JP2015067477A - 中間膜用ポリビニルアセタール樹脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 合わせガラス用中間膜に用いられる中間膜用ポリビニルアセタール樹脂であって、アセタール化度が60〜80モル%、アセチル基量が10モル%以下、平均重合度が1500〜3000であり、GPC−MALLSを用いて測定したRMS半径(nm)及びモル分子量(g/mol)の絶対分子量5×106以上の領域における線形近似直線の傾きが、0.40(nm/(g/mol))以下であり、かつ、絶対分子量が5×106での分子の回転半径が75nm以下である中間膜用ポリビニルアセタール樹脂。
【選択図】 図1
Description
また、このような合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片が飛散することが少なく安全であるため、自動車等や鉄道の車両、航空機、建築物等の窓ガラス等として広く使用されている。
また、特許文献2には、中間膜とガラス板との接着性を改善することで、衝突時における耐貫通性及びガラスの飛散防止性を向上させた合わせガラス用中間膜が記載されている。
従って、近年、需要が急速に拡大している東南アジアをはじめとした高温多湿条件での長期間の使用の要求に応えるには、更なる性能向上が求められるという課題があった。
以下に本発明を詳述する。
なお、アセチル基量とは、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除して求めたモル分率を百分率で示した値である。
なお、上記中間膜用ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は、原料となるポリビニルアルコールの平均重合度によって求めることができる。
なお、上記重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC−MALLS測定によって求めた光散乱強度の角度依存性(Zimm Plot)の切片の値をもとに算出する。
上記線形近似直線の傾きが0.40を超えると、分子間の絡み合い、相互作用が充分でなく、合わせガラスとしたときの強度が低下し、対貫通性に悪影響を及ぼす。
上記線形近似直線の傾きの好ましい下限は0.20、好ましい上限は0.38である。
なお、上記GPC−MALLSを用いたRMS半径及びモル分子量の測定は、例えば、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを用い、多角度光散乱検出器を用いて測定することができる。
上記線形近似直線の傾きは、例えば、ソフトウエア等を用いて解析することで、求めることができる。
上記絶対分子量が5×106での分子の回転半径が75nmを超えると、水素結合による分子間相互作用が不充分となり、ポリビニルアセタールフィルムの強度が低下した結果、対貫通性が低下する恐れがある。上記絶対分子量が5×106での分子の回転半径の好ましい下限は55nm、好ましい上限は70nmである。
なお、上記絶対分子量が5×106での分子の回転半径は、GPC−MALLSを用いて測定した光散乱強度の角度依存性(Zimm Plot)の傾きの値を元に算出することができる。
上記アルデヒドは、従来公知のアルデヒドを用いることが出来る。一般に、炭素数が1〜10のアルデヒドが用いられ、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド 、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。 その中でも、n−ブチルアルデヒドを用いて得られるポリビニルブチラール樹脂が最も好ましい。
上記可塑剤として、例えば、一塩基性有機酸エステル系可塑剤、多塩基性有機酸エステル系可塑剤、有機リン酸系可塑剤等を用いることができる。
上記接着力調整剤としては、例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、変成シリコーンオイル等が好適に用いられる。上記接着力調整剤として、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム等の塩が挙げられる。
上記塩を構成する酸としては、例えば、オクチル酸、ヘキシル酸、2−エチル酪酸、酪酸、酢酸、蟻酸等のカルボン酸の有機酸、又は、塩酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。合わせガラスを製造するときに、ガラスと合わせガラス用中間膜との接着力を容易に調製できることから、接着力調整剤として、マグネシウム塩を用いることが好ましい。
また、ガラスの代わりにポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の透明性のプラスチックを用いてもよい。
本発明の合わせガラスを製造する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
なお、パンメル値とは、合わせガラスを−18℃±0.6℃の温度に16時間放置し、この合わせガラスの中央部を頭部が0.45kgのハンマーで打って、ガラスの粒径が6mm以下になるまで粉砕し、ガラスが部分剥離した後の膜の露出度(面積%)により規定した値であり、表1で定義される。
(1)ポリビニルブチラール樹脂の合成
純水2890gに、平均重合度1700、けん化度99.2モル%のポリビニルアルコール樹脂を275gを加えて加熱溶解した。反応系を15℃に温度調節し、濃度35重量%の塩酸201gとn−ブチルアルデヒド157gを加え、この温度を保持して反応物を析出させた。次いで、反応系を60℃で3時間保持して反応を完了させた後、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を炭酸水素ナトリウム12gで中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂をDMSO−d6に溶解させ、2重量%の溶液とした後、13C−NMRを用いてブチラール化度を計算したところ、ブチラール化度は68.1モル%であった。
得られたポリビニルブチラール樹脂100重量部に対し、可塑剤としてトリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GO)40重量部、及び、接着力調整剤として酢酸カリウムを0.03重量部添加し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、押出機を用いて成型し、平均膜厚0.76mmの合わせガラス用中間膜を得た。
得られた合わせガラス用中間膜を、その両端から透明なフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)で挟み込み、これをゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブンに移し、更に90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。このようにして予備圧着された合わせガラスをオートクレーブ中で135℃、圧力1.2MPaの条件で20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
表2に示すブチラール化度、アセチル基量、水酸基量、数平均分子量、重量平均分子量となるように、ポリビニルアルコールを変更するとともに、表2に示す温度、時間でアセタール化反応を行った以外は、実施例1と同様にしてポリビニルブチラール樹脂、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
平均重合度830、けん化度1.1モル%のポリビニルアルコール樹脂を用い、表2に示す温度、時間でアセタール化反応を行った以外は、実施例1と同様にしてポリビニルブチラール樹脂、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
実施例及び比較例で得られたポリビニルブチラール樹脂及び合わせガラスについて以下の評価を行った。
[ポリビニルブチラール樹脂の評価]
(1)GPC−MALLS測定
得られたポリビニルブチラール樹脂について、赤外検出器としてWyatt Optilab rex、Shodex製GPCカラムLF−804を2本連結して使用し、カラム温度40℃で、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流量で絶対分子量の測定を行った。なお、重量平均分子量、数平均分子量はGPC−MALLSを用いて測定した光散乱強度の角度依存性(Zimm Plot)の切片の値と、溶出時間に対する濃度の広がりを基に算出した。
また、上記GPC条件において多角度光散乱検出器(Wyatt Technology社製、Wyatt DAWN EOS)を用いて、GPC−MALLS測定を行い、専用ソフトウエア(ASTRA V ver.5)を用いて解析を行うことで、RMS半径−モル分子量両対数直線(縦軸:RMS半径、横軸:モル分子量)の線形近似直線の傾きを求めた。また、得られたデータより、絶対分子量5×106における分子の回転半径を求めた。
実線は実施例1で得られたポリビニルアセタール樹脂であり、破線は比較例2で得られたポリビニルアセタール樹脂である。ここで、「絶対分子量5×106以上の領域における線形近似直線の傾き」とは、図1に示す5×106の直線と交差する部分以上での傾きを示す。
(2)パンメル値測定
まず、得られた合わせガラスについて、水の吸収帯を利用する近赤外線吸収分析法により、合わせガラス用中間膜の含水率を測定して、含水率が全て2重量%以下であることを確認した。なお、含水率は、合わせガラスを近赤外分光計(日本分光社製、Ubest V−570)にセットしてスペクトルを測定し、1925cm−1のピーク(水の吸収帯)と1705cm−1(ポリビニルブチラール樹脂の吸収帯)の強度比により測定した。
次いで、得られた合わせガラスを−18℃±0.6℃の温度で16時間放置し、この合わせガラスの中央部(縦150mm×横150mmの部分)を頭部が0.45kgのハンマーで打って、ガラスの粒径が6mm以下になるまで粉砕し、ガラスが部分剥離した後の膜の露出度を、表1によってパンメル値(積水法)で示した。
上記「(2)パンメル値測定」によって得られたパンメル値が3〜8の範囲内である場合を「○」とし、パンメル値が3〜8の範囲外である場合を含む場合を「×」として評価した。
得られた合わせガラスを23℃±1℃の温度で16時間放置し、この合わせガラスの周縁部を支持枠に固定して水平に保持した状態で、その上から合わせガラスの中央部に2.26kgの鋼球を自由落下させ、試験片が鋼球の貫通を防止できる落球高さ(m)を測定した。落球高さが4m以上である場合を「○」とし、4m未満である場合を「×」として評価した。
得られた合わせガラスを透かした像の光学歪みの有無を目視で評価した。
像に歪が見られない場合を「○」とし、歪が確認されたもの場合を「×」として評価した。
Claims (7)
- 合わせガラス用中間膜に用いられる中間膜用ポリビニルアセタール樹脂であって、
アセタール化度が60〜80モル%、アセチル基量が10モル%以下、平均重合度が1500〜3000であり、
GPC−MALLSを用いて測定したRMS半径(nm)及びモル分子量(g/mol)の絶対分子量5×106以上の領域における線形近似直線の傾きが、0.40(nm/(g/mol))以下であり、かつ、絶対分子量が5×106での分子の回転半径が75nm以下である
ことを特徴とする中間膜用ポリビニルアセタール樹脂。 - 水酸基量が25〜40モル%であることを特徴とする請求項1記載の中間膜用ポリビニルアセタール樹脂。
- ポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の中間膜用ポリビニルアセタール樹脂。
- 請求項1、2又は3記載の中間膜用ポリビニルアセタール樹脂を用いてなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- 中間膜用ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、可塑剤を20〜60重量部、接着力調整剤を0.1重量部以下含有することを特徴とする請求項4記載の合わせガラス用中間膜。
- 少なくとも二枚のガラス板の間に、請求項4又は5記載の合わせガラス用中間膜が挟着されていることを特徴とする合わせガラス。
- 合わせガラス用中間膜の含水率2重量%以下の領域で測定したパンメル値が3〜8であることを特徴とする請求項6記載の合わせガラス。
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