JP2007285835A - バイオプレート用プレート及びその製造方法並びにバイオプレート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 固相基体の表面に生理活性物質を固定化するためのプレートであって、ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有するプレート、及びその製造方法、並びに該プレートに生理活性物質を固定化したバイオプレート。
【選択図】なし
Description
「DNAマイクロアレイ実戦マニュアル」、林崎良英、岡崎康司編、羊土社、2000年、p.57
(1) 固相基体の表面に生理活性物質を固定化するためのプレートであって、ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有するプレート、
(2) 前記高分子物質が更にブチルメタクリレート基を含む第三単位を有するものである(1)記載のプレート、
(3) 前記基体は、前記高分子物質に加えて、ホスホリルコリン基を含む第一単位と、ブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含むものである(1)又は(2)記載のプレート、
(4) ホスホリルコリン基を有する単量体が、更にメタクリル基又はアクリル基を有するものである(1)〜(3)いずれか記載のプレート、
(5) ホスホリルコリン基を有する単量体が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンである(4)記載のプレート、
(6) 前記カルボン酸誘導基を有する単量体が、更にメタクリル基又はアクリル基を有するものである(1)〜(5)いずれか記載のプレート、
(7) 前記カルボン酸誘導基がp−ニトロフェニルエステル基又はN−ヒドロキシスクシイミドエステル基である(1)〜(6)いずれか記載のプレート、
(8) 固相基体の材質がプラスチックである(1)〜(7)いずれか記載のプレート、
(9) プラスチックがポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、飽和環状ポリオレフィン、ポリペンテン、ポリアミド、及びそれらの共重合体よりなる群より選択された少なくとも1種である(8)記載のプレート、
(10) 固相基体の材質がガラスである(1)〜(7)いずれか記載のプレート、
(11) 固相基体が標準96-ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有し、かつ、マイクロタイターウェルを有するマイクロタイタープレートである、(1)〜(10)いずれか記載のプレート、
(12) 固相基体がサンプルからのシグナルを検出するためのマルチウェルプレートである(1)〜(10)いずれか記載のプレート、
(13) 前記マルチウェルプレートが96〜3,456のウェルを有する、
(12)記載のプレート、
(14) (1)〜(13)いずれか記載のプレートの製造方法であって、ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に塗布することを特徴とするプレートの製造方法、
(15) (1)〜(13)いずれか記載のプレートに生理活性物質を固定化したバイオプレート、
(16) 吸着により生理活性物質が固定化されている(15)記載のバイオプレート、
(17) 生理活性物質が基体表面にスポット状に固定化されている
(15)〜(16)いずれか記載のバイオプレート、
(18) 複数種の生理活性物質のスポットが基体表面の同一区画中に存在している(17)記載のバイオプレート、
である。
基体の素材は、通常ガラス、金属その他を用いることができるが、本発明に使用する基体の素材としては、表面処理の容易性、量産性の観点から、プラスチックを使用し、特に熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、蛍光発生量の少ないものが好ましい。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリペンテン等の直鎖状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、飽和環状ポリオレフィン、含フッ素樹脂等を用いることが好ましく、耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、成形性に特に優れる飽和環状ポリオレフィンを用いることがより好ましい。ここで飽和環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独または環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体を水素添加した飽和重合体等を指す。
本発明に使用する基体の形状は、特に限定しないが、96、384、又は3456のウェルを有するマルチウェルプレートが好適に用いられる。
本発明のプレートを使用して、各種の生理活性物質を固定化することができる。固定化する生理活性物質として核酸を用いる場合、電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基との反応性を高めるため、アミノ基を有することが好ましく、アミノ基の導入位置は分子鎖末端あるいは側鎖であってもよいが、分子鎖末端にアミノ基が導入されていることが好ましい。生理活性物質が蛋白質、オリゴペプチド、糖鎖、糖蛋白質の場合もアミノ基を有することが好ましい。
(実施例)
飽和環状ポリオレフィン樹脂を96ウェルを有するマルチウェルプレートに加工して固相基体を作成した。ウェル内に2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ブチルメタクリレート−p−ニトロフェニルカルボニルオキシエチルメタクリレート共重合体(各モノマーは、モル比で25:74:1)の0.3重量%エタノール溶液を入れて、乾燥させることにより、ウェル表面にホスホリルコリン基と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する高分子物質を導入した。
次に、自動スポッターを用いて、希釈倍率2倍(抗体濃度:3.3μmol/L)、及び8倍(抗体濃度:0.83μmol/L)で、抗マウスIgG2a抗体をpHが9.5に調整された炭酸バッファーに溶解した溶液を該プレートのウェル底面にスポットし、温度25℃、湿度30%の環境下に16時間静置して固定化させた。固定化後、pH9.0に調整した0.1mol/Lの2−アミノエタノール水溶液をウェルに分注して、上記抗体の固定化工程で使用されなかった、電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基の不活性化処理を行い、続いて0.05%Tween20含有のPBSで洗浄を行った。その後、抗原であるマウスIgG2aおよびウシ胎児血清蛋白の混合物をCy3標識したもの(マウスIgG2a濃度:19nmol/L)、または血清蛋白の混合物のみ(抗原なし)をCy3標識したものを反応させ、各スポットおよびスポット部以外の部分(バックグラウンド)について蛍光量測定を行い、その際の抗原あり/抗原なしのシグナル比、およびS/N比(Signal/noise ratio)を計算した。結果を表1に示す。
飽和環状ポリオレフィン樹脂を96ウェルを有するマルチウェルプレートに加工して固相基体を作成した。プレート表面に親水化処理を施したのち、ウェルにアミノ基含有アルキルシランの2重量%水溶液を分注し、熱処理を施して表面にアミノ基を導入した。続いてウェルに1重量%グルタルアルデヒド水溶液を分注することにより、表面のアミノ基とグルタルアルデヒドを反応させ、アルデヒド基を導入した。
次に、自動スポッターを用いて希釈倍率2倍(抗体濃度:3.3μmol/L)、及び8倍(抗体濃度:0.83μmol/L)で、抗マウスIgG2a抗体をpHが9.5に調整された炭酸バッファーに溶解した溶液を該プレートのウェル底面にスポットし、温度25℃、湿度30%の環境下に16時間静置して固定化させた。固定化後、非特異吸着防止の為に大日本製薬(株)製免疫実験用ブロッキング剤「ブロックエース」を純水で4倍希釈した溶液をウェルに分注してブロッキングを行い、続いて0.05%Tween20含有のPBSで洗浄を行った。その後、抗原であるマウスIgG2aおよびウシ胎児血清蛋白の混合物をCy3標識したもの(マウスIgG2a濃度:19nmol/L)、または血清蛋白の混合物のみ(抗原なし)をCy3標識したものを反応させ、各スポットおよびスポット部以外の部分(バックグラウンド)について蛍光量測定を行い、その際の抗原あり/抗原なしのシグナル比、およびS/N比(Signal/noise ratio)を計算した。結果を表1に示す。
実施例は、抗原ありのスポットシグナル強度では比較例とほぼ同等かそれ以上であり、抗原なしのスポットシグナル強度値は比較例に比べて低く、抗原あり/抗原なしのシグナル比は比較例より大きい結果となった。さらに、スポット部以外の蛍光強度(バックグラウンド)は比較例よりも格段に低く、S/N比は実施例の方が非常に高い結果となった。すなわち、高感度な生理活性物質の検出ができたと言える。
Claims (18)
- 固相基体の表面に生理活性物質を固定化するためのプレートであって、ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に有するプレート。
- 前記高分子物質が更にブチルメタクリレート基を含む第三単位を有するものである請求項1記載のプレート。
- 前記基体は、前記高分子物質に加えて、ホスホリルコリン基を含む第一単位と、ブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含むものである請求項1又は2記載のプレート。
- ホスホリルコリン基を有する単量体が、更にメタクリル基又はアクリル基を有するものである請求項1〜3いずれか記載のプレート。
- ホスホリルコリン基を有する単量体が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンである請求項4記載のプレート。
- 前記カルボン酸誘導基を有する単量体が、更にメタクリル基又はアクリル基を有するものである請求項1〜5いずれか記載のプレート。
- 前記カルボン酸誘導基がp−ニトロフェニルエステル基又はN−ヒドロキシスクシイミドエステル基である請求項1〜6いずれか記載のプレート。
- 固相基体の材質がプラスチックである請求項1〜7いずれか記載のプレート。
- プラスチックがポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、飽和環状ポリオレフィン、ポリペンテン、ポリアミド、及びそれらの共重合体よりなる群より選択された少なくとも1種である請求項8記載のプレート。
- 固相基体の材質がガラスである請求項1〜7いずれか記載のプレート。
- 固相基体が標準96-ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有し、かつ、マイクロタイターウェルを有するマイクロタイタープレートである、請求項1〜10いずれか記載のプレート。
- 固相基体がサンプルからのシグナルを検出するためのマルチウェルプレートである請求項1〜10いずれか記載のプレート。
- 前記マルチウェルプレートが96〜3456のウェルを有する請求項12記載のプレート。
- 請求項1〜13いずれか記載のプレートの製造方法であって、ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面に塗布することを特徴とするプレートの製造方法。
- 請求項1〜13いずれか記載のプレートに生理活性物質を固定化したバイオプレート。
- 吸着により生理活性物質が固定化されている請求項15記載のバイオプレート。
- 生理活性物質が基体表面にスポット状に固定化されている請求項15又は16記載のバイオプレート。
- 複数種の生理活性物質のスポットが基体表面の同一区画中に存在している請求項17記載のバイオプレート。
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