JP5782306B2 - ヘルメットの帽体カバー - Google Patents

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Description

本発明は、ヘルメットの外表面部に装着して外表面を覆うヘルメットカバー(以下、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体又は帽体カバーとも言う。)と、ヘルメットに取り付けるヘルメットカバーとヘルメットからなる構造体に関するものである。
産業用及び安全のために使用されるヘルメットは、頭部を落下物や飛来物から保護するために、帽体部分を強化プラスチック(FRP)、ABS樹脂、又はポリカーボネート樹脂などの硬質材が用いられる。
帽体として形成されたヘルメットの表面にヘルメットの保護構造体を取り付ける発明がある。ヘルメットの保護構造体は、断熱材(グラスウール等)を、布で挾み縫い合わせた生地を用いて形成され、帽子状に形成する。頭部と首部分を熱から守る発明である(特許文献1)。帽体部分であるヘルメットは断熱材により形成する。帽体部分の側頭部から頂部にわたり保護する帽体部分は、該帽体カバー部材の前端縁に形成された開口部と上記帽体の前縁部に形成された開口部により構成される前方開口部と、上記帽体カバー部材の後端縁に形成された開口部と上記帽体主部材の上方後頭部に形成された開口部により構成される後方開口部を備えたヘルメットが知られている(特許文献2)。この構造によりヘルメット内部の空気の換気を行うことができる。帽体カバーは断熱作用を行ってヘルメット内部のヘルメットに覆われている頭部の蒸れを防止することができる。その結果、厳しい環境にあってもヘルメット利用者は作業に集中して作業を進めることが可能となる。
ヘルメットの帽体には以下のように、帽体部分の材質に硬質の材料とし、同時に発泡体により形成して、ヘルメットが他の部材と接触したときに、衝撃を和らげること、衝撃の影響を極力すくなくすることを目指している。ヘルメットの表面に設けられる保護体の構成材料は発泡体を用いている。ヘルメット用冠装保護体として、ヘルメットの帽体の外側形状にほぼ倣った内面形状を有し、発泡スチロール等の軽量緩衝材料により上記ヘルメットを覆うように帽体状に成形された形状のものが用いられる(特許文献3)。しかしながら、この構造では、ヘルメットを着用した状態で壁や天井との接触又は衝突した場合に軽量緩衝材料は幾分吸収することはできるものの、壁や天井にかなりの衝撃が与えることは避けることができず、壁や天井に少なからず被害を与える結果となる。
内装作業やインテリア設置作業などの室内工事において、シェル型の保護帽を着用して行うと、そのシェル(帽体)が硬質であるため、その縁(ふち)などで内装材やインテリア製品等を傷つけてしまう恐れがあった。その防止策として、シェルの外部に厚手の布等のカバーを被せることも行われていた。また、シェル型の保護帽の代わりに、厚手の布製の帽子を着用することもあったが、この場合には、転倒や落下物等に対して頭部を十分に保護することができず、頭部に損傷を負う恐れがあるとして、以下の発明が提案されている。「軟質の素材から形成された帽体と、該帽体の内面に沿って湾曲して納められ、頭頂部を中心に頭前部と頭後部と両頭側部がほぼ十字状に一体的に配置され、緩衝材により板状に形成された緩衝ライナーと、から成ることを特徴とする頭部保護具。上記緩衝ライナーは、例えば、発泡性合成樹脂等の緩衝材を一体成形し、各部分を溶着等により一体的に接合して構成される」(特許文献4)。この発明では、「該帽体の内面に沿って湾曲して納められ、頭頂部を中心に頭前部と頭後部と両頭側部がほぼ十字状に一体的に配置され、緩衝材により板状に形成された緩衝ライナーが形成されている。帽体が内装材やインテリア製品に直接与える衝撃は避けることができず、また、内装作業やインテリア設置作業などの室内工事以外のヘルメットを着用しない場合の作業には十分に使用できないことが問題となる。
特開2001−89924号公報、特許第4540152号明細書(特許文献5)は、建築現場の内装材工事において、作業者の不注意等により、装着しているヘルメットが壁紙などの内装材に当たってこれを損傷することを防止するために、発泡ポリエチレンにより成形される外側に保護部材である帽体カバーを形成し、帽体および帽体カバーに通気孔を、各通気孔が相互にずれて配置されている。
ヘルメットは周囲の厳しい環境の影響から作業者の頭部を守ることが優先されてきた。労働衛生という点から考えるのであれば、この目的が最優先される。このヘルメットに接触する壁部の壁に傷をつけないようにするためのヘルメットカバーの材料は、柔らかく滑りやすい材料で構成すること考えられる。ヘルメットカバーの作用により、ヘルメットに接触する壁部の壁に傷をつけないようにすることは以外に難しい。
守るべき本体に保護部材を取り付けて本体の破損防止を心がけることは一般的に知られている(特許文献6)。守るべき本体を追突による被害から守ろうとするものである。
現在検討しているヘルメットカバー及びヘルメットの組み合わされた状態で、壁部に衝突し壁部を傷つけないようにするための工夫が求められていることになる。
ヘルメットカバーが従来品に比較してより滑りやすい材料とか、傷をつけない材料を選択するということにより壁部に傷をつけないようにすることが有効な手段であると考えられる。その際に壁部に傷をつけないようにするために、ヘルメットカバー自体の破損や破断することも考えられる。しかしながら、この処置をしたからといって壁部に痕跡を残さないようにすることはないように思われる。具体的には壁部にヘルメットカバーが接触したことを意識せずに作業者による壁部を押し付ける力がかけ続けられるとすると、壁部に対する影響はさらに拡大し、無視できないこととなる。また、壁部に対する影響を考えるにしても摩擦力により壁部を傷つけない低であればよく、壁部に擦れることによる痕跡を残さないものであればよいと言うことになる。
またヘルメット内部の環境が作業者の頭部に不愉快な環境であることを意識させないためには空気の流通をよくするためにヘルメットに空気孔を設けることが必要であると考えている。従来、ヘルメット頂部に空気孔を設ける従来例が知られている。これは頭の頂部に設けることは壁部にヘルメットカバー及びヘルメットが接触したときの状態を伝える点から見てみると十分に伝えている結果になっていない。
帽体であるヘルメットに組み合わせて、ヘルメットの保護部材を着用して、壁部などの近くで作業を進める際に、作業環境を傷めることをなく作業を進めることができる新しいヘルメットカバー及びヘルメットの構造体の開発が必要とされる。また、前記作業において、作業環境を傷めることをなく作業を進めることと同時に、作業者がヘルメット内部の頭部を蒸れから防止し、快適な環境で作業を進めることができる新しいヘルメットカバー及びヘルメット構造体の開発が必要とされる。
従来、硬い帽体の外側に、発泡材等の柔らかい素材で形成した冠装保護体(帽体カバー)を取り付けたことを特徴とするヘルメットが知られている(特許文献3、5)。前記冠装保護体は、落下物からの危険軽減や、室内工事等でヘルメットが室内の内装材などに当たってもこれを傷付けたり凹ます恐れがないように、発砲ポリエチレンなどの発泡性緩衝材料により成形されたものである。
特開平09−228135号公報 特開2001−3220号公報 特開平10−121315号公報 特開2001−73218号公報 特開2001−89924号公報、特許第4540152号明細書 特開平10−184102号公報
(1)内装作業やインテリア設置作業などの室内工事において、シェル型の保護帽を着用して行うと、そのシェル(帽体、ときにヘルメットとも言う)が硬質であるため、その縁(ふち)などで内装材やインテリア製品等を傷つけてしまう結果となり、対策としてヘルメットカバーをヘルメットに被せることにより、内装材等にヘルメットが直接接触することを避けて、ヘルメットカバーにより接触が行われるようにすることがおこなわれてきた。ヘルメットカバーは、内装材等傷つけることを防止することができるとされてきた。
従来品では発泡形状が大きな発泡ポリエチレンの基材層に発泡形状が小さな発泡ポリエチレン層の表面層を形成し、コーティング材として発泡ポリエチレンのスキン層を形成し、これを用いてきた。従来品では内装品を、傷をつけることを防止することができるし、ヘルメットカバーによる傷つき防止も有効であるとされている。この場合には摩擦力が大きくならず、滑りやすい状態を維持できるものの、傷跡が残る点が問題点とされてきた。また、ヘルメットカバーは比較的厚くならざるを得ないことが指摘され、ヘルメットカバー及びヘルメットの組み合わせた構造体では、ヘルメットカバーが壁体に触れたときでも作業者はヘルメットカバーが壁体に接触したことに気つかず、ヘルメットカバーを介して壁体に作業者の力が伝えつづけられたりして、壁体に意図していない傷跡を残すことがありえた。
(2)本発明が解決しようとする第一の課題は、従来の問題とされてきたヘルメットカバーの問題点を解決したヘルメットカバーを提供すること、具体的には、ヘルメットの外表面の保護構造体を内装材やインテリア製品等を傷つけることがないヘルメットカバーを提供することである。
(3)本発明が解決しようとする第二の課題は、従来知られていない新しいヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体を提供すること、具体的には、ヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体のヘルメットカバーの部分が壁部に接触したことを作業者が感知して、その段階で壁部に対してヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体による力を停止させて、壁体にこれ以上の力がかからないようにするヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体を提供することである。
(4)本発明が解決しようとする第三の課題は、前記作業を進める際に、作業環境が良くない状態で作業することが多く、ヘルメット内の、人の頭のある部位について空気が通り易い状態に保ち良好な衛生環境を保つことができるヘルメットカバー及びヘルメットを提供することである。
(5)従来知られている上記のような帽体カバーは、硬質の帽体と帽体を覆うカバーが密着しているため、カバーが帽体の断熱作用を果たし帽体表面からの放熱が阻害されるようになっている。炎天下や高温環境で作業を行う場合には、帽体内に熱がこもらないことが望ましい。しかし、カバーが帽体に接触していると、帽体表面が外気に触れないので帽体自体は冷却されにくい。その結果、カバーを装着していない帽体と比較して、帽体内部の温度が高くなる傾向にある。
また、肉厚の帽体カバーは作業時に邪魔になるものである。ヘルメットの接触に伴う被接触物の傷つきを防止するのであれば、帽体カバーの肉厚は1〜数mm程度で十分である。しかし、帽体カバーの肉厚を薄く形成すると帽体カバーの剛性が低下してしまい、略半球状として形成された形状を維持できず、表面に穿設した孔形状の維持も不十分になる。本願発明は上記課題に鑑み発明されたものであって、帽体表面との間に適切な間隔を設けることによる帽体の断熱防止と、薄肉に形成した帽体カバーであっても半球(ドーム)形状や穿設した孔形状が変形しにくく、さらに帽体カバーを適切な位置に固定することができる固定手段を有したヘルメット用の帽体カバーを提供することを第四の課題とするものである。
(1)本発明が解決しようとする第一の課題は、以下の材料によりヘルメットカバーを形成し、壁部に接触した場合であっても、壁部に対してすべりやすい態を維持しつつ、かつ壁部にヘルメットカバーが接触した痕跡を残さない、又は残すとしても痕跡が少ない状態を維持できる材料とすることで問題を解決できることを見出した。
(a)架橋されているポリオレフィン系樹脂発泡体からなる基材層及びオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層を含む積層体からなることを特徴とするヘルメットの外表面を覆う保護構造体。
(b)前記架橋されているポリオレフィン系樹脂発泡体からなる基材層は、架橋されているポリプロピレン樹脂発泡体及び架橋されているポリエチレン樹脂発泡体からなる基材層であり、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層はポリエチレン中にポリプロピレンが含まれる海島構造である表皮層であることを特徴とする請求項1記載のヘルメットの外表面を覆う保護構造体。
(c)前記架橋されているポリオレフィン系樹脂発泡体からなる基材層である架橋されているポリプロピレン樹脂発泡体及び架橋されているポリエチレン樹脂発泡体からなり、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層はポリエチレン中にポリプロピレンが含まれる海島構造の組成物であり、基材層である架橋されているポリプロピレン樹脂発泡体及び架橋されているポリエチレン樹脂発泡体、及び表皮層であるポリエチレン中にポリプロピレンが含まれる海島構造の組成物を成形機内で個別に加熱溶融した状態でTダイ押出機に供給し、Tダイ押出機より押出すことにより、基材層である架橋されているポリプロピレン樹脂発泡体及び架橋されているポリエチレン樹脂発泡体及び表皮層であるポリエチレン中にポリプロピレンが含まれる海島構造の組成物を溶着させた積層体とすることを特徴とする請求項1記載のヘルメットの外表面を覆う保護構造体。
(d)前記オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層の表面には、2液硬化型ポリウレタンに硬化剤であるポリイソシアネートから形成されるポリウレタンをスプレーコーティングしてアンダー層を形成し、アンダー層の表面にはポリウレタンシロキサンをスプレーコーティングすることによりトップコート層が形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載のヘルメットの外表面を覆う保護構造体。
(2)本発明が解決しようとする第二の課題は、ヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体のヘルメットカバーの部分が壁部に接触したことを作業者が感知して、その段階で壁部に対してヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体による力を停止させて、壁体にこれ以上の力がかからないようにするヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体は以下の通りである。
(a)前記(1)で得たヘルメットの外表面を覆う保護構造体を、ヘルメットの外表面を覆う略半球状の形状に形成し、保護構造体の下端縁に、保護構造体の下端縁とヘルメットの下端縁が分けられている固定部材を取り付けたヘルメットの外表面を覆う保護構造体とする。
ヘルメットの外表面を覆う保護構造体を半球状に形成するときには、ヘルメットよりやや大きめの真空成形用の金型に被せて加熱する。その結果、表面積は約3倍となり、ヘルメットより大きく、薄いシート状のヘルメットの外表面を覆う半球状の保護構造体を得ることができる。このヘルメットの外表面を覆う保護構造体は薄く、柔らかく、形状が半球状に、自立した形状となる。
(b)保護構造体の下端縁に、保護構造体の下端縁とヘルメットの下端縁が分けられている固定部材を取り付けたヘルメットの外表面を覆う保護構造体の固定部材に、ヘルメットを取り付ける。その結果、ヘルメットとヘルメットの外表面を覆う保護構造体の間には、一定間隔を隔てた空間が生ずる。これはヘルメットとヘルメットの外表面を覆う保護構造体により形成される構造体となる。
作業者が、ヘルメットにヘルメットの外表面を覆う保護構造体を着用して、作業を行う場合に、周囲に接触しないように作業者はゆっくりと移動する。壁部にヘルメットの外表面を覆う保護構造体が接触した場合には、接触した衝撃を感じ取ることができる。作業者は接触した衝撃を感じた場合には移動を止めるなどして、これ以上の力が付加されるのを停止したりすることにより、壁部の損傷を免れることができる。
(3)本発明が解決しようとする第三の課題は、作業環境が良くない状態で作業することが多く、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体内、及びヘルメット内に孔を設けることにより、人の頭のある部位について空気が通り易い状態に保って、良好な衛生環境を保つことができる状態として、ヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体のヘルメットカバーの部分が壁部に接触したことを作業者が感知して、その段階で壁部に対してヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体による力を停止させて、壁体にこれ以上の力がかからないようにするヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体は以下の通りである。
(a)ヘルメットの外表面を覆う保護構造体は、略半球状に形成されている。略半球状の側面部の複数箇所に表裏貫通する孔を設け、前記孔の外周囲には、最表面からの高さが次第に低くなるように形成した段差部又は傾斜部を設けると共に、略半球状の下端に、前記保護構造体の下端縁とヘルメットの下端縁が分けられた状態で各々の溝により分けられて固定される固定部材を有している。ヘルメットの外表面を覆う保護構造体の固定部材に、孔が設けられているヘルメットを取り付けることによりヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットの間には一定の距離を隔てた空間が形成される。ヘルメットの外表面を覆う略半球状の側面部の複数箇所に表裏貫通する孔を設け、前記孔の外周囲には、最表面からの高さが次第に低くなるように形成した段差部又は傾斜部を設けることにより、この部分はヘルメットの外表面を覆う保護構造体の支えとなり、前記一定の空間が保つことが出来ることとなる。孔には空気を流すことができるので頭部が蒸れることもない。
作業者が、ヘルメットにヘルメットの外表面を覆う保護構造体を着用して、作業をおこなっているときに、周囲に接触しないように作業者はゆっくりと移動する。壁部にヘルメットの外表面を覆う保護構造体が接触した場合には、接触した衝撃を感じ取ることができる。作業者は接触した衝撃を感じた場合には移動を止めるなどして、これ以上の力が付加されるのを停止したりすることにより、壁部の損傷を免れることができる。
(b)ヘルメットの外表面を覆う保護構造体は、略半球状に形成されており、最表面からの高さを低く形成した凹所を複数カ所設け、又略半球状の側面部の複数箇所に表裏貫通する孔を設けて、前記孔の外周囲には、最表面からの高さが次第に低くなるように形成した段差部又は傾斜部を設けられており、また、略半球状の下端に、前記保護構造体の下端縁とヘルメットの下端縁が分けられた状態で各々の溝により分けられて固定される固定部材を有している。前記ヘルメットの外表面を覆う保護構造体の固定部材に、孔が設けられているヘルメットを取り付けると、外表面を覆う保護構造体とヘルメットの間には一定の間隔を隔てた空間が形成される。一定の間隔を隔てた空間は、最表面からの高さを低く形成した凹所を複数カ所設けたこと、略半球状の側面部の複数箇所に表裏貫通する孔を設けて、前記孔の外周囲には、最表面からの高さが次第に低くなるように形成した段差部又は傾斜部を設けたことにより、一定の間隔を隔てた空間は一層確実に確保されることとなる。
作業者が、ヘルメットにヘルメットの外表面を覆う保護構造体を着用して、作業をおこなっているときに、周囲に接触しないように作業者はゆっくりと移動する。壁部にヘルメットの外表面を覆う保護構造体が接触した場合には、接触した衝撃を感じ取ることができる。作業者は接触した衝撃を感じた場合には移動を止めるなどして、これ以上の力が付加されるのを停止したりすることにより、壁部の損傷を免れることができる。
(4)上記第四の課題を解決するために、本発明に係る第1の手段は以下の構成を備えたことを特徴とする。すなわち、ヘルメットの帽体に装着する帽体カバーであって、発泡層を有する軟質の合成樹脂シートによって形成された略半球状の外殻体を有するとともに、当該外殻体の下端縁に、前記帽体の下端縁と係合する溝を形成した縁部材を設けたことを特徴とする帽体カバー。
(a)また、上記の帽体カバーであって、前記外殻体の一部に、表裏貫通する孔を設けるとともに、当該孔の外周囲に表面からの高さが低くなるように形成した段差部若しくは傾斜部を設けたことを特徴とする。
(b)また、上記何れかの帽体カバーであって、前記外殻体の一部に、表面からの高さを低く形成した凹所を複数箇所設けたことを特徴とする。
(c)また、上記何れかの帽体カバーであって、発泡素材によって下層部を形成し、当該発泡素材よりも硬質の樹脂素材によって表面層を形成したことを特徴とする。
本発明によれば、保護体が擦れるようにして内装材などに接触した場合に、内装材を傷つけないヘルメットの外表面を覆う保護構造体を提供する。本発明のヘルメットの外表面を覆う保護構造体は、表面が平面であり、すべりやすい構造である。保護体と内装材が接触したときに、内装材との間の摩擦力を減少させることができるとともに壁部に残す痕跡を減少させることができる。
又、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットの間に空間が形成できる構造としたことにより、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体が壁部などに接触した場合には、僅かな衝撃であっても感じ取ることが出来るので、その時点で作業者はヘルメットの外表面を覆う保護構造体にかかる力を排除するようにすれば、壁部に対する影響をなくす、または軽減することができる。
ヘルメットの外表面を覆う保護構造体及びヘルメットに空気の流入、排出ができるように孔を設けると、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体に設けられている孔の周辺部は確実に固定されるのでヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットの間の空間部分は、空間が確実に形成される。その結果、壁部がヘルメットの外表面を覆う保護構造体に接触した場合の僅かな衝撃について、作業者は一層明確に、把握できることとなる。僅かな衝撃について感じ取った、その時点で、作業者はヘルメットの外表面を覆う保護構造体にかかる力を継続せずに、力がこれ以上にかからないようにすれば、壁部に対するヘルメットの外表面を覆う保護構造体及びヘルメットによる力の影響をなくす、または抑制することができる。
本発明に係る帽体カバーは、被装着体となるヘルメットの帽体表面と数mm程度の隙間が設けられる大きさに形成された半球(ドーム、椀)形状を有するとともに、当該帽体カバーの下端縁を帽体の下端縁外周に固定する構造となっている。従って、帽体カバーの開口縁はほぼ変形しないので、比較的薄肉に形成されていても帽体カバーのドーム形状は変形しにくいという効果がある。また、被装着体となるヘルメットの帽体表面との隙間が常に維持されるので、帽体表面の換気によって帽体への蓄熱が阻害されるようになっている。これにより、帽体に密着させるタイプの帽体カバーと比較して帽体内の温度上昇を抑制することができるという効果を有している。
また、本発明に係る帽体カバーは、外殻体の複数箇所に表裏貫通する孔を設け、孔の外周囲に表面からの高さが次第に低くなるように形成した段差部若しくは傾斜部を設けている。当該孔は、換気の為に設けたものであるが、一方において薄肉のシートに孔を開けるとシートの強度が低下する。本発明に係る帽体カバーは、孔の周囲に段差部若しくは傾斜部を設けているので、形状の変化に伴う剛性の向上、変形に伴う素材の圧縮作用によって孔が補強され、孔および帽体カバーの形状を保つようになっている。
また、本発明に係る帽体カバーは、孔以外の部分にも外殻体の表面からの高さを低く形成した凹所を複数カ所設けている。この凹所を形成することによる剛性の向上によって、帽体カバーが補強され外力に対する強度を高めることができるようになっている。
また、本発明に係る帽体カバーは、発泡素材によって下層部を形成するとともに、表面層を前記発泡素材よりも硬質の樹脂素材によって形成している。これによって、柔軟なシート体でありながら、表面には傷や汚れが付きにくい帽体カバーを提供することができるという効果を有している。
本発明の電子顕微鏡の断面図写真を示す。 本発明の赤外線吸収分析の結果は以下の通りである。 従来例の電子顕微鏡の断面図写真を示す。 従来例の赤外線吸収分析の結果は以下の通りである。 本発明の表皮層及び発泡層のDSCを示す図である。 本発明の本実施の形態に係る帽体カバーの側面図である。 図6に示したA−A線における帽体に装着した帽体カバーの端面図である。 図7に示したX矢視部の拡大図である。 帽体カバーの下端に装着する縁部材の断面図である。 図7に示したY矢視の拡大図である。 帽体カバーを装着する帽体の側面図である。 帽体カバーを装着する帽体の正面図である。
本発明のヘルメットの外表面を覆う保護構造体は、架橋されているポリオレフィン系樹脂発泡体からなる基材層及びオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層を含む。
ヘルメットの外表面を覆う保護構造体保護体が擦れるようにして内装材などに接触した場合に、保護体と内装材が接触したときに保護体と内装材の間の摩擦力を減少させる構造の保護体については、従来の保護体に見られるように接触したときに付加される力を軽減するなどの手段を用いることが必要であり、そのために基材層を発泡体で形成することが必要となる。基材層にこれは垂直方向の力が作用したときでも、発泡体は吸収できる特性と発泡体固有の性質である軽量化を達成できる性質を有していることによる。
前記架橋されているポリオレフィン系樹脂発泡体からなる基材層は、ポリプロピレン及びポリエチレン共重合体を発泡剤の存在下に発泡処理して得られる発泡体である。ポリプロピレン及びポリエチレンは低圧法によって得られ、これを共重合体として製造したものを用いる。
架橋剤には、過酸化物として、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類を用いることができる。
前記架橋されているポリオレフィン系樹脂発泡体からなる基材層の表面にはオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層を設ける必要がある。オレフィン系熱可塑性エラストマーはポリエチレン中にポリプロピレンが含まれる海島構造の組成物より製造する。
表皮層は、積層体全体に柔軟性を与えるうえで有効であり、その結果、構造体の内装材と接触する面を平らで滑りやすい状態とすることができる。内装材と接触した場合であっても内装材に与える水平方向の力は抑制され、耐擦過性を付与することができる。
前記架橋されているポリオレフィン系樹脂発泡体からなる基材層は、ポリプロピレン及ポリエチレン共重合体を発泡剤の存在下に発泡処理して得られ、架橋されているポリプロピレン樹脂発泡体及び架橋されているポリエチレン樹脂発泡体からなる基材層である。前記オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層はポリエチレン中にポリプロピレンが含まれる海島構造組成物である。
架橋されているポリオレフィン系樹脂発泡体からなる基材層の表面にオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層を積層した積層体を形成するには、両者を成形機内では加熱操作して、溶融状態とし、Tダイ押出機に供給する。Tダイより押し出されると、架橋されているポリオレフィン系樹脂発泡体からなる基材層にオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層が積層された積層体を得ることができる。
積層体を形成するうえから基材層と表皮層を固定することは両者が相互に自由な動きを止めることが必要となる。
溶着することにより、二つの層の自由な動きを呈させ、二つの層が剥離することを防止することができる。
前記架橋されているポリオレフィン系樹脂発泡体からなる基材層である架橋されているポリプロピレン樹脂発泡体及び架橋されているポリエチレン樹脂発泡体からなり、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層はポリエチレン中にポリプロピレンが含まれる海島構造の組成物であり、架橋されているポリプロピレン樹脂発泡体及び架橋されているポリエチレン樹脂発泡体とオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層はポリエチレン中にポリプロピレンが含まれる海島構造の組成物を成形機内で個別に加熱溶融した状態でTダイ押出機に供給しTダイ押出機より押出すことにより、架橋されているポリプロピレン樹脂発泡体及び架橋されているポリエチレン樹脂発泡体からなる基材層とポリエチレン中にポリプロピレンが含まれる海島構造の組成物からなる表皮層を溶着させた積層体を得ることができる。その結果、架橋されているポリプロピレン樹脂発泡体及び架橋されているポリエチレン樹脂発泡体からなる基材層とポリエチレン中にポリプロピレンが含まれる海島構造の組成物からなる表皮層は確実に固定される。
接触する内壁や内装材との間に働く摩擦力を小さくすることができるので、内装材の表面を傷つける破壊力も発生しない。発泡体と樹脂層は面方向の力が働いても、はがれないように溶着させることができる。
基材層の厚さは3〜4mm程度である。表皮層の厚さは0.5mm〜0.8mm程度である。
前記の処理によって得られるヘルメットの外表面を覆う保護構造体のオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる表皮層の表面には、2液硬化型ポリウレタンに、硬化剤であるポリイソシアネートを反応させ、スプレーコーティングしてアンダー層を形成する。
2液硬化型ポリウレタンは公知のものを購入して利用することができる。
具体的にはDIC株式会社製のバーノック(登録商標)WE−306やバーノック(登録商標)DNW−5000が挙げられる。
この結果、薄肉で柔軟性を有しており、適度な剛性を有しており、単独で立体的な形状を保持できるようにすることができる。表面を固くし、表面を傷つけることを防止できる硬い層を形成することができる。
前記のアンダー層の表面にはシリコン共重合ポリウレタン樹脂をグラビアコートによりトップコート層を形成する。
この処理を施した結果、接触した壁紙は傷や汚れが付き難く、跡が付き難い層を形成できる。
以上のコーティング2層の厚さは両方とも10μm以下である。
以上述べてきた、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体は平面状板材の形状をしている。
ヘルメットの外表面を覆う保護構造体とするには、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体の形状もヘルメットの形状に合わせた形状とし、ヘルメットの外側に設置しやすい形状とし、その形状が保持されている状態とすることが必要となる。また、本発明では、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットは空間を介して固定化することが必要である。そのためにはヘルメットより大きなヘルメットの外表面を覆う保護構造体を作り出すことが必要となる。頭の形状は人によりさまざまである。ヘルメットは個々の頭の形状には左右されず、半球状(正確には、略半球状)である。
ヘルメットの外表面を覆う保護構造体の形状とするためには、真空成形法が採用される。
初めにシート状のヘルメットの外表面を覆う保護構造体の両面を、電熱用のヒーターを用いて加熱する。次にヘルメットよりも、やや大きい真空用成形用金型に被せる。空気は金型の孔を通り、内部に吸い込まれ、金型内部から排出されるため、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体は金型に固定された状態となり、体積は同じであるものの、薄い状態となり、表面積は約3倍と成り、半球状となる。金型を冷却して、薄い状態となり、表面積は約3倍となった半球状のヘルメットの外表面を覆う保護構造体をとりはずす。そして、立体形状の下端部などの余分な部分をカットして半球状のヘルメットの外表面を覆う保護構造体を得ることができる。
半球状のヘルメットの外表面を覆う保護構造体の下端縁に、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体の下端縁とヘルメットの下端縁が分けられて溝により固定できる固定部材を取り付ける(図4及び図5)。
半球状のヘルメットの外表面を覆う保護構造体の下端縁に固定部材が取り付けられており、他の一方の分けられた溝にヘルメットの先端部を差し込むことができる。
ヘルメットの外表面を覆う保護構造体1下端の開口縁には、図4に示す断面形状の固定部材3が取り付けられている。固定部材3は、ゴム等の弾性素材によって形成された縁ゴム(溝ゴム)状の部材として形成されている。
固定部材3の断面では、中央部に隔壁8を隔てて、一方の側面側に隔壁8とともに有底の溝9を構成する側壁10を有している。溝9にはヘルメットの外表面を覆う保護構造体が固定されている。
隔壁8の他の一方の側面側には溝11が形成され、側壁12によりヘルメット100が固定される。溝9はヘルメットの外表面を覆う保護構造体1の下端縁を収容できる厚みと深さを有しており、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体1の下端縁を溝9内面に塗布した接着剤によって固定するようになっている。
固定部材(縁部材)3を、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体1とヘルメット100の下端縁に装着すると、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体1とヘルメット100の間には隙間が存在する。ヘルメットの外表面を覆う保護構造体1は、薄肉で柔軟性を有しながら適度な剛性を持ち、単独で立体的な形状を保持できる自立性を有している。ヘルメットの存在位置も変動しないことにより、一定間隔を隔てて空間が存在し、その状態を維持するようにして固定されている。この空間存在することにより、壁面などに、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体1の部分が接触した僅かな衝撃を瞬時に作業者が感知することができる。これにより作業者は壁部に引き続いて力をかけ続けることを解消できる。
固定部材3は溝9を介してヘルメットの外表面を覆う保護構造体1の下端縁全周にわたって環状に設けられる。この際、溝11を形成する側壁12が内側に配置されるように取り付けられる。溝11は、ヘルメット100の下端縁と嵌合するように形成された部位であり、帽体下端縁に確実に固定される。
本実施の形態で用いている帽体100は、下端縁に丸みを帯びた膨出部104が設けられているので、当該膨出部104の形状に対応した溝11の底部付近にも、必要に応じて凹部13を設けることができる。ヘルメット100の下端縁が溝11内に装着されると、帽体の膨出部104と溝11内の凹部13が嵌合し適度な係合力によって両者を結合させて、固定される(図5参照)。
半球状のヘルメットの外表面を覆う保護構造体の下端縁に設けられた固定部材にヘルメットの下端縁を差し込むことにより、半球状のヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットは空間を介して固定する構造体を形成することができる。
空間の水平距離は1〜2mmである。必要以上に長い場合には、作業者は半球状のヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットは空間を介して固定する構造体を着用して作業すると、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体が壁部などに接触した場合には、僅かな衝撃であっても壁部に接触したことを感じ取ることが出来るので、その時点で作業者はヘルメットの外表面を覆う保護構造体にかかる力を排除するようにすれば、壁部に対してこれ以上に力を押し付けること、摩擦を起さないようにするために壁部に沿って進むことをやめることとなり、壁部に対する影響をなくすることや、抑制することができる。
(a)前記(1)で得たヘルメットの外表面を覆う保護構造体を、ヘルメットの外表面を覆う半球状に形状に形成し、保護構造体の下端縁に、保護構造体の下端縁とヘルメットの下端縁が分けられている固定部材を取り付けたヘルメットの外表面を覆う保護構造体とする。
ヘルメットの外表面を覆う保護構造体を半球状に形成するときには、ヘルメットよりやや大きめの真空成形用の金型に被せて加熱する。その結果、表面積は約3倍となり、ヘルメットより大きく、薄いシート状のヘルメットの外表面を覆う半球状の保護構造体を得ることができる。このヘルメットの外表面を覆う保護構造体は、薄肉で柔軟性を有しながら適度な剛性を持ち、単独で立体的な形状を保持することができる、自立した形状となる。
(b)保護構造体の下端縁に、保護構造体の下端縁とヘルメットの下端縁が分けられている固定部材を取り付けたヘルメットの外表面を覆う保護構造体の固定部材に、ヘルメットを取り付ける。その結果、ヘルメットとヘルメットの外表面を覆う保護構造体の間には、一定間隔を隔てた空間が生ずる。これはヘルメットとヘルメットの外表面を覆う保護構造体により形成される構造体となる。
作業者が、ヘルメットにヘルメットの外表面を覆う保護構造体を着用して、作業を行う場合に、周囲に接触しないように作業者はゆっくりと移動する。壁部にヘルメットの外表面を覆う保護構造体が接触した場合には、接触した衝撃を感じ取ることができる。作業者は接触した衝撃を感じた場合には移動を止めるなどして、これ以上の力が付加されるのを停止したりすることにより、壁部の損傷を免れることができる。
(3)本発明が解決しようとする第三の課題は、作業環境が良くない状態で作業することが多く、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体内、及びヘルメット内に孔を設けることにより、人の頭のある部位について空気が通り易い状態に保って、良好な衛生環境を保つことができる状態として、ヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体のヘルメットカバーの部分が壁部に接触したことを作業者が感知して、その段階で壁部に対してヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体による力を停止させて、壁体にこれ以上の力がかからないようにするヘルメット及びヘルメットカバーからなる構造体は以下の通りである。
ヘルメットの外表面を覆う保護構造体は、略半球状に形成されている。略半球状の側面部の複数箇所に表裏貫通する孔を設け、前記孔の外周囲には、最表面からの高さが次第に低くなるように形成した段差部又は傾斜部を設けると共に、略半球状の下端に、前記保護構造体の下端縁とヘルメットの下端縁が分けられた状態で各々の溝により分けられて固定される固定部材を有している。ヘルメットの外表面を覆う保護構造体の固定部材に、孔が設けられているヘルメットを取り付けることによりヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットの間には一定の距離を隔てた空間が形成される。ヘルメットの外表面を覆う略半球状の側面部の複数箇所に表裏貫通する孔を設け、前記孔の外周囲には、最表面からの高さが次第に低くなるように形成した段差部又は傾斜部を設けることにより、この部分はヘルメットの外表面を覆う保護構造体の支えとなり、前記一定の空間が保つことが出来ることとなる。孔には空気を流すことができるので頭部が蒸れることもない。
作業者が、ヘルメットにヘルメットの外表面を覆う保護構造体を着用して、作業をおこなっているときに、周囲に接触しないように作業者はゆっくりと移動する。壁部にヘルメットの外表面を覆う保護構造体が接触した場合には、接触した衝撃を感じ取ることができる。作業者は接触した衝撃を感じた場合には移動を止めるなどして、これ以上の力が付加されるのを停止したりすることにより、壁部の損傷を免れることができる。
(b)ヘルメットの外表面を覆う保護構造体は、略半球状に形成されており、最表面からの高さを低く形成した凹所を複数カ所設け、又略半球状の側面部の複数箇所に表裏貫通する孔を設けて、前記孔の外周囲には、最表面からの高さが次第に低くなるように形成した段差部又は傾斜部を設けられており、また、略半球状の下端に、前記保護構造体の下端縁とヘルメットの下端縁が分けられた状態で各々の溝により分けられて固定される固定部材を有している。前記ヘルメットの外表面を覆う保護構造体の固定部材に、孔が設けられているヘルメットを取り付けると、外表面を覆う保護構造体とヘルメットの間には一定の間隔を隔てた空間が形成される。一定の間隔を隔てた空間は、最表面からの高さを低く形成した凹所を複数カ所設けたこと、略半球状の側面部の複数箇所に表裏貫通する孔を設けて、前記孔の外周囲には、最表面からの高さが次第に低くなるように形成した段差部又は傾斜部を設けたことにより、一定の間隔を隔てた空間は一層確実に確保されることとなる。
作業者が、ヘルメット及びヘルメットの外表面を覆う保護構造体を着用して、作業をおこなっているときに、周囲に接触しないように作業者はゆっくりと移動する。壁部にヘルメットの外表面を覆う保護構造体が接触した場合には、接触した衝撃を感じ取ることができる。作業者は接触した衝撃を感じた場合には移動を止めるなどして、これ以上の力が付加されるのを停止したりすることにより、壁部の損傷を免れることができる。
ヘルメット2の表面には、表裏に連通する複数個の孔が設けられている。本実施の形態では、ヘルメット2の左右の側面に複数個の孔4を設け、頭頂部の前方および後方にそれぞれ孔5を複数個設けている。当該孔4、5は、装着するヘルメットの帽体に設けた換気口102、103(図11、12参照)と対応するように設けられたものであり、帽体カバー1を装着したヘルメット100内部の換気を妨げないようになっている。
外殻体2には上記のように複数個の孔4、5が設けられているが、ヘルメット内の換気(通気)を阻害しないためには、有る程度の開口面積を有することが必要である。
しかし、孔を形成するということは、一方において殻体の一部を欠損させることであるから、半球形状を維持している外殻体2の剛性を低下させるということである。また、孔の内周縁は薄肉シートの切断面が露出した自由端のような部位であるから、外力に対して脆弱かつ変形しやすい部位となっている。
内部応力が均衡を保って形状を維持している外殻体2の一部に開口を設けると、開口の切断面に作用していた応力が消失するので、当該切断面が外側に向かって膨らむように変形してしまう。このように切断面が外側に向かって膨らむと、開口の形状が歪になってしまい、外装を兼ねる部材としては美観を損なうので好ましくない。
そこで、本実施の形態に係るヘルメットの外表面を覆う保護構造体1は、穿設した孔の内周縁付近を変形させることで開口縁の強度を高め、美観を損ねるような変形の発生を防止している。
図8は、図7に示したX矢視部の拡大図であり、外殻体2の側面に形成した孔4の一つを断面図として表したものである。図8に示すように、孔4の周縁には表面を窪ませることにより形成した段差部7が設けられている。また、孔4の内周縁は、肉厚が圧縮されて他の殻体部分よりも肉厚が薄くなり、やや硬化したように硬度が増した状態になっている。
上記段差部7は、抜き型による孔4の打ち抜き作業の際に形成される。外殻体2を形成している樹脂シートは、発泡性の樹脂を基材としたものであるから、柔らかく弾力性のあるものである。そのため、樹脂シートを金型によって打ち抜くには、打ち抜き部位を押し潰した状態で行う必要がある。押し潰さないでシートの打ち抜きを行うと、樹脂が伸びるだけでシートの剪断が行えない。これを繰り返すと、雄雌の金型間に入り込んだ樹脂によって金型を破損させる場合もある。
本実施の形態では、上記打ち抜き工程時の押し潰しを積極的に利用し、押し潰しを解除し後には前述した段差部7や傾斜面が残存するように押し潰し行程を設けている。
また、ヘルメット2は、柔軟かつ薄肉でありながら、単体で形状を維持できる程度の剛性を得るために、殻体の表面の複数箇所に凹面(凹部)6を形成している。本実施の形態では、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体1の左右両側面にそれぞれ凹面6を設けている。凹面6を形成すると、周囲の殻体との境界部分に必然的に段差7が形成される。このような段差7は、殻体の変形を阻害する補強部として作用するので、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体1に作用する外力に対向し外殻体2を変形しにくくする作用を有している。
ヘルメット2の下端の開口縁には、図9に示す断面形状の縁部材3が取り付けられている。当該縁部材3は、ゴム等の弾性素材によって形成された縁ゴム(溝ゴム)状の部材として形成されている。
縁部材3の断面は、中央部に隔壁8を有するとともに、当該隔壁8の一側面側において当該隔壁8とともに有底の溝9を構成する側壁10を有し、隔壁8の他側面側において当該隔壁8とともに有底の溝11を構成する側壁12を有したものとなっている。溝9は外殻体2の下端縁を収容できる厚みと深さを有しており、収容した外殻体2の下端縁を溝9内面に塗布した接着剤によって固定するようになっている。
縁部材3を介してヘルメット2を帽体100の下端縁に装着すると、外殻体2の内面と帽体100表面は密着せず、両者の間に隙間が形成されるようになっている。外殻体2は、柔軟性を有する部材であるが、その下端縁は隔壁8の肉厚分を隔てた状態で帽体100の下端縁に固定される。したがって、特に外力が作用しない限り外殻体2は、帽体100表面との間に所定間隔の隙間を形成しその状態を維持するようになっている。
縁部材3は溝9を介してヘルメット2の下端縁全周にわたって環状に設けられるが、この際、溝11を形成する側壁12が内側に配置されるように取り付けられる。溝11は、ヘルメット100の下端縁と嵌合するように形成された部位であり、その断面形状も帽体下端縁の形状に合わせて形成されている。
また、本実施の形態で用いているヘルメット100は、下端縁に丸みを帯びた膨出部104が設けられているので、当該膨出部104の形状に対応した溝11の底部付近にも凹部13が設けられている。すなわち、帽体の下端縁が溝11内に装着されると、帽体の膨出部104と溝11内の凹部13が嵌合し適度な係合力によって両者を結合させるようになっている(図10参照)。
図11はヘルメットの外表面を覆う保護構造体1を装着する帽体100の側面図、図12は帽体100の正面図を表している。帽体100は、硬質のプラスチックにより形成されたものであり、人間の頭部を覆う半球状のドーム部101を有したものとなっている。ドーム部101の表面には、内外に連通する複数の換気孔102、103が設けられたものとなっている。当該換気孔102、103を設けた位置および形状に対応して、帽体カバー1には前述した孔4、5が設けられている。
また、ドーム部101下端の開口縁には、肉厚をやや増した先述の膨出部104が形成されており、開口縁の強度を高めるとともに、前述した溝11との嵌合部を構成するようになっている。
なお、本発明に使用する帽体100および帽体カバー1の形状は、図示した形状に限るものでない。
以下発明を実施するための形態を図を用いて説明する。
図6は本実施の形態に係る帽体カバー1の側面図を表し、図7は図6に示したA−A線における帽体100に装着した帽体カバーの端面図を表している。
帽体カバー1は、工事現場等で使用する作業用ヘルメットの帽体表面を覆うカバーであり、ヘルメットの帽体表面の外観形状に近似した、ヘルメットの帽体よりもやや大きい寸法形状に形成された半球(ドーム、椀)形状の外殻体2を有するものである。
外殻体2は、1〜2mm程度の薄肉を有する軟質合成樹脂の殻体として形成されている
。当該外殻体2を構成する上記薄肉の軟質合成樹脂は、架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体によって形成した基材表面にオレフィン系熱可塑性エラストマーを設け、さらに2液硬化型プライマー(ポリウレタン)と硬化剤(ポリイソシアネート)の混合物をアンダー材として設け、当該アンダー材の表面に耐スクラッチ性トップ剤としてポリウレタン系素材を設けたものである。
外殻体2は、上記のように各素材による多層構造体として形成されているので、薄肉で柔軟性を有しながら適度な剛性を持ち、単独で立体的な形状を保持することができるようになっている。また、帽体100に面する内側は柔らかく、外殻体2の表層は上記素材の作用によって傷や汚れが付きにくく摩擦に強い性質が付与されている。
外殻体2の表面には、表裏に連通する複数個の孔が設けられている。本実施の形態では、外殻体2の左右の側面に複数個の孔4を設け、頭頂部の前方および後方にそれぞれ孔5を複数個設けている。当該孔4、5は、装着するヘルメットの帽体に設けた換気口102、103(図11、12参照)と対応するように設けられたものであり、帽体カバー1を装着したヘルメット100内部の換気を妨げないようになっている。
外殻体2には上記のように複数個の孔4、5が設けられているが、ヘルメット内の換気(通気)を阻害しないためには、有る程度の開口面積を有することが必要である。
しかし、孔を形成するということは、一方において殻体の一部を欠損させることであるから、半球形状を維持している外殻体2の剛性を低下させるということである。また、孔の内周縁は薄肉シートの切断面が露出した自由端のような部位であるから、外力に対して脆弱かつ変形しやすい部位となっている。
内部応力が均衡を保って形状を維持している外殻体2の一部に開口を設けると、開口の切断面に作用していた応力が消失するので、当該切断面が外側に向かって膨らむように変形してしまう。このように切断面が外側に向かって膨らむと、開口の形状が歪になってしまい、外装を兼ねる部材としては美観を損うので好ましくない。
そこで、本実施の形態に係る帽体カバー1は、穿設した孔の内周縁付近を変形させることで開口縁の強度を高め、美観を損ねるような変形の発生を防止している。
図8は、図7に示したX矢視部の拡大図であり、外殻体2の側面に形成した孔4の一つを断面図として表したものである。図8に示すように、孔4の周縁には表面を窪ませることにより形成した段差部7aが設けられている。また、孔4の内周縁は、肉厚が圧縮されて他の殻体部分よりも肉厚が薄くなり、やや硬化したように硬度が増した状態になっている。
上記段差部7aは、抜き型による孔4の打ち抜き作業の際に形成される。外殻体2を形成している樹脂シートは、発泡性の樹脂を基材としたものであるから、柔らかく弾力性のあるものである。そのため、樹脂シートを金型によって打ち抜くには、打ち抜き部位を押し潰した状態で行う必要がある。押し潰さないでシートの打ち抜きを行うと、樹脂が伸びるだけでシートの剪断が行えない。これを繰り返すと、雄雌の金型間に入り込んだ樹脂によって金型を破損させる場合もある。
本実施の形態では、上記打ち抜き工程時の押し潰しを積極的に利用し、押し潰しを解除した後には前述した段差部7aや近似した作用を有する傾斜面が残存するように押し潰し行程を設けている。
また、外殻体2は、柔軟かつ薄肉でありながら、単体で形状を維持できる程度の剛性を得るために、殻体の表面の複数箇所に凹面(凹部)6を形成している。本実施の形態では、外殻体2の左右両側面にそれぞれ凹面6を設けている。凹面6を形成すると、周囲の殻体との境界部分に必然的に段差部7bが形成される。このような段差部7bは、殻体の変形を阻害する補強部として作用するので、外殻体2に作用する外力に対向し外殻体2を変形しにくくする作用を有している。
なお、上記の実施例においては、帽体のデザインにあわせて孔4(孔5)の周囲に表面からの高さが低くなる方向の段差若しくは傾斜面を設け、凹面6の周囲にも表面からの高さが低くなる方向の段差若しくは傾斜面を設けている。しかし、これは単なる一例であり、孔の周囲に表面からの高さが高くなる方向に段差若しくは傾斜面を設けてもよいし、凹面6の周囲に断面が波形となるような形状変化部を設けても良いものである。すなわち、孔や凹面の補強的作用を有する形状を設けたものは本発明と実質的に同一の構成である。
外殻体2下端の開口縁には、図9に示す断面形状の縁部材3が取り付けられている。当該縁部材3は、ゴム等の弾性素材によって形成された縁ゴム(溝ゴム)状の部材として形成されている。
縁部材3の断面は、中央部に隔壁8を有するとともに、当該隔壁8の一側面側において当該隔壁8とともに有底の溝9を構成する側壁10を有し、隔壁8の他側面側において当該隔壁8とともに有底の溝11を構成する側壁12を有したものとなっている。溝9は外殻体2の下端縁を収容できる厚みと深さを有しており、収容した外殻体2の下端縁を溝9内面に塗布した接着剤によって固定するようになっている。
縁部材3を介して外殻体2を帽体100の下端縁に装着すると、外殻体2の内面と帽体100表面は密着せず、両者の間に隙間が形成されるようになっている。外殻体2は、柔軟性を有する部材であるが、その下端縁は隔壁8の肉厚分を隔てた状態で帽体100の下端縁に固定される。したがって、特に外力が作用しない限り外殻体2は、帽体100表面との間に所定間隔の隙間を形成しその状態を維持するようになっている。
縁部材3は溝9を介して外殻体2の下端縁全周にわたって環状に設けられるが、この際、溝11を形成する側壁12が内側に配置されるように取り付けられる。溝11は、ヘルメットの帽体100の下端縁と嵌合するように形成された部位であり、その断面形状も帽体下端縁の形状に合わせて形成されている。
また、本実施の形態で用いている帽体100は、下端縁に丸みを帯びた膨出部104が設けられているので、当該膨出部104の形状に対応して溝11の底部付近にも凹部13が設けられている。すなわち、帽体の下端縁が溝11内に装着されると、帽体の膨出部104と溝11内の凹部13が嵌合し適度な係合力によって両者を結合させるようになっている(図10参照)。
図11は帽体カバー1を装着する帽体100の側面図、図12は帽体100の正面図を表している。帽体100は、硬質のプラスチックにより形成されたものであり、人間の頭部を覆う半球状のドーム部101を有したものとなっている。ドーム部101の表面には、内外に連通する複数の換気孔102、103が設けられたものとなっている。当該換気孔102、103を設けた位置および形状に対応して、帽体カバー1には前述した孔4、5が設けられている。
また、ドーム部101下端の開口縁には、肉厚をやや増した先述の膨出部104が形成されており、開口縁の強度を高めるとともに、前述した溝11との嵌合部を構成するようになっている。
なお、本発明に使用する帽体100および帽体カバー1の形状は、図示した形状に限るものでない。
ヘルメットの外表面を覆う保護構造体の製造
ポリプロピレン及びポリエチレン共重合体発泡剤の存在下に発泡処理して、架橋されているポリプロピレン及びポリエチレン共重合体樹脂発泡体である基材層を形成する成分物質を得た。
ポリエチレン中にポリプロピレンが含まれる海島構造の組成物より、ポリエチレン中にポリプロピレンを含む熱可塑性エラストマーからなる表皮層を形成する成分物質を得た。
各成分物質を各成形機内で加熱して(加熱条件は200℃前後)、溶融状態としてTダイ成形機に導入して、架橋されているポリプロピレン及びポリエチレン共重合体樹脂発泡体である基材層及びポリエチレン中にポリプロピレンを含む熱可塑性エラストマーからなる表皮層が溶着している積層体を得た。基材層の厚さは、3mmであり、表皮層の厚さ0.5mmであった。
2液硬化型ポリウレタンに硬化剤であるポリイソシアネートから形成されるポリウレタンをスプレーコーティングしてアンダー層が形成され、アンダー層の表面にはポリウレタンシロキサンをスプレーコーティングすることによりトップコート層を形成した。
以上のコーティング2層の厚さは10μm以下であった。
本発明の電子顕微鏡の断面図写真を示す(図1)。架橋されているポリプロピレン及びポリエチレン共重合体樹脂発泡体である基材層及びポリエチレン中にポリプロピレンを含む熱可塑性エラストマーからなる表皮層の生成を確認できた。
ポリプロピレン及びポリエチレン共重合体発泡剤層の赤外線吸収分析の結果は図2に示した。
比較例1
従来の発泡層のみからなる保護構造体の電子顕微鏡の断面図写真を示す(図3)。
ポリエチレンと発泡剤を混合して加熱し、基材層が発泡ポリエチレン(大きく発泡させたもの)、表皮層が発泡ポリエチレン(小さく発泡させたもの)及びコーティング層が発泡ポリエチレン(小さく発泡させたもの)を得た。
電子顕微鏡の断面図写真を示す(図3)。
従来例の赤外線吸収分析の結果は以下の通りである(図4)。
実施例1のヘルメットの外表面を覆う保護構造体と比較例のヘルメットの外表面を覆う保護構造体では、発泡ポリエチレン(大きく発泡させたもの)からなる発泡層では格別相違しないものの、表皮層の点では前者は発泡されていない点、後者は発泡されている状態を観察した。
実施例1で得たヘルメットの外表面を覆う保護構造体の摩擦抵抗の測定結果
実施例1で得たヘルメットの外表面を覆う保護構造体と、従来品である基材層が発泡ポリエチレン(大きく発泡させたもの)、表皮層が発泡ポリエチレン(小さく発泡させたもの)及びコーティング層が発泡ポリエチレン(小さく発泡させたもの)であるヘルメットの外表面を覆う保護構造体について、静摩擦試験機により摩擦係数の測定を行った。
本発明品では摩擦係数は0.53であり、従来品の摩擦係数は0.37であった。摩擦係数の点では前者は僅かに低い結果であった。使用に際しては、両者は殆ど同じであり、差はないこと確認した。前者は十分に使用できることを確認した。
傷がつかないこの実験結果
圧縮試験による、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体の跡付き確認試験の結果は以下の通りであった。
本発明のヘルメットの外表面を覆う保護構造体及び従来品である実施例2で用いたヘルメットの外表面を覆う保護構造体について、押付試験を行った。
押付試験の結果は以下の通りある。
東洋精機株式会社製RTC−1310A押付試験により、本発明のヘルメットの外表面を覆う保護構造体及び従来品である実施例2で用いたヘルメットの外表面を覆う保護構造体に先端が円形で約Φ3mmの圧子を荷重が規定値(5N、10N、15N、20N)になるまで押付けた。試験直後と試験後72時間後の様子を確認しました。
本発明のヘルメットの外表面を覆う保護構造体及び従来品である実施例2で用いたヘルメットの外表面を覆う保護構造体は、試験直後では前者には跡が付かず、後者では跡が付き、試験後72時間後では後者の跡は、試験直後からの変化はないことを確認した。
以上の結果、従来品のヘルメットの外表面を覆う保護構造体では5N程度の比較的僅かな力が接触しただけでも,跡が残る結果を確認した。一方、前者では跡が残らないことを確認した。
前記実施例2及び3の結果、実施例1のヘルメットの外表面を覆う保護構造体と比較例のヘルメットの外表面を覆う保護構造体では、発泡ポリエチレン(大きく発泡させたもの)からなる発泡層では格別相違しないものの、表皮層の点では前者は発泡されていない点、後者は発泡されていることが相違することにより、同様のすべり易いという特性を有していることを確認した。一般に滑りやすい状態では、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体は、壁材などに接触による跡を残さないと考えられていた。しかしながら、前記のように
表皮層に発泡剤を用いないことにより僅かな接触でも跡を残さないで、仕事を進めることができることが分かった。ヘルメットの外表面を覆う保護構造体に目視できないか程度の痕跡であっても残さないことが理想である。具体的にはヘルメットの外表面を覆う保護構造体は壁に接触しないようにすること必要であることがわかった。
ヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットにより形成される構造体は以下のとおりであった。
(1)ヘルメットの外表面を覆う保護構造体、次に半球状に製造することによりヘルメットの外表面を覆う保護構造体を製造し、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体の下端縁に設けられているヘルメットの下端縁が分けられて固定される固定部材を設ける工程、
(2)前記ヘルメットの下端縁が分けられて固定される固定部材にヘルメットの下端縁を固定して、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットが空間を介して配置され、全体ではヘルメットの外表面を覆う保護構造体を形成する工程。
(3)得られたヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットが空間を介して配置されているヘルメットの空間の隔たりは水平方向で1mm程度であった。
外観は、ヘルメットの外側全体が、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体により余裕をもって覆われていた。表面より手により触った感触は手でなでると、ゆっくりヘルメットの外表面を覆う保護構造体をゆるく、引っ張る感じであった。
この構造体を着用して、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体が壁部に接触するとヘルメットに壁体が直接ぶつかった場合の柔らかい感触を感じた。最初の柔らかい感触の瞬間に壁体から離れるようにすると壁体を擦るという現象は中止できると感じた。
孔及び低部を設けたヘルメットの外表面を覆う保護構造体と孔を設けたヘルメットにより形成される構造体は以下のとおりであった。
(1)孔及び低部を設けたヘルメットの外表面を覆う保護構造体、次にこれを半球状に製造することにより、孔及び低部を設けたヘルメットの外表面を覆う保護構造体を製造し、孔及び低部を設けたヘルメットの外表面を覆う保護構造体の下端縁に設けられている、溝に隣接してヘルメットの下端縁が分けられて固定される固定部材を設ける工程、
(2)前記ヘルメットの下端縁が分けられて固定される固定部材にヘルメットの下端縁を固定して、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体と孔のあるヘルメットが空間を介して配置され、全体としてヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットの構造体を形成する工程。
(3)得られた孔や低部を有しているヘルメットの外表面を覆う保護構造体とヘルメットが空間を介して配置されている空間の隔たりは水平方向で2.0mm程度であった。
外観は、ヘルメットの外側全体が、孔や低部を有しているヘルメットの外表面を覆う保護構造体により余裕をもって覆われていた。孔や低部の部分ではヘルメットとの間隔も狭まり安定した感覚を手に与えてきた。表面より手により触った感触は手でなでると、空間部が安定して設けられている感じがあった。
この構造体を着用して、ヘルメットの外表面を覆う保護構造体が壁部に接触すると、前の実施例4の場合に比較して、ヘルメットに壁体が直接ぶつかった場合には、より一層の柔らかい感触を感じた。最初の柔らかい感触の瞬間に壁体から離れるようにすると壁体を擦るという現象は中止できると感じた。
使用中は風通しもよく、使用している感じは従来品と比較しても十分な使用感のものであった。
ヘルメットの外表面を覆う保護構造体及びヘルメットを組み合わせる構造体を用いて、作業中に壁部に損傷を与えない検知方法を開発した。この検知方法は僅かな変動について人が判断して対応手段を選択するものである。この性質を利用して多方面に発泡体の利用を図ることができる。又、床材などへの利用をはかることができる。また、本発明は、ヘルメットの外表面部に装着する帽体カバーに利用可能である。
1 ヘルメットの外表面を覆う保護構造体(帽体カバー)
2 ヘルメット(外殻体)
3 固定部材(縁部材)
4 孔
5 孔
6 凹面(凹部)
7 段差部
7a 段差部
7b 段差部
8 隔壁
9 溝
10 側壁
11 溝
12 側壁
13 凹部
100 ヘルメット(帽体)
101 ドーム部
102 換気口(換気孔)
103 換気口(換気孔)
104 膨出部

Claims (4)

  1. ヘルメットの帽体に装着する帽体カバーであって、
    発泡層を有する軟質の合成樹脂シートによって形成された略半球状の外殻体を有するとともに、
    当該外殻体の下端縁に、前記外殻体の下端縁を固定する溝と前記帽体の下端縁を固定する溝を形成した縁部材を設け
    縁部材は、中央部に隔壁を有し、隔壁の一側面側に外殻体の下端縁を固定する溝を形成し、隔壁の他側面側に帽体の下端縁を固定する溝を形成し、外殻体と帽体の間に隙間を形成することを特徴とする帽体カバー。
  2. 前記外殻体の複数箇所に表裏貫通する孔を設けるとともに、
    当該孔の外周囲に表面からの高さが次第に低くなるように形成した段差部若しくは傾斜部を設けたことを特徴とする請求項1記載の帽体カバー。
  3. 前記外殻体の一部に、表面からの高さを低く形成した凹所を複数カ所設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の帽体カバー。
  4. 発泡素材によって下層部を形成するとともに、
    表面層を前記発泡素材よりも硬質の樹脂素材によって形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の帽体カバー。
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