JP2015072226A - 検査方法 - Google Patents

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創平 舩岡
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豪 山之内
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知永 安田
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Abstract

【課題】検体中に含まれる肌診断用の抗原を、抗原抗体反応を利用して、高感度にかつ迅速に検出することができる検査方法を提供すること。
【解決手段】本発明の検出方法は、検体50中に含まれる肌診断用の特定の抗原51を検出する方法であり、検体50を貯留するための複数の穴部11を備える基材と、抗原51を特異的に認識する特異抗体41と、ホスホリルコリン基を含む第1の単位およびカルボン酸誘導基を含む第2の単位を有するポリマー31とを備え、穴部11の底面(内面)21には、ポリマー31を介して、特異抗体41が担持されている検出容器1と;抗原51と、界面活性剤と、ビシンと、塩とを含有する検体50とを用意する第1の工程と、検体50を、穴部11に供給して、特異抗体41に抗原51を認識させる第2の工程と、特異抗体41が認識した抗原51を観察する第3の工程とを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、検体中に含まれる肌診断用の抗原を検出する検査方法に関するものである。
検体中に含まれる、肌診断用の抗原を検出して、検出された抗原の種類やその組み合わせに応じて、肌の状態を診断することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
従来、この肌診断用の抗原の検出には、通常、ウェスタンブロット法、免疫組織化学分析法、蛍光共鳴エネルギー遷移測定法等が用いられている。
しかしながら、これらの方法では、検体の採取から抗原の検出までに長時間を要し、迅速な肌診断を検体採取者に対して行うことができず、検体採取時における肌状態に応じた処置を施すことができないという問題が生じる。
国際公開番号WO2007/046463号公報
本発明の目的は、検体中に含まれる肌診断用の抗原を、抗原抗体反応を利用して、高感度にかつ迅速に検出することができる検査方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(6)に記載の本発明により達成される。
(1) 検体中に含まれる肌診断用の特定の抗原を検出する検査方法であって、
前記検体を貯留するための複数の穴部を備える基材と、前記抗原を特異的に認識する特異抗体と、ホスホリルコリン基を含む第1の単位およびカルボン酸誘導基を含む第2の単位を有するポリマーとを備え、前記穴部の内面には、前記ポリマーを介して、前記特異抗体が担持されている検出容器と、
前記抗原と、界面活性剤と、ビシンと、塩とを含有する検体とを用意する第1の工程と、
前記検体を、前記穴部に供給して、前記特異抗体に前記抗原を認識させる第2の工程と、
前記特異抗体が認識した前記抗原を観察する第3の工程とを有することを特徴とする検査方法。
(2) 前記抗原は、ヒートショックプロテイン27、アルギナーゼ1、マクロファージ遊走阻止因子、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子、プロフィリン1、インターロイキン1a、インターロイキン1レセプターアンタゴニスト、ガレクチン−7またはPARK7である上記(1)に記載の検査方法。
(3) 前記ポリマーは、下記一般式(2B)で表される共重合体である上記(1)または(2)に記載の検査方法。
Figure 2015072226
(ただし、上記一般式(2B)において、a、bおよびcは、それぞれ独立して、正の整数である。nは、1〜100の整数を示す。)
(4) 前記界面活性剤は、ポリオキシエチレン (9) オクチルフェニルエーテル(NP-40)、ポリオキシエチレン (8)オクチルフェニルエーテル(Triton X)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、3−[(3−コラミドプロピル) ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、スルホベタイン3(SB3)のうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の検査方法。
(5) 前記塩は、NaCl、KCl、MgCl、NHClのうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の検査方法。
(6)前期検体は、そのpHが5.0以上、10.0以下である上記(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の検査方法。
本発明によれば、検体中に含まれる肌診断用の抗原を、抗原の種類に関係なく、抗原抗体反応を利用して、高感度にかつ迅速に検出することができ、かつ、この検出結果に基づいて、適切な肌診断を実施することができる。
本発明の検査方法に用いられる検出容器の好適実施形態を模式的に示す部分縦断面図である。 図1に示す検出容器が有する穴部付近を部分的に拡大した部分拡大平面図である。 図1に示す検出容器を用いた検査方法の好適実施形態を説明するための縦断面図である。 本発明の検査方法に用いられる検出容器の他の構成例を模式的に示す図である。 実施例で用いた検出容器が備える穴部の底面における特異抗体担持領域の配列を示す部分拡大平面図である。 実施例で用いた5つの検出容器の配列関係を示す平面図である。 実施例で用いた5つの検出容器における蛍光度分布を示す平面視撮像写真である。 実施例の0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるHSP27濃度と蛍光量との関係を示すグラフである。 実施例の0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるMIF濃度と蛍光量との関係を示すグラフである。 実施例の0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるIL−1a濃度と蛍光量との関係を示すグラフである。 実施例の0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるIL−1ra濃度と蛍光量との関係を示すグラフである。 実施例の0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるPARK7濃度と蛍光量との関係を示すグラフである。 実施例の0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるガレクチン−7濃度と蛍光量との関係を示すグラフである。
以下、本発明の検査方法について、好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<検出容器>
まず、本発明の検査方法に用いられる検出容器の一例である検出容器1について説明する。
図1は、本発明の検査方法に用いられる検出容器の好適実施形態を模式的に示す部分縦断面図、図2は、図1に示す検出容器が有する穴部付近を部分的に拡大した部分拡大平面図である。
検出容器1は、検体中に含まれる肌診断用の特定の抗原を検出するために用いられるものであり、検体を貯留するための複数の穴部を備える基材と、抗原を特異的に認識する特異抗体と、穴部の内面に吸着したポリマーとを有するものである。
本実施形態では、基材10に4つ(複数)の穴部(ウェル)11が設けられている。
すなわち、検出容器1では、平板状をなす基材10の下面から突出するように4つの有底円筒状をなす筒体12が設けられており、これら筒体12に対応するようにして、基材10の上面で開口する穴部11が4つ設けられている。
また、各穴部11における底面(内面)21のほぼ全面にはポリマー31が吸着し(担持され)ている。
そして、特異抗体担持領域22に対応する底面21には、このポリマー31を介して、特異抗体41が担持されており、特異抗体非担持領域23に対応する底面21には、ポリマー31を介して、特異抗体41が担持されていない。すなわち、穴部11の底面21において、特異抗体担持領域22に対応する位置では、ポリマー31を介して、特異抗体41が担持され、特異抗体非担持領域23に対応する位置では、ポリマー31が担持されているものの、特異抗体41が担持されていない。
したがって、穴部11に検体を供給することにより、特異抗体担持領域22に対応する底面21において、特異抗体41が特異的に認識する抗原が、特異抗体41およびポリマー31を介して、穴部11の底面21に担持される。このようにして、穴部11の特異抗体担持領域22に対応する底面21において、検体中に含まれる抗原が、特異抗体41に認識されることにより検出される。
これに対して、特異抗体非担持領域23に対応する底面21には、ポリマー31を介して、特異抗体41が担持されていない。そのため、特異抗体41が特異的に認識する抗原を底面21に特異抗体41を介して担持されることはない。よって、穴部11の特異抗体非担持領域23に対応する底面21では、検体中に含まれる抗原が検出されることはない。
特異抗体担持領域22は、底面21において、図2に示すように、平面視で、それぞれ、円形状をなしており、各特異抗体担持領域22の間に、特異抗体非担持領域23が介在することで、各特異抗体担持領域22が区画されている。
このような各特異抗体担持領域22は、本実施形態では、格子状をなすように配置されており、図2に示すように、X方向に5つずつ、Y方向に6つずつ配置されている。
ここで、各特異抗体担持領域22において、底面21にポリマー31を介して担持される特異抗体41の種類は、同一のもの、または異なるものの何れであってもよい。
複数の特異抗体担持領域22において、底面21にポリマー31を介して担持される特異抗体41の種類を同一のものとすることにより、かかる特異抗体41で認識される同一の抗原を複数の特異抗体担持領域22において検出することができる。そのため、検出すべき抗原の検出感度(検出信頼性)の向上が図られる。
また、複数の特異抗体担持領域22において、底面21にポリマー31を介して担持される特異抗体41の種類を異なる(異種の)ものとすることにより、かかる特異抗体41で認識される抗原が異なるものとなる。そのため、複数の特異抗体担持領域22において異種の抗原を検出することができることから、1回の検査、すなわち、1つの検体から複数の抗原を検出することができる。
かかる特性を考慮して、本実施形態では、X方向に配列する5つの特異抗体担持領域22において、底面21にポリマー31を介して担持される特異抗体41の種類は、同一のものとなっており、Y方向に配列する6つの特異抗体担持領域22において、底面21にポリマー31を介して担持される特異抗体41の種類は、互いに異種のものとなっている。かかる構成とすることで、上述した効果の双方を発揮させることができる。
また、特異抗体担持領域22の外周の平均径は、300〜500μm程度であるのが好ましく、350〜450μm程度であるのがより好ましい。
さらに、各特異抗体担持領域22の中心同士の離間距離は、600〜800μm程度であるのが好ましく、650〜750μm程度であるのがより好ましい。
検体採取者の肌の状態を診断する際に指標として用いることができる抗原、すなわち、特異抗体41により認識される抗原としては、例えば、ヒートショックプロテイン(HSP)27、アルギナーゼ1、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、プロフィリン(PFN)1、インターロイキン1a(IL−1a)、インターロイキン1レセプターアンタゴニスト(IL−1ra)、ガレクチン−7またはPARK7(DJ−1)が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
このような抗原を、肌診断の際に検体中から検出するためには、前述の通り、かかる抗原を特異的に認識する特異抗体41を、ポリマー31を介して底面21に担持させる必要があるが、本発明では、ポリマー31としては、以下に示すようなものが用いられる。
すなわち、ポリマー31としては、ホスホリルコリン基を含む第1の単位とカルボン酸誘導基を含む第2の単位とを有する高分子物質であり、抗体や抗原の非特異的吸着を抑制する性質と、抗体を固定化する性質とを併せ持つものが用いられる。
より具体的には、第1の単位に含まれるホスホリルコリン基は抗体や抗原の非特異的吸着を抑制する役割を果たし、第2の単位に含まれるカルボン酸誘導基は捕捉分子を化学的に固定化する役割を果たす。
ポリマー31として、かかる構成のものを用いることにより、後述する検出容器1の製造方法において、このポリマー31を介して、特異抗体41を底面21に確実に担持させることができる。
第1の単位は、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホリルコリン基;2−メタクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン基および10−メタクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキルホスホリルコリン基;アリルホスホリルコリン基、ブテニルホスホリルコリン基、ヘキセニルホスホリルコリン基、オクテニルホスホリルコリン基、およびデセニルホスホリルコリン基等のアルケニルホスホリルコリン基;等の基を有し、ホスホリルコリン基がこれらの基中に含まれている構成とすることができる。
また、これら第1の単位として用いられる基のうち、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。第1単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを有する構成とすることにより、基材10の底面(表面)21における非特異的吸着をより確実に抑制することができる。
ポリマー31において、第1の単位の割合は、特に限定されないが、重合体における全モノマーの繰り返し単位の総数に対して、5〜50mol%が好ましく、より好ましくは10〜40mol%、さらに好ましくは15〜30mol%である。
また、第2単位において、活性化されたカルボン酸誘導体は、カルボン酸のカルボキシル基が活性化されたものであり、C=Oを介して脱離基を有するカルボン酸である。活性化されたカルボン酸誘導体としては、例えば、カルボン酸であるアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基が、酸無水物、酸ハロゲン化物、活性エステル、活性化アミドに変換された化合物が挙げられる。
カルボン酸誘導基は、こうした化合物に由来する活性化された基であり、例えば、p−ニトロフェニル基やN−ヒドロキシスクシンイミド基等の活性エステル基;−Cl、−F等のハロゲン等の基を有することができる。
また、カルボン酸誘導基は、下記式(1B)に示される基とすることができる。
Figure 2015072226
(ただし、上記式(1B)において、Aは水酸基を除く脱離基である。)
また、上記式(1B)に示される一価の基は、例えば、下記式(p)または式(q)から選択されるいずれかの基とすることができる。
Figure 2015072226
(ただし、上記式(p)および式(q)において、RおよびRは、それぞれ独立して、一価の有機基であり、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。また、上記式(p)において、RはCとともに環を形成する二価の基であってもよい。また、上記式(q)において、RはNとともに環を形成する二価の基であってもよい。)
具体的には、上記式(p)に示される基として、例えば、下記式(r)、(s)、および(w)に示される基が挙げられる。
また、上記式(q)に示される基として、例えば下記式(u)、(v)に示される基が挙げられる。
したがって、上記式(1B)に示される基は、例えば、下記式(r)、式(s)等に示される酸無水物由来の基;下記式(t)に示される酸ハロゲン化物由来の基;下記式(u)、式(w)に示される活性エステル由来の基;または下記式(v)に示される活性化アミド由来の基とすることができる。
Figure 2015072226
カルボン酸誘導基のうち、活性エステル基は、穏やかな条件における反応性に優れるため好ましく用いられる。穏やかな条件としては、例えば中性またはアルカリ性の条件、具体的にはpH7.0以上10.0以下、さらに具体的にはpH7.6以上9.0以下、さらにまた具体的にはpH8.0とすることができる。
なお、本明細書中において、「活性エステル基」とは、エステル基の片方の置換基に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応に対して活性化されたエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味するものとして、各種の化学合成、例えば高分子化学、ペプチド合成等の分野で慣用されているものを言う。実際的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。
このような活性エステル基としては、−COOR”で表されるR”に上記酸性度が高い電子吸引性基を有するものが挙げられる。例えば上記R”がp−ニトロフェニルである、p−ニトロフェニル活性エステル基;上記R”がN−ヒドロキシスクシンイミドである、N−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル基;上記R”がフタル酸イミドである、フタル酸イミド活性エステル基;上記R”が5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド活性エステル基等が挙げられるが、中でも保存安定性と反応性の高さとのバランスの点からp−ニトロフェニル活性エステル基またはN−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル基が好ましく、p−ニトロフェニル活性エステル基が最も好ましい。
また、ポリマー31において、第2の単位の割合は、特に限定されないが、重合体における全モノマーの繰り返し単位の総数に対して、1〜30mol%が好ましく、より好ましくは1〜20mol%、さらに好ましくは2〜15mol%である。
基材10の底面(表面)21に特異抗体が固定化される検出容器1において、第1単位と第2単位のさらに具体的な構成の組み合わせとして、例えば、ホスホリルコリン基を含む第1単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基を有し、活性エステル基がp−ニトロフェニル基である構成とすることができる。
また、ポリマー31は、ホスホリルコリン基およびカルボン酸誘導基以外に他の基を含んでもよい。また、このポリマー31は、共重合体とすることができる。
具体的には、ポリマー31がブチルメタクリレート基を含む共重合体であることが好ましい。かかる構成とすることで、ポリマー31が適度に疎水化し、基材10の表面への吸着性をさらに好適に確保することができる。
また、ポリマー31において、ブチルメタクリレート基を含む構成とする場合、このブチルメタクリレート基を含む繰り返し単位の割合は、特に限定されないが、重合体における全モノマーの繰り返し単位の総数に対して、40〜95mol%が好ましく、より好ましくは50〜90mol%、さらに好ましくは60〜80mol%である。
なお、ブチルメタクリレート基を含むポリマー31を、具体的には、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)基を有する第1単量体と、p−ニトロフェニルカルボニルオキシエチルメタクリレート(NPMA)基を有する第2単量体と、ブチルメタリレート(BMA)基を有する第3単量体との共重合体とすることができる。
すなわち、これらの共重合体であるpoly(MPC−co−BMA−co−NPMA)(PMBN)は、模式的に下記一般式(2B)で表される。
Figure 2015072226
(ただし、上記一般式(2B)において、a、bおよびcは、それぞれ独立して、正の整数である。nは、1〜100の整数を示す。)
また、上記一般式(2B)において、第1〜第3単量体がブロック共重合していてもよいし、これらの単量体がランダムに共重合していてもよい。
ここで、上記一般式(2B)で示される共重合体は、ポリマー31の適度な疎水化と、抗体の非特異吸着を抑制する性質と、抗体を固定化する性質とのバランスにより一層優れた構成である。このため、これを用いることにより、基材10の表面をより確実にポリマー31で被覆するとともに、ポリマー31が吸着した基材10上への非特異的吸着を抑制しつつ、抗体をさらに確実に共有結合により固定化して基材10上に導入することができる。
また、検体採取者の肌の状態を診断する際に指標として用いることができる抗原、すなわち、特異抗体41により認識される抗原として挙げた各種抗原は、具体的には、それぞれ、以下に示すようなものである。
すなわち、プロフィリン1(PFN1:Gene ID 5216)は、生体内において広範囲に発現しているタンパク質であり、細胞内の細胞骨格構成タンパク質であるアクチンの重合・脱重合を調節するタンパク質として知られている。このようなプロフィリン1は、皮膚老化リスク評価の指標となり、特に、老化現象の対象として、シワ形成の指標(マーカー)として有効である。すなわち、検体中のプロフィリン1を検出してその発現量を測定することにより、シワ形成等の将来予測をすることができる。
また、ヒートショックプロテイン27(HSP27)は、熱等のストレス条件下にさらされた際に発現が上昇して細胞を保護するタンパク質であり分子シャペロンとしての機能を有し、細胞内タンパク質輸送に関与するタンパク質でることが知られており、肌ストレスの指標(マーカー)として有効である。
アルギナーゼ1は分子質量34,735Daの細胞内タンパク質で、アルギニンをオルニチンと尿素に変換する酵素である。哺乳類《アルギナーゼ》の少なくとも2つの《アイソフォーム》(I型とII型)が存在し、それらは組織分布、細胞内局在性、免疫学的交差反応性、生理学的機能において異なる。この遺伝子が指令するアイソフォームI型は細胞質ゾル酵素であり、尿素循環の構成因子として肝臓で優先的に発現される。この酵素の遺伝的《欠損》は、《高アンモニア血症》を特徴とする《常染色体劣性遺伝疾患》である《アルギニン血症》をもたらす。このような、アルギナーゼ1は、紫外線リスクの指標(マーカー)として有効である。遺伝子塩基配列情報(ARG1,NucleicAcidsRes.:16:8789−8802(1988),X12662)。アミノ酸配列情報(Arginase−1,CellDeathDiffer.2000Feb;7(2):137−44,P05089)。
ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)は、分枝質量48,525Daの分泌タンパク質である。uPAはプラスミノーゲンをプラスミンに変換するセリンプロテアーゼの一種。前駆体タンパク質(55kDa)として細胞外へ分泌され、切断型(35kDa)となってプロテアーゼ活性を示す。乳がんで多くの発現が見られるが、本発明では、皮膚老化マーカーの指標(マーカー)として有効である。遺伝子配列情報(Urokinase−type plasminogen activator , Nucleic Acids Res.13:2759−2771,1985,BC013575)。アミノ酸配列情報(Urokinase−type plasminogen activator,Hoppe−Seyler's Z.Physiol.Chem.363:1043−1058,1982,P00749)。
マクロファージ遊走阻止因子(MIF)は、通常は血管中を血液とともに流動しており、能動的に適所にとどまることはできないマクロファージを、異物侵入場所に的確にとどめるための因子であり、肌ストレスの指標(マーカー)として有効である。
さらに、インターロイキン1a(IL−1a)は、炎症時における発熱や急性期タンパク質の産生誘導に関与する炎症性サイトカインであり、肌ストレスの指標(マーカー)として有効である。
インターロイキン1レセプターアンタゴニスト(IL−1ra)は、IL−1レセプターにIL−1と同等の結合親和性を有するIL−1の作用を拮抗的に阻害する一種の生体内インヒビターと考えられるものであり、肌ストレスの指標(マーカー)として有効である。
ガレクチン−7は、重層上皮に分布する糖鎖との結合に関与するタンパク質であり、肌ストレスの指標(マーカー)として有効である。
PARK7(DJ−1)は、パーキンソン病等に関与するタンパク質であり、肌ストレスマーカーの指標(マーカー)として有効である。
以上、説明したような検出容器1を用いた検出キットによれば、穴部11において、それぞれ、上述したような抗原を検出することができる。そのため、得られた検出結果に基づいて、シワ、肌ストレス、紫外線ストレスおよび弾力性等の肌診断のための項目を検査することができる。
なお、本実施形態では、基材10が4つの穴部11を備える場合について説明したが、かかる場合に限定されず、基材は、少なくとも1つの穴部を備えていればよい。
<検出容器の製造方法>
上記のような検出容器1は、以下のようにして製造される。
本実施形態の検出容器の製造方法は、[A]穴部を備える基材を用意する工程と、[B]穴部内にポリマーを担持させる工程と、[C]穴部内を洗浄する工程と、[D]穴部内の特異抗体担持領域に対応する位置に特異抗体を、ポリマーを介して担持させる工程と、[E]穴部内を洗浄する工程とを有する。
以下、各工程について、順次説明する。
[A]まず、穴部11を備える基材10を用意する。
本実施形態では、基材10に4つの穴部11が1列に配列されているものが用意される。
この基材10の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのような直鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンおよび含フッ素樹脂等の樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[B]次に、基材10が備える穴部11内にポリマー31を担持させる。
この穴部11内へのポリマー31の担持は、本実施形態では、穴部11の底面21に対して施される。
ポリマー31は、前述したとおり、ホスホリルコリン基を含む第1の単位とカルボン酸誘導基を含む第2の単位とを有する高分子物質である。
このような第1の単位と第2の単位とを有する高分子物質で構成されるポリマー31の穴部11の底面21への担持は、例えば、第1の単位の単量体(モノマー)と、第2の単位の単量体(モノマー)とを、穴部11内に供給し、これらを穴部11内で重合させることにより行うことができる。
例えば、上記一般式(2B)で示される共重合体を底面21上に担持させる場合には、MPC、BMA、およびNPMAの各単量体を溶媒中に混合して混合液を調製し、その後、この混合液を浸漬、吹きつけ等の公知の方法で穴部11の底面21に供給(塗布)し、穴部11内においてラジカル重合等の公知の重合方法により、MPC、BMA、およびNPMAを重合させた後、室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより行うことができる。
より具体的には、上記一般式(2B)で示される共重合体をラジカル重合により作製する場合、例えば、Ar等の不活性ガス雰囲気にて、30℃以上90℃以下の温度条件で、MPC、BMA、およびNPMAの各単量体による溶液重合を行うことができる。
溶液重合に使用される溶媒は適宜選択されるが、例えば、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、イソプロパノール等のアルコールや、ジエチルエーテル等のエーテル、クロロホルム等の有機溶媒を単独でまたは複数混合して用いることができる。具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒とすることができる。
また、ラジカル重合反応に使用されるラジカル重合開始剤としては、通常使用されるものを用いることができる。例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系開始剤;過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート等の油溶性の有機過酸化物等が用いられる。
より具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒およびAIBNを用い、Ar中、60℃にて2〜6時間程度重合を行うことができる。
また、上記のように、ポリマー31の合成と、ポリマー31の底面21への担持とを、穴部11においてほぼ同時に実施する場合の他、予め合成されたポリマー31を穴部11の底面21に供給して底面21にポリマー31を担持させるようにしてもよい。
この場合、例えば、予め合成したポリマー31を有機溶剤に0.05〜10重量%濃度になるように溶解したポリマー溶液を調製し、その後、このポリマー溶液を浸漬、吹きつけ等の公知の方法で底面21に塗布した後、室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより、底面21にポリマー31を担持させることができる。
有機溶剤としては、特に限定されないが、エタノール、メタノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン等の単独溶媒またはこれらの混合溶剤が使用される。中でも、エタノール、メタノールが基材10の穴部11を変性させず、乾燥させやすいため好ましい。
[C]次に、穴部11内を洗浄する。
具体的には、穴部11内に洗浄液を供給した後、この洗浄液を除去して廃棄することで、穴部11内を洗浄する。なお、洗浄液の供給の後、洗浄液を穏やかに攪拌するのが好ましい。これにより、洗浄液中に、穴部11にポリマー31として担持されなかった、第1の単位の単量体および第2の単位の単量体をより確実に分散させることができるため、穴部11内の洗浄効率を向上させることができる。
本工程で用いる洗浄液としては、特に限定されないが、ポリマー31の分解が生じるのを防止するために、等張液が好ましく用いられる。この等張液には、後述する検査方法の工程[3]で説明するのと同様のものが挙げられる。
また、本工程は、必要に応じて、複数回繰り返して行うようにしてもよい。これにより、穴部11にポリマー31として担持されなかった第1の単位の単量体および第2の単位の単量体をより確実に除去することができる。
この場合、用いる洗浄液は、各回において、同一のものを用いてもよく、異なる種類(条件)のものを用いるようにしてもよい。
[D]次に、穴部内の特異抗体担持領域に対応する位置に、抗原を特異的に認識する特異抗体41を、ポリマー31を介して担持させる。
すなわち、本実施形態では、底面21において、X方向に5つ、Y方向に6つずつ、それぞれ格子状に配列された特異抗体担持領域22に対応する位置に、特異抗体41を、ポリマー31に固定化することにより、ポリマー31を介して担持させる。
この際、X方向に1列に配列された5つの特異抗体担持領域22に対応する底面21の位置には、同一の種類(同種)の特異抗体41がポリマー31を介して担持され、Y方向に1列に配列された6つの特異抗体担持領域22に対応する底面21の位置には、異なる種類(異種)の特異抗体41がポリマー31を介して担持される。
この特異抗体41のポリマー31への固定化は、例えば、特異抗体41を溶解または分散させた液体(固定化液)を、基材10(穴部)において、ポリマー31が吸着した底面21の特異抗体担持領域22に対応する位置に、選択的に供給(点着)し、その後、静置して乾燥させることにより行うことができる。
また、底面21の特異抗体担持領域22に対応する位置に対する固定化液の供給は、かかる位置に固定化液を供給し得る方法であればいかなる方法を用いて行なってもよいが、例えば、インクジェット法、ナノインプリント法およびナノインク法等のうちの1種を用いて行うのが好ましい。これらの方法によれば、底面21の特異抗体担持領域22に対応する位置に、優れた精度で固定化液を選択的に供給することができる。
具体的には、インクジェット法では、固定化液を、ヘッドが備えるノズルから液滴として特異抗体担持領域22に吐出することにより行われる。これにより、固定化液が特異抗体担持領域22の形状に描画(供給)される。
また、ナノインプリント法では、特異抗体担持領域22の形状に対応してパターニングされた型に固定化液を付着させた状態で、特異抗体担持領域22にこの型を接触させることにより行われる。これにより、型に付着している固定化液が特異抗体担持領域22の形状に転写(供給)される。
さらに、ナノインク法では、走査トンネル顕微鏡(STM)や原子間力顕微鏡(AFM)のような走査プローブ顕微鏡(SPM)に備えられるプローブ(探り針)をペン先として用いることにより行われる。そして、このプローブを底面21に当接した状態で、固定化液をプローブに伝わせつつ、特異抗体担持領域22内を移動させる。これにより、固定化液が特異抗体担持領域22の形状に描出(供給)される。
[E]次に、穴部11内を洗浄する。
これにより、固定化液中に含まれる特異抗体41のうち、ポリマー31に固定化しなかった特異抗体41が、穴部11外に廃棄される。
穴部11内を洗浄する方法としては、前記工程[C]で説明したのと同様の方法が用いられる。
また、穴部11内の洗浄後には、特異抗体非担持領域23において、特異抗体41を固定化した以外の底面21に残存するポリマー31の官能基を不活性化処理するのが好ましい。特異抗体41を固定化する官能基が活性エステル基やアルデヒド基の場合は、アルカリ化合物、または一級アミノ基を有する化合物で不活化処理することができる。
アルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化リチウム、リン酸カリウム等を好ましく用いることができる。
一級アミノ基を有する化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、グリシン、9−アミノアクアジン、アミノブタノール、4−アミノ酪酸、アミノカプリル酸、アミノエタノール、5−アミノ2,3−ジヒドロー1,4−ペンタノール、アミノエタンチオール塩酸塩、アミノエタンチオール硫酸、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、リン酸二水素2−アミノエチル、硫酸水素アミノエチル、4−(2−アミノエチル)モルホリン、5−アミノフルオレセイン、6−アミノヘキサン酸、アミノヘキシルセルロース、p−アミノ馬尿酸、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、5−アミノイソフタル酸、アミノメタン、アミノフェノール、2−アミノオクタン、2−アミノオクタン酸、1−アミノ2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、3−アミノプロペン、3−アミノプロピオニトリル、アミノピリジン、11−アミノウンデカン酸、アミノサリチル酸、アミノキノリン、4−アミノフタロニトリル、3−アミノフタルイミド、p−アミノプロピオフェノン、アミノフェニル酢酸、アミノナフタレン等を好ましく用いることができ、アミノエタノール、グリシンが最も好ましい。
以上の工程を経ることにより、検出容器1が製造される。
<検査方法>
次に、この検出容器1を用いた、肌診断用の特定の抗原を検出する検査方法について説明する。
図3は、図1に示す検出容器を用いた検査方法の好適実施形態を説明するための縦断面図である。
本実施形態の検査方法は、検体中に含まれる特定の抗原を検出する検査方法であって、[1]検出容器と、検出すべき抗原を含有する検体とを用意する工程と、[2]前記検体を穴部内に供給する工程と、[3]穴部内を洗浄する工程と、[4]前記抗原を特異的に認識し、かつ標識化された標識化特異抗体を含有する処理液を穴部内に供給する工程と、[5]穴部内を洗浄する工程と、[6]標識化特異抗体が備える標識部位を観察する工程とを有する。
以下、各工程において、検出容器1が備える穴部11における底面21の特異抗体担持領域22で、検体中に含まれる肌診断用の特定の抗原が検出される過程を、順次説明する。
[1] まず、図3(a)に示す検出容器1と、検出すべき抗原51を含有する検体50を用意する(第1の工程)。
検体50には、例えば、検体採取者の皮膚(肌)に粘着テープを貼り付けて、この粘着テープに角層を粘着させ、その後、純水、超純水、イオン交換水等の水のような分散媒中に、この角層を分散させたものを用いることができる。
本発明では、このような検体50は、抗原51の他に、さらに、界面活性剤と、ビシン(bicine;C6H13NO4)と、塩とを含有する。検体50をこれらのものを含有するものとすることにより、次工程[2]において、検体50を、穴部11内に供給した際に、検体50に含まれる抗原51の特異抗体41による特異的な認識能を向上させることができる。
したがって、底面21の特異抗体担持領域22に対応する位置において、ポリマー31を介して特異抗体41が担持されるが、特異抗体41の種類によっては、ポリマー31に対する結合率が低いものが存在する。すなわち、特異抗体41の種類によっては、特異抗体41が連結していないポリマー31が多く残存しているものが存在するが、たとえ、このような場合であっても、本発明では、抗原51の特異抗体41による認識能が向上していることから、後工程[6]における標識化特異抗体61が備える標識部位の観察を確実に行うことができる。換言すれば、検体50中に抗原51が含まれることを確実に観察することができる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤および陽イオン性界面活性剤が挙げられ、これらのうちのいずれであっても良いが、非イオン性界面活性剤としてのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(NP-40、Triton X)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij);両性界面活性剤としての3−[(3−コラミドプロピル) ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、スルホベタイン3(SB3);陰イオン性界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウム(SDS)であることが好ましく、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。これらの中でも、特に、ポリオキシエチレン (9) オクチルフェニルエーテル(NP-40)、ポリオキシエチレン (8)オクチルフェニルエーテル(Triton X)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、3−[(3−コラミドプロピル) ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、スルホベタイン3(SB3)であることが好ましい。
また、塩としては、NaCl、KCl、MgCl、NHCl等が挙げられ、これらの中でも、NaClであるのが好ましい。
界面活性剤および塩として、これらのものを用いることにより、検体50に含まれる抗原51の特異抗体41による認識能をより向上させることができる。
検体50中における界面活性剤の濃度は、好ましくは0.00001%以上、5%以下程度、より好ましくは0.01%以上、1%以下程度に設定される。
また、検体50中におけるビシンの濃度は、好ましくは1mM以上、50mM以下程度、より好ましくは20mM以上、30mM以下程度に設定される。
さらに、検体50中における塩の濃度は、好ましくは10mM以上、300mM以下程度、より好ましくは150mM以上、200mM以下程度に設定される。検体50中における界面活性剤、ビシンおよび塩の濃度をかかる範囲内に設定することにより、前記認識能をさらに向上させることができる。
また、検体50のpHは、好ましくは5.0以上、10.0以下程度、より好ましくは6.5以上、8.5以下程度に設定される。これにより、抗原51の破壊を防止しつつ、前記認識能をさらに向上させることができる。
[2]次に、図3(b)に示すように、検体50を、穴部11内に供給する(第2の工程)。
これにより、特異抗体担持領域22において、特異抗体41に検体50が接触する。このとき、検体50中に、抗原51が含まれていると、特異抗体(一次抗体)41に抗原51が特異的に認識される。
なお、検体50中には、この抗原51以外の抗原(図3(b)中の●や★)が含まれているが、特異抗体41は、抗原51を特異的に認識する。そのため、この抗原51以外の抗原が検体50中に含まれていたとしても、特異抗体41は、他の抗原を認識することなく、抗原51を選択的に認識する。
その結果、特異抗体担持領域22において、穴部11の底面21に、検体50中に含まれる抗原51が、ポリマー31および特異抗体41を介して選択的に担持(吸着)される。
なお、この検体50を穴部11内に留置しておく時間は、1〜30分程度であるのが好ましく、5〜15分程度であるのがより好ましい。この時間が短過ぎると、特異抗体41が認識する抗原51の数が少なくなるおそれがあり、一方、この時間を前記上限値を超えて長くしても、それ以上の効果の増大が見込めない。
また、処理時における検体50の温度は、0〜40℃程度であるのが好ましく、10〜37℃程度であるのがより好ましい。
検体50の温度をかかる範囲内に設定することにより、検体50中に含まれる抗原51がより迅速かつ選択的に認識されるようになる。
なお、特異抗体非担持領域23に対応する穴部11の底面21には、ポリマー31を介して特異抗体41が担持されていない。そのため、検体50中に抗原51が含まれていたとしても、特異抗体非担持領域23に対応する位置では、抗原51が底面21に担持されることを的確に抑制または防止することができる。
[3]次に、穴部11内を洗浄する。
具体的には、穴部11内に洗浄液を供給した後、この洗浄液を除去して廃棄することで、穴部11内を洗浄する。なお、洗浄液の供給の後、洗浄液を穏やかに攪拌するのが好ましい。これにより、洗浄液中に、穴部11に担持されなかった抗原51や、検体50中に含まれる抗原51以外の抗原をより確実に分散させることができるため、穴部11内の洗浄効率を向上させることができる。
本工程で用いる洗浄液としては、特に限定されないが、特異抗体41および抗原51に変性・変質が生じるのを防止するために、等張液が好ましく用いられる。なお、本明細書中において、「等張液」とは、細胞内液の浸透圧とほぼ等しい浸透圧の液体のことを言うこととする。これにより、溶媒または分散媒が抗原に接触した際に、細胞内に存在するのと同様の浸透圧を維持することができるため、抗原の破壊を防止することができる。
この等張液には、例えば、Dulbecco液(PBS:リン酸緩衝生理食塩水)、Locke液、Ringer液、Tyrode液、Earle液、Krebs液、生理食塩水等を用いることができる。
また、この等張液には、必要に応じて、各種界面活性剤が添加されていても良い。
界面活性剤としては、例えば、n−デシル−α−D−グルコピラノシドのようなアルキルグルコシド系非イオン界面活性剤、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビンタン(Tween20)のようなポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本工程は、必要に応じて、複数回繰り返して行うようにしてもよい。これにより、穴部11に担持されなかった抗原51をより確実に除去することができる。
この場合、用いる洗浄液は、各回において、同一のものを用いてもよく、異なる種類(条件)のものを用いるようにしてもよい。
[4]次に、標識化特異抗体61を含有する処理液60を穴部11内に供給する(第4の工程)。
この標識化特異抗体61は、特異抗体41と同様に、抗原51を特異的(選択的)に認識するとともに、標識部位により標識化された二次抗体として機能するものである。
かかる標識化特異抗体61を含む処理液60を穴部11内に供給することにより、特異抗体担持領域22において、標識化特異抗体61は、図3(c)に示すように、抗原51を認識する。
その結果、ポリマー31と、特異抗体41と抗原51とを介して、穴部11の底面に標識化特異抗体61が担持(吸着)される。
なお、抗原51が認識(吸着)されていない特異抗体41には、当然、標識化特異抗体61が特異抗体41を認識することができないため、標識化特異抗体61が担持されることはない。
また、標識化特異抗体61を標識化するための標識部位としては、特に限定されないが、酵素、蛍光物質および吸光物質等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このように標識化特異抗体61を用いて、抗原51を標識化すれば、後工程[6]において、標識化特異抗体61が有する標識部位を観察することにより、特異抗体41に担持された抗原(マーカー)51の有無の判定(陽性、陰性の判定)、さらには検体50中の抗原51の量を定量することが可能となる。
なお、処理液60を穴部11内に留置しておく時間は、1〜30分程度であるのが好ましく、5〜15分程度であるのがより好ましい。この時間が短過ぎると、標識化特異抗体61が認識する抗原51の数が少なくなるおそれがあり、一方、この時間を前記上限値を超えて長くしても、それ以上の効果の増大が見込めない。
また、処理時における処理液60の温度は、0〜40℃程度であるのが好ましく、10〜37℃程度であるのがより好ましい。
また、処理液60のpHは、特に限定されないが、5〜10程度とするのが好ましく、6〜8程度とするのがより好ましい。
処理液60の温度およびpHをかかる範囲内に設定することにより、処理液60中に含まれる標識化特異抗体61がより迅速かつ選択的に認識するようになる。
また、処理液60としては、標識化特異抗体61を含有すればよく、特に限定されるものではないが、標識化特異抗体61を等張液中に溶解したものが好適に用いられる。
さらに、等張液としては、前記工程[3]で説明したのと同様のものが挙げられる。
[5]次に、穴部11内を洗浄する(第5の工程)。
これにより、処理液60中に含まれる標識化特異抗体61のうち、抗原51を認識しなかった標識化特異抗体61が、穴部11外に廃棄される。
穴部11内を洗浄する方法としては、前記工程[3]で説明したのと同様の方法が用いられる。
[6]次に、穴部11内に担持された標識化特異抗体61が備える標識部位を観察する。
例えば、標識部位が酵素である場合、この酵素との反応により、発色または吸光する基質71を穴部11内に供給し、その反応に伴う発色または吸光を観察することにより、抗原51の有無の判定(陽性、陰性の判定)、さらには検体50中の抗原51の定量を間接的に行うことが可能となる(図3(d)参照。)。
また、標識部位が蛍光物質または吸光物質である場合、穴部11に光を照射し、この光照射に伴う認識部位の発色または吸光を観察することにより、抗原51の有無の判定(陽性、陰性の判定)、さらには検体50中の抗原51の定量を間接的に行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、上述した、穴部内を洗浄する工程[3]と、処理液を穴部内に供給する工程[4]と、穴部内を洗浄する工程[5]と、標識化特異抗体が備える標識部位を観察する工程[6]とで、特異抗体が認識した抗原を観察する第3の工程が構成される。
以上のようにして、穴部11において、検体50中における抗原51を観察すること、すなわち、抗原51の有無の判定(陽性、陰性の判定)、さらには検体50中の抗原51の定量を行うことができる。
したがって、前述の通り、本実施形態では、Y方向に配列する6つの特異抗体担持領域22において、底面21にポリマー31を介して担持される特異抗体41の種類は、互いに異種のものとなっている。そのため、かかる特異抗体41で認識される抗原も異なるものとなることから、隣接する特異抗体担持領域22において異種の抗原の有無を観察することができる。
よって、検出容器1を用いた検査方法によれば、検体50中に含まれる肌診断用の抗原を、抗原抗体反応を利用して高感度に検出することができるとともに、さらに、Y方向に配列する特異抗体担持領域22において、ほぼ同時に異なる抗原の有無を観察することができるため、抗原の検出を迅速に行うことができる。
そして、複数の抗原の検出結果に基づいて、シワ、肌ストレス、紫外線ストレスおよび弾力性の項目の検査を行えるため、検体採取者(被検者)に対して、検体採取時における肌状態に応じた処置を施すことができる。
<検出容器の他の構成例>
なお、本発明の検査方法に用いられる検出容器は、上述したような検出容器1の構成のものに限定されず、例えば、以下のような検出容器100の構成のものであってもよい。
図4は、本発明の検査方法に用いられる検出容器の他の構成例を模式的に示す図(図4(a)は、部分縦断面図、図4(b)は、側面図)である。
かかる構成例の検出容器100は、図4(a)に示すように、平板上をなす基材15と、厚さ方向に貫通した4つ(複数)の貫通孔17を有するシート16とを有している。
この検出容器100において、基材15と、シート16とは、それらの平面視形状が一致するように形成されており、基材15上にシート16を重ねるようにして貼付されている。これにより、基材15の上面25と、貫通孔17の内周面とで、検体が供給される穴部11が構成される。
かかる構成の検出容器100が備える穴部11において、上面25は、検出容器1が備える穴部11における底面21と同様に、特異抗体担持領域22に対応する位置には、ポリマー31を介して、特異抗体41が担持されており、特異抗体非担持領域23に対応する位置には、ポリマー31を介して、特異抗体41が担持されていない。
したがって、検出容器100においても、穴部11に検体を供給することにより、特異抗体担持領域22に対応する上面25において、特異抗体41が特異的に認識する抗原が、特異抗体41およびポリマー31を介して、穴部11の上面25に担持されることにより、穴部11の特異抗体担持領域22に対応する上面25において、検体中に含まれる抗原が、特異抗体41に認識されることにより検出される。
これに対して、特異抗体非担持領域23に対応する上面25には、ポリマー31を介して、特異抗体41が担持されていないため、特異抗体41が特異的に認識する抗原を上面25に特異抗体41を介して担持されることはない。よって、穴部11の特異抗体非担持領域23に対応する上面25では、検体中に含まれる抗原が検出されることはない。
また、検出容器100では、シート16は、図4(b)に示すように、シート16を基材15から剥離可能となっている。
このようなシート16の構成材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、環状ポリオレフィン、ポリスチレン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の組み合せて用いることができる。
また、基材15の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのような直鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンおよび含フッ素樹脂等の樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
シート16および基材15の構成材料の組み合わせを上記のようなものとすることにより、シート16の下面18は、基材15の上面25に対して粘着性を確実に示すため、シート16から基材15を容易に剥離することができるようになる。
なお、シート16と基材15との間には、必要に応じて剥離可能な接着層が設けられていてもよい。
かかる構成の検出容器100は、例えば、以下のようなI)〜III)の製造方法により製造することができる。
I)前述した検出容器1の製造方法における、工程[A]において、基材15およびシート16をそれぞれ用意した後、工程[B]〜工程[E]を、すなわち、基材15の上面25へのポリマー31および特異抗体41の担持を、基材15にシート16を貼付することなく実施し、その後、基材15にシート16を貼付することにより製造する方法。
II)前述した検出容器1の製造方法における、工程[A]において、基材15およびシート16をそれぞれ用意した後、工程[B]〜工程[C]を、すなわち、基材15の上面25へのポリマー31の担持を、基材15にシート16を貼付することなく実施し、その後、基材15にシート16を貼付した後、さらに、工程[D]〜工程[E]を、すなわち、基材15の上面25へのポリマー31を介した特異抗体41の担持を実施することにより製造する方法。
III)前述した検出容器1の製造方法における、工程[A]において、基材15およびシート16をそれぞれ用意した後、基材15にシート16を貼付し、その後、工程[B]〜工程[E]を、すなわち、基材15の上面25へのポリマー31および特異抗体41の担持を、実施することにより製造する方法。
なお、III)の方法によれば、貫通孔17の内周面にポリマー31が担持されるため、穴部11内に検体が供給された際に、貫通孔17の内周面に抗原が不本意に吸着するのを的確に抑制することができる。
また、かかる構成の検出容器100を用いた、肌診断用の特定の抗原を検出する検査方法は、例えば、前述した検出容器1を用いた検査方法における、工程[1]〜工程[5]を基材15にシート16を貼付した状態で実施し、その後、基材15からシート16を剥離し、この状態で工程[6]を、すなわち、標識化特異抗体が備える標識部位の観察を実施することにより行うことができる。このように、平板上をなす基材15単独で標識部位を観察する構成とすることにより、シート16で視界を遮られることなく、抗原等を介して上面25に担持された標識部位を確実に観察することができる。さらに、平板上をなす基材15は、スライドガラス等と同様に取り扱うことができるため、特殊な装置を用いることなく、標識部位を観察することができる。
以上、本発明の検査方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の検査方法では、必要に応じて、1以上の任意の目的の工程を追加してもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.ポリマーの合成
まず、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、「MPC」と記載)、n−ブチルメタクリレート(以下、「BMA」と記載)、p−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(以下、「MEONP」と記載。)を脱水エタノールに溶解させた。
そこに、さらに2、2−アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と記載、和光純薬工業社製)を添加し、均一になるまで撹拌することで、モノマー混合溶液を作製した。
なお、モノマー混合溶液中における、それぞれのモル比は、MPC、BMA、MEONPの順に70:27:3である。
その後、アルゴンガス雰囲気下、60℃で6時間反応させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を収集することによりポリマーを得た。
なお、上述したp−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)については、以下に示すようにして合成した。
まず、0.01molのポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂製、「Blenmer PE−200」)を20mLのクロロホルムに溶解させた後、−30℃まで冷却した。
次に、−30℃に保ちながらこの溶液に、予め作製しておいた0.01molのp−ニトロフェニルクロロフォーメート(Aldrich社製)と0.01molのトリエチルアミン(和光純薬工業社製)およびクロロホルム20mLの均一溶液をゆっくりと滴下した。
そして、−30℃にて1時間反応させた後、室温でさらに2時間溶液を攪拌した。その後反応液から塩をろ過により除去し、溶媒を留去してMEONPを得た。
2.検出容器の製造
(1)まず、図1に示すような、4つの穴部11を備えるポリエチレン樹脂で構成される基材10を用意した。
(2)次に、前記ポリマーの合成において合成したポリマーの0.3wt%エタノール溶液を調整し、これを4つの穴部にそれぞれ点着したのち乾燥させることで、各穴部の底面に、ポリマーを導入した。
(3)次に、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
なお、洗浄液としては、0.1% Tween20/PBS溶液を用いた。
(4)次に、特異抗体の1μg/mL リン酸バッファー溶液を調製し、これを各穴部11の底面21における特異抗体担持領域22に対応する位置に点着したのち、室温下で一晩静置した。
なお、X方向に5つ1行に配列された特異抗体担持領域22は、これらを1組としてY方向に6つ1列に配列されている。これらX方向に5つ1行に配列された特異抗体担持領域22を、図5に示すように、Y方向に向かって順番にY1〜Y6とした。
そして、Y1の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体(一次抗体)として抗HSP27抗体(R&D Systems社製、「Human TotalHSP27 ELISAキット」の抗体セット)を、Y2の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体として抗MIF抗体(R&D Systems、「Human MIF ELISAキット」の抗体セット」)を、Y3の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体として抗IL−1a抗体(IL-1a antibody(R&D Systems、「Human IL-1a ELISAキット」)を、Y4の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体として抗IL−1ra抗体(IL-1ra antibody(R&D Systems、「Human IL-1ra ELISAキット」)を、Y5の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体として抗PARK7抗体(Human PARK7 ELISAキット」)を、Y6の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体として抗galectin−7抗体(R&D Systems、「Human Galectin7 ELISAキット」)を、それぞれ、点着した。
(5)次に、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
なお、洗浄液としては、0.1% Tween20/PBS溶液を用いた。
以上の工程を経ることで、検出容器1を製造した。なお、本実施例おいては、この検出容器1を合計10個用意した。
3.サンプルの調製
[実施例]
3−1.標準検査液の調製
(1)まず、抗原として、ヒートショックプロテイン27(HSP27;R&D Systems社製、「Human Total HSP27 ELISAキット」の抗原)、マクロファージ遊走阻止因子(MIF;R&D Systems社製、「Human MIF ELISAキット」の抗原)、インターロイキン1a(IL−1a;IL-1a antibody(R&D Systems、「Human IL-1a ELISAキット」)、インターロイキン1レセプターアンタゴニスト(R&D Systems、「Human IL-1ra ELISAキット」の抗原)、PARK7(R&D Systems、「Human PARK7 ELISAキット」)およびガレクチン−7(R&D Systems、「Human Galectin7 ELISAキット」)の6種類のものを用意した。
(2)次に、HSP27、MIF、IL−1a、IL−1ra、PARK7およびガレクチン−7の標準検査液中における含有量が、それぞれ、2ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、20ng/mL、4ng/mLおよび50ng/mLとなるように、これら抗原をT−PER Tissue Protein Extraction Reagent(Thermo Scientific社製、「78510」)に溶解することにより標準検査液を調製した。
(3)次に、この標準検査液を、それぞれ、2倍〜64倍にまで希釈することにより、2倍、4倍、8倍、16倍、32倍および64倍希釈標準検査液を調製した。なお、各抗原を含有しないT−PER Tissue Protein Extraction Reagentを0倍希釈標準検査液とした。
3−2.検体の調製
(1)まず、12名の被験者から、それぞれ、その皮膚(肌)に粘着テープを貼り付けることで、粘着テープに角層を粘着させた。
(2)次に、粘着テープに粘着した角層を、それぞれ、T−PER Tissue Protein Extraction Reagentに溶解することにより検体1〜12を調製した。
3−3.標識化特異抗体含有液の調製
(1)まず、標識化特異抗体(二次抗体)として、ビオチン標識 HSP27 antibody(R&D Systems社製、「Human TotalHSP27 ELISAキット」の抗体セット)、ビオチン標識 MIF antibody(R&D Systems、「「Human MIF ELISAキット」の抗体セット」)、ビオチン標識 MIF antibody(R&D Systems、「「Human MIF ELISAキット」の抗体セット」)、ビオチン標識 IL-1a antibody(R&D Systems、「Human IL-1a ELISAキット」)、ビオチン標識 IL-1ra antibody(R&D Systems、「Human IL-1ra ELISAキット」)、ビオチン標識 PARK7 antibody (R&D Systems、「Human PARK7 ELISAキット」)およびビオチン標識 ガレクチン−7 antibody (R&D Systems、「Human Galectin7 ELISAキット」)を用意した。
(2)次に、ビオチン標識 HSP27 antibody、ビオチン標識 MIF antibody、ビオチン標識 MIF antibody、ビオチン標識 IL-1a antibody、ビオチン標識 IL-1ra antibody、ビオチン標識 PARK7 antibodyおよびビオチン標識 ガレクチン−7 antibodyの標識化特異抗体含有液中における含有量が、それぞれ、0.5μg/mL、0.2ug/mL、0.15μg/mL、0.6μg/mL、0.6μg/mLおよび0.6μg/mLとなるように、これら標識化特異抗体をPBS溶液(0.1% Tween20)に溶解することにより標識化特異抗体含有液を調製した。
[比較例]
前記実施例で説明した3−1.標準検査液の調製および3−2.検体の調製で用いたT−PER Tissue Protein Extraction Reagentに代えてPBSを用いたこと以外は、前記実施例と同様にして、0倍〜64倍希釈標準検査液および検体1〜12を調製した。
4.各種抗原の検出
[実施例]
(1)まず、前記2.製造容器の製造で製造した検出容器1を5つ用意し、これらをそれぞれ#1〜#5として、図6に示すように、左側から右側に向かって配列させ、それぞれが有する4つの穴部11を、上側から下側に向かって1〜4とした。
(2)次に、前記3.サンプルの調製で調製した実施例の標準検査液および検体を、それぞれ、#1〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11に、表1に示すような位置関係となるようにして、点着したのち、37℃の環境下に1.5時間静置して、抗原抗体反応を実施した。
Figure 2015072226
(3)次に、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
なお、洗浄液としては、0.1% Tween20/PBS溶液を用いた。
(4)次に、標識化特異抗体含有液を、#1〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11に、それぞれ、点着したのち、37℃の環境下に1.5時間静置して、抗原抗体反応を実施した。
(5)次に、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
なお、洗浄液としては、0.1% Tween20/PBS溶液を用いた。
(6)次に、Cy3標識されたストレプトアビジンのPBS溶液(0.1% Tween20)を調製し、これを#1〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11に、それぞれ、点着したのち、37℃の環境下に0.5時間静置した。
(7)次に、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
なお、洗浄液としては、0.1% Tween20/PBS溶液を用いた。
(8)その後、#1〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11について、それぞれ、蛍光測定(励起波長:550nm蛍光波長:570nm)を行った。
その結果、図7に示すような蛍光度分布が観察された。
また、#1〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、それぞれ、Y1の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体として抗HSP27抗体が担持されているが、これらのうちの#1、#2の検出容器1が有する1〜4の穴部11について、0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるHSP27濃度と蛍光量との関係を図8に示すように求めた。その結果、HSP27濃度と蛍光量との間に明らかな相関性が認められた。また、#3〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、検体4の蛍光量が1608未満となっており、検体中にHSP27が含まれているとは言えない結果となった。
さらに、#1〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、それぞれ、Y2の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体として抗MIF抗体が担持されているが、これらのうちの#1、#2の検出容器1が有する1〜4の穴部11について、0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるMIF濃度と蛍光量との関係を図9に示すように求めた。その結果、MIF濃度と蛍光量との間に明らかな相関性が認められた。また、#3〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、全ての検体1〜12の蛍光量が474以上となっており、検体中にMIFが含まれていると言える結果となった。
また、#1〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、それぞれ、Y3の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体として抗IL−1a抗体が担持されているが、これらのうちの#1、#2の検出容器1が有する1〜4の穴部11について、0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるIL−1a濃度と蛍光量との関係を図10に示すように求めた。その結果、IL−1a濃度と蛍光量との間に明らかな相関性が認められた。また、#3〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、検体2、4、6〜9、11の蛍光量が2128未満となっており、検体中にHSP27が含まれているとは言えない結果となった。
さらに、#1〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、それぞれ、Y4の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体として抗IL−1ra抗体が担持されているが、これらのうちの#1、#2の検出容器1が有する1〜4の穴部11について、0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるIL−1ra濃度と蛍光量との関係を図11に示すように求めた。その結果、IL−1ra濃度と蛍光量との間に明らかな相関性が認められた。また、#3〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、検体4の蛍光量が2831未満となっており、検体中にHSP27が含まれているとは言えない結果となった。
また、#1〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、それぞれ、Y5の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体として抗PARK7抗体が担持されているが、これらのうちの#1、#2の検出容器1が有する1〜4の穴部11について、0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるPARK7濃度と蛍光量との関係を図12に示すように求めた。その結果、PARK7濃度と蛍光量との間に明らかな相関性が認められた。また、#3〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、全ての検体1〜12の蛍光量が1082以上となっており、検体中にMIFが含まれていると言える結果となった。
さらに、#1〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、それぞれ、Y6の特異抗体担持領域22に対応する位置の底面21には、特異抗体として抗ガレクチン−7抗体が担持されているが、これらのうちの#1、#2の検出容器1が有する1〜4の穴部11について、0倍〜64倍希釈標準検査液に含まれるガレクチン−7濃度と蛍光量との関係を図13に示すように求めた。その結果、ガレクチン−7濃度と蛍光量との間に明らかな相関性が認められた。また、#3〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11において、検体4の蛍光量が1809未満となっており、検体中にHSP27が含まれているとは言えない結果となった。
[比較例]
前記実施例で説明した、工程(2)において、実施例の標準検査液および検体に代えて比較例の標準検査液および検体を用いた以外は、前記実施例と同様にして、#1〜#5の検出容器1が有する1〜4の穴部11について、それぞれ、蛍光測定を行った。
その結果、IL−1a濃度と蛍光量との間、IL−1ra濃度と蛍光量との間、PARK7濃度と蛍光量との間、ガレクチン−7濃度と蛍光量との間に相関性を認めることができなかった。
1、100 検出容器
10 基材
11 穴部
12 筒体
15 基材
16 シート
17 貫通孔
18 下面
21 底面
22 特異抗体担持領域
23 特異抗体非担持領域
25 上面
31 ポリマー
41 特異抗体
50 検体
51 抗原
60 処理液
61 標識化特異抗体
71 基質

Claims (6)

  1. 検体中に含まれる肌診断用の特定の抗原を検出する検査方法であって、
    前記検体を貯留するための複数の穴部を備える基材と、前記抗原を特異的に認識する特異抗体と、ホスホリルコリン基を含む第1の単位およびカルボン酸誘導基を含む第2の単位を有するポリマーとを備え、前記穴部の内面には、前記ポリマーを介して、前記特異抗体が担持されている検出容器と、
    前記抗原と、界面活性剤と、ビシンと、塩とを含有する検体とを用意する第1の工程と、
    前記検体を、前記穴部に供給して、前記特異抗体に前記抗原を認識させる第2の工程と、
    前記特異抗体が認識した前記抗原を観察する第3の工程とを有することを特徴とする検査方法。
  2. 前記抗原は、ヒートショックプロテイン27、アルギナーゼ1、マクロファージ遊走阻止因子、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子、プロフィリン1、インターロイキン1a、インターロイキン1レセプターアンタゴニスト、ガレクチン−7またはPARK7である請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記ポリマーは、下記一般式(2B)で表される共重合体である請求項1または2に記載の検査方法。
    Figure 2015072226
    (ただし、上記一般式(2B)において、a、bおよびcは、それぞれ独立して、正の整数である。nは、1〜100の整数を示す。)
  4. 前記界面活性剤は、ポリオキシエチレン (9) オクチルフェニルエーテル(NP-40)、ポリオキシエチレン (8)オクチルフェニルエーテル(Triton X)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、3−[(3−コラミドプロピル) ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、スルホベタイン3(SB3)のうちの少なくとも1種である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の検査方法。
  5. 前記塩は、NaCl、KCl、MgCl、NHClのうちの少なくとも1種である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の検査方法。
  6. 前記検体は、そのpHが5.0以上、10.0以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の検査方法。
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