JP2015062157A - 負極材料、負極活物質、負極およびアルカリ金属イオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】黒鉛質材料に比べて大きい(002)面の平均層面間隔を有しつつ、保存特性に優れたアルカリ金属イオン二次電池用負極材料を提供すること。
【解決手段】本発明のアルカリ金属イオン二次電池用負極材料は、線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均層面間隔d002が0.340nm以上であり、2θ値が2゜における回折強度Iaと、2θ値が3゜における回折強度Ibと、2θ値が4゜における回折強度Icとが、下記式(1)の関係を満足することを特徴とする。
0.50≦ (Ia−Ib)/((Ia-Ic)/2) ≦ 0.98 (式1)
【選択図】図1

Description

本発明は、負極材料、負極活物質、負極およびアルカリ金属イオン二次電池に関する。
電子機器類のポータブル化、コードレス化が進むにつれ、二次電池の高容量化、高サイクル特性(長寿命化)等が求められている。特に、携帯電話やビデオカメラ等の小型携帯機器用二次電池として、近年、特にリチウムイオン二次電池が脚光を浴びており、リチウムイオン二次電池の小型軽量化及び高エネルギー密度化が、より一層求められている。
リチウムイオン二次電池用の負極材料としては、一般的に、黒鉛質材料が用いられている。
しかし、黒鉛質材料はリチウムのドープ・脱ドープにより結晶子の層間が伸縮するため、結晶子に歪みが生じやすい。そのため、黒鉛質材料は充放電の繰り返しによる結晶構造の破壊が起こりやすく、黒鉛質材料を負極材料に用いたリチウムイオン二次電池は充放電サイクル特性に劣るとされている。
特許文献1(特開平8−115723号公報)には、X線回折法により求めた(002)面の平均層面間隔が0.365nm以上、ブタノールを置換媒体として測定した密度(ρ)に対するヘリウムガスを置換媒体として測定した密度(ρ )の比(ρ /ρ )が1.15以上であることを特徴とする二次電池電極用炭素質材料が記載されている。
このような炭素質材料は結晶子の層間が黒鉛質材料に比べて大きく、充放電の繰り返しによる結晶構造の破壊が黒鉛質材料に比べて起こり難いため、充放電サイクル特性に優れるとされている(特許文献1、2参照)。
特開平8−115723号公報 国際公開第2007/040007号
ところが、特許文献1、2に記載されているような、結晶子の層間が黒鉛質材料に比べて大きい炭素質材料は、例えば、以下の課題を有していた。
結晶子の層間が黒鉛質材料に比べて大きい炭素質材料は、黒鉛質材料に比べて大気中で劣化し易く、保存特性が劣っていた。そのため、製造直後から不活性ガス雰囲気などで保存する必要があり、黒鉛質材料に比べて取り扱い難いとされていた。
そこで、本発明では、黒鉛質材料に比べて大きい(002)面の平均層面間隔を有しつつ、保存特性に優れたアルカリ金属イオン二次電池用負極材料を提供することを第一の課題とする。
また、結晶子の層間が黒鉛質材料に比べて大きい炭素質材料は、保存特性を向上させるために、細孔の一部を閉孔させると、充放電容量が低下してしまう(例えば、特許文献2参照)。そのため、保存特性の向上と充放電容量の向上とはトレード・オフの関係にあった。
そこで、本発明では、黒鉛質材料に比べて大きい(002)面の平均層面間隔を有しつつ、または表面フラクタル次元および電子密度揺らぎの相関長が特定の範囲の値である構造を有しつつ、保存特性および充電放電容量に優れたアルカリ金属イオン二次電池用負極材料を提供することを第二の課題とする。
また、結晶子の層間が黒鉛質材料に比べて大きい炭素質材料は、不可逆容量が黒鉛質材料に比べて大きいという欠点を有していた。
そこで、本発明では、黒鉛質材料に比べて大きい(002)面の平均層面間隔を有しつつ、または表面フラクタル次元および電子密度揺らぎの相関長が特定の範囲の値である構造を有しつつ、不可逆容量が抑制されたアルカリ金属イオン二次電池用負極材料を提供することを第三の課題とする。
本発明によれば、
線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均層面間隔d002が0.340nm以上であるアルカリ金属イオン二次電池用負極材料であって、
2θ値が2゜における回折強度Iaと、2θ値が3゜における回折強度Ibと、2θ値が4゜における回折強度Icとが、下記式(1)の関係を満足する負極材料が提供される。
0.50 ≦ (Ia−Ib)/((Ia-Ic)/2) ≦ 0.98 (式1)
さらに、本発明によれば、
上記負極材料を含む、負極活物質が提供される。
さらに、本発明によれば、
上記負極活物質を含む、負極が提供される。
さらに、本発明によれば、
上記負極と、電解質と、正極とを少なくとも備えた、アルカリ金属イオン二次電池が提供される。
本発明によれば、黒鉛質材料に比べて大きい(002)面の平均層面間隔を有しつつ、または表面フラクタル次元および電子密度揺らぎの相関長が特定の範囲の値である構造を有しつつ、保存特性および充電放電容量に優れたアルカリ金属イオン二次電池用負極材料を提供することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン電池の一例を示す模式図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致していない。
以下、本発明に係る実施形態について説明する。
<負極材料>
本実施形態に係るアルカリ金属イオン二次電池用負極材料(以下、単に負極材料とも呼ぶ。)は、リチウムイオン二次電池やナトリウムイオン二次電池などのアルカリ金属イオン二次電池に用いられる炭素質の負極材料である。そして、線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均層面間隔d002(以下、「d002」とも呼ぶ。)が0.340nm以上であり、好ましくは0.350nm以上であり、より好ましくは0.365nm以上である。d002が上記下限値以上であると、アルカリ金属イオンのドープ・脱ドープの繰り返しによる結晶構造の破壊が抑制されるため、負極材料の充放電サイクル特性を向上させることができる。
平均層面間隔d002の上限は特に限定されないが、通常は0.400nm以下であり、好ましくは0.395nm以下であり、より好ましくは0.390nm以下である。d002が上記上限値以下であると、負極材料の不可逆容量を抑制することができる。
このような、平均層面間隔d002を有する炭素質の材料は、一般的に、難黒鉛化性の炭素と呼ばれている。
本実施形態に係る負極材料は、線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる2θ値が2゜における回折強度Iaと、2θ値が3゜における回折強度Ibと、2θ値が4゜における回折強度Icとが、下記式1の関係を満足する。

0.50 ≦ (Ia−Ib)/((Ia-Ic)/2) ≦0.98 (式1)

上記2θ値が2゜における回折強度Iaと、2θ値が3゜における回折強度Ibと、2θ値が4゜における回折強度Icとの関係が、式1の上限値以下であることにより、高い充電容量を得ることができる。さらに、式1の上限値以下であることにより負極材料の保存特性を向上させることができる。
また、2θ値が2゜における回折強度Iaと、2θ値が3゜における回折強度Ibと、2θ値が4゜における回折強度Icとの関係が、式1の下限値以上であることにより、負極材料の不可逆容量を抑制することができる。
なお、下記式1Aを満足することがより好ましく、下記式1Bを満足することが特に好ましい。これにより、前述の充電容量をより向上することができ、不可逆容量を抑制することができる。さらに、負極材料の保存特性をより一層向上させることができる。

0.50 ≦(Ia−Ib)/((Ia-Ic)/2) ≦ 0.85 (式1A)
0.60 ≦(Ia−Ib)/((Ia-Ic)/2) ≦ 0.80 (式1B)
上記平均層面間隔d002、2θ値が2゜における回折強度Ia、2θ値が3゜における回折強度Ib、及び2θ値が4゜における回折強度Icは、株式会社リガク製・粉末X線回折装置「Smart Lab」を用いて、例えば、管電圧:45kV、管電流:200mA、2θ/θスキャン法でスキャン速度が毎分2°、ステップ角が0.01°の条件で測定することができる。
上記式1の関係を満足すると、保存特性および充電放電容量に優れた負極材料が得られる理由は必ずしも明らかではないが、グレインサイズやそれらによって形成される空間サイズ(細孔サイズ)が、アルカリ金属イオンの充放電に適し、かつ、大気中に放置しても水分等が吸着し難いサイズになっているからだからだと考えられる。
ここで、グレインや細孔のサイズが大きくなると、小角側に出現する回折ピーク(ショルダー)による影響が2〜4°の領域にまで現れ、2θ値が2゜における回折強度Iaは、最も大きなグレインや細孔の存在を意味し、2θ値が3゜における回折強度Ibは次に大きなグレインや細孔の存在を意味し、2θ値が4゜における回折強度Icは最も小さな構造の存在を意味していると考えられる。よって、(Ia−Ib)/((Ia-Ic)/2)は、グレインサイズや細孔サイズの分布の指標を意味していると考えられる。
本実施形態に係る負極材料は、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池などのアルカリ金属イオン二次電池の負極材料として用いられる。とくに、本実施形態に係る負極材料は、リチウムイオン二次電池の負極材料として好適に用いられる。
(比表面積)
本実施形態に係る負極材料は、窒素吸着におけるBET3点法による比表面積が好ましくは1m/g以上、15m/g以下であり、より好ましくは3m/g以上、8m/g以下である。
上記窒素吸着におけるBET3点法による比表面積が上記上限値以下である場合、負極材料と電解液との不可逆的な反応をより一層抑制することができる。上記窒素吸着におけるBET3点法による比表面積が上記下限値以上である場合、電解液の負極材料への適切な浸透性を得ることができる。
比表面積の算出方法は以下のとおりである。
下記(1)式より単分子吸着量Wを算出し、下記(2)式より総表面積Stotalを算出し、下記(3)式より比表面積Sを求める。
1/[W・{(P/P)−1}]={(C−1)/(W・C)}(P/P)(1/(W・C)) (1)
上記式(1)中、P:吸着平衡にある吸着質の気体の圧力、P:吸着温度における吸着質の飽和蒸気圧、W:吸着平衡圧Pにおける吸着量、W:単分子層吸着量、C:固体表面と吸着質との相互作用の大きさに関する定数(C=exp{(E−E)RT})[E:第一層の吸着熱(kJ/mol)、E:吸着質の測定温度における液化熱(kJ/mol)]
total=(WNAcs)M (2)
上記式(2)中、N:アボガドロ数、M:分子量、Acs:吸着断面積
S=Stotal/w (3)
式(3)中、w:サンプル重量(g)
なお、比表面積は、例えば、ユアサ社製のNova−1200装置を用いて測定することができる。
さらに、本実施形態に係る負極材料は、線源としてCuKα線を用いたX線散乱法により求められる表面フラクタル次元Dsが以下の式2を満たすことが好ましい。
2.1≦Ds(空気中)≦2.7 かつ −0.3≦Ds(空気中)−Ds(混合溶媒中)≦0.3 (式2)
ここでDs(空気中)は空気中で測定された表面フラクタル次元Dsであり、Ds(混合溶媒中)とはエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した混合溶媒中で測定された表面フラクタル次元Dsである。
上記Ds(空気中)は、2.1以上、2.4以下がさらに好ましい。上記Dsが上記範囲内の場合、アルカリ金属イオンのドープ・脱ドープがスムーズに進行しやすくなるため、負極材料の充電容量および充放電サイクル特性を向上させることができる。
上記Ds(空気中)から上記Ds(混合溶媒中)を引いた値は、−0.2以上、+0.2以下がさらに好ましい。上記Ds(空気中)から上記Ds(混合溶媒中)を引いた値が上記範囲内である場合、アルカリ金属イオンのドープ・脱ドープがスムーズにより一層進行しやすくなるため、負極材料の充電容量および充放電サイクル特性をより一層向上させることができる。
ここで、Ds(空気中)は負極材料の表面および内部における空気と炭素の界面に関する表面フラクタル次元を意味し、Ds(混合溶媒中)は負極材料の表面における混合溶媒と炭素の界面に関する表面フラクタル次元と溶媒が進入できない負極材料の内部における空気と炭素の界面に関する表面フラクタル次元の平均値を意味している。X線散乱強度は、界面を形成する二成分の電子密度差の二乗に比例し、混合溶媒と炭素の電子密度差は空気と炭素の電子密度差よりも十分に小さいことより、Ds(混合溶媒中)は溶媒が進入できない負極材料の内部における空気と炭素の界面に関する表面フラクタル次元と近似することができる。よって、Ds(空気中)からDs(混合溶媒中)を引いた値は、負極材料の表面と内部の構造差の指標を意味している。
さらに、本実施形態に係る負極材料は、線源としてCuKα線を用いたX線散乱法により求められる電子密度揺らぎの相関長ξが以下の式3を満たすことが好ましい。
0.2nm≦ξ≦0.4nm かつ −0.1nm≦ξ(空気中)−ξ(混合溶媒中)≦+0.1nm (式3)
ここでξ(空気中)は空気中で測定された電子密度揺らぎであり、ξ(混合溶媒中)とはエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した混合溶媒中で測定された電子密度揺らぎである。
上記ξおよび上記ξ(空気中)からξ(混合溶媒中)を引いた値が、上記範囲内の場合、アルカリ金属イオンのドープ・脱ドープがスムーズにより一層進行しやすくなるため、アルカリ金属イオン二次電池用負極材料の充電容量および充放電サイクル特性をより一層向上させることができる。
ここで、ξ(空気中)は負極材料の表面および内部における電子密度揺らぎの相関長を意味し、ξ(混合溶媒中)は負極材料の表面における電子密度揺らぎの相関長と溶媒が進入できない負極材料の内部における電子密度揺らぎの相関長の平均値を意味している。X線散乱強度は、界面を形成する二成分の電子密度差の二乗に比例し、混合溶媒と炭素の電子密度差は空気と炭素の電子密度差よりも十分に小さいことより、ξ(混合溶媒中)は溶媒が進入できない負極材料の内部における電子密度揺らぎの相関長と近似することができる。よって、ξ(空気中)からξ(混合溶媒中)を引いた値は、負極材料の表面と内部の構造差の指標を意味している。
上記表面フラクタル次元Dsおよび電子密度揺らぎの相関長ξは、株式会社リガク製・小角X線散装置「NANO−Viewer」を用いて、管電圧:40kV、管電流:30mA、試料検出器間距離1300mmおよび400mmの条件で、散乱ベクトルの大きさqが0.07nm−1以上、4nm−1以下の散乱強度I(q)を観測し、得られたI(q)に対して下記式4を用いて重み付け最小二乗法フィッティングを行うことによって、Dsとξをフィッティングパラメータとして同時に求めることができる。ここで、下記式4第2項は電子密度揺らぎをもたらすランダム二層モデルを表すDebye−Bueche式である。また、散乱ベクトルの大きさは下記式5で定義される物理量である。

I(q)=A×q(Ds−6) + B/(1+ξ×q) (式4)
q=(4π/λ)×sin(2θ/2) (式5)

上記式4中および式5中、A:任意の定数、B:任意の定数、λ:X線波長[単位nm]、2θ:散乱角
また、上記式4により重み付け最小二乗法でフィッティングする際に用いる重みw(q)としては、例えば、観測されたI(q)の最大値Imaxおよび最小値Iminを用いて、下記式6で示される値を用いることにより、qの増加に伴ってI(q)が大きく減衰する観測データをフィッティングすることが可能となる。

w(q)=I(q)−[log(Imax)−log(Imin)]×0.6 (式6)
(結晶子のサイズ)
本実施形態に係る負極材料のX線回折法により求めたc軸方向の結晶子のサイズ(以下「Lc(002)」と略記することがある。)の上限値は、好ましくは5nm以下であり、より好ましくは3nm以下であり、さらに好ましくは2nm以下である。上記結晶子のサイズの下限値は、特に限定されず、小さいことが好ましいが、現実的には0.5nm以上が好ましく、0.7nm以上がさらに好ましい。
(平均粒径)
本実施形態に係る負極材料は体積基準の累積分布における50%累積時の粒径(D50、平均粒径)が、1μm以上50μm以下であることが好ましく、2μm以上30μm以下であることがより好ましい。これにより、高密度の負極を作製することができる。
(放電容量)
本実施形態の負極材料は、後述する条件で作製したハーフセルについて、後述する充放電条件で充放電をおこなった際の放電容量が、好ましくは360mAh/g以上であり、より好ましくは380mAh/g以上であり、さらに好ましくは400mAh/g以上であり、特に好ましくは420mAh/g以上である。上記放電容量の上限は特に限定されず、多ければ多いほど好ましいが、現実的には700mAh/g以下であり、通常は500mAh/g以下である。なお、本明細書では、「mAh/g」は負極材料1gあたりの容量を示す。
(ハーフセル作製条件)
上述したハーフセルの作製条件について説明する。
使用する負極は、当該負極材料により形成したものを用いる。より具体的には、負極材料とカルボキシメチルセルロースとスチレン・ブタジエンゴムとアセチレンブラックとを、重量比で100:1.5:3.0:2.0の割合で混合した組成物を用いて電極を形成したものを用いる。
対極は、金属リチウムを用いる。
電解液は、カーボネート系溶媒(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1で混合した混合溶媒)に1Mの割合でLiPFを溶解させたものを用いる。
上記負極は、例えば、以下のようにして作製することができる。
まず、所定量の負極材料と、カルボキシメチルセルロースと、スチレン・ブタジエンゴムと、アセチレンブラックと、水とを撹拌混合し、スラリーを調製する。得られたスラリーを集電体である銅箔上に塗布し、60℃で2時間予備乾燥を行い、その後、120℃で15時間真空乾燥する。次いで、所定の大きさに切り出すことにより、負極材料により構成された負極を得ることができる。
また、上記負極は、直径13mmの円盤状とし、負極活物質層(負極から集電体を除いた部分)は、厚さ50μmの円盤状とし、対極(金属リチウムで構成された電極)は、直径12mm、厚さ1mmの円盤状とすることができる。
また、上記ハーフセルの形状は、2032型コインセル形状とすることができる。
(充放電条件)
上述したハーフセルの充放電条件は以下のとおりである。
測定温度:25℃
充電方式:定電流定電圧法、充電電流:25mA/g、充電電圧:0mV、充電終止電流:2.5mA/g
放電方式:定電流法、放電電流:25mA/g、放電終止電圧:2.5V
なお、ハーフセルについての「充電」とは、電圧の印加により、金属リチウムで構成された電極から負極材料により構成された電極にリチウムイオンを移動させることをいう。「放電」とは、負極材料により構成された電極から金属リチウムで構成された電極にリチウムイオンが移動する現象のことをいう。
(炭酸ガスの吸着量)
また、本実施形態に係る負極材料は、炭酸ガスの吸着量が好ましくは10ml/g未満であり、より好ましくは8ml/g以下であり、さらに好ましくは6ml/g以下である。炭酸ガスの吸着量が上記上限値以下であると、負極材料の保存特性をより一層向上させることができる。
また、本実施形態に係る負極材料は、炭酸ガスの吸着量が好ましくは0.05ml/g以上であり、より好ましくは0.1ml/g以上である。炭酸ガスの吸着量が上記下限値以上であると、アルカリ金属の充電容量をより一層向上させることができる。
なお、炭酸ガスの吸着量の測定は、真空乾燥機を用いて、負極材料を130℃で3時間以上真空乾燥を行ったものを測定試料とし、Micromeritics Instrument Corporation社製ASAP−2000Mを使用して行うことができる。
(窒素原子および硫黄原子の含有量)
また、本実施形態に係る負極材料は、好ましくは窒素原子および硫黄原子を含む。
本実施形態に係る負極材料中の窒素原子の含有量は、不可逆容量の低減の観点から、好ましくは1ppm以上30000ppm以下であり、より好ましくは100ppm以上25000ppm以下である。
また、本実施形態に係る負極材料中の硫黄原子の含有量は、不可逆容量の低減の観点から、好ましくは1ppm以上30000ppm以下であり、より好ましくは5ppm以上1000ppm以下である。
本実施形態に係る負極材料中の窒素原子の含有量は、元素分析法を用いて定量することができる。また、本実施形態に係る負極材料中の硫黄原子の含有量は、イオンクロマト法を用いて定量することができる。
(細孔容積)
また、本実施形態に係る負極材料は、充填密度向上の観点から、水銀圧入法により求めた細孔直径が0.003μm〜5μmの細孔容積が好ましくは0.55ml/g未満であり、より好ましくは0.53ml/g以下であり、さらに好ましくは0.50ml/g以下である。
また、本実施形態に係る負極材料は、不可逆容量の低減の観点から、水銀圧入法により求めた細孔直径が0.003μm〜5μmの細孔容積が好ましくは0.10ml/g以上であり、より好ましくは0.20ml/g以上であり、さらに好ましくは0.30ml/g以上である。
ここで、水銀圧入法による細孔容積はMICROMERITICS社製オートポアIII9420を用いて測定することができる。
(真球度)
また、本実施形態に係る負極材料は、生産効率向上の観点から、真球度が好ましくは0.8未満であり、より好ましくは0.7以下であり、さらに好ましくは0.6以下である。
なお、真球度は、負極材料をエポキシ樹脂に埋め込み、研磨後、光学顕微鏡で観察し、平均粒径D50±50%の粒径を有する粒子で、かつ他の粒子との重なりおよび接触の無い粒子30個について高機能画像解析システム(旭エンジニアリング製「IP−500PC」)により粒子の平面画像解析を行い、下記式による円形度Cの平均値をもって真球度とする。
円形度C=4・π・S/l
ここで、l:周囲長、S:面積である。
また、本実施形態に係る負極材料は、空気気流下で測定した示差熱分析において、好ましくは650℃未満、好ましくは550℃以上645℃以下、より好ましくは590℃以上640℃以下に少なくとも1個の発熱ピークを有する。これにより、保存特性および充電放電容量を向上させることができる。
<アルカリ金属イオン二次電池用負極材料の製造方法>
次に、本実施形態に係る負極材料の製造方法について説明する。
本実施形態に係る負極材料は、例えば、特定の樹脂組成物を原料として、適切な条件で炭化処理することにより製造することができる。
樹脂組成物を原料として、負極材料を製造すること自体は従来技術においても行われてきた。しかし、本実施形態では、(1)樹脂組成物の組成、(2)炭化処理の条件、(3)炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合、などの因子を高度に制御している。本実施形態に係る負極材料を得るためには、これらの因子を高度に制御することが重要となる。
特に、本発明者らは、本実施形態に係る負極材料を得るためには、上記(1)と(2)の条件を適切に設定した上で、(3)炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合を従来の基準よりも低く設定することが重要であることを見出した。
以下、本実施形態に係る負極材料の製造方法の一例を示す。ただし、本実施形態に係る負極材料の製造方法は、以下の例に限定されない。
(樹脂組成物)
はじめに、(1)負極材料の原料として、炭化処理すべき樹脂組成物を選定する。
本実施形態に係る負極材料の原材料となる樹脂組成物に含まれる樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂;熱可塑性樹脂;エチレン製造時に副生する石油系のタールやピッチ、石炭乾留時に生成するコールタール、コールタールの低沸点成分を蒸留除去した重質成分やピッチ、石炭の液化により得られるタールやピッチなどのような石油系または石炭系のタール若しくはピッチ;さらには上記タールやピッチなどを架橋処理したもの;やし殻や木材等の天然高分子物質;などが挙げられる。これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、原料段階での精製が可能であり、不純物の少ない負極材料が得られ、かつ、精製に要する工程を大幅に短縮できコスト低減に繋がる点から、熱硬化性樹脂が好ましい。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;アニリン樹脂;シアネート樹脂;フラン樹脂;ケトン樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;ウレタン樹脂などが挙げられる。また、これらが種々の成分で変性された変性物を用いることもできる。
これらの中でも、残炭率が高いという理由からホルムアルデヒドを用いる樹脂である、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;アニリン樹脂が好ましい。
また、熱硬化性樹脂を用いる場合には、その硬化剤を併用することができる。
用いられる硬化剤としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂の場合はヘキサメチレンテトラミン、レゾール型フェノール樹脂、ポリアセタール、パラホルムアルデヒドなどを用いることができる。レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂の場合はヘキサメチレンテトラミンなどを用いることができる。
硬化剤の配合量は、通常は上記熱硬化性樹脂100質量部に対して0.1質量部以上50質量部以下である。
また、負極材料の原材料としての樹脂組成物においては、上記熱硬化性樹脂、硬化剤の他に添加剤を配合することができる。
ここで用いられる添加剤としては特に限定されないが、例えば、200℃以上800℃以下にて炭化処理した炭素材前駆体、有機酸、無機酸、含窒素化合物、含酸素化合物、芳香族化合物、非鉄金属元素などを挙げることができる。これら添加剤は、用いる樹脂の種類や性状などにより、1種または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂組成物の調製方法としては特に限定されず、例えば、(1)上記樹脂と、これ以外の成分とを溶融混合する方法、(2)上記樹脂と、これ以外の成分とを溶媒に溶解して混合する方法、(3)上記樹脂と、これ以外の成分とを粉砕して混合する方法などにより調製することができる。
樹脂組成物の調製のための装置としては特に限定されないが、例えば、溶融混合を行う場合には、混練ロール、単軸あるいは二軸ニーダーなどの混練装置を用いることができる。溶解混合を行う場合は、ヘンシェルミキサー、ディスパーザなどの混合装置を用いることができる。粉砕混合を行う場合には、例えば、ハンマーミル、ジェットミルなどの装置を用いることができる。
このようにして得られた樹脂組成物は、複数種類の成分を物理的に混合しただけのものであってもよいし、樹脂組成物の調製時、混合(攪拌、混練など)に際して付与される機械的エネルギーおよびこれが変換された熱エネルギーにより、その一部を化学的に反応させたものであってもよい。具体的には、機械的エネルギーによるメカノケミカル的反応や、熱エネルギーによる化学反応をさせてもよい。
(炭化処理)
つぎに、得られた樹脂組成物を炭化処理する。
ここで炭化処理の条件としては、例えば、常温から1℃/時間以上200℃/時間以下で昇温して、800℃以上3000℃以下、0.01Pa以上101kPa(1気圧)以下で、0.1時間以上50時間以下、好ましくは0.5時間以上10時間以下保持して行うことができる。炭化処理時の雰囲気としては窒素、ヘリウムガスなどの不活性雰囲気下;不活性ガス中に微量の酸素が存在するような実質的に不活性な雰囲気下;還元ガス雰囲気下などで行うことが好ましい。このようにすることで、樹脂の熱分解(酸化分解)を抑制し、所望の負極材料を得ることができる。
このような炭化処理時の温度、時間などの条件は、負極材料の特性を最適なものにするため適宜調整することができる。
なお、上記炭化処理を行う前に、プレ炭化処理を行ってもよい。
ここで、プレ炭化処理の条件としては特に限定されないが、例えば、200℃以上1000℃以下で1時間以上10時間以下行うことができる。このように、炭化処理前にプレ炭化処理を行うことで、樹脂組成物を不融化させ、炭化処理工程前に樹脂組成物などの粉砕処理を行った場合でも、粉砕後の樹脂組成物などが炭化処理時に再融着するのを防ぎ、所望とする負極材料を効率的に得ることができるようになる。
また、このプレ炭化処理の前に、樹脂組成物の硬化処理を行ってもよい。
硬化処理方法としては特に限定されないが、例えば、樹脂組成物に硬化反応が可能な熱量を与えて熱硬化する方法、あるいは、熱硬化性樹脂と硬化剤とを併用する方法などにより行うことができる。これにより、プレ炭化処理を実質的に固相でできるため、熱硬化性樹脂の構造をある程度維持した状態で炭化処理またはプレ炭化処理を行うことができ、負極材料の構造や特性を制御することができるようになる。
なお、上記炭化処理あるいはプレ炭化処理を行う場合には、上記樹脂組成物に、金属、顔料、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤などを添加して、所望する特性を負極材料に付与することもできる。
上記硬化処理またはプレ炭化処理を行った場合は、その後、上記炭化処理の前に、処理物を粉砕しておいてもよい。こうした場合には、炭化処理時の熱履歴のバラツキを低減させ、得られる負極材料の表面状態の均一性を高めることができる。そして、処理物の取り扱い性を向上させることができる。
(炭化処理を行う空間に占める原料の占有割合)
また、本実施形態に係る負極材料を得るには、炭化処理を行う空間に占める原料の占有割合を適切に調整することが重要である。具体的には、炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合を好ましくは10.0kg/m以下、より好ましくは5.0kg/m以下、特に好ましくは1.0kg/m以下に設定する。ここで、炭化処理を行う空間は、通常は炭化処理に使用する熱処理炉の炉内容積を表す。
なお、炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合の従来の基準は、100〜500kg/m程度である。そのため、本実施形態に係る負極材料を得るには、炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合を従来の基準よりも低く設定することが重要である。
炭化処理を行う空間に占める原料の占有割合を上記上限値以下とすることにより、本実施形態に係る負極材料を得ることができる理由は必ずしも明らかでないが、炭化処理時に原料(樹脂組成物)から発生するガスが系外に効率良く除去されることが関係していると考えられる。
以上の手順により、本実施形態に係る負極材料を得ることができる。
<アルカリ金属イオン二次電池用負極活物質>
以下、本実施形態に係るアルカリ金属イオン二次電池用負極活物質について説明する。アルカリ金属イオン二次電池用負極活物質(以下、単に負極活物質とも呼ぶ。)とは、アルカリ金属イオン二次電池において、アルカリ金属イオンを出し入れすることができる物質のことをいう。本実施形態に係る負極活物質は、上述した本実施形態に係る負極材料を含むものである。
本実施形態に係る負極活物質は、上述したアルカリ金属イオン二次電池用負極材料とは異なる種類の負極材料をさらに含んでもよい。このような負極材料としては、例えば、シリコン、一酸化ケイ素、黒鉛質材料など一般的に公知の負極材料が挙げられる。
<アルカリ金属イオン二次電池用負極、アルカリ金属イオン二次電池>
以下、本実施形態に係るアルカリ金属イオン二次電池用負極およびアルカリ金属イオン二次電池について説明する。
本実施形態に係るアルカリ金属イオン二次電池用負極(以下、単に負極とも呼ぶこともある。)は、上述した本実施形態に係る負極活物質を用いて製造されたものである。これにより、保存特性および充放電容量に優れた負極を提供することができる。
また、本実施形態に係るアルカリ金属イオン二次電池は、本実施形態に係る負極を用いて製造されたものである。これにより、保存特性および充放電容量に優れたアルカリ金属イオン二次電池を提供することができる。
本実施形態に係るアルカリ金属イオン二次電池は、正極と、負極と、電解質とを少なくとも備えるアルカリ金属イオン二次電池であって、上記負極に、本実施形態に係るアルカリ金属イオン二次電池用負極を使用する。
一般的には、電解質は、少なくとも正極と負極との間に存在するよう設けられる。
本実施形態に係るアルカリ金属イオン二次電池は、電解質の種類によって特に制限を受けるものではない。例えば、非水電解液を電解質として用い、正極と、負極と、上記正極と上記負極との間に設けられるセパレータと、非水電解液である電解質とを少なくとも備えた非水電解液アルカリ金属イオン二次電池に適用することができる。
また異なる態様としては、電解質として固体電解質を用いる固体電解質アルカリ金属イオン二次電池に適用することもできる。
なお、本実施形態において固体電解質は、高分子ゲル電解質、高分子固体電解質、全固体電解質などと称される、液状でない電解質のいずれであってもよい。
また、本実施形態のアルカリ金属イオン二次電池におけるアルカリ金属イオンとは、上述する本実施形態の電極と同様に、リチウム、ナトリウム、ニッケルなどの二次電池において充放電に寄与するアルカリ金属が該当する。
以下、本実施形態のアルカリ金属イオン二次電池用負極およびアルカリ金属イオン二次電池の一態様として、リチウムイオン電池用負極およびリチウムイオン電池の好適な実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン電池の一例を示す模式図である。
リチウムイオン電池10は、図1に示すように、負極13と、正極21と、電解液16と、セパレーター18とを有している。
負極13は、図1に示すように、負極活物質層12と負極集電体14とを有している。
負極集電体14としては特に限定されず、一般的に公知の負極用集電体を用いることができ、例えば、銅箔またはニッケル箔などを用いることができる。
負極活物質層12は、上述した本実施形態に係る負極活物質により構成されている。
負極13は、例えば、以下のようにして製造することができる。
上記負極活物質100重量部に対して、一般的に公知の有機高分子結着剤(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系高分子;スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴムなどのゴム状高分子;など)1重量部以上30重量部以下、および適量の粘度調整用溶剤(N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミドなど)または水を添加して混練して、負極スラリーを調製する。
得られたスラリーを圧縮成形、ロール成形などによりシート状、ペレット状などに成形して、負極活物質層12を得ることができる。そして、このようにして得られた負極活物質層12と負極集電体14とを積層することにより、負極13を得ることができる。
また、得られた負極スラリーを負極集電体14に塗布して乾燥することにより、負極13を製造することもできる。
電解液16は、正極21と負極13との間を満たすものであり、充放電によってリチウムイオンが移動する層である。
電解液16としては特に限定されず、一般的に公知の電解液を用いることができ、例えば、非水系溶媒に電解質となるリチウム塩を溶解したものが用いられる。
この非水系溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状エステル類;ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル類;あるいはこれらの混合物などを用いることができる。
電解質としては特に限定されず、一般的に公知の電解質を用いることができ、例えば、LiClO、LiPFなどのリチウム金属塩を用いることができる。また、上記塩類をポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリルなどに混合し、固体電解質として用いることもできる。
セパレーター18としては特に限定されず、一般的に公知のセパレーターを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの多孔質フィルム、不織布などを用いることができる。
正極21は、図1に示すように、正極活物質層20と正極集電体22とを有している。
正極活物質層20としては特に限定されず、一般的に公知の正極活物質により形成することができる。正極活物質としては特に限定されず、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)などの複合酸化物;ポリアニリン、ポリピロールなどの導電性高分子;などを用いることができる。
正極集電体22としては特に限定されず、一般的に公知の正極集電体を用いることができ、例えば、アルミニウム箔を用いることができる。
そして、本実施形態における正極21は、一般的に公知の正極の製造方法により製造することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例では、「部」は「重量部」を示す。
[1]アルカリ金属イオン二次電池用負極材料の評価方法
はじめに、後述する実施例および比較例で得られた負極材料の評価方法を説明する。
1.粒度分布
堀場製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置LA−920を用いて、レーザー回折法により、負極材料の粒度分布を測定した。測定結果から、負極材料について、体積基準の累積分布における50%累積時の粒径(D50、平均粒径)を求めた。
2.比表面積
ユアサ社製のNova−1200装置を使用して窒素吸着におけるBET3点法により測定した。具体的な算出方法は、上述したとおりである。
3.負極材料のd002、2θ値が2゜における回折強度Ia、2θ値が3゜における回折強度Ib、2θ値が4゜における回折強度Ic、およびLc(002)
上記平均層面間隔d002、2θ値が2゜における回折強度Ia、2θ値が3゜における回折強度Ib、及び2θ値が4゜における回折強度Icは、株式会社リガク製・粉末X線回折装置「Smart Lab」を用いて、以下の条件で測定した。
線源: CuKα線
管電圧:45kV
管電流:200mA
スキャン速度が毎分2°
ステップ角が0.01°
負極材料のX線回折測定から求められるスペクトルより、(002)面の平均層面間隔d002を以下のBragg式より算出した。
λ=2dhklsinθ Bragg式 (dhkl=d002
λ:陰極から出力される特性X線Kα1の波長
θ:スペクトルの反射角度
また、Lc(002)は以下のようにして測定した。
X線回折測定から求められるスペクトルにおける002面ピークの半値幅と回折角から次のScherrerの式を用いて決定した。
Lc(002)=0.94 λ/(βcosθ) ( Scherrerの式)
Lc(002) : 結晶子の大きさ
λ : 陰極から出力される特性X線Kα1の波長
β : ピークの半値幅(ラジアン)
θ : スペクトルの反射角度
4.炭酸ガスの吸着量
炭酸ガスの吸着量の測定は、真空乾燥機を用いて、負極材料を130℃で3時間以上真空乾燥を行ったものを測定試料とし、Micromeritics Instrument Corporation社製ASAP−2000Mを使用して行った。
測定用試料管に測定試料0.5gを入れ、0.2Pa以下の減圧下、300℃で3時間以上減圧乾燥を行い、その後、炭酸ガスの吸着量の測定を行った。
吸着温度は0℃とし、測定試料を入れた試料管の圧力が0.6Pa以下になるまで減圧にした後、炭酸ガスを試料管に導入し、試料管内の平衡圧力が0.11MPa(相対圧力0.032に相当)に達するまでの炭酸ガスの吸着量を定容法により求め、ml/g単位で表した。吸着量は標準状態(STP)に換算した値である。
5.真球度
負極材料をエポキシ樹脂に埋め込み、研磨後、光学顕微鏡で観察し、平均粒径D50±50%の粒径を有する粒子で、かつ他の粒子との重なりおよび接触の無い粒子30個について高機能画像解析システム(旭エンジニアリング製「IP−500PC」)により粒子の平面画像解析を行い、下記式による円形度Cの平均値をもって真球度とした。
円形度C=4・π・S/l
ここで、l:周囲長、S:面積である。
6.示差熱分析による発熱ピーク温度測定
負極材料を白金製パンに2.0mg秤量し、示差熱分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TG/DTA6200)に設置し、100ミリリットル/分の流量で乾燥空気(露点−50℃以下)を流し、200℃で1時間保持した。その後、10℃/分の昇温速度で昇温し、負極材料の発熱曲線を測定し、最大発熱量を示した温度を発熱ピーク温度とした。
7.細孔容積
水銀圧入法による細孔容積はMICROMERITICS社製オートポアIII9420を用いて測定した。
負極材料を試料容器に入れ、2.67Pa以下の圧力で30分間脱気する。ついで水銀を試料容器内に導入し、徐々に加圧して水銀を負極材料の細孔へ圧入する(最高圧力414MPa)。このときの圧力と水銀の圧入量の関係から以下の式を用いて負極材料の細孔容積分布を測定する。細孔直径5μmに相当する圧力(0.25MPa)から最高圧力(414MPa:細孔直径3nm相当)までに負極材料に圧入された水銀の体積を、細孔直径5μm以下の細孔容積とした。細孔直径の算出は、直径Dの円筒形の細孔に水銀を圧力Pで圧力する場合、水銀の表面張力γ、水銀と細孔壁との接触角をθとすると、表面張力と細孔断面に働く圧力の釣り合いから、次式が成り立つ。
−πDγcosθ=π(D/2)2・P
D=(−4γcosθ)/P
ここで、水銀の表面張力を484dyne/cm、水銀と炭素との接触角を130度とし、圧力PをMPa、細孔直径Dをμmで表示し、下記式により圧力Pと細孔直径Dの関係を求めた。
D=1.27/P
8.窒素原子の含有量
窒素含有量は、住化分析センター社製スミグラフを用いて、燃焼法により測定した。
9.硫黄原子の含有量
硫黄含有量は、ダイオネクス社製ICS2000を用いて、イオンクロマト法により測定した。
10.負極材料のDsおよびξ
上記表面フラクタル次元Dsおよび電子密度揺らぎの相関長ξは、株式会社リガク製・小角X線散乱装置「NANO−viewer」を用いて、以下の条件で測定した。
線源: CuKα線
管電圧:40kV
管電流:30mA
検出器:Pilatus100k
試料検出器間距離:130cmおよび40cm
試料セル:Hirgenberg社製石英硝子キャピラリーMark−Tube(直径2mm、壁厚10μm)
Ds(空気中)およびξ(空気中)の算出に用いる散乱強度I(q)(空気中)は、負極材料を上記試料セルに充填し、下記に示す測定手法により空気中での測定によって得た。Ds(混合溶媒中)およびξ(混合溶媒中)の算出に用いる散乱強度I(q)(混合溶媒中)は、負極材料をエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した混合溶媒に分散させて得られた分散液を上記試料セルに充填し、負極材料が完全に沈降した状態で、下記に示す測定手法により空気中での測定によって得た。
また、qが0.07nm−1以上、4nm−1以下のデータを取得するため、測定は上記二種類の試料検出器間距離で行い、40cmの距離で得られたデータに、130cmの距離で得られたデータを連結した。連結した測定データは、上記qの区間において、log(q)の値が等間隔となるように200点のデータとして出力した。
空気中での測定データIobs1(q)は、X線透過率Trおよび試料セルのみからの散乱強度Iglass(q)を用いて次式により補正し、負極材料の散乱強度I(q)を算出した。
I(q)=Iobs1(q)/Tr−Iglass(q)
ここで、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した混合溶媒中での測定結果の解析で必要となる混合溶媒のみからの散乱強度IEC/DECは、上記方法と同様にして求めた混合溶媒のみからの散乱強度IEC/DEC(q)が、qが0.3nm−1から1nm−1の区間において定数値であると仮定し、上記区間において定数値でフィッティングした値とした。
次に、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した混合溶媒中での測定データIobs2(q)は、X線透過率Tr、試料セルのみからの散乱強度Iglass(q)、および混合溶媒のみからの散乱強度IEC/DECを用いて、X線照射領域における溶媒の体積分率が0.4であると仮定した次式により溶媒由来の散乱強度を補正し、負極材料の散乱強度I(q)を算出した。
I(q)=Iobs2(q)/Tr−Iglass(q)−0.4×IEC/DEC
Ds(空気中)およびξ(空気中)は、上記手法により得られた散乱強度I(q)(空気中)を用い、下記に示す解析手法によって求めた。Ds(混合溶媒中)およびξ(混合溶媒中)は、上記手法により得られた散乱強度I(q)(混合溶媒中)を用い、下記に示す解析手法によって求めた。
上記方法で得られた負極材料の散乱強度I(q)は、次式により重み付け最小二乗法でフィッティングすることにより、表面フラクタル次元Dsおよび電子密度揺らぎの相関長ξを算出した。
I(q)=A×q(Ds−6)+B/(1+ξ×q
上記式中、AおよびBは独立した任意の定数である。また、上記重み付け最小二乗法式によるフィッティングでは、観測されたI(q)の最大値Imaxおよび最小値Iminを用いて、次式で示されるf(q)の和が最小となるフィッティングパラメータの探索を行った。
f(q)=I(q)-[log(Imax)−log(Imin)]×0.6×{I(q)−[A×q(Ds−6)+B/(1+ξ×q)]}
11.保存特性
製造直後の負極材料および以下の保存試験後の負極材料について、以下の方法に従って初期効率をそれぞれ測定した。次いで、初期効率の変化率をそれぞれ算出した。
(保存試験)
負極材料1gについて、小型環境試験器(ESPEC社製SH−241)の装置内で、温度40℃、相対湿度90%RHの条件下で7日間保持した。なお、負極材料は、できる限り薄い厚みとなるように、縦5cm、幅8cm、高さ1.5cmの容器に広げた上で、装置内に静置した。その後、上記負極材料を温度130℃、窒素雰囲気の条件下で1時間保持して乾燥した。
(1)ハーフセルの作製
後述する実施例、比較例で得られた負極材料100部に対して、カルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム製、CMCダイセル2200)1.5部、スチレン・ブタジエンゴム(JSR製、TRD−2001)3.0部、アセチレンブラック(電気化学工業製、デンカブラック)2.0部、および、蒸留水100部を加え、自転・公転ミキサーで撹拌・混合し、負極スラリーを調製した。
調製した負極スラリーを厚み14μmの銅箔(古河電気工業社製、NC−WS)の片面に塗布し、その後、60℃で2時間空気中で予備乾燥を行い、次に、120℃で15時間真空乾燥した。真空乾燥後、ロールプレスによって電極を加圧成形した。これを直径13mmの円盤状として切り出し負極を作製した。負極活物質層の厚さは50μmであった。
金属リチウムを直径12mm、厚さ1mmの円盤状に形成し対極を作製した。また、セパレーターとして、ポリオレフィンの多孔質膜(セルガード社製、商品名;セルガード2400)を用いた。
上記の負極、対極、セパレーターを用い、電解液としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で1:1で混合した混合溶媒に1Mの割合でLiPFを加えたものを用いて、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で2032型コインセル形状の二極式ハーフセルを製造し、当該ハーフセルについて以下に述べる評価を行った。
(2)ハーフセルの充放電
以下の条件で充放電をおこなった。
測定温度:25℃
充電方式:定電流定電圧法、充電電流:25mA/g、充電電圧:0mV、充電終止電流:2.5mA/g
放電方式:定電流法、放電電流:25mA/g、放電終止電圧:2.5V
また、上記の条件で求められた充電容量および放電容量の値に基づいて、負極材料の1g当たりの充電容量および放電容量[mAh/g]をそれぞれ求めた。また、下記式より初期効率および初期効率の変化率を求めた。
初期効率[%] = 100×(放電容量)/(充電容量)
初期効率の変化率[%]=100×(保存試験後の初期効率)/(製造直後の初期効率)
[2]負極材料の製造
(実施例1)
特開平8−279358号公報の段落0051に記載の方法に準じて、石油ピッチから酸化ピッチを作製した。次いで、この酸化ピッチを原料として、以下の工程(a)〜(f)の順で処理を行い、負極材料1を得た。
(a)炉内容積60L(縦50cm、幅40cm、高さ30cm)の熱処理炉内に510gの酸化ピッチをできる限り薄い厚みとなるように広げて静置した。その後、還元ガス置換、不活性ガス置換、還元ガス流通、不活性ガス流通のいずれも無しで、室温から500℃まで、100℃/時間で昇温した。
(b)次いで、還元ガス置換、不活性ガス置換、還元ガス流通、不活性ガス流通のいずれも無しで、500℃で2時間脱脂処理した後、冷却した。
(c)得られた粉末を振動ボールミルで微粉砕した。
(d)その後、炉内容積24L(縦40cm、幅30cm、高さ20cm)の熱処理炉内に、得られた粉末204gをできる限り薄い厚みとなるように広げて静置した。次いで、不活性ガス(窒素)置換および流通下、室温から1200℃まで、100℃/時間で昇温した。
(e)不活性ガス(窒素)流通下、1200℃で8時間保持し、炭化処理した。
(f)不活性ガス(窒素)流通下、600℃まで自然放冷後、600℃から100℃以
下まで、100℃/時間で冷却した。
なお、炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合は8.5kg/mであった。
(実施例2)
熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂PR−55321B(住友ベークライト社製)を原料として、以下の工程(a)〜(f)の順で処理を行い、負極材料2を得た。
(a)炉内容積60L(縦50cm、幅40cm、高さ30cm)の熱処理炉内に510gの熱硬化性樹脂をできる限り薄い厚みとなるように広げて静置した。その後、還元ガス置換、不活性ガス置換、還元ガス流通、不活性ガス流通のいずれも無しで、室温から500℃まで、100℃/時間で昇温した。
(b)次いで、還元ガス置換、不活性ガス置換、還元ガス流通、不活性ガス流通のいずれも無しで、500℃で2時間脱脂処理した後、冷却した。
(c)得られた粉末を振動ボールミルで微粉砕した。
(d)その後、炉内容積24L(縦40cm、幅30cm、高さ20cm)の熱処理炉内に、得られた粉末204gをできる限り薄い厚みとなるように広げて静置した。次いで、不活性ガス(窒素)置換および流通下、室温から1200℃まで、100℃/時間で昇温した。
(e)不活性ガス(窒素)流通下、1200℃で8時間保持し、炭化処理した。
(f)不活性ガス(窒素)流通下、600℃まで自然放冷後、600℃から100℃以
下まで、100℃/時間で冷却した。
なお、炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合は8.5kg/mであった。
(実施例3)
炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合を3.5kg/mに変更した以外は実施例2と同様の方法で負極材料3を作製した。
(実施例4)
炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合を0.9kg/mに変更した以外は実施例2と同様の方法で負極材料4を作製した。
(実施例5)
炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合を0.5kg/mに変更した以外は実施例2と同様の方法で負極材料5を作製した。
(比較例1)
炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合を16kg/mに変更した以外は実施例1と同様の方法でアルカリ金属イオン二次電池用負極材料6を作製した。
(比較例2)
炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合を16kg/mに変更した以外は実施例2と同様の方法でアルカリ金属イオン二次電池用負極材料7を作製した。
(比較例3)
炭化処理を行う空間に対する原料の占有割合を22kg/mに変更した以外は、実施例2と同様の手順で負極材料8を得た。
以上の実施例および比較例により得られたアルカリ金属イオン二次電池用負極材料1〜8について、前述した各種評価をおこなった。以上の結果を表1に示す。
実施例1〜5で得られた負極材料を用いたリチウムイオン二次電池は初期効率の変化率および充放電容量に優れていた。すなわち、実施例1〜5で得られた負極材料は保存特性および充電放電容量に優れていた。
一方、比較例1〜3で得られた負極材料を用いたリチウムイオン二次電池は、実施例1〜5よりも初期効率の変化率が低かった。すなわち、比較例1〜3で得られた負極材料は保存特性に劣っていた。
上述した本発明の実施形態に関し、本発明はさらに以下の負極材料、負極活物質、負極およびアルカリ金属イオン二次電池を開示する。
[1]
線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均層面間隔d002が0.340nm以上であるアルカリ金属イオン二次電池用負極材料であって、
2θ値が2゜における回折強度Iaと、2θ値が3゜における回折強度Ibと、2θ値が4゜における回折強度Icとが、下記式(1)の関係を満足し、窒素吸着におけるBET3点法による比表面積が15m/g以下、1m/g以上であるアルカリ金属イオン二次電池用負極材料。
0.50 ≦ (Ia−Ib)/((Ia-Ic)/2) ≦ 0.98 (式1)
[2]
線源としてCuKα線を用いたX線散乱法により求められる表面フラクタル次元Dsが以下の式2を満たす上記[1]に記載のアルカリ金属イオン二次電池用負極材料。
2.1≦Ds(空気中)≦2.7 かつ −0.3≦Ds(空気中)−Ds(混合溶媒中)≦0.3 (式2)
ここでDs(空気中)は空気中で測定された表面フラクタル次元Dsであり、Ds(混合溶媒中)とはエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した混合溶媒中で測定された表面フラクタル次元Dsである。
[3]
線源としてCuKα線を用いたX線散乱法により求められる電子密度揺らぎの相関長ξが以下の式3を満たす上記[1]または[2]に記載のアルカリ金属イオン二次電池用負極材料。
0.2nm≦ξ≦0.4nm かつ −0.1nm≦ξ(空気中)−ξ(混合溶媒中)≦+0.1nm (式3)
ここでξ(空気中)は空気中で測定された電子密度揺らぎであり、ξ(混合溶媒中)とはエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した混合溶媒中で測定された電子密度揺らぎである。
[4]
上記[1]ないし[3]のいずれかに記載のアルカリ金属イオン二次電池用負極材料を含む、アルカリ金属イオン二次電池用負極活物質。
[5]
上記[4]に記載のアルカリ金属イオン二次電池用負極活物質を含む、アルカリ金属イオン二次電池用負極。
[6]
上記[5]に記載のアルカリ金属イオン二次電池用負極と、電解質と、正極とを少なくとも備えた、アルカリ金属イオン二次電池。
10 リチウムイオン電池
12 負極活物質層
13 負極
14 負極集電体
16 電解液
18 セパレーター
20 正極活物質層
21 正極
22 正極集電体

Claims (7)

  1. 線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均層面間隔d002が0.340nm以上であるアルカリ金属イオン二次電池用負極材料であって、
    2θ値が2゜における回折強度Iaと、2θ値が3゜における回折強度Ibと、2θ値が4゜における回折強度Icとが、下記式(1)の関係を満足する負極材料。
    0.50 ≦ (Ia−Ib)/((Ia-Ic)/2) ≦ 0.98 (式1)
  2. 窒素吸着におけるBET3点法による比表面積が15m/g以下、1m/g以上である請求項1に記載の負極材料。
  3. 線源としてCuKα線を用いたX線散乱法により求められる表面フラクタル次元Dsが以下の式2を満たす請求項1または2に記載の負極材料。
    2.1≦Ds(空気中)≦2.7 かつ −0.3≦Ds(空気中)−Ds(混合溶媒中)≦0.3 (式2)
    ここでDs(空気中)は空気中で測定された表面フラクタル次元Dsであり、Ds(混合溶媒中)とはエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した混合溶媒中で測定された表面フラクタル次元Dsである。
  4. 線源としてCuKα線を用いたX線散乱法により求められる電子密度揺らぎの相関長ξが以下の式3を満たす請求項1ないし3のいずれかに記載の負極材料。
    0.2nm≦ξ≦0.4nm かつ −0.1nm≦ξ(空気中)−ξ(混合溶媒中)≦+0.1nm (式3)
    ここでξ(空気中)は空気中で測定された電子密度揺らぎであり、ξ(混合溶媒中)とはエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した混合溶媒中で測定された電子密度揺らぎである。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の負極材料を含む、負極活物質。
  6. 請求項5に記載の負極活物質を含む、負極。
  7. 請求項6に記載の負極と、電解質と、正極とを少なくとも備えた、アルカリ金属イオン二次電池。
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