を具備した漏油防止用シーリング材を形成することができる。また、このような漏油防止用シーリング材によれば、複数回の塗布工程を行う補修工法よりも、全体としての熱硬化性樹脂の硬化反応に要する時間の短縮を図ることができ、変圧器の運転を停止している期間を大幅に短くすることができる。したがって、このような漏油防止用シーリング材は、作業性を向上させると共に、長期間に亘って漏油を効果的に防止することができる。
また、硬化剤は、アミン系硬化剤を含むよう構成してもよい。こうすることにより、硬化時間の調整を容易に図ることができると共に、硬化物の強度および耐熱性を高めて、耐久性をより向上させることができる。
なお、主剤は、反応性希釈剤を含むよう構成してもよい。こうすることにより、主剤の粘度を容易に調整することができ、例えば、低温の環境下での作業時においても、材料の取扱い性を適切に向上させることができる。
また、2官能性エポキシ樹脂に対する反応性希釈剤の含有割合は、2官能性エポキシ樹脂100重量部に対し、20重量部以下であるよう構成してもよい。こうすることにより、主剤の粘度をより適切なものとして、漏油防止用シーリング材としての柔軟性および強靱性をより適切なものとすることができる。
なお、主剤と硬化剤との配合比率は、1:0.1〜1:1.2の範囲内にあるであるよう構成してもよい。こうすることにより、硬化反応をより効率的に進行させて、漏油防止用シーリング材としての柔軟性および強靱性をより適切なものとすることができる。
この発明の他の局面においては、漏油防止構造は、複数の部材から構成されており、その内部に油が封入されている油封入部材と、油封入部材の漏油箇所に配置され、主剤と硬化剤とを反応させて得られる硬化物により漏油を防止する漏油防止用シーリング材とを備え、主剤は、長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格の両端側にビスフェノールA型骨格およびエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を含み、硬化剤は、ポリチオール系硬化剤および硬化促進剤を含む。
この発明のさらに他の局面においては、漏油の補修方法は、複数の部材から構成されており、その内部に油が封入されている油封入部材の漏油箇所を補修する漏油の補修方法であって、長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格の両端側にビスフェノールA型骨格およびエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を含む主剤と、ポリチオール系硬化剤および硬化促進剤を含む硬化剤を準備する準備工程と、準備した主剤と硬化剤とを混合する混合工程と、混合工程により得られた混合物を漏油箇所に塗布する塗布工程と、塗布工程の後に混合物を硬化させる硬化工程とを備える。
このような漏油防止用シーリング材は、主剤として、長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格の両端側にそれぞれビスフェノールA型骨格およびエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を含み、硬化剤として、ポリチオール系硬化剤および硬化促進剤を含むため、得られた硬化物について、柔軟性および強靱性を発現させることができると共に、耐候性、および耐熱性を良好にすることができ、漏油防止用シーリング材として求められる耐久性を向上させることができる。また、後に強度を補強するためのさらなるシールを形成する作業を行わなくてよいため、作業工程を少なくすることができ、作業性を向上させることができる。すなわち、後に強度を付与するような二次シールを行う必要がなく、一度の作業で漏油防止用シーリング材として求められる機能を具備した漏油防止用シーリング材を形成することができる。また、このような漏油防止用シーリング材によれば、複数回の塗布工程を行う補修工法よりも、全体としての熱硬化性樹脂の硬化反応に要する時間の短縮を図ることができ、変圧器の運転を停止している期間を大幅に短くすることができる。したがって、このような漏油防止用シーリング材は、作業性を向上させると共に、長期間に亘って漏油を効果的に防止することができる。
この発明の一実施形態に係る漏油防止構造の一部を示す概略断面図である。 この発明の一実施形態に係る漏油の補修方法の代表的な工程を示すフローチャートである。
以下、この発明の実施の形態を説明する。まず、この発明の一実施形態に係る漏油防止用シーリング材の構成について説明する。
漏油防止用シーリング材は、主剤と硬化剤とを反応させて得られる硬化物により漏油を防止する。漏油防止用シーリング材は、2官能性エポキシ樹脂を主体として含む主剤と、ポリチオール系硬化剤を主体として含む硬化剤とを混ぜ合わせ、硬化反応をさせて得られる。
主剤は、長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格の両端側にビスフェノールA型骨格およびエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を含む。具体的には、以下の化1に示すような構造を有する2官能性エポキシ樹脂であることが好ましい。
Figure 2015086275
ここで、式中のRは、長鎖炭化水素鎖を意味し、式中のRおよびRは、ビスフェノールA型骨格構造を意味する。長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格としては、例えば、炭素数が4以上12以下程度、好ましくは炭素数が6程度のアルキル基が用いられる。また、上記した式中のnの数としては、好ましくは、1〜6程度のものが用いられ、さらに好ましくは、1〜2程度のものが用いられる。そして、2官能性エポキシ樹脂の分子量としては、600〜1000程度のものが好適に用いられる。また、このような2官能性エポキシ樹脂の粘度としては、25℃において100万〜200万mPa・s程度である。この場合、樹脂の構造中、長鎖炭化水素鎖を構成する部分で、主にシーリング材として求められる柔軟性を確保し、ビスフェノールA型骨格を構成する部分で、主にシーリング材として求められる強靭性および耐久性を確保しているものと考えられる。また、長鎖炭化水素鎖を構成する部分は、親油性であるため、適度な吸油性を発揮するとも考えられる。漏油防止用シーリング材として、被接着物との接着性の観点からもこの点は好ましいものである。なお、この2官能性エポキシ樹脂の具体的な製品としては、例えば、EPICLON EXA−4816(DIC(株)製)が挙げられる。
主剤は、所定量の反応性希釈剤を含むよう構成してもよい。こうすることにより、上記した2官能性エポキシ樹脂(化1)を含む主剤の粘度を容易に調整することができる。具体的には、例えば、2官能性エポキシ樹脂(化1)が半固体状であった場合等、2官能性エポキシ樹脂(化1)の粘度が高い場合や、冬季など外気温が比較的低温であった場合に、反応性希釈剤を所定量含有させることにより主剤の粘度を低くして、混合時における撹拌性の向上を図ることができる。
反応性希釈剤としては、2官能性エポキシ樹脂(化1)との親和性が良好であると共に、親油性であることが好ましい。これは、硬化反応が全く進行していない塗布の初期の状況においても漏油が進んでおり、接着性の観点からある程度漏油する油分を吸収する必要があるためである。さらに、硬化物の耐熱性の向上を図る観点から、1官能性エポキシ樹脂よりも2官能性エポキシ樹脂の方が望ましい。反応性希釈剤としては、アルキル基の両末端にエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられ、具体的な製品としては、SR−16H(阪本薬品工業(株)製)、YED216D(三菱化学(株)製)、EX−212(ナガセケムテックス(株)製)等が挙げられる。
反応性希釈剤の配合量について、例えば、2官能性エポキシ樹脂(化1)に対する反応性希釈剤の含有割合は、2官能性エポキシ樹脂(化1)100重量部に対し、20重量部以下であるよう構成してもよい。こうすることにより、主剤の粘度をより適切なものとして、漏油防止用シーリング材としての柔軟性および強靱性をより適切なものとすることができる。
また、主剤には、無機粉末等、粉状の充填剤を含ませるよう構成してもよい。こうすることにより、2官能性エポキシ樹脂(化1)を含む主剤の粘度を取り扱いやすいように調整することが容易になると共に、いわゆるチクソトロピー性を向上させ、作業時における取扱い性を良好にすることができる。すなわち、主剤と硬化剤とを混ぜ合わせた硬化反応前の混合液の垂れや移動、偏在といった現象をより容易に回避し、より適切な箇所にシーリング材を配置することができる。
充填材の種類としては、シリカゲル、炭酸カルシウム、カーボンブラック、アルミニウム粉末、アルミナ、タルク、ガラス繊維、酸化チタン等が選択される。具体的な製品としては、AEROSIL 300(日本アエロジル(株)製)、白艶華CC、Silver W(いずれも白石工業(株)製)、カーボンブラック#70G(旭カーボン(株)製)、アルミパウダーYP580(山石金属(株)製)、アルミナA−42−2(昭和電工(株)製)、タルクMS−P(日本タルク(株)製)、カットファイバーSS 05C−404(日東紡績(株)製)、チタンA−150(堺化学工業(株)製)等が挙げられる。
硬化剤は、ポリチオール系硬化剤および硬化促進剤を含む。このように構成することにより、いわゆる速硬化性を確保することができると共に、硬化物の柔軟性を確保することもできる。ポリチオール系硬化剤の具体的な製品としては、MR−94、MR−122(いずれも大都産業(株)製)、EH317((株)ADEKA製)、jerキュアQX11、jerキュアQX−40(いずれも三菱化学(株)製)等が挙げられる。また、硬化促進剤は、例えば、トリスジメチルアミノフェノール系やエチレンアミン系の3級アミン系が用いられ、硬化促進剤の具体的な製品としては、HD−Acc43、HD−Acc65(いずれも大都産業(株)製)、EHC−30((株)ADEKA製)、jerキュア3010(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
硬化剤は、アミン系硬化剤を含むよう構成してもよい。こうすることにより、硬化時間の調整を容易に図ることができると共に、硬化物の強度および耐熱性を高めて、耐久性をより向上させることができる。アミン系硬化剤は、例えば、イソホロジアミン系が用いられ、アミン系硬化剤の具体的な製品としては、例えば、ダイトクラールI−2237、ダイトクラールI−5136(共に大都産業(株))等が挙げられる。
また、硬化剤にも、粉状の充填剤を所定量含ませるよう構成してもよい。こうすることにより、硬化剤の粘度を取り扱いやすいように調整することが容易になると共に、いわゆるチクソトロピー性を向上させ、作業時における取扱い性を良好にすることができる。なお、充填剤の具体的な製品としては、上記した主剤に含まれる充填剤と同様のものが挙げられる。
すなわち、この発明に係る漏油防止用シーリング材によれば、主剤および硬化剤のうちの少なくともいずれか一方には、粉状の充填剤が含まれているよう構成してもよい。
なお、主剤と硬化剤との配合比率は、1:0.1〜1:1.2の範囲内にあるよう構成してもよい。こうすることにより、硬化時間および得られた硬化物の強度等を適正な範囲として、漏油防止用シーリング材としての柔軟性および強靱性をより適切なものとすることができる。なお、主剤に含まれる2官能性エポキシ樹脂(化1)と硬化剤に含まれるポリチオール系硬化剤との当量配合比については、1:0.8〜1:1.2の範囲内のものが好適に適用される。
次に、この発明に係る漏油防止構造の構成について説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る漏油防止構造の一部を示す概略断面図である。図1を参照して、この発明の一実施形態に係る漏油防止構造11は、複数の部材から構成されており、その内部に油が封入されている油封入部材12と、油封入部材12の漏油箇所に配置され、主剤と硬化剤とを反応させて得られる硬化物により漏油を防止する漏油防止用シーリング材13とを備える。
油封入部材12は、図示しない図面左方側に位置する空間に潤滑油等の油を封入している。油封入部材12としては、例えば、変圧器が挙げられる。
油封入部材12は、図1における紙面上側に配置され、フランジが設けられた第一の部材14と、図1における紙面下側に配置され、同じくフランジが設けられた第二の部材15と、第一の部材14および第二の部材15の間に介在するようにして配置される薄板状のゴム製のパッキング16とを備える。第一および第二の部材14、15には、それぞれ紙面上下方向に貫通する貫通孔17、18が設けられている。また、パッキング16にも、紙面上下方向に貫通する貫通孔が設けられている。貫通孔17、18にはボルト19が挿通されており、ボルト19の一方端部20側において螺合するナット21によって第一および第二の部材14、15は締結されている。
ここで、第一および第二の部材14、15、パッキング16、ボルト19、およびナット21のうち、外部に露出する表面22には、漏油防止用シーリング材13が配置されている。具体的には、漏油防止用シーリング材13は、油封入部材12を構成する部材の表面の全面を覆うようにして、薄膜を形成するように設けられている。なお、図1中の長さtで表されるナット21の表面23から漏油防止用シーリング材13の表面24までの長さ、すなわち、この漏油防止用シーリング材13の厚みとしては、例えば、1〜2mm(ミリメートル)が選択される。
ここで、シーリング材については、上記したように、主剤は、長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格の両端側にビスフェノールA型骨格およびエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を含み、硬化剤は、ポリチオール系硬化剤および硬化促進剤を含む。
このような漏油防止構造によると、作業性を向上させると共に、長期間に亘って漏油を効果的に防止することができる。
次に、この発明に係る漏油の補修方法について説明する。図2は、この発明の一実施形態に係る漏油の補修方法の代表的な工程を示すフローチャートである。
図2を参照して、この発明の一実施形態に係る漏油の補修方法は、作業に先立ち、漏油が発生している箇所の洗浄を行っておく。具体的には、漏油箇所の塗装、油分、水分、汚れ等を除去する。
補修方法としてはまず、主剤と硬化剤とを準備する(S1)。この場合、予め主剤として反応性希釈剤を含有させて粘度を調整しておき、充填剤を混合しておくとよい。また、硬化剤についても、予め硬化促進剤、および充填剤を混合しておくとよい。
その後、準備した主剤と準備した硬化剤とを混合する(S2)。主剤と硬化剤の混合については、配合比率に応じてそれぞれ秤量を行い、一方側の剤に他方側の剤を混入し、十分な撹拌混合をすることによって行う。この場合、自転・公転ミキサー等、所定の攪拌機を用いることにしてもよいし、作業者の手で撹拌混合することにしてもよい。
次に、漏油箇所に混合した混合物を塗布する(S3)。上記した図1における漏油防止構造を用いて混合物を塗布する場合について説明すると、具体的には、まず、上記したボルト19およびナット21の接合箇所の塗布を行い、その後、第一および第二の部材14、15、パッキング16の表面22を覆うようにして塗布する。この場合、作業員の手作業によって行ってもよいし、専用の治具、筆、刷毛等を用いてもよい。
その後、所定時間の経過を待って、塗布した混合物の硬化反応を終了させる(S4)。このようにして、漏油箇所の補修を行う。
このような漏油の補修方法によれば、作業性を向上させると共に、長期間に亘って漏油を効果的に防止することができる。
なお、必要に応じて、シーリング材の上側、すなわち、上層側に、シーリング材を覆うようにして、塗料を塗布することにしてもよい。こうすることにより、外観面においても良好になると共に、耐候性等も向上させることができる。
また、上記の実施の形態においては、シーリング材は、油封入部材を構成する部材の表面の全面を覆うようにして設けることとしたが、これに限らず、油封入部材を構成する部材の一部を露出させ、他の部分を覆うようにして設けることとしてもよい。
なお、上記の実施の形態において、必要に応じて、主剤や硬化剤、混合物に多少の加温を行ってもよい。こうすることによっても、それぞれの剤の粘度を調整して、取扱い性を向上させることができると共に、硬化時間の調整等を行うこともできる。
また、上記の実施の形態においては、主剤および硬化剤に充填剤を含ませることとしたが、これに限らず、主剤および硬化剤の少なくともいずれか一方にのみ充填剤を含ませることとしてもよいし、作業環境によっては、主剤および硬化剤のいずれにも充填剤を含ませなくともよい。
なお、上記の実施の形態においては、変圧器の漏油を防止する場合に用いることとしたが、これに限らず、油が封入されている部材において、漏油が発生する場合、例えば、遮断機などの電気絶縁油を用いる機器、油封入機器に設けられる確認窓に適用されるものである。
(実施例1)
以下に示す方法で、実施例1に係る漏油防止用シーリング材を得た。まず、主剤に含まれる2官能性エポキシ樹脂として、EPICLON EXA−4816(DIC(株)製)を準備した。このEPICLON EXA−4816は、常温状態(25℃)において、半固体状であった。このEPICLON EXA−4816を100重量部に対し、反応性希釈剤としてSR−16H(阪本薬品工業(株)製)を5重量部、および充填剤としてアエロジル(AEROSIL 300(日本アエロジル(株)製))を1重量部加え、十分に撹拌混合した。このようにして実施例1に係る主剤を得た。なお、この実施例1に係る主剤は、20℃においてパテ状であった。
次に、硬化剤に含まれるポリチオール系硬化剤として、MR−122(大都産業(株)製)を準備した。このMR−122を100重量部に対し、硬化促進剤としてHD−Acc65(大都産業(株)製)を7重量部、充填剤として炭酸カルシウム(白艶華CC(白石工業(株)製))を60重量部、同じく充填剤としてアエロジル(AEROSIL 300)を2重量部加え、十分に撹拌した。このようにして実施例1に係る硬化剤を得た。この実施例1に係る硬化剤についても、20℃においてパテ状であった。
このようにして得られた主剤および硬化剤について、主剤を100重量部に対し、硬化剤を61重量部加えて撹拌混合を行い、実施例1に係る混合物を得た。なお、この実施例1および以下に示す実施例2〜実施例3、実施例6〜実施例10、比較例1〜比較例3は、主剤と硬化剤とを当量配合としている。
次に、得られた実施例1に係る混合物を、20℃の雰囲気下で、油封入部材としての後述する試験装置の漏油箇所となる所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、実施例1に係る漏油防止用シーリング材を得た。
なお、上記した実施例1に係る主剤、硬化剤を構成する樹脂等の種類、および配合量等について、表1に示す。表1中、配合量、配合比の数値は、重量部で示している。以下、実施例2〜実施例10に係る主剤、硬化剤の種類等についても、同様に表1に示す。
(実施例2)
主剤に含まれる2官能性エポキシ樹脂として、EPICLON EXA−4816を準備した。そして、このEPICLON EXA−4816を100重量部に対し、充填剤としてアエロジル(AEROSIL 300)を1重量部加え、40℃程度に加温しながら十分に撹拌混合した。このようにして実施例2に係る主剤を得た。この実施例1に係る主剤は、20℃においてパテ状であった。
硬化剤は、実施例1と同じものを準備した。そして、主剤を100重量部に対し、硬化剤を54重量部加えて撹拌混合を行い、実施例2に係る混合物を得た。
次に、得られた実施例2に係る混合物を、20℃の雰囲気下で試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、実施例2に係る漏油防止用シーリング材を得た。
(実施例3)
主剤に含まれる2官能性エポキシ樹脂として、EPICLON EXA−4816を準備した。このEPICLON EXA−4816を100重量部に対し、反応性希釈剤としてSR−16Hを20重量部、および充填剤としてアエロジル(AEROSIL 300)を1重量部加え、十分に撹拌混合した。このようにして実施例3に係る主剤を得た。この実施例1に係る主剤は、20℃においてパテ状であった。
実施例3に係る硬化剤としては、実施例1に係る硬化剤と同じものを準備した。そして、主剤を100重量部に対し、硬化剤を67重量部加えて撹拌混合を行い、実施例3に係る混合物を得た。
次に、得られた実施例3に係る混合物を、20℃の雰囲気下で試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、実施例3に係る漏油防止用シーリング材を得た。
(実施例4)
主剤および硬化剤は、実施例1と同じものを準備した。そして、主剤を100重量部に対し、硬化剤を55重量部加えて撹拌混合を行い、実施例4に係る混合物を得た。なお、この実施例4は、当量配合比に対して、硬化剤を約10%減少させたものである。
次に、得られた実施例4に係る混合物を、試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、実施例4に係る漏油防止用シーリング材を得た。
(実施例5)
主剤および硬化剤は、実施例1と同じものを準備した。そして、主剤を100重量部に対し、硬化剤を67重量部加えて撹拌混合を行い、実施例5に係る混合物を得た。なお、この実施例4は、当量配合比に対して、硬化剤を約10%増加させたものである。
次に、得られた実施例5に係る混合物を、20℃の雰囲気下で試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、実施例5に係る漏油防止用シーリング材を得た。
(実施例6)
実施例6に係る主剤としては、実施例1に係る主剤と同じものを準備した。実施例6に係る硬化剤に含まれるポリチオール系硬化剤としてMR−122を準備し、実施例6に係る硬化剤に含まれるアミン系硬化剤としてイソホロンジアミン系硬化剤であるI−5136(大都産業(株)製)を準備した。そして、このMR−122を80重量部に対し、I−5136を20重量部、硬化促進剤としてHD−Acc65を6重量部、充填剤として炭酸カルシウム(白艶華CC)を50重量部、同じく充填剤としてアエロジル(AEROSIL 300)を2重量部加え、十分に撹拌した。このようにして実施例5に係る硬化剤を得た。この実施例6に係る硬化剤についても、20℃においてパテ状であった。
そして、このようにして得られた主剤および硬化剤について、主剤を100重量部に対し、硬化剤を42重量部加えて撹拌混合を行い、実施例6に係る混合物を得た。
そして、得られた実施例6に係る混合物を、20℃の雰囲気下で試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、実施例6に係る漏油防止用シーリング材を得た。
(実施例7)
実施例7に係る主剤としては、実施例1に係る主剤と同じものを準備した。実施例7に係る硬化剤に含まれるポリチオール系硬化剤として、MR−122を準備した。このMR−122を100重量部に対し、硬化促進剤としてHD−Acc65を5重量部、充填剤として炭酸カルシウム(白艶華CC)を5重量部、同じく充填剤としてアエロジル(AEROSIL 300)を2重量部加え、十分に撹拌した。このようにして実施例6に係る硬化剤を得た。この実施例7に係る硬化剤についても、20℃においてパテ状であった。
そして、得られた主剤および硬化剤について、主剤を100重量部に対し、硬化剤を60重量部加えて撹拌混合を行い、実施例7に係る混合物を得た。
次に、得られた実施例7に係る混合物を、20℃の雰囲気下で試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、実施例7に係る漏油防止用シーリング材を得た。
(実施例8)
実施例8に係る主剤としては、実施例1に係る主剤と同じものを準備した。実施例8に係る硬化剤に含まれるポリチオール系硬化剤として、MR−122を準備した。このMR−122を100重量部に対し、硬化促進剤としてHD−Acc65を10重量部、充填剤として炭酸カルシウム(白艶華CC)を50重量部、同じく充填剤としてアエロジル(AEROSIL 300)を2重量部加え、十分に撹拌した。このようにして実施例7に係る硬化剤を得た。この実施例8に係る硬化剤についても、20℃においてパテ状であった。
そして、得られた主剤および硬化剤について、主剤を100重量部に対し、硬化剤を62重量部加えて撹拌混合を行い、実施例8に係る混合物を得た。
次に、得られた実施例8に係る混合物を、20℃の雰囲気下で試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、実施例8に係る漏油防止用シーリング材を得た。
(実施例9)
実施例9に係る主剤としては、実施例1に係る主剤と同じものを準備した。実施例9に係る硬化剤に含まれるポリチオール系硬化剤として、EH317((株)ADEKA製)を準備した。このEH317を100重量部に対し、硬化促進剤としてHD−Acc65を7重量部、充填剤として炭酸カルシウム(白艶華CC)を50重量部、同じく充填剤としてアエロジル(AEROSIL 300)を2重量部加え、十分に撹拌した。このようにして実施例9に係る硬化剤を得た。この実施例9に係る硬化剤についても、20℃においてパテ状であった。
そして、得られた主剤および硬化剤について、主剤を100重量部に対し、硬化剤を52重量部加えて撹拌混合を行い、実施例9に係る混合物を得た。
次に、得られた実施例9に係る混合物を、20℃の雰囲気下で試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、実施例9に係る漏油防止用シーリング材を得た。
(実施例10)
実施例10に係る主剤としては、実施例1に係る主剤と同じものを準備した。実施例10に係る硬化剤に含まれるポリチオール系硬化剤として、MR−122を準備した。このMR−122を100重量部に対し、硬化促進剤としてHD−Acc43(大都産業(株)製)を7重量部、充填剤として炭酸カルシウム(白艶華CC)を50重量部、同じく充填剤としてアエロジル(AEROSIL 300)を2重量部加え、十分に撹拌した。このようにして実施例10に係る硬化剤を得た。この実施例10に係る硬化剤についても、20℃においてパテ状であった。
そして、このようにして得られた主剤および硬化剤について、主剤を100重量部に対し、硬化剤を61重量部加えて撹拌混合を行い、実施例10に係る混合物を得た。
そして、得られた実施例10に係る混合物を、20℃の雰囲気下で試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、実施例10に係る漏油防止用シーリング材を得た。
(比較例1)
比較例1に係る主剤として、実施例1における2官能性エポキシ樹脂の代わりに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるEP−4100((株)ADEKA製)を用いた。このEP−4100は、常温状態において、粘度の低い液状であった。このEP−4100を100重量部に対し、充填剤としての炭酸カルシウム(白艶華CC)を66重量部、およびアエロジル(AEROSIL 300)を1重量部加え、十分に撹拌した。このようにして比較例1に係る主剤を得た。この比較例1に係る主剤は、20℃においてパテ状であった。比較例1に係る硬化剤は、実施例1に係る硬化剤と同じものを用いた。
そして、主剤と硬化剤について、主剤100重量部に対し、硬化剤68重量部を加えて撹拌混合を行い、比較例1に係る混合物を得た。
そして、比較例1に係る混合物を、20℃の雰囲気下で試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、比較例1に係る漏油防止用シーリング材を得た。
なお、上記した比較例1に係る主剤、硬化剤を構成する樹脂等の種類、および配合量等について、表2に示す。表2中、配合量、配合比の数値は、重量部で示している。以下、比較例2〜比較例3に係る主剤、硬化剤の種類等についても、同様に表2に示す。
(比較例2)
比較例2に係る主剤は、実施例1に係る主剤と同じものを用いた。比較例2に係る硬化剤に含まれるアミン系硬化剤として、イソホロンジアミン系硬化剤であるI−5136(大都産業(株)製)を準備した。そして、このI−5136を100重量部に対し、充填剤として炭酸カルシウム(白艶華CC)を50重量部、同じく充填剤としてアエロジル(AEROSIL 300)を2重量部加え、十分に撹拌した。このようにして比較例2に係る硬化剤を得た。この比較例2に係る硬化剤についても、20℃においてパテ状であった。
そして、主剤と硬化剤について、主剤100重量部に対し、硬化剤18重量部を加えて撹拌混合を行い、比較例2に係る混合物を得た。
そして、比較例2に係る混合物を、20℃の雰囲気下で試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、比較例2に係る漏油防止用シーリング材を得た。
(比較例3)
比較例3に係る主剤は、実施例1に係る主剤と同じものを用いた。比較例3に係る硬化剤に含まれるポリチオール系硬化剤として、MR−122を準備した。このMR−122を100重量部に対し、充填剤として炭酸カルシウム(白艶華CC)を50重量部、同じく充填剤としてアエロジル(AEROSIL 300)を2重量部加え、十分に撹拌した。このようにして比較例3に係る硬化剤を得た。この比較例3に係る硬化剤についても、20℃においてパテ状であった。
そして、このようにして得られた主剤および硬化剤について、主剤を100重量部に対し、硬化剤を58重量部加えて撹拌混合を行い、比較例3に係る混合物を得た。
次に、得られた比較例3に係る混合物を、20℃の雰囲気下で試験装置の所定の箇所に塗布した。その後、2時間経過させ、硬化反応を完了させた。このようにして、比較例3に係る漏油防止用シーリング材を得た。
Figure 2015086275
Figure 2015086275
次に得られた実施例1〜実施例10、比較例1〜比較例3に係る漏油防止用シーリング材について、漏油の有無を確認するシーリング試験、耐久性を評価するヒートサイクル試験、そして引張りせん断接着強さ試験を行った。試験結果を表3に示す。
ここでまず、シーリング試験について説明する。シーリング試験は、シーリング材を塗布した漏油箇所において漏油しているか否かを確認することにより行った。このシーリング試験に際し、浸透探傷剤としてミクロチェック現像液((株)タイホーコーザイ製)を用いて行った。試験方法としては、この浸透探傷剤を、シーリング材を塗布した箇所の表面に吹き付けた。そして、浸透探傷剤を吹き付けた箇所において粉末が白色に乾燥していれば漏油していないと判断し、「良好」と評価した。一方、浸透探傷剤を吹き付けた箇所において粉末が白色に乾燥していなければ漏油していると判断し、「不良」と評価した。試験結果については、以下の表3に示す。
次に、ヒートサイクル試験について説明する。ヒートサイクル試験は、以下のように行った。まず、用いる装置としては、絶縁油封入チャンバーのフランジの端面とコルクパッキングとの間に、0.8mmの直径の銅線を挟み、0.05MPaの窒素による圧力をかけて人為的に漏油させる試験装置を用いた。この試験装置を用い、漏油止め、すなわち、実施例1等に係る混合物の塗布を行って硬化反応を完了させた後、チャンバーを恒温槽に入れ、ヒートサイクル試験を行った。このヒートサイクル試験の結果により、シーリング材の耐久性を評価した。
ヒートサイクル試験は、条件1として、−20℃で3時間保持した後、20℃で30分保持し、その後、80℃で3時間保持した後、再び20℃で30分保持するサイクルを1サイクルとした。そして、このサイクルを10回繰り返し、その後、シーリング試験と同様に漏油の有無を確認し、条件1としての試験結果とした。このヒートサイクル試験については、10個のサンプルのうち、漏油していないサンプル、すなわち、シーリング試験における「良好」と評価されたサンプルのサンプル数で評価した。サンプル数が多いほど、耐久性が良好であり、シーリング材として優良である。また、100℃の高温雰囲気下での耐久性が要求される場合、条件1ではなく、条件2、そして条件3の試験を行う。すなわち、条件2、条件3として、−10℃で3時間保持した後、20℃で30分保持し、その後、100℃で3時間保持した後、再び20℃で30分保持するサイクルを1サイクルとした。そして、このサイクルを5回繰り返し、条件2としての試験結果とした。また、このサイクルを10回繰り返し、条件3としての試験結果とした。試験結果を、表3に示す。
次に、引張りせん断接着強さ試験について説明する。引張りせん断接着強さ試験は、雰囲気温度を23℃とし、鋼と鋼との間に実施例1〜実施例10、比較例1〜比較例3に係るシーリング材を介在させるようにして、鋼と鋼とを接着させた。この場合、23℃雰囲気下で硬化させた。24時間硬化後、一方の鋼を固定し、他方の鋼を引っ張って、鋼が外れた時の接着強さを測定した。具体的には、JIS K6850に準拠して行った。試験結果について、表3に示す。引張りせん断接着強さを表す数値の単位は、MPa(メガパスカル)である。
Figure 2015086275
表1〜表3を参照して、シーリング試験については、比較例2、比較例3の結果において、「不良」であった。これは、比較例2および比較例3の場合、硬化反応が遅いため、漏油箇所から徐々に染み出した油を止めることができず、漏油防止が不完全となっていると考えられる。一方、実施例1〜実施例10、比較例1の結果は、良好であった。なお、比較例2、比較例3については、シーリング試験をクリアしておらず、ヒートサイクル試験を行っていない。
ヒートサイクル試験の結果については、条件1の場合、比較例1において一つもクリアしたものがなかった。これは、比較例1に係るシーリング材は、シーリング試験の結果としては良好であったものの、シーリング材としての柔軟性および強靭性で劣り、その結果耐久性が不十分となって、条件1に規定する条件にシーリング材が耐え切れず、シーリング材と被接着物との間にすき間が生じたか、またはシーリング材自体に亀裂や破損等が生じた影響であると考えられる。なお、実施例1〜実施例10においては、条件1において、全てのサンプルでクリアした。したがって、シーリング材として良好であることと判断される。この結果は、引張りせん断接着強さの数値を比較しても、その傾向が表れている。すなわち、実施例1〜実施例10については、引張りせん断接着強さの数値が高く、最小値でも10MPa以上であるのに対し、比較例1〜比較例3については、引張りせん断接着強さの数値は、低く、10MPa未満である。
また、条件2に規定する条件において、実施例1、実施例2、実施例4、実施例5、実施例6、実施例8のものが全てのサンプルでクリアした。より過酷な条件下での使用が要求される場合には、実施例1、実施例2、実施例4、実施例5、実施例6、実施例8に係るシーリング材を用いるとよい。さらには、条件3に規定する条件において、実施例6のものが全てのサンプルでクリアした。したがって、さらなる過酷な条件下での使用が要求される場合には、実施例6に係るシーリング材を用いるとよい。
以上より、このような漏油防止用シーリング材、漏油防止構造、および漏油の補修方法によると、作業性を向上させると共に、長期間に亘って漏油を効果的に防止することができる。
なお、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示された範囲、そして特許請求の範囲と均等な意味および範囲内でのすべての変更、改良が含まれることが意図される。
この発明に係る漏油防止用シーリング材、漏油防止構造、および漏油の補修方法は、室外に配置される変圧器の漏油を防止する際に、特に有効に利用される。
11 漏油防止構造、12 油封入部材、13 漏油防止用シーリング材、14 第一の部材、15 第二の部材、16 パッキング、17,18 貫通孔、19 ボルト、20 端部、21 ナット、22,23,24 表面。

Claims (7)

  1. 主剤と硬化剤とを反応させて得られる硬化物により漏油を防止する漏油防止用シーリング材であって、
    前記主剤は、長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格の両端側にそれぞれビスフェノールA型骨格およびエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を含み、
    前記硬化剤は、ポリチオール系硬化剤および硬化促進剤を含む、漏油防止用シーリング材。
  2. 前記硬化剤は、アミン系硬化剤を含む、請求項1に記載の漏油防止用シーリング材。
  3. 前記主剤は、反応性希釈剤を含む、請求項1または2に記載の漏油防止用シーリング材。
  4. 前記2官能性エポキシ樹脂に対する前記反応性希釈剤の含有割合は、前記2官能性エポキシ樹脂100重量部に対し、20重量部以下である、請求項3に記載の漏油防止用シーリング材。
  5. 前記主剤と前記硬化剤との配合比率は、1:0.1〜1:1.2の範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の漏油防止用シーリング材。
  6. 複数の部材から構成されており、その内部に油が封入されている油封入部材と、前記油封入部材の漏油箇所に配置され、主剤と硬化剤とを反応させて得られる硬化物により漏油を防止する漏油防止用シーリング材とを備え、
    前記主剤は、長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格の両端側にビスフェノールA型骨格およびエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を含み、
    前記硬化剤は、ポリチオール系硬化剤および硬化促進剤を含む、漏油防止構造。
  7. 複数の部材から構成されており、その内部に油が封入されている油封入部材の漏油箇所を補修する漏油の補修方法であって、
    長鎖炭化水素鎖から構成される脂肪族骨格の両端側にビスフェノールA型骨格およびエポキシ基を有する2官能性エポキシ樹脂を含む主剤、およびポリチオール系硬化剤と硬化促進剤とを含む硬化剤を準備する準備工程と、
    準備した前記主剤と前記硬化剤とを混合する混合工程と、
    前記混合工程により得られた混合物を漏油箇所に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程の後に前記混合物を硬化させる硬化工程とを備える、漏油の補修方法。
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