JP2015066616A - ロータリーダイカッターにおける打ち抜き屑の除去装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】打ち抜き刃1の打ち抜き形状の平面視内側、かつ、刃先よりも側面視下部に充填収容された押し出し面材2と、ナイフシリンダR1周面上に一部がヒンジ固定されてナイフシリンダR1周面に沿うと共に前記押し出し面材2を先部に保持したばね鋼材からなるアーム3とから構成される。アーム3が打ち抜き刃1の打ち抜き後にヒンジ可動することで、アーム3の先部の押し出し面材2がシリンダ周面よりも上方であってアーム3の先端軌跡に沿って円弧方向に移動し、押し出し面材2の当接面2Fの少なくとも一部が打ち抜き刃1の刃先よりも高い位置に突出した突出状態となり、打ち抜き屑Tを除去する。
【選択図】図4A
Description
また従来、ロータリーダイカッター用の打ち抜き屑除去具として、揺動可能な屑落しアームと、その屑落しアームを抜き型の外周に向けて付勢するコイルばねの接触部の摩耗を抑制することができるようにしたものが開示される(特許文献1)。 これは、抜き型の外周に取付けられるヒンジ部材にアーム支持ピンを設けると共に、そのアーム支持ピンに間隔をおいてばね支持ピンを平行に設け、上記アーム支持ピンによって屑落しアームの一端部を揺動自在に支持するもの、とされ、コの字形押圧片の両端部にコイル部を設けたコイルばねをばね支持ピンで支持し、上記押圧片により屑落しアームを抜き型の外周に向けて付勢する。押圧片の先端部にローラーを回転自在に取付けていることで、上記押圧片と屑落しアームの接触を転がり接触として接触部での摩耗を抑制し、耐久性の向上を図る、とされる。
特に、ロータリー回転によって所定範囲を打ち抜く打ち抜き刃は、連続で打ち抜き工程を行っている。打ち抜き後の打ち抜き屑は本来、所定のロータリータイミングでバケット内に排出すべきところ、打ち抜き屑のコントロールを失うと、意図せず回転部に挟まり、その度に工程を停止せざるを得ない状態となる。このため、加工の生産性を上げるためには、打ち抜き後の打ち抜き屑を所定のロータリー回転のタイミングで確実に排出することが求められる。
そこでこの発明は、打ち抜き後の打ち抜き屑を所定のロータリードラムの回転タイミングまで確実に保持し、かつ所定のタイミングで確実に落丁させる打ち抜き屑除去装置を提供することを課題とする。
(1)この発明のロータリーダイカッターにおける打ち抜き屑の除去装置は、
ナイフシリンダ(R)周面上に取り付けた所定の周形状の打ち抜き刃(1)によって、ナイフシリンダ(R)周面上を搬送されるシート状の打ち抜き対象(O)の搬送形状(OS)内に位置する、所定の打ち抜き形状(TS)の打ち抜きを行うロータリーダイカッターにおいて、前記打ち抜きの際の打ち抜き屑(T)を除去する打ち抜き屑の除去装置であって、
打ち抜き刃(1)の周形状の内側に収まる形状の当接面(2F)を上面に有し、打ち抜き刃の打ち抜き形状(TS)の平面視内側、かつ、刃先よりも側面視下部に充填収容された押し出し面材(2)と、
ロータリーダイカッターのナイフシリンダ(R)周面上に一部がヒンジ固定されてナイフシリンダ(R)周面に沿うと共に前記押し出し面材(2)を先部に保持した、弾性材のばね鋼材からなるアーム(3)と、から構成され、
前記アーム(3)が打ち抜き刃(1)の打ち抜き後にヒンジ可動(ヒンジ固定軸を中心に回動)することで、アーム(3)の先部の押し出し面材(2)がシリンダ周面(RF)よりも上方であってアームの先端軌跡に沿って円弧方向に移動し、押し出し面材(2)の当接面(2F)の少なくとも一部が打ち抜き刃(1)の刃先よりも高い位置に突出した突出状態(S2)となり、
突出状態(S2)の押し出し面材(2)が、打ち抜き後の打ち抜き対象O部にばね鋼材のばね反力を有して面押圧し、打ち抜き屑(T)を除去することを特徴とする。
前記ロータリーダイカッターは、ナイフシリンダ(R)内に収容されると共にシリンダの回転位相に応じてシリンダ周面から突出入する押し出しピン(P)をさらに有して構成され、
前記押し出しピン(P)は、前記アーム(3)と重なる位置に突出するように配置され、突出時に前記アーム(3)の裏面側から当接してアーム(3)を上方に押し出すものであり、
また突出状態の押し出し面材(2)は、アーム(3)のヒンジ回動及びばね変形に伴って、打ち抜き刃の刃先から傾斜方向を変えながら斜めに突出すると共に、
アーム(3)のヒンジ回動によるモーメントと、押し出しピン(P)の接触によるアーム(3)のばね反力とをもって打ち抜き屑(T)を斜めに面押圧することが好ましい。
押し出し面材(2)は、打ち抜き面全体と斜め方向から順に、かつ傾斜方向を変えつつ面接触することで、打ち抜き刃(1)によって打ち抜かれた打ち抜き対象O(打ち抜き屑)を端部から順に面押圧して、打ち抜き屑を打ち抜き対象Oからより確実に分離させることが可能となった。
前記アーム(3)は、押し出し面材(2)の側面に設けられた差し込み穴(20H)内に遊挿されることで、押し出し面材(2)を、所定の遊動可能に緩やかに差し込み保持してなり、
また、前記アーム(3)には、押し出しピン(P)の平面配置箇所と重なる部分に、押し出しピン(P)を挿通可能な挿通孔(3H)が設けられると共に、突出した押し出しピン(P)に接触する接触面材(5)が、この挿通孔(3H)を覆う状態、ないし挿通孔(3H)からずれた状態のうちいずれかの状態へとスライド変位可能に取り外し可能に取り付けられてなり、
前記押し出しピン(P)は突出端である頭部に軸方向の弾性反発材(PE)を具備し、この突出端と反対側の収容先部からナイフシリンダ(R)に設けた収容穴(RH20)内に収容されるものであり、
収容された押し出しピン(P)は突出時にその頭部の弾性反発材(PE)が前記接触面材(5)に当接し、当接時の弾性反発力がアーム(3)ないし押し出し面材(2)へと伝達され、アーム(3)の先側にて押し出し面材(2)が遊動と共に突出状態となることが好ましい。
シリンダ周面のうち押し出しピンの収容位置に、シリンダ中心部へ向かう収容孔を穿設しておき、この収容孔に押し出しピンを突出可能に収容することで、ピンの突出位置を所定のアーム位置に確実に配置することができる。また押し出しピンの構造材が直接アームに当接するのではなく、押し出しピンの先端に設けた弾性反発材が、接触面材(固定クリップ)へ当接することで、接触部の消耗時の交換が容易なものとなる。
打ち抜き刃の周形状の内部には、押し出し面材に形成された切欠き(2H)の内部又は押し出し面材と打ち抜き刃の隙間部分に、上方へ突出する保持刃が固定されており、
この保持刃が、打ち抜き対象Oの打ち抜き形状TS部分に係止又は突入することで、打ち抜き屑を打ち抜き刃の周形状内に保持し、
前記突出状態の押し出し面材が保持刃よりも上方に突出することで、保持刃によって保持された打ち抜き屑を押し出して排出することが好ましい。保持刃の係止又は突入によって、打ち抜き屑を排出するタイミングまで打ち抜き刃の周形状内に確実に保持することができる。
一つの打ち抜き刃の周形状の内側に、複数の押し出し面材がそれぞれ対応する個々のアームによって各々保持され、これら複数の押し出し面材(2A,2B・・・)が、一つの打ち抜き刃(1)の周形状の内側の平面内に組み合わされて収容され、
前記個々のアーム(3A,3B・・・)は、前記一つの打ち抜き刃(1)の周形状の中央から見て、互いに異なるアーム方向の先のヒンジ位置で別々にヒンジ固定され、
複数のアームがそれぞれ互いに異なるヒンジ位置からヒンジ可動することで、一つの打ち抜き刃(1)内の複数の押し出し面材(2A,2B・・・)が、それぞれ互いに異なる傾斜角度でシリンダ周面(RF)よりも上方へ突出し、
突出した各押し出し面材(2A,2B・・・)が順に打ち抜き対象O部を面押圧して打ち抜き屑を除去することが好ましい。
複数の押し出し面材(2A,2B・・・)がそれぞれ対応する個々のアーム(3A,3B・・・)によって各々保持され、
これら複数の押し出し面材(2A,2B・・・)が、一つの打ち抜き刃(1)の周形状の内側の平面内に組み合わされて収容され、
前記個々のアーム(3A,3B・・・)は、シリンダ表面であって互いに異なるシリンダ位相の周方向位置に別々にヒンジ固定され、
各アーム(3A,3B・・・)に対応してシリンダ内の互いに異なる位相位置に押し出しピン(P)がそれぞれ収容され、
これら複数の押し出しピンはすべて特定の一か所のシリンダ位相でのみ突出し、
各押し出しピンの突出によって、複数のアームがそれぞれ互いに異なるヒンジ位置から互いに異なるナイフシリンダ(R)位相のタイミングでヒンジ可動することで、一つの打ち抜き刃(1)内の複数の押し出し面材(2A,2B)が、それぞれ互いに異なるタイミングでシリンダ周面(RF)よりも上方へ突出し、
突出した各押し出し面材(2A,2B)が順に打ち抜き対象O部を面押圧して打ち抜き屑を除去することが好ましい。
前記打ち抜き刃(1)、押し出し面材(2)、及びアーム(3)はいずれも、ナイフシリンダ(R)周面上の任意の位置に部分的に覆設される、曲面状の基盤R1の板面内に具備され、
また、ナイフシリンダ(R)周面上には、前記基盤R1を任意の位置にピン固定するための複数の固定穴(RH10)と、前記押し出しピンを任意の位置に収容するための複数の収容穴(RH20)とがそれぞれ予め所定個数ずつ設けられてなり、
前記基盤R1は、
シリンダ周面上に接して搬送される打ち抜き対象Oに要求される所定配置の打ち抜き形状TSと、
シリンダ周面の収容穴(RH20)のうち、前記打ち抜き孔から見た周囲四方のいずれか特定の一方向の先に位置する特定の収容穴(RH20)位置と、
シリンダ周面の固定穴のうち、前記打ち抜き孔及び前記特定の収容穴(RH20)の両方を含む範囲から見た周囲(四方のうちいずれか一組以上の対称方向(平面視にて左右両側方又は上下両方向)の先の近傍)に位置する複数個の特定の固定穴位置と、を含む範囲の板面を有し、
前記アームは、前記打ち抜き孔から見た周囲四方のいずれか特定の一方向の孔側辺と、前記特定の収容穴位置の穴上部とを通り、さらに前記特定の固定穴位置を除く基盤(R1)の板面内の任意のヒンジ位置までをつなぐアーム形状からなることが好ましい。
好ましくは、アームは、打ち抜き孔の周囲四方のうちいずれか一方向の孔側辺である特定の孔側辺から、基盤(R1)の板面内であって前記特定の固定穴位置を避けた任意の位置に所定範囲で配置される任意のヒンジ固定位置までを繋ぎ、かつ、前記特定のピン収容穴RH20の穴上部をすべて覆うアーム形状からなる。また当該アーム形状は、予め用意された複数の方向パターン(例えばストレート型、右屈曲型、左屈曲型、鉤型からなる各方向パターン)と、複数の長さパターンないし幅パターン(例えば右側方への幅広化、左側方への幅広化からなる複数の形状パターン)との組み合わせからなる複数種類のアーム形状案から選択されたいずれかのものであることが好ましい。
<アーム形状の選択>
なおアーム形状は、押し出し面材の大きさと押し出しピンの収容穴RH20位置とによって選択されることが好ましい。具体的には、ピン収容位置と基盤取り付け孔と打ち抜き孔の配置及び形状位置及び打ち抜き形状TSの要求図とを重ね合わせて、あらかじめ用意された複数種類のパターン(図8の例参照)のアーム形状から、取り付け孔を除くアーム範囲を有したものとして選択されたアーム形状からなることが好ましい。
そしてこの発明のロータリーダイカッターにおける打ち抜き屑の除去装置は、
ナイフシリンダR周面上に固定され、刃先10を上方端部に配した所定の周形状の打ち抜き刃1と、
打ち抜き刃1の周形状の内側に収まる形状の当接面2Fを上面に有し、打ち抜き刃の打ち抜き形状TSの平面視内側、かつ、刃先よりも側面視下部に充填収容された押し出し面材2と、
ロータリーダイカッターのナイフシリンダR周面上に一部がヒンジ固定されて回転方向に沿うと共に前記押し出し面材を先部に保持した、弾性材のばね鋼材からなるアーム3と、から構成される。
そして本発明の除去装置の打ち抜き屑の除去動作として、前記アーム3が打ち抜き刃の打ち抜き後にヒンジ可動することで、アーム3の先部の押し出し面材2がシリンダ周面(RF)よりも上方であってアームの先端軌跡に沿って円弧方向に移動し、押し出し面材2の当接面2Fの少なくとも一部が打ち抜き刃1の刃先よりも高い位置に突出した突出状態(S2)となり、
突出状態(S2)の押し出し面材が、打ち抜き後の打ち抜き対象部にばね鋼材のばね反力を有して面押圧し、打ち抜き屑Tを除去することを特徴とする。
また図1ないし図3に示すように、本発明の実施例1の打ち抜き屑の除去装置に使用するロータリーダイカッターは、円柱状の中空部を有した横向き軸の中空筒状体からなり、筒軸周りに軸回転するロータリー(回転)式のナイフシリンダRと、ナイフシリンダR表面の任意の位置に取り付けられる、部分円柱側面状に湾曲した基盤R1と、ナイフシリンダRの上部近傍にて、ナイフシリンダRの横軸と並行軸配置された、ロータリー式のアンピルシリンダR2と、ナイフシリンダRの中空部内に、ナイフシリンダRの軸とは偏心して設けられた横向き軸の円柱体からなる内部ナイフシリンダR3と、から構成される。このうち筒状のナイフシリンダRとアンピルシリンダR2とが近接配置され、互いに対向する逆方向に回転制御される。
ロータリーダイカッターによる打ち抜き手順を説明するに、打ち抜き対象Oである段ボールシートは、筒状のナイフシリンダR表面に取り付けられた基盤R1と、アンピルシリンダR2との間の隙間部分に挟まれて、各シリンダの回転によって搬送される。この搬送途中において、基盤R1の表面に固定された打ち抜き刃1が前記アンピルシリンダR2との間の隙間部分の位相位置へと回転移動することで、搬送中の打ち抜き対象Oは、打ち抜き刃1に囲われた打ち抜き部分T0が部分孔として打ち抜かれる(図1)。打ち抜かれたのちは打ち抜き対象Oには打ち抜き孔THが形成される(図2)。打ち抜き孔TH部分から打ち抜かれて外れた打ち抜き屑は、打ち抜き刃1の周形状の内部であって基盤R1上に立設固定された櫛状の保持刃6に刺されることで基盤R1ユニット上の除去装置側に保持され、保持状態のまま、排出角度の位相位置となるまでナイフシリンダRと共に回転する(図2)。なお基盤R1の表面には部分的に緩衝材RS(RS1、RS2)が設けられ、アンピルシリンダR2のシリンダ周面には全体に緩衝材RSが設けられる。これら緩衝材RSは打ち抜き対象Oの挟み込み時に圧縮変形し、打ち抜き対象Oの変形を抑えつつ確実に搬送する接触手段としての役割をはたしている。
保持刃6について詳述するに、打ち抜き刃1の周形状の内部に充填された押し出し面材2には、板面の内側に、板の厚さ方向を貫通するスリット状の切欠き孔2Hが複数列設され、この切欠き孔2Hの内部を遊挿して、保持刃6が立設固定されている。この保持刃6は下部が打ち抜き刃1と共に固定されて立設しており、上方先端に、打ち抜き刃1よりも低い刃の高さで櫛状の係止刃が設けられている。押し出し面材2が窪み穴内に収容された収容状態(S1)では、保持刃6の係止刃の刃先は押し出し面材2の当接面2Fよりも上方へ突出した状態となる。また、押し出し面材2が窪み穴内から突出した突出状態(S2)では、保持刃6の係止刃の刃先は押し出し面材2の切欠き孔2H内に突入して、当接面2Fよりも下方へ隠れた状態となる。このように、保持刃6先端の係止刃が、押し出し面材2の収容乃至突出状態(S1)(S2)に応じて打ち抜き対象Oの打ち抜き形状TS部分に係止ないし突入することで、打ち抜き屑を打ち抜き刃の周形状内に保持する(図4A,B,図5a)。押し出し面材2は、図5bに示す突出状態となったとき、この保持刃6よりも上方に突出することで、保持刃によって保持された打ち抜き屑Tを押し出して排出する。保持刃6の係止ないし突入によって、打ち抜き屑を排出するタイミングまで打ち抜き刃の周形状内に確実に保持することができる。
ここで、ナイフシリンダRには予め押し出しピンPを収容可能な収容穴RH20がシリンダ中心方向に向かって穿設されると共に、基盤R1にも予め押し出しピンPを挿通可能な挿通孔3Hがシリンダ中心方向に向かって穿設される。基盤R1はその挿通孔3Hと収容穴RH20とが位置合わせされてナイフシリンダRに取り付けられ、この位置合わせされた挿通孔3H及び収容穴RH20内には、ナイフシリンダRの回転位相に応じてシリンダ周面から突出入する押し出しピンPが収容される。
ここで押し出しピンPの突出機構について説明する。押し出しピンPはシリンダの筒厚さよりも長いピン長さを有し、収容穴RH20及び挿通孔3H内を孔長方向に沿って突出入方向に滑動可能となっている。シリンダの回転位相が打ち抜き前の状態にあるとき(図1)は、ピン奥端部はナイフシリンダRの中空部内に突出し、ピン先端部PEが基盤R1の挿通孔3Hから突出しない収容状態(S1)となっている。ところが、シリンダの回転が進む(図2)につれてピン奥端部は中空部内に偏心配置された内部ロールR3に接して径方向外方へ押し出され、内部ロールR3の表面が最大の偏心位置となる所定の位相位置まで回転したときには(図3)、ピン奥端部が内部ロールR3に最も押しだされてピン先端部PEが最突出した突出状態(S2)となる。押し出しピンPはまた、収容方向へと常時弾性付勢されることで自動収容される。この機構によって、押し出しピンPは、ナイフシリンダRが予め定められた特定の位相位置にあるときにのみ突出するものとなっている。
押し出し面材2は、打ち抜き面全体と斜め方向から順に、かつ傾斜方向を変えつつ面接触することで、打ち抜き刃1によって打ち抜かれた打ち抜き対象Oの打ち抜き屑Tを端部から順に面押圧して、打ち抜き屑を打ち抜き対象Oからより確実に分離させることが可能となっている。
アーム3は基端部に軸棒4が固着され、この軸棒4の両突出端部がヒンジ固定器41によって基盤R1上に枢支される。またアーム3には、押し出しピンPの配置箇所と重なる部分に、押し出しピンPを挿通可能な挿通孔3Hが設けられると共に、クリップ状の接触面材5が挿通孔3Hを覆う状態(s2)ないし挿通孔3Hからずれた状態(s1)のうちいずれかの状態へとスライド変位可能に取り外し可能に取り付けられてなる。押し出しピンPの構造材が直接アームに当接するのではなく、押し出しピンPの先端に設けた弾性反発材PEが、接触面材5へ当接することで、押し出しピンPや接触面材5といった、接触部品の消耗時の交換が容易なものとなる。
本実施例の押し出しピンPは突出端である頭部に軸方向の弾性反発材(PE)を具備し、この突出端と反対側の収容先部からナイフシリンダRに設けた収容穴RH20内に収容される。突出時にその頭部の弾性反発材(PE)が前記接触面材(5)に当接し、当接時の弾性反発力がアーム3ないし押し出し面材2へと伝達され、アーム3の先側に遊挿された押し出し面材2が遊動と共に突出状態となる。
各押し出しピンの突出によって、複数のアームがそれぞれ互いに異なるヒンジ位置から互いに異なるナイフシリンダR位相のタイミングでヒンジ可動する。これにより、図6a、図6bに示すように、一つの打ち抜き刃1内の複数の押し出し面材(2A,2B)が、それぞれ互いに異なるタイミングでシリンダ周面(RF)よりも上方へ突出する。また、複数のアームはそれぞれ互いに異なるヒンジ位置からヒンジ可動することで、一つの打ち抜き刃1内の複数の押し出し面材(2A,2B)が、それぞれ互いに異なる傾斜角度でシリンダ周面(RF)よりも上方へ突出する。突出した各押し出し面材(2A,2B)は図6b、図6cに示すように順に打ち抜き対象部を面押圧して打ち抜き屑を除去する。
以下に第一レイアウト図(図7A)の作図手順を示す。ナイフシリンダRの周面であるシリンダ面RF上には予め、縦横に複数の固定穴及び収容孔が列設される。図7Aではこのシリンダ面RFの展開図が示され、このシリンダ面RFの展開図と重ねて、必要な打ち抜き形状TSを有した打ち抜き対象Oの搬送形状OSが、所定の搬送位置でレイアウトされる(図7Aの二点鎖線部分)。これが、シリンダ面RF上への搬送形状OSのレイアウトとなる。打ち抜き対象OSは、この搬送形状OSのレイアウトに従ってシリンダ面RF上を搬送されることとなる。
例えば図7Aにおける右端の打ち抜き形状TSでは、打ち抜き形状TS周りの上下左右の4辺のうち、向かって左辺の先には他の打ち抜き孔の打ち抜き形状TSが配置されているため、左辺を除く上辺、下辺、右辺のいずれかの辺方向がアームの取り付け方向3vの候補となる。また、上辺、下辺、右辺のいずれかの辺方向の先側にも十分な所定のヒンジ固定領域を盤内に確保することができるため、上辺、下辺、右辺のうち予め定められた優先順位順に従って、残る3候補のうち上辺方向が、アーム3の取り付け方向3vとして選択設定される。
そして次に、打ち抜き形状TS内の押し出し面材2の形状において、前記選択設定されたアーム3の取り付け方向3vの辺幅に応じて、予め用意された複数の幅パターンのアーム形状グループ3G、3G´から、最も適したアーム幅を有するアーム形状グループ3Gが選択される(図7A)。以上の手順によって作図された第一レイアウト図に基づいて、基盤R1の搬送形状OSのレイアウトと、シリンダ周面の複数の固定穴RHのうち基盤R1を固定する特定の固定穴RH10とが選択設定され、さらに、アーム3の特定の取り付け方向3vが選択設定されると共に、この特定の取り付け方向3vに取り付け可能なアーム形状グループ3Gが選択される。
第二レイアウト図の作成は、第一レイアウト図で特定されたアーム3の特定の取り付け方向の表示(図7Aの薄墨矢印)箇所のそれぞれにおいて、アーム形状グループ3G内から最も適した一つのアーム形状を選択し、当該選択したアーム形状を、前記特定の取り付け方向表示(図7Aの薄墨矢印)に変えて作図することによって行われる。
(アーム形状の選択)
前記アーム形状は、近接する他の打ち抜き孔との距離、打ち抜き対象の搬送位置の搬送形状、及び、打ち抜き形状に応じて、予め用意された複数のアーム形状からなるアーム形状群たる、第一アーム形状グループ3G,第二アーム形状グループ3G´から最も好ましい一つが選択設定される。アーム形状群内に予め用意されたアーム形状の分類態様としては、複数の形状パターン(例えば図8に示すストレート形状のほか、右屈曲形状、左屈曲形状、図7A(a´)(b´)に示す鉤型形状)と、複数の幅パターン(例えば図7A(a)や図8(a)のように右側方へ幅広部32を有するもの、図7A(b)や図8(b)のように左側方へ幅広部32を有するもの)、或いは、図7A(c)や図8(c)のように中央から両側方へ均等に拡がる幅広部32を有するもの、或いは、図7A(c´)や図8(c´)のようにすべて細幅のまま、ないし、図7A(d)や図8(d)のようにすべて太幅のまま、のいずれかの選択からなる)が挙げられる。特に図7Aでは、アーム形状群をアーム先端幅によって2グループに分類している。図7Aの左上枠は、すべて太幅先端の4種類のアーム形状(a)(b)(c)(d)からなる第一アーム形状グループ3Gを示しており、図7Aの左下枠は、すべて細幅先端の4種類のアーム形状(a´)(b´)(c´)(d´)からなる第二アーム形状グループ3G´を示している。このようにすべてのアーム形状群を予め複数個のアーム形状グループ(G,G´等)にグループ化して分類しておくことで、アーム形状の選択をよりスムーズに行うものとなる。
<選択条件>
・アーム3の特定の取り付け方向から、当該取り付け箇所の辺幅の外部近傍にて選択されるいずれかの特定の収容穴RH20位置の上を通り、さらにその先側へ所定のアーム長とアーム幅からなるアーム基部を有すること。
・アーム基部の所定のアーム長とアーム幅は、収容穴RH20への押し出しピンPの当接力に基づいて、当接面2Fの図芯へ作用するモーメントによって定める最低長を超えること。
・予め用意されたアーム形状グループ3G、3G´のうち、所定のアーム先の片幅を有したアーム形状グループ3Gから選択すること。
例えば図7Aにおけるアーム形状グループ3Gは、(a)(b)(c)(d)の4つのアーム形状が予め用意されている。このうち、例えば図7Aにおける右端の打ち抜き形状TSに適したアームを選択設定する際には、先ず、当該打ち抜き形状の特定の取り付け方向である上辺の上方の先にある収容穴RH´を特定する。当該右端の打ち抜き形状の上辺の上方には、押し出し面材2の上辺幅中央よりもやや右寄りに収容穴RH´が最も近傍に配置されている。この収容穴RH´を特定の収容穴RH20として選択設定する(図7B)。そして押し出し面材2の上辺からこの特定の収容穴RH20を通り、さらにその先側へアーム基部を有するアーム形状を、アーム形状グループ3G(図7A左上枠内)から選択する。この場合はアーム形状右寄りに特定の収容穴RH20が配置されるため、図7Aの左上枠のアーム形状グループ3Gのうち、アーム形状(b)またはアーム形状(d)が好ましい特定のアーム形状として初期選択される。
次に、図7Aの左上枠のアーム形状グループ3Gから初期選択されたアーム形状(b)またはアーム形状(d)のそれぞれにおいて、押し出し面材2の当接面2F面積と、当接面2Fの図芯から前記特定の収容穴RHまでの距離(アーム先部の距離)と、ヒンジ位置(アーム基端)から前記特定の収容穴RHまでの距離(アーム基部の距離)とを簡易に算出する。この場合、アーム形状(b)はヒンジ長の中央位置がアーム形状(d)と比べて左寄りに位置するため、アーム形状(b)の方が比較的効率的にモーメント伝達を行うことができる。また、押し出し面材2によって押し出す打ち抜き形状TSへの押し出し面厚は、アーム形状(b)のアーム基部のアーム幅によって十分確保され、さらにアームの弾性反力を考慮するとより細いアーム基部の幅の方が好ましいため、アーム形状(d)よりもアーム形状(b)の方が好ましい。この結果、アーム形状(d)が除外され、アーム形状(b)が最も適した特定のアーム形状として選択設定される(図7Aの左上枠内参照)。
図示しない処理装置は、シリンダ面RFに予め設けられた固定穴と収容穴のレイアウトデータと、予め設定された複数のアーム形状からなるアーム形状グループ3G(図7A左端の枠ないし図8)とを、装置内に区画されたデータ記憶領域に予め記憶しており、さらにデータ記憶領域の別の区画部分に、要求される打ち抜き形状TSのデータを含む打ち抜き対象Oの搬送形状OSのデータを記憶させることで、図7Aに示す第一レイアウトを自動作成し、次に図7Bに示す第二レイアウトを自動作成する。
R2 アンピルシリンダ
R3 内部ロール
1 打ち抜き刃
T 打ち抜き屑
2F 当接面
2 押し出し面材
2A 第一押し出し面材
2B 第二押し出し面材
3 アーム
3A 第一アーム,
3B 第二アーム
4 ヒンジ
41 ヒンジ固定器
RF シリンダ周面
S1 収容状態
S2 突出状態
P 押し出しピン
3H 挿通孔
5 接触面材
6 保持刃
PE 弾性反発材
Claims (8)
- ナイフシリンダ周面上に取り付けた所定の周形状の打ち抜き刃によって所定形状の打ち抜きを行うロータリーダイカッターにおいて、前記打ち抜きの際の打ち抜き屑を除去する打ち抜き屑の除去装置であって、
打ち抜き刃の周形状の内側に収まる形状の当接面を上面に有し、打ち抜き刃の内側かつ刃先よりも下部に充填収容された押し出し面材と、
ロータリーダイカッターのナイフシリンダ周面上に一部がヒンジ固定されてナイフシリンダ周面に沿うと共に前記押し出し面材を先部に保持した、弾性材のばね鋼材からなるアームと、から構成され、
前記アームが打ち抜き刃の打ち抜き後にヒンジ可動することで、アームの先部の押し出し面材がシリンダ周面よりも上方であってアームの先端軌跡に沿って円弧方向に移動し、押し出し面材の当接面の少なくとも一部が打ち抜き刃の刃先よりも高い位置に突出した突出状態となり、
突出状態の押し出し面材が、打ち抜き後の打ち抜き対象部にばね鋼材のばね反力を有して面押圧し、打ち抜き屑を除去することを特徴とする、ロータリーダイカッターにおける打ち抜き屑の除去装置。 - 前記ロータリーダイカッターは、ナイフシリンダ内に収容されると共にシリンダの回転位相に応じてシリンダ周面から突出入する押し出しピンをさらに有して構成され、
前記押し出しピンは、前記アームと重なる位置に突出するように配置され、突出時に前記アームの裏面側から当接してアームを上方に押し出すものであり、
また突出状態の押し出し面材は、アームのヒンジ回動及びばね変形に伴って打ち抜き刃の刃先から傾斜して突出すると共に、
アームのヒンジ回動によるモーメントと、押し出しピンの接触によるアームのばね反力とをもって打ち抜き屑を押圧する請求項1記載のロータリーダイカッターにおける打ち抜き屑の除去装置。 - 前記アームは、押し出し面材を遊動可能に差し込み保持してなり、
また、前記アームには、押し出しピンの平面配置箇所と重なる部分に、押し出しピンを挿通可能な挿通孔が設けられると共に、突出した押し出しピンに接触する接触面材がこの挿通孔を覆う位置に取り外し可能に取り付けられてなり、
前記押し出しピンは突出端である頭部に軸方向の弾性反発材を具備し、この突出端と反対側の収容先部からナイフシリンダに設けた収容穴内に収容されるものであり、
収容された押し出しピンは突出時にその頭部の弾性反発材が前記接触面材に当接し、当接時の弾性反発力がアームないし押し出し面材へと伝達され、アームの先側にて押し出し面材が遊動と共に突出状態となる請求項1又は2に記載のロータリーダイカッターにおける打ち抜き屑の除去装置。 - 打ち抜き刃の周形状の内部には、押し出し面材に形成された切欠きの内部又は押し出し面材と打ち抜き刃の隙間部分に、上方へ突出する保持刃が固定されており、
この保持刃が、打ち抜き対象の打ち抜き形状部分に係止又は突入することで、打ち抜き屑を打ち抜き刃の周形状内に保持し、
前記突出状態の押し出し面材が保持刃よりも上方に突出することで、保持刃によって保持された打ち抜き屑を押し出して排出する請求項1ないし3のいずれかに記載のロータリーダイカッターにおける打ち抜き屑の除去装置。 - 複数の押し出し面材がそれぞれ対応する個々のアームによって各々保持され、
これら複数の押し出し面材が、一つの打ち抜き刃の周形状の内側の平面内に組み合わされて収容され、
複数のアームがそれぞれ互いに異なるヒンジ位置からヒンジ可動することで、一つの打ち抜き刃内の複数の押し出し面材が、それぞれ互いに異なる傾斜角度でシリンダ周面よりも上方へ突出する請求項1、2、3又は4のいずれかに記載のロータリーダイカッターにおける打ち抜き屑の除去装置。 - 複数の押し出し面材がそれぞれ対応する個々のアームによって各々保持され、
これら複数の押し出し面材が、一つの打ち抜き刃の周形状の内側の平面内に組み合わされて収容され、
各アームに対応してナイフシリンダ内の互いに異なる位相位置に押し出しピンがそれぞれ収容され、
これら複数の押し出しピンはすべて特定の一か所のシリンダ位相でのみ突出し、
各押し出しピンの突出によって、複数のアームがそれぞれ互いに異なるナイフシリンダ位相のタイミングでヒンジ可動する請求項1、2、3、4又は5のいずれかに記載のロータリーダイカッターにおける打ち抜き屑の除去装置。 - 前記打ち抜き刃、押し出し面材、及びアームはいずれも、ナイフシリンダ周面上の任意の位置に部分的に覆設される基盤の板面内に具備され、
また、ナイフシリンダ周面上には、前記基盤を任意の位置にピン固定するための複数の固定穴と、前記押し出しピンを任意の位置に収容するための複数の収容穴とがそれぞれ予め所定個数ずつ設けられてなり、
前記基盤は、
ナイフシリンダ周面上に接して搬送される打ち抜き対象の所定配置の搬送形状と、
ナイフシリンダ周面の固定穴のうち、前記搬送形状の周囲近傍に位置する複数個の特定の固定穴位置と、を含む範囲の盤面を有し、
前記アームは、前記打ち抜き孔から見た周囲四方のいずれか特定の一方向の孔側辺と、前記特定の収容穴位置の上とを通るアーム形状からなる請求項1ないし6のいずれか記載のロータリーダイカッターにおける打ち抜き屑の除去装置。 - 前記アーム形状は、予め用意された複数の長さパターンないし複数の幅パターンを有した複数種類のアーム形状群から、打ち抜き孔と打ち抜き対象それぞれの形状に応じていずれか選択されたものである請求項7記載のロータリーダイカッターにおける打ち抜き屑の除去装置。
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