JP2015066321A - 風呂蓋 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量性は維持すると共に、風呂蓋の上に乗ってはいけないことを直感的にわからせつつも、それでも誤って乗ってしまった幼児や使用者の浴槽への滑落を防止することで安全性を向上させることができる風呂蓋を提供する。【解決手段】発泡樹脂製芯材を有する本体部20を備えており、本体部20は表裏面に補強用の樹脂板を備えていないものであって、かつ、垂直荷重に対する撓みが許容されるよう構成されており、本体部20に垂直荷重が作用した際に、本体部20の他の風呂蓋12と突き合わせる側の端部である突き合わせ端部と、突き合わせ相手となる他の風呂蓋12との間の鉛直方向における隙間の発生を、本体部20に垂直荷重が作用した際の本体部20の突き合わせ端部の撓みを抑制することによって抑制する隙間発生抑制手段41を、突き合わせ端部に設けた。【選択図】図1
Description
本発明は、浴槽の上に載せる風呂蓋に関する。
従来より、複数の板状の風呂蓋の端部どうしを突き合わせることにより浴槽を覆うよう構成された風呂蓋がある。
このような風呂蓋として、風呂蓋に大きな荷重がかかった場合でも破損しないような剛性や、断熱性という基本性能を持たせた構造が知られている。例えば、断熱性の高い発泡樹脂の板を芯材とし、これに剛性をもたせるために、芯材の表裏面全体に硬質な樹脂板を設けた構造である。
しかし、この構造では、表裏面全体に設けた硬質な樹脂板が重く、高齢者にとっては取り扱いにくいという問題があり、風呂蓋の軽量化が求められている。
風呂蓋を片手でも取り扱いできる程度に軽量化するためには、風呂蓋の表裏面に設けていた樹脂板を除くことが考えられる。
しかし、樹脂板を除いた発泡樹脂製芯材だけの構成では、幼児が誤って風呂蓋の上に乗ってしまった場合に、発泡樹脂の割れや撓みが生じて、浴槽内へと滑落してしまうことが懸念される。
そこで、軽量化を維持しつつ、風呂蓋からの滑落を防止するため、特許文献1に開示されているように、発泡樹脂からなる芯材の全体に亘って、金属、合金もしくは硬質樹脂で形成された中空の補強杆を複数本内蔵させて、全体的に剛性をもたせる構造が考えられる。
一方で、全体的に剛性を高めた風呂蓋であっても、浴槽への設置位置がずれているときに人が上に乗ると、風呂蓋が浴槽から外れて人が浴槽に落下するおそれがある。そこで、風呂蓋の製造・販売者は、取扱説明書などで風呂蓋の上には乗らないように注意書きをして、その行為を禁止している。ところが、全体的に剛性をもたせた風呂蓋では、上に乗っても安定感があるので、使用者は風呂蓋の上に乗る行為が禁止されていても、乗ってしまいがちである。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、端部どうしを突き合わせるタイプの風呂蓋において、軽量性は維持すると共に、風呂蓋の上に乗ってはいけないことを直感的にわからせつつも、それでも誤って乗ってしまった幼児や使用者の浴槽への滑落を防止することで安全性を向上させることができる風呂蓋を提供することを目的とする。
第1の発明の風呂蓋は、浴槽の3辺に載置され、他の風呂蓋と突き合わせて浴槽を覆うように構成された風呂蓋であって、圧縮永久ひずみが20%以下且つたわみ性を有する発泡樹脂製芯材を有する本体部を備えており、前記本体部は表裏面に補強用の樹脂板を備えていないものであって、かつ、垂直荷重に対する撓みが許容されるよう構成されており、さらに、前記本体部に垂直荷重が作用した際に、前記本体部の他の風呂蓋と突き合わせる側の端部である突き合わせ端部と、突き合わせ相手となる前記他の風呂蓋との間の鉛直方向における隙間の発生を、前記本体部に垂直荷重が作用した際の前記本体部の突き合わせ端部の撓みを抑制することによって抑制する隙間発生抑制手段を、前記突き合わせ端部に設けたことを特徴とすることを特徴とする。
第1の発明によれば、発泡樹脂製芯材を圧縮永久ひずみが20%以下且つたわみ性を有するよう構成し、さらに、本体部の表裏面に補強用の樹脂板を備えていない構成にして、垂直荷重に対する撓みが許容されるよう構成している。このため、本体部に垂直荷重が作用した際に生じる撓みにより、使用者に直感的に風呂蓋に乗ってはいけないことを認識させることができ、使用者が風呂蓋へ乗る行為に対する抑止力を発揮させることができる。
なお、本発明における圧縮永久ひずみが20%以下且つたわみ性を有する発泡樹脂製芯材を形成できる発泡樹脂としては、例えば、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、軟質発泡ウレタン、発泡EVA(Ethylene-Vinyl Acetate)、ポリプロピレンやポリエチレンからなるハイブリット発泡材、発泡ポリ塩化ビニル、エラストマー発泡体、ゴム発泡体などが含まれる。一方、発泡スチロール、硬質発泡ウレタンなどは、風呂蓋の芯材に必要な厚みではほとんど撓まないので含まれない。
なお、本発明における圧縮永久ひずみが20%以下且つたわみ性を有する発泡樹脂製芯材を形成できる発泡樹脂としては、例えば、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、軟質発泡ウレタン、発泡EVA(Ethylene-Vinyl Acetate)、ポリプロピレンやポリエチレンからなるハイブリット発泡材、発泡ポリ塩化ビニル、エラストマー発泡体、ゴム発泡体などが含まれる。一方、発泡スチロール、硬質発泡ウレタンなどは、風呂蓋の芯材に必要な厚みではほとんど撓まないので含まれない。
また、第1の発明によれば、仮に幼児や使用者が風呂蓋に乗ってしまった場合であっても、突き合わせ端部に隙間発生抑制手段を設けているため、他の風呂蓋と突き合わされた部分に、幼児や使用者が浴槽へと滑落するおそれのある隙間が発生することを防止できる。
また、第1の発明によれば、隙間抑制手段によって突き合わせ端部の撓みが抑制されることで、本体部が突き合わせ端部を除く端部から突き合わせ端部側に下方傾斜することが抑制され、使用者が風呂蓋に乗ってしまった場合の不安定さを軽減させることができる。
また、第1の発明によれば、隙間発生抑制手段は、芯材の全体にわたって設けるのではなく、突き合わせ端部のみに設けているため、軽量性を損なうこともない。
第2の発明は、第1の発明において、前記隙間発生抑制手段は、浴槽に載置した状態で前記本体部に垂直荷重が作用した際に、該垂直荷重を浴槽の3辺のうち相対する2辺に分散させることができるよう、前記本体部の載置時に両端が前記浴槽の相対する2辺に支持される補強部材を有することを特徴とする。
第2の発明によれば、本体部にかかった垂直荷重を、補強部材の両端を介して浴槽の3辺のうち相対する2辺に分散させることができる。このため、突き合わせ端部の撓み量を抑えて、より安全性の高い風呂蓋を提供できる。
第3の発明は、第2の発明において、前記補強部材は、他の風呂蓋と突き合わせる側の前記本体部の端面である突き合わせ面に設けられており、さらに、前記補強部材は、前記突き合わせ面に垂直な方向の長さよりも、前記突き合わせ面に平行な方向の長さの方が長くなるよう前記突き合わせ面に設けられていることを特徴とする。
第3の発明によれば、補強部材の縦断面の断面二次モーメントを効率的に大きくすることができ、より小さな補強部材で効率的に突き合わせ端部の撓みを抑制できるため、より確実に軽量性を損なうことなく、風呂蓋の安全性を向上させることができる。
第4の発明は、第3の発明において、前記突き合わせ面は前記芯材からなるものであって、前記補強部材は、前記突き合わせ面に接着固定されていることを特徴とする。
第4の発明によれば、接着という簡易な方法により、少ない手間で、軽量かつ安全な風呂蓋を実現できる。
第5の発明は、第4の発明において、前記本体部に垂直荷重が作用した際に、前記芯材の表裏面が変形しないように前記芯材の表裏面から前記芯材に力を加える剥離防止部を前記突き合わせ端部にさらに設けたことを特徴とする。
芯材からなる突き合わせ面に補強部材を接着固定した場合、本体部に比較的大きな垂直荷重が作用すると、補強部材と本体部の変形量の差から、補強部材と芯材の間には大きなせん断力が作用する。これにより、補強部材が、突き合わせ面から発泡樹脂製の芯材の一部を引きちぎるようにして剥がれてしまう恐れがある。このようになっては、補強部材による撓み抑制効果が薄くなってしまう。
第5の発明によれば、突き合わせ端部近傍における芯材の表裏面の変形が剥離防止部によって抑制され、芯材と補強部材との間に大きなせん断力が作用するのを抑制することができる。このため、補強部材の剥離を防いで、補強部材によって本体部の突き合わせ端部の撓みを確実に抑制することができる。
第5の発明によれば、突き合わせ端部近傍における芯材の表裏面の変形が剥離防止部によって抑制され、芯材と補強部材との間に大きなせん断力が作用するのを抑制することができる。このため、補強部材の剥離を防いで、補強部材によって本体部の突き合わせ端部の撓みを確実に抑制することができる。
第6の発明は、第2〜第5の発明のいずれかにおいて、前記本体部の前記補強部材が設けられた突き合わせ端部を判別するための判別手段を設けたことを特徴とする。
第6の発明によれば、補強部材が設けられていない本体部の端部を誤って他の風呂蓋と突き合わせることを抑制できる。したがって、補強部材が設けられていない本体部の端部を他の風呂蓋と突き合わせてしまい垂直荷重が作用した際に、他の風呂蓋との間に鉛直方向の隙間ができてしまうことを回避できる。
第7の発明は、第6の発明において、前記判別手段は、前記本体部の前記補強部材が設けられている一端側の横幅よりも、他端側の横幅の方が小さくなるよう形成された前記本体部の形状であることを特徴とする。
第7の発明によれば、軽量性を損なわずに、容易に補強部材が設けられた端部を判別することができる。
本発明によれば、軽量性は維持すると共に、風呂蓋の上に乗ってはいけないことを直感的にわからせつつも、それでも誤って乗ってしまった幼児や使用者の浴槽への滑落を防止することで安全性を向上させることができる風呂蓋が提供される。
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
図1は、実施形態の風呂蓋12の模式斜視図である。
実施形態によれば、2枚の風呂蓋12が組み合わされて、浴槽の開口を塞いで浴槽内に貯留された湯の熱が外へ逃げることを防ぐ。
上方からみたときの平面視において、風呂蓋12は略四角形状に形成されている。2枚の風呂蓋12は浴槽の長手方向に並べて配置され、突き合わせ端部側の辺を除く3辺が、浴槽のリムの上面に渡されるように載置される。
図2は、実施形態の風呂蓋12の模式断面図であり、図1におけるA−A断面に対応する。
風呂蓋12は、風呂蓋12の大部分を占める本体部20と、本体部20における突き合わせ端部以外の3辺の側面を被覆している縁材90と、を有する。
本体部20は、板状の芯材21と、芯材21の表裏面を被覆している表面シート23と、芯材21の表裏面と表面シート23との間に設けられた延伸シート22と、を有する。
芯材21は、平面形状が略四角形状の薄板状に形成され、表面、その反対側の裏面、および芯材21の外形輪郭線に沿って形成された側面(周囲面)を有する。
芯材21は、外力を加えると弾性変形する発泡樹脂からなる。芯材21は、例えば、JIS K6767で規定された測定方法によって算出された圧縮永久ひずみが20%以下であり、さらにたわみ性を有する。圧縮永久ひずみは、材料に荷重を負荷した後、その荷重を除去したときに材料に残ったひずみである。
圧縮永久ひずみが20%以下、且つ、たわみ性を有する芯材とするために用いる発泡樹脂として、例えば、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、軟質発泡ウレタン、発泡EVA(Ethylene-Vinyl Acetate)、ポリプロピレンやポリエチレンからなるハイブリット発泡材、発泡ポリ塩化ビニル、エラストマー発泡体、ゴム発泡体などが挙げられる。実施形態では、例えば、厚さが20mmのビーズ発泡させた発泡ポリプロピレン(EPP)を芯材21として使っている。
例えば、30〜60倍率でビーズ発泡させた発泡ポリプロピレンの圧縮永久ひずみは、8%〜11%程度である。一方、圧縮永久ひずみが20%を超える発泡樹脂として、硬質ウレタンフォーム、押出発泡あるいは発泡ビーズ法で発泡させたポリスチレン系樹脂が挙げられる。例えば、30〜60倍率でビーズ発泡させた発泡ポリスチレン(EPS)の圧縮永久ひずみは、21%〜24%程度である。これらの圧縮永久ひずみが20%を超える発泡樹脂で芯材21を成形すると、芯材21に生じた凹みが元に戻らず、風呂蓋12の表裏面に凹凸が発生するので、風呂蓋には相応しくない。
芯材21の表裏面は、延伸シート22を介して表面シート23で被覆され、外部に露出していない。表面シート23は、芯材21の表裏面を保護し、また化粧面として機能する。
表面シート23は、芯材21よりも薄く、例えば、厚さが0.25mmのオレフィン系樹脂のシートからなる。表面シート23は、外力を加えると弾性変形する弾性を有する。また、表面シート23は、非透水性を有する。
延伸シート22は、芯材21及び表面シート23よりも薄い。延伸シート22の厚さは、例えば0.15μmである。延伸シート22は、表面シート23の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有し、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンの繊維クロスである。
延伸シート22は芯材21の表裏面に接着剤や熱融着により接着され、延伸シート22は芯材21の表裏面に密着している。また、表面シート23は、延伸シート22の表面に接着剤により接着され、表面シート23は延伸シート22の表面に密着している。
縁材90は、本体部20における突き合わせ端部以外の3辺の側面を被覆している。縁材90は、軟質樹脂製の保護部92と、保護部92よりも硬質の硬質樹脂製の補強部91とを有する。
補強部91は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂からなる。保護部92は、例えば、オレフィン系エラストマーからなる。
補強部91は、帯板状に形成され、本体部20の側面(周囲面)に沿って設けられている。補強部91は、本体部20の側面と、保護部92との間に設けられ、外部に露出していない。
保護部92は、本体部20の側面から本体部20の表裏面の外縁部にわたる領域を連続して覆っている。すなわち、保護部92は、本体部20の表裏面と側面とがなす角部を覆っている。
縁材90は、浴槽内と浴室内の温度差によって本体部20を反らそうとする応力に対して、本体部20よりも大きな曲げ強さを発揮して、浴槽リムの上に載置される本体部20の周端縁部が反らないように本体部20を補強している。
2枚の風呂蓋12は、互いの突き合わせ端部どうしを突き合わせて組み合わされることで、浴槽の開口を覆う。その突き合わせ端部には、隙間発生抑制手段が設けられている。
隙間発生抑制手段は、突き合わせ端部どうしを突き合わせて浴槽リムの上に載置された風呂蓋12の本体部20に上方から垂直荷重がかかった際に、突き合わせ端部の撓みを抑制し、一方の風呂蓋12の突き合わせ端部と他方の風呂蓋12の突き合わせ端部とが鉛直方向に離間することで発生する鉛直方向の隙間の発生を抑制する。
図3(b)は、風呂蓋12の本体部20における突き合わせ端部、およびその突き合わせ端部に設けられた隙間発生抑制手段の模式図である。
図3(a)は、図3(b)に示す隙間発生抑制手段の模式分解図である。
図3(a)は、図3(b)に示す隙間発生抑制手段の模式分解図である。
実施形態によれば、隙間発生抑制手段として、図3(a)及び(b)に示す補強部材41を突き合わせ端部に設けている。
補強部材41は、突き合わせ端部に沿って延びる帯板状に形成され、他の風呂蓋と突き合わされる側の本体部20の端面である突き合わせ面に接着固定されている。補強部材41は、突き合わせ面の長手方向(図3(a)においてX方向)の端から端まで連続して設けられている。
補強部材41は、例えば、硬質の樹脂、ガラス強化樹脂、金属などからなる。軽量性の点からは、補強部材41は、樹脂が好ましい。
補強部材41の外側には、カバー42が補強部材41を覆うように設けられている。カバー42は、補強部材41及び本体部20に対して接着固定されている。カバー42は、本体部20からの補強部材41の剥離を防止する剥離防止部として機能する。
カバー42は、補強部材41の表面(本体部20の突き合わせ面に対して平行な面)から、本体部20の表裏面の外縁部にわたる領域を連続して覆っている。すなわち、カバー42は、本体部20の表裏面と、補強部材41の本体部20の突き合わせ面に対して平行な面とがなす角部を覆っている。
カバー42は、硬質の樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、あるいは軟質の樹脂(例えば、オレフィン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー)からなる。
実施形態によれば、本体部20の表裏面には、硬質樹脂製の化粧板や補強板が設けられていない。そのため、実施形態の風呂蓋12は、軽量になり、取り扱い性が向上する。
また、芯材21は、圧縮永久ひずみが20%以下かつたわみ性を有しており、垂直荷重に対する撓みが許容されるよう構成されている。すなわち、通常の使用中に風呂蓋12にかかる程度の外力に対しては塑性変形や破壊することがなく、弾性変形するにとどまる。このため、芯材21は外力によって一時的に変形しても、すぐに元に戻り、風呂蓋12が局部的にへこんだままになったり、大きく変形することがない。
また、表面シート23及び延伸シート22も、外力を加えると、芯材21に追随して弾性変形する弾性を有する。このため、表面シート23及び延伸シート22は、外力によってへこんだ芯材21が元に戻る弾性変形を妨げない。
また、延伸シート22は、延伸素材を高い温度領域で延伸させた上で常温に戻している為、表面材シート23よりも線膨張係数が低く、湯の熱など発生するバイメタルによる反りを抑制する。また、延伸シート22は、引張り強度、曲げ弾性率も高く、比較的薄くても剛性を高めることができる。
また、本体部20の周端縁部は浴槽リムの上面に載置される部分であるが、その周端縁部が反らないように縁材90が本体部20を支えているため、風呂蓋12と、浴槽リム上面との間に生じる隙間を抑制でき、高い保温能力を発揮することができる。
縁材90において外部に露出する部分である保護部92を軟質樹脂として、人や、浴室内の他の構成物に対する当たりを柔らかくする一方で、硬質樹脂製の補強部91によって、本体部20の周端縁部を反らそうとする応力に対して本体部20よりも大きな曲げ強さを発揮させている。
実施形態によれば、前述したように、芯材21を圧縮永久ひずみが20%以下かつたわみ性を有するよう構成し、さらに、本体部20の表裏面に補強用の樹脂板を備えていない構成にして、垂直荷重に対する撓みが許容されるよう構成している。このため、本体部20に垂直荷重がかかった際に生じる撓みにより、使用者に直感的に風呂蓋12に乗ってはいけないことを認識させることができ、使用者が風呂蓋12へ乗る行為に対する抑止力を発揮させることができる。
また、仮に幼児や使用者が風呂蓋12に乗ってしまった場合であっても、突き合わせ端部に、前述した補強部材41を設けているため、突き合わせ端部の撓みを抑制して、一対の風呂蓋12の突き合わせ端部の間に、使用者が浴槽へと滑落するおそれのある隙間が発生することを防止できる。
すなわち、一方の風呂蓋12の突き合わせ端部と、他方の風呂蓋12の突き合わせ端部との鉛直方向の離間が抑制され、それら突き合わせ端部の間に発生する鉛直方向の隙間が抑制され、幼児が浴槽内へと滑落することを防止できる。
このように、実施形態によれば、軽量性を維持しつつ、使用者の浴槽への滑落を防止すると共に、風呂蓋の上に乗ってはいけないことを直感的にわからせることで安全性の高い風呂蓋を実現できる。
また、補強部材41によって突き合わせ端部の撓みが抑制されることで、本体部20が突き合わせ面側に下方傾斜することが抑制され、使用者が風呂蓋12に乗ってしまった場合の不安定さを軽減させることができる。
隙間発生抑制手段としての補強部材41は、芯材21の全体にわたって設けるのではなく、突き合わせ端部のみに設けているため、軽量性を損なうこともない。なお、補強部材41は、突き合わせ面近傍の芯材21の中に内蔵させてもよい。
図5は、幼児が乗った一方の風呂蓋12を、他方の風呂蓋12との突き合わせ面側から見た模式図である。
図5に示すように、風呂蓋12が浴槽100のリム上に載置され、本体部20に垂直荷重がかかった状態で、補強部材41の両端は浴槽100のリムの上に支持されている。このため、本体部20にかかった垂直荷重を、補強部材41の両端を介して浴槽100のリムに分散させることができる。このため、突き合わせ端部の撓み量を抑えて、より安全性の高い風呂蓋を提供できる。
また、本体部20にかかった垂直荷重を補強部材41の両端を介して浴槽リムに分散させることで、突き合わせ端部の、リムに支持されていない箇所に荷重が集中することがなく、突き合わせ端部のリムに支持されている箇所と、支持されていない箇所との間に大きなせん断力が作用することを抑制できる。このため、発泡樹脂からなる芯材21の破損を防止して、より安全性を高めることができる。
補強部材41において、突き合わせ面に対して平行な方向(図3(a)においてZ方向)の長さは、突き合わせ面に対して垂直な方向(図3(a)においてY方向)の長さよりも長い。したがって、補強部材41の縦断面(図3(a)においてハッチングで表される断面)の断面二次モーメントを効率的に大きくすることができ、体積及び重量のより小さな補強部材41で効率的に突き合わせ端部の撓みを抑制できる。
補強部材41は、突き合わせ面に接着固定されている。このため、予め芯材21に複雑な加工を施すことがないため、少ない手間で、軽量かつ安全な風呂蓋を実現できる。
また、実施形態によれば、突き合わせ端部の撓みを抑制する補強部材41に加えて、さらに、カバー42を突き合わせ端部に設けている。カバー42は、補強部材41における、本体部20の突き合わせ面に対して平行な面に接着固定されている。さらに、カバー42は、本体部20における、突き合わせ面近傍の表裏面に接着固定されている。
カバー42は、本体部20に垂直荷重が作用した際に、突き合わせ端部近傍の芯材21の表裏面が変形しないよう芯材21の表裏面から芯材21に力を加え、補強部材41の剥離を防止する。
本体部20に垂直荷重がかかった際に、補強部材41と芯材21の変形量の差から、補強部材41と芯材21の間に大きなせん断力が作用し、補強部材41が、発泡樹脂からなる芯材21の端面から芯材21の一部を引きちぎるように剥がれてしまうことが懸念される。補強部材41が本体部20に対して固定されていないと、撓み抑制効果が低減してしまう。
そこで、実施形態によれば、補強部材41の剥離を防止する剥離防止部として、カバー42を設けている。
図4は、図3(b)におけるX−X断面を表す。すなわち、図4は、図3(a)におけるX方向に沿った突き合わせ端部の断面を表す。
本体部20に上方から垂直荷重がかかると、芯材21の上面側が縮もうとするが、この力に抗する矢印A方向の力を、芯材21の上面側は、芯材21の上面に積層された延伸シート22、表面シート23およびカバー42から受ける。この矢印A方向の力は、垂直荷重を受けて変形した延伸シート22、表面シート23およびカバー42の弾性復元力である。
また、本体部20に上方から垂直荷重がかかると、芯材21の下面側は伸びようとするが、この力に抗する矢印B方向の力を、芯材21の下面側は、芯材21の下面に積層された延伸シート22、表面シート23およびカバー42から受ける。この矢印B方向の力は、垂直荷重を受けて変形した延伸シート22、表面シート23およびカバー42の弾性復元力である。
したがって、上記A方向の力及びB方向の力によって、突き合わせ端部近傍における芯材21の表裏面の変形は抑えられ、芯材21と補強部材41との間に大きなせん断力が作用するのを抑制することができる。この結果、補強部材41の剥離を防いで、補強部材41によって本体部20の突き合わせ端部の撓みを確実に抑制することができる。
図6は、剥離防止部の他の具体例としてのカバー46を示す。
このカバー46も図3(a)及び(b)に示すカバー42と同じ材料を用いることができる。カバー46は、芯材21と延伸シート22との間で芯材21に食い込むように突出した突出部46aを有する。突出部46aは、延伸シート22、芯材21および補強部材41に接着されている。
本体部20に上方から垂直荷重がかかると、突き合わせ端部近傍で芯材21の表裏面のそれぞれに積層された突出部46a、延伸シート22、表面シート23およびカバー46の上面部46b(または下面部46c)からなる積層体によって、図4に示す上記矢印A方向の力と矢印B方向の力が発生し、芯材21の表裏面の変形が抑制される。これにより、芯材21と補強部材41との間に大きなせん断力が作用するのを抑制して、補強部材41の剥離を防ぐことができる。
図7(a)及び(b)は、剥離防止部のさらに他の具体例を示す。
延伸シート22及び表面シート23の端部が、図7(a)に示すように、本体部20の突き合わせ面およびその突き合わせ面に接着固定された補強部材41よりも突出するように、延伸シート22及び表面シート23が芯材21の表裏面に接着される。
そして、下面側の延伸シート22及び表面シート23の端部(突出部)と、上面側の延伸シート22及び表面シート23の端部(突出部)とを補強部材41に重ねるように折り返す。下面側の延伸シート22及び表面シート23の端部、上面側の延伸シート22及び表面シート23の端部、および補強部材41は相互に接着固定される。
補強部材41に重ねられた延伸シート22及び表面シート23の端部は、補強部材41を、芯材21の端面に対して押さえ付ける。また、本体部20に上方から垂直荷重がかかると、突き合わせ端部近傍で芯材21の表裏面のそれぞれに積層された延伸シート22および表面シート23からなる剥離防止部によって、図4に示す上記矢印A方向の力と矢印B方向の力が発生して、芯材21の表裏面の変形が抑制される。これにより、芯材21と補強部材41との間に大きなせん断力が作用するのを抑制して、補強部材41の剥離を防ぐことができる。
また、実施形態によれば、本体部20の補強部材41が設けられた突き合わせ端部を判別するための判別手段を設けている。
具体的には、図8に示すように、本体部20の平面形状で判別手段を構成している。本体部20の略四角形状の平面形状における4つの角部のうち、突き合わせ端部の反対側の辺部(端部)の両端に形成された2つの角部に丸みをつけている。これにより、本体部20における補強部材41が設けられている一端側の横幅(浴槽100の短辺方向に対して平行な方向の幅)L1よりも、他端側の横幅L2の方が小さくなる形状になっている。
このように、本体部20の形状で、突き合わせ端部を容易に判別できる。このため、補強部材41が設けられていない端部を誤って他の風呂蓋と突き合わせることを抑制できる。すなわち、補強部材41が設けられていない端部を他の風呂蓋と突き合わせてしまい垂直荷重がかかった際に、他の風呂蓋との間に鉛直方向の隙間ができてしまうことを回避できる。風呂蓋12の軽量性は損なわずに、容易に突き合わせ端部を判別でき、補強部材41による隙間抑制の効果を確実に発揮させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
12…風呂蓋、20…本体部、21…芯材、41…補強部材、42…カバー、100…浴槽
Claims (7)
- 浴槽の3辺に載置され、他の風呂蓋と突き合わせて浴槽を覆うように構成された風呂蓋であって、
圧縮永久ひずみが20%以下且つたわみ性を有する発泡樹脂製芯材を有する本体部を備えており、
前記本体部は表裏面に補強用の樹脂板を備えていないものであって、かつ、垂直荷重に対する撓みが許容されるよう構成されており、
さらに、前記本体部に垂直荷重が作用した際に、前記本体部の他の風呂蓋と突き合わせる側の端部である突き合わせ端部と、突き合わせ相手となる前記他の風呂蓋との間の鉛直方向における隙間の発生を、前記本体部に垂直荷重が作用した際の前記本体部の突き合わせ端部の撓みを抑制することによって抑制する隙間発生抑制手段を、前記突き合わせ端部に設けたことを特徴とする風呂蓋。 - 前記隙間発生抑制手段は、浴槽に載置した状態で前記本体部に垂直荷重が作用した際に、該垂直荷重を浴槽の3辺のうち相対する2辺に分散させることができるよう、前記本体部の載置時に両端が前記浴槽の相対する2辺に支持される補強部材を有する請求項1記載の風呂蓋。
- 前記補強部材は、他の風呂蓋と突き合わせる側の前記本体部の端面である突き合わせ面に設けられており、
さらに、前記補強部材は、前記突き合わせ面に垂直な方向の長さよりも、前記突き合わせ面に平行な方向の長さの方が長くなるよう前記突き合わせ面に設けられている請求項2記載の風呂蓋。 - 前記突き合わせ面は前記芯材からなるものであって、
前記補強部材は、前記突き合わせ面に接着固定されている請求項3記載の風呂蓋。 - 前記本体部に垂直荷重が作用した際に、前記芯材の表裏面が変形しないように前記芯材の表裏面から前記芯材に力を加える剥離防止部を前記突き合わせ端部にさらに設けた請求項4記載の風呂蓋。
- 前記本体部の前記補強部材が設けられた突き合わせ端部を判別するための判別手段を設けた請求項2〜5のいずれか1つに記載の風呂蓋。
- 前記判別手段は、前記本体部の前記補強部材が設けられている一端側の横幅よりも、他端側の横幅の方が小さくなるよう形成された前記本体部の形状である請求項6記載の風呂蓋。
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---|---|---|---|---|
JPH06225841A (ja) * | 1991-11-07 | 1994-08-16 | Oskar:Kk | 風呂蓋とその製造方法 |
JP3057382U (ja) * | 1998-07-31 | 1999-05-11 | ワコー株式会社 | 風呂用保温カバー |
JP2006326114A (ja) * | 2005-05-27 | 2006-12-07 | Kubota Engineer:Kk | 風呂蓋 |
-
2013
- 2013-09-30 JP JP2013205218A patent/JP2015066321A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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