JP2015086162A - 歯科用接着性組成物およびキット - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化性組成物を使用する前に、エッチング処理や、プライマー処理などの前処理を必ずしも行う必要がなく、歯質に直接適用できる歯科用接着材並びに歯科用コーティング材、歯科用前処理材として好適に使用される歯科用組成物、歯科用前処理材及びそれらを含むキットの提供。【解決手段】(A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体、(B)分子内に酸性基を有しないラジカル重合性単量体、(C)アミノカルボン酸系キレート剤、(D)重合開始剤、(E)水(F)有機溶媒からなり、(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、(A)成分は1〜50重量部の範囲、(B)成分は1〜50重量部の範囲、(C)成分は0.01〜20重量部の範囲、(D)成分は0.01〜20重量部の範囲、(E)成分は1〜60重量部の範囲、(F)成分は20〜60重量部の範囲にある歯科用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、歯科用接着材ならびに歯科用コーティング材、歯科用前処理材として好適に使用される歯科用組成物、歯科用前処理材およびそれらを含むキットに関する。さらに詳しくは、アミノカルボン酸系キレート剤を用いてタンパク質分解酵素等の酵素を阻害することで、治療後の歯牙の長期保存を可能にする歯科用組成物、歯科用前処理材およびそれらを含むキットに関する。
齲蝕はミュータンス菌に代表される齲蝕病原性菌により生成されたプラークおよび乳酸などの有機酸により歯質が脱解されることで生じる。
特に齲蝕が象牙質におよんだ場合は、齲蝕部位を歯科用タービンで除去した後、歯科用接着材を塗布・重合硬化させることで、象牙質内に存在するコラーゲン繊維と歯科材料に含まれる樹脂の複合体(樹脂含浸層)を形成したうえで、その上部のコンポジットレジンや補綴物を接着する治療が行われる。この齲蝕治療において、良好な樹脂含浸層の形成は、治療部位への齲蝕病原性菌の再侵入を防ぎ、治療後に再度齲蝕となることを予防する為に重要な要素となるが、良好な樹脂含浸層の形成には、接着材に含有されるモノマー成分が歯質に浸透し、充分に重合硬化する必要がある。そのため、これらモノマー成分の重合を阻害する因子が含まれることで樹脂含浸層の形成不良が生じることもある。
一方、コラーゲンは、骨や歯の硬組織の石灰化を誘導するために必要な要素の一つであり、特に、骨や歯の象牙質またはセメント質においては、約20〜30%の割合を占める成分である。
また、生体内には様々な酵素が存在しており、特に口腔内には人体由来の酵素のみならず、雑多な口腔内微生物が産生する様々な酵素が存在している。これら酵素、特にペプチド結合加水分解酵素の一つであるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の働きで、象牙質内に存在するコラーゲンや他の歯質有機成分が分解されることが明らかとなりつつあり、齲蝕治療後にこれらMMPによるコラーゲン繊維の分解が樹脂含浸層を脆弱化し、生体と補綴物との間のシーリング性の低下と齲蝕病原性菌などの再進入による二次齲蝕が発生する可能性が懸念されている。
特許文献1では、トラネキサム酸などのアミノ酸が酵素阻害剤として用いられている。
特許文献2では、キレート剤の使用について記載はあるが、スメア層の除去を目的とした水溶液での使用であり、長期間、歯質や口腔内に留まり、徐放可能な態様に関しては、何ら指摘されていない。
特開2011-126830号公報 特開2000-355513号公報
本発明は、歯科用接着材ならびに歯科用コーティング材、歯科用前処理剤として好適に使用される歯科用接着性組成物、歯科用前処理材およびそれらを含むキットを提供することを目的とする。さらに詳しくは、アミノカルボン酸系キレート剤を用いてタンパク質分解酵素等の酵素を阻害することで、治療後の歯牙の長期保存を可能にする歯科用接着性組成物、歯科用前処理材およびそれらを含むキットを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、特に歯質に対して使用する場合に、硬化性組成物を使用する前に、エッチング処理やプライマー処理などの前処理を必ずしも行う必要がなく、歯質に直接適用できる歯科用接着材ないしはコーティング材、前処理材として好適に用いられる歯科用接着性組成物、歯科用前処理材およびそれらを含むキットを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、酵素阻害剤として縮合剤、特にアミノカルボン酸系キレート剤を用いることで、分解酵素による歯質有機成分の分解を抑制でき、歯周病および齲蝕予防効果を発揮するとともに、治療後に長期にわたる歯牙の保存が可能な酵素阻害作用を有する歯科用接着性組成物、歯科用前処理材およびそれらを含むキットが提供されることを見出した。
本発明の歯科用組成物は、(A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体と(C)アミノカルボン酸系キレート剤とを有することを特徴としている。
特に本発明は、(A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体および/または、(B)分子内に酸性基を有しないラジカル重合性単量体、(C)アミノカルボン酸系キレート剤、(D)重合開始剤、(E)水(F)有機溶媒を、(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、(A)成分は1〜50重量部の範囲、(B)成分は1〜50重量部の範囲、(C)成分は0.01〜20重量部の範囲、(D)成分は0.01〜20重量部の範囲、(E)成分は1〜60重量部の範囲、(F)成分は20〜60重量部の範囲で含み、場合により重合硬化を促すために(G)還元剤を(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、0.05〜20重量部の範囲、組成物の粘度調整のために(H)充填材を(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、0.1〜20重量部の範囲で含有することで、分解酵素による歯質有機成分の分解を抑制でき、歯周病および齲蝕予防効果を発揮するとともに、治療後に長期にわたる歯牙の保存が可能な酵素阻害作用を有する歯科用接着性組成物、歯科用前処理材およびそれらを含むキットが提供されることを見出した。
本発明に係る歯科用接着性組成物、歯科用前処理材およびそれらを含むキットを用いることで、マトリックスメタロプロテイナーゼなどのペプチド結合加水分解酵素を阻害することができ、歯周病や治療後の二次齲蝕を予防し、長期にわたる歯牙の保存が可能となる。
以下、本発明に係る歯科用組成物およびキットについて説明する。なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタアクリル酸を包含した上位概念を意味し、「(メタ)アクリレート」などについても同様である。
本発明の組成物は、少なくとも、(A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体と(C)アミノカルボン酸系キレート剤を有するものであり、これ以外に(B)分子内に酸性基を有しないラジカル重合性単量体、(D)重合開始剤、(E)水、(F)有機溶媒などを含むことが出来る。
本発明の(A)成分は、分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体である。
(A)成分としては、酸性基として、カルボキシル基、リン酸基、チオリン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基などを例示することができる。また、本発明においてはカルボキシル基の酸無水基のように、実用条件において容易に分解して前記酸性基になるなど、実質上酸性基として機能するものも、酸性基とみなす。以下に、このような重合性単量体を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明において、(A)成分の具体的な例であるカルボキシル基を有する重合性化合物の例としては、
(メタ)アクリル酸(以下、アクリル酸とメタアクリル酸の総称として(メタ)アクリル酸と記載する。)、マレイン酸等のα−不飽和カルボン酸;
4-ビニル安息香酸等のビニル芳香環化合物;
11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸(以下、アクリロイルとメタアクリロイルの総称として(メタ)アクリロイルと記載する。)等の(メタ)アクリロイルオキシ基とカルボン酸基の間に直鎖炭化水素基が存在するカルボン酸化合物;
6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルナフタレン(ポリ)カルボン酸;
4-(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸等といった(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸;
4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸等のさらに水酸基を含有する化合物;
2,3-ビス(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレ−ト(以下、アクリレートとメタアクリレートの総称として(メタ)アクリレートと記載する。)等のカルボキシベンゾイルオキシを有する化合物;
N,O-ジ(メタ)アクリロイルチロシン、O-(メタ)アクリロイルチロシン、N-(メタ)アクリロイルチロシン、N-(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、O-(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、N,O-ジ(メタ)アクリロイルフェニルアラニン等のN-および/またはO-位置換のモノまたはジ(メタ)アクリロイルアミノ酸;
N-(メタ)アクリロイル-4-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-5-アミノ安息香酸、2-または3-または4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4-または5-(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸等の官能性置換基を有する安息香酸の(メタ)アクリロイル化合物;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トと無水マレイン酸または3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物または3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の付加反応物等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと不飽和ポリカルボン酸無水物の付加反応物;
2-(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、N-フェニルグリシンまたはN-トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレ−トとの付加物、4-[(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3-または4-[N-メチル-N-(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸などのポリカルボキシベンゾイルオキシと(メタ)アクリロイルオキシを有する化合物などを挙げることができる。
これらのうち、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸および4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸が好ましく用いられる。
リン酸基、即ち、少なくとも1個の水酸基がリン原子に結合している基、および水中で容易に該基に変換し得る官能基として、例えばリン酸エステル基で水酸基を1個または2個を有する基を好ましく挙げることができる。
このような基を有する重合性単量体としては、例えば2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2-および/または3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェート、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェート、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシドホスフェート;
ビス[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]アシドホスフェート、ビス[2-または3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アシドホスフェート等の2つ以上の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を有するアシドホスフェート;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-p-メトキシフェニルアシドホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基とフェニレン基などの芳香環やさらには酸素原子などのヘテロ原子を介して有するアシドホスフェートなどを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基を、チオリン酸基に置き換えた化合物も例示することができる。
これらのうち、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェートを好ましく使用することができる。
スルホン酸基あるいはスルホン酸基に容易に水中で変換し得る官能基を有する重合性単量体として、例えば2-スルホエチル(メタ)アクリレート、2-または1-スルホ-1-または2-プロピル(メタ)アクリレート、1-または3-スルホ-2-ブチル(メタ)アクリレート等のスルホアルキル(メタ)アクリレート;
3-ブロモ-2-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシ-1-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート等の前記のアルキル部にハロゲンや酸素などのヘテロ原子を含む原子団を有する化合物;
1,1-ジメチル-2-スルホエチル(メタ)アクリルアミド、2-メチル-2-(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸等の前記アクリレートに換えてアクリルアミドである化合物など;
さらには4-スチレンスルホン酸、4-(プロプ-1-エン-2-イル)ベンゼンスルホン酸などのビニルアリールスルホン酸などを挙げることができる。
これらのうち、4-スチレンスルホン酸を好ましく使用することができる。また、上記に示した(A1)成分は単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
(A)成分は酸性基の一部または全部を1価または多価の金属塩やアンモニウム塩などの塩に変えて使用することもできる。この場合、通常、他の酸性化合物と併用して接触した際に(A)成分が酸として働くようにすることが好ましい。
上記の(A)成分はすべて単独で、または組み合わせて使用することができる。
(A)成分のうちでは、水への溶解度が5%未満であるラジカル重合性単量体が好ましく使用できる。
(A)成分は、(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、1〜50重量部の範囲、好ましくは5〜40重量部の範囲、より好ましくは10〜30重量部の範囲で使用できる。
上限値を上回ると歯質の過剰な脱解により補綴物の接着強さが低下し、下限値を下回ると歯質脱解不足となり補綴物の接着強さが低下するためいずれも好ましくない。
本発明の(B)成分は分子内に酸性基を有しないラジカル重合性単量体である。
(B)成分としては、単官能、二官能及び、三官能以上の多官能(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、使用目的等に応じて適宜選択される。このような重合性単量体を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
単官能重合性単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート等の直鎖状または分枝状アルキル(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラハイドロフルフリル(メタ)アクリレート等の酸素原子などを含む複素環(メタ)アクリレート;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ) アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のさらに塩素などのハロゲンを有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ) アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の他端が水酸基のままかまたはエーテル化されているアルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
二官能重合性単量体としては、メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の直鎖状または分枝状のポリもしくはモノアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
三官能以上の多官能重合性単量体としては、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のようなトリメチロールアルカントリ( メタ) アクリレートなどの三官能重合性単量体;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のようなポリメチロールアルカンやそのエーテルのテトラ(メタ)アクリレートなどの四官能重合性単量体;
ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等のようなポリメチロールアルカンやそのエーテルのポリ(メタ)アクリレート
などの五官能以上の重合性単量体が挙げられる。
二官能以上の重合性単量体においては、例えば、トリエチレングリコールアクリレートメタクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレートジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートジメタクリレートのように、メタクリレート基とアクリレート基を1分子中に併せ持つ化合物も含まれる。また、上記に示した(B)成分は単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
特に本発明の(B)成分として、人体への刺激性が比較的低いメタアクリレートが特に好ましく使用される。
(B)成分は、(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、1〜50重量部の範囲、好ましくは5〜45重量部の範囲、より好ましくは10〜40重量部の範囲で使用できる。
上限値を上回ると粘度上昇により操作性が低下し、下限値を下回ると重合体の強度が低下し補綴物の接着強さが低下するためいずれも好ましくない。
本発明の(C)成分はアミノカルボン酸系キレート剤である。
(C)成分としては、エチレンジアミン-4酢酸、ヒドロキシエチルイミノ-2酢酸、ニトリロ-3酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン-3酢酸、ジエチレントリアミン-5酢酸、トリエチレンテトラミン-6酢酸などのアミノカルボン酸系キレート剤から選ばれる少なくとも1つのキレート剤などが挙げられる。
特に本発明の(C)成分として、水溶性で人体への刺激性が比較的低いエチレンジアミン-4酢酸やジエチレントリアミン-5酢酸が特に好ましく使用される。
(C)成分は、(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、0.01〜20重量部の範囲、好ましくは0.05〜15重量部の範囲、より好ましくは0.1〜20重量部の範囲で使用できる。
上限値を上回ると組成物の重合不足を招き、下限値を下回ると酵素阻害能が低下するためいずれも好ましくない。
本発明の(D)成分は重合開始剤である。かかる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤として公知の光重合開始剤や過酸化物などを挙げることができる。
かかる光重合開始剤は、その化合物単独で、または、他の化合物との共存下で光によって励起し、本発明の硬化性組成物を硬化せしめる役割を有する。
例えば、α−ケトカルボニル化合物、アシルホスフィンオキシド化合物などを挙げることができる。
α−ケトカルボニル化合物としては、例えば、α−ジケトン、α−ケトアルデヒド、α−ケトカルボン酸、α−ケトカルボン酸エステルなどを例示することができる。
さらに具体的には、ジアセチル、2,3-ペンタジオン、2,3-ヘキサジオン、ベンジル、4,4'-ジメトキシベンジル、4,4'-ジエトキシべンジル、4,4'-オキシベンジル、4,4'-ジクロルベンジル、4-ニトロベンジル、α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、カンファーキノンスルホン酸、カンファーキノンカルボン酸、1,2-シクロへキサンジオンなどのα−ジケトン;
メチルグリオキザール、フェニルグリオキザールなどのα−ケトアルデヒド:
ピルビン酸、ベンゾイルギ酸、フェニルピルビン酸、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、フェニルピルビン酸メチル、フェニルピルビン酸ブチルなどを挙げることができる。
これらのα−ケトカルボニル化合物のうちでは安定性などの面からα−ジケトンを使用することが好ましい。α−ジケトンのうちではジアセチル、ベンジル、カンフアーキノン(CQ)が好ましい。
アシルホスフィンオキシド化合物として、例えばベンゾイルジメトキシホスフィンオキシド、ベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2-メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどを挙げることができる。
これらの(D)成分は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
過酸化物としては、有機過酸化物や無機過酸化物を挙げることができる。
例えば、ジアセチルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p’−ジクロルベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメチルベンソイルペルオキシド、p,p’−ジニトロジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物;
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物を挙げることができる。
ラジカル重合開始剤として、さらに、有機ホウ素化合物、または、これを含有してなる組成物を挙げることが出来る。
有機ホウ素化合物として、例えば、トリエチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリブチルホウ素、トリ−sec−ブチルホウ素、トリイソブチルホウ素、トリペンチルホウ素、トリヘキシルホウ素、トリオクチルホウ素、トリデシルホウ素、トリドデシルホウ素、トリシクロペンチルホウ素、トリシクロヘキシルホウ素などのトリアルキルホウ素類;
ブトキシジブチルホウ素などのアルコキシアルキルホウ素類;ブチルジシクロヘキシルボラン、ジイソアミルボラン、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナンなどのジアルキルボランなどを挙げることができ、上記の化合物の一部が部分的に酸化されていてもよい。
さらに、これらの化合物は組み合わせて使用することができる。これらの中ではトリブチルホウ素、あるいは部分酸化したトリブチルホウ素が好ましく用いられる。
部分酸化したトリブチルホウ素は、例えば、トリブチルホウ素1モルに対してO2を0.3〜0.9モル付加させたものが好ましく用いられる。
また、有機ホウ素化合物の他に、非プロトン性溶媒および/または有機ホウ素化合物に不活性な液状もしくは固体状の有機オリゴマーまたはポリマーを含有する組成物を使用することができる。
(D)成分は、(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、0.01〜20重量部の範囲、好ましくは0.05〜15重量部の範囲、より好ましくは0.1〜20重量部の範囲で使用できる。
上限値を上回ると組成物の保存安定性が低下し、下限値を下回ると組成物の重合不足を招くためいずれも好ましくない。
本発明の(E)成分は水である。
(E)成分は本発明の組成物のpHを低下させる役割があり、この効果によって研削歯質に適用した場合には比較的短時間でスメア層中のハイドロキシアパタイトを溶解するために本発明の成分を歯質内に拡散しうる。また別の効果として(E)成分を速やかに組成物中に溶解させるとの利点もある。
ここで使用できる水としては、例えば蒸留水、イオン交換水、精製水または生理食塩水などが挙げられる。特に蒸留水、精製水およびイオン交換水が好ましく用いられる。また、電気分解によって調製される酸化還元水、例えば強酸性水、強アルカリ水などを使用することができる。
(E)成分は、(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、1〜60重量部の範囲、好ましくは10〜55重量部の範囲、より好ましくは20〜50重量部の範囲で使用できる。
上限値を上回ると組成物の重合不足を招き、下限値を下回ると歯質の脱解力が低下するためいずれも好ましくない。
本発明の(F)成分は、有機溶媒であり、前述の如く各成分を均一に溶解または分散させ、本発明の組成物の取扱を向上させるためのものである。
(F)成分は、通常、被着体たとえば歯質に塗布した際に短時間に揮発して残った成分が相分離を生じるように溶解または分散するに必要な量だけに止めることが好ましい。
ここで使用する溶媒は、(A)〜(E)成分を溶解でき、かつ、ある期間均一にまたは安定して分散または溶解しうる性質を有することが好ましい。ここで使用できる有機溶媒としては、37℃で30重量%以上の水を溶解できる有機溶媒が好ましく、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは水と任意の比率で混和および/または溶解しうる溶媒である。
このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;
ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;
N,N-ジメチルスルホキサイド(DMSO)などのスルホキサイド類;
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類などを挙げることができる。その他、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの高級アルコール類も使用できる。
ここでは、生体への安全性を考慮して、アルコール、アセトン、THFおよびDMSOなどが特に好ましい。
(F)成分は、(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、20〜60重量部の範囲、好ましくは25〜55重量部の範囲、より好ましくは30〜50重量部の範囲内の量で使用できる。
上限値を上回ると粘度の低下により操作性が低下し、下限値を下回ると組成物各成分の均一な溶解が困難となるためいずれも好ましくない。
本発明の(G)成分は還元剤である。
本発明の(G)成分としては、例えば(C)成分以外のアミン化合物が挙げられる。
(G)成分としては、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミンのいずれであってもよい。また、第一アミン、第二アミンおよび第三アミンのいずれでもよい。好ましくは、芳香族アミンであり、さらに好ましくは芳香族第三アミンを挙げることができる。他の(G)成分としては、例えば、トリエチルアミノアセチルベンゼンなどで代表される脂肪族アルキルアミノアセチルベンゼンおよび脂肪族アルキルアミノアシルベンゼン類;N-フェニルグリシン(NPG)、N−トリルグリシン(NTG)、N,N-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニルグリシン(NPG−GMA)およびこれらの塩などの芳香族置換グリシンを併用することができる。これらの化合物は単独で、または組み合わせて使用することができる。
本発明の(G)成分としては、さらに、有機スルフィン酸および/またはその塩、またはバルビツール酸またはその誘導体等の芳香族有機酸またはその塩である。
有機スルフィン酸またはその塩としては、スルフィン酸またはスルフィン酸の通常のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、アンモニウム塩が使用される。芳香族スルフィン酸塩を使用すると硬化物の色調が優れるので好ましい。
アルカリ金属塩の例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などを挙げることができる。アルカリ土類金属塩としてはマグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩などを挙げることができる。
アミン塩の例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アニリン、トルイジン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの第一アミンの塩;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、ジフェニルアミン、N-メチルトルイジンなどの第二アミン塩;
トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジ(β−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N-ジエチルアミン、N,N-ジメチルトルイジン、N,N-ジエチルトルイジン、N,N-(β−ヒドロキシエチル)トルイジンなどの第三アミンの塩を挙げることができる。
また、アンモニウム化合物の塩の例としては、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩などを挙げることができる。
上記有機スルフィン酸の例としては具体的には、エタンスルフィン酸、プロパンスルフィン酸、ヘキサンスルフィン酸、オクタンスルフィン酸、デカンスルフィン酸、ドデカンスルフィン酸などのアルカンスルフィン酸;
シクロヘキサンスルフィン酸、シクロオクタンスルフィン酸などの脂環族スルフィン酸;
ベンゼンスルフィン酸、o−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフィン酸などの芳香族スルフィン酸を挙げることができる。
また、有機スルフィン酸塩の例としては具体的には、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸マグネシウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸ストロンチウム、ベンゼンスルフィン酸バリウム、ベンゼンスルフィン酸ブチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸アニリン塩、ベンゼンスルフィン酸トルイジン塩、ベンゼンスルフィン酸フェニレンジアミン塩、ベンゼンスルフィン酸ジエチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸ジフェニルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸トリエチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸アンモニウム塩、ベンゼンスルフィン酸テトラメチルアンモニウム、ベンゼンスルフィン酸トリメチルベンジルアンモニウムを挙げることができる。
さらに、o−トルエンスルフィン酸リチウム、o−トルエンスルフィン酸ナトリウム、o−トルエンスルフィン酸カリウム、o−トルエンスルフィン酸カルシウム、o−トルエンスルフィン酸シクロヘキシルアミン塩、o−トルエンスルフィン酸アニリン塩、o−トルエンスルフィ酸アンモニウム塩、o−トルエンスルフィン酸テトラエチルアンモニウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸バリウム、p−トルエンスルフィン酸エチルアミン塩、p−トルエンスルフィン酸トルイジン塩、p−トルエンスルフィン酸N−メチルアニリン塩、p−トルエンスルフィン酸ピリジン塩、p−トルエンスルフィン酸アンモニウム塩、p−トルエンスルフィン酸テトラメチルアンモニウム、β−ナフタリンスルフィン酸ナトリウム、β−ナフタリンスルフィン酸ストロンチウム、β−ナフタリンスルフィン酸トリエチルアミン、β−ナフタリンスルフィン酸N−メチルトルイジン、β−ナフタリンスルフィン酸アンモニウム、β−ナフタリンスルフィン酸トリメチルベンジルアンモニウムなどを挙げることができる。
さらに、バルビツール酸誘導体の例としては1,3,5-トリメチルバルビツール酸、1,3,5-トリエチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-エチルバルビツール酸、1,5-ジメチルバルビツール酸、1-メチル-5-エチルバルビツール酸、1-メチル-5-プロピルバルビツール酸、5-エチルバルビツール酸、5-プロピルバルビツール酸、5-ブチルバルビツール酸、5-メチル-1-ブチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸またはこれらのアルカリ金属塩などであり、その濃度が歯科用接着剤全体に対して0.1〜10%であることが好ましい。
(G)成分は、本発明の組成物を長期にわたって安定に保存するために、それ単独で、または中性からアルカリ性を示す条件下で溶解または分散させることが好ましい。(G)成分は、使用する際の操作を簡便にするために本発明の組成物が使用する際に接触させるスポンジ球、スポンジ片などのスポンジや綿球、筆、ブラシ、ダッペンディッシュ、練和紙およびスパチュラなどのアプリケータに予め含有または付着させておくかまたは吸着させ、必然的に組成物と容易に混合できるようにしておくことができる。またこのようなアプリケータは、ディスポーザブルとして使用できるので歯科治療には感染対策として有効である。
これらのうち、N-フェニルグリシン(NPG)およびその塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)が好ましい。
還元剤を2種以上併用する場合は、通常同量で使用するが、必要に応じてその配合比を変えてもよい。例えば、還元剤を2種使用する場合は、一方の量の1/10〜10倍程度変えることができる。
(G)成分は、(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、0.005〜20重量部の範囲、好ましくは0.01〜15重量部の範囲、より好ましくは0.05〜10重量部の範囲で使用できる。
上限値を上回ると硬化物の変色などの問題が生じ、下限値を下回ると重合不足を招く可能性が生じるためいずれも好ましくない。
本発明の(H)成分は、充填材である。充填材としては、無機充填材および有機複合充填材から選択される少なくとも1種の充填材である。本発明に使用される充填剤の粒子形状としては、球状体であっても不定形体であってもよく、粒子径の大きさと共に適宜選択される。また、細孔を有した多孔質構造や中空構造を有する充填材であっても問題なく使用できる。
無機充填材は、種類としても公知のものが使用できる。例えば、周期律第I、II、III、IV族、遷移金属およびそれらの酸化物、水酸化物、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、オキソ酸塩、燐酸塩、珪酸塩およびこれらの混合物、複合塩等が挙げられる。より詳しくは、二酸化珪素、ストロンチウムガラス、ランタンガラス、バリウムガラス等のガラス粉末、石英粉末、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、バリウム塩、ガラスビーズ、ガラス繊維、フッ化バリウム、鉛塩、タルクを含有するガラスフィラー、コロイダルシリカ、シリカゲル、ジルコニウム酸化物、スズ酸化物、炭素繊維、ハイドロタルサイト化合物類、その他のセラミックス粉末等である。無機充填材はそのまま使用しても差し支えないが、(A)重合性単量体と無機充填材との間に親和性を高めてセメント中における無機充填材の配合量を向上させるためにも、もしくは性能の良い有機複合充填材を作製するために無機充填材を疎水化するのが好ましい。
疎水化のための表面処理剤としては、公知のものが使用でき、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシランシリルイソシアネ−ト、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジオクチルジクロロシラン等のジアルキルジクロロシラン、ヘキサメチレンジシラザン等のシランカップリング剤、または相当するジルコニウムカップリング剤、チタニウムカップリング剤等を挙げることができる。
(H)成分は、(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、0.1〜20重量部の範囲の量、好ましくは0.3〜15重量部の範囲の量、より好ましくは0.5〜10重量部の範囲の量で使用できる。
上限値を上回ると沈殿等が生じ組成物の均一性の保持が困難となり、下限値を下回ると歯質に塗布した際の製膜性が低下することがあるためいずれも好ましくない。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、フッ化ナトリウムなどのフッ素含有化合物、フッ素放出性フィラー、重合禁止剤、顔料、色素、ポリマー、フィラー、防カビ剤、抗菌剤、界面活性剤などを含有させることができ、通常、これらは本発明の組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲で使用される。
上記歯科用組成物には、重合性のモノマーと、重合開始剤とを含むため、全体を一体にしてしまうと、重合性モノマーの重合が進行してしまう。そこで、本発明では重合性モノマーを含む組成物と、重合性開始剤を含む組成物を別々の容器に別包して使用前に両者を混合するキットとして保管、輸送し、使用直前に両者を混合して使用することが望ましい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明の範囲がこれら実施例に限定されると解釈されるべきではない。
(MMP阻害効果の評価)
実験には、ヒト抜去大臼歯を用いた。抜去大臼歯の象牙質以外の組織を注水下でエアータービンを用いて完全に除去後、液体窒素にて凍結・粉砕し、篩にかけ、生体由来のMMPを含む、粒径150〜300μmの象牙質粉末を得た。
得られた象牙質パウダー500mg(粒径150〜300μm)を各実施例組成物0.7ml添加し、室温で60秒間錬和処理を行った。尚、組成物を添加しない未処理の象牙質パウダーを比較例1、キレート剤無添加の組成物を添加したものを比較例2として用いた。
処理後,各処理試料を20mlのアセトンで1度,20mlのイオン交換水で2度洗浄後,恒温室内で8時間乾燥させ各MMP活性測定試料を作製した。
それぞれの試料を96穴プレートに分注し、EnzChek Gelatinase/Collagenase Assay Kit(Molecular Probes, Eugene, Oregon)を用いて処理した後、蛍光プレートリーダー(CytoFluor 2350S,ミリポア)(波長:485〜515nm)にて24時間後のMMP活性値を測定した。
なお、各成分の略号は以下の通りである。
4−META:4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物
A−9300:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート
UDMA:ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン
MMA:メチルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート
GDMA:グリセリンジメタクリレート
CQ:カンファーキノン
DMABAE:N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
DTMPO:ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイン)ホスフィンオキシド
BHT:2,6―ジ―tert―ブチル―p―クレゾール
MEHQ:4−メトキシフェノール
IPA:イソプロピルアルコール
DTPA:ジメチレントリアミン―五酢酸
(実施例1)
下記の組成物を上記EnzChekを用いて処理した後、蛍光プレートリーダー(CytoFluor 2350S,ミリポア)(波長:485〜515nm)にて24時間後のMMP活性値を測定した。
4−META/A−9300/MMA/HEMA/精製水/アセトン/CQ/DTMPO/BHT/MEHQ/DTPA=13.0/14.0/3.6/1.0/24.0/42.0/0.3/0.1/0.07/0.01/2(wt%)
(実施例2)
下記の組成物を上記EnzChekを用いて処理した後、蛍光プレートリーダー(CytoFluor 2350S,ミリポア)(波長:485〜515nm)にて24時間後のMMP活性値を測定した。
4−META/UDMA/MMA/HEMA/TMPT/GDMA/超純水/アセトン/CQ/DTMPO/DMABAE/BHT/MEHQ/シリカ/IPA/DTPA=11.5/8.9/1.3/0.9/0.9/0.9/25.1/35.9/0.51/0.51/0.27/0.18/0.03/2.8/8.3/2(wt%)
(比較例1)
未処理象牙質粉末パウダー
(比較例2)
下記の組成物を上記EnzChekを用いて処理した後、蛍光プレートリーダー(CytoFluor 2350S,ミリポア)(波長:485〜515nm)にて24時間後のMMP活性値を測定した。
4−META/A−9300/MMA/HEMA/精製水/アセトン/CQ/DTMPO/BHT/MEHQ/DTPA=13.0/14.0/3.6/1.0/24.0/44.0/0.3/0.1/0.07/0.01(wt%)
下記の組成物を上記EnzChekを用いて処理した後、蛍光プレートリーダー(CytoFluor 2350S,ミリポア)(波長:485〜515nm)にて24時間後のMMP活性値を測定した。
<結果>
比較例1の未処理象牙質粉末のMMP活性値は565.5±49.6RFU10mg−1(24hr)であり、比較例2は1851.7±115.8RFU10mg−1(24hr)であったのに対して、実施例1は193.1±5.8RFU10mg−1(24hr)、実施例2は227.5±14.5RFU10mg−1(24hr)と低い値となり、MMPの阻害作用を有することが確認された。

Claims (8)

  1. (A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体と(C)アミノカルボン酸系キレート剤とを有することを特徴とする歯科用組成物。
  2. (A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体、
    (B)分子内に酸性基を有しないラジカル重合性単量体、
    (C)アミノカルボン酸系キレート剤、
    (D)重合開始剤、
    (E)水
    (F)有機溶媒からなり、
    (A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、(A)成分は1〜50重量部の範囲、(B)成分は1〜50重量部の範囲、(C)成分は0.01〜20重量部の範囲、(D)成分は0.01〜20重量部の範囲、(E)成分は1〜60重量部の範囲、(F)成分は20〜60重量部の範囲にあることを特徴とする歯科用組成物。
  3. 上記(C)成分がエチレンジアミン―4酢酸、ヒドロキシエチルイミノ―2酢酸、ニトリロ―3酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン―3酢酸、ジエチレンジアミン―5酢酸、および、トリエチレンテトラミン―6酢酸よりなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノカルボン酸系キレート剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の歯科用組成物。
  4. 上記歯科用組成物が、さらに(G)還元剤を、(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、0.005〜20重量部の範囲の量でさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の歯科用組成物。
  5. 上記歯科用組成物が、さらに、(H)充填材を(A)〜(F)成分の合計100重量部あたり、0.1〜20重量部の範囲の量で含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の歯科用組成物。
  6. 上記歯科用組成物が歯科用接着材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の歯科用組成物。
  7. 上記歯科用組成物が、歯科用コーティング材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の歯科用組成物。
  8. 上記請求項1〜5のいずれかに記載の歯科用組成物よりなる歯科用キット。
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