以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成システム1を示す概略構成図である。この画像形成システム1は、例えば、電子写真方式によって画像を形成するプリンタや複写機等の画像形成装置2と、画像形成装置2によって例えばトナー像が形成された用紙S(記録材の一例)に対し予め定められた処理を施す用紙処理装置3(記録材処理装置の一例)とを備えている。
画像形成装置2は、用紙Sを供給する用紙供給部6と、用紙供給部6から供給された用紙Sに対し電子写真方式により画像を形成する画像形成部5とを備える。なお画像形成部5では、インクジェット方式などにより画像を形成することもできる。また画像形成装置2は、画像形成部5で画像が形成された用紙Sの面を反転させる用紙反転装置7と、画像が形成された用紙Sを排出する排出ロール9とを備える。さらに画像形成装置2は、ユーザから情報を受け付けるユーザ・インターフェイス90を備えている。ここで用紙供給部6は、用紙Sが積載される第1用紙積載部61および第2用紙積載部62を有する。また用紙供給部6は、第1用紙積載部61に積載された用紙Sを画像形成部5に向けて搬送する搬送ロール65、第2用紙積載部62に積載された用紙Sを画像形成部5に向けて搬送する搬送ロール66を備えている。
用紙処理装置3は、画像形成装置2から排出された用紙Sを搬送する搬送装置10と、搬送装置10により搬送された用紙Sが積載される用紙積載部35や用紙Sの端部を綴じるステープラ40などが設けられた本体部30とを備えている。また用紙処理装置3は、画像形成システム1の全体を制御する制御部80を備えている。
用紙処理装置3の搬送装置10は、画像形成装置2の排出ロール9を介して排出される用紙Sを受け取る一対のロールである入口ロール11と、この入口ロール11にて受け取られた用紙Sに必要に応じて穴あけを施すパンチャ12とを備えている。また搬送装置10は、パンチャ12のさらに下流側に、用紙Sを下流側へと搬送する一対のロールである第1搬送ロール13と、本体部30に向けて用紙Sを搬送する一対のロールである第2搬送ロール14とを有する。
用紙処理装置3の本体部30は、箱状に形成された装置フレーム36を備えている。またこの本体部30は、搬送装置10から用紙Sを受け取る一対のロールである受け取りロール31を備えている。また本体部30は、受け取りロール31の下流側に設けられ用紙Sが積載される用紙積載部35と、用紙積載部35に向けて用紙Sを排出する一対のロールであるエグジットロール34とを備えている。また本体部30は、図中時計回りに回転しエグジットロール34により搬送され用紙積載部35上を滑りながら上方から移動してきた用紙Sを用紙積載部35のエンドガイド35Bに向けて搬送するパドル37を備えている。さらに本体部30は、用紙Sの一方の側部および他方の側部の各々に対向して設けられて用紙Sを挟むように用紙Sを押圧し用紙Sの揃えを行うタンパ38を備えている。ここで用紙積載部35、パドル37などは記録材束形成手段として捉えることができる。
また本体部30は、用紙積載部35に接近する方向および用紙積載部35から離れる方向に移動可能に設けられ用紙積載部35に載っている用紙Sの束(以下、「用紙束T」と称する場合がある)を排出するイジェクト(eject)ロール39を備えている。このイジェクトロール39は、用紙積載部35に用紙Sが積載される際には用紙積載部35から離れた箇所に退避している。そしてイジェクトロール39は、用紙積載部35から用紙束T(記録材束の一例)の排出を行う際に、用紙束Tに接近し用紙束Tに接触する。その後、イジェクトロール39は、回転を行い用紙束Tを下流側へ搬送する。また本体部30は、用紙積載部35上の用紙束Tの端部(用紙束Tの搬送方向における後端部)をステープル針を用いて綴じるステープラ40を有している。
また本体部30は、装置フレーム36の側壁に、イジェクトロール39により搬送される用紙束Tの排出に用いられる開口69を備えている。さらに本体部30は、イジェクトロール39により搬送されてきた用紙束Tの先端部(用紙束Tの搬送方向における先端部)に対しステープル針を用いずに綴じ処理を行う綴じ装置500を備えている。なおこの綴じ装置500は、装置フレーム36とは別体で構成され装置フレーム36から取り外し可能に設けられている。
また本体部30は、ステープラ40による綴じ処理が行われた用紙束T、および、綴じ装置500による綴じ処理が行われた用紙束Tが積載される用紙束積載部70を有している。ここでこの用紙束積載部70は、用紙束Tが積載されるに従い下降する。なおステープラ40による綴じ処理から綴じ装置500による綴じ処理に切り替えられる場合、また、綴じ装置500による綴じ処理からステープラ40による綴じ処理に切り替えられる場合、画像データが180°回転され用紙S上に形成される画像が180°回転される。
ここで綴じ装置500について詳細に説明する。
図2および図3は、綴じ装置500を説明するための図である。なお図2は、画像形成システム1のフロント側から綴じ装置500を眺めた場合の図であり、図3は、画像形成システム1の上方から綴じ装置500を眺めた場合の図である。なお図3では、装置フレーム530(後述)や上部フレーム511(後述)の図示を省略している。
図2に示すように、綴じ装置500は、箱状に形成されるとともに用紙束Tの搬送方向と直交する方向(画像形成システム1の奥行き方向)に沿って配置された装置フレーム530を備えている。なお、図示は省略するが、回転板513(後述)に載っている用紙束Tの用紙束積載部70への落下を可能にするため、装置フレーム530の長手方向における中央部且つ装置フレーム530の下部は解放された状態となっている。
また綴じ装置500は、図3に示すように、装置フレーム530により支持されるとともに用紙束Tの搬送方向と直交する方向(画像形成システム1の奥行き方向、用紙束Tの側端部に沿った方向)に沿って移動可能に設けられ用紙束Tの中央部および用紙束Tの一方の端部を綴じる第1綴じユニット510(綴じ機構の一例)を有している。また、同じく装置フレーム530により支持されるとともに用紙束Tの搬送方向と直交する方向に沿って移動可能に設けられ、用紙束Tの中央部および用紙束Tの他方の端部を綴じる第2綴じユニット520(綴じ機構の他の一例)を有している。なお図3では、図2にて示した装置フレーム530の図示を省略している。
さらに綴じ装置500は、モータM(図3参照)や不図示のガイドを備え第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を上記直交する方向に沿って移動させる移動機構(移動手段の一例)(不図示)を備えている。なお本実施形態では、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を移動させるモータMは、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の各々に対応させて2つ設けられている。なお、ラックやピニオンを用いることで、一つ(単一)のモータMにより第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を移動させることもできる。
第1綴じユニット510および第2綴じユニット520は、同様に構成されている。ここで第1綴じユニット510を一例に説明すると、この第1綴じユニット510は、図2に示すように、上部フレーム511と、この上部フレーム511との間に間隙KGを有して配置され上部フレーム511の下部に配置された下部フレーム512とを備えている。また第1綴じユニット510には、下部フレーム512に取り付けられ予め定められた軸(後述)を中心として回転する回転板513が設けられている。
ここで上部フレーム511の内部には、図2に示すように、下部フレーム512に向かって移動可能に設けられるとともに下部フレーム512から離れる方向に移動可能に設けられた移動フレーム511A、モータやカムなどにより構成されこの移動フレーム511Aを移動させる移動機構(不図示)が設けられている。また移動フレーム511A内には、移動フレーム511Aの下部フレーム512側への移動に伴い上記間隙KGに突出する突出部材511B、突出部材511Bが下部フレーム512に突き当たった際に縮み突出部材511B等の破損を防止するコイルスプリングKSが設けられている。また移動フレーム511Aには、打ち抜き部材505(詳細は後述)を有し用紙束Tに対する綴じ処理を行う綴じ部511C、モータやカムなどにより構成され打ち抜き部材505等を駆動する駆動機構(不図示)が設けられている。
次に下部フレーム512について説明する。下部フレーム512には、図3に示すように、上記移動フレーム511A内に設けられた打ち抜き部材505が入り込む穴部512Aが設けられている。また下部フレーム512には、図2に示すように、穴部512Aに接続して設けられ上記綴じ部511Cによる綴じ処理に伴い発生する屑を収容する屑収容部512Bが設けられている。さらに下部フレーム512には、図2に示すように、下部フレーム512の上面から間隙KG内に突出する突出部材512Cが設けられている(図3も参照)。
ここで本実施形態では、図3に示すように、回転板513が下部フレーム512の内部に収納可能となっている。付言すると下部フレーム512には、上板512Eおよび下板(不図示)が設けられるとともに、この上板512Eと下板との間に回転板513を収納可能な凹部が形成されている。そして本実施形態では、この凹部内に回転板513が収納されている。ここで回転板513は、図3に示すように、装置フレーム36に近い側に設けられた軸512Dを中心に回転可能に設けられている。また本実施形態では、図3に示すように、回転板513のうち装置フレーム36側に位置する部位を引っ張る第1コイルスプリングKS1が設けられている。なおこの第1コイルスプリングKS1は、回転板513のうちの装置フレーム36側に位置する部位に一端部が固定され、上述した上板512Eの下面に他端部が固定されている。
また本実施形態では、一方の端部側に長穴NAを有するとともに他方の端部にて上述した軸512Dを支持する支持部材512F、上板512Eの下面から支持部材512Fの長穴NA内に突出した突出ピン512Gが設けられている。さらに、長穴NA内に配置されるとともに突出ピン512Gよりも軸512D側に設けられ突出ピン512Gから離れる方向に支持部材512Fを移動させる第2コイルスプリングKS2が設けられている。また、支持部材512Fの両側方に設けられ移動する支持部材512Fの案内を行うガイドGを有している。
また本実施形態では、装置フレーム530(図2参照)側に取り付けられるとともに回転板513の移動経路上に突出し回転板513の回転を規制する第1規制部401が設けられている。さらに、下部フレーム512の下板(不図示)から上方に向かって突出して設けられ、回転板513下面に設けられた突起TKに突き当たることで回転板513の回転を規制する第2規制部402が設けられている。
ここで本実施形態では、上部フレーム511の綴じ部511Cに設けられた打ち抜き部材505(図2参照)が、下部フレーム512に設けられた穴部512Aに入り込む。こここでこのような構成の場合、打ち抜き部材505と回転板513とが干渉するおそれがある。このため本実施形態では、図3に示すように、回転板513に対し切り欠き513Aを形成し、打ち抜き部材505と回転板513との干渉を防止している。
ここで本実施形態では、ユーザの選択に応じ、ステープラ40による綴じ処理、又は、綴じ装置500による綴じ処理が行われる。以下、図4〜図10を参照し、ステープラ40による綴じ処理、および、綴じ装置500による綴じ処理について説明する。なお図4は、上方から眺めた場合における第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の状態を示した図である。また、図5〜図7、図10は、第1綴じユニット510等の斜視図である。また、図8および図9は、画像形成システム1のフロント側から第1綴じユニット510を眺めた場合の図である。
まずステープラ40により行われる綴じ処理について説明する。ステープラ40により綴じ処理が行われる場合、まず、用紙束積載部70(図1参照)の上昇が行われる。その後、エグジットロール34(図1参照)により用紙Sが用紙積載部35に向けて排出され、用紙積載部35に複数枚の用紙Sが積載される。ここで本実施形態では、用紙Sが用紙積載部35に向けて排出される際、排出されたこの用紙Sの先端部が、図4の(A)に示すように、用紙積載部35の端部35C(図1参照)を超え装置フレーム36から突出する。また、用紙Sが用紙積載部35上をスライド移動し用紙Sの後端部がエンドガイド35B(図1参照)に突き当たった後も、用紙Sの先端部が装置フレーム36から突出する。
このため本実施形態では、上記のように、用紙束積載部70を上昇させ、装置フレーム36から突出する用紙Sの先端部をこの用紙束積載部70により支持するようにしている。このように用紙Sの先端部が用紙束積載部70により支持される場合、用紙積載部35および用紙束積載部70の両者に跨った状態で用紙Sは積載される。ここで、用紙Sの全てを装置フレーム36内に納める構成ではなく、上記のように先端部を装置フレーム36から突出させる構成の場合、装置フレーム36をより小さくすることができ画像形成システム1の占有面積をより小さくすることができる。
ここで、ステープラ40による綴じ処理が行われる際に回転板513が突出していると、この回転板513によって、用紙Sの移動や後述する用紙束Tの移動が規制される。また回転板513と上昇する用紙束積載部70とが干渉するおそれもある。このため本実施形態では、ステープラ40による綴じ処理が行われる際、図4(A)に示すように、第1綴じユニット510を画像形成システム1のフロント側に退避させ、第2綴じユニット520を画像形成システム1のリア側に退避させている。付言すると、エグジットロール34(図1参照)により排出される用紙Sの移動経路の一方の側方に第1綴じユニット510を退避させ、用紙Sの移動経路の他方の側方に第2綴じユニット520を退避させている。さらに説明すると、用紙積載部35から排出される用紙束T(詳細は後述)の移動経路の一方の側方に第1綴じユニット510を退避させ、用紙束Tの移動経路の他方の側方に第2綴じユニット520を退避させている。
ここで本実施形態では、エグジットロール34によって用紙積載部35に対し用紙Sが順次排出されるが、この際、タンパ38(図1参照)により用紙Sの側部が押圧され用紙Sの幅方向における揃えが行われる。また回転駆動するパドル37(図1参照)により用紙Sがエンドガイド35Bに押圧され用紙Sの搬送方向における揃えが行われる。これらの処理により、複数枚の用紙Sにより構成され端部の揃え処理が行われた用紙束Tが用紙積載部35上に生成される。その後、この用紙束Tに対しステープラ40による綴じ処理が実行される。次いで、イジェクトロール39によって、用紙束Tは用紙束積載部70に排出される。なお本実施形態では、用紙束積載部70への用紙束Tの積載に伴い用紙束積載部70が下降するようになっている。
次に綴じ装置500による綴じ処理について説明する。
綴じ装置500による綴じ処理が行われる場合には、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520と用紙束積載部70との干渉が起こらない位置に用紙束積載部70が下降する。その後、図4(B)の矢印Aに示すように、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520が、互いに接近する方向に移動する。そして本実施形態では、この移動に伴い、第1規制部401(図5(A)参照)による回転板513の規制が解除される。これにより、第1コイルスプリングKS1によって回転板513が回転し、図5(B)に示すように、下部フレーム512から回転板513が突出するようになる。そして本実施形態では、この突出によって、装置フレーム36から突出する用紙Sの先端部(図5(B)参照)が回転板513により支持されるようになる。
なお第1コイルスプリングKS1により回転した回転板513は、回転板513に設けられた突起TK(図5(A)参照)が下部フレーム512に設けられた第2規制部402(図3参照)に突き当たることで回転を停止する。また本実施形態では、用紙Sがエグジットロール34により順次搬送されてくる際、この用紙Sの移動経路上(移動経路の下方)に回転板513が位置するが、図5(B)に示すように、下部フレーム512については移動経路から外れた箇所に位置するようになっている。また図示を省略するが、上部フレーム511も移動経路から外れた箇所に位置するようになっている。
ここで、用紙Sがエグジットロール34により順次搬送されてくる際、この用紙Sの搬送経路上に、上部フレーム511および下部フレーム512を設けることもできる。そしてこの場合、用紙Sのサイズにもよるが、エグジットロール34により搬送されてくる用紙Sが、上部フレーム511と下部フレーム512との間に形成された間隙KG(図2参照)に一旦侵入する。その後、この用紙Sは、用紙積載部35および回転板513上を滑り用紙積載部35のエンドガイド35B(図1参照)に向かって移動していく。
ところで用紙Sにはカール(反り)が発生している場合があり、このような用紙Sが上記の間隙KGに侵入した場合、上部フレーム511の下面や下部フレーム512の上面に用紙Sが引っ掛かり、エンドガイド35Bに向かっての用紙Sの移動が規制されるおそれがある。そしてこの場合、用紙束Tを構成する用紙Sが不揃いとなる。また、用紙積載部35上に用紙Sが既に積載されている場合、エグジットロール34により搬送されてきた用紙Sは、用紙積載部35および回転板513上に既に積載されている用紙Sの上面をスライドしたうえで間隙KGに侵入することとなる。ところでこのように既に積載されている用紙Sの上を新たな用紙Sがスライドしていく場合、間隙KG内にて用紙Sが上部フレーム511の下面に接触しやすくなる。そしてこの場合も、エンドガイド35Bに向かっての用紙Sの移動が規制されやすくなる。
そこで本実施形態では、上記のように、用紙Sがエグジットロール34により搬送されてくる際、上部フレーム511および下部フレーム512を、用紙Sの移動経路から退避させている。より詳細には、第1綴じユニット510に設けられた上部フレーム511および下部フレーム512を、用紙Sの移動経路の一方の側方に退避させ、第2綴じユニット520に設けられた上部フレーム511および下部フレーム512を、用紙Sの移動経路の他方の側方に退避させている。
ところで上記では説明を省略したが、第1綴じユニット510(第2綴じユニット520側も同様)に設けられた回転板513は、図3に示すように三角形状に形成されている。また回転板513が用紙Sの上記移動経路上に位置している状態にて(図5(B)参照)、回転板513には、第2綴じユニット520が設けられている側に突出する頂部513Bが設けられている。さらにこの回転板513には、頂部513Bに接続して設けられ装置フレーム36に接近するに従い第1綴じユニット510の下部フレーム512に接近する縁部513Cが設けられている。
なお、図4(B)および図5(B)は、長い方の辺が先頭となった状態でA4の用紙Sが搬送されてくる際の第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の配置例を示している。ここで例えば、短い方の辺が先頭となった状態でA4の用紙Sが搬送されてくる場合には、図4(C)に示すように、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520はより接近した状態で配置される。また上記では説明を省略したが、本実施形態における綴じ装置500では、図2に示すように、用紙積載部35の延長線上に回転板513が位置するように、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520が配置されている。
綴じ装置500による綴じ処理についてさらに説明する。
用紙積載部35に対し用紙Sが排出される際には、ステープラ40による綴じ処理の場合と同様、用紙Sの排出がなされる度にタンパ38により用紙Sの側部が押圧され、用紙Sの幅方向における揃えが行われる。また回転駆動するパドル37により用紙Sがエンドガイド35Bに押圧され用紙Sの搬送方向における揃えが行われる。これにより端部の揃え処理が行われた用紙束Tが用紙積載部35上に生成される。その後、イジェクトロール39が用紙積載部35上の用紙束Tに接触するとともに予め定められた回転量だけイジェクトロール39が回転する。これにより用紙束Tの先端部が予め定められた箇所まで移動する。
次いで、例えば、用紙Sの中央部(用紙Sの搬送方向と直交する方向における中央部)にて2箇所の綴じ処理を行う場合には、図6(A)に示すように、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520が更に接近する。なおこの際、同図に示すように、第1綴じユニット510の回転板513と第2綴じユニット520の回転板513とが互いに突き当たる状態となる。さらに、軸512Dを中心として回転板513が回転するようになる。また、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の更なる接近に伴い、支持部材512F(図3参照)内に設けられた第2コイルスプリングKS2が縮み、回転板513がスライド移動する。これにより、図6(B)に示すように、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の各々にて、下部フレーム512内に回転板513が収納される。
ここで、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の各々に設けられた回転板513が回転等できない場合、第1綴じユニット510の回転板513と第2綴じユニット520の回転板513とが干渉し、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の接近が困難となる。本実施形態では、回転板513が上記のように回転可能およびスライド移動可能に設けられているために、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の接近が可能となり、用紙Sの中央部に対する綴じ処理が可能となっている。
ここで上記のように、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を互いに接近させると、図7に示すように、上部フレーム511と下部フレーム512との間に形成された間隙KG内に、用紙束Tが侵入するようになる。なお本実施形態では、上記にて説明したとおり、下部フレーム512の上面から間隙KG内に突出する突出部材512Cが設けられている(図2も参照)。このため本実施形態では、間隙KG内に用紙束Tが侵入する際、突出部材512Cにより用紙束Tが持ちあげられ用紙束Tが下部フレーム512の上面から浮くようになる。
ここで本実施形態では、下部フレーム512の上面に穴部512Aが設けられており(図3も参照)、間隙KG内に用紙束Tが侵入する際、この穴部512Aに用紙束Tが引っ掛かるおそれがある。そこで本実施形態では突出部材512Cにより用紙束Tを浮かすことで、穴部512Aに対する用紙束Tの引っ掛かりを抑制している。なお、間隙KG内への用紙束Tの侵入をより円滑にするため、下部フレーム512の上板512Eの端部512Jなどには面取りが施されている。
図6(B)の状態の後、本実施形態では、図8(A)に示すように、上部フレーム511内に設けられた移動フレーム511Aを予め定められた量だけ下部フレーム512に向けて移動させる。これにより、間隙KG内に突出部材511Bが突出する。その後、本実施形態では、回転を停止していたイジェクトロール39(図1参照)を再び回転させる。これにより、図8(B)に示すように、用紙束Tの先端部が突出部材511Bに対して突き当たり、用紙束Tの先端部側の揃えが行われる。次いで図9に示すように、移動フレーム511Aを更に下降させ、移動フレーム511Aの下面と下部フレーム512の上面とにより用紙束Tの先端部を押圧する。なおこの際、下部フレーム512の上面から突出していた突出部材512Cは、用紙束Tを介して移動フレーム511Aにより押圧され間隙KG内から退避する。
次いで、図9に示すように、移動フレーム511A内に設けられた打ち抜き部材505が用紙束Tに向かって進出し、用紙束Tに対する綴じ処理が実行される。これにより、用紙束Tの中央部に対する綴じ処理が終了する。次いで本実施形態では、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520は、互いに離れる方向に移動し、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の各々は、図10に示す状態となる。即ち、第1綴じユニット510が用紙束Tの一方の端部の対向位置に配置され、第2綴じユニット520が用紙束Tの他方の端部の対向位置に配置された状態となる。
なお第1綴じユニット510および第2綴じユニット520が互いに離れる方向に移動する際、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の各々に設けられた回転板513は、第2コイルスプリングKS2により押圧されるとともに、第1コイルスプリングKS1により端部が引っ張られ、図10に示すように、下部フレーム512から突出するようになる。このため、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520が互いに離れる方向に移動したとしても、回転板513による用紙束Tの支持が維持される。
その後、上記図9で示した動作と同じ動作が実行され、用紙束Tの端部に対する綴じ処理が行われる。この結果、本実施形態では、合計4箇所で綴じ処理が行われることとなる。なお上記では、4箇所にて綴じ処理を行う場合を例示したが、中央部の2箇所のみで綴じ処理を行うこともできる。また用紙束Tの一方の端部に対してのみ、即ち1箇所に対して綴じ処理を行うこともできる。
その後、本実施形態では、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を、互いに離れる方向に更に移動させる。これにより、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の各々に設けられた回転板513は、第2コイルスプリングKS2により押圧され、また、第1コイルスプリングKS1によりその端部が引っ張られ、下部フレーム512から突出するようになる。この結果、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520は、図5(B)に示した状態で配置される。
付言すると、用紙束Tの下方に回転板513が位置し用紙束Tの側方に上部フレーム511および下部フレーム512が位置(退避)するように、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520は配置される。ここで本実施形態では、後に、イジェクトロール39による用紙束Tの搬送が行われるが、この用紙束Tの搬送経路上に上部フレーム511および下部フレーム512が位置していると、用紙束Tが上部フレーム511の基部511K(図2参照)に突き当たり、用紙束Tの搬送が妨げられる。このため本実施形態では、上記のように、用紙束Tの側方に上部フレーム511および下部フレーム512を位置させている。
その後、本実施形態では、イジェクトロール39の回転が行われ、綴じ処理が終了した用紙束Tの搬送が行われる。より具体的に説明すると、用紙束Tの後端部が開口69(図1参照)を通過するまで用紙束Tの搬送が行われる。これにより、用紙積載部35および回転板513の両者に用紙束Tが支持された状態ではなく、回転板513により用紙束Tが支持された状態となる。
なお本実施形態における回転板513には、用紙積載部35と同様に傾斜が付与されている。この結果、イジェクトロール39によって回転板513まで搬送されてきた用紙束Tが用紙積載部35に戻るおそれがある。このため本実施形態では、図2に示すように、回転板513のうち用紙束Tの搬送方向上流側に位置する部位に対しより大きい傾斜を付与している。より具体的には、回転板513のうち用紙束Tの搬送方向上流側に位置する部位に対し、用紙束Tの搬送方向下流側に位置する部位や用紙束Tの搬送方向における中央部に位置する部位に付与された傾斜よりも大きい傾斜を付与している。さらに説明すると、回転板513のうち用紙束Tの搬送方向上流側に位置する部位は、垂れ下がるようになっている。更に説明すると、図2に示すように、回転板513のうち用紙束Tの搬送方向上流側に位置する端部は、開口69よりも下方に位置している。この結果、本実施形態では、回転板513に載っている用紙束Tが用紙積載部35に戻ることが防止される。
イジェクトロール39により回転板513へ用紙束Tが搬送された後、本実施形態では、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を、互いに離れる方向にさらに移動させる。そして、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520が更に移動することで、回転板513による用紙束Tの支持が解除される。これにより、用紙束Tは下方に落下し用紙束積載部70上に積載される。
なお本実施形態では、回転板513に縁部513C(図5(B)参照)が設けられている。そしてこの縁部513Cは、上記にて説明したとおり、装置フレーム36に接近するに従い下部フレーム512側に接近する。このため図5(B)に示した状態では、第1綴じユニット510の回転板513と第2綴じユニット520の回転板513との間に形成される間隙は、装置フレーム36に接近するに従い大きくなる。付言すると、第1綴じユニット510の回転板513と第2綴じユニット520の回転板513との間に形成される間隙は、回転板513上に載っている用紙束Tの後端部側に向かうに従い大きくなる。
さらに説明すると、本実施形態では、頂部513B(図5(B)参照)が設けられている箇所にて、第1綴じユニット510の回転板513と第2綴じユニット520の回転板513との間隙が最も小さくなっている。そして本実施形態では、頂部513Bが設けられている箇所から装置フレーム36に向かうに従い間隙が次第に大きくなっていく。このため、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520が互いに離れる方向に移動し用紙束Tが下方に落下する際、用紙束Tの後端部側から用紙束Tは落下するようになる。付言すると、用紙束Tの後端部が先端部側よりも先に用紙束積載部70に到達しその後に先端部が用紙束積載部70に到達する。
なお本実施形態では、用紙束積載部70上に用紙束Tが積載されるに従い用紙束積載部70は下降する。ここで上記では説明を省略したが、図2に示すように、下部フレーム512には、用紙束積載部70上の用紙束Tを検知する第1センサS1および第2センサS2が設けられている。そして本実施形態では、第1センサS1および第2センサS2の何れかにて用紙束Tが検知されている場合に用紙束積載部70を下降させ、第1センサS1および第2センサS2にて用紙束Tが検知されなくなった場合に用紙束積載部70を停止させるようにしている。これにより、用紙束積載部70上に積載された用紙束Tと、回転板513との干渉が避けられる。またステープラ40を用いての綴じ処理が行われる場合には、装置フレーム36に形成された開口69よりも上方に用紙束Tが位置することが防止される。
ここで第1センサS1および第2センサS2の各々は、透過型のセンサにより構成されており、第1綴じユニット510の下部フレーム512に取り付けられた発光部(不図示)と、第2綴じユニット520の下部フレーム512に取り付けられた受光部(不図示)とから構成されている。付言すると、第1センサS1および第2センサS2の各々に設けられた発光部は、第1綴じユニット510の下部フレーム512に設けられ、第1センサS1および第2センサS2の各々に設けられた受光部は、第2綴じユニット520の下部フレーム512に設けられている。
ここで用紙束Tに対し綴じ処理が行われる場合、ステープル針や後述する舌部などによって、用紙束Tの先端部あるいは後端部に凸部が形成される。そしてこのような凸部が形成された用紙束Tが用紙束積載部70に積載されていくと、図11(用紙束の積載状態を示した図)に示すように、用紙束Tの積載高さが用紙束Tの先端部側と後端部側とで異なるようになってしまう。なお同図(A)は先端部に綴じ処理が施された用紙束Tが積載された状態を示し、同図(B)は後端部に綴じ処理が施された用紙束Tが積載された状態を示している。
ここで例えば、第1センサS1および第2センサS2を設けず第1センサS1のみにより用紙束積載部70上の用紙束Tを検知することもできるが、この場合、用紙束Tの先端部側の積載高さが高くなっているにも関わらず、用紙束積載部70の下降が停止してしまうおそれがある。付言すると、用紙束Tの先端部側と回転板513とが干渉する状態であるにも関わらず、用紙束積載部70の下降が停止してしまうおそれがある。また第2センサS2のみにより用紙束積載部70上の用紙束Tを検知することもできるが、この場合は、用紙束Tの後端部側の積載高さが高くなっているにも関わらず、用紙束積載部70の下降が停止してしまうおそれがある。付言すると、用紙束Tの後端部側と回転板513とが干渉する状態であるにも関わらず、用紙束積載部70の下降が停止してしまうおそれがある。このため本実施形態では、用紙束Tの後端部側を検知する第1センサS1および用紙束Tの先端部側を検知する第2センサS2の2つのセンサを設け、第1センサS1および第2センサS2にて用紙束Tが検知されなくなった場合に用紙束積載部70を停止させるようにしている。
次に、上部フレーム511に設けられた綴じ部511C(図2参照)について詳細に説明する。図12は、上部フレーム511に設けられた綴じ部511Cを説明するための図である。なお本図では、下部フレーム512側も表示している。
同図(A)に示すように、上部フレーム511に設けられた綴じ部511Cは、予め定められた間隙をおいて配置された2つの基台501と、基部503とを有する。そして本実施形態では、基部503を基台501に接近(図中矢印F1方向に移動)させることにより、用紙束Tが綴じられるようになっている。また基台501は、基部503に向けて延伸して設けられ基台501と一体的に形成された突出部506を有している。一方で、下部フレーム512には、上記の基台501に対向配置された底部材502が設けられている。なおこの底部材502は、2つ設けられた基台501に対応して2つ設けられている。また下部フレーム512には、隣接する底部材502の間に、上記にて説明した穴部512Aが形成されている。
基部503について詳細に説明する。基部503は、用紙束Tに対し切り込みを入れるブレード504を備えている。また、基部503は、上記にて説明した打ち抜き部材505を有している。ここでこの打ち抜き部材505は、用紙束Tに対し片の一例としての舌部522(図12(B)参照)を形成するとともにこの舌部522を折り曲げ、かつ、ブレード504によって形成された切り込みに舌部522を挿入する。ブレード504は、一端が基部503に固定されて設けられるとともに下部フレーム512に形成された穴部512Aに向かって延びるように設けられた長方形の板状部材からなる。またブレード504は、ブレード504を貫通して設けられた目穴504Aを有し、さらに下部フレーム512に接近するに従いその幅が減少する先端部504Bを有する。
また打ち抜き部材505は、屈曲部を有したL字状の部材である。また打ち抜き部材505は、一方の端部側に主部505Aを有し他方の端部側に副部505Bを有している。また打ち抜き部材505は、主部505Aと副部505Bとが交わる箇所に、回転軸505Rを有しており、この回転軸505Rを中心に回転可能となっている。より詳細には、主部505Aがブレード504側に傾斜可能となっている。なお、副部505Bと基部503との間には、打ち抜き部材505が回転できるように間隙が設けられている。
ここで主部505Aは、下部フレーム512に向かって延びるように配置されている。さらに主部505Aは、回転軸505Rが設けられた側とは反対側、すなわち基台501が設けられている側に刃部505Cを有する。この刃部505Cは、舌部522の形状に倣う形状を有している。なお、刃部505Cに形成された複数の縁部のうち、ブレード504側に位置する縁部には刃が形成されていない。このため、舌部522の一方の端部522A(同図(B)参照)が用紙束Tに接続され、舌部522と用紙束Tとは連続した状態となる。また主部505Aは、主部505Aの側部、具体的にはブレード504と対向する側の側部に、ブレード504に向かって突出する突起505Dを有する。
ここで綴じ部511Cの動作を説明する。
まず、図示しないモータにより駆動されたカムによって、基部503が基台501に接近し、ブレード504の先端部504Bが用紙束Tを貫通する。また、打ち抜き部材505の刃部505Cが用紙束Tを押圧することにより打ち抜き部材505が用紙束Tを貫通する。これにより、用紙束Tには、同図(B)に示すように、切り込みの一例としてのスリット521と、一端部522Aが用紙束Tに接続された舌部522とが形成される。そして基部503が更に下降すると、打ち抜き部材505の副部505Bが突出部506に突き当たり、打ち抜き部材505が、回転軸505Rを中心に図12(A)において時計周りに回転する。
これにより、主部505Aがブレード504側に傾斜し、打ち抜き部材505の突起505Dがブレード504に接近する。これにより、打ち抜き部材505の突起505Dが、同図(C)に示すように、舌部522を折り曲げ、ブレード504の目穴504Aにこの舌部522を押し込む(図中F2参照)。尚、図12(C)では打ち抜き部材505の図示を省略している。その後、基部503を下部フレーム512から離れる方向に移動させる。つまり、基部503を同図(A)の矢印F3方向に上昇させる。そしてこの場合、舌部522がブレード504の目穴504Aに引っ掛かったまま上昇する。そして図12(D)に示すように、スリット521に舌部522が挿入される。これにより綴じ部511Cによる綴じ処理が終了する。なお、綴じ処理が終了した後、用紙束Tには、舌部522が打ち抜かれた箇所に、ファイル、バインダーなどに設けられた綴じ具が挿入される綴じ穴523(貫通孔の一例)が形成される(同図(D)参照)。
ここで第1綴じユニット510および第2綴じユニット520について更に詳細に説明する。
図13は、図6(B)における矢印XIII方向から第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を眺めた場合の図である。
上記にて説明した綴じ部511Cは、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の両者に設けられている。ここで第1綴じユニット510では、図13に示すように、第2綴じユニット520に近い側に打ち抜き部材505が設けられ第2綴じユニット520から離れた側にブレード504が設けられている。また第2綴じユニット520でも、図13に示すように、第1綴じユニット510に近い側に打ち抜き部材505が設けられ第1綴じユニット510から離れた側にブレード504が設けられている。
ここで本実施形態では、上記でも説明したように、綴じ処理が行われた後、図13の矢印A、Bに示すように、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520は互いに離れる方向に移動する。付言すると、第1綴じユニット510は同図の矢印Aに示すようにブレード504が設けられている側に移動し、第2綴じユニット520も同図の矢印Bに示すようにブレード504が設けられている側に移動する。これにより図10に示した状態となる。
図14は、図10の矢印XIV方向から第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を眺めた場合の図である。
図13にて示した矢印A方向に第1綴じユニット510が移動した後、この第1綴じユニット510は、図14に示すように、用紙束Tの一端部の対向位置に配置される。また図13にて示した矢印B方向に第2綴じユニット520が移動した後、この第2綴じユニット520は、図14に示すように、用紙束Tの他端部の対向位置に配置される。そしてこの一端部および他端部に対し、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520により綴じ処理が実行される。
その後、この第1綴じユニット510および第2綴じユニット520は、上記にて説明したとおり、互いに離れる方向に更に移動する。付言すると、第1綴じユニット510は図14における矢印C方向に移動し、第2綴じユニット520は矢印D方向に移動する。さらに説明すると、第1綴じユニット510はブレード504が設けられている側に移動し、第2綴じユニット520もブレード504が設けられている側に移動する。そして第1綴じユニット510および第2綴じユニット520がこのように移動すると、上記にて説明したように、回転板513上の用紙束Tが用紙束積載部70に落下する。
図15は、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520による綴じ処理が行われた後における用紙束Tを示した図である。
本実施形態では、上記にて説明したとおり、第1綴じユニット510による綴じ処理が行われた後、この第1綴じユニット510は、ブレード504が設けられている側に移動する。このため、第1綴じユニット510による綴じ処理が行われた箇所(符号15A、15B参照)では、舌部522が、第1綴じユニット510の移動方向に向かって延びるようになる。付言すると、綴じ処理を終えた第1綴じユニット510は、舌部522が延びる方向に向かって移動していく。また第2綴じユニット520側も同様であり、綴じ処理を終えた第2綴じユニット520は、舌部522が延びる方向に向かって移動していく。
ここで第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を、舌部522が延びる方向と直交(交差)する方向に移動させることもできるが、この場合、打ち抜き部材505が舌部522に引っ掛かったりし舌部522の破損などが起こりやすくなる。このため本実施形態では、綴じ処理を終えた第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を舌部522が延びる方向に移動させている。なお、舌部522が延びる方向とは反対方向に第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を移動させても、舌部522が延びる方向と直交する方向に移動させる場合に比べ、舌部522の破損などを抑制できる。ただし、舌部522の折れ曲がりを抑制するという観点からは、舌部522が延びる方向に第1綴じユニット510および第2綴じユニット520を移動させることが好ましくなる。
また上記では4箇所にて綴じ処理を行う場合を例示したが、この4箇所の綴じ処理を行う際、本実施形態では、中央部側に位置する2箇所の綴じ部にて先に綴じ処理を行い、後に、用紙束Tの一端部および他端部に対する綴じ処理を行っている。ここで用紙束Tの一端部および他端部に対して綴じ処理を行った後に、中央部側の2箇所にて綴じ処理を行うこともできるが、この場合、用紙束Tにたるみなどが発生しやすくなる。このため本実施形態では、用紙束Tの中央部側にて綴じ処理を行った後に用紙束Tの端部にて綴じ処理を行っている。また上記では、第1綴じユニット510、第2綴じユニット520などの綴じユニットを移動させることで複数箇所にて綴じ処理を行ったが、用紙束Tを移動させることで複数箇所にて綴じ処理を行うこともできる。付言すると、綴じユニットと用紙束Tとを相対的に移動させることによって複数箇所にて綴じ処理を行うことができる。
また上記では、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の2つの綴じユニットにより綴じ処理を行ったが、一つの綴じユニットにより綴じ処理を行うこともできる。例えば、図16(綴じ処理の他の態様を示した図)に示すように、一つの綴じユニット590を用紙束Tの側端部に沿って一方向に移動させるとともに、この移動の過程において、綴じユニット590による綴じ処理を行うこともできる。なおこの場合も、舌部522が延びる方向又は舌部522が延びる方向とは反対方向に綴じユニット590を移動させることが好ましくなる。なお図16では、舌部522が延びる方向に綴じユニット590を移動させる態様を例示している。
また、例えば第1綴じユニット510および第2綴じユニット520のうちの一方の綴じユニットを駆動し、図17(綴じ処理の他の態様を示した図)の(A)に示すように、用紙束Tの角部KDに対する綴じ処理を行うことができる。ここでこの用紙束Tは、矩形状に形成され、第1側辺SH1、第1側辺SH1に直交する第2側辺SH2、第2側辺SH2に直交する第3側辺SH3、第3側辺SH3に直交する第4側辺(不図示)を有している。そして上記角部KDは、第1側辺SH1と第2側辺SH2とが交差する箇所、第2側辺SH2と第3側辺SH3とが交差する箇所、第3側辺SH3と第4側辺(不図示)とが交差する箇所、および第4側辺(不図示)と第1側辺SH1とが交差する箇所に形成されている。
ここで本実施形態では、第1側辺SH1と第2側辺SH2とが交差する交差部KBに近い側にスリット521が位置し、交差部KBから離れた側に綴じ穴523が位置するように、綴じ処理が行われている。ここで同図(B)に示すように、交差部KBに近い側に綴じ穴523が位置し、交差部KBから離れた側にスリット521が位置するように綴じ処理を行うこともできるが、この場合、交差部KBからスリット521までの距離Lが、同図(A)で示した態様に比べ大きくなる。即ち、交差部KBからスリット521までの距離Lが、交差部KBに近い側にスリット521が位置し交差部KBから離れた側に綴じ穴523が位置する場合に比べ、大きくなる。
ここで用紙束Tの中身を見るために用紙束Tを開きページをめくる場合を考えると、スリット521が交差部KBに近い方が、スリット521が交差部KBから離れている場合に比べ、各ページをより大きく開くことができる。また、スリット521が交差部KBに近い方が、スリット521が交差部KBから離れている場合に比べ、画像を形成可能な有効領域を大きくすることができる。このため、同図(A)に示す態様の方が同図(B)に示す態様よりもより好ましいといえる。
また本実施形態では、舌部522が第2側辺SH2に沿うように綴じ処理が行われる。ここで図18(綴じ処理の他の態様を示した図)に示すように、舌部522を斜めに設けることもできるが、この場合、画像を形成することができない領域(画像の形成はできるが綴じ部により画像が見えなるため実質的に画像を形成することができない領域)が、図17(A)の態様に比べ大きくなってしまう。このため本実施形態では、上記のとおり、舌部522が第2側辺SH2に沿うように綴じ処理を行っている。
なお上記にて説明した第1綴じユニット510および第2綴じユニット520は、次のように構成することもできる。
図19は、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520の他の一形態を説明するための図である。なお上記と同様、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520は同様に構成されているため、第1綴じユニット510を中心に説明する。また、図19では、上部フレーム511の図示を省略している。また図19では、上方から第1綴じユニット510を眺めた場合の状態を表示している。また、上記と同様の機能については、同様の符号を用いここではその説明を省略する。
本実施形態では、高さ方向において、下部フレーム512の上面512Yと、回転板513の上面とが揃うように、第1綴じユニット510が構成されている。より具体的に説明すると、下部フレーム512の上面には、段差が形成されており、下部フレーム512には、上面512Yよりも下方に位置し回転板513を下方から支持する支持面512Nが形成されている。そして本実施形態では、この支持面512Nの上に回転板513が載せられている。また本実施形態では、上面512Yと、回転板513の上面とが揃うように、回転板513の厚みなどが設定されている。ここで、本実施形態の構成の場合、第1綴じユニット510および第2綴じユニット520が互いに接近する際、用紙束Tがより円滑に間隙KG(図2参照)内に入り込むようになる。
なお支持面512Nには、回転板513の下面に設けられた突起TKを移動させるための溝512Kが形成されている。また本実施形態では、回転板513の回転を規制する第2規制部402がこの溝512K内に設けられている。また本実施形態では、回転板513の下面から下方に向かって突出した突出部513Eが設けられており、この突出部513Eに対し第1コイルスプリングKS1の端部が取り付けられている。また本実施形態では、下部フレーム512に、突出部513Eと下部フレーム512との干渉を避けるための切り欠き512Mが形成されている。また下部フレーム512に、軸512Dと下部フレーム512との干渉を避けるための切り欠き512Pが形成されている。