JP2015069761A - 有機電子デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上の有機電子素子が封止されている構造を有する有機電子デバイスであって、特に、縁部を狭くすることができるとともに、耐久性や必要に応じたフレキシブル性が確保されている有機電子デバイスを提供する。
【解決手段】基板1、基板の表面上に形成された有機電子素子、および基板に接着している封止基板2を含み、封止基板が有機電子素子を基板とともに封止するように基板に接着されている有機電子デバイスであって、接着のための接着層3に無機化合物層5を含み、無機化合物層は有機電子素子からみて、有機電子デバイスのエッジ側にある有機電子デバイス。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機電子デバイスに関する。本発明は、特に、基板上の有機電子素子が封止基板により封止されている構造を有する有機電子デバイスに関する。
水や酸素に弱い有機電子素子を、ガラスやバリアフィルムを用いて封止した形態の有機電子デバイスは数多く提案されている。基板上に形成された有機電子素子の封止は、通常、接着剤により封止基板を貼合して行われるが、端部から接着剤を通過する水分侵入の影響も大きい。そのため、有機電子素子と封止基板のエッジとの間の距離を十分に確保して水分の拡散距離を長くする対策が取られる。一方で、有機電子デバイスの基板上の有機電子素子の外側部分(縁部)はデッドスペースであり、小さいことが好ましい。
特許文献1にはポリシラザンを含むバリア性の高い接着層を用いる方法が開示されている。特許文献2にはデバイスの端部近傍に乾燥剤膜を設ける方法が開示されている。特許文献3には乾燥剤を含有した接着剤を用いる方法が開示されている。しかし、特許文献1〜3に記載の方法は、いずれも樹脂系の接着剤を用いる方法であり、ガラスや無機化合物での接着に比較すると水分に対するバリア性能が低く、有機電子素子の外側部分の幅は依然として広く取る必要があった。
また、特許文献4にはガラスフリットを用いる方法が開示されている。この方法によれば、接着部でのバリア性能が高いため、縁部を狭くすることが可能で、かつ、長期耐久性を達成できる。しかし、封止基板として樹脂製のバリアフィルムを用いるデバイスにおいては、樹脂製のバリアフィルムにより向上したデバイスの薄手化、軽量化、フレキシブル化を損なってしまう可能性がある。また、引用文献4に記載の方法ではガラスフリット溶融時熱が必要であるため封止基板として樹脂製のバリアフィルムを用いる場合はその耐熱性の問題が発生する。また、熱に弱い有機電子素子とガラスフリット間との距離を確保する必要があり、狭縁部を達成するにも限界がある。
特開2012−64378号公報 特開2009−259732号公報 特開2000−30857号公報 特開2013−65546号公報
本発明は、基板上の有機電子素子が封止されている構造を有する有機電子デバイスの提供を課題とする。本発明は特に、基板上の有機電子素子が封止基板により封止されている有機電子デバイスであって、縁部を狭くすることができるとともに、耐久性や必要に応じたフレキシブル性が確保されている有機電子デバイスを提供することを課題とする。
本発明者らが、上記課題の解決のために鋭意検討し、有機電子デバイス端部の接着剤部の水分進入面積をデバイス内部体積に比して狭くすることで、水分進入量を減らすことができる可能性に思い至った。そして、前記水分進入面積を実質的に小さくすることができる方法について、さらに検討を重ね、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下<1>〜<12>を提供するものである。
<1>基板、前記基板の表面上に形成された有機電子素子、および前記基板に接着している封止基板を含み、前記封止基板が前記有機電子素子を前記基板とともに封止するように前記基板に接着されている有機電子デバイスであって、
前記接着のための接着層に無機化合物層を含み、
前記無機化合物層は前記有機電子素子に対して、有機電子デバイスのエッジ側にある有機電子デバイス。
<2>無機化合物層が枠形状である<1>に記載の有機電子デバイス。
<3>前記無機化合物層が金属シートである<1>または<2>に記載の有機電子デバイス。
<4>無機化合物層の表面に絶縁層が設けられている<1>〜<3>のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
<5>前記接着層の全面が、前記有機電子素子に対して有機電子デバイスのエッジ側にある<1>〜<4>のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
<6>前記接着層が、前記有機電子素子に対して有機電子デバイスのエッジ側および封止基板側にある<1>〜<4>のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
<7>前記基板および前記封止基板からなる群から選択される1つ以上が、基材および少なくとも1層の無機層を含むバリアフィルムである<1>〜<6>のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
<8>前記バリアフィルムが前記基材、少なくとも1層の有機層、および少なくとも1層の無機層を含む<7>に記載の有機電子デバイス。
<9>前記有機層が(メタ)アクリレートを含む組成物の硬化により形成された層である<8>に記載の有機電子デバイス。
<10>前記無機層が金属の酸化物、窒化物、または酸窒化物を含む<7>〜<9>のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
<11>前記無機層が水素化窒化シリコンまたは水素化酸窒化シリコンを含む<10>に記載の有機電子デバイス。
<12>前記基板と前記封止基板との間にパッシベーション層を含み、
前記有機電子素子は前記パッシベーション層と前記基板とに覆われている、<1>〜<11>のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
本発明により、基板上の有機電子素子が封止基板により封止されている構造を有する有機電子デバイスが提供される。本発明により、特に、基板上の有機電子素子が封止基板により封止され、端部からの水分侵入の影響が軽減されているとともに、縁部を狭くすることが可能であり、必要に応じたフレキシブル性を有する有機電子デバイスが提供される。
実施例で作製した、本発明の有機電子デバイスを模した評価用サンプルの概略断面図と概略表面図を示す図である。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本明細書において、有機電子デバイス、基板および封止基板等の平面状の物体について「エッジ」というとき、側面(平面の厚みからなる側面)を意味する。また、「端部」というとき、エッジからの特定の距離の範囲の外周部分を意味する。前記距離はエッジから平面中心部分までの距離を超えない限り特に限定されないが、平面の大きさに応じて、例えば、0.1mm以上、1mm以上、5mm以上、1cm以上、5cm以上であればよく、30cm以下、20cm以下、10cm以下、5cm以下、1cm以下、5mm以下、1mm以下などであればよい。前記の特定の距離は1つの物体の外周について一定であっても、一定でなくてもよい。
本明細書において、有機電子デバイスの基板上の有機電子素子の外側部分(エッジ側の有機電子素子が設けられていない部分)について、「縁部」ということもある。
(有機電子デバイス)
本発明は、基板、有機電子素子、および封止基板を含む有機電子デバイスに関する。基板および封止基板により有機電子素子を封止(密閉)することにより、水や酸素等により常温常圧下における使用によっても経年劣化しうる有機電子素子を劣化から保護することができる。基板および封止基板としては、ガラス、またはバリアフィルムなどを用いることができる。バリアフィルムは大気中の酸素、水分、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等を遮断する機能を有するフィルムである。本発明の有機電子デバイスは、基板、有機電子素子、および封止基板を基板の厚み方向でこの順に含む部位を含む構造を有する。なお、本明細書において、基板と封止基板とは区別して用いられ、有機電子素子が設けられる基板ではない上側の基板を封止基板とよぶ。前記構造の有機電子デバイスは、一般的には、例えば、以下(1)〜(3)の工程を含む手順で作製できる:(1)基板の1つの面の中央に有機電子素子を形成する(本明細書において有機電子素子が形成されている基板の前記の1つの面を「表面」ということがある);(2)(1)により得られた基板の表面の全面または有機電子素子の周辺に接着剤を設置する(3)前記接着剤により封止基板を基板と結合させる。すなわち、例えば、長方形の基板表面の中央に長方形の形状に有機電子素子を形成し、次に前記表面の全面に、または前記表面の有機電子素子の外側に有機電子素子を完全に取り囲むように、接着剤を設置し、最後に前記基板に対して前記表面側から封止基板を前記接着剤により前記基板に接着させることができる。なお、本明細書で「長方形」というときは、正方形も含む意味である。
本発明の有機電子デバイスは上記の構造において、有機電子素子からみて、有機電子デバイスのエッジ側に、実質的に水分やその他のガスが透過する断面積が、内部の断面と比較して小さい領域が存在する構造を持つことを特徴とする。特に、エッジ側の断面積を小さくするための無機化合物層が設けられていることを特徴とする。なお、本明細書において、「無機化合物層」は「無機層」と区別して用いられる。
(無機化合物層)
無機化合物層は基板と封止基板との接着のための接着層に少なくともその一部が含まれるように設けられる。このような構成により、無機化合物層は接着層とともに、有機電子素子を配するデバイス内部を、外部と遮断し、水分や酸素の侵入を阻害する。無機化合物層は接着層に全体が覆われるように含まれていることが好ましい。無機化合物層を用いることにより実質的にデバイス内部が外部と接着層により遮断されている面を狭くしている。一般的に樹脂製である接着層と比較して無機化合物層は、水分や酸素などのバリア性に優れており、上記の構成により、本発明の有機電子デバイスは端部からの水分侵入の影響等が軽減されているとともに、有機電子素子と封止基板のエッジとの間の距離を小さくすることが可能になっている。また、接着力は接着剤が担っているため、基板と封止基板とを無機化合物で直接接着したり、デバイスのエッジを無機化合物で封止したりする場合よりも、厚み等の厳密な調整が不要で製造効率がよく、またフレキシブル性が得られやすい。なお、無機化合物層はこのように、端部からの水分等の侵入の阻止のために用いられるものであるため、全面が有機電子素子からみて、有機電子デバイスのエッジ側にあり、有機電子素子と封止基板との間に存在する部分がないことが好ましい。すなわち有機電子素子と有機電子デバイスのエッジ側との間で、層を形成する部分があればよい。形成される層は平行な2辺を有する長方形等の形状であってもよく、円または楕円状であってもよい。また、無機化合物層は基板と封止基板の間に設けられる層であるため、封止基板の法線方向の厚みは基板と封止基板との距離よりも小さいことが好ましい。封止基板の法線方向となる無機化合物層の膜厚はその垂直方向で計測できる無機化合物層の厚みで最短の厚みより大きくても小さくてもよい。無機化合物層は薄膜で形成されるとフレキシブル性を有し、特に基板または封止基板としてバリアフィルムを用いた構成で、有機電子デバイスとしてのフレキシブル性に寄与できる。
無機化合物層は有機電子デバイスの有機電子素子からみて、有機電子デバイスのエッジ側の一部にあってもよく、全部にあってもよい。一部とは、例えば、
長方形であるバリアフィルムまたは基板における1辺や、対向する2辺に対応する部位であってもよい。例えば、接着剤幅(有機電子素子からエッジの方向の幅)を厚く確保できる箇所では、無機化合物層を用いなくても接着剤幅で水分進入を遅らせることができるため、無機化合物層が有機電子デバイスのエッジ側の全部にある必要はない。全部とは、有機電子素子を囲うようにあることを意味し、枠状の形状であることを意味する。枠状の形状は製造される有機電子デバイスの形状に応じて、長方形または円形などの所望の形状であれば挙げられるよい。
無機化合物層形成のための材料としては、ガラス、金属などが挙げられ、水分または酸素等を透過させない無機物であれば広く用いることができる。また、用いられる接着剤との密着性が高いものを用いることが好ましい。
金属としては、純金属または合金を用いることができ、例えばAl, Al合金,Fe,ステンレス,Cu, Sn,Ti,Niなどが挙げられる。金属シートを用いる場合、用いられる金属が薄ければ、(カッターなどにより)容易に枠状に切り出すことが可能である。塗布や真空蒸着により、無機化合物層を形成してもよい。
無機化合物層は表面に絶縁処理がなされていることが好ましい。特に縁部が狭い有機電子デバイスでは、デバイスの配線が近くに存在することが多いためである。無機化合物層が金属アルミニウムから形成されている場合、絶縁処理は表面に酸化膜(陽極酸化膜)を形成することであってもよい。また、SUS(ステンレス鋼材)の場合、表面皮膜処理を行った特殊ステンレスを用いればよい。
(基板、封止基板)
基板および封止基板は、特に限定されず、それぞれ独立に、ガラス、バリアフィルム、金属箔などを用いることができる。基板および封止基板がいずれもガラスである構成、基板がガラスでありかつ封止基板がバリアフィルムである構成、基板が金属箔でありかつ封止基板がバリアフィルムである構成などが例示できる。
金属箔としては特に限定されないが、アルミ箔、ステンレス箔、銅箔、スズ箔、チタン箔、ニッケル箔、などが挙げられる。金属箔は表面に絶縁層を設けて基板として用いられることが好ましい。
基板および封止基板にバリアフィルムもしくは金属箔を用いることによって、フレキシブル性を有する有機電子デバイスの形成が可能である。有機電子素子の場合、光を発するもしくは受光するため、基板または封止基板のどちらか一方が透明である必要があり、1つ以上の透明バリアフィルムを用いればよい。
基板または封止基板としてバリアフィルムを用いる場合、フィルムが曲がることにより無機層にクラックが発生しバリア性能が低下する場合がある。そのため、バリアフィルムは全面において平らであることが好ましい。水分やその他のガスが透過する断面積が、デバイス内部の断面積と比較して小さい領域が存在する構造は、例えば、基板または封止基板の端部を曲げて、デバイスの端部の厚みを小さく、かつ内部(有機電子素子が設置されている部分)の厚みを大きくすることによって達成することもできるが、本発明の有機電子デバイスにおいては無機化合物層を用いることにより水分やその他のガスが透過する断面積を小さくすることができ、基板または封止基板(バリアフィルム)を曲げる必要がない。
(バリアフィルム)
バリアフィルムは、基材上に、少なくとも1層の無機層を含むバリア性積層体を有するフィルムである。この時、基材はプラスチックフィルムなどの有機基材であることが意図されている。好ましくは、バリアフィルムは、基材上に、少なくとも1層の有機層および少なくとも1層の無機層を含むバリア性積層体を有するバリアフィルムであればよい。
バリアフィルムにおいて、バリア性積層体は、基材フィルムの片面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。本発明のバリア性積層体は、基材フィルム側から無機層、有機層の順に積層していてもよいし、有機層、無機層の順に積層していてもよい。積層される最上層(基材から最も遠い層)は無機層でも有機層でもよいが無機層であることが好ましい。
バリアフィルムはバリア性積層体、基材以外の構成成分(例えば、易接着層等の機能性層)を有していてもよい。機能性層はバリア性積層体の上、バリア性積層体と基材フィルムの間、基材フィルム上のバリア性積層体が設置されていない側(裏面)のいずれに設置してもよい。
バリアフィルムは透明であることが好ましい。有機電子素子から、または有機電子素子に、バリアフィルムを経由して光が通過する構造の有機電子デバイス(例えは、発光をバリアフィルムが設置された面から取り出す構造のデバイスや、バリアフィルム側に受光面がある太陽電池)では、透明であることが特に必要である。
また、バリアフィルムは電気絶縁性であることが好ましい。特にバリアフィルムに含まれる個々の構成要件(例えば、無機層、有機層など)が電気絶縁性であることが好ましい。例えば、本願発明において用いられるバリアフィルムは、導電性の金属箔を含むバリアフィルムではないことが好ましい。
(バリア性積層体)
バリア性積層体は、少なくとも1層の有機層と少なくとも1層の無機層を含むものであり、2層以上の有機層と2層以上の無機層とが交互に積層しているものであってもよい。
また、バリア性積層体は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、バリア性積層体を構成する組成が膜厚方向に有機領域と無機領域が連続的に変化するいわゆる傾斜材料層を含んでいてもよい。前記傾斜材料の例としては、キムらによる論文「Journal of Vacuum Science and Technology A Vol. 23 p971−977(2005 American Vacuum Society) ジャーナル オブ バキューム サイエンス アンド テクノロジー A 第23巻 971頁〜977ページ(2005年刊、アメリカ真空学会)」に記載の材料や、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機領域と無機領域が界面を持たない連続的な層等が挙げられる。以降、簡略化のため、有機層と有機領域は「有機層」として、無機層と無機領域は「無機層」として記述する。
バリア性積層体を構成する層数に関しては特に制限はないが、典型的には2層〜30層が好ましく、3層〜20層がさらに好ましい。また、有機層および無機層以外の他の構成層を含んでいてもよい。
(有機層)
有機層は有機ポリマーを主成分とする、有機層であることが好ましい。ここで主成分とは、有機層を構成する成分の第一の成分が有機ポリマーであることをいい、通常は、有機層を構成する成分の80重量%以上が有機ポリマーであることをいう。
有機ポリマーとしては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステルおよびアクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン等の有機珪素ポリマーなどが挙げられる。有機層は単独の材料からなっていても混合物からなっていてもよいし、サブレイヤーの積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、上述したとおり、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように無機層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層であってもよい。
有機層は、好ましくは、重合性化合物を含む重合性組成物を硬化してなるものである。
(重合性化合物)
重合性化合物は、好ましくは、ラジカル重合性化合物および/またはエーテル基を官能基に有するカチオン重合性化合物であり、より好ましくは、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物、および/または、エポキシまたはオキセタンを末端または側鎖に有する化合物である。これらのうち、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物が好ましい。エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物の例としては、(メタ)アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物、スチレン系化合物、無水マレイン酸等が挙げられ、(メタ)アクリレート系化合物および/またはスチレン系化合物が好ましく、(メタ)アクリレート系化合物がさらに好ましい。
(メタ)アクリレート系化合物としては、(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートやポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が好ましい。
スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、4−ヒドロキシスチレン、4−カルボキシスチレン等が好ましい。
(メタ)アクリレート系化合物として具体的には、例えば特開2013−43382号公報の段落0024〜0036または特開2013−43384号公報の段落0036〜0048に記載の化合物を用いることができる。
重合性化合物は、重合性組成物の固形分に対し、90質量%以上含まれていることが好ましく、99質量%以上含まれていることがより好ましい。
有機層を形成するための組成物において重合性化合物は2種類以上含まれていてもよい。
(シランカップリング剤)
重合性組成物はシランカップリング剤を含んでいてもよい。シランカップリング剤は重合性基を含むことが好ましく、特に(メタ)アクリレート基を含むことが好ましい。好ましいシランカップリング剤としては、以下の一般式(1)で示されるシランカップリング剤が挙げられる。
式中、R1は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、R2はハロゲン元素またはアルキル基を示し、R3は水素原子またはアルキル基を示し、Lは2価の連結基を示し、nは0から2のいずれかの整数を示す。
ハロゲン元素としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基、または後述の置換基のうちアルキル基を含む置換基中のアルキル基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜9がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。アルキル基は、直鎖状であっても分枝状であっても環状であってもよいが、直鎖アルキル基が好ましい。
2価の連結基としては、1〜20個の炭素を含む連結基であることが好ましい。好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6の炭素を含む連結基であればよい。2価の連結基の例としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、1,2−プロピレン基、2,2−プロピレン基(2,2−プロピリデン基、1,1−ジメチルメチレン基とも呼ばれる)、1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロピレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基、1,12−ドデシレン基、1,16−ヘキサデシレン基等)、アリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基)、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、スルホニル基、およびこれらの2価の基が複数個直列に結合した2価残基(例えば、ポリエチレンオキシエチレン基、ポリプロピレンオキシプロピレン基、2,2−プロピレンフェニレン基等)を挙げることができる。これらの基は置換基を有してもよい。また、これらの基の2個以上が複数直列に結合して形成された連結基であってもよい。この中でも、アルキレン基、アリーレン基およびこれらが複数直列に結合した2価の基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基およびこれらが複数直列に結合した2価の基がより好ましい。置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基などが挙げられる。
シランカップリング剤は、重合性組成物の固形分に対し、1〜30質量%含まれていることが好ましく、5〜20質量%含まれていることがより好ましい。
また、本発明では、シランカップリング剤を2種類以上含んでいてもよく、この場合、それらの合計量が、上記範囲となる。
以下に、シランカップリング剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤の、重合性組成物の固形分(揮発分が揮発した後の残分)中に占める割合は、1〜20質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
(酸性モノマー)
重合性組成物は、酸性モノマーを含んでいてもよい。酸性モノマーを含めることにより、層間密着性が向上する。酸性モノマーとは、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸等の酸性基を含有するモノマーをいう。本発明で用いる酸性モノマーは、カルボン酸基またはリン酸基を含有するモノマーが好ましく、カルボン酸基またはリン酸基を含有する(メタ)アクリレートがより好ましく、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートがさらに好ましい。酸性モノマーとしては、例えば特開2010−30292号公報段落0023〜0026または特開2011−200780号公報段落0019〜0022等に記載の酸性モノマーを用いることができる。
(重合開始剤)
重合性組成物は、通常、重合開始剤を含む。重合開始剤を用いる場合、その含量は、重合に関与する化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜2モル%であることがより好ましい。このような組成とすることにより、活性成分生成反応を経由する重合反応を適切に制御することができる。光重合開始剤の例としてはBAFSジャパンから市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Esacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)、エザキュアKIPシリーズ等が挙げられる。
(溶剤)
重合性組成物は、通常、溶剤を含んでいる。溶剤としては、ケトン、エステル系の溶剤が例示され、2−ブタノン、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノンが好ましい。溶剤の含量は、重合性組成物の60〜97質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。
(有機層の形成方法)
重合性組成物から有機層を形成する方法としては、プラスチックフィルム、またはプラスチックフィルム上の機能層、または無機層上に適用し、その後、光(例えば、紫外線)、電子線、または熱線にて、硬化させる方法が挙げられる。
適用方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、或いは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストル−ジョンコート法が採用できる。
また、有機層はフラッシュ蒸着法のような真空製膜法で形成してもよい。
重合性組成物は、光によって硬化させることが好ましい。照射する光は、通常、高圧水銀灯もしくは低圧水銀灯による紫外線である。照射エネルギーは0.1J/cm2以上が好ましく、0.5J/cm2以上がより好ましい。重合性化合物として、(メタ)アクリレート系化合物を用いる場合、空気中の酸素によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で0.5J/cm2以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行うことが特に好ましい。
有機層は、平滑で、膜硬度が高いことが好ましい。有機層の平滑性は1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm未満であることがより好ましい。モノマーの重合率は85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、92%以上であることが特に好ましい。ここでいう重合率とはモノマー混合物中の全ての重合性基(例えば、アクリロイル基およびメタクリロイル基)のうち、反応した重合性基の比率を意味する。重合率は赤外線吸収法によって定量することができる。
有機層の膜厚については特に限定はない。しかし、薄すぎると膜厚の均一性を得ることが困難になり、厚すぎると外力によりクラックを発生してバリア性が低下する。かかる観点から、有機層の膜厚は50nm〜5000nmが好ましく、200nm〜4000nmがより好ましく、30nm〜3000nmが更に好ましい。
有機層の表面にはパーティクル等の異物、突起が無いことが要求される。このため、有機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
(無機層)
無機層は、バリア性積層体内の層であり、通常、金属化合物からなる薄膜の層である。無機層の形成方法は、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でも用いることができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、めっきやゾルゲル法等の液相成長法があり、プラズマCVD法が好ましい。無機層に含まれる成分は、上記性能を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化窒化物または金属酸化炭化物であり、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTaから選ばれる1種以上の金属を含む酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物または酸炭化物などを好ましく用いることができる。これらの中でも、Si、Al、In、Sn、ZnおよびTiから選ばれる金属の酸化物、窒化物または酸窒化物が好ましく、SiまたはAlの酸化物または窒化物がより好ましく、特に窒化シリコン(Si窒化物)が好ましい。これらは、副次的な成分として他の元素を含有していてもよい。例えば、窒化シリコンは水素を含んで水素化窒化シリコンとなっていてもよく、さらに酸素を含んで水素化酸窒化シリコンとなっていてもよい。無機層が水素化窒化シリコンまたは水素化酸窒化シリコンを含むと無機層が引張に対して強くなり、同様に圧縮耐性も向上する傾向がある。この傾向は無機層中に水素結合が形成されることによると推定される。無機層における水素の量は25〜30%原子%であることが好ましい。水素の量がこれより多いとバリア性の低下や酸化耐性が低下する可能性がある。
無機層の平滑性は、1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm以下がより好ましい。無機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
無機層の膜厚は、1層に付き、通常、5〜500nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nmである。無機層の膜厚は20nmより大きくてもよく、また30nm以上 40nm以上でありうる。また、無機層の膜厚は、100nm以下、50nm以下、または35nm以下であってもよい。無機層は複数のサブレイヤーから成る積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、上述したとおり、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層であってもよい。
(無機層の形成方法)
無機層は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などの真空製膜法で形成することができる。無機層が窒化シリコンを含む層である場合はプラズマCVD法で形成されることが好ましい。
(有機層と無機層の積層)
有機層と無機層の積層は、所望の層構成に応じて有機層と無機層を順次繰り返し製膜することにより行うことができる。
特に、少なくとも2層の有機層と少なくとも2層の無機層を交互に積層した場合に、高いバリア性を発揮することができる。交互積層は支持体側から有機層/無機層/有機層/無機層の順に積層していても、無機層/有機層/無機層/有機層の順に積層していてもよい。
(機能層)
バリア性積層体は、機能層を有していてもよい。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に詳しく記載されている。これら以外の機能層の例としてはマット剤層、保護層、耐溶剤層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層等が挙げられる。
(基材)
本発明の有機電子デバイスに用いられるバリアフィルムの基材はプラスチックフィルムであることが好ましい。プラスチックフィルムはバリア性積層体を保持できるフィルムであれば材質、膜厚等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。有機電子デバイスの種類に従って、透明プラスチックフィルムや、高い光学特性を有するフィルムが好ましい場合もある。プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。プラスチックフィルムは、ポリエステル樹脂およびいわゆる光学フィルムが好ましく、ポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)、光学フィルムとしてはシクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
プラスチックフィルムの膜厚は、特に制限はないが、薄いことが好ましい。有機電子デバイスのフレキシブル性のためである。基材は、通常、1〜150μmであればよく、50μm以下がより好ましく、25μm以下がさらに好ましい。
(有機電子素子が形成された基板と封止基板との結合)
有機電子素子が形成された基板の表面には、有機電子素子の外周に接着剤を塗布などにより設置して封止基板を設けてもよく、有機電子素子の外周から有機電子素子上に亘って表面全面に接着剤を塗布などにより設置して、封止基板を設けてもよく、有機電子素子の外周に接着剤を塗布などにより設置して、内部に充填剤を設置して封止基板を設けてもよい。
接着剤としては特に制限はないが、エポキシ樹脂、特に熱硬化性エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、特に光硬化性アクリレート樹脂等が例示される。一般的にエポキシ系接着剤の場合、樹脂の中では水分バリア性能が高いため、外周部に設置されることが好ましい。一方、アクリレート樹脂は光透過率が高いためトップエミッション型有機電子デバイスでは広く使用されている。特開2012−64378号公報に記載のポリシラザンを含む接着剤、特開2009−259732号公報または特開2000−30857号公報に記載の乾燥剤を含む接着剤を用いてもよい。
また、接着シートまたはテープを用いてもよい。接着シートとしては、薄いものが好ましい。広くOCA(Optical Clear Adhesive)して知られる接着シートが例示される。
さらに、広くダム・フィル方式と呼ばれる、外周に接着剤または接着シートを設置し、内部を充填剤で満たした構造を用いてもよい。充填剤は乾燥機能または水分吸収機能を持っていることが好ましく、具体例としては、例えばOleDry-F(双葉電子社製) 、JSR TECHNICAL REVIEW No.120/2013 p.12に記載の乾燥剤、KFSレジン(小松精練社製)などが挙げられる。
基材の片面にバリア積層体が設けられているバリアフィルムが用いられている場合は基材に対してバリア積層体側が有機電子素子側となるように、封止基板であるバリアフィルムが基板と接着されることが好ましい。さらに封止基板であるバリアフィルムの基板側の最表面層が無機層となるようにバリアフィルムが基板と接着されることが好ましい。有機電子素子側に面する最表面層が無機層である構造により、基板とバリアフィルムとにより構成される有機電子素子を含む空間の水分を減少させることができる。
(有機電子素子)
本発明の有機電子デバイスにおける有機電子素子の例としては、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化する素子が好ましく挙げられる。前記デバイスの例としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池等を挙げることができ有機EL素子に好ましく用いられる。
有機EL素子としては、特に限定されないが、特開2012−256904号公報に記載の有機EL素子を用いることができる。
液晶表示素子としては、特開2009−172993号公報の段落番号0044の記載を参酌することができる。
その他の適用例としては、特表平10−512104号公報に記載の薄膜トランジスタ、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のタッチパネル、特開2000−98326号公報に記載の電子ペーパー、特願平7−160334号公報に記載の太陽電池等が挙げられる。
(パッシベーション膜)
有機電子素子にはパッシベーション膜が設けられていてもよい。有機電子デバイスは有機電子素子状の水分に由来すると考えられるダークスポットが発生することがあるが、パッシベーション膜と組み合わせることにより、ダークスポットが発生する直上の水分濃度のしきい値がより高くなり、より効果的に有機電子素子を追加的に水分等の侵入から保護し、ダークスポットの発生を避けることができる。パッシベーション膜は有機電子素子と封止基板の間に配置されるように設けられていればよい。パッシベーション膜は有機電子素子表面に直接、または有機電子素子表面に設けられた保護層などの表面に、直接無機化合物をスパッタすることにより、または無機化合物層をCVD法もしくはPVD法で形成することなどにより、設けられていればよく、パッシベーション膜および基板により有機電子素子を覆う形状、好ましくは、封止する形状になっていればよい。
パッシベーション膜は、公知の有機ELデバイスに利用される、ガスバリア性を発現する材料からなる各種の膜(層)が利用可能である。具体的には、上記バリアフィルムにおける無機層の材料として例示したものを好ましく用いることができる。その中でも、高いガスバリア性や、トップエミッション型に利用した際における光学特性等の点で、窒化ケイ素からなる膜は好適に例示される。有機電子デバイスの封止基板がバリアフィルムであって、基板側の最表面層が無機層である場合は、パッシベーション膜は、この無機層と同じ材料で形成されることも好ましい。パッシベーション膜は、膜の形成材料に応じた公知の方法で成膜すればよい。
パッシベーション膜の膜厚は、有機ELデバイスの用途やサイズ等に応じて、適宜、設定すればよい。一般的に、パッシベーション膜を厚くするほど、水分等に対するパッシベーション膜による有機電子素子の保護性能が高くなる。しかしながら、厚いパッシベーション膜の成膜のためには、有機電子素子への加熱時間も長くなり、時間や手間がかかり、コストもかかる。加えて、パッシベーション膜は、無機材料からなる膜であるので、厚すぎると、自身の内部応力によって自然に割れ等の損傷を生じる。一般的には、パッシベーション膜の膜厚は、10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下であればよく、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上であればよい。
有機電子素子は通常、基板状に真空中で電極層等を積層していくことにより設けられるが、パッシベーション膜は当該真空中でそのまま、形成することができる。なお、本発明の有機電子デバイスはパッシベーション膜が無くても端部からの水分等の侵入を効果的に阻止することができるため、通常真空成膜で作られるため高コストであるなどの上記の問題のあるパッシベーション膜の形成を行わなくても縁部を狭くするとともに、耐久性を確保することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[ガスバリアフィルム基板の作製]
ポリエチレンナフタレート(PEN、帝人デュポン社製、テオネックス)上に、重合性化合物(化合物I)と重合開始剤(Lamberti社、Esacure KTO46)、2−ブタノンとを含む重合性組成物を乾燥膜厚が2000nmとなるように塗布成膜し、酸素含有量100ppm以下の窒素雰囲気下で紫外線照射量0.5J/cm2で照射して硬化させ、有機層を作製した。その第1の有機層上に、第1の無機層を、シラン、アンモニア、水素を原料ガスとして、膜厚が40nmとなるようプラズマCVD法で作製した。作製した無機層は、作製直後は水素化窒化珪素であるが、大気中開放するとすぐに表面が酸化するため、実質的には酸素,水素を含む窒化ケイ素膜(水素化酸窒化シリコン膜)となる。さらに第1の無機層表面上に、第2の有機層を第1の有機層と同様の方法で作製し、第2の有機層上に、第2の無機層を第1の無機層と同様の方法で作製した。
[評価用サンプルの作製]
表1に示す評価サンプルを以下のように作製した。
10cm角のガラス基板または前記バリアフィルム上に金属カルシウムを真空蒸着法により作製した。封止後のエッジからカルシウムまでの距離を4mmとなるよう、基板のエッジから4mm内側にカルシウムを蒸着した。パッシベーション膜を形成した例では、カルシウム上にアルミナ膜をスパッタ法にて膜厚が100nmとなるように作製した。なお、パッシベーション膜によりカルシウムが完全に覆われるよう基板のエッジから3mm内側にパッシベーション膜を作製した。作製したカルシウムを大気にさらすことなく、グローブボックス内で封止した。接着剤(ナガセケムテックス社製、T470)が表1に示す所望の厚みになるようスペーサーを用いて調整し、UVを照射し、硬化させた。接着シートにはOCA(3M社製、高透明性接着剤転写テープ)を用いた。金属シートとしては厚み10〜80μmのアルミシートから、幅2mmのアルミ枠をカッターで切り出して使用した。アルミ枠はカルシウムの縁部に設置した。アルミ枠が基板、封止基板の両方と接着するよう、アルミ枠の両面に接着剤を塗布し、スペーサーを挟んで所望の厚みとなるように貼り合せた。これらの部材はグローブボックス内に保管し、十分な脱水がなされた状態で使用した。
[耐久性の評価方法]
カルシウム腐食法と呼ばれる、金属カルシウムの退色により水分浸入を評価する方法にて、実際の有機電子デバイスを想定した耐久性評価を実施した。
封止後のサンプルを85℃/85%の高温高湿槽内に500時間保管した後、外周部の金属カルシウムの退色長さL(シュリンク長さ)を評価した。エッジから金属カルシウムまでは上記のように4mmの距離があるが、Lとはエッジからの距離ではなく、上記保管前のカルシウムの外延を基準として、退色を示した部分の長さを表す。結果を表2に示す。

評価基準
A:シュリンクなし
B:0.0mm<L<1.0mm
C:1.0mm≦L<2.0mm
D:2.0mm≦L<3.0mm
E:3.0mm≦L
No.1〜9の結果は、実質的な接着剤の厚みに対して内部が広い構造の方が、シュリンクが小さいことを示している。No.10〜12の結果は、実質的な接着剤厚みが薄い方が望ましいことを示している。さらに、No.13〜15の結果から、パッシベーション膜と組み合わせることでより耐久性が高まることが示唆される。No.16〜25の結果は、構造2〜4の中空構造や接着シートを用いた例でも同様の効果が確認できることを示している。
1.基板
2.封止基板
3.接着剤
4.接着シート
5.無機化合物層

Claims (12)

  1. 基板、前記基板の表面上に形成された有機電子素子、および前記基板に接着している封止基板を含み、前記封止基板が前記有機電子素子を前記基板とともに封止するように前記基板に接着されている有機電子デバイスであって、
    前記接着のための接着層に無機化合物層を含み、
    前記無機化合物層は前記有機電子素子に対して有機電子デバイスのエッジ側にある有機電子デバイス。
  2. 無機化合物層が枠形状である請求項1に記載の有機電子デバイス。
  3. 前記無機化合物層が金属シートである請求項1または2に記載の有機電子デバイス。
  4. 無機化合物層の表面に絶縁層が設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
  5. 前記接着層の全面が、前記有機電子素子に対して有機電子デバイスのエッジ側にある請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
  6. 前記接着層が、前記有機電子素子に対して有機電子デバイスのエッジ側および封止基板側にある請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
  7. 前記基板および前記封止基板からなる群から選択される1つ以上が、基材および少なくとも1層の無機層を含むバリアフィルムである請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
  8. 前記バリアフィルムが前記基材、少なくとも1層の有機層、および少なくとも1層の無機層を含む請求項7に記載の有機電子デバイス。
  9. 前記有機層が(メタ)アクリレートを含む組成物の硬化により形成された層である請求項8に記載の有機電子デバイス。
  10. 前記無機層が金属の酸化物、窒化物、または酸窒化物を含む請求項7〜9のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
  11. 前記無機層が水素化窒化シリコンまたは水素化酸窒化シリコンを含む請求項10に記載の有機電子デバイス。
  12. 前記基板と前記封止基板との間にパッシベーション層を含み、
    前記有機電子素子は前記パッシベーション層と前記基板とに覆われている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機電子デバイス。
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