以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
(第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態の風呂蓋11a、11bの模式平面図である。
図1(b)は、風呂蓋11a、11bがそれぞれの突き合わせ端部10どうしを突き合わせて組み合わされた状態の模式平面図である。
第1実施形態によれば、2枚の風呂蓋11a、11bが組み合わされて、浴槽の開口を塞いで浴槽内に貯留された湯の熱が外へ逃げることを防ぐ。
上方からみたときの平面視において、風呂蓋11a、11bは略四角形状に形成されている。2枚の風呂蓋11a、11bは浴槽の長手方向に並べて配置され、突き合わせ端部10側の辺を除く3辺が、浴槽のリムの上面に渡されるように載置される。
図2は、第1実施形態の風呂蓋11a、11bの模式断面図であり、図1(a)におけるA−A断面に対応する。
図1には、風呂蓋11bについてA−A線を示しているが、風呂蓋11aについても図2に示す断面構造を有する。すなわち、風呂蓋11aと風呂蓋11bは、突き合わせ端部10に設けた後述する隙間発生抑制手段以外は同じ構造となっている。
風呂蓋11a、11bは、風呂蓋11a、11bの大部分を占める本体部20と、本体部20における突き合わせ端部10以外の3辺の側面を被覆している縁材90と、を有する。
本体部20は、板状の芯材21と、芯材21の表裏面を被覆している表面シート23と、芯材21の表裏面と表面シート23との間に設けられた延伸シート22と、を有する。
芯材21は、平面形状が略四角形状の薄板状に形成され、表面、その反対側の裏面、および芯材21の外形輪郭線に沿って形成された側面(周囲面)を有する。
芯材21は、外力を加えると弾性変形する発泡樹脂からなる。芯材21は、例えば、JIS K6767で規定された測定方法によって算出された圧縮永久ひずみが20%以下であり、さらにたわみ性を有する。圧縮永久ひずみは、材料に荷重を負荷した後、その荷重を除去したときに材料に残ったひずみである。
圧縮永久ひずみが20%以下、且つ、たわみ性を有する芯材とするために用いる発泡樹脂として、例えば、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、軟質発泡ウレタン、発泡EVA(Ethylene-Vinyl Acetate)、ポリプロピレンやポリエチレンからなるハイブリット発泡材、発泡ポリ塩化ビニル、エラストマー発泡体、ゴム発泡体などが挙げられる。実施形態では、例えば、厚さが20mmのビーズ発泡させた発泡ポリプロピレン(EPP)を芯材21として使っている。
例えば、30〜60倍率でビーズ発泡させた発泡ポリプロピレンの圧縮永久ひずみは、8%〜11%程度である。一方、圧縮永久ひずみが20%を超える発泡樹脂として、硬質ウレタンフォーム、押出発泡あるいは発泡ビーズ法で発泡させたポリスチレン系樹脂が挙げられる。例えば、30〜60倍率でビーズ発泡させた発泡ポリスチレン(EPS)の圧縮永久ひずみは、21%〜24%程度である。これらの圧縮永久ひずみが20%を超える発泡樹脂で芯材21を成形すると、芯材21に生じた凹みが元に戻らず、風呂蓋11a、11bの表裏面に凹凸が発生するので、風呂蓋には相応しくない。
芯材21の表裏面は、延伸シート22を介して表面シート23で被覆され、外部に露出していない。表面シート23は、芯材21の表裏面を保護し、また化粧面として機能する。
表面シート23は、芯材21よりも薄く、例えば、厚さが0.25mmのオレフィン系樹脂のシートからなる。表面シート23は、外力を加えると弾性変形する弾性を有する。また、表面シート23は、非透水性を有する。
延伸シート22は、芯材21及び表面シート23よりも薄い。延伸シート22の厚さは、例えば0.15μmである。延伸シート22は、表面シート23の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有し、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンの繊維クロスである。
延伸シート22は芯材21の表裏面に接着剤や熱融着により接着され、延伸シート22は芯材21の表裏面に密着している。また、表面シート23は、延伸シート22の表面に接着剤により接着され、表面シート23は延伸シート22の表面に密着している。
縁材90は、本体部20における突き合わせ端部10以外の3辺の側面を被覆している。縁材90は、軟質樹脂製の保護部92と、保護部92よりも硬質の硬質樹脂製の補強部91とを有する。
補強部91は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂からなる。保護部92は、例えば、オレフィン系エラストマーからなる。
補強部91は、帯板状に形成され、本体部20の側面(周囲面)に沿って設けられている。補強部91は、本体部20の側面と、保護部92との間に設けられ、外部に露出していない。
保護部92は、本体部20の側面から本体部20の表裏面の外縁部にわたる領域を連続して覆っている。すなわち、保護部92は、本体部20の表裏面と側面とがなす角部を覆っている。
縁材90は、浴槽内と浴室内の温度差によって本体部20を反らそうとする応力に対して、本体部20よりも大きな曲げ強さを発揮して、浴槽リムの上に載置される本体部20の周端縁部が反らないように本体部20を補強している。
風呂蓋11aと風呂蓋11bとは、互いの突き合わせ端部10どうしを突き合わせて組み合わされることで、浴槽の開口を覆う。その突き合わせ端部10には、隙間発生抑制手段が設けられている。
隙間発生抑制手段は、突き合わせ端部10どうしを突き合わせて浴槽リムの上に載置された風呂蓋11a、11bの本体部20に上方から垂直荷重がかかった際に、一方の風呂蓋の突き合わせ端部10と他方の風呂蓋の突き合わせ端部10とが鉛直方向に離間することで発生する鉛直方向の隙間の発生を抑制する。
第1実施形態によれば、隙間発生抑制手段として、突き合わせ端部10に嵌合部30を設けている。図1(a)に示すように、例えば、一方の風呂蓋11aの突き合わせ端部10に凸部31が設けられ、他方の風呂蓋11bの突き合わせ端部10に、凸部31が嵌合可能な凹部32が設けられている。
凸部31及び凹部32は、突き合わせ端部10が延びる方向に沿って形成されている。凸部31は、風呂蓋11aの突き合わせ端部10から、突き合わせ相手の風呂蓋11bの突き合わせ端部10に向かって水平方向に突出している。図3に示すように、凸部31の厚さは、風呂蓋11a、11bの本体部20の厚さよりも薄い。
実施形態によれば、本体部20の表裏面には、硬質樹脂製の化粧板や補強板が設けられていない。そのため、実施形態の風呂蓋11a、11bは、軽量になり、取り扱い性が向上する。
また、芯材21は、圧縮永久ひずみが20%以下かつたわみ性を有しており、垂直荷重に対する撓みが許容されるよう構成されている。すなわち、通常の使用中に風呂蓋11a、11bにかかる程度の外力に対しては塑性変形や破壊することがなく、弾性変形するにとどまる。このため、芯材21は外力によって一時的に変形しても、すぐに元に戻り、風呂蓋11a、11bが局部的にへこんだままになったり、大きく変形することがない。
また、表面シート23及び延伸シート22も、外力を加えると、芯材21に追随して弾性変形する弾性を有する。このため、表面シート23及び延伸シート22は、外力によってへこんだ芯材21が元に戻る弾性変形を妨げない。
また、延伸シート22は延伸性を有する。そのため、湯の熱などで芯材21が凹状に反ろうとすると延伸シート22が延び、その復元力(引張応力)が芯材21の反りを抑制する方向に働く。
また、本体部20の周端縁部は浴槽リムの上面に載置される部分であるが、その周端縁部が反らないように縁材90が本体部20を支えているため、風呂蓋11a、11bと、浴槽リム上面との間に生じる隙間を抑制でき、高い保温能力を発揮することができる。
縁材90において外部に露出する部分である保護部92を軟質樹脂として、人や、浴室内の他の構成物に対する当たりを柔らかくする一方で、硬質樹脂製の補強部91によって、本体部20の周端縁部を反らそうとする応力に対して本体部20よりも大きな曲げ強さを発揮させている。
実施形態によれば、前述したように、芯材21を圧縮永久ひずみが20%以下かつたわみ性を有するよう構成し、さらに、本体部20の表裏面に補強用の樹脂板を備えていない構成にして、垂直荷重に対する撓みが許容されるよう構成している。このため、本体部20に垂直荷重がかかった際に生じる撓みにより、使用者に直感的に風呂蓋11a、11bに乗ってはいけないことを認識させることができ、使用者が風呂蓋11a、11bへ乗る行為に対する抑止力を発揮させることができる。
また、仮に幼児や使用者が風呂蓋11a、11bに乗ってしまった場合であっても、突き合わせ端部10に、前述した隙間発生抑制手段を設けているため、風呂蓋11a、11bの突き合わせ端部10の間に、使用者が浴槽へと滑落するおそれのある隙間が発生することを防止できる。
すなわち、図3、4に示すように、例えば一方の風呂蓋11aの上に幼児が誤って乗ってしまい、垂直荷重が作用して一方の風呂蓋11aの本体部20が撓んだ際に、凸部31と凹部32との嵌合によって連結された他方の風呂蓋11bの本体部20も一方の風呂蓋11aの撓みに追従するように撓む。このため、一方の風呂蓋11aの突き合わせ端部10と、他方の風呂蓋11bの突き合わせ端部10とが鉛直方向に離間せずに、それら突き合わせ端部10の間に鉛直方向の隙間が生じず、幼児が浴槽内へと滑落することを防止できる。
このように、実施形態によれば、軽量性を維持しつつ、使用者の浴槽への滑落を防止すると共に、風呂蓋の上に乗ってはいけないことを直感的にわからせることで安全性の高い風呂蓋を実現できる。
また、第1実施形態によれば、突き合わせ端部10の近傍においても撓みやすさが許容され柔軟性が与えられているため、風呂蓋11a、11bが落下した際などにおいて突き合わせ端部10が破損しにくい。よって、突き合わせ端部10に設けられた隙間発生抑制手段の高い信頼性を維持でき、より安全性を高めることができる。
また、図3において白抜き矢印で模式的に表すように、一方の風呂蓋11aの上に乗った幼児の垂直荷重が、凸部31と凹部32の嵌合により連結された他方の風呂蓋11bにも分散するため、撓みの程度(撓み量)が抑えられる。これに伴い、幼児が乗っている風呂蓋11aの本体部20の傾斜も抑えられる。したがって、風呂蓋11aの上に乗ってしまった幼児の不安定さを軽減させることができ、さらに安全性を高めることができる。
また、凸部31と凹部32による嵌合という簡易な構成で、垂直荷重がかかっても突き合わせ面に鉛直方向の隙間が発生しない風呂蓋を提供できる。さらに、図5に示すように、一対の風呂11a、11bを浴槽100のリムの上面に載置した状態で、水平方向に移送させて嵌合させたり、嵌合を解除することができ、作業性に優れる。風呂蓋11a、11bを持ち上げなくても、浴槽100のリム上面を滑らすことで嵌合および嵌合の解除が行え、使用者に負担をかけない。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態の風呂蓋12の模式斜視図である。
第2実施形態においても、略四角形状の平面形状を有する2枚の風呂蓋12が浴槽の長手方向に並べて配置され、突き合わせ端部側の辺を除く3辺が、浴槽のリムの上面に渡されるように載置される。
図7(b)は、風呂蓋12の本体部20における突き合わせ端部、およびその突き合わせ端部に設けられた隙間発生抑制手段の模式図である。
図7(a)は、図7(b)に示す隙間発生抑制手段の模式分解図である。
風呂蓋12は、図2に示す第1実施形態と同様、風呂蓋12の大部分を占める本体部20と、本体部20における突き合わせ端部以外の3辺の側面を被覆している縁材90と、を有する。本体部20および縁材90は、図2に示す第1実施形態と同じ構造である。
2枚の風呂蓋12は、互いの突き合わせ端部どうしを突き合わせて組み合わされることで、浴槽100の開口を覆う。その突き合わせ端部には、隙間発生抑制手段が設けられている。
隙間発生抑制手段は、突き合わせ端部どうしを突き合わせて浴槽リムの上に載置された風呂蓋12の本体部20に上方から垂直荷重がかかった際に、突き合わせ端部の撓みを抑制し、一方の風呂蓋12の突き合わせ端部と他方の風呂蓋12の突き合わせ端部とが鉛直方向に離間することで発生する鉛直方向の隙間の発生を抑制する。
第2実施形態によれば、隙間発生抑制手段として、図7(a)及び(b)に示す補強部材41を突き合わせ端部に設けている。
補強部材41は、突き合わせ端部に沿って延びる帯板状に形成され、他の風呂蓋と突き合わされる側の本体部20の端面である突き合わせ面に接着固定されている。補強部材41は、突き合わせ面の長手方向(図7(a)においてX方向)の端から端まで連続して設けられている。
補強部材41は、例えば、硬質の樹脂、ガラス強化樹脂、金属などからなる。軽量性の点からは、補強部材41は、樹脂が好ましい。
補強部材41の外側には、カバー42が補強部材41を覆うように設けられている。カバー42は、補強部材41及び本体部20に対して接着固定されている。カバー42は、本体部20からの補強部材41の剥離を防止する剥離防止部として機能する。
カバー42は、補強部材41の表面(本体部20の突き合わせ面に対して平行な面)から、本体部20の表裏面の外縁部にわたる領域を連続して覆っている。すなわち、カバー42は、本体部20の表裏面と、補強部材41の本体部20の突き合わせ面に対して平行な面とがなす角部を覆っている。
カバー42は、硬質の樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、あるいは軟質の樹脂(例えば、オレフィン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー)からなる。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様、本体部20の表裏面には、硬質樹脂製の化粧板や補強板が設けられていない。そのため、風呂蓋12は、軽量になり、取り扱い性が向上する。
また、芯材21を圧縮永久ひずみが20%以下かつたわみ性を有するよう構成し、さらに、本体部20の表裏面に補強用の樹脂板を備えていない構成にして、垂直荷重に対する撓みが許容されるよう構成している。このため、本体部20に垂直荷重がかかった際に生じる撓みにより、使用者に直感的に風呂蓋12に乗ってはいけないことを認識させることができ、使用者が風呂蓋12へ乗る行為に対する抑止力を発揮させることができる。
また、仮に幼児や使用者が風呂蓋12に乗ってしまった場合であっても、突き合わせ端部に、前述した補強部材41を設けているため、突き合わせ端部の撓みを抑制して、一対の風呂蓋12の突き合わせ端部の間に、使用者が浴槽へと滑落するおそれのある隙間が発生することを防止できる。
すなわち、一方の風呂蓋12の突き合わせ端部と、他方の風呂蓋12の突き合わせ端部との鉛直方向の離間が抑制され、それら突き合わせ端部の間に発生する鉛直方向の隙間が抑制され、幼児が浴槽内へと滑落することを防止できる。
このように、第2実施形態においても、軽量性を維持しつつ、使用者の浴槽への滑落を防止すると共に、風呂蓋の上に乗ってはいけないことを直感的にわからせることで安全性の高い風呂蓋を実現できる。
また、補強部材41によって突き合わせ端部の撓みが抑制されることで、本体部20が突き合わせ面側に下方傾斜することが抑制され、使用者が風呂蓋12に乗ってしまった場合の不安定さを軽減させることができる。
隙間発生抑制手段としての補強部材41は、芯材21の全体にわたって設けるのではなく、突き合わせ端部のみに設けているため、軽量性を損なうこともない。なお、補強部材41は、突き合わせ面近傍の芯材21の中に内蔵させてもよい。
図9は、幼児が乗った一方の風呂蓋12を、他方の風呂蓋12との突き合わせ面側から見た模式図である。
図9に示すように、風呂蓋12が浴槽100のリム上に載置され、本体部20に垂直荷重がかかった状態で、補強部材41の両端は浴槽100のリムの上に支持されている。このため、本体部20にかかった垂直荷重を、補強部材41の両端を介して浴槽100のリムに分散させることができる。このため、突き合わせ端部の撓み量を抑えて、より安全性の高い風呂蓋を提供できる。
また、本体部20にかかった垂直荷重を補強部材41の両端を介して浴槽リムに分散させることで、突き合わせ端部の、リムに支持されていない箇所に荷重が集中することがなく、突き合わせ端部のリムに支持されている箇所と、支持されていない箇所との間に大きなせん断力が作用することを抑制できる。このため、発泡樹脂からなる芯材21の破損を防止して、より安全性を高めることができる。
補強部材41において、突き合わせ面に対して平行な方向(図7(a)においてZ方向)の長さは、突き合わせ面に対して垂直な方向(図7(a)においてY方向)の長さよりも長い。したがって、補強部材41の縦断面(図7(a)においてハッチングで表される断面)の断面二次モーメントを効率的に大きくすることができ、体積及び重量のより小さな補強部材41で効率的に突き合わせ端部の撓みを抑制できる。
補強部材41は、突き合わせ面に接着固定されている。このため、予め芯材21に複雑な加工を施すことがないため、少ない手間で、軽量かつ安全な風呂蓋を実現できる。
また、第2実施形態によれば、突き合わせ端部の撓みを抑制する補強部材41に加えて、さらに、カバー42を突き合わせ端部に設けている。カバー42は、補強部材41における、本体部20の突き合わせ面に対して平行な面に接着固定されている。さらに、カバー42は、本体部20における、突き合わせ面近傍の表裏面に接着固定されている。
カバー42は、本体部20に垂直荷重が作用した際に、突き合わせ端部近傍の芯材21の表裏面が変形しないよう芯材21の表裏面から芯材21に力を加え、補強部材41の剥離を防止する。
本体部20に垂直荷重がかかった際に、補強部材41と芯材21の変形量の差から、補強部材41と芯材21の間に大きなせん断力が作用し、補強部材41が、発泡樹脂からなる芯材21の端面から芯材21の一部を引きちぎるように剥がれてしまうことが懸念される。補強部材41が本体部20に対して固定されていないと、撓み抑制効果が低減してしまう。
そこで、第2実施形態によれば、補強部材41の剥離を防止する剥離防止部として、カバー42を設けている。
図8は、図7(b)におけるX−X断面を表す。すなわち、図8は、図7(a)におけるX方向に沿った突き合わせ端部の断面を表す。
本体部20に上方から垂直荷重がかかると、芯材21の上面側が縮もうとするが、この力に抗する矢印A方向の力を、芯材21の上面側は、芯材21の上面に積層された延伸シート22、表面シート23およびカバー42から受ける。この矢印A方向の力は、垂直荷重を受けて変形した延伸シート22、表面シート23およびカバー42の弾性復元力である。
また、本体部20に上方から垂直荷重がかかると、芯材21の下面側は伸びようとするが、この力に抗する矢印B方向の力を、芯材21の下面側は、芯材21の下面に積層された延伸シート22、表面シート23およびカバー42から受ける。この矢印B方向の力は、垂直荷重を受けて変形した延伸シート22、表面シート23およびカバー42の弾性復元力である。
したがって、上記A方向の力及びB方向の力によって、突き合わせ端部近傍における芯材21の表裏面の変形は抑えられ、芯材21と補強部材41との間に大きなせん断力が作用するのを抑制することができる。この結果、補強部材41の剥離を防いで、補強部材41によって本体部20の突き合わせ端部の撓みを確実に抑制することができる。
図10は、剥離防止部の他の具体例としてのカバー46を示す。
このカバー46も図7(a)及び(b)に示すカバー42と同じ材料を用いることができる。カバー46は、芯材21と延伸シート22との間で芯材21に食い込むように突出した突出部46aを有する。突出部46aは、延伸シート22、芯材21および補強部材41に接着されている。
本体部20に上方から垂直荷重がかかると、突き合わせ端部近傍で芯材21の表裏面のそれぞれに積層された突出部46a、延伸シート22、表面シート23およびカバー46の上面部46b(または下面部46c)からなる積層体によって、図8に示す上記矢印A方向の力と矢印B方向の力が発生し、芯材21の表裏面の変形が抑制される。これにより、芯材21と補強部材41との間に大きなせん断力が作用するのを抑制して、補強部材41の剥離を防ぐことができる。
図11(a)及び(b)は、剥離防止部のさらに他の具体例を示す。
延伸シート22及び表面シート23の端部が、図11(a)に示すように、本体部20の突き合わせ面およびその突き合わせ面に接着固定された補強部材41よりも突出するように、延伸シート22及び表面シート23が芯材21の表裏面に接着される。
そして、下面側の延伸シート22及び表面シート23の端部(突出部)と、上面側の延伸シート22及び表面シート23の端部(突出部)とを補強部材41に重ねるように折り返す。下面側の延伸シート22及び表面シート23の端部、上面側の延伸シート22及び表面シート23の端部、および補強部材41は相互に接着固定される。
補強部材41に重ねられた延伸シート22及び表面シート23の端部は、補強部材41を、芯材21の端面に対して押さえ付ける。また、本体部20に上方から垂直荷重がかかると、突き合わせ端部近傍で芯材21の表裏面のそれぞれに積層された延伸シート22および表面シート23からなる剥離防止部によって、図8に示す上記矢印A方向の力と矢印B方向の力が発生して、芯材21の表裏面の変形が抑制される。これにより、芯材21と補強部材41との間に大きなせん断力が作用するのを抑制して、補強部材41の剥離を防ぐことができる。
また、第2実施形態によれば、本体部20の補強部材41が設けられた突き合わせ端部を判別するための判別手段を設けている。
具体的には、図12に示すように、本体部20の平面形状で判別手段を構成している。本体部20の略四角形状の平面形状における4つの角部のうち、突き合わせ端部の反対側の辺部(端部)の両端に形成された2つの角部に丸みをつけている。これにより、本体部20における補強部材41が設けられている一端側の横幅(浴槽100の短辺方向に対して平行な方向の幅)L1よりも、他端側の横幅L2の方が小さくなる形状になっている。
このように、本体部20の形状で、突き合わせ端部を容易に判別できる。このため、補強部材41が設けられていない端部を誤って他の風呂蓋と突き合わせることを抑制できる。すなわち、補強部材41が設けられていない端部を他の風呂蓋と突き合わせてしまい垂直荷重がかかった際に、他の風呂蓋との間に鉛直方向の隙間ができてしまうことを回避できる。風呂蓋12の軽量性は損なわずに、容易に突き合わせ端部を判別でき、補強部材41による隙間抑制の効果を確実に発揮させることができる。
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態の風呂蓋13の模式平面図である。
図14は、第3実施形態の風呂蓋13の模式断面図であり、図13におけるB−B断面に対応する。
図15は、一方の風呂蓋13の上に幼児が乗り、風呂蓋13が撓んだ状態を表す模式図である。
第3実施形態においても、略四角形状の平面形状を有する2枚の風呂蓋13が浴槽の長手方向に並べて配置され、突き合わせ端部側の辺を除く3辺が、浴槽のリムの上面に渡されるように載置される。
風呂蓋13は、図2に示す第1実施形態と同様、風呂蓋13の大部分を占める本体部20と、本体部20における突き合わせ端部以外の3辺の側面を被覆している縁材90と、を有する。本体部20および縁材90は、図2に示す第1実施形態と同じ構造である。
2枚の風呂蓋13は、互いの突き合わせ端部どうしを突き合わせて組み合わされることで、浴槽の開口を覆う。第3実施形態の風呂蓋13においても、隙間発生抑制手段が設けられている。
隙間発生抑制手段は、突き合わせ端部どうしを突き合わせて浴槽リムの上に載置された風呂蓋13の本体部20に上方から垂直荷重がかかった際に、突き合わせ端部の撓み変形を抑制して、一方の風呂蓋13の突き合わせ端部と他方の風呂蓋13の突き合わせ端部とが鉛直方向に離間することで発生する鉛直方向の隙間の発生を抑制する。
第3実施形態によれば、隙間発生抑制手段として、本体部20の裏面側に、滑り防止部51を設けている。滑り防止部51は、例えば、ゲル、ゴム、エラストマー系樹脂などの軟質材料である。
滑り防止部51は、突き合わせ端部以外の3辺に沿うように、本体部20の外周側に連続して設けられている。
滑り防止部51の露出面(図14において下面)は、風呂蓋13を浴槽100のリム上に載置した状態において、風呂蓋13の外周側の裏面が浴槽100のリムに接触している接触面より上方に位置するよう、滑り防止部51の下方にはスペース52が形成されている。
本体部20は、上方から垂直荷重が作用していない図14に示す状態のときには浴槽100のリムには接触せずに、図15に示すように風呂蓋13の上に幼児が乗り、風呂蓋13に上方から垂直荷重が作用して風呂蓋13が撓んだときのみ浴槽100のリムに接触する撓み時接触面を有する。その撓み時接触面に、滑り防止部51が設けられている。
すなわち、図14に示すように、風呂蓋13に垂直荷重が作用せず撓んでいない状態では、滑り防止部51は、浴槽100のリムに接触していない。
そして、図15に示すように、風呂蓋13の上に幼児が乗り、風呂蓋13に上方から垂直荷重が作用して風呂蓋13が撓むと、これに伴い滑り防止部51が浴槽100のリムに接触する。
第3実施形態においても、上記実施形態と同様、本体部20の表裏面には、硬質樹脂製の化粧板や補強板が設けられていない。そのため、風呂蓋13は、軽量になり、取り扱い性が向上する。
また、芯材21を圧縮永久ひずみが20%以下かつたわみ性を有するよう構成し、さらに、本体部20の表裏面に補強用の樹脂板を備えていない構成にして、垂直荷重に対する撓みが許容されるよう構成している。このため、本体部20に垂直荷重がかかった際に生じる撓みにより、使用者に直感的に風呂蓋13に乗ってはいけないことを認識させることができ、使用者が風呂蓋13へ乗る行為に対する抑止力を発揮させることができる。
また、仮に幼児や使用者が風呂蓋13に乗ってしまった場合であっても、風呂蓋13に垂直荷重がかかり風呂蓋13に撓みが生じると、図15に示すように、自動的に滑り防止部51が浴槽100のリムに接触する。滑り防止部51とリムとの接触面の摩擦力が風呂蓋13の端部がリムの上から浴槽内側に滑るときの抵抗力として働き、本体部20の撓み変形を抑制することができる。
したがって、突き合わせ端部の撓みを抑制することで、図16に示すように、一対の風呂蓋13の突き合わせ端部の間に、使用者が浴槽へと滑落するおそれのある鉛直方向の隙間が発生することを防止できる。第3実施形態によれば、幼児が誤って本体部20に乗ってしまった場合でも、簡易な構成により浴槽内へと滑落することを防止できる。
このように、第3実施形態においても、軽量性を維持しつつ、使用者の浴槽への滑落を防止すると共に、風呂蓋の上に乗ってはいけないことを直感的にわからせることで安全性の高い風呂蓋を実現できる。
例えば背が低い使用者は、風呂蓋を洗い場側へ大きく水平移動させて、風呂蓋を外すことが多い。第3実施形態によれば、本体部20が浴槽リム上に載置され垂直荷重がかかっていない(撓んでいない)状態(図14)において本体部20が浴槽のリムと接触する面よりも上方に、滑り防止部51が設けられている。
このため、図17に示すように、2点鎖線で示す載置位置から、実線で示すように水平移動させて風呂蓋13を浴槽100から外す際に、滑り防止部51の表面が浴槽リムに接触せず、滑り防止部51の抵抗が風呂蓋13に作用せず、作業性が損なわれない。
突き合わせ端部の撓み変形を抑制するためには、突き合わせ端部の両端から、図15において白抜き矢印の方向の引張力がかかるようにすることが最も効果が高い。そこで、第3実施形態によれば、少なくとも突き合わせ端部近傍の、前述した撓み時接触面に滑り防止部51を設けているため、より確実に隙間の発生を抑制でき、使用者が風呂蓋に乗ってしまった場合の安全性をより高めることができる。
すなわち、図18に示すように、突き合わせ端部近傍の撓み時接触面のみに滑り防止部51を設けても、突き合わせ端部の撓み変形の抑制に効果を発揮する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。