JP2015081671A - 更生管の分岐方法及び分岐部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的容易に分岐可能でありながら、主管と更生管との間への漏水や、頚部が穿孔したりクラックが発生した場合の漏水を防止できる更生管の分岐方法を提供する。【解決手段】主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐方法であって、更生管穿孔工程と、ゴム輪装着工程と、スリーブ挿入工程と、ゴム輪圧縮工程と、拡径工程と、圧力開放工程と、を有することとした。【選択図】図11

Description

本発明は、分岐管の内部における更生管の分岐方法及び分岐部構造に関する。
従来、水や燃油などの液状流体を移送するための手段として、複数の配管を連設して構成した配管設備が広く用いられている。
このような配管設備の例としては、例えば、地中に水道管を埋設して構成される水道設備が挙げられる。
水道設備に使用される水道管は、最初の施工時に地中に埋設された後、長年に亘りそのままの状態で水を流通させ続けるため、管の内周面が徐々に経年劣化する。
老朽化した配管設備の配管は漏水などのおそれが高くなるため何らかの手当が必要となるが、配管自体を新規のものに取り替えるとなると多額の費用を要してしまう。また、新規配管への取り替え工事は工期が長く、水道のように生活の基盤となる設備が長期に亘り機能を停止することは好ましくない。
そこで、配管自体はそのままに、硬化性を有する樹脂等を塗着させた可撓性の管(以下、更生管ともいう。)を配管の内周面に貼着して硬化させ、老朽化した配管の内周面を補強する修繕が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
このような修繕方法によれば、比較的少ない工費と工期で配管の機能維持を図ることができる。
特開2011−042164号公報
ところで、水道管に拘わらず、配管設備に使用される配管には、主管を流れる液状流体の一部を分取するために枝管が形成されている場合がある。
このような配管の分岐部には、内部流路をT字状としつつ一体的に形成した所謂T字管の如き分岐管が用いられている。
分岐管の内部も長年の使用で経年劣化するのであるが、上述の修繕方法で主管の内周面を補強すると、更生管によって主管から枝管への接続開口部分が閉塞されてしまうこととなる。
勿論、枝管の流路側からドリル等を挿入して更生管の表面を穿孔すれば、主管(更生管)内を流れる液状流体を枝管側に導くことは可能となるが、更生管は必ずしも主管の管壁全周に亘って密着しているとは限らないため、主管と更生管との間への水漏れを防ぐ必要がある。
しかしながら、この部分の水漏れを防止しつつ更生管の分岐を行うのは困難であった。
また、分岐管の枝管の付け根部分(以下、枝管の頚部とも称する。)が地震等によって穿孔したりクラックが発生した場合であっても、漏水を防止したいという要望があった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、比較的容易に分岐可能でありながら、主管と更生管との間への漏水や、頚部が穿孔したりクラックが発生した場合の漏水を防止できる更生管の分岐方法及び分岐部構造を提供する。
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る更生管の分岐方法では、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐方法であって、前記枝管よりドリル刃を挿入して前記更生管を穿孔する更生管穿孔工程と、前記更生管に形成された穿孔部に円筒状のゴム輪を装着し、同ゴム輪の下端を前記更生管内部に露出させた状態とするゴム輪装着工程と、前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着される外装スリーブと、前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧可能な鍔部を備え前記ゴム輪の筒状内部に装着される内装スリーブと、を挿入するスリーブ挿入工程と、前記内装スリーブに押圧力を付与し前記鍔部を介して前記更生管との間で前記ゴム輪を圧縮することにより、前記内装スリーブの下端を前記ゴム輪の下端から前記更生管内部に露出させると共に、同ゴム輪の周壁を前記外装スリーブの内周面に密着させつつ前記更生管の外表面にて肉盛状に変形させるゴム輪圧縮工程と、前記更生管内部に露出させたゴム輪の一部を巻き込みつつ前記内装スリーブの下端を外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止めする拡径工程と、前記押圧力を開放し前記更生管に分岐部を形成する圧力開放工程と、を有することとした。
また、本発明に係る更生管の分岐部構造では、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管内に配設された更生管の前記枝管側への分岐部構造であって、前記更生管に穿設された穿孔部と、前記穿孔部に装着され下端を前記更生管の内部に進入させた円筒状のゴム輪と、前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着された外装スリーブと、前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧する鍔部を有し前記ゴム輪の筒状内部に装着された内装スリーブと、を備え、同内装スリーブの下端は前記更生管の内部に進入させたゴム輪の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止めすると共に、前記ゴム輪は前記内装スリーブの鍔部と前記カシメ止めとの間で圧縮状態で保持されており、前記カシメ止めによって形成された前記ゴム輪による更生管内肉盛部と前記ゴム輪の圧縮により形成された更生管外肉盛部とで前記更生管の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部と、外装スリーブと内装スリーブとの間で両者にゴム輪を密着させてなるスリーブ間止水部とが形成されていることとした。
また、本発明に係る更生管の分岐部構造では、前記外装スリーブの上端には、前記枝管の開口端部に形成された枝管側フランジに当接する鍔状係止部が備えられていることにも特徴を有する。
また、本発明に係る更生管の分岐部構造では、前記ゴム輪の圧縮に伴う変形により、前記外装スリーブの下部を前記枝管の頚部内壁に沿って拡開させたことにも特徴を有する。
また、本発明に係る更生管の分岐部構造では、前記枝管には、同枝管の開口端部に形成された枝管側フランジに、前記枝管に接続される連結部材に備えられた連結部材側フランジが連結されており、前記内装スリーブは、前記枝管側フランジの端面より突出する突出部を備え、前記枝管側フランジと前記連結部材側フランジとの間には、前記内装スリーブの外径よりも大きく前記枝管の内径よりも小さな径の孔部を備えた離脱防止プレートが介設されると共に、前記突出部の前記離脱防止プレートよりも上方位置には、前記離脱防止プレートの孔部の径よりも大きな外径に形成してなる離脱係止部が設けられていることにも特徴を有する。
請求項1に係る更生管の分岐方法によれば、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐方法であって、前記枝管よりドリル刃を挿入して前記更生管を穿孔する更生管穿孔工程と、前記更生管に形成された穿孔部に円筒状のゴム輪を装着し、同ゴム輪の下端を前記更生管内部に露出させた状態とするゴム輪装着工程と、前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着される外装スリーブと、前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧可能な鍔部を備え前記ゴム輪の筒状内部に装着される内装スリーブと、を挿入するスリーブ挿入工程と、前記内装スリーブに押圧力を付与し前記鍔部を介して前記更生管との間で前記ゴム輪を圧縮することにより、前記内装スリーブの下端を前記ゴム輪の下端から前記更生管内部に露出させると共に、同ゴム輪の周壁を前記外装スリーブの内周面に密着させつつ前記更生管の外表面にて肉盛状に変形させるゴム輪圧縮工程と、前記更生管内部に露出させたゴム輪の一部を巻き込みつつ前記内装スリーブの下端を外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止めする拡径工程と、前記押圧力を開放し前記更生管に分岐部を形成する圧力開放工程と、を有することとしたため、比較的容易に分岐可能でありながら、主管と更生管との間への漏水や、頚部が穿孔したりクラックが発生した場合の漏水を防止できる更生管の分岐方法を提供することができる。
また、請求項2に係る更生管の分岐部構造によれば、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管内に配設された更生管の前記枝管側への分岐部構造であって、前記更生管に穿設された穿孔部と、前記穿孔部に装着され下端を前記更生管の内部に進入させた円筒状のゴム輪と、前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着された外装スリーブと、前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧する鍔部を有し前記ゴム輪の筒状内部に装着された内装スリーブと、を備え、同内装スリーブの下端は前記更生管の内部に進入させたゴム輪の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止めすると共に、前記ゴム輪は前記内装スリーブの鍔部と前記カシメ止めとの間で圧縮状態で保持されており、前記カシメ止めによって形成された前記ゴム輪による更生管内肉盛部と前記ゴム輪の圧縮により形成された更生管外肉盛部とで前記更生管の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部と、外装スリーブと内装スリーブとの間で両者にゴム輪を密着させてなるスリーブ間止水部とが形成されていることとしたため、比較的簡易な構造でありながら、主管と更生管との間への漏水や、頚部が穿孔したりクラックが発生した場合の漏水を防止できる更生管の分岐部構造を提供することができる。
また、請求項3に係る更生管の分岐部構造によれば、前記外装スリーブの上端には、前記枝管の開口端部に形成された枝管側フランジに当接する鍔状係止部が備えられていることとしたため、外装スリーブを枝管内に固定することができる。
また、本発明に係る更生管の分岐部構造によれば、前記ゴム輪の圧縮に伴う変形により、前記外装スリーブの下部を前記枝管の頚部内壁に沿って拡開させたことで、枝管頚部内壁面を保護しつつ滑面として、分岐部構造の安定性を高めることができる。
また、請求項5に係る更生管の分岐部構造によれば、前記枝管には、同枝管の開口端部に形成された枝管側フランジに、前記枝管に接続される連結部材に備えられた連結部材側フランジが連結されており、前記内装スリーブは、前記枝管側フランジの端面より突出する突出部を備え、前記枝管側フランジと前記連結部材側フランジとの間には、前記内装スリーブの外径よりも大きく前記枝管の内径よりも小さな径の孔部を備えた離脱防止プレートが介設されると共に、前記突出部の前記離脱防止プレートよりも上方位置には、前記離脱防止プレートの孔部の径よりも大きな外径に形成してなる離脱係止部が設けられていることとしたため、頚部が折損した場合であっても、折損箇所からの液状流体の漏れを可及的防止することができる。
水道配管の分岐部分に配置された分岐管を示す説明図である。 穿孔工程中の枝管近傍の状態を示した説明図である。 ゴム輪の構成を示した説明図である。 ゴム輪装着工程中の枝管近傍の状態を示した説明図である。 外装スリーブの構成を示した説明図である。 内装スリーブの構成を示した説明図である。 スリーブ挿入工程中の枝管近傍の状態を示した説明図である。 スリーブ挿入工程中の枝管近傍の状態を示した説明図である。 ゴム輪圧縮工程中の枝管近傍の状態を示した説明図である。 拡径工程中の枝管近傍の状態を示した説明図である。 分岐部Aの構成を示した説明図である。 経年劣化した分岐管の枝管近傍の状態を示した説明図である。 第1変形例にて使用するゴム輪及びスリーブの構成を示した説明図である。 第1変形例におけるスリーブ挿入工程中の枝管近傍の状態を示した説明図である。 第1変形例におけるスリーブ挿入工程中の枝管近傍の状態を示した説明図である。 第1変形例におけるゴム輪圧縮工程中の枝管近傍の状態を示した説明図である。 第1変形例における分岐部Bの構成を示した説明図である。 第2変形例における分岐部Cの構成を示した説明図である。 第2変形例にて使用する内装スリーブの構成を示した説明図である。 第2変形例にて使用する離脱防止プレートの構成を示した説明図である。 第2変形例にて使用する離脱防止プレートの構成を示した説明図である。 ゴム輪の変形例を示した説明図である。
本発明は、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐方法を提供するものである。
特に、本実施形態に係る更生管の分岐方法では、前記枝管よりドリル刃を挿入して前記更生管を穿孔する更生管穿孔工程と、前記更生管に形成された穿孔部に円筒状のゴム輪を装着し、同ゴム輪の下端を前記更生管内部に露出させた状態とするゴム輪装着工程と、前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着される外装スリーブと、前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧可能な鍔部を備え前記ゴム輪の筒状内部に装着される内装スリーブと、を挿入するスリーブ挿入工程と、前記内装スリーブに押圧力を付与し前記鍔部を介して前記更生管との間で前記ゴム輪を圧縮することにより、前記内装スリーブの下端を前記ゴム輪の下端から前記更生管内部に露出させると共に、同ゴム輪の周壁を前記外装スリーブの内周面に密着させつつ前記更生管の外表面にて肉盛状に変形させるゴム輪圧縮工程と、前記更生管内部に露出させたゴム輪の一部を巻き込みつつ前記内装スリーブの下端を外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止めする拡径工程と、前記押圧力を開放し前記更生管に分岐部を形成する圧力開放工程と、を有する。
また、本発明では、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管内に配設された更生管の前記枝管側への分岐部構造を提供するものでもある。
特に、本実施形態に係る更生管の分岐部構造では、前記更生管に穿設された穿孔部と、前記穿孔部に装着され下端を前記更生管の内部に進入させた円筒状のゴム輪と、前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着された外装スリーブと、前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧する鍔部を有し前記ゴム輪の筒状内部に装着された内装スリーブと、を備え、同内装スリーブの下端は前記更生管の内部に進入させたゴム輪の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止めすると共に、前記ゴム輪は前記内装スリーブの鍔部と前記カシメ止めとの間で圧縮状態で保持されており、前記カシメ止めによって形成された前記ゴム輪による更生管内肉盛部と前記ゴム輪の圧縮により形成された更生管外肉盛部とで前記更生管の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部と、外装スリーブと内装スリーブとの間で両者にゴム輪を密着させてなるスリーブ間止水部とが形成されている。
そして、このような分岐方法や分岐部構造とすることにより、比較的容易に、主管と更生管との間への漏水や、頚部が穿孔したりクラックが発生した場合の漏水を防止することができる。
以下、本実施形態に係る更生管の分岐方法及び更生管の分岐部構造について、図面を参照しつつ施工手順を追いながら説明する。なお、以下では、配管が水道管である場合を例にして説明するが、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、主管を流れる液状流体としての水を枝管側に流す例を示すが、枝管から主管側に液状流体を流す(合流させる)場合も本発明の概念に含まれるのは言うまでもない。
図1は、水道配管10の分岐部分11に配置された分岐管12を示す説明図である。分岐管12は、図面の左右方向に伸延する主管13と、同主管13より上方に伸延する枝管14とを備えている。
枝管14は、図中上方の連結側端部に備えられた連結端開口15の周縁にフランジ(以下、枝管側フランジ16という。)が形成されており、例えば消火栓や延長配管などの連結部材17に備えられた連結部材側フランジ18を対向させて連結することにより、主管13と連結部材17との間で枝管14を介して水を流通可能に構成している。なお、図1に示す状態において連結部材17は、主管13から枝管14を介して水が供給され消火の用に供される消火栓17aであり、この消火栓17aの本体部分は省略して記載している。また、符号16a及び16bは、枝管14に連結部材17を取り付けるための連結ボルト及びナットである。
また枝管14は、主管13の壁部(以下、主管壁部19という。)に対して、内径及び外径共にラッパ状に拡開しながら主管13の伸延方向に略直角に連結しており、その連結された主管13の流路(以下、主管流路13aという。)と枝管14の流路(以下、枝管流路14aという。)との分流部分(合流部分)を枝管14と主管13との間で水を流通させるための接続開口20としている。なお、以下の説明において、一定の径で伸延する枝管14の壁部を枝管壁部21と称し、同枝管壁部21から主管壁部19に連結するラッパ状の壁部を頚部22と称する。
また、主管流路13aには、老朽化した管内を修繕するための更生管23が配設されており、水はこの更生管23の内部に形成された流路(以下、更生管流路23aという。)を流れるようにしている。
そして、この図1に示すような状態にあっては、主管流路13aに敷設された更生管23によって接続開口20が閉塞されているため、更生管流路23aを流れる水を枝管14側に分流させることはできない。
そこでまず、本実施形態に係る分岐方法では、枝管14よりドリル刃を挿入して更生管23の外面側から穿孔する(更生管穿孔工程)。
具体的には、連結ボルト16a及びナット16bを緩めて枝管側フランジ16に接続されている消火栓17aを取り外し、図2に示すように、枝管側フランジ16に、連結部材側フランジ18を備える連結部材17としてのドリル装置17bを連結させる。
ドリル装置17bは、図示しないモータに連動連結されたドリル軸24aを備えており、このドリル軸24aは枝管流路14a内で軸周りに回転可能、かつ、軸線方向に昇降可能に構成されている。
また、ドリル軸24aの下方には、枝管14の内径よりもやや小さめの外径を有する円筒状で下端縁部に複数の切っ先24cが形成されたドリル刃24bが同軸状に配設されており、モータを駆動させてドリル軸24aを回転させることにより、ドリル刃24bの切っ先24cが回転するよう構成している。なお、符号24dは、更生管23に穿孔する際にセンタリングを行うための先端ドリルである。
そして、ドリル軸24aを回転させつつ降下させて、先端ドリル24dを更生管23の管壁に貫通させ、その後ドリル刃24bを更生管23の管壁に接触させることにより、図2に示すように、更生管23に穿孔部25を形成する。
次に、枝管14の枝管側フランジ16よりドリル装置17bを取り外し、連結端開口15から円筒状のゴム輪26を進入させ、更生管23に形成された穿孔部25にゴム輪26を装着し、同ゴム輪26の下端を更生管23内部に露出させた状態とするゴム輪装着工程を行う。
図3にゴム輪26の軸線方向断面図を示す。ゴム輪26は、前述したように略円筒状の形状を有しており、上端部27から下端部28に至るまで、同ゴム輪26の外周面をゴム輪外周面部29、内周面をゴム輪内周面部30としている。
ゴム輪外周面部29は、上端部27から下端部28へ向けてそれぞれ段差を設けつつ順に、外装スリーブ装着部29aと、肉盛形成部29bと、穿孔部装着部29cとが形成されている。
外装スリーブ装着部29aは、後述する外装スリーブ32が装着される部位であり、この外装スリーブ装着部29aにおけるゴム輪26の外径は、外装スリーブ32の内径と略同径又は装着可能な程度に遊びを有する径であって、外装スリーブ32を装着した状態でゴム輪26を軸線方向に圧縮した際に、外装スリーブ装着部29aが外装スリーブ32の内周面に圧着される径としている。
肉盛形成部29bは、ゴム輪26を軸線方向に圧縮した際に、後述する更生管外肉盛部39を形成させるための部位であり、同肉盛形成部29b部分のゴム輪26の外径は、前述の圧縮によっても穿孔部25を挿通してしまわぬよう、穿孔部25の径よりも大きな径としている。また、肉盛形成部29b部分のゴム輪26の壁厚は、圧縮によって更生管外肉盛部39を形成可能な程度の厚みとしている。
穿孔部装着部29cは、穿孔部25に装着しつつ更生管23の内部にその下端部28を露出させるための部位であり、同穿孔部装着部29cの外径は、穿孔部25の径と略同径又は装着可能な程度に遊びを有する径であって、後述する更生管外肉盛部39と更生管内肉盛部43とを形成した際に、圧縮力によって穿孔部装着部29cが穿孔部25の内周面に圧着される径としている。
また、肉盛形成部29bと穿孔部装着部29cとの間には、両者の径の差によって係止段差部29dが形成されており、この係止段差部29dを穿孔部25の周縁に当接させることで、ゴム輪26の更生管23内部への落ち込みが防止される。
一方、ゴム輪内周面部30は、上端部27から下端部28にかけて、上部内周面部30aと、縮径テーパ部30bと、下部内周面部30cと、凸部内周面部30dで構成している。
上部内周面部30aは、後述する内装スリーブ33を装着するための部位であり、その内径は、内装スリーブ33の外径と略同径又は内装スリーブ33を装着可能な程度に遊びを有する径であって、内装スリーブ33が装着された状態でゴム輪26が圧縮された際に、内装スリーブ33の外面に上部内周面部30aが圧着できる径としている。
縮径テーパ部30bは、次に述べる下部内周面部30cに内装スリーブ33の先端を円滑に誘導するための部位であり、下方へ向けて上部内周面部30aの内径から下部内周面部30cの内径に至るまで漸次縮径するテーパ形状としている。また、この縮径テーパ部30bは、肉盛形成部29bの上下方向略中央部に対応するゴム輪内周面部30の位置に形成している。
下部内周面部30cは、内装スリーブ33を挿入させることによりゴム輪26を半径方向外方へ向けて拡開変形させるための部位である。具体的には、下部内周面部30cに内装スリーブ33を挿入することにより、肉盛形成部29bの厚肉部分29eを半径方向外方へ膨出させて、後述の更生管外肉盛部39を形成しやすくすると共に、係止段差部29dを同様に半径方向外方へ位置させて、ゴム輪26の更生管23内への落ち込みを防止する。また、内装スリーブ33が楔のように機能するため、ゴム輪26が穿孔部25に装着された状態において穿孔部装着部29cもまた半径方向外方へ膨らみ、穿孔部25におけるゴム輪26との隙間を十分に充填して漏水を防止しつつ、穿孔部25からのゴム輪26の脱落を堅実に防止することができる。
凸部内周面部30dは、下部内周面部30cの下端、すなわち、ゴム輪26の下端部28の位置に設けられた環状凸部31の内周面によって構成される部位であり、ゴム輪26が穿孔部25に装着された状態でゴム輪26の内部空間に内装スリーブ33が挿入されることにより、更生管23内で環状凸部31を外方へ反転させて後述するカシメ止め41が形成されることにより更生管内肉盛部43を形成する。
そして、ゴム輪装着工程では、図4に示すように、上述のような構成を有するゴム輪26を、枝管14の連結端開口15から挿入し、穿孔部25の周縁部がゴム輪26の係止段差部29dに突き当たるまで押し込んで、ゴム輪26の下端部28を更生管23の内部に露出させた状態とする。
このような状態とした後、本実施形態に係る分岐方法では、次に、外装スリーブ32と内装スリーブ33とを枝管流路14a内に挿入するスリーブ挿入工程を行う。
スリーブ挿入工程にて使用する外装スリーブ32の断面図を図5に、内装スリーブ33の平面図及び断面図を図6に示す。図5に示すように外装スリーブ32は、上下方向に伸延する円筒状の外装筒状体32aと、同外装筒状体32aの上端に半径方向外方へ向けて形成した鍔状係止部32bとを備えている。外装スリーブ32を更生する素材は特に限定されるものではないが、例えば本実施形態では樹脂で形成している。
外装筒状体32aは、枝管14の内径と略同じ外径を備える円筒状の部位であり、枝管流路14aに装着することで、枝管14の内壁面を保護する役割を果たすものである。また、外装筒状体32aの下部は、穿孔部25に装着された前述のゴム輪26の外装スリーブ装着部29aと枝管14の内壁面との間に形成された間隙部分に装着されることとなる。
鍔状係止部32bは、外装筒状体32aの接続開口20側への移動を規制するための部位であり、枝管側フランジ16の表面に係止されるよう、枝管14の内径よりも大きな直径に形成している。
また、鍔状係止部32bの設けられている外装スリーブ32の上端から外装スリーブ32の下端までの長さは、枝管側フランジ16上面(パッキンやワッシャ等を介在させる場合はその表面)から、穿孔部25に装着された自由長のゴム輪26の外装スリーブ装着部29aと肉盛形成部29bとの段差部分までの長さと略同じ長さとしている。
内装スリーブ33もまた外装スリーブ32と同様に図6に示す如く略円筒状の部材であり、上下方向に伸延する円筒状の内装筒状体33aと、内装筒状体33aの上端に半径方向外方へ向けて形成した鍔部33bとを備えている。内装スリーブ33を更生する素材は、めくり状態で折曲される(後述)下端部が塑性変形可能な素材であれば特に限定されるものではないが、例えば本実施形態では全体を金属で形成している。
内装筒状体33aは、前述のゴム輪26の上部内周面部30aの内径と略同じ外径を備える円筒状の部位であり、主管13(更生管23)より分流させた水を枝管14側に導く流路を形成する役割を果たすものである。
また、内装筒状体33aの下部は、後に詳述する拡径工程によってカシメ止めを構成する部位でもある。
また、内装筒状体33aは、ゴム輪26のゴム輪内周面部30を挿通させることにより、前述したように、肉盛形成部29bの厚肉部分29eを半径方向外方膨出させて、更生管外肉盛部を形成しやすくすると共に、係止段差部29dを同様に半径方向外方へ位置させて、ゴム輪26の更生管23内への落ち込みを防止し、また、穿孔部25におけるゴム輪26との隙間を十分に充填して漏水を防止する役割も有している。
鍔部33bは、内装スリーブ33をゴム輪26に挿通させた際に、ゴム輪26の上端部27に当接させるための部位であり、後述のゴム輪圧縮工程にて圧縮させたゴム輪26を、内装筒状体33aの下端で形成したカシメ止めと鍔部33bとの間にて弾性力を有する状態を維持したまま保持する役割を有している。なお図6中における符号33cは、後述の拡径工程において所定の治具を用いてカシメ止めを形成するにあたり、治具に係止させてゴム輪26に対し内装スリーブ33が回転するのを防止するための切欠部である。
本スリーブ挿入工程では、このような外装スリーブ32及び内装スリーブ33を枝管14内に挿入する。
具体的には、図7に示すように、外装スリーブ32を枝管14内に挿入し、枝管側フランジ16の表面に鍔状係止部32bを当接させると共に、外装筒状体32aの下端部を、外装スリーブ装着部29aと枝管14の内壁との間に形成された間隙に、外装スリーブ装着部29aと肉盛形成部29bとの間に形成された段差位置近傍に至るまで挿入する。
次いで、止水性を向上させるためのパッキン34を装着した内装スリーブ33を枝管14内に挿入する。図7は、内装スリーブ33がゴム輪26の縮径テーパ部30bの手前まで挿入された状態を示している。なおパッキン34は、外装スリーブ32の内径と略同じ外径で、内装スリーブの外径を略同じ内径を有する環状のパッキン34である。
そして、さらに内装スリーブ33を進めると、縮径テーパ部30bによって円滑に下部内周面部30cへと導かれ、図8に示すように鍔部33bがパッキン34を介してゴム輪26の上端部27に(間接的に)当接して押圧する位置まで挿入される。なお、本実施形態では、パッキン34を介して上端部27に鍔部33bを当接させることとしたが、パッキン34を省略したり、複数のパッキン34やワッシャーの如き部材を介在させても良いのは言うまでもない。本明細書における「ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧可能な鍔部」との表現は、上述のような態様も包含する。
このような図8における状態にあっては、装着された内装スリーブ33により、肉盛形成部29bの厚肉部分29eが半径方向外方に膨出する。また、係止段差部29dが半径方向外方へ拡径してゴム輪26の更生管23内への落ち込みが防止され、また、穿孔部25におけるゴム輪26との隙間が充填されて漏水が防止さた状態となる。なお、本実施形態では、前述のゴム輪装着工程とスリーブ挿入工程とを順次行うこととしたが、外装スリーブ32や内装スリーブ33のいずれか又は両者をゴム輪26に装着してスリーブ装着ゴム輪とし、これを枝管14(穿孔部25)に挿入することで、ゴム輪装着工程とスリーブ挿入工程との一部又は全部を同時に行うこととしても良い。スリーブ装着ゴム輪を形成する場合、内装スリーブ33のゴム輪26への装着は、内装スリーブ33がゴム輪26の縮径テーパ部30bよりも上方位置に浅く挿入された状態とすることで、拡径していないゴム輪26とすることができ、枝管14や穿孔部25に容易に挿入させることができる。
このように内装スリーブ33が押し込まれた状態において、次に、内装スリーブ33に押圧力を付与してゴム輪26を圧縮させるゴム輪圧縮工程を行う。図9はゴム輪圧縮工程中の状態を示した説明図である。
ここでは、連結部材17としての拡径治具17cを枝管側フランジ16に取り付けることにより、ゴム輪圧縮工程と後述の拡径工程を行うこととしており、まずはこの拡径治具17cの構成について簡単に説明する。なお、拡径治具17cの具体的な構造等については、本出願人が先に出願した特願2013-072200に詳しい。ただし、ゴム輪圧縮工程や拡径工程を行うにあたっては、必ずしも拡径治具17cを用いる必要はなく、同様の操作を行うことが可能であれば治具は特に限定されることなく適用可能である。
本実施形態に係る分岐方法にて使用する拡径治具17cは、ゴム輪26を圧縮したり、更生管23内で内装スリーブ33の下部を外方へめくり状態で折曲させてカシメ止めを形成するための治具であり、図示しない主軸と副軸とを備えたステム35を備えている。
このステム35は、枝管14の内径や外装スリーブ32の内径、内装スリーブ33の内径よりも細径に形成されており、これらを介して同ステム35の下部を更生管23内に露出可能に構成している。
また、ステム35の中途部には、同ステム35の直径を半径方向外方へ向けて大きく形成した環状押圧体36が設けられている。この環状押圧体36は、内装スリーブ33の鍔部33bを介してゴム輪26の圧縮を行うための部位であり、外装スリーブ32の内径よりも小さく、内装スリーブ33の内径よりは大きい径として、ステム35を挿入した際に鍔部33bに当接するよう構成している。
また、ステム35の下部には、後述の拡径工程にてカシメ止め41を形成するための拡径部37が備えられている。この拡径部37はステム35に対して、図7にて一点鎖線で示す副軸線38bの軸周りに回動、固定可能、且つ、副軸線38b方向に昇降、固定可能に構成している。
また、ステム35自体も、枝管側フランジ16に固定された拡径治具17cに対して、図7にて一点鎖線で示す主軸線38aの軸周りに回動可能、且つ、主軸線38a方向に昇降、固定可能に構成している。
そして本ゴム輪圧縮工程では、拡径治具17cの連結部材側フランジ18を枝管側フランジ16に取付固定した状態でステム35を枝管14内に進入させ、環状押圧体36を鍔部33bに当接させる。
この状態で更にステム35を押し込むことで、内装スリーブ33の鍔部33bに押圧力を付与し、同鍔部33b(及びパッキン34)を介して更生管23の外壁面との間でゴム輪26を圧縮する。
これに伴い、内装スリーブ33の下端をゴム輪26の下端から更生管23の内部に露出させると共に、ゴム輪26の環状凸部31が外方へ反転させられ、また、厚肉部分29eが更に肉盛状に圧縮変形されて更生管外肉盛部39が形成される。この更生管外肉盛部39は、穿孔部25周縁の漏水をより堅実に防止する役割を果たすものである。
次に、このゴム輪26の圧縮状態を維持したまま、拡径工程が行われる。図10は拡径工程中の状態を示す説明図である。
拡径工程では、環状押圧体36による鍔部33bを介したゴム輪26の圧縮状態を維持したまま、ステム35の下部に設けられた拡径部37を副軸線38bの軸周りに例えば約180度反転させて、拡径部37に配された拡径ローラ40を内装スリーブ33の下端部に当接可能な状態とする。なお、以下の説明においてこのような拡径部37の状態を突出状態と称し、図9に示す拡径部37の状態を収納状態と称する。
次いで、拡径部37を突出状態としたまま副軸線38bの軸周り方向への回動を規制しつつ、図10にて破線で示すようにステム35に対して同拡径部37を副軸線38bの軸線方向上方へ引き上げることにより、拡径ローラ40を内装スリーブ33の下端に当接させる。
この状態で、内装スリーブ33の下部を塑性変形可能な程度の引上力を副軸線38bの軸線方向上方への拡径部37の引き上げによって付与しつつ、ステム35を拡径治具17cの本体部分(図示せず)に対して主軸線38aの軸線周りに回動させる。
拡径ローラ40には、内装スリーブ33の下端部を半径方向外方へめくり状態で折曲させる曲面が形成されており、内装スリーブ33の下端部は、更生管23内に露出させたゴム輪26の一部を巻き込みつつ拡開し、カシメ止め41が形成される(図11参照。)。付言すれば、環状押圧体36と拡径ローラ40との間で内装スリーブ33を圧縮し、ゴム輪26の一部を巻き込みつつ内装スリーブ33の下端部をラッパ状に折曲してカシメ止め41を形成する。
また、これと同時に、カシメ止め41によって巻き込まれたゴム輪26の一部は、更生管23の内側における穿孔部25の周縁にて更生管内肉盛部43を形成する。この更生管内肉盛部43と、前述の更生管外肉盛部39とは、圧縮されたゴム輪26の弾性力による更生管23の外方からの力(図中下向きの力)と、ゴム輪26の弾性力により内装スリーブ33が上方へ戻ろうとする際のカシメ止め41から受ける更生管23の内方からの上向きの力とで更生管23の管壁を挟持する穿孔周縁止水部44を形成する。
また、外装スリーブ32と内装スリーブ33との間では、ゴム輪26の変形によっり両者にゴム輪26が密着して、スリーブ間止水部45が形成される。
次に、枝管側フランジ16に取り付けていた拡径治具17cを取り外すことにより、ゴム輪26に付与していた押圧力を開放し、更生管23に分岐部Aを形成する圧力開放工程を行う。
具体的には、拡径部37を図10にて破線で示す位置から副軸線38bの軸線方向下方へ、すなわち、実線にて示す位置まで移動させ、次いで、突出状態から収納状態へ変位させる。
そして、連結ボルト16a及びナット16bを緩めて枝管側フランジ16から拡径治具17cを取り外すことでステム35を枝管流路14aから引き上げ、これに伴い環状押圧体36による鍔部33bを介したゴム輪26への押圧力を開放させる。
この圧力開放工程を行うことにより、図11に示すように、更生管23に分岐部Aが形成される。なお、図11に示す状態にあっては、環状押圧体36によるゴム輪26への押圧力は開放されているものの、ゴム輪26自体に蓄えられた弾性力は未だ保有しており圧縮状態にある。
このように本実施形態に係る分岐方法にて形成された分岐部Aは、主管13と同主管13より分岐する枝管14とを備えた分岐管12の内部における、前記主管13の管内に配設された更生管23の前記枝管14側への分岐部構造であって、前記更生管23に穿設された穿孔部25と、前記穿孔部25に装着され下端部を前記更生管23の内部に進入させた円筒状のゴム輪26と、前記枝管14の内周面と前記ゴム輪26の外周面との間に装着された外装スリーブ32と、前記ゴム輪26の上端部27に当接する鍔部33bを有し前記ゴム輪26の筒状内部に装着された内装スリーブ33と、を備え、同内装スリーブ33の下端は前記更生管23の内部に進入させたゴム輪26の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管23に前記内装スリーブ33をカシメ止め41すると共に、前記ゴム輪26は前記内装スリーブ33の鍔部33bと前記カシメ止め41との間で圧縮状態で保持されており、前記カシメ止め41によって形成された前記ゴム輪26による更生管内肉盛部43と前記ゴム輪26の圧縮により形成された更生管外肉盛部39とで前記更生管23の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部44と、外装スリーブ32と内装スリーブ33との間で両者にゴム輪26を密着させてなるスリーブ間止水部45とが形成されている分岐部構造を有している。
従って、主管13と更生管23との間への漏水を堅実に防止することができる。
また、分岐管12の更なる老朽化や地震などの影響によって、分岐管12の頚部22が穿孔したり、クラックが発生した場合であっても、頚部22からの漏水を防止することができる。
また、本実施形態に係る分岐方法によれば、比較的容易に分岐可能でありながら、主管13と更生管23との間への漏水や、頚部22が穿孔したりクラックが発生した場合の漏水を防止できる更生管23の分岐を行うことができる。
なお、本実施形態では、外装スリーブ32をゴム輪26に装着したときに、外装スリーブ32の外装筒状体32aの下端部分が、ゴム輪26の外装スリーブ装着部29aと肉盛形成部29bとの間の段差部分に突き当たる形状としたが、これに限定されるものではない。例えば、外装スリーブ32の外装筒状体32aの内周下部を下方に向かって内径が拡開するテーパー形状とする一方、ゴム輪26の外装スリーブ装着部29aと肉盛形成部29bとの境を、上記テーパー形状と略同じ角度で下方に向かって漸次拡径するテーパー形状(例えば、図13(b)のゴム輪外周面テーパ部52aに示すような形状)としても良い。このような形状とすることにより、外装スリーブ32の下端部分に柔軟性を持たせることができ、ゴム輪26の圧縮に伴って外装スリーブ32の下端部分を変形させて管壁を保護することができる。
次に、図12〜図17を参照しつつ、変形例に係る分岐方法及び分岐部構造について説明する。図12は本第1変形例において施工対象となる分岐管12の状態を示した説明図である。なお、以下において、先の構成と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
本第1変形例で施工対象となる分岐管12は、長年の使用による経年劣化によって、枝管壁部21の内面や頚部22内面に腐食や堆積物による凹凸部50が形成されている。
このような凹凸部50を有する頚部22の近傍にあっては、先の実施形態に係る分岐部構造では必ずしも十分な止水性を確保できるとは言い難い場合もある。
そこで、本第1変形例では、より水密性の高いスリーブ間止水部45を備えた分岐部構造及び分岐方法について説明する。
図13は本第1変形例にて使用するスリーブやゴム輪の断面を示した説明図である。図13(a)は外装スリーブ51を示し、図13(b)はゴム輪52を示し、図13(c)は内装スリーブ33を示している。
外装スリーブ51は、前述の外装スリーブ32と略同様の構成を有しているが、外装筒状体51aの下部に、軸線方向下方へ向かって内径が漸次拡開する外装筒テーパ部51cを形成している点や、鍔状係止部32bの設けられている外装スリーブ51の上端から同外装スリーブ51の下端までの長さが、枝管側フランジ16上面から、頚部22と自由長である後述のゴム輪52と更生管23の外壁とで囲まれる頚部内方空間53に露出するまでの長さ、より好ましくは更生管23に突き当たるまでの長さと略同じ長さとしている点で構造を異にしている。なお、外装スリーブ51は、若干の伸縮性や可撓性を有する樹脂、特に本第1変形例ではポリエチレンにて形成している。
また、ゴム輪52もまた前述のゴム輪26と略同様の構成を備えているが、外装スリーブ装着部29aと肉盛形成部29bとの間に、下方へ向かって外径が漸次拡径するゴム輪外周面テーパ部52aが形成されている点で構造を異にする。
なお、本第1変形例で使用する内装スリーブ33は、先の実施形態にて説明したものと同様のものである。
次に、これら外装スリーブ51やゴム輪52、内装スリーブ33を用いた本第1変形例に係る分岐方法について説明する。図14は本第1変形例に係るスリーブ挿入工程の様子を示した説明図である。なお、穿孔工程及びゴム輪装着工程については、先の実施形態と同様であるため説明を省略する。
図14に示すように、スリーブ挿入工程では、内装スリーブ33を枝管14内に挿入する。図14は、内装スリーブ33がゴム輪52の縮径テーパ部30bの手前まで挿入された状態を示している。
次いで、外装スリーブ51を枝管14内に挿入し(図14参照)、図15に示すように枝管側フランジ16の表面に鍔状係止部32bを当接させると共に、外装筒テーパ部51cをゴム輪外周面テーパ部52aに沿わせつつ頚部内方空間53に露出する位置にに至るまで、外装スリーブ装着部29aと枝管14の内壁との間に形成された間隙を介して挿入する。
このように内装スリーブ33及び外装スリーブ51が挿入された状態において、次に、ゴム輪圧縮工程、拡径工程、及び圧力開放工程を行う。図16はゴム輪圧縮工程中の状態を示した説明図であり、図17は圧力開放工程後の状態を示した説明図である。なお、図16においては、拡径治具17cの記載を省略している。
先の実施形態と同様、拡径治具17cの連結部材側フランジ18を枝管側フランジ16に取付固定した状態でステム35を枝管14内に進入させ、環状押圧体36を鍔部33bに当接させ、更にステム35を押し込むことで、内装スリーブ33の鍔部33bに押圧力を付与し、同鍔部33bを介して更生管23の外壁面との間でゴム輪52を圧縮する。
これに伴い、図16に示すように、内装スリーブ33の下端をゴム輪52の下端から更生管23の内部に露出させると共に、環状凸部31が外方へ反転し、また、厚肉部分29eが肉盛状に圧縮変形されて更生管外肉盛部54が形成される。特に、本第1変形例にて使用するゴム輪52は、枝管壁部21の内壁面側から主管壁部19の内壁面側にかけての長さの少なくとも半分以上長さに亘り頚部22の内壁面に沿って変形可能な程度の変形性を備えており、頚部内方空間53の体積の半分以上を変形させたゴム輪52によって充填させ、先の実施形態に比して更に肉盛状の更生管外肉盛部54を形成させている。
しかも、この更生管外肉盛部54は、上述のゴム輪52の変形性によって外装筒状体51aの下部をラッパ状に拡開させるため、外装筒状体51aにより頚部22の内壁面に至るまでカバーされることとなる。
また、この更生管外肉盛部54は内装スリーブ33の内装筒状体33aと外装スリーブ51の外装筒状体51aとの間に形成されたスリーブ間止水部55でもあり、先の実施形態におけるスリーブ間止水部45に比して更に肉厚な構造となっているため、極めて高い止水性能を発揮できる。
また、頚部22内壁面への直接又は間接的なゴム輪52の密着は、頚部22が拡開する下り裾野方向において、外装筒状体51aがカバーする領域を越えて頚部22の内壁面に直接的に密着させているため、より高い水密性を確保することができる。
併せて、このゴム輪52の頚部22内壁面への密着部分における外装スリーブ51の境界部分には外装筒テーパ部51cが設けられているため、頚部22の内壁面から外装スリーブ51内壁面にかけて滑らかにゴム輪52をフィットさせることができ、高い水密性を確保することができる。
そして、拡径工程及び圧力開放工程を経ることにより、図17に示すように、本第1変形例に係る分岐部Bが形成されることとなる。この分岐部Bは、前述の更生管外肉盛部39よりも肉厚状となった更生管外肉盛部54と、更生管内肉盛部43とで構成される穿孔周縁止水部44が形成されているため、更に水密性の高い分岐部とすることができる。
すなわち、この分岐部Bにあっては、先の分岐部Aが備える分岐部構造と同様の構造に加え、ゴム輪52の圧縮に伴う変形により、外装スリーブ51の下部を枝管14の頚部22内壁に沿って拡開させた分岐部構造を備えているため、枝管頚部内壁面を保護しつつ滑面として、分岐部構造の安定性を高めることができ、しかも、より水密性の高いスリーブ間止水部45を備えた分岐部Bとすることができる。
また、本第1変形例に係る分岐方法によれば、枝管頚部内壁面を保護しつつ滑面として、分岐部構造の安定性を高めることができ、しかも、より水密性の高いスリーブ間止水部45を備えた分岐部Bを形成することができる。
次に、図18〜図21を参照しつつ、第2の変形例に係る分岐方法及び分岐部構造について説明する。図18は本第2変形例に係る分岐部構造を備えた分岐部Cを示す説明図、すなわち、施工が完了した状態を示した図である。
先述の2つの分岐部A及び分岐部Bは、頚部22に穿孔やクラックが生じた場合であっても、漏水を効果的に防止することが可能である。
しかしながら、図18にて二点鎖線矢印で示すように、地震等によって頚部22が折損した場合、すなわち、頚部22の周回り全域に亘ってクラックが生じて破断し、主管13と分断された場合には漏水を防止するのは困難である。
そこで本第2変形例では、頚部22が破断した場合であっても、漏水を可及的防止することができる分岐部Cの分岐部構造及び分岐方法について説明する。
分岐部Cは、図18に示すように基本的な構造は分岐部Aと同様であるものの、内装スリーブ60の形状や、枝管側フランジ16と連結部材側フランジ18との間に離脱防止プレート61を介在させている点で構造を異にしている。なお、本第2変形例に係る分岐部Cは、ここでは分岐部Aをベースとして説明するが、分岐部Bが有する分岐部構造を付加しても良いのは勿論である。
図19に示すように内装スリーブ60は、前述の内装スリーブ33と同様に内装筒状体33a及び鍔部33bを備えているが、鍔部33bよりも更に上方に内装筒状体33aを伸延してなる筒状伸延体60bを備えており、同筒状伸延体60bの上部には、内装スリーブ60を枝管14内の定位置に挿入した際に枝管側フランジ16の上端面よりも上方へ突出する突出部60cが設けられている。
また、突出部60cには、筒状伸延体60bの管壁を半径方向外方へ肉厚状に形成した離脱係止部60dが形成されている。この離脱係止部60d部分の径は、連結部材17の流路径よりも小さな径であって、且つ、後述する離脱防止プレート61の当接部61aにおける内径よりも大きな径としている。
一方、図20に示すように、離脱防止プレート61はプレート本体61bに孔部61cを穿設してなる板状の部材であり、本第2変形例では平面視ドーナツ状としている。
孔部61cは、その縁部の一部又は全部を前述の内装スリーブ60の離脱係止部60dに当接させて離脱を防止させるための当接部61aとしている。すなわち、孔部61cには、内装スリーブ60の離脱係止部60dの外径よりも小さな当接部61aが形成されており、図18に示すように、二点鎖線の矢印で示す頚部22で破断が生じて枝管14や連結部材17が主管13に対して上方へ移動した場合であっても、主管13内に配設された更生管23にカシメ止め41にて固定されている内装スリーブ60の離脱係止部60dに離脱防止プレート61の当接部61aが当接するため、破断した枝管14が内装スリーブ60から大きく離脱してしまうことを防止することができる。
それゆえ、ゴム輪26が弾性力を保有している範囲内では、穿孔周縁止水部44やスリーブ間止水部55が形成され続けるため、漏水を防止することができる。付言すれば、離脱係止部60dと離脱防止プレート61との間隙の長さdは、圧縮されたゴム輪26の係止段差部29dから上端部27までの長さと、非圧縮時におけるゴム輪26の係止段差部29dから上端部27までの長さとの差よりも短い長さとしておくことにより、頚部破断時にもゴム輪26の圧縮力を保持させて、穿孔周縁止水部44やスリーブ間止水部55を有効に保ち、漏水を防止することができる。
なお、離脱防止プレート61の孔部61cの径が内装スリーブ60の離脱係止部60dの外径よりも小さいため、離脱防止プレート61が内装スリーブ60を挿通させた状態で図18に示すように構成するためには、幾つかの方法が考えられる。
図21は、離脱防止プレート61の構成を示した説明図である。例えば、図21(a)で示す離脱防止プレート61は、二つの半円弧状のプレート分割体62を組合せることで離脱防止プレート61が形成されるようにしている。
具体的には、例えば分岐部Aと同様に穿孔工程、ゴム輪装着工程、スリーブ挿入工程、ゴム輪圧縮行程、拡径工程、圧力開放工程を経て、枝管側フランジ16に連結部材17の取付を行う際に、内装スリーブ60の突出部60cであって離脱係止部60dよりも下方位置に、筒状伸延体60bを囲うように2つのプレート分割体62の円弧端部を突き合わせつつ組み合わせることで装着しても良い。この場合、プレート分割体62に形成された半円状の孔部形成用切欠63の縁部全域が、当接部61aとして機能することとなる。
また例えば、図21(b)に示すように、バイオネットロック構造の如く、離脱防止プレート61における孔部61cの縁部に装着用切欠64を設ける一方、内装スリーブ60における離脱係止部60dを装着用切欠64に挿通可能な形状として、内装スリーブ60の上部から離脱防止プレート61を挿通させても良い。
この場合、離脱防止プレート61を枝管側フランジ16上(鍔状係止部32b上)に固定する際には、孔部61cの装着用切欠64でない縁部、すなわちプレート本体61bに離脱係止部60dが当接する位置関係、例えば図21(b)の場合では内装スリーブ60に離脱防止プレート61を挿通させて離脱係止部60dを通過させた後に内装スリーブ60に対して離脱防止プレート61を約90度軸線廻りに回動させた位置で配設する必要がある。
このように、本第2変形例に係る分岐部Cによれば、先の分岐部Aが備える分岐部構造と同様の構造に加え、枝管14には、同枝管14の開口端部に形成された枝管側フランジ16に、前記枝管14に接続される連結部材17に備えられた連結部材側フランジ18が連結されており、内装スリーブ60は、前記枝管側フランジ16の端面より突出する突出部60cを備え、前記枝管側フランジ16と前記連結部材側フランジ18との間には、前記内装スリーブ60の外径よりも大きく前記枝管14の内径よりも小さな径の孔部61cを備えた離脱防止プレート61が介設されると共に、前記突出部60cの前記離脱防止プレート61よりも上方位置には、前記離脱防止プレート61の孔部61cの径よりも大きな外径に形成してなる離脱係止部60dが設けられている分岐部構造を備えたため、頚部22が破断した場合であっても、漏水を可及的防止することができる。
また、本第2変形例に係る分岐方法によれば、頚部22が破断した場合であっても、漏水を可及的防止することができる分岐部Cを形成することができる。
上述してきたように、本実施形態に係る分岐方法によれば、主管(例えば、主管13)と同主管より分岐する枝管(例えば、枝管14)とを備えた分岐管(例えば、分岐管12)の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管(例えば、更生管23)の前記枝管側への分岐方法であって、前記枝管よりドリル刃(例えば、ドリル刃24b)を挿入して前記更生管を穿孔する更生管穿孔工程と、前記更生管に形成された穿孔部(例えば、穿孔部25)に円筒状のゴム輪(例えば、ゴム輪26、ゴム輪52)を装着し、同ゴム輪の下端を前記更生管内部に露出させた状態とするゴム輪装着工程と、前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着される外装スリーブ(例えば、外装スリーブ32、外装スリーブ51)と、前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧可能な鍔部(例えば、鍔部33b)を備え前記ゴム輪の筒状内部に装着される内装スリーブ(例えば、内装スリーブ33、内装スリーブ60)と、を挿入するスリーブ挿入工程と、前記内装スリーブに押圧力を付与し前記鍔部を介して前記更生管との間で前記ゴム輪を圧縮することにより、前記内装スリーブの下端を前記ゴム輪の下端から前記更生管内部に露出させると共に、同ゴム輪の周壁を前記外装スリーブの内周面に密着させつつ前記更生管の外表面にて肉盛状に変形させるゴム輪圧縮工程と、前記更生管内部に露出させたゴム輪の一部を巻き込みつつ前記内装スリーブの下端を外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止め(例えば、カシメ止め41)する拡径工程と、前記押圧力を開放し前記更生管に分岐部を形成する圧力開放工程と、を有することとしたため、比較的容易に分岐可能でありながら、主管と更生管との間への漏水や、頚部が穿孔したりクラックが発生した場合の漏水を防止できる更生管の分岐方法を提供することができる。
また、本実施形態に係る分岐部構造によれば、主管(例えば、主管13)と同主管より分岐する枝管(例えば、枝管14)とを備えた分岐管(例えば、分岐管12)の内部における、前記主管の管内に配設された更生管(例えば、更生管23)の前記枝管側への分岐部構造であって、前記更生管に穿設された穿孔部(例えば、穿孔部25)と、前記穿孔部に装着され下端を前記更生管の内部に進入させた円筒状のゴム輪(例えば、ゴム輪26、ゴム輪52)と、前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着された外装スリーブ(例えば、外装スリーブ32、外装スリーブ51)と、前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧する鍔部(例えば、鍔部33b)を有し前記ゴム輪の筒状内部に装着された内装スリーブ(例えば、内装スリーブ33、内装スリーブ60)と、を備え、同内装スリーブの下端は前記更生管の内部に進入させたゴム輪の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止め(例えば、カシメ止め41)すると共に、前記ゴム輪は前記内装スリーブの鍔部と前記カシメ止めとの間で圧縮状態で保持されており、前記カシメ止めによって形成された前記ゴム輪による更生管内肉盛部(例えば、更生管内肉盛部43)と前記ゴム輪の圧縮により形成された更生管外肉盛部(例えば、更生管外肉盛部39、更生管外肉盛部54)とで前記更生管の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部(例えば、穿孔周縁止水部44)と、外装スリーブと内装スリーブとの間で両者にゴム輪を密着させてなるスリーブ間止水部(例えば、スリーブ間止水部45、スリーブ間止水部55)とが形成されていることとしたため、比較的簡易な構造でありながら、主管と更生管との間への漏水や、頚部が穿孔したりクラックが発生した場合の漏水を防止できる更生管の分岐部構造を提供することができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
例えば、各実施の形態や変形例にて使用したゴム輪52の縮径テーパ部30bは、肉盛形成部29bの上下方向略中央部に対応するゴム輪内周面部30の位置に形成したが、これに限定されるものではない。
図22に示すゴム輪70のように、縮径テーパ部30bの形成位置を、肉盛形成部29bの下部に対応するゴム輪内周面部30の位置、換言すれば、上部内周面部30aと縮径テーパ部30bとの境界が肉盛形成部29bの下部に対応するゴム輪内周面部30の位置であって、縮径テーパ部30bと下部内周面部30cとの境界が係止段差部29dと略対応するゴム輪内周面部30の位置としても良い。
このような位置に縮径テーパ部30bが形成されたゴム輪70によれば、内装スリーブ33,60を装着するにあたり、ゴム輪70が更生管23内に落ち込むことを更に防止することができる。
すなわち、図3に示したゴム輪26や図13(b)にて示したゴム輪52に内装スリーブ33や内装スリーブ60を挿通させる際に、内装スリーブ33,60の下端が縮径テーパ部30bを通過するとき、係止段差部29dが半径方向外方へ膨出しておらず、しかもゴム輪70との間に強く摩擦力が働くこととなり、ゴム輪70の更生管23内への落ち込みが発生しやすくなるが、ゴム輪70によれば、内装スリーブ33,60の下端が縮径テーパ部30bにさしかかるのとほぼ同時に、係止段差部29d部分が半径方向外方へ拡開することとなり、ゴム輪70の更生管23内への落ち込みが効果的に防止されることとなる。
12 分岐管
13 主管
14 枝管
15 連結端開口
16 枝管側フランジ
17 連結部材
20 接続開口
22 頚部
23 更生管
24b ドリル刃
25 穿孔部
26 ゴム輪
27 上端部
28 下端部
32 外装スリーブ
32b 鍔状係止部
33 内装スリーブ
33b 鍔部
36 環状押圧体
37 拡径部
39 更生管外肉盛部
41 カシメ止め
43 更生管内肉盛部
44 穿孔周縁止水部
45 スリーブ間止水部
51 外装スリーブ
52 ゴム輪
54 更生管外肉盛部
55 スリーブ間止水部
60 内装スリーブ
60c 突出部
60d 離脱係止部
61 離脱防止プレート
A 分岐部
B 分岐部
C 分岐部
また、本発明に係る更生管の分岐部構造では、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐部構造であって、前記更生管に穿設された穿孔部と、前記穿孔部に装着され下端を前記更生管の内部に進入させた円筒状のゴム輪と、前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着された外装スリーブと、前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧する鍔部を有し前記ゴム輪の筒状内部に装着された内装スリーブと、を備え、同内装スリーブの下端は前記更生管の内部に進入させたゴム輪の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止めすると共に、前記ゴム輪は前記内装スリーブの鍔部と前記カシメ止めとの間で圧縮状態で保持されており、前記カシメ止めによって形成された前記ゴム輪による更生管内肉盛部と前記ゴム輪の圧縮により形成された更生管外肉盛部とで前記更生管の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部と、外装スリーブと内装スリーブとの間で両者にゴム輪を密着させてなるスリーブ間止水部とが形成されていることとした。
また、請求項2に係る更生管の分岐部構造によれば、主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐部構造であって、前記更生管に穿設された穿孔部と、前記穿孔部に装着され下端を前記更生管の内部に進入させた円筒状のゴム輪と、前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着された外装スリーブと、前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧する鍔部を有し前記ゴム輪の筒状内部に装着された内装スリーブと、を備え、同内装スリーブの下端は前記更生管の内部に進入させたゴム輪の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止めすると共に、前記ゴム輪は前記内装スリーブの鍔部と前記カシメ止めとの間で圧縮状態で保持されており、前記カシメ止めによって形成された前記ゴム輪による更生管内肉盛部と前記ゴム輪の圧縮により形成された更生管外肉盛部とで前記更生管の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部と、外装スリーブと内装スリーブとの間で両者にゴム輪を密着させてなるスリーブ間止水部とが形成されていることとしたため、比較的簡易な構造でありながら、主管と更生管との間への漏水や、頚部が穿孔したりクラックが発生した場合の漏水を防止できる更生管の分岐部構造を提供することができる。

Claims (5)

  1. 主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管路内に配設された更生管の前記枝管側への分岐方法であって、
    前記枝管よりドリル刃を挿入して前記更生管を穿孔する更生管穿孔工程と、
    前記更生管に形成された穿孔部に円筒状のゴム輪を装着し、同ゴム輪の下端を前記更生管内部に露出させた状態とするゴム輪装着工程と、
    前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着される外装スリーブと、前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧可能な鍔部を備え前記ゴム輪の筒状内部に装着される内装スリーブと、を挿入するスリーブ挿入工程と、
    前記内装スリーブに押圧力を付与し前記鍔部を介して前記更生管との間で前記ゴム輪を圧縮することにより、前記内装スリーブの下端を前記ゴム輪の下端から前記更生管内部に露出させると共に、同ゴム輪の周壁を前記外装スリーブの内周面に密着させつつ前記更生管の外表面にて肉盛状に変形させるゴム輪圧縮工程と、
    前記更生管内部に露出させたゴム輪の一部を巻き込みつつ前記内装スリーブの下端を外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止めする拡径工程と、
    前記押圧力を開放し前記更生管に分岐部を形成する圧力開放工程と、を有することを特徴とする分岐方法。
  2. 主管と同主管より分岐する枝管とを備えた分岐管の内部における、前記主管の管内に配設された更生管の前記枝管側への分岐部構造であって、
    前記更生管に穿設された穿孔部と、
    前記穿孔部に装着され下端を前記更生管の内部に進入させた円筒状のゴム輪と、
    前記枝管の内周面と前記ゴム輪の外周面との間に装着された外装スリーブと、
    前記ゴム輪の上端を直接又は間接的に押圧する鍔部を有し前記ゴム輪の筒状内部に装着された内装スリーブと、を備え、
    同内装スリーブの下端は前記更生管の内部に進入させたゴム輪の一部を巻き込みつつ外方へめくり状態で折曲させて、前記更生管に前記内装スリーブをカシメ止めすると共に、前記ゴム輪は前記内装スリーブの鍔部と前記カシメ止めとの間で圧縮状態で保持されており、
    前記カシメ止めによって形成された前記ゴム輪による更生管内肉盛部と前記ゴム輪の圧縮により形成された更生管外肉盛部とで前記更生管の管壁を挟持させてなる穿孔周縁止水部と、
    外装スリーブと内装スリーブとの間で両者にゴム輪を密着させてなるスリーブ間止水部とが形成されていることを特徴とする分岐部構造。
  3. 前記外装スリーブの上端には、前記枝管の開口端部に形成された枝管側フランジに当接する鍔状係止部が備えられていることを特徴とする請求項2に記載の分岐部構造。
  4. 前記ゴム輪の圧縮に伴う変形により、前記外装スリーブの下部を前記枝管の頚部内壁に沿って拡開させたことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の分岐部構造。
  5. 前記枝管には、同枝管の開口端部に形成された枝管側フランジに、前記枝管に接続される連結部材に備えられた連結部材側フランジが連結されており、
    前記内装スリーブは、前記枝管側フランジの端面より突出する突出部を備え、
    前記枝管側フランジと前記連結部材側フランジとの間には、前記内装スリーブの外径よりも大きく前記枝管の内径よりも小さな径の孔部を備えた離脱防止プレートが介設されると共に、
    前記突出部の前記離脱防止プレートよりも上方位置には、前記離脱防止プレートの孔部の径よりも大きな外径に形成してなる離脱係止部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の分岐部構造。
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