JP2015056308A - 発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセルとラミネートセルホルダー、および非水系電解質二次電池の発生ガス評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに詳しくは、充電過程において二次電池内において発生するガスを連続的に評価することが可能な発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセルと、そのラミネートセルを発生ガス評価時に保持するラミネートセルホルダー、およびそれら、ラミネートセル及びホルダーを用いた非水系電解質二次電池の発生ガス評価方法に関する。
しかし、非水系電解質二次電池は、従来の二次電池に比べて、充放電サイクルによりガスが発生しやすいという性質があり、さらに正極を高い電位となるまで充電して使用すると、正極活物質と電解液とが反応してガスが発生する可能性もあった。これらの発生したガスが正負極間に留まった場合には、正負極間の対向状態が悪くなり、スムーズな充放電が阻害されることが問題であった(例えば、非特許文献1参照)。
この係る研究開発において、新たに開発された電解液や負極活物質などによるガス発生抑制効果を把握するため、開発された材料を試験するために、その材料を構成要素の一部に使用した非水系電解質二次電池を作製し、その非水系電解質二次電池を充放電等させて、その際に発生したガスの量やガスの成分を測定することが必要である。
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、専用に設計された分析装置を組み立てる必要があり、設備を保有するまでに要するコストや時間が大きくなる。しかも、測定のためには電池を解体しなければならず、充電過程中の発生ガスをリアルタイムに分析することができなかった。
ここで、ラミネートセルは、正極集電箔に正極活物質層が形成された正極シートと、負極集電箔に負極活物質層が形成された負極シートとの間にセパレーターを介挿して積層シートを形成し、この積層シートを袋内に収容して電解液を注入し、その後袋を密封して製造されたものである。
また、本発明が提供するラミネートセルおよびラミネートセルホルダーは、構造が簡単でコスト的に安価であり、取り扱いも容易である。
さらに、本発明の発生ガス評価方法は、多種のガス分析に対応可能なものであり、その工業的価値は極めて大きく、工業上顕著な効果を奏するものである。
本発明の発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセル(以下、単にラミネートセルという。)は、充電時にセルの内部に設置された、正極と負極とがセパレーターを介して対向するように積層配置された電極部からの発生ガスを採取してセル外部に導出し、その発生ガスの成分組成分析に供するものである。
このような機構のセルを用いることにより、充電中の電極部で生じる発生ガスを連続的に回収することが可能となり、回収したガスをガス分析装置に供給することでガス成分の連続的な分析を可能とするものである。
この供給口形成部材は、外部からガスの供給が可能であって、取り付け部の機密性が保持できればよく、例えば、ガス配管用のコネクターなどは好ましく用いられる。また、供給口形成部材は、セル外装1に損傷を与えないものが好ましく、軽量で軟らかい樹脂製とすることが好ましい。さらに、電解液に含まれる有機溶媒との反応性の低いものが好ましく、例えば、ポリプロピレン製やフッ素樹脂製のものなどを用いるのが好ましい。
したがって、電極部への充電中に、フローガスを連続的に供給することで、フローガスとともに発生ガスを連続的に回収することができる。
そのためガス供給装置及びガス回収装置に対応したガス供給機構7(例えば、上記供給口)、およびガス回収機構8(例えば、上記回収口)が、セル外装1の平面内、且つ電極部上にあると、均一かつ十分な加圧をする際に支障をきたすことがあるので、セル外装1の平面内において、正極2と負極3をセパレーター4を介して積層した電極部の占有部と異なる部分に、両方のガスのガス溜まり部9を備え、供給口および採取口が、そのガス溜まり部9に形成されていることが好ましい。このような構成により、電極部上を回避して供給口および採取口を形成することが可能となる。
そこで、ガス溜まり部9をタブリード5、6の接続位置とは異なる位置に形成し、かつ電極部と接した位置に形成することにより、電極で生じた発生ガスを、ガス溜まり部9に流入させ、そこでフローガスに吸収させて効率よく回収することができる。また、ラミネートセルの構造もシンプルとなり、ガス漏れなどの問題を回避することができる。
迂回機構としては、例えば、図1に示すガス溜り部9の斜線部位Mの位置で、セル外装1の表裏面を溶着することにより、供給口と採取口の直線的経路を遮断すればよい。或いはセルホルダーを用いて、そのセルホルダーに、セル外装1に設けた供給口と回収口間の直線的経路を外部から圧力を加えて遮断、調整する調整機構を備えて行っても良い。
このようにフローガスの流れを迂回させことで、フローガスがガス成分を吸収することなくラミネートセルから排出されることを抑制し、発生ガスをさらに効率よく回収することができる。
これにより、フローガスの供給装置およびガス分析装置とラミネートセルA間でのガス漏れを抑制することかできるとともに、容易に連続的にガス分析装置に発生ガスを供給することができる。なお、それぞれの接続は、例えば、チューブなどを用いて行えばよく、供給口と回収口を、例えば、ガス配管用のコネクターで形成してチューブと接続すればよい。
さらに、供給口および回収口は、開閉機構を有することが好ましく、充電中における発生ガスの評価時以外は供給口および回収口を閉じることで、ラミネートセルA内への外気の流入を防止して、ラミネートセルAの劣化を抑制することができる。
本発明のラミネートセルホルダーを説明する。
図3に示すように、本発明のラミネートセルホルダーCは、本発明に係るラミネートセルAの充放電時に、そのラミネートセルAを保持して電極部を加圧する機能を有するもので、ラミネートセルAの電極部加圧機構と、フローガスの供給口と発生したガスをフローガスと共に回収する回収口との間を加圧して、図3の黒矢印に示すフローガスの供給口から回収口への直線的流路を遮断し、フローガスの迂回流路(白抜き矢印で示す流れ)を形成する機構を備えることで、供給口からセル内部に設置された電極部にフローガスを連続的に効率良く供給し、そのフローガスを回収口から連続的に排出させることができる。
図3において、Cはラミネートセルホルダー、Aはラミネートセル、22は圧力調整取付ネジ孔である。
また、供給口と採取口との間を加圧することで、この間の直線的なフローガスの流れが遮断されて迂回流路が形成され、これにより、迂回流路をフローガスが流れている間に、フローガスに電極部で発生した発生ガスを効率よく吸収させて回収することが可能となり、発生ガスの成分組成の分析を容易かつ正確に行うことができる。
図4、図5において、20Uは上部ホルダー本体、20Lは下部ホルダー本体、21はラミネートセルAの電極部に対する加圧部、22はホルダーCを組み立て、ラミネートセルAを保持し、ラミネートセルAの電極部への加圧力を調整する圧力調整取付ネジ用の圧力調整取付ネジ孔である。なお、図4、図5はいずれもラミネートセルAと接する面から示した図である。
加圧力は、電極の各部が固定され、充放電が十分に行われる程度に調整すればよい。過度に加圧すると、正極あるいは負極が破壊されることがあり、好ましくない。
また、供給口からセル内部に前記フローガスを連続的に供給し、フローガスを採取口から連続的に排出させることが必要であり、フローガスは流路内を流れるため、供給口から採取口まで連続した流路を形成させる必要がある。
本発明の非水系電解質二次電池の発生ガス評価方法(以下、単にガス評価方法という)は、非水系電解質二次電池の充電時に、電池内で発生する発生ガスを採取、回収して分析するものである。 その特徴とする所は、非水系電解質二次電池を充電しながら、電池の内部へ連続的にフローガスを供給し、電池内部で発生する発生ガスを、フローガスに吸収させてフローガスとともに電池の外へ排出、回収される発生ガスを、連続的にガス分析装置に供給することにより、発生ガスの成分組成を連続的に分析するものである。
また、充電中に生じるガスの回収は、急激に多量のガスが発生するような場合を除き、その発生が微量であるため、発生ガスのみでは回収が困難である。そこで、本発明のガス評価方法では、電池の内部へ連続的にキャリアガスとしてフローガスを供給し、電池内部で発生する発生ガスを、フローガスに吸収させ、フローガスとともに電池の外へ排出されることで、微量の発生ガスまでガス発生の反応に即して分析することを可能としている。
これにより、電池内でフローガスが流れる間に、フローガスに発生ガスを十分に吸収させることが可能とすることができる。このように電池内でフローガスが流れる時間を十分なものとするためには、適切な流路を電池内に形成することが必要であり、形状の自由度が高いラミネートセルを用いることが好ましく、本発明のラミネートセルは好適であり、さらに本発明のラミネートセルをセルホルダーで保持した形態の装置は発生ガスの評価により好適である。
例えば、リチウムイオン二次電池に使用される正極および負極の材料と電解液を使用して製造したラミネートセルであれば、正極の電位がリチウム基準で4.0〜5.0Vとなるまで充電させことでガスを発生させることができる。
図1に示す構造のラミネートセルAを作製した。
先ず、ラミネートセル外装1を準備した。ラミネートセル外装1は、図2に示すように大気捕集用ミニバルブ付スリーブ(ガス採取用コネクター)付のアルミニウム製サンプリングバック(ジーエルサイエンス製)をラミネートセル外装本体10に用い、縦90mm、幅80mmに加工して作製した。図2において、1はラミネートセル外装(アルミニウム製)、7はガス供給機構のフローガス供給用コネクター、8はガス回収機構の発生ガス回収用コネクター、10はラミネートセル外装本体、14はミニバルブ付スリーブである。
電極にアルミニウム製集電箔(厚み0.02mm)に正極活物質層が形成された正極タブリード6を有する正極シート2(正極)と、銅製集電箔(厚み0.02mm)に負極活物質層が形成された負極タブリード5を有する負極シート3(負極)を用い、その間に、ポリプロピレン製微多孔膜(厚み20.7μm、空孔率密度43.9容量%)からなるセパレーター4を介挿して、3層積層シートを形成した。この積層シートを、二つ折りになっているラミネートシートの間に挟み、正極タブリード6および負極タブリード5が、予め準備したラミネートセル外装(アルミラミネート外装)1の端縁から突出した状態になるように収容した。
次に、図4、5に示す構造のラミネートセル上部ホルダーCUと下部ホルダーCLを、MCナイロンを用いて作製した。その後、図3に示すように、ラミネートセルAをラミネートセルホルダーCU、CLに挟んで4箇所(圧力調整取付ネジ孔22)をネジ止めして保持した。各部への加圧力は、4箇所のネジの締め込み量を調整することで行った。
図3、4、5において、21は電極加圧部、22は圧力調整取付ネジ孔、CUはラミネートセル上部ホルダー、CLはラミネートセル下部ホルダー、Cはラミネートセルホルダー、黒矢印はフローガスの直線流路、白抜き矢印はガスの迂回流路を示す。
図3に示すようにラミネートセルホルダーCで保持したラミネートセルAのフローガス供給用コネクター7とヘリウム(He)ガス供給装置(図示せず)、発生ガス回収用コネクター8とガス分析装置のガスクロマトグラフィー装置(図示せず)をチューブ(図示せず)で接続し、フローガスがラミネートセルA内を経由してガス供給装置からガス分析装置まで連続的に流れる状態とした。
高電圧状態では、正極と電解液との反応によって、ラミネートセルA内に水素やメタンなどのガスが発生し、フローガスに運搬されてガス分析装置に送られることを確認した。
実施例1と同様にして図6に示すラミネートセルBを作製した。
実施例1と同様の条件で充電したが、ラミネートセル外装部に直接シリンジを刺してガスを採取、回収したため、連続的なガス成分の分析は不可能であり、ガス採取後の充放電は不可能となるため、発生ガス評価を中止した。
2 正極シート
3 負極シート
4 セパレーター
5 負極タブリード
6 正極タブリード
7 ガス供給機構(供給口、フローガス供給用コネクター)
8 ガス回収機構(回収口、発生ガス回収用コネクター)
9 ガス溜り部
10 ラミネートセル外装本体
14 ミニバルブ付スリーブ
20U 上部ホルダー本体
20L 下部ホルダー本体
21 電極加圧部
22 圧力調整取付ネジ孔
A (本発明に係る)発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセル
B (比較例で使用した)発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセル
C ラミネートセルホルダー
CU ラミネートセル上部ホルダー
CL ラミネートセル下部ホルダー
M (ガス溜り部の) 直線的経路遮断部位
Claims (14)
- 正極と負極を、セパレーターを介して対向配置して構成した電極部を内部に備え、前記電極部に対する充電時に前記電極部から発生する発生ガスを回収する非水系電解質二次電池ラミネートセルであって、
前記電極部を内部に備えるラミネートセル外装と、
前記ラミネートセル外装の内部にフローガスを連続的に供給する前記ラミネートセル外装の外面に設けられるガス供給機構と、
前記電極部からの発生ガスを、前記フローガスとともに連続的に排出する前記ラミネートセル外装の外面に設けられるガス回収機構と、
前記ガス供給機構から連続的に供給された前記フローガスに、充電時に前記電極部で発生する発生ガスを吸収させる機構を備え、
前記発生ガスを吸収したフローガスを、ラミネートセル外装の外面に設けられたガス回収機構から連続的に回収することを特徴とする発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセル。 - 前記ラミネートセル外装の内部に設置された前記電極部の占有領域以外の前記ラミネートセル外装の内部領域に、前記発生ガス及びフローガスが溜まるガス溜まり部を備え、前記ガス溜まり部に連通するように前記ラミネートセル外装に前記ガス供給機構およびガス回収機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセル。
- 前記ガス溜まり部が、電流入出力用の正極及び負極タブリードと前記電極部との接続位置と異なる位置で、且つ前記電極部と接していることを特徴とする請求項1又は2に記載の発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセル。
- 前記ガス供給機構が、前記ラミネートセル外装に設けた供給口と前記非水系電解質二次電池ラミネートセルの外部に設置されたフローガスの供給装置との接続機構を有し、
前記ガス回収機構が、前記ラミネートセル外装に設けた回収口と前記非水系電解質二次電池ラミネートセルの外部に設置されたガス分析装置との接続機構を備え、
前記発生ガスを連続して前記ガス分析装置に供給する機能を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセル。 - 前記供給口と前記回収口との間の前記ラミネートセル外装を加圧することにより前記フローガスの流れを迂回させる迂回流路を備えることを特徴とする請求項4に記載の発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセル。
- 前記供給口および前記回収口に開閉機構を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセル。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセルを充放電する際に、前記発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセルの保持と、前記電極部を加圧するラミネートセルホルダーであって、
前記発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセルの電極部を加圧する電極部加圧機構と、
前記ガス供給機構と前記ガス回収機構との間の前記ラミネートセル外装を加圧して、フローガスの迂回流路を形成する迂回流路形成機構を有し、
前記ガス供給機構から前記発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセルの内部に、フローガスを連続的に供給して前記ガス回収機構から前記電極部で発生した発生ガスを吸収したフローガスを連続的に排出させる機能と、
前記ガス供給機構の供給口から前記ガス回収機構の回収口に流れるフローガスを、前記迂回流路形成機構により迂回させ、前記発生ガスをフローガスに吸収させる機能を有することを特徴とするラミネートセルホルダー。 - 前記迂回流路が、前記供給口と前記回収口間の直線距離より長く、かつ前記電極部の外周に形成されることを特徴とする請求項7に記載のラミネートセルホルダー。
- 前記電極部加圧機構の加圧力と、前記迂回流路形成機構の加圧力を調整する調整機構を有することを特徴とする請求項7または8に記載のラミネートセルホルダー。
- 前記調整機構が、前記発生ガス評価用非水系電解質二次電池ラミネートセルの外縁より外側のラミネートセルホルダー本体に配置した少なくとも4箇所以上の複数のネジの締め込み力により調整することを特徴とする請求項9に記載のラミネートセルホルダー。
- 非水系電解質二次電池の充電時に、前記二次電池内部で発生するガス成分を採取、回収して分析する非水系電解質二次電池の発生ガス評価方法であって、
前記非水系電解質二次電池を充電しながら、前記二次電池内部へ連続してフローガスを供給し、前記二次電池内部で発生する発生ガスを、前記フローガスに吸収させ、発生ガスを吸収したフローガスを前記二次電池の外部へ排出、回収して、連続的にガス分析装置に供給することにより、前記発生ガスを分析することを特徴とする非水系電解質二次電池の発生ガス評価方法。 - 発生ガスを吸収するフローガスが、フローガスの供給位置から回収位置間の直線距離より長い距離の迂回流路を経由して回収されることを特徴とする請求項11に記載の非水系電解質二次電池の発生ガス評価方法。
- 前記フローガスが、不活性ガスであることを特徴とする請求項11又は12に記載の非水系電解質二次電池の発生ガス評価方法。
- 前記ガス分析装置が、ガスクロマトグラフィー装置、ガスクロマトグラフ質量分析装置、誘電結合プラズマ質量分析装置、赤外線ガス分析装置、レーザーガス分析装置から選択される1種以上であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池の発生ガス評価方法。
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