JP2015072979A - 圧電素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】分極劣化の発生を防ぎつつ、圧電素体が縮む方向での変位量を増大させることが可能な圧電素子を提供すること。
【解決手段】圧電素子1は、圧電セラミック材料の焼結体からなる圧電素体3と、圧電素体3に配置されており、圧電素体3に電界を印加するための第一及び第二電極E1,E2と、を備えている。第一電極E1は、圧電素体3と同時焼成により圧電素体3内に形成されている第一内部電極5と、圧電素体3の外表面上に形成されている第一外部電極7と、を有している。第二電極E2は、第一内部電極5と対向するように圧電素体3の外表面上に形成されている第二外部電極9を有している。圧電素体3が第一電極E1により受ける応力と、圧電素体3が第二電極E2により受ける応力と、がアンバランスであり、圧電素体3の分極方向を正の方向とするときに、負側の抗電界が正側の抗電界よりも大きい。
【選択図】図2
【解決手段】圧電素子1は、圧電セラミック材料の焼結体からなる圧電素体3と、圧電素体3に配置されており、圧電素体3に電界を印加するための第一及び第二電極E1,E2と、を備えている。第一電極E1は、圧電素体3と同時焼成により圧電素体3内に形成されている第一内部電極5と、圧電素体3の外表面上に形成されている第一外部電極7と、を有している。第二電極E2は、第一内部電極5と対向するように圧電素体3の外表面上に形成されている第二外部電極9を有している。圧電素体3が第一電極E1により受ける応力と、圧電素体3が第二電極E2により受ける応力と、がアンバランスであり、圧電素体3の分極方向を正の方向とするときに、負側の抗電界が正側の抗電界よりも大きい。
【選択図】図2
Description
本発明は、圧電素子に関する。
圧電素子として、圧電セラミック材料の焼結体からなる圧電素体と、圧電素体に配置されており、圧電素体に電界を印加するための一対の電極と、を備えたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
圧電素子は、正負の電界が印加されることにより、圧電素体を伸縮させて使用されることがある。たとえば、圧電素子は、ハードディスク装置(HDD)ヘッドサスペンションに、ヘッドスライダ駆動用のアクチュエータとして搭載され、ヘッドスライダを微細に変位させる。正の電界を印加することにより圧電素体が伸び、負の電界を印加することにより圧電素体が縮み、この圧電素体の伸縮により、ヘッドスライダの変位を増大させることができる。
圧電素体に負の電界が印加される場合、すなわち、分極方向とは反対の方向に電界が印加される場合、印加される負の電界は、負側の抗電界を超えて大きくすることはできない。すなわち、負側の抗電界を超えて電界が印加されると、圧電素体での分極状態が維持されなくなり、分極劣化が生じる。分極劣化の発生を防ぐためには、負側の抗電界を超えない範囲で電界を印加せざるを得ず、圧電素体が縮む方向での変位量を大きくすることには限界があった。
本発明は、分極劣化の発生を防ぎつつ、圧電素体の変位量、特に、圧電素体が縮む方向での変位量を増大させることが可能な圧電素子を提供することを目的とする。
本発明は、圧電素子であって、圧電セラミック材料の焼結体からなる圧電素体と、圧電素体に配置されており、圧電素体に電界を印加するための第一及び第二電極と、を備え、第一電極は、圧電素体と同時焼成により圧電素体内に形成されている第一内部電極と、圧電素体の外表面上に形成されている第一外部電極と、を有し、第二電極は、第一内部電極と対向するように圧電素体の外表面上に形成されている第二外部電極を有し、圧電素体が第一電極により受ける応力と、圧電素体が第二電極により受ける応力と、がアンバランスであり、圧電素体の分極方向を正の方向とするときに、負側の抗電界が正側の抗電界よりも大きいことを特徴とする。
本発明では、圧電素体が第一電極により受ける応力と、圧電素体が第二電極により受ける応力と、がアンバランスであるため、特に、圧電素体における第一内部電極近傍の領域と圧電素体における第二外部電極近傍の領域とで内部応力がアンバランスな状態となり、圧電素体の分極方向を正の方向とするときに、負側の抗電界が正側の抗電界よりも大きくなる。したがって、印加可能な負の電界の範囲が拡大し、分極劣化の発生を防ぎつつ、圧電素体が縮む方向での変位量を増大させることができる。
第一内部電極は、Ptからなっていてもよく、第一及び第二外部電極は、Crを含んでいてもよい。この場合、圧電素体における第一内部電極近傍の領域は、Ptからなる第一内部電極により引張力を受けると共に、圧電素体における第二外部電極近傍の領域は、Crを含む第二外部電極により圧縮力を受ける。したがって、圧電素体に生じる内部応力がアンバランスな状態となり、圧電素体の分極方向を正の方向とするときに、負側の抗電界が正側の抗電界よりも大きくされる。
第一及び第二外部電極は、Crからなり且つ真空成膜法により形成されている電極層を含んでいてもよい。この場合、圧電素体における第二外部電極近傍の領域が受ける圧縮力が大きくなり、圧電素体に生じる内部応力がより一層アンバランスな状態となる。これにより、負側の抗電界がより一層負側に移動し、印加可能な負の電界の範囲がより一層拡大する。
第二電極は、第一内部電極及び第一外部電極と対向するように圧電素体と同時焼成により圧電素体内に形成されており、Ptからなる第二内部電極を更に有していてもよい。この場合でも、分極劣化の発生を防ぎつつ、圧電素体が縮む方向での変位量を増大させることができる。
本発明によれば、分極劣化の発生を防ぎつつ、圧電素体の変位量、特に、圧電素体が縮む方向での変位量を増大させることが可能な圧電素子を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る圧電素子1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る圧電素子の断面構成を説明する図である。
圧電素子1は、図1及び図2に示されるように、圧電素体3と、第一内部電極5と、第一外部電極7と、第二外部電極9と、を備えている。圧電素子1は、例えば、ハードディスク装置などに適用される。すなわち、デュアル・アクチュエータ方式のハードディスク装置において、ボイスコイルモータ以外の第二のアクチュエータとして、圧電素子1が用いられる。
圧電素体3は、略直方体形状を呈している。圧電素体3は、外表面として、互いに対向する一対の端面3a,3bと、互いに対向する一対の第一側面3c,3dと、互いに対向する一対の第二側面3e,3fと、を有している。圧電素体3の長手方向は、一対の端面3a,3bの対向方向である。一対の第一側面3c,3dは、一対の端面3a,3bを連結するように一対の端面3a,3bの対向方向に延びている。一対の第一側面3c,3dは、一対の第二側面3e,3fの対向方向にも延びている。一対の第二側面3e,3fは、一対の端面3a,3bを連結するように一対の端面3a,3bの対向方向に延びている。一対の第二側面3e,3fは、一対の第一側面3c,3dの対向方向にも延びている。
圧電素体3は、圧電セラミック材料の焼結体からなる。圧電セラミック材料としては、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb、La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)などが挙げられる。
圧電素体3は、一対の第一側面3c,3dの対向方向に複数の圧電体層が積層されて構成されている。圧電素体3では、複数の圧電体層の積層方向(以下、単に「積層方向」と称する。)が一対の第一側面3c,3dの対向方向と一致する。各圧電体層は、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体3では、各圧電体層は、各圧電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
第一内部電極5は、一対の第一側面3c,3dの対向方向に直交するように、圧電素体3内に配置されている。第一内部電極5は、たとえば、平面視で、略矩形形状を呈している。第一内部電極5は、圧電素体3と同時焼成により圧電素体3内に形成されている。第一内部電極5は、Ptからなる。第一内部電極5は、Ptからなる粒子を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
第一内部電極5は、一対の端面3a,3bの対向方向での一つの端が端面3aに露出している。本実施形態では、第一内部電極5は、一対の第二側面3e,3fの対向方向での両端がそれぞれ第二側面3e,3fに露出している。第一内部電極5は、一対の端面3a,3bの対向方向でのもう一つの端が端面3bに露出していない。第一内部電極5の厚みは、たとえば、0.2〜3μmに設定される。
第一外部電極7は、第一電極部分7aと、第二電極部分7bと、を有している。第一電極部分7aは、端面3aに配置されている。第二電極部分7bは、第一側面3cに配置されている。第一電極部分7aと第二電極部分7bとは、圧電素体3上に一体的に形成されている。第一電極部分7aは、端面3aに露出する第一内部電極5の端をすべて覆うように配置されている。第一内部電極5は、端面3aにおいて、第一電極部分7aに直接的に接続される。これにより、第一外部電極7は、第一内部電極5に電気的に接続される。
第二外部電極9は、第一電極部分9aと、第二電極部分9bと、第三電極部分9cと、を有している。第一電極部分9aは、端面3bに配置されている。第二電極部分9bは、第一側面3cに配置されている。第三電極部分9cは、第一側面3dに配置されている。第一電極部分9aと第二電極部分9bと第三電極部分9cとは、圧電素体3上に一体的に形成されている。第一電極部分9aは、端面3b全体を覆うように配置されている。第二電極部分9bは、第一内部電極5と対向するように第一側面3c上に形成されている。第三電極部分9cは、第一内部電極5と対向するように第一側面3d上に形成されている。
第一内部電極5と第二電極部分9bとの間隔(一対の第一側面3c,3dの対向方向での間隔)及び第一内部電極5と第三電極部分9cとの間隔(一対の第一側面3c,3dの対向方向での間隔)は、たとえば、5〜100μmに設定される。一対の第二側面3e,3fには、第一外部電極7と第二外部電極9とは形成されていない。
第一外部電極7と第二外部電極9とは、第一電極層11、第二電極層12、及び第三電極層13をそれぞれ含んでいる。すなわち、電極部分7a,7bと電極部分9a,9b,9cとが、第一電極層11、第二電極層12、及び第三電極層13をそれぞれ含んでいる。
第一電極層11は、圧電素体3上に形成されており、Crからなる。第二電極層12は、第一電極層11上に形成されており、Ni−Cu合金からなる。第三電極層13は、第二電極層12上に形成されており、Auからなる。第一電極層11、第二電極層12、及び第三電極層13は、真空成膜法(たとえば、スパッタリング法又は蒸着法など)により形成されている。第一電極層11の厚みは、たとえば、20〜200nmに設定される。第二電極層12の厚みは、たとえば、20〜500nmに設定される。第三電極層13の厚みは、たとえば、20〜500nmに設定される。
第一内部電極5と第一外部電極7とは、圧電素体3に電界を印加するための第一電極E1として機能する。第二外部電極9は、圧電素体3に電界を印加するための第二電極E2として機能する。すなわち、圧電素子1は、圧電素体3に電界を印加するための一対の電極を備えている。圧電素子1では、圧電素体3における、第二電極部分9bと第一内部電極5とで挟まれた領域、及び、第一内部電極5と第三電極部分9cとで挟まれた領域が、活性領域となり、印加された電界に応じて変位する。
圧電素子1は、図3に示されるように、圧電素体3と、圧電素体3を挟むように配置された第一及び第二電極E1,E2と、を備えるように構成された圧電素子として模式的に表すことができる。第一電極E1は、実際には、第一内部電極5と第一外部電極7とを含むものの、第一外部電極7の面積が第一内部電極5の面積に比して極めて小さいことから、図3では、第一電極E1は、第一内部電極5のみからなるとして図示している。図3は、圧電素体3が一層の圧電素体であると仮定して、本実施形態に係る圧電素子の構成を模式的に示す図である。
図3に示されるように、圧電素体3における第一電極E1(第一内部電極5)近傍の領域は、第一電極E1(第一内部電極5)により引張力F1を受ける。圧電素体3における第二電極E2(第二外部電極9)近傍の領域は、第二電極E2(第二外部電極9)により圧縮力F2を受ける。したがって、圧電素子1では、圧電素体3に生じる内部応力がアンバランスな状態となり、圧電素体3の分極方向を正の方向とするときに、負側の抗電界が正側の抗電界よりも大きくなる。
以上のことから、圧電素子1によれば、印加可能な負の電界の範囲が拡大し、分極劣化の発生を防ぎつつ、圧電素体3が縮む方向での変位量を増大させることができる。
第一外部電極7と第二外部電極9とは、Crからなり且つ真空成膜法により形成されている第一電極層11を含んでいる。これにより、圧電素体3における第二電極E2(第二外部電極9)近傍の領域が受ける圧縮力が大きくなり、圧電素体3に生じる内部応力がより一層アンバランスな状態となる。したがって、圧電素子1においては、負側の抗電界がより一層負側に移動し、印加可能な負の電界の範囲がより一層拡大する。
第一内部電極5と第二電極部分9bとの間隔及び第一内部電極5と第三電極部分9cとの間隔が大きいと、圧電素体3に対する引張力F1及び圧縮力F2の影響が小さくなってしまう。このため、第一内部電極5と第二電極部分9bとの間隔及び第一内部電極5と第三電極部分9cとの間隔は、100μm以下であることが好ましい。
ここで、本実施形態に係る圧電素子1において、圧電素体3の分極方向を正の方向とするときに、負側の抗電界が正側の抗電界よりも大きいことを確認するために行った試験、及び、試験結果について説明する。
まず、試験に用いる圧電素子を作製した。
Ptを含む導電性ペーストにより電極パターンが形成された複数のセラミックグリーンシート及び電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートからなる積層体を焼成することにより、厚みが50μmである圧電基板を作製した後、圧電基板を短冊状に切断する。内部電極の厚みは、1μmである。圧電セラミック材料として、PZTを用いた。
短冊状の圧電基板の各主面及び各端面に対し、スパッタリング法により、Crからなり且つ厚みが100nmである第一電極膜、Ni−Cu合金からなり且つ厚みが300nmである第二電極膜、Auからなり且つ厚みが100nmである第三電極膜、を順に形成する。分極処理の後、圧電基板を、平面視で1.0mm×0.3mmのサイズの個品に切断する。これにより、図1及び図2に示された構成を備える圧電素子が得られた。
次に、得られた圧電素子に交流電界(V[kV/mm])を印加し、分極(P[μC/cm2])を測定した。この測定は、室温(25℃)で行った。測定結果を図4に示す。
図4から分かるように、図1及び図2に示された構成を備える圧電素子では、負側の抗電界(−EC)が正側の抗電界(EC)よりも大きい。
続いて、図5及び図6を参照して、本実施形態の変形例に係る圧電素子1の構成を説明する。図5は、本実施形態の変形例に係る圧電素子を示す斜視図である。図6は、本実施形態の変形例に係る圧電素子の断面構成を説明する図である。
圧電素子1は、図5及び図6に示されるように、圧電素体3と、第一内部電極5と、第二内部電極15と、第一外部電極7と、第二外部電極9と、を備えている。変形例の圧電素子1は、第二内部電極15を備えている点で、上述した実施形態の圧電素子1と相違している。
第二内部電極15は、一対の第一側面3c,3dの対向方向に直交するように、一対の第一側面3c,3dの対向方向において第一内部電極5と異なる位置(層)に配置されている。すなわち、第一内部電極5と第二内部電極15とは、圧電素体3内において、一対の第一側面3c,3dの対向方向に間隔を有して対向するように配置されている。
第二内部電極15は、たとえば、平面視で、略矩形形状を呈している。第二内部電極15は、第一内部電極5と同じく、圧電素体3と同時焼成により圧電素体3内に形成されている。第二内部電極15は、Ptからなる。第二内部電極15は、Ptからなる粒子を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。第二内部電極15の厚みは、たとえば、0.2〜3.0μmに設定される。
第二内部電極15は、一対の端面3a,3bの対向方向での一つの端が端面3bに露出している。第二内部電極15は、第一内部電極5と同じく、一対の第二側面3e,3fの対向方向での両端がそれぞれ第二側面3e,3fに露出している。第二内部電極15は、一対の端面3a,3bの対向方向でのもう一つの端が端面3aに露出していない。一対の端面3a,3bの対向方向での第二内部電極15の長さは、一対の端面3a,3bの対向方向での第一内部電極5の長さに比して短く設定されている。
第一外部電極7は、第一電極部分7aと、第二電極部分7bと、第三電極部分7cと、を有している。第三電極部分7cは、第一側面3dに配置されている。第一電極部分7a、第二電極部分7b、及び第三電極部分7cは、圧電素体3上に一体的に形成されている。第三電極部分7cは、第二内部電極15と対向するように第一側面3d上に形成されている。第二外部電極9は、第一電極部分9aと、第二電極部分9bと、を有している。第二電極部分9bは、第一内部電極5と対向するように第一側面3c上に形成されている。一対の端面3a,3bの対向方向での第三電極部分7cの長さと、一対の端面3a,3bの対向方向での第二電極部分9bの長さと、は同等に設定されている。
第一内部電極5及び第二内部電極15、並びに、第一外部電極7及び第二外部電極9(特に、第三電極部分7c及び第二電極部分9b)の、一対の第二側面3e,3fの対向方向での幅は、それぞれ同等に設定されている。本変形例においても、第一外部電極7と第二外部電極9とは、第一電極層11、第二電極層12、及び第三電極層13をそれぞれ含んでする。すなわち、電極部分7a,7b,7cと電極部分9a,9bとが、第一電極層11、第二電極層12、及び第三電極層13をそれぞれ含んでいる。
第一内部電極5と第一外部電極7とは、圧電素体3に電界を印加するための第一電極E1として機能する。第二内部電極15と第二外部電極9とは、圧電素体3に電界を印加するための第二電極E2として機能する。本変形例の圧電素子1では、圧電素体3における、第二電極部分9bと第一内部電極5とで挟まれた領域、第一内部電極5と第二内部電極15とで挟まれた領域、及び、第二内部電極15と第三電極部分7cとで挟まれた領域が、活性領域となり、印加された電界に応じて変位する。
本変形例の圧電素子1も、図7に示されるように、圧電素体3と、圧電素体3を挟むように配置された第一及び第二電極E1,E2と、を備えるように構成された圧電素子として模式的に表すことができる。図7は、圧電素体3が一層の圧電素体であると仮定して、本実施形態の変形例に係る圧電素子の構成を模式的に示す図である。
図7に示されるように、圧電素体3における第一及び第二内部電極5,15近傍の領域は、第一及び第二内部電極5,15により引張力F1を受ける。圧電素体3における第一及び第二外部電極7,9近傍の領域は、第一及び第二外部電極7,9により圧縮力F2を受ける。一対の端面3a,3bの対向方向での第二内部電極15の長さが、一対の端面3a,3bの対向方向での第一内部電極5の長さに比して短い。これにより、圧電素体3における第二内部電極15により引張力F1を受ける面積が、圧電素体3における第一内部電極5により引張力F1を受ける面積に比して小さい。したがって、本変形例でも、圧電素体3に生じる内部応力がアンバランスな状態となり、圧電素体3の分極方向を正の方向とするときに、負側の抗電界が正側の抗電界よりも大きくなる。
以上のことから、本変形例の圧電素子1によれば、印加可能な負の電界の範囲が拡大し、分極劣化の発生を防ぎつつ、圧電素体3が縮む方向での変位量を増大させることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
上述した本変形例では、一対の端面3a,3bの対向方向での第二内部電極15の長さが、一対の端面3a,3bの対向方向での第一内部電極5の長さに比して短く設定されているが、これに限られない。たとえば、図8に示されるように、一対の端面3a,3bの対向方向での第一内部電極5の長さが、一対の端面3a,3bの対向方向での第二内部電極15の長さに比して短く設定されていてもよい。
一対の端面3a,3bの対向方向での、第一内部電極5の長さと第二内部電極15の長さとが同等に設定され、一対の端面3a,3bの対向方向での第三電極部分7cの長さと一対の端面3a,3bの対向方向での第二電極部分9bの長さとが異なるように設定されていてもよい。図9に示されるように、一対の端面3a,3bの対向方向での第三電極部分7cの長さが、一対の端面3a,3bの対向方向での第二電極部分9bの長さに比して短く設定されていてもよい。図10に示されるように、一対の端面3a,3bの対向方向での第二電極部分9bの長さが、一対の端面3a,3bの対向方向での第三電極部分7cの長さに比して短く設定されていてもよい。
第一及び第二内部電極5,15のそれぞれの数は、上述された実施形態及び変形例で開示された数に限られない。たとえば、複数の第一及び第二内部電極5,15が、一対の第一側面3c,3dの対向方向で交互に位置するように、圧電素体3内に配置されていてもよい。
1…圧電素子、3…圧電素体、5…第一内部電極、7…第一外部電極、9…第二外部電極、11…第一電極層、12…第二電極層、13…第三電極層、15…第二内部電極、E1…第一電極、E2…第二電極。
Claims (4)
- 圧電セラミック材料の焼結体からなる圧電素体と、
前記圧電素体に配置されており、前記圧電素体に電界を印加するための第一及び第二電極と、を備え、
前記第一電極は、前記圧電素体と同時焼成により前記圧電素体内に形成されている第一内部電極と、前記圧電素体の外表面上に形成されている第一外部電極と、を有し、
前記第二電極は、前記第一内部電極と対向するように前記圧電素体の外表面上に形成されている第二外部電極を有し、
前記圧電素体が前記第一電極により受ける応力と、前記圧電素体が前記第二電極により受ける応力と、がアンバランスであり、前記圧電素体の分極方向を正の方向とするときに、負側の抗電界が正側の抗電界よりも大きいことを特徴とする圧電素子。 - 前記第一内部電極は、Ptからなり、
前記第一及び第二外部電極は、Crを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。 - 前記第一及び第二外部電極は、Crからなり且つ真空成膜法により形成されている電極層を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の圧電素子。
- 前記第二電極は、前記第一内部電極及び前記第一外部電極と対向するように前記圧電素体と同時焼成により前記圧電素体内に形成されており、Ptからなる第二内部電極を更に有していることを特徴とする請求項2又は3に記載の圧電素子。
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