JP2015061901A - ホスホリルコリン基を有する重合体からなるナノシート分散液 - Google Patents

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裕 長瀬
陽介 岡村
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陽介 岡村
幸平 浅尾
Kohei Asao
幸平 浅尾
浩平 森田
Kohei Morita
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Abstract

【課題】様々な形状の機器や基板の表面を、ホスホリルコリン基を含有する重合体で効果的に覆うことで生体適合性表面を構築することが可能なコーティング剤を提供する。【解決手段】ホスホリルコリン基を有する繰り返し単位を少なくとも1モル%含有し、重量平均分子量が5,000以上である重合体からなり、厚みが500 nm以下のナノシートを10 mm2以下の面積からなる細片に裁断化して分散媒中に分散させたナノシート分散液。前記重合体が、下記式(I)または(II)で示される、ホスホリルコリン基を有する構造単位を含む繰り返し単位を、少なくとも1モル%含有する重合体である。式中、Xは単結合、酸素原子、あるいは−COO−、−CONH−、−OOC−または−CH2O−で示されるいずれかの基を表し、Yは単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、またはオリゴオキシアルキレン基を表し、mは1〜6の整数を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、ホスホリルコリン基を有する重合体からなり、10 mm2以下の面積からなる厚みが500 nm以下のナノシート細片を分散させたナノシート分散液に関する。特に、生体成分の吸着性が低い生体適合性表面を構築するためのコーティング剤として有用な、ナノシート分散液に関する。
従来より、人工臓器や医療用デバイスを生体と接触させた状態で使用すると、生体の自己防御反応により、血液凝固、炎症、カプセル化などの生体に対する顕著な影響が現れることが知られている。これは、人工臓器や医療用デバイスを構成する材料へのタンパク質の吸着現象を起点とした一連の生体活性化反応の結果である。したがって、このような人工臓器や医療用デバイスを用いた治療を行う場合には、ヘパリンなどの抗血液凝固剤や免疫抑制剤のような薬剤を併用しなければならないのが現状である。
しかしながら、治療期間が長期にわたり、さらに患者の高齢化が進むに連れ、これら薬剤の影響が副作用として現れてくるという問題が指摘されてきている。
このような問題を解決すべく生体適合性材料という一連の医療用材料が開発されてきており、これらの中でも特に顕著な生体適合性を示す材料として、生体膜表面の構造に着目して、リン脂質極性基であるホスホリルコリン基を担持させたポリマーである、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)から誘導される構成単位を含有するポリマー(以下、単にMPCポリマーともいう。)が開発されている(非特許文献1;石原ら、Polymer Journal誌、22巻、355頁、1990年参照。)。
MPCはメタクリル酸エステルであり、その単独重合体は水溶性であるが、様々なビニルモノマーと共重合させることにより、医療用デバイス表面を処理するのに好適な構造を有する、非水溶性MPCポリマーを製造することができる。この非水溶性MPCポリマーを材料表面に被覆することで、抗血液凝固剤を使用しない場合でも血液凝固を抑えることができ、さらに皮下への埋植試験でも極めて高い生体適合性を示すことが知られている(非特許文献2;石原、岩崎、Polymer Advanced Technology誌、11巻、626頁、2000年参照。)。非水溶性MPCポリマーはこの特長を生かして、すでに臨床応用されている医療用デバイスの表面被覆剤として欧米で使用されているほか、国内でもデバイスの認可がなされてきており、今後の医療におけるデバイスの有効性を飛躍的に向上させ、さらに患者の生活の質の向上につながるものと期待されている。
しかしながら、MPC自体が親水性であること、また前記のようにMPCとビニルモノマーとの共重合体にした場合においても柔軟な主鎖構造の影響があり、機械的強度、耐水性、オートクレーブ滅菌に耐えうる耐熱性の点でいまだ完全とはいえず、上記MPCポリマーの優れた生体適合性および加工性を維持しつつ、機械的強度、耐水性、耐熱性を改善した材料の出現が望まれていた。
本発明者らは、このような状況に鑑み、すでに、ホスホリルコリン基を有する特定のジアミン化合物およびジオール化合物、該化合物を原料の1つとして重合反応を行うことにより得られる、耐水性、耐熱性、生体適合性に優れた重合体に関して、提案している(特許文献1:WO2004/074298、特許文献2:WO2008/029744、特許文献3:特開2011-162522号公報)。また、ホスホリルコリン基を有するジオール化合物およびその重合体についても報告されている(特許文献4:特開昭63-54383号公報、特許文献5:特開平10-287687号公報)。
一方、高分子超薄膜(ナノシート)分散体については、ポリ乳酸超薄膜の分散体に関する製造方法が報告されている。(特許文献6:WO2011/046226) しかしながら、本発明のホスホリルコリン基含有ポリマーからなる超薄膜分散体についての記述、あるいは生体適合性高分子超薄膜の分散体についての報告はこれまでにない。
WO2004/074298 WO2008/029744 特開2011-162522号公報 特開昭63-54383号公報 特開平10-287687号公報 WO2011/046226
石原ら、Polymer Journal誌、22巻、355頁、1990年 石原、岩崎、Polymer Advanced Technology誌、11巻、626頁、2000年
ホスホリルコリン基を有するジアミン化合物およびジオール化合物を重合してポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン−ウレア、ポリエステルおよびポリウレタンを得ることができる(長瀬裕,ファインケミカル,41巻,4号,pp. 57-66 (2012年)参照)。しかしながら、得られるホスホリルコリン基含有ポリマーは極性の高いホスホリルコリン基と主鎖骨格を構築するアミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合などの極性基との間の相互作用が強く、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミドなどの非プロトン系極性溶媒あるいはクロロホルムやジクロロメタンなどの塩素系溶媒にのみ可溶である。このため、これらのポリマーを人工臓器や医療機器などの器材表面にコーティングする際には、ポリマーを溶解させるために非プロトン系極性溶媒あるいは塩素系溶媒など生体に対して極めて有害な溶媒を使用せざるを得ないという問題点が生じた。
MPCポリマーにおいても、エタノールのような極性の高い有機溶媒にのみ可溶なため、例えば極性の高い有機溶媒が接触すると変形するような基材表面においてはコーティングが困難となる。一方、ATRP(atom transfer radical polymerization)などの合成手法を用いてMPCポリマーを材料表面にグラフト重合させ、材料表面に生体適合性を発現させる方法も検討されている。(例えば、Yuuki Inoue, Tomoaki Nakanishi, Kazuhiko Ishihara,Langmuir, Vol. 29, pp.10752-10758 (2013)参照)しかしながら、このような表面グラフト法は材料表面に開始剤となる置換基を化学結合させた後、無酸素雰囲気でモノマー溶液に接触させて行うことなどが必要となり、煩雑な操作を要する。
以上の問題点から、本発明は、高度な生体適合性表面を容易にしかも安全かつ安定に構築するために、生体に対して無害な溶媒あるいは容易に除去可能な溶媒を用いたホスホリルコリン基含有ポリマーの新規なコーティング剤を提供することを課題としている。
本発明者らは、このような状況に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ホスホリルコリン基含有ポリマーを成型加工して得られる厚みが500 nm以下のナノシートを、特定の面積以下に裁断化して溶媒中に分散させることにより、ホスホリルコリン基含有ポリマーの基材表面への塗布を可能とし、依ってホスホリルコリン基含有ポリマーに起因する高度な生体適合性表面を得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の事項に関する。
本発明に係るナノシート分散液は、ホスホリルコリン基を有する繰り返し単位を少なくとも1モル%含有し、重量平均分子量が5,000以上である重合体からなり、厚みが500 nm以下のナノシートを10 mm2以下の面積からなる細片に裁断化して分散媒中に分散させたナノシート分散液である。なお、ここで繰り返し単位のモル%というのは、実施例で合成したポリマー類で例示するように、生成物重合体の記述における全繰り返し単位のうちホスホリルコリン基を有する繰り返し単位の占める割合である。
前記重合体は、下記式(I)または(II)で示される、ホスホリルコリン基を有する構造を含む繰り返し単位を、少なくとも1モル%含有し、重量平均分子量が5,000以上である重合体であることが好ましい。
(式(I)中、Xは単結合、酸素原子、あるいは−COO−、−CONH−、−OOC−または−CH2O−で示されるいずれかの基を表し、式(I)および(II)中、Yは単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、またはオリゴオキシアルキレン基を表し、mは1〜6の整数を表す)
前記重合体が、その主鎖骨格にアミド結合、イミド結合、ウレア結合、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合またはアルキレン結合を有することが好ましい。
本発明に係るナノシート分散液は、ナノシートを分散させる分散媒が、水または常温常圧での沸点が100℃以下の有機溶媒を主成分とした分散媒であることが好ましく、具体的には水、アルコール、アセトン、2-ブタノン、ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチルならびにこれらの混合物を主成分とした溶媒であることが好ましい。
本発明のナノシート分散液は、ホスホリルコリン基を有する高分子量の重合体から容易に作製できる。また本発明のナノシート分散液は、nmサイズの厚みと10 mm2以下の面積からなるホスホリルコリン基を有する重合体の細片が水などの中に均一に分散したものであり、その重合体の細片は、様々な形状の機器や基板の表面への強い接着性と強度、耐熱性を有し、優れた抗血栓性を示す重合体からなるため、タンパク質や血小板などの生体成分の吸着性が低い生体適合性表面を構築するためのコーティング剤として有用である。さらに、本発明のナノシート分散液は水や高い揮発性の有機溶媒などを溶媒とした分散液であるため、生体に対して有害な有機溶媒が残存することなく基材表面をコーティングできる。
したがって、本発明のナノシート分散液をコーティング剤として用いることにより、生体適合性に優れた人工血管や人工心臓などの人工臓器や各種医療用デバイスを安全に効率的に作製することが可能となる。
実施例2で調製したPIPC-1からなるナノシート分散液をコーティングしたPET基板を、実施例9に示す操作で多血小板血漿(PRP)に浸漬させた後の表面の電子顕微鏡写真を示す。図面に原料ポリマー名が付されている。 実施例2で調製したPIPC-2からなるナノシート分散液をコーティングしたPET基板を、実施例9に示す操作で多血小板血漿(PRP)に浸漬させた後の表面の電子顕微鏡写真を示す。図面に原料ポリマー名が付されている。 実施例4で調製したPCUPC-1からなるナノシート分散液をコーティングしたPET基板を、実施例9に示す操作で多血小板血漿(PRP)に浸漬させた後の表面の電子顕微鏡写真を示す。図面に原料ポリマー名が付されている。 実施例4で調製したPCUPC-2からなるナノシート分散液をコーティングしたPET基板を、実施例9に示す操作で多血小板血漿(PRP)に浸漬させた後の表面の電子顕微鏡写真を示す。図面に原料ポリマー名が付されている。 実施例6で調製したPEUPCからなるナノシート分散液をコーティングしたPET基板を、実施例9に示す操作で多血小板血漿(PRP)に浸漬させた後の表面の電子顕微鏡写真を示す。図面に原料ポリマー名が付されている。 実施例8で調製したPMEHからなるナノシート分散液をコーティングしたPET基板を、実施例9に示す操作で多血小板血漿(PRP)に浸漬させた後の表面の電子顕微鏡写真を示す。図面に原料ポリマー名が付されている。 ナノシートでコーティングしていないPET基板を、比較例1に示す操作で多血小板血漿(PRP)に浸漬させた後の表面の電子顕微鏡写真を示す。図面に原料ポリマー名が付されている。
以下、本発明について具体的に説明する。
<ホスホリルコリン基を有する重合体>
本発明に係るホスホリルコリン基を有する重合体は、ホスホリルコリン基を有する繰り返し単位を少なくとも1モル%含有し、重量平均分子量が5,000以上である重合体であることが生体適合性表面を構築する上で必要である。また、下記式(I)または(II)で示される、ホスホリルコリン基を有する構造を少なくとも1モル%含有し、重量平均分子量が5,000以上である重合体であることが好ましい。
式(I)中、Xは単結合、酸素原子、あるいは−COO−、−CONH−、−OOC−または−CH2O−で示されるいずれかの基を表し、Yは単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、またはオリゴオキシアルキレン基を表し、mは1〜6の整数を表す。
前記式(I)および(II)中、Yで表される炭素数1〜6のアルキレン基とは、-(CH2)x-(xは1〜6の整数)で表される基であり、オリゴオキシアルキレン基とは、炭素数2〜12および酸素数1〜3のオキシアルキレン基、具体的には、-(CH2CH2O)y-、-(CH2CH2CH2O)y-、または-(CH2CH2CH2CH2O)y-(yはいずれも1〜3の整数)を意味する。
前記重合体の重量数平均分子量は、通常5,000以上であり、好ましくは10,000以上、より好ましくは10,000〜500,000の範囲であることがコーティング強度や加工性、耐熱性、安定性の点で望ましい。該重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とした、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCともいう。)あるいは光散乱法により測定できる。
また、前記重合体は、前記式(I)または(II)で示されるホスホリルコリン基を有する構造を少なくとも1モル%含有することが良好な生体適合性を発現させるために必要であり、用途によってさらに優れた生体適合性の付与が必要な場合には、5モル%以上、より好ましくは10モル%以上の量で含有することが望ましい。
前記式(I)で示されるホスホリルコリン基を有する繰り返し単位を含有する重合体は、その主鎖骨格にアミド結合、イミド結合、ウレア結合、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合またはアルキレン結合を有することが好ましい。
前記式(I)で示される、ホスホリルコリン基を有する構造を含有する重合体としては、例えば、下記式(III)または(IV)で表される繰り返し単位を含有するポリアミド、下記式(V)または(VI)で表される繰り返し単位を含有するポリイミド、下記式(VII)または(VIII)で表される繰り返し単位を含有するポリウレア、下記式(IX)で表される繰り返し単位を含有するポリエステル、下記式(X)で表される繰り返し単位を含有するポリウレタンなどが挙げられる。
式(III)および(IV)中、X、Y、mの定義は式(I)と同じであり、R1は2価の有機基、好ましくはジカルボン酸化合物の残基である2価の有機基を表す。ここで、R1で表される2価の有機基としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、1,6−アントラセンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,2−ビス(4−カルボキシルフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−カルボキシフェニルフェノキシ)フェニル]プロパン、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸などのジカルボン酸化合物を構成する2価の有機基が挙げられる。
式(V)および(VI)中、X、Y、mの定義は式(I)と同じであり、R2は4価の有機基、好ましくはテトラカルボン酸二無水物化合物の残基である4価の有機基を表す。ここで、R2で表される4価の有機基としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ピリジン二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸テトラカルボン酸二無水物などのテトラカルボン酸二無水物化合物を構成する4価の有機基が挙げられる。
式(VII)および(VIII)中、X、Y、mの定義は式(I)と同じであり、R3は2価の有機基、好ましくはジイソシアナート化合物の残基である2価の有機基を表す。ここで、R3で表される2価の有機基としては、例えば、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、2,4−トルイレンジイソシアナート、2,5−トルイレンジイソシアナート、4,4'−ビフェニレンジイソシアナート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアナート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4'−(2,2−ジフェニルプロパン)ジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ヘプタメチレンジイソシアナート、オクタメチレンジイソシアナートなどのジイソシアナート化合物を構成する2価の有機基が挙げられる。
式(IX)中、X、Y、mの定義は式(I)と同じであり、xは1〜6の整数、R4は2価の有機基、好ましくはジカルボン酸化合物残基である2価の有機基を表す。ここで、R4で表される2価の有機基としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、1,6−アントラセンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,2−ビス(4−カルボキシルフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−カルボキシフェニルフェノキシ)フェニル]プロパン、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸などのジカルボン酸を構成する2価の有機基が挙げられる。
式(X)中、X、Y、mの定義は式(I)と同じであり、xは1〜6の整数、R5は2価の有機基、好ましくはジイソシアナート化合物残基である2価の有機基を表す。ここで、R5で表される2価の有機基としては、例えば、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、2,4−トルイレンジイソシアナート、2,5−トルイレンジイソシアナート、4,4'−ビフェニレンジイソシアナート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアナート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4'−(2,2−ジフェニルプロパン)ジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ヘプタメチレンジイソシアナート、オクタメチレンジイソシアナートなどのジイソシアナート化合物を構成する2価の有機基が挙げられる。
これらの重合体は、前記式(III)〜(X)で表されるホスホリルコリンを有する繰り返し単位を少なくとも1モル%含有することが良好な生体適合性を発現させるために必要であり、用途によってさらに優れた生体適合性の付与が必要な場合には、5モル%以上、より好ましくは10モル%以上の量で含有することが望ましい。
また、前記重合体は、ホスホリルコリン基を含有するジアミンあるいはジオール化合物から得られる前記式(III)〜(X)に示す繰り返し単位以外に、任意のホスホリルコリン基を持たないジアミンあるいはジオール化合物と共重合することにより得られるホスホリルコリン基を持たない繰り返し単位をコモノマーユニットとして有する共重合体であることが、重合体の溶解性を高める点で好ましい。
ここで用いられるホスホリルコリン基を持たないジアミン化合物としては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルオキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェニルオキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェニルオキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなどを例示できる。これらは1種単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
この場合には、ホスホリルコリン基を含有するジアミン化合物の量が、ジアミン化合物全量に対して1モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上となるように、前述のホスホリルコリン基を持たないジアミン化合物と混合して用いることが重合体の生体適合性を発現させる点から望ましい。
一方、ホスホリルコリン基を持たないジオール化合物としては、ヒドロキノン、1,3−フェニレンジオール、1,4−キシリレンジオール、1,3−キシリレンジオール、2,4−トルイレンジオール、2,5−トルイレンジオール、4,4'−ビフェニレンジオール、4,4'−ジフェニルエーテルジオール、4,4'−ジフェニルメタンジオール、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレンオキシド、ポリカーボネートジオール、α,ω−ビス(ヒドロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサンなどが例示できる。これらは1種単独でまたは2種以上混合して使用することができる。この場合には、ホスホリルコリン基を含有するジオール化合物の量が、ジオール化合物全量に対して1モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上となるように、前述のホスホリルコリン基を持たないジオール化合物と混合して用いることが重合体の生体適合性を発現させる点から望ましい。
ホスホリルコリン基を含有するジアミンあるいはジオール化合物およびそれから誘導される重合体の製造方法については、既知の特許(WO2004/074298、WO2008/029744、特開2011-162522号公報参照)において詳細に記述されている。また、これらの重合体はいずれも高度な生体適合性を発現することが、本発明者らが報告した論文(Preparations of Aromatic Diamine Monomers and Copolyamides Containing Phosphorylcholine Moiety and the Biocompatibility of Copolyamides, Yu Nagase, Masataka Oku, Yasuhiko Iwasaki, Kazuhiko Ishihara, Polymer Journal, 39 (7), 712-721 (2007); Synthesis and Properties of Segmented Poly(urethane-urea)s Containing Phosphorylcholine Moiety in the Side-Chain, Yu Nagase, Satoru Nakajima, Masataka Oku, Yasuhiko Iwasaki, Kazuhiko Ishihara, Polymer Journal, 40 (12), 11491156 (2008); Syntheses of a Novel Diamine Monomer and Aromatic Polyamides Containing Phosphorylcholine group, Kenji Horiguchi, Naoya Shimoyamada, Daisuke Nagawa, Yu Nagase, Yasuhiko Iwasaki, Kazuhiko Ishihara, Transactions of the Material Research Society of Japan, 33 (4), 1261-1264 (2008); Biocompatible Polyamides and Polyurethanes Containing Phospholipid Moiety, Yu Nagase and Kenji Horiguchi, Biomedical Engineering Frontiers and Challenges, Chapter 11, pp. 217-232 (2011), InTech, Croatia; 高度な生体適合性を発現する高強度ポリマー <リン脂質極性基含有芳香族ポリマーの合成>、長瀬 裕、プラスチックス、62巻、7号、pp.10-17 (2011)、日本工業出版; リン脂質極性基を含有する生体適合性高強度ポリマーの合成、長瀬 裕、ファインケミカル、Vol. 41、No. 4、pp.57-66 (2012)、シーエムシー出版; Syntheses of a novel diol monomer and polyurethane elastomers containing phospholipid moieties, Yuhki Sakagami, Kenji Horiguchi, Yusuke Narita, Wariya Sirithep, Kohei Morita, Yu Nagase, Polymer Journal, 45 (11), 1159-1166 (2013); Syntheses and Physical Properties of Polyester and Poly(ester-urethane) Containing Phosphorylcholine Moiety, Wariya Sirithep, Yusuke Narita, Yu Nagase, Transactions of the Material Research Society of Japan, 38 (3), 473-476 (2013))に記載されている。
また、前記式(II)で示されるホスホリルコリン基を有する繰り返し単位のうちY=単結合、m=2のものを含有する重合体は、MPCポリマーとして広く知られている重合体であり、その主鎖骨格がポリメタクリレート構造からなることが好ましく、さらに前記式(II)で示されるホスホリルコリン基を有する繰り返し単位のうちY=単結合、m=2のものおよび下記一般式(XI)で示されるアルキル基を有する繰り返し単位との共重合体であることが好ましい。この共重合体の合成方法については、前述の非特許文献1および2に記載されている。
式(XI)中、Zは炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基を表す。ここで、Zで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などの直鎖状アルキル基、あるいはイソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、1-メチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-エチルデシル基などの分岐状アルキル基が挙げられる。また、得られるナノシートの強度や耐水性の点で、これらアルキル基の炭素数は4〜12であることがより好ましい。
前記式(II)で示されるホスホリルコリン基を有する繰り返し単位および前記式(XI)で示されるアルキル基を有する繰り返し単位との共重合体において、前記式(II)で示される繰り返し単位の含有率は、1mol%〜40mol%の範囲にあることが好ましく、前記式(II)で示される繰り返し単位の含有率がこの範囲より多いと共重合体は水に可溶となり、ポリマーナノシートの安定性の点で問題を生じる。さらに、この共重合体の生体適合性の点で、前記式(II)で示される繰り返し単位の含有率は10mol%〜40mol%の範囲にあることがより好ましい。
<ナノシート分散液の作製>
本発明に係るナノシートとは、前記式(I)または(II)で示される、ホスホリルコリン基を有する構造単位を少なくとも1モル%含有し、重量平均分子量が5,000以上である重合体からなる。
さらに、本発明に係るナノシート分散液とは、裁断化されたナノシート細片が分散媒中に分散してなるものであり、具体的には、以下の工程により得られるものが挙げられる。
ここで、ナノシートを分散させる分散媒の選択には、前述したナノシートを溶解させないものである必要がある。具体的には、水のほかメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールに代表されるアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンに代表されるケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルに代表されるカルボン酸エステル類などを用いることができる。また、これらの溶媒の混合物を用いることが出来る。これらの溶媒のうち、、水または常温常圧で沸点が100℃以下の有機溶媒が好ましく、除去が容易なこと、安全性が高いこと等を考慮すると水、メタノール、エタノール、アセトンならびにこれらの混合物が好適に用いられる。具体的には水、アルコール、アセトン、2-ブタノン、ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチルならびにこれらの混合物を主成分とした溶媒であることが好ましい。
本発明の分散液に用いる分散媒には、水を主成分とする分散媒があるが、さらに無機塩を溶解させた水、界面活性剤を溶解させた水、緩衝液等も用いることが可能である。また、これらの溶媒の混合物およびに水とこれらの有機溶媒のうち少なくとも一種との混合物を用いることが出来る。
本発明に係るナノシート分散液は、具体的には、以下の工程により得られる。
(1) 基材上に、ホスホリルコリン基を有する前記重合体薄膜と、前記重合体を溶解しない溶媒に可溶性の高分子薄膜(以下、犠牲膜という。)を形成する工程(複合膜形成工程)
(2) 前記複合膜を、犠牲膜のみを溶解しうる溶媒中に浸漬させて、当該複合膜中の前記可溶性の犠牲膜を溶解させることで、前記重合体のナノシートを溶媒中に分散させる工程(浸漬・分散工程)
(3) 前記重合体のナノシートを分散させた液に高エネルギー裁断処理を施し、当該液中に分散している不溶性のナノシートを裁断化する工程(裁断化工程)
上記(1)の複合膜形成工程では、適当な基材(好ましくは平面基板)上に、分散液に用いる溶媒に不溶性の前記重合体からなるナノシートと当該溶媒に可溶性の所望の高分子薄膜(以下、犠牲膜という。)からなる複合膜を形成する。基材としては特に制限されず、溶媒によって溶出したり、反応したりするものでなければ、シリコン基板、金属板、セラミック基板、石英板、ガラス板などの平滑な表面を有する基板が使用される。
ここで、当該複合膜の形成は、上記不溶性の前記重合体からなるナノシートと、上記可溶性の犠牲膜とを、基材上に交互に積層させることにより行うことが好ましい。基材上に積層する上記不溶性の前記重合体からなるナノシートと上記可溶性の犠牲膜との積層の順序や積層数は、特に限定はされず、任意に設定することができるが、通常、基材側が犠牲膜となるように積層する。
当該積層の方法は、限定はされないが、例えば、犠牲膜になる所望の高分子溶液と前記重合体の溶液とを、スピンコーティング法、キャスト法及びロール・ツー・ロール法等の公知の膜形成法(特開2012-236125号公報)により、交互に積層させる方法が好ましく挙げられる。スピンコーティング法を用いた場合は、まず、基材上に犠牲膜になる所望の高分子溶液を用いて平滑な薄膜を形成したあと、この薄膜上に、前記重合体の溶液を用いて、スピンコーターにより1000〜8000rpmで10〜120秒で前記重合体を塗布した後、20〜150℃で60〜300秒加熱乾燥させればよい。前記重合体の溶液の濃度によって基材上のナノシートの膜厚を制御することができ、1〜100 mg/mLであることが好ましく、より好ましくは2〜50 mg/mLであり、さらに好ましくは5〜20 mg/mLである。さらに、スピンコーターの回転速度及び回転時間を上げれば、基材上のナノシート又は犠牲膜の膜厚は薄くなる。加熱温度及び加熱時間はコーティング後の高分子溶液の溶媒が蒸発する条件であればよく、特に限定はされない。また、ロール・ツー・ロール方式を用いた場合は、例えば、ロール状に巻いた状態の基材に犠牲膜と前記重合体溶液とを、それぞれ塗布及び乾燥させながらロール状に巻き取り、積層回数分この手順を繰り返すことにより、ロール状に巻き取られた状態の前記複合膜を形成することができる。
なお、(1)工程においては、上記不溶性の前記重合体からなるナノシートが、最終的に、本発明の分散体中に分散されるナノシートの由来元となる。
また、上記可溶性の犠牲膜の材料としては、ナノシート分散体に使用する溶媒に溶解できるものであればよく、限定はされないが、例えば、溶媒が水性媒体の場合は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アルギン酸およびそれらの塩等の高分子電解質や、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド及びポリビニルアルコール(PVA)並びにデンプン及びセルロースアセテート(アセチルセルロース)等の多糖類等の非イオン性の水溶性高分子が好ましく挙げられ、中でも、アルギン酸およびその塩類、PVAが好ましく用いられる。犠牲膜形成時に使用される高分子溶液の溶媒としては、犠牲膜材料が溶解するものであれば特に制限はないが、揮発性やハンドリングを考慮して、通常、水やアルコール類、ケトン類が使用される。
また、前記重合体からなる溶液に使用される溶媒としては、前記重合体を溶解しうるものであり、かつ、容易に揮発しうるものであれば特に制限されない。なお使用溶媒は、前記重合体の主鎖構造、側鎖の置換基並びにポリマーの分子量に依存するので、一概に定義できないが、たとえば、ジメチルスルホキシド、クロロホルムなどが使用される。本発明では、かかる溶媒に犠牲膜材料が溶解しないように、犠牲膜材料および溶媒を組み合わせることが望ましく、かかる溶媒に犠牲膜材料が溶解してしまうと、犠牲膜が形成できなかったり、形成した犠牲膜が溶解してしまったりするため、その機能を果たさないことがある。
上記(2)の浸漬・分散工程では、基材上に形成した複合膜を、犠牲膜のみ溶解しうる溶媒に浸漬させるが、この際、当該複合膜のうち、溶媒に可溶性の犠牲膜の部分のみ溶解することになる。その結果、溶媒に前記重合体からなるナノシートのみが当該複合膜から1枚ずつ離れ、溶媒中に分散させることができる。犠牲膜溶解後、ナノシート分散液を遠心分離や限外ろ過などの公知の手段により洗浄して、犠牲膜成分を除去してもよい。洗浄液は、ナノシートを分散させる溶媒が通常使用される。犠牲膜の溶解に使用される溶媒は、ナノシート分散体に使用する溶媒と、必ずしも同じでなくともよい。異なるものを使用する場合、必要に応じて、溶媒置換をすればよい。
上記(3)の裁断化工程では、前記重合体からなるナノシートを浮遊させた溶媒に、高エネルギー裁断処理をすることで、当該ナノシートを細かく裁断化する。これにより、微細な大きさのナノシートを溶媒中に分散させた状態となり、本発明の分散液を調製することができる。ここで、上記高エネルギー裁断処理の方法は、限定はされないが、例えば、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー及びソニケーター等の公知の装置を用いて行われるものであることが好ましく、中でも、ホモジナイザー及びソニケーターを用いることがより好ましい。なお、当該工程後に得られた分散体には、必要に応じて公知の各種分散剤(使用する溶媒に可溶性の高分子等)を添加してもよく、限定はされない。
また、本発明の前記重合体からなるナノシート分散液としては、例えば、裁断化されたナノシートの細片が分散媒中に分散してなるナノシート分散液であって、当該ナノシートの膜厚が500 nm以下かつナノシート裁断片の面積が10 mm2以下であるナノシート分散液が好ましく挙げられる。
ここで、当該ナノシートの膜厚は、上述の通り、500 nm以下であり、好ましくは1 nm〜500 nm、より好ましくは5 nm〜200 nm、さらに好ましくは10 nm〜100 nmである。ナノシートの膜厚が上記範囲内であると、様々な形状の機器や基材の表面にナノシート膜を構築する際に高い接着性が発現する点で好ましい。なお、膜厚が厚いと裁断化されたナノシートの基材表面の凹凸への追随性が低下し、その結果、ナノシートと基材表面との接着力が低く、ナノシート裁断片が接着表面から離脱し易くなる。
さらに、ナノシート裁断片の面積は、上述の通り、10 mm2以下であり、好ましくは1 μm2〜5 mm2、さらに好ましくは100 μm2〜1 mm2である。当該面積が上記範囲内であると、分散液中のナノシート断片の分散性が高められる点および複雑な形状を有する界面に対しても接着できる点で好ましい。なお、面積が大きすぎると裁断片が容易に沈降分離する、裁断片が凝集するなど分散液の塗布性が低下するほか均一なコーティング膜の形成が困難となる。
裁断片の膜厚は触針膜厚計、エリプソメトリー、原子間力顕微鏡、またその面積は、実体顕微鏡や電子顕微鏡など公知の測定装置によって評価される。
本発明の分散液におけるナノシート裁断片の個々の形状は、限定はされないが、例えば、円状、多角形状、楕円形状、リボン形状、ひも形状、多分岐形状、星形状が好ましく挙げられる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例中、重合体の分子量測定は、下記の測定条件に従ったGPCによりおこなった。
<GPC測定条件>
送液ポンプ:東ソー製CCPD
カラムオーブン:東ソー製CO−8010
分離カラム:東ソー製 TSKgel Multipore HXL-M 5本直列
検出器:東ソー製RI−8010(示差屈折計)
カラム温度:45℃
移動相:ジメチルホルムアミド
移動速度:1.0 mL/分
試料濃度:0.5 重量%
試料注入量:100 μL
標準物質:単分散ポリスチレン
[実施例1]
ホスホリルコリン基を有するポリイミドの合成
ここで用いる2-[3,5-ビス(4-ニトロフェノキシ)ベンゾイルオキシ]エチルホスホリルコリン(BAPPC)は、WO2008/029744に記載の方法により合成した。
三ツ口フラスコ内に2-[3,5-ビス(4-ニトロフェノキシ)ベンゾイルオキシ]エチルホスホリルコリン(BAPPC) (0.52 g, 0.95 mmol)および3,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(BAP)(1.09 g, 3.81 mmol)を入れ、上部に接続した滴下ロート内に4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)(2.10 g, 4.72 mmol)を入れて、十分に真空脱気した後系内をアルゴンガスで置換した。次に、三ツ口フラスコおよび滴下ロートにそれぞれ無水N-メチルピロリドン(NMP)10mLを加えモノマーを溶解させた後、三ツ口フラスコ内を攪拌しながら滴下ロートからゆっくりと酸無水物を滴下させた。さらに室温で3時間攪拌し、重縮合させることでポリアミック酸溶液を得た。
その後、この溶液に無水酢酸とトリエチルアミンを加え、60℃で17時間化学イミド化反応を行った。反応溶液を過剰のメタノールに注ぎ込み,析出した沈殿物を吸引ろ過後,熱真空乾燥し,ホスホリルコリン基含有ポリイミド(PIPC-1)を褐色固体として得た(収量:2.40 g、収率:67.4 %)。
一方、上記の重合反応において、BAPPC、BAPおよび6FDAをそれぞれ2.07 g (3.79 mmol)、1.09 g(3.81 mmol)、3.37 g(7.58 mmol) 用いて同様な重合反応および化学イミド化反応を行ったところ、ホスホリルコリン基含有ポリイミド(PIPC-2)を褐色固体として得た(収量:3.32 g、収率:53.2 %)。
得られた重合体PIPC-1およびPIPC-2の構造は下記の1H-NMRスペクトルおよびIRスペクトルから確認し、両者のスペクトルパターンは同様であった。
また、PIPC-1およびPIPC-2において、1H-NMRスペクトルのピーク強度比から算出したホスホリルコリン基を含む繰り返し単位の含有率(化学式中、x成分)はそれぞれ14.0 mol%および48.1mol%であった。
1H-NMR, δ(400 MHz, DMSO-d6, ppm): 3.07 (-N+(CH3)3, s), 3.70-3.80 (-OCH2CH2OP(=O)(-O-)OCH 2CH2N+, m), 3.88 (-OCH2CH 2OP(=O)(-O-)OCH2CH2N+, m), 3.99 (-OCH2CH2OP(=O)(-O-)OCH2CH 2N+, m), 4.34 (-OCH 2CH2OP(=O)(-O-)OCH2CH2N+, m), 6.84 (-Ph-, m), 7.18 (-Ph-, m) , 7.45 (-Ph-, m), 7.73 (-Ph-, s), 7.93 (-Ph-, d, J = 7.8 Hz), 8.15 (-Ph-, d, J = 7.8 Hz).
IR, ν (KBr, cm-1): 3090, 1786, 1728 (C=O), 1589, 1504, 1477, 1438, 1377, 1300 (P=O), 1258, 1211, 1149, 1115, 964, 837, 721.
得られた重合体PIPC-1およびPIPC-2の分子量を、上述の条件に従いGPCにより測定したところ、数平均分子量および重量平均分子量の測定結果はそれぞれ、PIPC-1では4.15×105および6.35×105、PIPC-2では7.00×105および1.11×106となった。また、示差走査熱量測定により測定したPIPC-1およびPIPC-2のガラス転移温度(軟化温度)は0℃〜200℃の範囲では観察されず、熱重量分析により求めた熱分解開始温度は約220℃であり充分な耐熱性を示した。
また、得られた重合体PIPC-1は、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンに可溶であり、水、メタノール、エタノール、アセトンに不溶であった。一方、PIPC-2はジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンに可溶であり、水、メタノール、エタノール、アセトン、クロロホルム、テトラヒドロフランに不溶であり、PIPC-1とPIPC-2では異なる溶解性を示した。
[実施例2]
ナノシート分散液の作製
実施例1で得られたホスホリルコリン基を有するポリイミド(PIPC-1)をジクロロメタンに溶解させ、10 mg/mLの溶液を100 mL調製した。一方、市販のポリビニルアルコール(関東化学、ポリビニルアルコール500)を蒸留水に溶解させ、100 mg/mLの溶液を100 mL調製した。一辺4.0 cmの正方形のシリコン基板をスピンコーター(ミカサ(株)、MS-A150)に装着し、上述のポリビニルアルコール溶液(700 μL)を中心に滴下して回転速度4000 rpmにて20秒間回転させて、70℃にて2分間乾燥させポリビニルアルコールからなる犠牲膜を作製した。次に、上述のPIPC-1溶液(700 μL)を中心に滴下して回転速度4000 rpmにて20秒間回転させて、70℃にて2分間乾燥させポリビニルアルコール犠牲膜の上にPIPCからなるナノシートを作製した。さらに、その上に同様な操作を繰り返してシリコン基板上にポリビニルアルコール犠牲膜およびPIPC-1のナノシートを交互にそれぞれ計20層積層した。
このようにして得られた犠牲膜とナノシートからなる複合膜を、シャーレのなかで基板ごと純水に浸漬させたところ、ポリビニルアルコール犠牲膜が溶解して厚みが22±4 nmからなる一辺約4 cmの正方形からなるPIPCナノシートが20枚得られた。同様な操作をさらに7回繰り返すことで、全部で160枚のPIPCナノシートを水中に分散させた。次に、得られたナノシート160枚を蒸留水で洗浄してポリビニルアルコールを除去した後、蒸留水50 mLに分散させ、ホモジナイザー((株)マイクロテック・ニチオン、ヒスコトロンNS-51)内で、回転数16000rpmで10分間裁断化を行ったところ、ナノシートの断片が水中に分散したナノシート分散液が得られた。その分散液の一部を3倍あるいは5倍に希釈してシリコン基板上に滴下、乾燥後、実体顕微鏡(オリンパス(株), SZX7)によりナノシート断片の面積を測定した。その結果、平均面積6800±208 μm2の断片であることが確認できた。さらに、得られた分散液を遠心分離(3500 rpm, 10分)にて濃縮し、濃度2.1×105 枚/mLの裁断化ナノシート分散液に調整した。
一方、実施例1で得られたホスホリルコリン基を有するポリイミド(PIPC-2)をジメチルスルホキシドに溶解させ、40 mg/mLの溶液を50 mL調製した。一方、市販のアルギン酸ナトリウム(関東化学、鹿1級)を蒸留水に溶解させ、40 mg/mLの溶液を100 mL調製した。ミューコーター((株)康井精機、NMC-350)内の塗工液タンクに上述のアルギン酸ナトリウム水溶液(約30 mL)を注入し、回転速度を5 rpmに設定したグラビアロール(線数: 180)に接触させてなじませた。PETフィルム(パナック社製、幅:12 cm、長さ: 50 m, 厚み: 25 μm)の搬送速度を0.2 m/min、乾燥温度を120℃に設定し、グラビアロールと接触させて、PETフィルム上にアルギン酸ナトリウムからなる犠牲膜を連続成膜した(約5 m相当)。次に、塗工液タンクをPIPC-2溶液(約30 mL)に切り替え、回転速度を15 rpmに設定したグラビアロールに接触させてなじませた。上述したアルギン酸ナトリウム犠牲膜を塗布したPETフィルムの搬送速度を0.4 m/min、乾燥温度を185℃に設定し、グラビアロールと接触させてアルギン酸ナトリウム犠牲膜上にPIPC-2からなるナノシートを作製した(約5 m相当)。
犠牲膜とナノシートからなる複合膜が成膜されたPETフィルムを10 cm × 10 cmに切りとった。PETフィルムごとシャーレに満たした純水の中に浸漬させたところ、アルギン酸ナトリウム犠牲膜が溶解して厚みが88±12 nmからなるPIPC-2のナノシートが得られた。同様な操作をさらに9回繰り返すことで、10 cm × 100 cm相当のPIPC-2ナノシートを水中に分散させた。次に、得られたナノシートを蒸留水で洗浄してアルギン酸ナトリウムを除去した後、蒸留水50 mLに分散させ、上記PIPC-1と同様の方法で断片の平均面積2500±244 μm2、濃度2.0×106 枚/mLの裁断化ナノシート分散液を得た。
[実施例3]
ホスホリルコリン基を有するポリカーボネート−ウレタンの合成
ここで用いる 2-(3,5-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゾイルオキシ)エチルホスホリルコリン(BHPC)は、特開2011-162522に記載の方法により合成した。
アルゴン雰囲気下、ナシ型フラスコ中にて4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)(3.05 g, 12.1 mmol)を無水ジメチルスルホキシド10.0 mLに,ポリカーボネートジオール(PCD)(旭化成ケミカルズ製,DuranolTM T5651)(8.48 g, 8.48 mmol)を無水ジメチルスルホキシド10.0 mLにそれぞれ溶解した.続いて,2-(3,5-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゾイルオキシ)エチルホスホリルコリン(BHPC)(1.64 g, 3.63 mmol)を三ツ口フラスコに入れ充分に加熱脱気してアルゴンガスで置換した後70℃に加熱攪拌しながら、上記の4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)の溶液を約1 mL/minの速さで加えその後10分間反応させた。
さらに、ポリカーボネートジオールの溶液を約1 mL/minの速さで加えた後1時間反応させ、反応溶液を過剰のメタノールに注ぎ込み,析出した沈殿物を吸引ろ過後,熱真空乾燥し、PC基含有セグメント化ポリ(カーボネート-ウレタン)(PCUPC-1)を乳白色固体として得た(収量:9.25 g、収率:63.8 %)。
一方、上記の重合反応において、MDI、PCDおよびBHPCをそれぞれ2.26 g(9.04 mmol) 、5.42 g(5.42 mmol) および1.63 g(3.62 mmol)用いて同様な重合反応を行ったところ、セグメント化ポリ(カーボネート-ウレタン)(PCUPC-2)を褐色固体として得た(収量:6.35 g、収率:67.7 %)。
得られた重合体PCUPC-1およびPCUPC-2の構造は下記の1H-NMRスペクトルおよびIRスペクトルから確認し、両者のスペクトルパターンは同様であった。
また、PCUPC-1およびPCUPC-2において、1H-NMRスペクトルのピーク強度比から算出したホスホリルコリン基を含む繰り返し単位の含有率(化学式中、x成分)はそれぞれ33.8 mol%および41.2 mol%であった。
1H-NMR, δ (400 MHz, DMSO-d6, ppm): 1.28 (-OCH2CH2CH 2 CH 2 CH2CH2OCO-, m), 1.55 (-OCH2CH 2 CH2CH2CH 2 CH2OCO-, m), 3.10 (-N+(CH 3 )3, m), 3.52 (-POCH2CH 2-N, m), 3.75 (-Ph-CH 2 -Ph-, bs), 4.02 (-OCH 2 CH2OPh-, -OCH 2 CH2CH2CH2CH2CH 2 OCO-, m), 4.15 (-COOCH2CH 2 OP-, m), 4.24 (-POCH 2 CH2-N, m), 4.36 (-OCH2CH 2 OPh-, -COOCH 2CH2OP-, m), 6.83 (-Ph-, m), 7.08 (-Ph-, m), 7.33 (-Ph-, m), 9.48 (-NHCOO-, bs), 9.70 (-NHCOO-, bs).
IR, ν (KBr, cm-1): 3340 (N-H), 2938, 2860, 1738 (C=O), 1597, 1530, 1464, 1404, 1381, 1310 (P=O), 1242, 1220, 1065, 1016, 914, 814, 770.
得られた重合体PCUPC-1およびPCUPC-2の分子量を、上述の条件に従いGPCにより測定したところ、数平均分子量および重量平均分子量の測定結果はそれぞれ、PCUPC-1では2.66×105および3.33×105、PCUPC-2では4.43×104および1.88×105となった。また、示差走査熱量測定により測定したPCUPC-1およびPCUPC-2のガラス転移温度(軟化温度)は0℃〜200℃の範囲では観察されず、熱重量分析により求めた熱分解開始温度は約220℃であり充分な耐熱性を示した。
また、得られた重合体PCUPC-1は、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンに可溶であり、水、メタノール、エタノール、アセトンに不溶であった。一方、PCUPC-2はジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンに可溶であり、水、メタノール、エタノール、アセトン、クロロホルム、テトラヒドロフランに不溶であり、PCUPC-1とPCUPC-2では異なる溶解性を示した。
[実施例4]
ナノシート分散液の作製
実施例3で得られたホスホリルコリン基を有するポリカーボネート−ウレタン(PCUPC-1)をクロロホルムに溶解させ、10 mg/mLの溶液を120 mL調製した。次に、実施例2と同様な操作を繰り返してシリコン基板上にポリビニルアルコール犠牲膜およびPCUPCナノシートをそれぞれ計20層積層した。
このようにして得られた複合膜を、シャーレのなかで基板ごと純水に浸漬させたところ、ポリビニルアルコール犠牲膜が溶解し、厚みが66±4 nmとなり、一辺約2 cmの正方形に収縮したPCUPC-1ナノシートが20枚得られた。同様な操作をさらに9回繰り返すことで、全部で200枚のPCUPC-1ナノシートを水中に分散させた。次に、得られたナノシート200枚を蒸留水で洗浄してポリビニルアルコールを除去した後、蒸留水50 mLに分散させ、実施例2のPIPC-2と同様の方法で断片の平均面積 3900±1300 μm2、濃度 4.2×104 枚/mLの裁断化ナノシート分散液を得た。
一方、実施例3で得られたホスホリルコリン基を有するポリカーボネート−ウレタン(PCUPC-2)をジメチルスルホキシドに溶解させ、20 mg/mLの溶液を50 mL調製した。一方、市販のアルギン酸ナトリウム(関東化学、鹿1級)を蒸留水に溶解させ、40 mg/mLの溶液を100 mL調製し、実施例2のPIPC-2と同様の方法で厚みが60±4 nmからなるPCUPC-2のナノシート(10cm × 100cm相当)を水中に分散させた。次に、得られたナノシートを蒸留水で洗浄してアルギン酸ナトリウムを除去した後、蒸留水50 mLに分散させ、実施例2のPIPC-1と同様の方法で断片の平均面積2100±250 μm2、濃度3.0×105 枚/mLの裁断化ナノシート分散液を得た。
[実施例5]
ホスホリルコリン基を有するポリエステル−ウレタンの合成
アルゴン雰囲気下、ナシ型フラスコ中にてBHPC(1.04 g, 2.32 mmol)、(3,5-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(BHE)(91.9 mg, 0.464 mmol)、PCD(旭化成ケミカルズ製,DuranolTM T5651)(1.85 g, 1.85 mmol)およびテレフタル酸クロリド(TPC)(0.471 g, 2.32 mmol)を混合し、ドライアイス−アセトン浴中で-78℃に冷却した後、無水N,N-ジメチルピロリジノン7.0 mLを加えた。反応容器の温度を室温までゆっくりと加温した後、室温にて24時間反応させた。次に、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)(0.640 g, 2.32 mmol)を無水N,N-ジメチルピロリジノン2.3 mLに溶解した溶液を上記の反応容器にゆっくりと加え、さらに50℃にて42時間反応させた。反応溶液を過剰のメタノールに注ぎ込み,析出した沈殿物を吸引ろ過後,熱真空乾燥し、PC基含有ポリエステル-ウレタン(PEUPC)を褐色固体として得た(収量:3.41 g、収率:86.0 %)。
得られた重合体PEUPCの構造は下記の1H-NMRスペクトルおよびIRスペクトルから確認した。また、1H-NMRスペクトルのピーク強度比から算出したホスホリルコリン基を含む繰り返し単位の含有率(化学式中、x成分)は49.0 mol%であった。
1H-NMR, δ (400 MHz, DMSO-d6, ppm): 1.29 (-OCH2CH2CH 2 CH 2 CH2CH2OCO-, m), 1.56 (-OCH2CH 2 CH2CH2CH 2 CH2OCO-, m), 3.08 (-N+(CH 3 )3, m), 3.54 (-POCH2CH 2N-, m), 3.77 (-Ph-CH 2 -Ph-, bs), 4.03 (-OCH 2 CH2OPh-, -OCH 2 CH2CH2CH2CH2CH 2 -OCO-, m), 4.17 (-COOCH2CH 2 OP-, m), 4.27 (-PO-CH 2 CH2N-, m), 4.38 (-OCH2CH 2 OPh-, -COOCH 2CH2-OP-, m), 4.62 (-OCH2CH 2 OPh-, m), 6.53 (-Ph-, m), 6.83 (-Ph-, m), 7.08 (-Ph-, m), 7.34 (-Ph-, m), 8.05 (-Ph-, m), 9.49 (-NHCOO-, bs), 9.71 (-NHCOO-, bs).
IR, ν (KBr, cm-1): 3447 (N-H), 2976, 2857, 2625, 2315, 1699 (C=O), 1341, 1319 (P=O), 1126, 1109, 1041, 874, 837.
[実施例6]
ナノシート分散液の作製
実施例5で得られたホスホリルコリン基を有するポリエステル−ウレタン(PEUPC)をクロロホルムに溶解させ、10 mg/mLの溶液を120 mL調製した。次に、実施例2と同様な操作を繰り返してシリコン基板上にポリビニルアルコール犠牲膜およびPEUPCナノシートをそれぞれ計20層積層した。
このようにして得られた複合膜を、シャーレのなかで基板ごと純水に浸漬させたところ、ポリビニルアルコール犠牲膜が溶解し、厚みが46±4 nmとなり、一辺約2 cmの正方形に収縮したPEUPCナノシートが30枚得られた。同様な操作をさらに4回繰り返すことで、全部で150枚のPEUPCナノシートを水中に分散させた。次に、得られたナノシート150枚を蒸留水で洗浄してポリビニルアルコールを除去した後、蒸留水50 mLに分散させ、実施例2のPIPC-1と同様の方法で断片の平均面積 8500±530 μm2、濃度 1.4×106 枚/mLの裁断化ナノシート分散液を得た。
[実施例7]
MPCポリマーの合成
上記の反応式に示す共重合体PMEHを、文献(R. Ogawa, J. Watanabe, K. Ishihara, Science and Technology of Advanced Materials, Vol. 4, pp. 523-530 (2003))に記載の方法により、モノマーである2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)および2-エチルヘキシルメタクリレート(2-EHM)を3/7のモル比になるように混合し、エタノール中2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を開始剤としてラジカル共重合反応を行い合成した。
得られたポリマーのMPC成分(x成分)の含有率は29 mol%であった。また、GPC測定で求めた数平均分子量および重量平均分子量はそれぞれ3.18×104および4.83×104であった。得られた共重合体PMEHは、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンに可溶であり、水、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトンに不溶であった。
[実施例8]
ナノシート分散液の作製
実施例7で得られたホスホリルコリン基を有するMPCポリマー(PMEH)をエタノールに溶解させ、10 mg/mLの溶液を16 mL調製した。一方、アセチルセルロース((株)ダイセル、酢化度55%)をアセトンに溶解させ、50 mg/mLの溶液を30 mL調製した。一辺3.0 cmの正方形のシリコン基板をスピンコーター(ミカサ(株)、MS-A150)に装着し、上述のアセチルセルロース溶液(700 μL)を中心に滴下して回転速度4000 rpmにて20秒間回転させて、70℃にて2分間乾燥させアセチルセルロースからなる犠牲膜を作製した。次に、上述のPMEH溶液(400 μL)を中心に滴下して回転速度4000 rpmにて20秒間回転させて、70℃にて2分間乾燥させアセチルセルロース犠牲膜の上にPMEHからなるナノシートを作製した。さらに、その上に同様な操作を繰り返してシリコン基板上にアセチルセルロース犠牲膜およびPMEHのナノシートを交互にそれぞれ計8層積層した。
このようにして得られた複合膜を、シャーレのなかで基板ごとアセトンに浸漬させたところ、アセチルセルロース犠牲膜が溶解し、厚みが51±1 nmとなり、一辺約3 cmの正方形からなるPMEHナノシートが8枚得られた。同様な操作をさらに5回繰り返すことで、全部で40枚のPMEHナノシートをアセトン中に分散させた。次に、得られたナノシート40枚をアセトンで洗浄してアセチルセルロースを除去した後、アセトン50 mLに分散させ、実施例2のPIPC-1と同様の方法で断片の平均面積 1094±27 μm2、濃度 5.1×106 枚/mLの裁断化ナノシート分散液を得た。
[実施例9]
ナノシート分散液によるコーティングと血液接触試験
3 mm x 3 mm (9 mm2)の穴を設けたパラフィルムをシリコン基板上に貼りつけ、それぞれ実施例2、4,6および8で得られたPIPC-1(2.1×105 枚/mL)、PIPC-2(2.0×106 枚/mL)、PCUPC-1 (4.2×104 枚/mL)、PCUPC-2 (3.0×105 枚/mL)、PEUPC (1.4×106 枚/mL)およびPMEH (5.1×106 枚/mL)からなるナノシート分散液10 μLを添加し、デシケータ内で終夜乾燥させた。ナノシートでコーティングされたシリコン基板表面を実体顕微鏡で観察したところ、基板表面に裁断化ナノシートが隙間なくコーティングされていることを確認した。
次いで、実施例2、4,6および8で得られたPIPC-1(2.1×105 枚/mL)、PIPC-2(2.0×106 枚/mL)、PCUPC-1 (4.2×104 枚/mL)、PCUPC-2 (3.0×105 枚/mL)、PEUPC (1.4×106 枚/mL)およびPMEH (5.1×106 枚/mL)からなるナノシート分散液220 μLをそれぞれ、直径14 mm(面積約150 mm2)の円形のポリエチレンテレフタレート(PET)基板に塗布し、デシケータ内で終夜乾燥させた。これらのPET基板を、ヒトから採取した多血小板血漿(PRP)0.5 mL中に37℃にて2時間浸漬させた。リン酸緩衝液(PBS, pH 7.4)にて3回洗浄後、2.5% (v/v)グルタルアルデヒド水溶液にて2時間固定化し、蒸留水で3回洗浄後、凍結乾燥した。PET基板を金蒸着し、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー(株)、 FE-SEM S4800)にて血小板粘着挙動を観察した。結果を図1〜図6に示す。
図1〜図6に示すように、表面に血小板などの血液成分の吸着がほとんど見られなかった。なお、図1〜図6に多く見られる白く細いすじは、折り重なったナノシート断片の端の部分が観察されているものと考えられる。
[比較例1]
PET基板の血液接触試験
実施例9で使用した何もコーティングしていないPET基板に、多血小板血漿(PRP)0.5 mLを添加し、37℃にて2時間浸漬させた。リン酸緩衝液(PBS, pH 7.4)にて3回洗浄後、2.5% (v/v)グルタルアルデヒド水溶液にて2時間固定化し、蒸留水で3回洗浄後、凍結乾燥した。得られたPET基板の表面を走査型電子顕微鏡で観察した。
結果を図7に示す。図7に示すように、表面に多くの血小板の吸着が観察され、実施例2、4,6および8で得られたナノシート分散液でコーティングしたPET基板の表面は優れた生体適合性を発現していることが判明した。
[比較例2]
実施例2および4で述べたPIPC-2およびPCUPC-2からなるナノシートの作製において、PIPC-1およびPCUPC-1の場合と同様に、PIPC-2およびPCUPC-2それぞれのジメチルスルホキシド溶液をポリビニルアルコールからなる犠牲膜上にスピンコートさせたところ、犠牲膜の構成材料であるポリビニルアルコールがポリマー溶液に溶解したため、その後シャーレの中で基板ごと純粋に浸漬させてもいずれもナノシートの形成が認められず、水に不溶な微粉末状のポリマーを回収するに至った。従って、PIPC-2およびPCUPC-2のように、ポリビニルアルコールを溶解するような極性溶媒にのみ可溶なポリマーからナノシートを作製する場合は、そのポリマーがジメチルスルホキシドに可溶であれば、実施例2および4で述べたようにジメチルスルホキシドに溶解しないアルギン酸ナトリウムを犠牲膜として用いることが有効であることを見出した。

Claims (5)

  1. ホスホリルコリン基を有する繰り返し単位を少なくとも1モル%含有し、重量平均分子量が5,000以上である重合体からなり、厚みが500 nm以下であり、10 mm2以下の面積からなるナノシート細片を分散媒中に分散させてなるナノシート分散液。
  2. 前記重合体が、下記式(I)または(II)で示される、ホスホリルコリン基を有する構造を含む繰り返し単位を、少なくとも1モル%含有する重合体であることを特徴とする請求項1に記載のナノシート分散液。
    (式(I)中、Xは単結合、酸素原子、あるいは−COO−、−CONH−、−OOC−または−CH2O−で示されるいずれかの基を表し、式(I)および(II)中、Yは単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、またはオリゴオキシアルキレン基を表し、mは1〜6の整数を表す)
  3. 前記重合体が、その主鎖骨格にアミド結合、イミド結合、ウレア結合、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合またはアルキレン結合を有することを特徴とする請求項1に記載のナノシート分散液。
  4. ナノシートを分散させる分散媒が、水または常温常圧での沸点が100℃以下の有機溶媒を主成分とした分散媒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノシート分散液。
  5. (1) 基材上に、ホスホリルコリン基を有する前記重合体薄膜と、前記重合体を溶解しない溶媒に可溶性の高分子薄膜(以下、犠牲膜という。)を形成する工程(複合膜形成工程)
    (2) 前記複合膜を、犠牲膜のみを溶解しうる溶媒中に浸漬させて、当該複合膜中の前記可溶性の犠牲膜を溶解させることで、前記重合体のナノシートを溶媒中に分散させる工程(浸漬・分散工程)
    (3) 前記重合体のナノシートを分散させた液に高エネルギー裁断処理を施し、当該液中に分散している不溶性のナノシートを裁断化する工程(裁断化工程)
    からなることを特徴とする、請求項1に記載のナノシート分散液の製造方法。
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