JP2014004624A - 電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法及び電縫鋼管の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被溶接部11に対し該被溶接部上端から5〜300mm上方の位置にガス放出口1Aを配位したシールドガス吹付け用ノズル1の前記ガス放出口からシールドガス5を流速0.5〜50m/sで吹付けることにより、電縫溶接時の被溶接部の酸素濃度を十分低いレベルに維持でき、電縫鋼管の溶接部特性を向上させるる。
【選択図】図1
Description
又、通常、鋼管の母材となる熱延鋼板は、鋼管製造後の母材特性を考慮して成分設計され、強度等の特性が確保される。
しかし、溶接部の特性は、母材の成分設計や熱処理等による以上に、電縫溶接方法によって大きく左右されるため、溶接技術の開発が重要であった。電縫溶接不良の原因としては、ペネトレータと呼ばれる酸化物主体の溶接欠陥が、電縫溶接時に被溶接部(詳しくは、帯材を丸めてなるオープン管である素管の周方向両端面を突き合わせた部位である素管エッジ突合せ部)に生成して残留し、この残留したペネトレータを原因として靭性が低下したり強度不足になったりする例が多かった。
例えば、特許文献1には電縫管の溶接部シールド装置において被溶接部回りの密閉空間を最小容積として被溶接部回りの酸素濃度を短時間で下げる目的で、スクイズロールのロールスタンドに被溶接部回りの溶接装置と素管の局部のみを覆うシールドカバーを取着した旨記載されている。
又、特許文献3には、溶接(圧接)時に被溶接部をガスシールドして酸素濃度を低くし酸化物の発生量を低減し、且つ高周波加熱中の被溶接部位にレーザービーム又はプラズマアークを照射する事で溶接欠陥の発生を防止する旨記載されている。
又、特許文献5にはロール成形途中または電縫溶接直前で帯材の幅端部の形状を適切な開先形状とすることで、電縫溶接時に十分な溶鋼排出を達成し、ペネトレータを確実に取り除く旨記載されている。
又、溶接点にプラズマアーク等を照射する方法(特許文献3)は、ガスシールド装置に加えて別途プラズマアーク等の照射装置が必要となり、造管コスト面での不利を招く。
又、電縫溶接突合せ部の開先形状を適切な形状にして溶接時に溶鋼の排出を促進し、ペネトレータを取り除く方法(特許文献5)は、開先により酸化物を確実に排除できる優れた技術であるが、板厚が薄くなればなるほど、開先量は少なくなるために、精度よく左右対称に開先を取ることが困難になる。その場合、左右の突合せ形状が対称でなくなり、突合せ形状がばらついて、溶接部の温度分布がばらつき、溶接部の機械的特性が変動するという問題がある。
(1) 電縫溶接時の被溶接部を不活性ガスからなるシールドガスでガスシールドする電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法であって、前記被溶接部に対し該被溶接部上端から5〜300mm上方の位置にガス放出口を配位したシールドガス吹付け用ノズルの前記ガス放出口から前記シールドガスを流速0.5〜50m/sで吹付けることを特徴とする電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法。
(2) 前記ガス放出口の形状は、寸法の通管方向成分である長さが30mm以上、寸法の素管エッジ突合せ方向成分である幅が5mm以上の矩形状であることを特徴とする(1)に記載の電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法。
(3) 前記ガス放出口の寸法の素管エッジ突合せ方向成分である幅Rは、前記ガス放出口の直下の被溶接部の端面間の最大間隔Wに対し、R/W>1.0、なる関係を満たすことを特徴とする(1)又は(2)に記載の電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法。
(4) 前記不活性ガスに代えて、還元性ガスを0.1質量%以上含有するガスとしたことを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の電縫鋼管の被溶接部シールド方法。
(5) 被溶接部をガスシールドしつつ電縫溶接する電縫鋼管の製造方法において、前記ガスシールドは、(1)〜(4)の何れかに記載の電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法により行うことを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
(6) (5)に記載の電縫鋼管の製造方法において、ロール成形途中または電縫溶接直前で、帯材の幅端部の上表面側および下表面側にそれぞれテーパ形状を付与するに際して、前記テーパ形状は、帯材の幅端面から上表面または下表面に向けての傾斜角度が25〜50°であり、帯材の幅端面におけるテーパ開始位置と上表面あるいは下表面との帯材板厚方向の距離が帯材板厚の
20〜40%であることを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
ノズル1は、其のガス放出口1Aを被溶接部11上端と正対する様に配位して、配置される。
本発明者らはシールドガスの流れについて詳細に観察した。さらに、ガス放出口1Aの位置や寸法、ならびにガス放出口1Aでのシールドガスの流速などの、様々なシールドガスの吹付け条件が、電縫溶接時の被溶接部11の酸素濃度と、該被溶接部を電縫溶接してなる溶接部における酸化物の面積率とに及ぼす影響を詳細に調査した。
前記ノズル高さが300mmを超えるとシールドガスが充分に被溶接部11に届かず、被溶接部11の酸素濃度が100ppm以下にならない。前記ノズル高さは小さい方が望ましいのであるが、5mmを下回ると、加熱されている被溶接部11からの輻射熱でガス放出口1Aが傷み易く、更に被溶接部11で発生したスパッタが衝突してノズル1の耐久性が劣化する。
又、図1(b)に示す様に、ガス放出口1Aの寸法の素管エッジ突合せ方向成分である幅をRと記し、ガス放出口1Aの直下の被溶接部11の端面間の最大間隔をWと記すとして、R/W>1.0、を満たす様にすると、被溶接部11の酸素濃度をより速やかに低減させる事ができて好ましい。
更に、シールドガスとして、前記不活性ガスに代えて、還元性ガスを0.1質量%以上含有するガスとしてもよく、然も、むしろこの方が、ペネトレータの原因となる酸化物の生成を抑制する効果がより強くなり、溶接部の靭性又は強度を、より大きく向上させることができて好ましい。此処に云う還元性ガスとは、水素ガス、一酸化炭素ガス、メタンガス、プロパンガス等、若しくはこれらの2種以上を混合してなる混合ガスを意味する。 尚、還元性ガスを0.1質量%以上含有するガスとしては、還元性ガスのみからなる組成、又は、還元性ガス:0.1質量%以上を含有し残部が不活性ガスからなる組成のものが好適である。
(イ) 不活性ガス単独使用の場合:(A) 窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスの何れか1種若しくはこれら2種以上の混合ガス
(ロ) 還元性ガス単独使用の場合:(B) 水素ガス、一酸化炭素ガスの何れか1種若しくはこれら2種の混合ガス
(ハ) 不活性ガスと還元性ガスの混合ガス使用の場合:前記(A)と(B)の混合ガス
尚、特に、水素ガス及び/又は一酸化炭素ガスを含むガスを使用する場合、遺漏無き安全対策をとるべきことは云うまでも無い。
表2に示されるとおり、本発明例において、開先形状を前記好適範囲のテーパ形状(θ=25〜50°、x/t*100=20〜40%)とした例では、同じガスシールド条件下で開先形状を前記好適範囲外とした例と比べて溶接部の酸化物面積率はより大幅に低減した。
1A ガス放出口
2 ガス配管
5 シールドガス
6 大気巻き込み
10 素管(オープン管)
11 被溶接部(素管エッジ突合せ部)
12 素管エッジ部加熱起点
13 溶接点
15 電縫鋼管
20 通管方向
Claims (6)
- 電縫溶接時の被溶接部を不活性ガスからなるシールドガスでガスシールドする電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法であって、前記被溶接部に対し該被溶接部上端から5〜300mm上方の位置にガス放出口を配位したシールドガス吹付け用ノズルの前記ガス放出口から前記シールドガスを流速0.5〜50m/sで吹付けることを特徴とする電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法。
- 前記ガス放出口の形状は、寸法の通管方向成分である長さが30mm以上、寸法の素管エッジ突合せ方向成分である幅が5mm以上の矩形状であることを特徴とする請求項1に記載の電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法。
- 前記ガス放出口の寸法の素管エッジ突合せ方向成分である幅Rは、前記ガス放出口の直下の被溶接部の端面間の最大間隔Wに対し、R/W>1.0、なる関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法。
- 前記不活性ガスに代えて、還元性ガスを0.1質量%以上含有するガスとしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電縫鋼管の被溶接部シールド方法。
- 被溶接部をガスシールドしつつ電縫溶接する電縫鋼管の製造方法において、前記ガスシールドは、請求項1〜4の何れかに記載の電縫鋼管の素管被溶接部シールド方法により行うことを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
- 請求項5に記載の電縫鋼管の製造方法において、ロール成形途中または電縫溶接直前で、帯材の幅端部の上表面側および下表面側にそれぞれテーパ形状を付与するに際して、前記テーパ形状は、帯材の幅端面から上表面または下表面に向けての傾斜角度が25〜50°であり、帯材の幅端面におけるテーパ開始位置と上表面あるいは下表面との帯材板厚方向の距離が帯材板厚の20〜40%であることを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
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JP2017154150A (ja) * | 2016-03-01 | 2017-09-07 | Jfeスチール株式会社 | 電縫溶接クラッド鋼管の製造方法 |
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