JP2015067465A - 粉末材料の製造方法、及び電子部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストかつ短時間の処理で良好な乾燥粉を得ることができるようにする。
【解決手段】有機溶媒及び分散剤を含有した被乾燥物を圧力容器6内に投入した後、流体ボンベ1からの液体二酸化炭素及びエントレーナタンク3からのエタノール等のエントレーナを圧力容器6に供給し、被乾燥物を超臨界状態の流体、すなわち超臨界流体に接触させる。この際、エントレーナの添加量を溶媒含有量の減少に伴って増量させ、被乾燥物中の溶媒及び分散剤を抽出して除去し、該分散剤の抽出処理が完了する前に前記添加量を減じる。乾燥処理後、大気雰囲気に減圧し、二酸化炭素を大気に放出する一方、有機バインダ及びエントレーナを回収タンク8に回収する。
【選択図】図1
【解決手段】有機溶媒及び分散剤を含有した被乾燥物を圧力容器6内に投入した後、流体ボンベ1からの液体二酸化炭素及びエントレーナタンク3からのエタノール等のエントレーナを圧力容器6に供給し、被乾燥物を超臨界状態の流体、すなわち超臨界流体に接触させる。この際、エントレーナの添加量を溶媒含有量の減少に伴って増量させ、被乾燥物中の溶媒及び分散剤を抽出して除去し、該分散剤の抽出処理が完了する前に前記添加量を減じる。乾燥処理後、大気雰囲気に減圧し、二酸化炭素を大気に放出する一方、有機バインダ及びエントレーナを回収タンク8に回収する。
【選択図】図1
Description
本発明は粉末材料の製造方法、及び電子部品の製造方法に関し、より詳しくは溶媒を含有した被乾燥物を、超臨界流体を使用して乾燥させる粉末材料の製造方法、及びこの製造方法を使用したセラミックコンデンサ等の電子部品の製造方法に関する。
各種電子機器の普及に伴い、電子部品は、今日では様々な電子機器に搭載されている。
この種の電子部品、例えばセラミック電子部品は、通常、以下のようにして製造される。
Ti化合物やBa化合物等のセラミック素原料を所定量秤量し、有機溶媒中で十分に混合粉砕してスラリー化し、該スラリーを乾燥させ、乾燥粉を得る。次いで、この乾燥粉を仮焼して仮焼粉末を得た後、この仮焼粉末に有機バインダその他の添加物を添加し、湿式で混合粉砕した後、成形加工を行ない、これによりセラミック成形体を作製する。そしてこの後、脱脂処理を経て焼成処理を行い、セラミック焼結体を作製し、最後にセラミック焼結体の端部に外部電極を形成し、これによりセラミック電子部品を製造している。
ところで、スラリーを乾燥させて乾燥粉を得る方法としては、従来より、超臨界流体を使用した超臨界抽出プロセスが知られている。
超臨界流体は、臨界温度Tc及び臨界圧力Pcを超えた非凝縮性高密度流体であり、高密度であることから、スラリー中の有機溶媒に対し溶剤として強力に作用し、有機溶媒が超臨界流体と置換されて該有機溶媒を分離・抽出することができ、これにより有機溶媒を除去することができる。
例えば、非特許文献1では、エタノール等の液体溶媒に超臨界二酸化炭素を連続的に添加し、流通式で液体溶媒を超臨界二酸化炭素に置換することで、気液界面の発生を避けて微細構造物を乾燥できることが記載されている。
この非特許文献1は、均一相の状態で液相→超臨界流体相→気相と状態変化させることで、気液界面の発生を避け、臨界温度Tcを超えると気体と液体が連続的になるという超臨界流体の特性を利用し、多孔質材料の製造や半導体基板、微小機械電子システム(Micro Electro Mechanical System ; MEMS)などの製造工程での乾燥処理に応用されつつあることが記載されている。
また、特許文献1には、金属酸化物の母粒子の粉末、および金属または金属酸化物の子粒子の粉末を混合し、これを有機溶媒に分散させて分散液を調製した後、該分散液中の有機溶媒を超臨界流体に置換し、乾燥することで、子粒子同士が凝集することなく、子粒子を母粒子表面に分散した状態で均一に付着させて、母粒子と子粒子を複合化するようにした複合セラミック材料粉末の製造方法が提案されている。
この特許文献1では、超臨界流体の環境下では、子粒子は、凝集することなく分散させることが可能であり、また、表面張力も低いことから、母粒子表面に子粒子同士が凝集するのを抑制でき、これにより均一に付着した複合セラミック材料粉末を得ている。
社団法人化学工学会超臨界流体部会編、「超臨界流体入門」、丸善株式会社、平成20年12月31日発行、pp.149-151
しかしながら、非特許文献1や特許文献1では、有機溶媒を超臨界流体としての超臨界二酸化炭素で置換することにより、被乾燥物を乾燥させているものの、有機溶媒と超臨界二酸化炭素とを置換させる置換工程に長時間を要するという問題点があった。
すなわち、有機溶媒を超臨界流体と置換させて微粒子を乾燥させる場合、置換工程を短縮すると、有機溶媒の超臨界流体への置換が不十分となり、超臨界流体法の利点である微粒子同士の凝集抑制効果の低下を招くおそれがある。したがって、この種の超臨界流体法では、置換工程の短縮化は困難であり、このため生産性に劣り、処理コストも高くなるという問題点があった。
この場合、微粒子の分散媒として使用される有機溶媒の含有量を低減させて置換工程の短縮化を図ることも考えられる。
しかしながら、有機溶媒の含有量を低減させると、有機溶媒による微粒子の分散効果も低下し、微粒子の凝集が生じ易くなって所望の乾燥粉を得るのが困難となる。
また、界面活性剤等の分散剤を被乾燥物に添加することにより、有機溶媒の含有量を低減させることが可能であるが、この場合は分散剤を置換工程で十分に除去するのが困難となる。
すなわち、界面活性剤等の分散剤は、通常、分子量が大きく、超臨界流体に対する溶解性が低く、このため超臨界抽出プロセスで分散剤を十分に除去するのが困難となり、乾燥粉の品質劣化を招くおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、低コストかつ短時間の処理で良好な乾燥粉を得ることができる粉末材料の製造方法、及びこの製造方法を使用したセラミックコンデンサ等の電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
超臨界流体法は、微粒子同士が凝集することなく乾燥させる方法として有用である。そして、微粒子をより短時間で効率良く乾燥させるためには、上述したように置換工程の短縮化が必要であり、そのためには分散剤を被乾燥物に添加して被乾燥物中の溶媒含有量を低減させるのが望ましい。
しかしながら、分散剤は、通常、分子量が大きく、超臨界流体に対する溶解性に劣ることから、溶媒は短時間で除去できても、分散剤を除去するのが困難となる。
したがって、被乾燥物に分散剤を含有させる場合は、超臨界流体及び分散剤の双方に対し親和性が良好な補助溶媒(以下、「エントレーナ」という。)を超臨界流体に添加するのが効果的と考えられる。
しかしながら、乾燥処理の開始から一定量のエントレーナを連続的に供給した場合、分散剤は除去できてもエントレーナを短時間で除去するのが困難となる。
そこで、本発明者が鋭意研究を行ったところ、エントレーナの添加量を被乾燥物の溶媒含有量及び分散剤の抽出量に応じて調整しつつ、前記被乾燥物と超臨界流体とを接触させて被乾燥物を乾燥させることにより、低コストかつ短時間の乾燥処理で高品質の乾燥粉を得ることができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る粉末材料の製造方法は、微粒子を溶媒中に分散させた被乾燥物を、連続的に超臨界流体に接触させて乾燥させ、粉末材料を作製する粉末材料の製造方法において、分散剤を前記被乾燥物に含有させると共に、前記超臨界流体にエントレーナを添加し、該エントレーナの添加量を前記被乾燥物の溶媒含有量及び前記分散剤の抽出量に応じて調整しつつ、前記被乾燥物と超臨界流体とを接触させて被乾燥物を乾燥させることを特徴としている。
また、本発明の粉末材料の製造方法は、前記エントレーナの前記添加量を前記溶媒含有量の減少に伴って増量させ、前記被乾燥物中の溶媒及び前記分散剤を抽出して除去し、該分散剤の抽出処理が完了する前に前記添加量を減じるのが好ましい。
すなわち、乾燥処理が開始する溶媒含有量が多いときは、溶媒が超臨界流体と置換されて分離・抽出される。この時点では、エントレーナ量が少なくても被乾燥物に含有される溶媒によって分散剤の溶解性を確保することができる。そして、被乾燥物中の溶媒が超臨界流体と置換されると、被乾燥物中の溶媒が減少し分散剤の超臨界流体に対する溶解性は低下するが、前記溶媒含有量の減少に伴ってエントレーナの添加量を増量させることにより、エントレーナの濃度が上昇し分散剤の超臨界流体に対する溶解性が向上し、これにより分散剤は超臨界流体と置換されて該分散剤を分離・抽出することができる。そして、分散剤の抽出処理が完了する前にエントレーナの添加量を減じてエントレーナの濃度を低下させることにより、エントレーナを短時間で除去することができる。
このように被乾燥物に分散剤を添加すると共に、必要最小限のエントレーナを添加することにより、有機溶媒及び分散剤を効率良く除去することができ、低コストかつ短時間で高品質の乾燥粉を得ることができる。
また、超臨界流体としては、臨界温度Tcが約30℃と室温に近く、エタノール等の通常使用される溶媒に対し溶解性が良好な二酸化炭素を使用するのが好ましい。
すなわち、本発明の粉末材料の製造方法は、前記超臨界流体は、超臨界二酸化炭素であるのが好ましい。
さらに、本発明の粉末材料の製造方法は、前記微粒子は、セラミック微粒子であり、前記粉末材料はセラミック粉末であるのが好ましい。
また、本発明に係る電子部品の製造方法は、分散剤を添加した溶媒中で複数種の原料を混合し、スラリーを作製するスラリー作製工程と、前記スラリーを乾燥させて粉末材料を得る乾燥工程と、前記粉末材料を仮焼して仮焼粉末を作製する仮焼工程と、前記仮焼粉末に成形加工を施し成形体を作製する成形工程と、前記成形体を焼成して焼結体を得る焼成工程とを含む電子部品の製造方法において、前記乾燥工程が、上記いずれかに記載の粉末材料の製造方法を使用して前記スラリーを乾燥させることを特徴としている。
本発明の粉末材料の製造方法によれば、微粒子を溶媒中に分散させた被乾燥物を、連続的に超臨界流体に接触させて乾燥させ、粉末材料を作製する粉末材料の製造方法において、分散剤を前記被乾燥物に含有させると共に、前記超臨界流体にエントレーナを添加し、該エントレーナの添加量を前記被乾燥物の溶媒含有量及び前記分散剤の抽出量に応じて調整しつつ、前記被乾燥物と超臨界流体とを接触させて被乾燥物を乾燥させるので、低コストかつ短時間の乾燥処理で高品質の乾燥粉を得ることができ、品質と処理コストの両立を図ることができる。
また、本発明の電子部品の製造方法によれば、分散剤を添加した溶媒中で複数種の原料を混合し、スラリーを作製するスラリー作製工程と、前記スラリーを乾燥させて粉末材料を得る乾燥工程と、前記粉末材料を仮焼して仮焼粉末を作製する仮焼工程と、前記仮焼粉末に成形加工を施し成形体を作製する成形工程と、前記成形体を焼成して焼結体を得る焼成工程とを含む電子部品の製造方法において、前記乾燥工程が、上記いずれかに記載の粉末材料の製造方法を使用して前記スラリーを乾燥させるので、低コストで乾燥処理の短縮化が可能であり、低コストで高品質の電子部品を製造することができる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、本発明に係る粉末材料の製造方法に使用される粉末材料製造装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
この粉末材料製造装置は、超臨界流体となる流体が貯留された流体ボンベ1と、該流体ボンベ1を臨界圧力Pcを超える圧力に昇圧する昇圧ポンプ2と、エントレーナが貯留されたエントレーナタンク3と、エントレーナを送液する送液ポンプ4と、臨界温度Tcを超える温度に加熱可能とされた加熱装置を有すると共に被乾燥物が配される圧力容器6と、超臨界状態の高圧雰囲気から大気雰囲気に減圧する減圧弁7と、圧力容器6内で抽出・分離された溶媒やエントレーナ、分散剤を回収する回収タンク8とを主要部として備えている。
昇圧ポンプ2及び送液ポンプ4の各下流側には第1及び第2バルブ9、10が介装され、圧力容器6の下流側には第3のバルブ11が介装されている。
本実施の形態では、被乾燥物は、分散剤が添加された有機溶媒中に微粒子が分散されており、上記粉末材料製造装置を使用して被乾燥物中の溶媒及び分散剤が抽出・除去される。
流体ボンベ1に貯留される流体は特に限定されるものではなく、液体二酸化炭素、純水等を使用することが可能であるが、臨界温度Tcが約30℃と室温に近く、超臨界状態で有機溶媒に対する溶解性が良好な液体二酸化炭素が好んで使用される。
また、エントレーナは、分散剤に対する溶解度が高い溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、四塩化炭素、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチルから選択された1種又は2種以上の有機溶媒の組み合わせを使用することができるが、通常はエタノールが好んで使用される。
次に、粉末材料の製造方法を説明する。
まず、界面活性剤等の分散剤が添加されたエタノール等の有機溶媒中にチタン酸バリウム等の微粒子が分散した被乾燥物を用意する。すなわち、微粒子の分散作用を有する有機溶媒の溶媒含有量が多いと、有機溶媒と超臨界流体との置換に長時間を要することから、溶媒含有量を予め低減させかつ微粒子の凝集を抑制する分散剤を添加した被乾燥物を用意する。そして、この被乾燥物を圧力容器6に投入する。
次に、第3のバルブ11を開弁した状態で第1のバルブ9を開弁し、流体ボンベ1から流体を流出させ、昇圧ポンプ2で流体の臨界圧力Pcを超える圧力に昇圧させ、かつ圧力容器6に内蔵された加熱装置を操作し、圧力容器6内を臨界温度Tcを超える温度に設定し、圧力容器6に超臨界流体を供給する。圧力容器6中の圧力は、昇圧ポンプ2と減圧弁7によって常時調整されている。
尚、圧力容器6に供給される超臨界流体の流量は、被乾燥物に含有される有機溶媒や分散剤の種類や含有量、圧力容器6の容積等に応じ、適宜設定される。
次いで、第2のバルブ10を開弁し、エントレーナタンク3に貯留されたエントレーナを送液ポンプ4で送液し、点aで流体ボンベ1からの流体にエントレーナを添加する。
ここで、エントレーナの添加量は被乾燥物の溶媒含有量及び分散剤の抽出量に応じて調整する。
具体的には、圧力容器6中の有機溶媒の溶媒濃度及びエントレーナ濃度を別途濃度計(不図示)で監視する。そして、有機溶媒と超臨界流体との置換が進行して有機溶媒の溶媒含有量が減少すると、有機溶媒の溶媒濃度が低下することから、斯かる溶媒濃度の低下度合に応じて、第2のバルブ10の開度を大きくし、エントレーナ量を増加させ、圧力容器6内のエントレーナ濃度を増加させる。
すなわち、乾燥処理の開始直後からエントレーナ濃度を高くすると、有機溶媒の溶媒含有量を低減したにも拘わらず、溶媒濃度が高くなり置換工程を短縮化するのが困難となる。一方、有機溶媒の溶媒含有量が多い状態では、エントレーナ濃度が低くても超臨界流体に対する分散剤の溶解性を維持することが可能である。
そこで、乾燥処理の開始直後は、エントレーナ濃度を低くする。
次いで、有機溶媒の溶媒含有量が減少して溶媒濃度が低下するに伴い、低下度合に応じ、第2のバルブ10の開度を大きくしてエントレーナ量を増量させ、圧力容器6内のエントレーナ濃度を増加させる。
すなわち、有機溶媒が超臨界流体と置換されて該有機溶媒の溶媒含有量が減少すると、分散剤の溶解性が低下する。
そこで、有機溶媒の溶媒濃度が低下するに伴い、低下度合に応じて第2のバルブ10の開度を大きくし、圧力容器6内のエントレーナ濃度を増加させ、超臨界流体に対する分散剤の溶解性を確保する。
これにより分散剤を超臨界流体と置換させて該分散剤を抽出し、その後、分散剤の抽出が完了する前に、第2のバルブ10の開度を小さくしてエントレーナ濃度を低減させる。そしてこの後、第1のバルブ9を開弁したまま第2のバルブ10を閉弁し、超臨界流体を圧力容器6に所定流量で所定時間供給し、圧力容器6内のエントレーナを圧力容器6外に抽出する。
そして、減圧弁7を操作して超臨界状態の高圧雰囲気から大気雰囲気に減圧し、二酸化炭素を大気に放出する一方、有機溶媒、分散剤及びエントレーナを回収タンク8に回収する。
このように本実施の形態では、微粒子を溶媒中に分散させた被乾燥物を、連続的に超臨界流体に接触させて乾燥させ、粉末材料を作製する粉末材料の製造方法において、分散剤を前記被乾燥物に含有させると共に、前記超臨界流体にエントレーナを添加し、該エントレーナの添加量を前記被乾燥物の溶媒含有量及び前記分散剤の抽出量に応じて調整しつつ、前記被乾燥物と超臨界流体とを接触させて被乾燥物を乾燥させるので、低コストかつ短時間の乾燥処理で高品質の乾燥粉を得ることができ、品質と処理コストの抑制の両立を図ることができる。
具体的には、上述したようにエントレーナの前記添加量を溶媒含有量の減少に伴って増量させ、前記非乾燥物中の前記溶媒及び前記分散剤を抽出して除去し、該分散剤の抽出処理が完了する前に前記添加量を減じている。
このように被乾燥物に分散剤を添加すると共に、必要最小限のエントレーナを添加することにより、有機溶媒及び分散剤を効率良く除去することができ、低コストかつ短時間で高品質の乾燥粉を得ることができる。
次に、上記粉末材料の製造方法を使用して作製された電子部品について、詳述する。
図2は、電子部品としての積層セラミックコンデンサの一実施の形態を模式的に示す断面図である。
この積層セラミックコンデンサは、内部電極15a〜15fがセラミック素体に埋設されると共に、該セラミック素体16の端部には、内部電極15a、15c、15eと電気的に接続された外部電極17aと、内部電極15b、15d、15fと電気的に接続された外部電極17bが形成され、これら外部電極17a、17bの表面にはNi等からなる第1の皮膜18a、18bが形成され、さらに第1の皮膜18a、18bの表面にはSn等からなる第2の皮膜19a、19bが形成されている。
この積層セラミックコンデンサは、以下のようにして製造される。
まず、Ti化合物やBa化合物等のセラミック素原料を所定量秤量し、この秤量物を部分安定化ジルコニア(PSZ)ボール等の粉砕媒体及びエタノール等の溶媒や界面活性作用を有する分散剤と共にボールミルに投入し、十分に湿式で混合粉砕し、セラミックスラリーを作製する。
そして、このセラミックスラリーを被乾燥物として、上述した粉末材料の製造方法を使用し、乾燥させ、セラミック粉末材料を得る。
次いで、このセラミック粉末材料を、例えば、900〜1200℃の温度で所定時間、仮焼し、チタン酸バリウム等のセラミック原料を作製する。
次いで、セラミック原料に、ポリビニルブチラール等の有機バインダやフタル酸ジオクチル等の可塑剤等を添加し、エタノール等の有機溶剤や粉砕媒体と共にボールミル内で湿式混合し、セラミックスラリーを作製する。
そして、ドクターブレード法等の成形加工法を使用してセラミックスラリーに成形加工を行い、セラミックグリーンシートを作製する。
次に、Ni等の導電性材料を主成分として含有した導電性ペーストを用意する。
次いで、スクリーン印刷法等を使用し、セラミックグリーンシートに導電性ペーストを塗布し、所定パターンの導電層が形成されたセラミックグリーンシートを作製する。
次に、導電層が形成されたセラミックグリーンシートを所定順序で積層し、導電層の形成されていないセラミックグリーンシートを最上層に載置し、所定温度及び所定圧力で加熱・加圧し、これにより積層成形体を作製する。
そして、この積層成形体を脱脂した後、所定温度(例えば、1100〜1300℃)で2時間程度焼成し、内部電極15a〜15fが埋設されたセラミック焼結体16が得られる。
そして、セラミック焼結体16の両端部に外部電極用ペーストを塗布・焼成して外部電極17a、17bが形成され、該外部電極17a、17bの表面にNi等の第1の皮膜18a、18bがめっき形成され、該第1の皮膜18a、18bの表面にSn等の第2の皮膜19a、19bがめっき形成される。
このように本積層セラミックコンデンサは、上述した粉末材料の製造方法を使用してセラミック粉末材料を作製しているので、乾燥処理時間が短縮化され低コストで高品質の乾燥粉を得ることができ、その結果、低コストで高品質の積層セラミックコンデンサを効率よく得ることができる。
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、本粉末材料の製造方法の適用例として、積層セラミックコンデンサの作製過程で得られるセラミック粉末について説明したが、有機成分を含有したスラリーが中間体として得られる各種電子部品、例えば、圧電部品、コイル部品、LC複合部品、サーミスタ、半導体部品等にも広く適用できるのはいうまでもない。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
(実施例1)
微粒子として平均粒径が約50nmのチタン酸バリウム、有機溶剤としてエタノール、及び分散剤としてポリエチレングリコール脂肪酸エステル型ノニオン系界面活性剤を用意した。
微粒子として平均粒径が約50nmのチタン酸バリウム、有機溶剤としてエタノール、及び分散剤としてポリエチレングリコール脂肪酸エステル型ノニオン系界面活性剤を用意した。
次に、チタン酸バリウム:10g、分散剤:0.3gを秤量し、30mLのエタノール中で十分に混合し、チタン酸バリウム及び分散剤がエタノール中で分散した被乾燥物を得た。
次いで、上述した図1に示す粉末材料製造装置を使用し、この被乾燥物を容積500mLの圧力容器にセットし、360分間乾燥処理を行った。
具体的には、液体二酸化炭素(臨界温度Tc:31℃(304.15K)、臨界圧力:7.38MPa)が充満した液体二酸化炭素ボンベを用意し、さらに、エントレーナタンクにエタノールを貯留した。
そして、液体二酸化炭素を昇圧ポンプで15MPaの圧力に昇圧し、かつ圧力容器を90℃に加熱して液体二酸化炭素を超臨界二酸化炭素(超臨界流体)とした。これにより被乾燥物中の有機溶媒及び分散剤が超臨界二酸化炭素と接触して置換され、有機溶媒濃度及び分散剤濃度が低下することから、これら有機溶媒濃度及び分散剤濃度を各々濃度計で監視した。
そして、有機溶媒濃度の低下度合に応じてエントレーナタンクからのエタノールの添加量が増量するように第2のバルブを操作してエントレーナを圧力容器に供給した。
次いで、分散剤の抽出が完了する前、すなわち分散剤濃度が「0」になる前にエントレーナ濃度を減少させ、エタノール及び分散剤を回収タンクに回収した。
表1は、圧力容器内のエタノール濃度(有機溶剤濃度及びエントレーナ濃度)及び分散剤濃度の初期値を100%としたときの相対値を示している。
この表1から明らかなように、圧力容器内のエタノール濃度及び分散剤濃度は、いずれも乾燥処理の開始後270分を経過した時点で0%となり、完全に超臨界二酸化炭素で置換されていることが分かった。
(比較例1)
エントレーナを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法・手順で、360分間乾燥処理を行った。
エントレーナを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法・手順で、360分間乾燥処理を行った。
表2は、圧力容器内のエタノール濃度及び分散剤濃度の初期値を100%としたときの相対値を示している。
この表2から明らかなように、被乾燥物中に分散剤を含有させたことから有機溶媒であるエタノールの含有量を低減でき、このため圧力容器内のエタノール濃度は乾燥処理の開始後180分を経過した時点で0%となり、完全に超臨界二酸化炭素で置換された。
しかしながら、被乾燥物には分散剤が含有されており、しかもこの分散剤は、超臨界二酸化炭素に対する溶解性に劣ることから、乾燥処理の開始後360分を経過しても、分散剤濃度は初期値の50%しか低下せず、該分散剤を完全には除去できないことが分かった。
(比較例2)
エントレーナと二酸化炭素との体積比率がエントレーナ:二酸化炭素=2:10となるように、第1及び第2のバルブの開度を設定し、一定量のエントレーナを超臨界二酸化炭素に添加した以外は、実施例1と同様の方法・手順で360分間、乾燥処理を行った。
エントレーナと二酸化炭素との体積比率がエントレーナ:二酸化炭素=2:10となるように、第1及び第2のバルブの開度を設定し、一定量のエントレーナを超臨界二酸化炭素に添加した以外は、実施例1と同様の方法・手順で360分間、乾燥処理を行った。
表3は、圧力容器内のエタノール濃度及び分散剤濃度の初期値を100%としたときの相対値を示している。
この表3から明らかなように、乾燥処理中、一定量のエントレーナを超臨界二酸化炭素に添加していることから、超臨界二酸化炭素に対する分散剤の溶解性を確保でき、その結果、分散剤濃度は乾燥処理の開始後270分を経過した時点で0%となり、分散剤を完全に抽出できた。
しかしながら、乾燥処理の開始と同時に一定量のエントレーナを圧力容器に供給していることから、有機溶媒の濃度が実質的に増加し、乾燥処理の開始後360分を経過しないと、有機溶媒を完全には除去できないことが分かった。
以上より、比較例1のように有機溶媒中に分散剤を添加しても、エントレーナを添加しない場合は、有機溶剤を短時間で除去できても、分散剤は360分経過した時点でも除去できず、また、比較例2のように有機溶媒中に分散剤を添加し、かつエントレーナを添加しても、エントレーナの濃度制御を行なっていない場合、分散剤は270分経過した時点で除去できたが、有機溶剤は360分経過した時点で漸く除去できた。
これに対し実施例1のように有機溶媒中に分散剤を添加し、かつ被乾燥物の溶媒含有量及び分散剤の抽出量に応じてエントレーナの添加量を調整することにより、有機溶剤、分散剤、及エントレーナは乾燥処理の開始後270分を経過した時点で全て除去でき、低コストかつ短時間で高品質の乾燥粉であるチタン酸バリウムが得られることが確認された。
低コストかつ短時間で高品質の積層セラミックコンデンサ等の電子部品用粉末材料を得る。
6 圧力容器
Claims (5)
- 微粒子を溶媒中に分散させた被乾燥物を、連続的に超臨界流体に接触させて乾燥させ、粉末材料を作製する粉末材料の製造方法において、
分散剤を前記被乾燥物に含有させると共に、前記超臨界流体に補助溶媒を添加し、
前記補助溶媒の添加量を前記被乾燥物の溶媒含有量に応じて調整しつつ、前記被乾燥物と超臨界流体とを接触させて被乾燥物を乾燥させることを特徴とする粉末材料の製造方法。 - 前記補助溶媒の前記添加量を前記溶媒含有量の減少に伴って増量させ、前記被乾燥物中の前記溶媒及び前記分散剤を抽出して除去し、該分散剤の抽出処理が完了する前に前記添加量を減じることを特徴とする粉末材料の製造方法。
- 前記超臨界流体は、超臨界二酸化炭素であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の粉末材料の製造方法。
- 前記微粒子は、セラミック微粒子であり、前記粉末材料はセラミック粉末材料であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の粉末材料の製造方法。
- 分散剤が添加された溶媒中で複数種の原料を混合し、スラリーを作製するスラリー作製工程と、前記スラリーを乾燥させて粉末材料を得る乾燥工程と、前記粉末材料を仮焼して仮焼粉末を作製する仮焼工程と、前記仮焼粉末に成形加工を施し成形体を作製する成形工程と、前記成形体を焼成して焼結体を得る焼成工程とを含む電子部品の製造方法において、
前記乾燥工程が、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の粉末材料の製造方法を使用して前記スラリーを乾燥させることを特徴とする電子部品の製造方法。
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