JP2015085354A - 溶接部の特性に優れる電縫鋼管の製造方法 - Google Patents

溶接部の特性に優れる電縫鋼管の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015085354A
JP2015085354A JP2013226100A JP2013226100A JP2015085354A JP 2015085354 A JP2015085354 A JP 2015085354A JP 2013226100 A JP2013226100 A JP 2013226100A JP 2013226100 A JP2013226100 A JP 2013226100A JP 2015085354 A JP2015085354 A JP 2015085354A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
welded
steel pipe
shield
welded portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013226100A
Other languages
English (en)
Inventor
岡部 能知
Takatoshi Okabe
能知 岡部
穣 松井
Minoru Matsui
穣 松井
飯塚 幸理
Yukinori Iizuka
幸理 飯塚
周一 佐藤
Shuichi Sato
周一 佐藤
昌利 荒谷
Masatoshi Araya
昌利 荒谷
俊介 豊田
Shunsuke Toyoda
俊介 豊田
聡太 後藤
Sota Goto
聡太 後藤
加藤 康
Yasushi Kato
康 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2013226100A priority Critical patent/JP2015085354A/ja
Publication of JP2015085354A publication Critical patent/JP2015085354A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

【課題】ガスシールドにより被溶接部の酸素濃度を十分に低減するとともに、ガスシールドの不具合を早期に検知し、オンラインで鋼管の不適合箇所を特定することによって、鋼管製品の溶接部の品質保証を確実に行うことができる電縫鋼管の製造方法を提供する。【解決手段】電縫溶接時の被溶接部に不活性ガスからなるシールドガスを上部から吹き付けてガスシールドするガスシールド工程と、電縫溶接機6と鋼管切断機8までの区間に配置したアレイ探触子を用いた超音波探傷装置2で溶接部を検査する検査工程と、を備えることを特徴とする電縫鋼管の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、電縫鋼管の製造方法に関し、特に、油井ラインパイプ向けや自動車用の部品などの、溶接部に高品質な機械的特性が要求される電縫鋼管の製造方法に関する。
通常、鋼管は溶接鋼管と継目無鋼管に大別される。溶接鋼管の内電縫鋼管の場合は、鋼板(帯材の意、以下同じ)を丸めて端部を突き合わせて溶接して製造される。また、継目無鋼管は、鋼素材を高温で穿孔してマンドレルミル等で圧延して製造される。一方、溶接鋼管の場合、一般に溶接部の特性は母材より劣ると云われ、鋼管の適用に当たって、用途ごとに溶接部の靭性や強度や伸びなどの保証が常に議論されて問題となってきた。
例えば、原油や天然ガスなどを輸送するラインパイプでは、鋼管を寒冷地に敷設することが多いため低温靭性が必要とされ、鋼管の強度が重要視される。
又、通常、鋼管の母材となる熱延鋼板は、鋼管製造後の母材特性を考慮して成分設計され、強度等の特性が確保される。
しかし、電縫鋼管の溶接部の特性は、母材の成分設計や熱処理等による以上に、電縫溶接方法によって大きく左右されるため、溶接技術の開発が重要であった。電縫溶接部の不良の原因としては、ペネトレータと呼ばれる酸化物主体の溶接欠陥が、電縫溶接時に被溶接部に生成して残留し、この残留したペネトレータを原因として靭性が低下したり強度不足になったりする例が多かった。ここで、被溶接部とは、帯材を丸めてなるオープン管である素管の周方向両端面を突き合わせた部位である素管エッジ突合せ部を言うものとする。
そこで、従来技術として電縫溶接不良の主原因であるペネトレータを溶接部から除くため、被溶接部へのガス吹き付けにより被溶接部の酸化を防止するガスシールド溶接方法および装置が数多く提案されてきた。
例えば、特許文献1には電縫管の溶接部シールド装置において被溶接部回りの密閉空間を最小容積として被溶接部回りの酸素濃度を短時間で下げる目的で、スクイズロールのロールスタンドに被溶接部回りの溶接装置と素管の局部のみを覆うシールドカバーを取着した旨記載されている。
又、特許文献2には、素管内に装入するインピーダケースに不活性ガスの液化ガス配管を配設して供給した液化ガスでインピーダコアを冷却した後当該液化ガスを溶接点に向けて噴出してガスシールドする旨記載されている。
又、特許文献3には、素管のエッジ部加熱起点から溶接点に至るまでの通管経路全域を、エッジ部加熱用誘導コイル、スクイズロール共々シールドボックスで覆い、該シールドボックス内へガス供給管にて所定流量でガスを供給する旨記載されている。
特開平08−300164号公報 特開平10−249547号公報 特開2011−206813号公報 特開2008−286640号公報
しかし、溶接点付近のみを外面側から(特許文献1)或いは内面側から(特許文献2)のガス吹き付けによりガスシールドする方法は、充分にシールドができずに溶接部に酸化物が残留する場合があった。
又、素管のエッジ部加熱起点から溶接点に至るまでの通管経路全域をシールドボックスで覆う方式(特許文献3)は、装置構造が複雑であり、組み付けに多大な時間を要する事や、管の寸法が変わるごとにシールドボックスの取替えや調整が必要であり、造管コスト面および能率面での不利が大きいという問題がある。
以上のように、従来技術では、造管コスト面さらには能率面の犠牲なしでは、電縫溶接時の被溶接部を確実にガスシールドして其処の酸素濃度を十分に低下させる事ができていないためペネトレータの生成を防止できないという課題があった。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意検討した結果、素管のエッジ部加熱起点から溶接点に至る通管範囲をシールドボックスで覆わずに、前記通管範囲内で素管の被溶接部直上から被溶接部にシールドガスを吹き付ける場合、被溶接部の上端からシールドガス吹付け用ノズルにおけるシールドガスの放出口までの高さであるノズル高さ、及び吹付けるシールドガスの流速を適正に制御する事により、被溶接部の酸素濃度を十分に低減できる事を見出し、電縫鋼管の素管被溶接部シールド装置を提案した(特願2013−61275)。
上記素管被溶接部シールド装置を用いることによって、電縫溶接が正常に行われた定常部では十分に高品質な溶接部特性が得られた。しかしながら、上記素管被溶接部シールド装置を採用した場合であっても、長時間の操業では稀にシールドガスの吹付けが正常に行われていないという問題が顕在化した。これは、長時間の操業によるノズルの詰まりや配管部からのガス漏れなどが原因となったものである。その結果、一部で溶接部の所望の機械的特性が得られない場合が存在することが判明した。
本発明の目的は、上述のようなガスシールドの不具合を早期に検知するとともに、オンラインで鋼管の不適合箇所を特定し、次工程以降で前記不適合箇所を除去することによって、鋼管製品の溶接部の品質保証を確実に行うことができる電縫鋼管の製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決する為に鋭意検討した。その結果、アレイ探触子を用いた超音波探傷装置によってガスシールド溶接された電縫鋼管の電縫溶接部をオンラインで非破壊検査することにより、ガスシールドが正常に行われたか否かを判定することで前記課題を解決できることを見出した。すなわち、シールドガスの吹き付けが正常に行われた電縫溶接部は、電縫溶接部に存在する酸化物が少ないために、アレイ探触子を用いた超音波探傷装置で非破壊検査した場合に所定のエコー高さ以下になるのに対し、シールドガスの吹き付けが正常に行われていなかった電縫溶接部は、上記の超音波探傷装置で非破壊検査した場合に所定のエコー高さを超えることを見出した。さらに、電縫溶接したのち切断するまでの区間に上記の超音波探傷装置で検査する検査工程を備えることにより、ガスシールドの吹きつけ状態をリアルタイムで常時監視することができ、確実に溶接部の品質を保証することができることを見出し、本発明を成した。
即ち本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 電縫鋼管の製造において、電縫溶接時の被溶接部に不活性ガスからなるシールドガスを上部から吹き付けてガスシールドするガスシールド工程と、電縫溶接機と鋼管切断機までの区間に配置したアレイ探触子を用いた超音波探傷装置で溶接部を検査する検査工程と、を備えることを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
(2) 前記ガスシールドは、前記被溶接部に対し該被溶接部上端から5〜300mm上方の位置にガス放出口を配位したシールドガス吹付け用ノズルの前記ガス放出口から放出される前記シールドガスを流速0.5〜50m/sで吹き付けることを特徴とする(1)に記載の電縫鋼管の製造方法。
(3) 前記ガス放出口の形状は、矩形であり通管方向成分である長さが30mm以上、素管エッジ突合せ方向成分である幅が5mm以上であることを特徴とする(1)〜(2)の何れかに記載の電縫鋼管の製造方法。
(4) 前記素管エッジ突合せ方向成分である幅Rは、前記ガス放出口の直下の被溶接部の端面間の最大間隔Wに対し、R/W>1.0、なる関係を満たすことを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の電縫鋼管の製造方法。
(5) 前記不活性ガスに代えて、還元性ガスを0.1質量%以上含有するガスとしたことを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の電縫鋼管の製造方法。
(6) 前記アレイ探触子を用いた前記超音波探傷装置は、管体の管軸方向の溶接部の溶接面に対して超音波を入射する送波部と、該溶接部で反射した反射波の一部又は全部を受渡する受波部とを有し、前記送波部及び前記受波部が、管体周方向に配置された一又は二以上の探傷用アレイ探触子上の異なる振動子群からなる送受信部を備えた超音波探傷装置であることを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載の電縫鋼管の製造方法。
(7) (1)〜(6)の何れかに記載の製造方法で製造された電縫鋼管。
本発明による電縫鋼管の製造方法は、電縫溶接時の被溶接部の酸素濃度を十分低いレベルに維持できるガスシールドと、前記ガスシールドの実施状況を常時監視することができる検査工程を備えているため、オンラインでの不適合箇所の特定が可能であり、鋼管製品の溶接部の品質保証を確実に行うことができる。
本発明の実施形態を示す概略図である。 本発明に係るガスシールド方法を示す概略図である。 ガス放出口でのシールドガスの流速と被溶接部(素管エッジ突合せ部)の酸素濃度の関係を示す線図である。 本発明に係る溶接部ガスシールド装置の1実施例を示す概略図である。 本発明に係るアレイUTの原理を従来UTと比較して示す説明図である。
図1は、本発明の実施形態を示す概略図であり、図2は、本発明に係るガスシールド方法を示す概略図である。通常、電縫鋼管の製造では、鋼帯からなる帯材をアンコイラー3で連続的に払出し、レベラー4で矯正し、通管方向10に送りつつ、ロール成形機5で帯材の幅を丸めて素管(オープン管)31となし、該丸めた幅の両端面を突合せてなる素管エッジ突合せ部である被溶接部32を電縫溶接機6(図示しないエッジ部加熱用給電手段と圧接用スクイズロールとで構成されている)により、電縫溶接して、電縫鋼管35を得る。33は素管エッジ部加熱起点、34は前記圧接により被溶接部32が接合する通管方向位置を指す溶接点である。尚、素管31乃至電縫鋼管35の管内面側にはインピーダ(図示省略)を配置する場合もある。電縫溶接機6を出た電縫鋼管35はビード切削機7で溶接ビードを切削された後、鋼管切断機8で所定の長さに切断される。
本発明では、素管エッジ部加熱起点33から溶接点34までの通管方向範囲の全域、或いは当該範囲内の、被溶接部に酸化物が生成し易い区域(この区域は予備調査により特定できる)をシールド範囲とし、該シールド範囲において、被溶接部32の直上の位置にシールドガス吹付け用ノズル(略してノズル)11を配置する。
ノズル11は、其のガス放出口11Aを被溶接部32上端と正対する様に配位して、配置される。
本発明者らはシールドガスの流れについて詳細に観察した。さらに、ガス放出口11Aの位置や寸法、ならびにガス放出口11Aでのシールドガスの流速などの、様々なシールドガスの吹付け条件が、電縫溶接時の被溶接部32の酸素濃度と、該被溶接部を電縫溶接してなる溶接部における酸化物の面積率とに及ぼす影響を詳細に調査した。
その結果、シールドガスの吹付け条件を適正にする事により、被溶接部の酸素濃度が0.01質量%以下になり、溶接部の酸化物面積率が0.1%以下になることを発見した。ここで、溶接部の酸化物面積率とは、次のとおり定義される。すなわち、電縫溶接部のシャルピー衝撃試験を行うことにより得られる破面を電子顕微鏡により倍率500倍以上で少なくとも10視野観察して、その破面内に観察される酸化物を含んだディンプル破面部分を選別して、その総面積を測定し、これの視野総面積に対する割合を酸化物面積率とした。
前記発見した好ましい適正条件は、被溶接部32上端からガス放出口11Aまでの高さであるノズル高さが5mm以上300mm以下(図2(b)参照)、且つ、ガス放出口11Aでのシールドガス15の流速(以下、ガス出口流速ともいう)が0.5m/s以上50m/s以下(図2(d)参照)である。
前記ノズル高さが300mmを超えるとシールドガスが充分に被溶接部32に届かず、被溶接部32の酸素濃度が0.01質量%以下にならない。前記ノズル高さは小さい方が望ましいのであるが、5mmを下回ると、加熱されている被溶接部32からの輻射熱でガス放出口11Aが傷み易く、更に被溶接部32で発生したスパッタが衝突してノズル11の耐久性が劣化する。
前記ガス出口流速が小さすぎると、シールドガス15は周囲に拡散し、被溶接部32のガスシールドが不十分となる(図2(c)参照)。前記ガス出口流速が大き過ぎると、シールドガス15の勢いが強くなりすぎ、被溶接部32の端面間への大気巻き込み16を生じてしまう(図2(e)参照)。ガス出口流速が適正流速(0.5〜50m/s)であると、被溶接部32の端面間にシールドガス15が過不足なく充満し、大気巻き込みも無く、充分なガスシールドが達成できる(図2(d)参照)。
因みに図3は、一例としてノズル高さ=50mmとし、出口ガス流速を種々変えて被溶接部32にシールドガス15を吹き付け、被溶接部32の端面間の中間位置で酸素濃度を測定した結果を示す線図であり、この例から分る様に、ガス出口流速=0.5〜50m/sとする事によって、酸素濃度0.01質量%以下が大きな余裕を持って(即ち確実に)クリアできる。
又、ガス放出口11Aの形状については、通管方向10成分である長さが30mm以上、素管エッジ突合せ方向成分である幅が5mm以上の矩形状にすると、被溶接部32へのガス吹付けをより均一にすることができて好ましい。
又、図2(b)に示す様に、ガス放出口11Aの素管エッジ突合せ方向である幅をRと記し、ガス放出口11Aの直下の被溶接部32の端面間の最大間隔をWと記すとして、R/W>1.0、を満たす様にすると、被溶接部32の酸素濃度をより速やかに低減させる事ができて好ましい。更に好ましくは1.5<R/W<25を満たす様にする。
シールドガスとしては不活性ガスを用いる。此処に云う不活性ガスとは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、ネオンガス、キセノンガス等、若しくはこれらの2種以上を混合してなる混合ガスなどを意味する。また、不活性ガスの純度は99.9%以上が好ましい。
更に、シールドガスとして、前記不活性ガスに代えて、還元性ガスを0.1質量%以上含有するガスとしてもよく、然も、むしろこの方が、ペネトレータの原因となる酸化物の生成を抑制する効果がより強くなり、溶接部の靭性又は強度を、より大きく向上させることができて好ましい。此処に云う還元性ガスとは、水素ガス、一酸化炭素ガス、メタンガス、プロパンガス等、若しくはこれらの2種以上を混合してなる混合ガスを意味する。尚、還元性ガスを0.1質量%以上含有するガスとしては、還元性ガスのみからなる組成、又は、還元性ガス:0.1質量%以上を含有し残部が不活性ガスからなる組成のものが好適である。
又、入手容易性及び廉価性の点からは、シールドガスとして次のガスを用いる事が好ましい。
(イ) 不活性ガス単独使用の場合:(A) 窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスの何れか1種若しくはこれら2種以上の混合ガス。特に好ましい不活性ガスの組み合わせは(窒素ガス+アルゴンガス)である。
(ロ) 還元性ガス単独使用の場合:(B) 水素ガス、一酸化炭素ガスの何れか1種若しくはこれら2種の混合ガス。
(ハ) 不活性ガスと還元性ガスの混合ガス使用の場合:前記(A)と(B)の混合ガス。特に好ましい混合ガスの組み合わせは(窒素ガス+水素ガス)である。
尚、特に、水素ガス及び/又は一酸化炭素ガスを含むガスを使用する場合、遺漏無き安全対策をとるべきことは云うまでも無い。
次に、アレイ探触子を用いた超音波探傷法(以下、アレイUTと言う)について説明する。
一般に、溶接部の欠陥を検出する非破壊検査として、超音波斜角探傷による溶接部のオンライン探傷が行われている。この方法は、被検材の検査面に対して斜めに超音波を入射させ、欠陥で反射した反射波から被検材の内外表面欠陥および内部欠陥を検出するものである。例えば、電縫鋼管では通常5MHzで45°の屈折角をもつ超音波ビームによる反射法が通用され、1mm以上の大きさの欠陥、例えば溶け込み不良、溶け落ち、介在物による割れなどの欠陥が検出されている。しかしながら、この超音波斜角探傷法(以下、従来UTという場合もある)による検査では、数100μm程度以下の微小な溶接欠陥を検出することは困難である。これに対し、本発明者らが特許文献4で提案したアレイ探触子を用いた超音波探傷法(アレイUT)によれば、数10μm〜数100μm程度の微小な溶接欠陥を検出することが可能である。
そこで、ガスシールド溶接部よりも下流側で、上述のアレイUTによって溶接部をオンラインで検査する。前述のように、アレイUTによれば、数10μm〜数100μm程度の微小な溶接欠陥を検出することが可能である。図5は、アレイUTの原理を従来UTと比較して示す説明図であり、このようなアレイUTを用いることで、従来UTで検出可能な欠陥サイズがφ0.5mm〜1.0mm程度であるのに比べ、格段に微細な、例えばφ250μm以下の溶接欠陥を検出できる。
図5に例示したアレイUTは、好適な形態として、電縫鋼管35の管軸方向溶接部の溶接面に対して超音波を入射する送波部22と、溶接部(溶接シーム)24で反射した反射波の一部又は全部を受波する受波部23とを有し、前記送波部22及び受波部23が、管体周方向に配置された一又は二以上の探傷用アレイ探触子21上の異なる振動子群からなる送受信部を備えた超音波探傷装置で管体を探傷することである。なお、より好適な形態のアレイUTとしては、本発明者らが特許文献4で提案した、管体の管軸方向溶接部の溶接面に対して超音波を入射する送波部と、溶接部で反射した反射波の一部又は全部を受波する受波部とを有し、前記送波部及び受波部が、管体周方向に配置された一又は二以上の探傷用アレイ探触子上の異なる振動子群からなる送受信部と、管体の肉厚分布を測定するための肉厚測定用探触子と、該肉厚測定用探触子で測定した肉厚分布に基づいて、前記探傷用アレイ探触子を用いて、管体の厚さ方向に走査するための超音波の伝播経路を算出する伝播経路算出手段と、算出された伝播経路に基づいて、前記探傷用アレイ探触子上で前記送波部及び受波部に対応する振動子群を変更する、又は、前記探傷用アレイ探触子の角度を変更するように制御して、管体の厚さ方向に走査する制御を行なう制御部と、を備えた装置を用いて探傷することである。
上述のより好適な形態のアレイUTによれば、内面に増肉部分が発生している電縫鋼管などの溶接部の肉厚内部に位置する数100μm程度以下の微小な欠陥を、内面から外面まで漏れなく検出できるようになるため、溶接鋼管の溶接部の機械的特性に影響を及ぼす微小欠陥が発生しないように溶接プロセスを改善することや、欠陥を有する溶接鋼管が流出しないように製造工程で選別できるようになり、溶接鋼管の品質を飛躍的に高めることができ、従来以上に過酷な使用条件で溶接鋼管を使用できるようになる。
なお、さらにより一層好ましくは、送波用の振動子群および受渡用の振動子群の振動子数を、ビーム幅が所望の値に対して予め設定した範囲内となるように設定する。このようにすると、前記溶接部から近い側ほど同時励振の際の開口幅が狭くなるため、焦点距離が短くてもビーム幅が狭くなりすぎることがなく、さらに、前記溶接部から遠い側ほど同時励振の際の開口幅は広くなるため、焦点距離が長くても集束係数を高めることができ検出能の劣化が生じない。したがって、各振動子群からの集束特性を一定に揃えることができるため、溶接部内部の内面側から外面側まで均一の検出感度で探傷が可能となる。
鋼帯からなる帯材を、アンコイラー、レベラー、ロール成形機、電縫溶接機、サイザーをこの順に配置して構成された造管設備に通して、外径600mm、肉厚20.6mmの低炭素低合金鋼の電縫鋼管を製造する工程において、電縫溶接時に被溶接部へのガスシールドを実行するにあたり、図4に示した本発明に係る電縫鋼管の溶接部ガスシールド装置を用いて、上述した実施形態の本発明範囲の内又は外でガス吹付け条件の水準を表1に示すとおり種々変えて実行し、被溶接部の酸素濃度の測定、及び溶接部の酸化物面積率の測定を行った。尚、開先形状は、ストレート形状とした。その結果を表1に示す。
表1に示されるとおり、本発明例では、比較例と比べて被溶接部の酸素濃度が桁違いに低減し、溶接部の酸化物面積率が格段に低減した。
また、上記実施例の電縫鋼管製造工程において、本発明者らが特許文献4で提案したアレイ探触子を用いた超音波探傷装置を図1に示すように配置して電縫溶接部を監視した結果、ガスシールドの不適合箇所を特定するという機能を十分に達成することができた。
Figure 2015085354
1 ガスシールド装置
2 アレイUT装置
3 アンコイラー
4 レベラー
5 ロール成形機
6 電縫溶接機
7 ビード切削機
8 鋼管切断機
10 通管方向
11 ノズル(シールドガス吹付け用ノズル)
11A ガス放出口
12 ガス配管
13 ガス流調整器
15 シールドガス
16 大気巻き込み
21 アレイ探触子
22 送波部
23 受波部
24 溶接シーム
31 素管(オープン管)
32 被溶接部(素管エッジ突合せ部)
33 素管エッジ部加熱起点
34 溶接点
35 電縫鋼管

Claims (7)

  1. 電縫鋼管の製造において、電縫溶接時の被溶接部に不活性ガスからなるシールドガスを上部から吹き付けてガスシールドするガスシールド工程と、電縫溶接機と鋼管切断機までの区間に配置したアレイ探触子を用いた超音波探傷装置で溶接部を検査する検査工程と、を備えることを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
  2. 前記ガスシールドは、前記被溶接部に対し該被溶接部上端から5〜300mm上方の位置にガス放出口を配位したシールドガス吹付け用ノズルの前記ガス放出口から放出される前記シールドガスを流速0.5〜50m/sで吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の電縫鋼管の製造方法。
  3. 前記ガス放出口の形状は、矩形であり通管方向成分である長さが30mm以上、素管エッジ突合せ方向成分である幅が5mm以上であることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の電縫鋼管の製造方法。
  4. 前記素管エッジ突合せ方向成分である幅Rは、前記ガス放出口の直下の被溶接部の端面間の最大間隔Wに対し、R/W>1.0、なる関係を満たすことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電縫鋼管の製造方法。
  5. 前記不活性ガスに代えて、還元性ガスを0.1質量%以上含有するガスとしたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電縫鋼管の製造方法。
  6. 前記アレイ探触子を用いた前記超音波探傷装置は、管体の管軸方向の溶接部の溶接面に対して超音波を入射する送波部と、該溶接部で反射した反射波の一部又は全部を受渡する受波部とを有し、前記送波部及び前記受波部が、管体周方向に配置された一又は二以上の探傷用アレイ接触子上の異なる振動子群からなる送受信部を備えた超音波探傷装置であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の電縫鋼管の製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の製造方法で製造された電縫鋼管
JP2013226100A 2013-10-31 2013-10-31 溶接部の特性に優れる電縫鋼管の製造方法 Pending JP2015085354A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013226100A JP2015085354A (ja) 2013-10-31 2013-10-31 溶接部の特性に優れる電縫鋼管の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013226100A JP2015085354A (ja) 2013-10-31 2013-10-31 溶接部の特性に優れる電縫鋼管の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015085354A true JP2015085354A (ja) 2015-05-07

Family

ID=53048739

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013226100A Pending JP2015085354A (ja) 2013-10-31 2013-10-31 溶接部の特性に優れる電縫鋼管の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015085354A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109689239A (zh) * 2016-09-12 2019-04-26 杰富意钢铁株式会社 电阻焊包层钢管及其制造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63242475A (ja) * 1987-03-30 1988-10-07 Sumitomo Metal Ind Ltd 電縫管の製造装置
JPH10153581A (ja) * 1996-11-22 1998-06-09 Nippon Metal Ind Co Ltd 高周波溶接鋼管の検査方法及びその製造装置
JPH10170228A (ja) * 1996-12-13 1998-06-26 Sumitomo Metal Ind Ltd 電縫管シーム部検出装置及び方法
JP2006026691A (ja) * 2004-07-16 2006-02-02 Nippon Steel Corp 溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法
WO2008108450A1 (ja) * 2007-03-02 2008-09-12 Nippon Steel Corporation 電縫鋼管の製造方法および高Siまたは高Cr含有電縫鋼管
JP2012018153A (ja) * 2009-12-01 2012-01-26 Jfe Steel Corp 高炭素電縫鋼管及びその製造方法
JP2012236214A (ja) * 2011-05-12 2012-12-06 Jfe Steel Corp 電縫鋼管の溶接欠陥の検出システム及び電縫鋼管

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63242475A (ja) * 1987-03-30 1988-10-07 Sumitomo Metal Ind Ltd 電縫管の製造装置
JPH10153581A (ja) * 1996-11-22 1998-06-09 Nippon Metal Ind Co Ltd 高周波溶接鋼管の検査方法及びその製造装置
JPH10170228A (ja) * 1996-12-13 1998-06-26 Sumitomo Metal Ind Ltd 電縫管シーム部検出装置及び方法
JP2006026691A (ja) * 2004-07-16 2006-02-02 Nippon Steel Corp 溶接部品質の優れた電縫鋼管の製造方法
WO2008108450A1 (ja) * 2007-03-02 2008-09-12 Nippon Steel Corporation 電縫鋼管の製造方法および高Siまたは高Cr含有電縫鋼管
JP2012018153A (ja) * 2009-12-01 2012-01-26 Jfe Steel Corp 高炭素電縫鋼管及びその製造方法
JP2012236214A (ja) * 2011-05-12 2012-12-06 Jfe Steel Corp 電縫鋼管の溶接欠陥の検出システム及び電縫鋼管

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109689239A (zh) * 2016-09-12 2019-04-26 杰富意钢铁株式会社 电阻焊包层钢管及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107405720B (zh) 电阻焊不锈钢复合钢管及其制造方法
JP5909873B2 (ja) 溶接欠陥検出システム及び電縫鋼管の製造方法並びに溶接製品の製造方法
JP2015085354A (ja) 溶接部の特性に優れる電縫鋼管の製造方法
JP2905157B2 (ja) 高周波溶接鋼管の検査方法及びその製造装置
JP6015883B1 (ja) 電縫溶接管の製造状況監視方法、電縫溶接管の製造状況監視装置、及び電縫溶接管の製造方法
JP5909874B2 (ja) 電縫鋼管の溶接欠陥の検出システム及び電縫鋼管の製造方法
JP6060816B2 (ja) 電縫鋼管の溶接部シールドシステム
JP4935703B2 (ja) 溶接部の靭性が良好な電縫鋼管の製造方法
WO2011089319A1 (en) Method and apparatus for detecting defects in a welding joint
JP2541078B2 (ja) 電縫管の欠陥弁別方法
JP2001047232A (ja) 片面突合せ溶接用開先形状及びその溶接部の検査方法
JP5909870B2 (ja) 溶接欠陥検出方法及び電縫鋼管の製造方法並びに溶接製品の製造方法
CN105067702B (zh) 一种封堵三通焊缝超声相控阵无损检测方法
JP2015120195A (ja) 電縫鋼管の素管被溶接部シールド装置および素管被溶接部シールド方法、ならびにそれを用いた電縫鋼管の製造方法、その方法で製造した電縫鋼管
JP2017154150A (ja) 電縫溶接クラッド鋼管の製造方法
JP2682390B2 (ja) 溶接部の超音波探傷装置
JP2014004624A (ja) 電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法及び電縫鋼管の製造方法
Hong et al. Improvement of resistance to hydrogen induced cracking in electric resistance welded pipes fabricated with slit coils
JP5797375B2 (ja) 電縫鋼管の製造方法
JPS60205356A (ja) 鋼管溶接部の超音波探傷方法
JP2008026061A (ja) 小口径配管の検査方法
JP2022169938A (ja) 鋼管の衝合部評価方法
JPH0552820A (ja) 電縫鋼管の欠陥弁別方法
Pashkov et al. Stability of the mechanical properties of welds along pipes butt-joined by resistance welding with the use of high-frequency current
JPH04178556A (ja) 電縫管の超音波探傷装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150525

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160310

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160405

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161011